JP2023161359A - エマルジョン型フェノール樹脂組成物および接着剤 - Google Patents

エマルジョン型フェノール樹脂組成物および接着剤 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた接着強度を有するとともに、その硬化物の耐水性が改善された、接着剤として利用可能なエマルジョン型フェノール樹脂組成物を提供する。【解決手段】水、フェノール樹脂粒子、乳化剤、および水溶性レゾール型フェノール樹脂、を含み、前記フェノール樹脂粒子は、前記乳化剤により水中に分散しており、前記水溶性レゾール型フェノール樹脂は、前記水中に溶解している、エマルジョン型フェノール樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、エマルジョン型フェノール樹脂組成物、およびこれを含む接着剤に関する。
フェノール樹脂は、その優れた耐熱性、接着性、機械的特性、電気的特性、価格優位性等を利用し各種基材の成型材料や摩擦材用結合剤、研削材用結合剤、木材用接着剤、積層材用結合剤、鋳型用結合剤、コーティング剤、エポキシ樹脂硬化剤用等として幅広く使用されている。フェノール樹脂は、例えば、各種の基材に含浸または塗布されて使用されたり、各種有機、無機基材のバインダーとして使用されたりしている。フェノール樹脂には、ヘキサメチレンテトラミンなどの硬化剤を添加して加熱硬化するノボラック型フェノール樹脂と、単独で加熱硬化するレゾール型フェノール樹脂とに大別され、性状、用途、目的等により使い分けが行われている。
近年、環境負荷軽減の観点や労働安全衛生的観点から、有機溶剤を用いないか、または有機溶剤使用量の少ないフェノール樹脂材料が求められており、溶媒として水を用いた水溶性樹脂や水系分散剤を用いた水分散型樹脂として提供可能なフェノール樹脂求められている。
熱硬化性樹脂の水性化という観点からは、レゾール型フェノール樹脂は、その本来的な性質から分子量や官能基数の調節により比較的容易に水性化を図ることが可能である。たとえば、特許文献1では、ポリエステル樹脂と、レゾール型フェノール樹脂と、塩基性化合物とを含有する水性接着剤が開示されている。特許文献1では、塩基性化合物として、NaOH等の金属水酸化物、またはトリエチルアミン等の有機アミン化合物を使用することにより、得られる水性接着剤の凝集を防ぎ、安定性を確保することが記載されている。
一方、ノボラックフェノール樹脂は、通常、常温で固形の樹脂であることから、水性化が困難であり、その水分散体を調製したとしても、その分散樹脂粒子の平均粒子径が10μm乃至100μmという極めて大きい範囲になり、樹脂粒子が沈降または凝集してしまい、長期の分散安定性が得られない場合があった。
上記問題を解決するため、ノボラック型フェノール樹脂を水性媒体中に分散させる技術として、たとえば、特許文献2には、水性媒体中に分散するノボラック型フェノール樹脂の分子構造中に、その芳香核上の置換基として炭素原子数3~30の酸基含有脂肪族炭化水素基を導入するとともに、上記水性媒体中のpHを7.0~9.0の範囲に調節することにより、多量の分散剤を用いなくとも、ノボラック型フェノール樹脂の樹脂粒子径を1μm未満に小径化することが可能で、かつ優れた貯蔵安定性を有するノボラック型フェノール樹脂水性分散体を得る技術が記載されている。
特開2007-302786号公報 特開2008-150449号公報
しかしながら、従来の水性レゾール型フェノール樹脂を含む水性接着剤は、これに金属水酸化物が配合される場合、この金属水酸化物の存在に起因して、水性接着剤の硬化物の耐水性が劣る場合があった。また、従来の水性レゾール型フェノール樹脂を含む水性接着剤は、これに有機アミン化合物が配合される場合、得られる接着剤の水溶性が劣る場合があった。
また従来のノボラック型フェノール樹脂水性分散体は、分散相が水であるため、使用時にこれを被接着体である基材に塗布した場合、基材に対する濡れ性に劣る場合があった。具体的には、従来のノボラック型フェノール樹脂水性分散体は、樹脂成分が被接着体に対して十分になじまないため被接着体に十分に密着せず、結果として所望の接着強度が得られない場合があった。
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、水性でありながら、被接着体に対する密着性に優れ、よって優れた接着強度を有するとともに、その硬化物の耐水性が改善された、接着剤として利用可能なエマルジョン型フェノール樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明によれば、以下に示すエマルジョン型フェノール樹脂および接着剤が提供される。
[1]水、フェノール樹脂粒子、乳化剤、および水溶性レゾール型フェノール樹脂、を含み、前記フェノール樹脂粒子は、前記乳化剤により水中に分散しており、前記水溶性レゾール型フェノール樹脂は、前記水中に溶解している、エマルジョン型フェノール樹脂組成物。
[2]前記フェノール樹脂粒子は、ノボラック型フェノール樹脂またはレゾール型フェノール樹脂からなる、項目[1]に記載のエマルジョン型フェノール樹脂組成物。
[3]前記フェノール樹脂粒子の平均粒径D50は、0.1μm以上30μm以下である、項目[1]または[2]に記載のエマルジョン型フェノール樹脂組成物。
[4]前記フェノール樹脂粒子の含有量は、当該エマルジョン型フェノール樹脂組成物全体に対して、3質量%以上50質量%以下である、項目[1]~[3]のいずれかに記載のエマルジョン型フェノール樹脂組成物。
[5]前記水溶性レゾール型フェノール樹脂の含有量は、当該エマルジョン型フェノール樹脂組成物全体に対して、2質量%以上50質量%以下である、項目[1]~[4]のいずれかに記載のエマルジョン型フェノール樹脂組成物。
[6]前記乳化剤は、ポリアクリルアミド、カゼイン、ヒドロキシエチルセルロース、およびポリビニルアルコールから選択される少なくとも1つを含む、項目[1]~[5]のいずれかに記載のエマルジョン型フェノール樹脂組成物。
[7]ヘキサメチレンテトラミンをさらに含み、前記ヘキサメチレンテトラミンは、前記水中に溶解している、項目[1]~[6]のいずれかに記載のエマルジョン型フェノール樹脂組成物。
[8]前記ヘキサメチレンテトラミンの含有量は、当該エマルジョン型フェノール樹脂組成物の固形分全体に対して、1質量%以上20質量%以下である、項目[7]に記載のエマルジョン型フェノール樹脂組成物。
[9]前記フェノール樹脂粒子は、重量平均分子量が100以上15,000以下のノボラック型フェノール樹脂またはレゾール型フェノール樹脂からなる、項目[1]~[8]のいずれかに記載のエマルジョン型フェノール樹脂組成物。
[10]前記水溶性レゾール型フェノール樹脂の重量平均分子量は、100以上2,000以下である、項目[1]~[9]のいずれかに記載のエマルジョン型フェノール樹脂組成物。
[11]項目[1]~[10]のいずれかに記載のエマルジョン型フェノール樹脂組成物からなる、接着剤。
本発明によれば、水性でありながら、被接着体に対する密着性に優れ、よって接着性に優れるとともに、その硬化物の耐水性が改善された、接着剤として利用可能なエマルジョン型フェノール樹脂組成物が提供される。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、「a以上b以下」を意味する。例えば、「5~90質量%」とは「5質量%以上90質量%以下」を意味する。
[エマルジョン型フェノール樹脂組成物]
本実施形態の樹脂組成物は、分散体の樹脂成分が水中に分散された水中油型の水性エマルジョンであり、水、フェノール樹脂粒子、水溶性レゾール型フェノール樹脂、および乳化剤、を含む。本実施形態の樹脂組成物において、分散体のフェノール樹脂は、粒子の形態で、乳化剤により水中に分散している。さらに本実施形態の樹脂組成物は、水溶性のレゾール型フェノール樹脂を含み、このレゾール型フェノール樹脂は、水中に溶解した状態で存在する。換言すると、本実施形態の樹脂組成物は、水溶性レゾール型フェノール樹脂の水溶液中にフェノール樹脂粒子が分散した形態の水性エマルジョンである。
本実施形態のエマルジョン型フェノール樹脂組成物(本明細書中、単に「樹脂組成物」と称する場合がある)は、水媒体中にフェノール樹脂が分散した水性エマルジョンの形態で提供される。本実施形態の樹脂組成物は、溶媒/分散媒として有機溶媒を使用しないため、環境負荷が低減される。
本実施形態のエマルジョン型フェノール樹脂組成物は、従来のレゾール型フェノール樹脂水溶液に配合されていた金属水酸化物や有機アミン化合物を、全く含まないかまたはほとんど含まない。そのため、金属水酸化物に起因する耐水性の不足や、有機アミン化合物に起因する水溶性の不足といった問題が生じない。
本実施形態のエマルジョン型フェノール樹脂組成物は、樹脂相としてフェノール樹脂粒子を含み、水相に水溶性レゾール型フェノール樹脂を含む。本実施形態のエマルジョン型フェノール樹脂組成物は、水相にレゾール型フェノール樹脂が溶解しているため、被接着体に塗布/塗工された場合に、水相中のレゾール型フェノール樹脂がこの被接着体の表面に高度に密着することができる。たとえば、被接着体が微細な表面凹凸を有する金属板であっても、水相中のレゾール型フェノール樹脂がこの金属板の表面凹凸の内部に侵入することができる。結果として、本実施形態の樹脂組成物を被接着体に塗工し、乾燥した場合、被接着体に高度に密着したフェノール樹脂の塗膜が形成され、よって高い接着強度を得ることができる。
本実施形態の樹脂組成物において、分散体のフェノール樹脂は粒子の形態で、乳化剤により水中に分散しており、水溶性レゾール型フェノール樹脂は、水中に溶解した状態で存在する。これによりエマルジョン中のフェノール樹脂とレゾール型フェノール樹脂とは、相互作用することなく、製造直後の状態が維持される。そのため、フェノール樹脂とレゾール型フェノール樹脂との硬化反応が進行して高分子量化および高粘度化するといった現象が生じることなく、使用時まで製造直後の状態が維持され、よって本実施形態の樹脂組成物は取扱い性に優れる。
本実施形態のエマルジョン型フェノール樹脂組成物は、以下の工程により製造される。
工程1:フェノール類とアルデヒド類とを反応させて、フェノール樹脂を得る工程。
工程2:工程1で得られたフェノール樹脂と、乳化剤とを、水に添加し、撹拌することにより、フェノール樹脂を水に分散させる工程。
工程3:工程2で得られたフェノール樹脂の水分散体に、水溶性レゾール型フェノール樹脂を添加する工程。
工程1では、フェノール類とアルデヒドとを縮合重合させて、フェノール樹脂を得る。工程1で得られるフェノール樹脂は、水不溶性でありさえすれば、ノボラック型フェノール樹脂であっても、レゾール型フェノール樹脂であってもよい。
本実施形態のエマルジョン型フェノール樹脂組成物が、分散体であるフェノール樹脂粒子として、ノボラック型フェノール樹脂を含む場合、工程1は、フェノール類とアルデヒド類を酸触媒下で縮合重合させてノボラック型フェノール樹脂を得る工程である(「工程1-1」)。
工程1-1におけるノボラック型フェノール樹脂の合成に使用できるフェノール類としては、フェノール;o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール等のクレゾール類;o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール等のエチルフェノール類;イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p-tert-ブチルフェノール等のブチルフェノール類;p-tert-アミルフェノール、p-オクチルフェノール、p-ノニルフェノール、p-クミルフェノール等のアルキルフェノール類;フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール類;p-フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体:1-ナフトール、2-ナフトール等の1価のフェノール類;およびレゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類等が挙げられる。これらは、単独でかまたは2種以上混合して使用できる。中でも、製造コストの観点から、フェノールを使用することが好ましい。
工程1-1におけるノボラック型フェノール樹脂の製造に使用できるアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n-ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o-トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種類以上組み合わせて使用してもよい。また、これらのアルデヒド類の前駆体あるいはこれらのアルデヒド類の溶液を使用することもできる。中でも、製造コストの観点から、ホルムアルデヒド水溶液を使用することが好ましい。
工程1-1におけるノボラック型フェノール樹脂の製造に使用できる酸触媒としては、酢酸、ギ酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、安息香酸、サリチル酸、スルホン酸、フェノールスルホン酸、およびパラトルエンスルホン酸等の有機酸;または塩酸、硫酸、硫酸エステル、リン酸、およびリン酸エステル等の無機酸が挙げられる。
工程1-1におけるノボラック型フェノール樹脂の製造において、フェノール類に対するアルデヒド類のモル比(F/P)は、例えば、0.5以上であり、好ましくは,0.55以上であり、より好ましくは、0.6以上である。フェノール類に対するアルデヒド類のモル比(F/P)の上限値は、例えば、1.2以下であり、好ましくは、1.1以下であり、より好ましくは、1.0以下である。フェノール類に対するアルデヒド類のモル比(F/P)が上記範囲である条件下で、反応を行うことにより、所望の重量平均分子量を有するノボラック型フェノール樹脂を得ることができる。
工程1-1におけるノボラック型フェノール樹脂の製造において、フェノール類とアルデヒド類とを、酸触媒の存在下で反応させる工程は、例えば、60℃~120℃の温度下、好ましくは80℃~100℃の温度下で、例えば、10分間~100分間の反応時間で実施されることが好ましい。これにより、効率よく反応を十分に進めることができる。また加熱下で実施することにより、出発物質が均一に混合され、分子間の絡み合いや分子間の作用により、得られるノボラック型フェノール樹脂の分子量の均一化を図ることができる。なお、反応時間は、特に制限はなく、出発原料の種類、配合モル比、触媒の使用量及び種類、反応条件に応じて適宜決定すればよい。
工程1-1のノボラック型フェノール樹脂の製造のために使用される反応溶媒としては、水が一般的であるが、有機溶媒を使用してもよい。このような有機溶媒の具体例としては、アルコール類、ケトン類、芳香族類等が挙げられる。またアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。芳香族類の具体例としては、トルエン、キシレン等が挙げられる。
工程1-1で得られるノボラック型フェノール樹脂の重量平均分子量は、例えば、100以上15,000以下であり、好ましくは、400以上12,000以下であり、より好ましくは、500以上10,000以下である。上記範囲の重量平均分子量を有するノボラック型フェノール樹脂は、エマルジョン化が容易であるため好ましい。また、これを硬化して得られる硬化物が高い機械的強度および耐熱性を有するため好ましい。
上記方法により生成したノボラック型フェノール樹脂は、必要に応じて、これに含まれる未反応の遊離フェノールを除去するための後処理に供してもよい。後処理としては、150℃まで常圧蒸留を行い、続いて、250℃まで500Paで減圧蒸留を行う手法を用いることができる。上記方法により得られたノボラック型フェノール樹脂は、未反応の遊離フェノール類の含有量が、1.0質量%以下、好ましくは、0.8質量%以下、より好ましくは、0.6質量%以下まで低減されている。また上記方法により得られたノボラック型フェノール樹脂は、未反応の遊離アルデヒド類の含有量が、1.0質量%以下、好ましくは、0.8質量%以下、より好ましくは、0.6質量%以下まで低減されている。
本実施形態のエマルジョン型フェノール樹脂組成物が、分散体として、レゾール型フェノール樹脂粒子を含む場合、工程1は、フェノール類とアルデヒド類を塩基性触媒下で縮合重合させて水不溶性のレゾール型フェノール樹脂を得る工程である(「工程1-2」)。
工程1-2における水不溶性レゾール型フェノール樹脂の合成に使用できるフェノール類としては、フェノール;o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール等のクレゾール類;o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール等のエチルフェノール類;イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p-tert-ブチルフェノール等のブチルフェノール類;p-tert-アミルフェノール、p-オクチルフェノール、p-ノニルフェノール、p-クミルフェノール等のアルキルフェノール類;フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール類;p-フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体:1-ナフトール、2-ナフトール等の1価のフェノール類;およびレゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類等が挙げられる。これらは、単独でかまたは2種以上混合して使用できる。中でも、得られるレゾール型フェノール樹脂を水不溶性とする観点から、クレゾール類、エチルフェノール類、アルキルフェノール類が好ましく用いられる。
工程1-2における水不溶性レゾール型フェノール樹脂の製造に使用できるアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n-ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o-トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種類以上組み合わせて使用してもよい。また、これらのアルデヒド類の前駆体あるいはこれらのアルデヒド類の溶液を使用することもできる。中でも、製造コストの観点から、ホルムアルデヒド水溶液を使用することが好ましい。
工程1-2における水不溶性レゾール型フェノール樹脂の製造に使用できる塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩;石灰等の酸化物;亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩;リン酸ナトリウム等のリン酸塩;アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン等のアミン類等が挙げられる。
工程1-2における水不溶性レゾール型フェノール樹脂の製造において、フェノール類に対するアルデヒド類のモル比(F/P)は、例えば、1.5以上であり、好ましくは1.5以上2.0以下、より好ましくは1.6以上1.9以下となるような比率で、反応が間に仕込み、さらに重合化触媒としての上述の塩基性触媒を添加して、適当な時間還流を行うことにより得られる。フェノール類に対するアルデヒド類のモル比(F/P)が上記範囲である条件下で、反応を行うことにより、所望の重量平均分子量を有するレゾール型フェノール樹脂を得ることができる。
工程1-2における水不溶性レゾール型フェノール樹脂の製造において、フェノール類とアルデヒド類とを、塩基性触媒の存在下で反応させる工程は、例えば、60℃~120℃の温度下、好ましくは80℃~100℃の温度下で、例えば、10分間~100分間の反応時間で実施されることが好ましい。これにより、効率よく反応を十分に進めることができる。また加熱下で実施することにより、出発物質が均一に混合され、分子間の絡み合いや分子間の作用により、得られるレゾール型フェノール樹脂の分子量の均一化を図ることができる。なお、反応時間は、特に制限はなく、出発原料の種類、配合モル比、触媒の使用量及び種類、反応条件に応じて適宜決定すればよい。
工程1-2の水不溶性レゾール型フェノール樹脂の合成のために使用される反応溶媒としては、水が一般的であるが、有機溶媒を使用してもよい。このような有機溶媒の具体例としては、アルコール類、ケトン類、芳香族類等が挙げられる。またアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。芳香族類の具体例としては、トルエン、キシレン等が挙げられる。
工程1-2の反応条件は、適宜設定することにより、水不溶性のレゾール型フェノール樹脂を得ることができる。水不溶性のレゾール型フェノール樹脂を得るための反応条件としては、(i)フェノール類として上述のクレゾール類、エチルフェノール類、アルキルフェノール類を用いて、アルキルフェノール由来の構造単位を含むフェノール樹脂を得ること、(ii)塩基性触媒の使用量を低減するか、または反応終了後に酸で中和することにより、反応混合物のpHを弱アルカリ性にして、高分子量のフェノール樹脂を得ること、(iii)100℃程度の比較的高い反応温度で、60分~100分程度の比較的長い時間反応させることにより、高分子量のフェノール樹脂を得ること、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
工程1-2で得られる水不溶性のレゾール型フェノール樹脂の重量平均分子量は、例えば、100以上15,000以下であり、好ましくは、400以上12,000以下であり、より好ましくは、500以上10,000以下である。上記範囲の重量平均分子量を有する水不溶性レゾール型フェノール樹脂は、エマルジョン化が容易であるため好ましい。また、これを硬化して得られる硬化物が高い機械的強度および耐熱性を有するため好ましい。
上記方法により得られたレゾール型フェノール樹脂は、未反応の遊離フェノール類の含有量が、1.0質量%以下、好ましくは、0.8質量%以下、より好ましくは、0.6質量%以下まで低減されている。また上記方法により得られたノボラック型フェノール樹脂は、未反応の遊離アルデヒド類の含有量が、1.0質量%以下、好ましくは、0.8質量%以下、より好ましくは、0.6質量%以下まで低減されている。
上記工程1-1または工程1-2のいずれかである工程1に続き、工程2において、工程1で得られたノボラック型またはレゾール型のフェノール樹脂と乳化剤とを、水中で混合して、撹拌することにより、水中にノボラック型フェノール樹脂を乳化分散させる。これにより、フェノール樹脂が微粒子の形態で、水中に分散された、フェノール樹脂水分散体が得られる。工程2において、フェノール樹脂は、得られる水分散体全体に対して、例えば、3質量%以上50質量%以下の量、好ましくは5質量%以上45質量%以下の量、より好ましくは10質量%以上40質量%以下の量となるように、水と混合される。
水分散体中のフェノール樹脂粒子の平均粒径D50は、例えば、0.1μm以上30μm以下であり、好ましくは、0.5μm以上20μm以下であり、より好ましくは、1μm以上15μm以下である。上記範囲内の平均粒径を有するノボラック型フェノール樹脂粒子は、水中に均一に分散され、また保存中に沈殿することがなく、取扱い性に優れる。ノボラック型フェノール樹脂粒子の平均粒径は、例えば、撹拌速度、撹拌時間等の撹拌条件を調整することにより制御することができる。撹拌条件としては、例えば、200rpm~400rpmの撹拌速度、および1~10時間の撹拌時間を採用することができる。
工程2で用いられる乳化剤としては、例えば、ポリアクリルアミド、カゼイン、ヒドロキシエチルセルロース、およびポリビニルアルコール等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの乳化剤は、ノボラック型フェノール樹脂に対して、例えば、10質量%以上80質量%以下、好ましくは、20質量%以上70質量%以下、より好ましくは、30質量%以上60質量%以下の量で使用される。乳化剤を上記範囲の量で使用することにより、ノボラック型フェノール樹脂を水中に均一に分散することができる。
工程2に続き、工程3において、工程2で得られたフェノール樹脂水分散体に、水溶性レゾール型フェノール樹脂を添加する。工程3では、水溶性レゾール型フェノール樹脂の水溶液を用いることが好ましい。
工程3で使用する水溶性レゾール型フェノール樹脂は、フェノール樹脂とアルデヒド類とを塩基性触媒の存在下で反応させて得られる水溶性のレゾール型フェノール樹脂である。
本実施形態で用いられる水溶性レゾール型フェノール樹脂の合成のために使用されるフェノール類としては、フェノール;o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール等のクレゾール類;o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール等のエチルフェノール類;イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p-tert-ブチルフェノール等のブチルフェノール類;p-tert-アミルフェノール、p-オクチルフェノール、p-ノニルフェノール、p-クミルフェノール等のアルキルフェノール類;フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール類;p-フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体:1-ナフトール、2-ナフトール等の1価のフェノール類;およびレゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類等が挙げられる。これらは、単独でかまたは2種以上混合して使用できる。中でも、製造コストの観点から、フェノールを使用することが好ましい。
本実施形態で用いられる水溶性レゾール型フェノール樹脂の合成のために使用されるアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n-ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o-トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種類以上組み合わせて使用してもよい。また、これらのアルデヒド類の前駆体あるいはこれらのアルデヒド類の溶液を使用することもできる。中でも、製造コストの観点から、ホルムアルデヒド水溶液を使用することが好ましい。
本実施形態で用いられる水溶性レゾール型フェノール樹脂の合成のために使用される塩基性触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩;石灰等の酸化物;亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩;リン酸ナトリウム等のリン酸塩;アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン等のアミン類等が挙げられる。
本実施形態で用いられる水溶性レゾール型フェノール樹脂の合成のために使用される反応溶媒としては、水が好ましく用いられる。
本実施形態で用いられる水溶性レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類(P)とアルデヒド類(F)とを、配合モル比(F/P)が1.5以上、好ましくは1.5以上2.0以下、より好ましくは1.6以上1.9以下となるような比率で、反応が間に仕込み、さらに重合化触媒としての上述の塩基性触媒を添加して、適当な時間(例えば、3~6時間)還流を行うことにより得られる。反応温度は、例えば、40℃~120℃であり、好ましくは60℃~100℃である。これにより、ゲル化を抑制して、目的の分子量を有する水溶性のレゾール型フェノール樹脂を得ることができる。
本実施形態で用いられる水溶性レゾール型フェノール樹脂の形態としては、固形、水溶液が挙げられる。中でも、作業性が良好となる点から、水溶液であることが好ましい。
本実施形態で用いられる水溶性レゾール型フェノール樹脂は、100以上2,000以下の重量平均分子量を有することが好ましく、200以上1,500以下の重量平均分子量を有することがより好ましい。上記範囲内の重量平均分子量を有するレゾール型フェノール樹脂は、優れた接着性と水溶性とを両立することができる。結果として、このようなレゾール型フェノール樹脂を水相に含む樹脂組成物は、優れた接着性を有するとともに、優れた塗布性または取扱い性を有し得る。
本実施形態で用いられる水溶性レゾール型フェノール樹脂は、これに含まれる遊離フェノール量が、レゾール型フェノール樹脂全体に対して5.0質量%以下であることが好ましく、4.0質量%以下であることがより好ましい。レゾール型フェノール樹脂に含まれる遊離フェノール量の下限値は、特に限定されないが、レゾール型フェノール樹脂全体に対して、例えば、0.1質量%以上であり、好ましくは0.5質量%以上である。遊離フェノール量が上記上限値以下であることにより、レゾール型フェノール樹脂は、優れた保存安定性を有する。また、遊離フェノール量が上記下限値以上であることにより、遊離アルデヒドを完全に除去するための特別な装置や工程が不要であるため、製造コストを抑えることができる。
工程3において、水溶性レゾール型フェノール樹脂は、得られる樹脂組成物全体に対しする水溶性レゾール型フェノール樹脂の量が、例えば、2質量%以上50質量%以下、好ましくは、質量%以上40質量%以下となるように、工程2で得られたフェノール樹脂分散体に添加される。
一実施形態において、工程3では、水溶性レゾール型フェノール樹脂に加え、ヘキサメチレンテトラミンを添加してもよい。ヘキサメチレンテトラミンは高い水溶解性を有するため、工程2で得られたフェノール樹脂分散体の水相に溶解する。ヘキサメチレンテトラミンは、得られる樹脂組成物の固形分に対するヘキサメチレンテトラミンの量が、例えば、1質量%以上20質量%以下、好ましくは、2質量%以上15質量%以下、より好ましくは、3質量%以上10質量%以下となるように、工程2で得られたフェノール樹脂分散体に添加される。上記範囲の量でヘキサメチレンテトラミンを使用することにより、得られる樹脂組成物の硬化性が改善され、樹脂組成物の硬化物の機械的強度を向上することができる。
上述の工程1から工程3を経て得られる本実施形態の樹脂組成物は、フェノール樹脂粒子の凝集または沈殿が生じることなく、均一に分散した状態で保存することができる。また本実施形態の樹脂組成物は、未反応フェノールの含有量が、樹脂組成物全体に対して、0.1質量%以下であり、未反応アルデヒドの含有量が、樹脂組成物全体に対して、0.1質量%以下である。
本実施形態の樹脂組成物には、その用途に応じ、さらに添加剤を配合してもよい。用いることができる添加剤としては、チキソ剤、増粘剤、分散剤、硬化促進剤、凍結防止剤等が挙げられる。
チキソ剤または増粘剤としては、例えば、フュームドシリカ、沈殿法シリカ、ベントナイト、珪藻土、セピオライオト、炭酸カルシウム、ポリアクリル酸塩等が挙げられる
分散剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩等のアニオン性、4級アンモニウム塩、スルホニウム塩、ピリジニウム塩等のカチオン性分散剤、ベタイン型分散剤、スルホン酸塩等の両性分散剤、多価アルコール、ポリオキシエチレン等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
硬化促進剤としては、安息香酸、サリチル酸、スルホン酸、フェノールスルホン酸、およびパラトルエンスルホン酸等の有機酸や、レゾルシノール等が挙げられる。
凍結防止剤としては、メタノール、エチレングリコール、グリセリン等の凍結温度を低下させるものが挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(用途)
本実施形態のエマルジョン型フェノール樹脂組成物は、例えば、摩擦材用接着剤、研削材用接着剤、木材用接着剤、積層材用接着剤、鋳型用接着剤として使用することができる。
例えば、本実施形態の樹脂組成物を摩擦材用接着剤として使用する場合、本実施形態のエマルジョン型フェノール樹脂組成物を、湿式摩擦板用の金属基材に塗布する。塗布方法としては、スプレー塗布法、ロールコータ法等を使用することができる。次いで、塗布した樹脂組成物を、例えば、100℃で20分の条件で加熱して、溶剤である水を乾燥除去する。その後、この金属基材上の、乾燥後の樹脂組成物層の側に、湿式摩擦板用の摩擦板を配置し、例えば、150℃の温度で、加熱加圧する。加熱加圧後に、例えば、200℃の温度で焼成し、フェノール樹脂粒子と水溶性レゾール型フェノール樹脂とを完全硬化させる。これにより、金属基材と摩擦板とが強固に接着された湿式摩擦板を製造することができる。本実施形態のエマルジョン型フェノール樹脂組成物は、有機溶剤を含まないため、加熱乾燥時に有機溶剤の揮発が生じない。そのため、環境負荷が小さい。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1~3、比較例1~2]
(エマルジョン型フェノール樹脂組成物の調製)
表1に示す成分を、表1に示す配合量で混合して、エマルジョン型フェノール樹脂組成物を調製した。
表1に示す成分の詳細は以下のとおりである。
・フェノール樹脂A:以下の方法で調製した水溶性レゾール型フェノール樹脂Aの水溶液
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール1000重量部、37%ホルマリン水溶液1638重量部(F/Pモル比=1.9)、水酸化ナトリウム30重量部を添加し、75℃で120分間反応させた。これに水2000重量部を加え、3600重量部の水溶性レゾール型フェノール樹脂Aの水溶液を得た。不揮発分は29%であった。
・フェノール樹脂B:以下の方法で調製したノボラック型フェノール樹脂Bの懸濁液
攪拌装置及び温度計を備えた反応装置に、フェノール1000重量部、蓚酸10重量部を仕込み、100℃に昇温した後、37%ホルムアルデヒド500重量部(F/Pモル比=0.58)を2時間かけて逐添した。その後、2時間還流反応を行った後、150℃まで常圧蒸留を行い、さらに、250℃まで500Paで減圧蒸留を行った。得られたノボラック型フェノール樹脂中の未反応フェノールの含有量は0.0%、未反応アルデヒドの含有量は0.0%であった。
その反応後、110℃以下に冷却し、ポリアクリルアマイド(荒川化学工業社製・「ポリストロン117」、15%水溶液)650重量部と水1500重量部とを添加して1時間攪拌し、ノボラック型フェノール樹脂Bの乳濁液、3000重量部を得た。不揮発分は27%であった。
(エマルジョン型フェノール樹脂組成物の性能評価)
実施例1、比較例1~2において、得られたエマルジョン型フェノール樹脂組成物の以下の項目に示す物性を測定し、接着剤としての性能を評価した。
<接着性>
25mm×150mmの酸洗鋼板をアセトンで脱脂後、上述のエマルジョン型フェノール樹脂組成物を、乾燥後の膜厚が8~15umとなるように塗布し80℃で30分乾燥させた。樹脂組成物の塗布面同士を10mm張り合わせ、5MPaの圧力で締め付け、200℃1hrで硬化させてテストピースとし、引張試験にて接着強度を算出した。結果を表1に示す。
<耐水性>
上述のエマルジョン型フェノール樹脂組成物を、乾燥後の膜厚が8~15umとなるように塗布し80℃で30分乾燥させた。次いで、200℃で1時間加熱することにより、フェノール樹脂を硬化して塗膜を得た。これを80℃の温水中に60時間浸漬した後、塗膜の状態を下記の判定基準に従い目視で判定した。結果を表1に示す。
A:塗膜の剥がれも膨れもみとめられない。
B:塗膜の一部に剥がれや膨れがみとめられる。
C:全体に塗膜の剥がれや膨れがみとめられる。
Figure 2023161359000001

Claims (11)

  1. 水、
    フェノール樹脂粒子、
    乳化剤、および
    水溶性レゾール型フェノール樹脂、
    を含み、
    前記フェノール樹脂粒子は、前記乳化剤により水中に分散しており、
    前記水溶性レゾール型フェノール樹脂は、前記水中に溶解している、
    エマルジョン型フェノール樹脂組成物。
  2. 前記フェノール樹脂粒子は、ノボラック型フェノール樹脂またはレゾール型フェノール樹脂からなる、請求項1に記載のエマルジョン型フェノール樹脂組成物。
  3. 前記フェノール樹脂粒子の平均粒径D50は、0.1μm以上30μm以下である、請求項1に記載のエマルジョン型フェノール樹脂組成物。
  4. 前記フェノール樹脂粒子の含有量は、当該エマルジョン型フェノール樹脂組成物全体に対して、3質量%以上50質量%以下である、請求項1に記載のエマルジョン型フェノール樹脂組成物。
  5. 前記水溶性レゾール型フェノール樹脂の含有量は、当該エマルジョン型フェノール樹脂組成物全体に対して、2質量%以上50質量%以下である、請求項1に記載のエマルジョン型フェノール樹脂組成物。
  6. 前記乳化剤は、ポリアクリルアミド、カゼイン、ヒドロキシエチルセルロース、およびポリビニルアルコールから選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載のエマルジョン型フェノール樹脂組成物。
  7. ヘキサメチレンテトラミンをさらに含み、
    前記ヘキサメチレンテトラミンは、前記水中に溶解している、
    請求項1に記載のエマルジョン型フェノール樹脂組成物。
  8. 前記ヘキサメチレンテトラミンの含有量は、当該エマルジョン型フェノール樹脂組成物の固形分全体に対して、1質量%以上20質量%以下である、請求項7に記載のエマルジョン型フェノール樹脂組成物。
  9. 前記フェノール樹脂粒子は、重量平均分子量が100以上15,000以下のノボラック型フェノール樹脂またはレゾール型フェノール樹脂からなる、請求項1に記載のエマルジョン型フェノール樹脂組成物。
  10. 前記水溶性レゾール型フェノール樹脂の重量平均分子量は、100以上2,000以下である、請求項1に記載のエマルジョン型フェノール樹脂組成物。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載のエマルジョン型フェノール樹脂組成物からなる、接着剤。
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