JP2005154480A - ノボラック型フェノール樹脂の製造方法 - Google Patents

ノボラック型フェノール樹脂の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005154480A
JP2005154480A JP2003391550A JP2003391550A JP2005154480A JP 2005154480 A JP2005154480 A JP 2005154480A JP 2003391550 A JP2003391550 A JP 2003391550A JP 2003391550 A JP2003391550 A JP 2003391550A JP 2005154480 A JP2005154480 A JP 2005154480A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phenols
phenol resin
type phenol
reaction
molecular weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003391550A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshikazu Kobayashi
義和 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Bakelite Co Ltd filed Critical Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority to JP2003391550A priority Critical patent/JP2005154480A/ja
Publication of JP2005154480A publication Critical patent/JP2005154480A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Phenolic Resins Or Amino Resins (AREA)

Abstract

【課題】 未反応フェノール類の含有量が少なく、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を製造する方法を提供する。
【解決手段】 フェノール類のメチロール化合物とフェノール類とを、リン酸類を触媒として用いて反応させることを特徴とする、ノボラック型フェノール樹脂の製造方法であり、上記フェノール類1モルに対して0.2モル以上のリン酸類を用いることが好ましく、また、上記リン酸類は、リン酸であることが好ましい。また、得られたノボラック型フェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量が5重量%以下であり、分子量分布の分散度が1.1〜2.0であることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ノボラック型フェノール樹脂の製造方法に関するものである。
一般にノボラック型フェノール樹脂は、成形品、積層品、シェルモールド、摩擦材、砥石、感光剤、感熱紙、感圧紙、封止材用エポキシ樹脂の原料などに使用される。
しかし、従来のノボラック型フェノール樹脂は分子量分布が広いため、特に、高密度、高性能、高信頼性を求められる電気、電子機器分野に使用される場合においては、2核体以下の低分子量成分の含有量が少なく、かつ、高分子量成分の含有量が少ない、すなわち分子量分布の狭いノボラック型フェノール樹脂が望まれている。
ノボラック型フェノール樹脂を硬化剤として用いた場合の分子量と硬化物の耐熱性については澄ら、中村らの報告があり、ノボラック型フェノール樹脂の平均分子量が大きくなるほど、また低分子量成分の含有量が少なくなるほど硬化物の耐熱性は向上する。また、数平均分子量が同じ場合は、分子量分布の分散度が小さいほど耐熱性は高くなる(例えば、非特許文献1参照。)。
一般に、分子量の増加は作業性の悪化を招き好ましくない。したがって、上記用途に使用する場合には、2核体以下の低分子量成分と高分子量成分との含有量が少ないノボラック型フェノール樹脂、すなわち、低溶融粘度であり、かつ分子量分布の狭いノボラック型フェノール樹脂が求められる。
分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を合成する方法として、2段階の反応工程を経由して合成する方法がある。これは最初の工程でフェノール類をレゾール樹脂化した後、次の工程でこれらにフェノール類を縮重合させるものである。(例えば、特許文献1〜4参照。)。
しかしながら、これらの方法はいずれも、2段目のノボラック樹脂化反応の際には、少量の塩酸、硫酸等の無機酸、蓚酸、パラトルエンスルホン酸、アジピン酸等の有機酸を使用している。これらの酸性触媒を用い、公知の方法で反応させた場合は、通常のノボラック型フェノール樹脂の合成と同様に縮重合が進行するので、充分に分子量分布の狭いノボラック型フェノール樹脂を得ることが難しかった。
特開平01−095118号公報 特開平03−047826号公報 特開平04−225012号公報 特開平04−264118号公報 「接着の化学」,vol.20,No.3(2000)
本発明は、未反応フェノール類の含有量が少なく、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を製造する方法を提供するものである。
このような目的は、下記の本発明(1)〜(5)により達成される。
(1)フェノール類のメチロール化合物とフェノール類とを、リン酸類を触媒として用いて反応させることを特徴とする、ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(2)上記フェノール類1モルに対して、上記リン酸類0.2モル以上を用いる上記(1
)に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(3)上記リン酸類は、リン酸である上記(1)又は(2)に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(4)上記ノボラック型フェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量が5重量%以下である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(5)上記ノボラック型フェノール樹脂は、分子量分布の分散度が1.1〜2.0である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
本発明は、フェノール類のメチロール化合物とフェノール類とを、リン酸類を触媒として用いて反応させることを特徴とする、ノボラック型フェノール樹脂の製造方法であり、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を得ることができる。
本発明により得られたノボラック型フェノール樹脂は、分子量の大きさに対して溶液粘度あるいは溶融粘度が低く、取り扱い性に優れたものである。そして、例えばこの樹脂を硬化剤として用いた場合、硬化物の耐熱性を向上させることができるものである。
以下に、本発明のノボラック型フェノール樹脂の製造方法について説明する。
本発明のノボラック型フェノール樹脂の製造方法(以下、単に「製造方法」ということがある)は、フェノール類のメチロール化合物とフェノール類とを、リン酸類を触媒として用いて反応させることを特徴とする。
本発明の製造方法において用いられるフェノール類のメチロール化合物(以下、単に「メチロール化合物」ということがある)としては特に限定されないが、フェノール類をホルムアルデヒド類によりメチロール化したもので、分子内に少なくとも1個以上メチロール基を有するものを用いることができる。
ここで用いられるフェノール類としては特に限定されないが、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール、p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール、p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体、および1−ナフトール、2−ナフトール等の1価の多環フェノール類、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類などが挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
上記メチロール化合物の製造方法としては特に限定されないが、例えば、上記フェノール類とホルムアルデヒド類とを、アルカリ性触媒を用いて合成する方法が挙げられる。
ホルムアルデヒド類としては例えば、ホルマリン、パラホルムアルデヒドなどを用いることができる。
このとき、フェノール類とホルムアルデヒド類との反応モル比は特に限定されないが、フェノール類1モルに対し、ホルムアルデヒド類0.8〜3.5モルとすることが好まし
く、さらに好ましくは1.0〜3.0モルである。
ホルムアルデヒド類のモル数が上記下限値より少ないと、得られるメチロール化合物中に含有される未反応フェノール類が多くなり、これを原料にノボラック型フェノール樹脂を合成しても未反応物が多くなり、効率が低下することがある。また、上記上限値を越えると、反応条件によっては部分的にゲル化物を生成したり、ゲル化したりすることがある。
上記反応時に用いられるアルカリ性触媒としては特に限定されないが、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、トリエチルアミンなどの第3級アミン、アンモニア水、ヘキサメチレンテトラミン、炭酸ナトリウム、あるいは、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどアルカリ土類金属の酸化物及び水酸化物などを用いることができる。
アルカリ性触媒の添加量は特に限定されないが、フェノール類1モルに対し、0.001〜1モルが好ましく、さらに好ましくは0.005〜0.5モルである。
アルカリ性触媒の添加量が上記下限値より少ないと触媒としての効果が充分に現れないことがある。また、上記上限値より多く用いることはできるが、触媒としての効果が変わらなくなるので経済的でないことがある。
上記反応時の温度は特に限定されないが、30〜110℃が好ましく、さらに好ましくは60〜100℃である。反応温度が上記下限値より低いと、反応が充分進行しないことがあり、経済的に不利である。また、上記上限値より高温では脱水縮合を抑えることが難しいため、分子量分布が狭いメチロール化合物を得られず、このあとフェノール類を付加させても分子量分布が広くなってしまう。
本発明の製造方法で用いられるメチロール化合物は、上記方法以外にも、例えば、クロロメチル化反応によって合成することもできる。この方法は、過剰のホルムアルデヒド類を含む冷溶液を塩化水素で飽和させたものに、徐々にフェノール類を加えることでメチロール化合物を得るもので、副生成物の生成を抑えることができる。
次に、上記で得られたメチロール化合物とフェノール類との反応について説明する。
本発明の製造方法においては、メチロール化合物とフェノール類との反応において、リン酸類を触媒として用いることを特徴とする。
上記リン酸類としては、水に溶解してリン酸類水溶液となりうるリン酸系化合物を用いることができ、特に限定されないが、例えば、リン酸(オルトリン酸)、二リン酸、三リン酸などの直鎖状ポリリン酸、環状ポリリン酸、五酸化二リン、亜リン酸、次亜リン酸などのほか、各種リン酸エステル化合物が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
これらのリン酸類の中でも、リン酸が好ましい。リン酸は濃度調節を簡易に行うことができ、また、低コストで入手することができる。
リン酸類水溶液中のリン酸類の濃度としては特に限定されないが、20〜99重量%であることが好ましく、さらに好ましくは40〜99重量%である。リン酸類水溶液中のリン酸類の濃度を上記下限値以上とすることにより、メチロール化合物とフェノール類との反応を効率的に進行させることができる。
ここで用いられるリン酸類の量は特に限定されないが、フェノール類1モルに対して、0.2モル以上であることが好ましい。これにより、メチロール化合物とフェノール類と
を、リン酸類を用いて反応させる系において、メチロール化合物やフェノール類を主成分とする有機相と、リン酸類水溶液からなる水相との分配を安定させることができる。
このリン酸類の量は、フェノール類1モルに対して、0.3〜1.0モルであることがさらに好ましく、0.4〜0.9モルであることが特に好ましい。これにより、分子量分布が狭く、未反応フェノール類の含有量が少ないノボラック型フェノール樹脂を効率的に得ることができる。
このリン酸類の量を多くすると、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いフェノール樹脂を高収率で得るという効果は大きくなる傾向があるが、フェノール類1モルに対して、1.0モルを越える量を用いても、この効果が実質的に変わらなくなるので経済的でないことがある。また、0.2モル未満では、有機相と水相とを安定して分配するためには水相中のリン酸類濃度が低くなりすぎるので、反応速度が低下するようになる。
また、上記リン酸類とともに、通常、ノボラック型フェノール樹脂の製造で使用する酸触媒を併用することもできる。このような酸触媒としては例えば、シュウ酸、硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。
本発明の製造方法において、メチロール化合物とフェノール類とを、リン酸類を用いて反応させる際の反応系中の水分含有率としては特に限定されないが、1〜40重量%とすることが好ましい。さらに好ましくは1〜30重量%である。
ここで、反応系中の水分含有率とは、反応系内に存在するメチロール化合物、フェノール類、リン酸類、ノボラック型フェノール樹脂などの合計量に対する、反応系内に存在する水分の合計量の重量比率を指す。反応系内に存在する水分としては、リン酸類水溶液の水分など、添加するものに由来する水分のほか、反応時に発生する縮合水がある。
反応系中の水分含有率は、仕込み原料中の水分量と反応で生成する縮合水量との合計を反応系中の水分量とし、これを仕込み全量で除することで算出することができる。また、水を蒸留して取り除きながら反応させる場合、上記仕込み原料中の水分量と反応で生成する縮合水量との合計量から、溜去した水分量を減じて反応系中の水分量とし、同様に算出することができる。
この水分含有率を、好ましくは上記の範囲内で反応を行うことにより、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いフェノール樹脂を高収率で得ることができる。
反応系中の水分含有率を上記下限値以上とすることにより、リン酸類が高粘度化もしくは固結するのを抑えることができる。また、上記上限値以下とすることにより、反応速度の低下を抑制することができるので、メチロール化合物とフェノール類との反応を効率的に進行させることができる。
本発明の製造方法において、メチロール化合物とフェノール類とを、リン酸類を用いて反応させる際の反応温度としては特に限定されないが、40〜150℃であることが好ましい。さらに好ましくは90〜140℃である。
反応温度を上記下限値以上とすることにより、メチロール化合物とフェノール類との反応を促進させることができ、未反応フェノール類の含有量を低減させることができる。また、リン酸類水溶液を好ましい粘度にすることができ、触媒作用が低下するのを避けることができる。一方、上記上限値以下とすることにより、ノボラック型フェノール樹脂の分解を抑制することができる。
本発明の製造方法における反応形態としては特に限定されないが、メチロール化合物とフェノール類とを、リン酸類を用いて常圧下で反応させる場合、例えば、水分含有率が20〜40重量%の範囲における還流温度は、ほぼ102〜110℃になり、温度及び水分のコントロール上、常圧反応は好ましい条件である。
ここで、メチロール化合物を逐次添加して、生成する縮合水を蒸留等で取り除きながら行う反応方法は、反応系中の水分量が一定となり、好ましい反応条件で実施することができる。ただし、未反応のフェノール類が水分と一緒に取り除かれやすくなる場合は、未反応フェノール類が一定量以下となるまで、未反応フェノール類が蒸留されない条件で反応を行い、次いで、蒸留により水分を取り除いた後、あるいは取り除きながら反応を続けることが好ましい。
このほかの反応方法としては、例えば、反応溶媒としてメタノール、アセトン等の有機溶剤を使用する方法、ブタノール、プロパノールなどの非水系溶媒を使用した溶剤還流脱水反応、密閉装置あるいは連続式混合装置などを用いて高温・高圧で反応させる方法、などが挙げられる。
なお、反応時には、必要に応じて消泡剤、界面活性剤等を反応安定化のために使用することができる。また、反応時の攪拌速度は特に限定されないが、速い方が好ましい。
フェノール樹脂の合成終了後には、必要により、水や有機溶剤、さらには未反応フェノール類を除去するため、常圧蒸留や、減圧蒸留、水蒸気蒸留等を行うことも可能である。
本発明の製造方法において、メチロール化合物とフェノール類との反応モル比としては特に限定されないが、メチロール化合物中のメチロール基1モルに対し、フェノール類0.5〜3.0モルとすることが好ましく、さらに好ましくは0.75〜2.5モルである。
フェノール類が上記下限値より少ないと、フェノール類が不足して、メチロール化合物間での脱水縮合反応が起こり、分子量分布が広くなりやすい。一方、上記上限値を越えると未反応フェノール類が過剰に残るようになる。また、経済的にも不利である。
本発明の製造方法において、メチロール化合物とフェノール類とを反応させるときは、反応の開始時において、メチロール化合物とフェノール類とを全量一括して仕込み触媒を添加して反応させてもよく、また、反応初期の発熱を抑えるため、フェノール類と触媒を仕込んでからメチロール化合物を逐次添加して反応させてもよい。
本発明の製造方法においては特に限定されないが、以上に説明した方法によりノボラック型フェノール樹脂を合成した後、反応系の水洗を行い、樹脂中に含有されるリン酸類の濃度を3.0重量%以下にすることが好ましい。さらに好ましくは0.1重量%以下である。
これにより、水洗後、常圧蒸留もしくは減圧蒸留を行うとき、ノボラック型フェノール樹脂の分解を抑制することができる。
ここで水洗を行う方法としては特に限定されないが、例えば、ノボラック型フェノール樹脂を含む有機相と、リン酸類を含む水相とを、遠心分離により分離する。次いで、得られた有機相を、純水やイオン交換水で水洗を行うことにより、フェノール樹脂中に含有されるリン酸類の濃度を3.0重量%以下とすることができる。また、この水洗を複数回数実施することにより、リン酸類の濃度を0.1重量%以下とすることができる。
また、さらに、リン酸類の濃度が上記上限値以下になるまで水洗を行った後、反応系中に残留しているリン酸類1当量に対して、アルカリ性物質0.8〜1.5当量を用いて中和することもできる。
これにより、リン酸類の有する触媒活性を失活させることができるので、この後の工程で、高温で脱水反応を行う場合でも、ノボラック型フェノール樹脂の分解を抑制すること
ができる。
ここで用いられるアルカリ性物質としては特に限定されないが、例えば、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミンなどを用いることができる。アルカリ性物質の形態としては特に限定されないが、水溶液の形態で用いることが好ましい。
本発明の製造方法において、メチロール化合物との反応に用いられるフェノール類としては特に限定されないが、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール、p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール、p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体、および1−ナフトール、2−ナフトール等の1価の多環フェノール類、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
本発明の製造方法により得られたフェノール樹脂中の未反応フェノール類の含有量としては特に限定されないが、5重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1重量%以下である。
本発明の製造方法においては、メチロール化合物とフェノール類とを、リン酸類を用い、メチロール化合物とフェノール類とを主成分とする有機相と、リン酸類水溶液からなる水相との間で液−液不均一反応を行うことにより、未反応フェノール類の含有量を上記上限値以下とすることができる。また、必要に応じて、未反応フェノール類を除去するために、常圧蒸留や、減圧蒸留、水蒸気蒸留等を併せて行うこともできる。
また、フェノール樹脂の分子量分布の分散度(分散度=重量平均分子量/数平均分子量)としては特に限定されないが、1.1〜2.0であることが好ましい。さらに好ましくは1.2〜1.8である。特に好ましくは1.2〜1.5である。
本発明の製造方法においては、上記液−液不均一反応を行うことにより、未反応フェノール類の含有量を少なくするとともに、高分子量成分の増大を抑えることができる。これにより、分子量分布の分散度を上記範囲内とすることができる。
なお、本発明の製造方法において、未反応フェノール類の含有量は、JIS K 0114に準拠し、ガスクロマトグラフィー法を用い、2,5−キシレノールを内部標準物質として内部標準法で測定した値である。
また、重量平均分子量及び数平均分子量は、液体クロマトグラフィー法を用いて測定したものである。ここで液体クロマトグラフィー法は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いたものであり、テトラヒドロフランを溶出溶媒として使用し、流量1.0ml/分、カラム温度40℃の条件で、示差屈折計を検出器として測定し、分子量は標準ポリスチレンにより換算した。装置は、
1)本体:TOSOH社製・「HLC−8120」
2)分析用カラム:TOSOH社製・「G1000HXL」1本、「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、
を使用した。
本発明の製造方法において、メチロール化合物とフェノール類とを、リン酸類を用いて反応させることにより、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いフェノール樹脂を高収率で得ることができる理由は、以下のように考えられる。
リン酸類は非常に水溶性が高い化合物である。また、メチロール化合物は分子内のメチロール基により、わずかではあるもののフェノール類より高い水溶性を有する。一方、フェノール類は水への溶解性が小さく、フェノール樹脂は分子量の増大とともに溶解性が更に小さくなる性質を有している。
このため反応開始時には、触媒であるリン酸類を含んだ水相と、メチロール化合物およびフェノール類からなる触媒がほとんど存在しない有機相とに相分離した状態となる。そして、水相にはメチロール化合物とフェノール類がわずかに溶出し、水相中で両者が脱水縮合反応し、フェノール樹脂が生成する。生成したフェノール樹脂は水溶性が低下するので、フェノール類およびメチロール化合物からなる有機相に抽出されるが、触媒が微量しか存在しない有機相では反応性が著しく低下するため、実質的に高分子量化しない。このような、メチロール化合物とフェノール類との水相への溶出と、生成物であるノボラック型フェノール樹脂の有機相中への抽出との繰り返しにより、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いフェノール樹脂を高収率に製造することができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ここで記載されている「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。
1.メチロール化合物の製造
(1)製造例1
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、パラクレゾール800部(7.3モル)、37%ホルムアルデヒド水溶液1201部(ホルムアルデヒド 14.8モル)、5
0%水酸化ナトリウム水溶液を296部(3.7モル)を仕込み、50℃で3時間還流反応した後、25%硫酸水溶液726部を30分間かけて添加し、生成物の中和及び結晶化を行った。
その後、500部の温水を添加し、30分間攪拌した後、ろ過した。さらに、ろ紙上に残った結晶をビーカーに移し、500部の温水を加え、5分間ガラス棒で攪拌した後、再度ろ過し、得られた結晶を80℃、5000Paで10時間、減圧乾燥し、メチロール化合物A(メチロール基1モルあたりメチロール化合物A77部)1157部を得た。
(2)製造例2
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、フェノール800部(8.5モル)、37%ホルムアルデヒド水溶液2208部(ホルムアルデヒド27.2モル)を仕込み、次いで50%水酸化ナトリウム水溶液296部(3.7モル)をフラスコの内温が50℃を越えないように逐次添加し、さらに50℃で5時間還流反応した後、25%硫酸水溶液726部を30分間かけて添加し、生成物の中和及び結晶化を行った。
その後、500部の温水を添加し、30分間攪拌した後、ろ過した。さらに、ろ紙上に残った結晶をビーカーに移し、500部の温水を加え、5分間ガラス棒で攪拌した後、再度ろ過し、得られた結晶を80℃、5000Paで10時間、減圧乾燥し、メチロール化合物B(メチロール基1モルあたりメチロール化合物B65部)1575部を得た。
2.ノボラック型フェノール樹脂の製造
(1)実施例1
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、上記製造例1で得られたメチロール化
合物A500部(メチロール基6.5モル)、フェノール580部(6.2モル)、85%リン酸水溶液580部(フェノール類1モルに対して0.82モル)を仕込み、90℃で4時間還流反応した後、500部の温水を添加し、水相を除去し、触媒を除去した。さらに、500部の温水を添加した後、水相を除去する水洗工程を2回行った後、常圧蒸留を行い、130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、ノボラック型フェノール樹脂A938部を得た。
(2)実施例2
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、上記製造例1で得られたメチロール化合物A500部(メチロール基6.5モル)、フェノール1500部(16.0モル)、85%リン酸水溶液1500部(フェノール類1モルに対して0.82モル)を仕込み、90℃で4時間還流反応した後、500部の温水を添加し、水相を除去し、触媒を除去した。さらに、500部の温水を添加した後、水相を除去する水洗工程を3回行った後、150℃まで常圧蒸留を行い、さらに、250℃まで500Paで減圧蒸留を行った。ノボラック型フェノール樹脂B961部を得た。
(3)実施例3
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、上記製造例1で得られたメチロール化合物A500部(メチロール基6.5モル)、フェノール580部(6.2モル)、85%リン酸水溶液250部(フェノール類1モルに対して0.35モル)を仕込み、90℃で4時間還流反応した後、500部の温水を添加し、水相を除去し、触媒を除去した。さらに、500部の温水を添加した後、水相を除去する水洗工程を2回行った後、常圧蒸留を行い、130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、ノボラック型フェノール樹脂C933部を得た。
(4)実施例4
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、上記製造例2で得られたメチロール化合物B500部(メチロール基7.7モル)、フェノール705部(7.5モル)、85%リン酸水溶液705部(フェノール類1モルに対して0.82モル)を仕込み、90℃で4時間還流反応した後、500部の温水を添加し、水相を除去し、触媒を除去した。さらに、500部の温水を添加した後、水相を除去する水洗工程を2回行った後、常圧蒸留を行い、150℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って190℃まで昇温し、ノボラック型フェノール樹脂D1144部を得た。
(5)比較例1
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、メチロール化合物A500部(メチロール基6.5モル)、フェノール580部(6.2モル)、蓚酸5.8部を仕込み、90℃で4時間還流反応した後、常圧蒸留を行い、130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、ノボラック型フェノール樹脂E912部を得た。
実施例および比較例で得られたノボラック型フェノール樹脂について特性評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2005154480
3.評価方法
(1)軟化点:JIS K 2531に準拠して測定した。
(2)50%エタノール溶液の動粘度:50%のエタノール溶液を25℃でキャノンフェンスケを用いて測定した。
(3)溶融粘度:ICI社製コーンプレート溶融粘度計を用いて125℃で測定した。
(4)数平均分子量及び重量平均分子量:液体クロマトグラフィーで測定した。
液体クロマトグラフィー:テトラヒドロフランを溶出溶媒として使用し、流量1.0ml/分、カラム温度40℃の条件で、示差屈折計を検出器として測定した。分子量は標準ポリスチレンにより換算した。装置は、
1)本体:TOSOH社製・「HLC−8120」
2)分析用カラム:TOSOH社製・「G1000HXL」1本、「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、
を使用した。
(5)未反応フェノール量:JIS K 0114に準拠し、ガスクロマトグラフィー法を用い、2,5−キシレノールを内部標準物質として内部標準法で測定した。
(6)2核体成分量、3核体成分量:上記液体クロマトグラフィーで測定したチャートの面積比から求めた。
実施例1〜4はいずれも、フェノール類のメチロール化合物とフェノール類とを、リン酸類を触媒として用いて反応させる本発明の製造方法により得られたノボラック型フェノール樹脂であり、蓚酸触媒を用いる方法で製造された比較例1のノボラック型フェノール樹脂と比べて、未反応フェノール類の含有量が少なく、分子量分布の分散度がより小さいノボラック型フェノール樹脂を得ることができた。また、50%エタノール溶液粘度、溶融粘度についても、より低いものとすることができた。
本発明は、フェノール類のメチロール化合物とフェノール類とを、リン酸類を触媒として用いて反応させることを特徴とする、ノボラック型フェノール樹脂の製造方法であり、未反応フェノール類の含有量が少なく、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を得ることができる。
本発明の製造方法により得られたノボラック型フェノール樹脂は、例えば、成形品、積層品、シェルモールド、摩擦材、砥石、感光剤、感熱紙、感圧紙、エポキシ樹脂の原料、エポキシ樹脂の硬化剤などに有用に使用できるものである。

Claims (5)

  1. フェノール類のメチロール化合物とフェノール類とを、リン酸類を触媒として用いて反応させることを特徴とする、ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  2. 前記フェノール類1モルに対して、前記リン酸類0.2モル以上を用いる請求項1に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  3. 前記リン酸類は、リン酸である請求項1又は2に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  4. 前記ノボラック型フェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量が5重量%以下である請求項1ないし3のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  5. 前記ノボラック型フェノール樹脂は、分子量分布の分散度が1.1〜2.0である請求項1ないし4のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
JP2003391550A 2003-11-21 2003-11-21 ノボラック型フェノール樹脂の製造方法 Pending JP2005154480A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003391550A JP2005154480A (ja) 2003-11-21 2003-11-21 ノボラック型フェノール樹脂の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003391550A JP2005154480A (ja) 2003-11-21 2003-11-21 ノボラック型フェノール樹脂の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005154480A true JP2005154480A (ja) 2005-06-16

Family

ID=34718533

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003391550A Pending JP2005154480A (ja) 2003-11-21 2003-11-21 ノボラック型フェノール樹脂の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005154480A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008001882A (ja) * 2006-06-21 2008-01-10 Chang Chun Plastics Co Ltd 新規なフェノール・アルデヒド樹脂およびその製造方法ならびにその用途
JP2008169285A (ja) * 2007-01-11 2008-07-24 Sumitomo Bakelite Co Ltd アルキルベンゼン変性ノボラック型フェノール樹脂、シェルモールド用ノボラック型フェノール樹脂及びレジンコーテッドサンド。
JP2012144612A (ja) * 2011-01-11 2012-08-02 Sumitomo Bakelite Co Ltd ゴム配合用樹脂補強剤

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008001882A (ja) * 2006-06-21 2008-01-10 Chang Chun Plastics Co Ltd 新規なフェノール・アルデヒド樹脂およびその製造方法ならびにその用途
JP4551387B2 (ja) * 2006-06-21 2010-09-29 長春人造樹脂廠股▲分▼有限公司 新規なフェノール・アルデヒド樹脂およびその製造方法ならびにその用途
JP2008169285A (ja) * 2007-01-11 2008-07-24 Sumitomo Bakelite Co Ltd アルキルベンゼン変性ノボラック型フェノール樹脂、シェルモールド用ノボラック型フェノール樹脂及びレジンコーテッドサンド。
JP2012144612A (ja) * 2011-01-11 2012-08-02 Sumitomo Bakelite Co Ltd ゴム配合用樹脂補強剤

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TW201033255A (en) Novolac resin and method for producing the same
US9862823B2 (en) Resin composition for wet friction material, phenolic resin for wet friction material and wet friction material
WO2011118147A1 (ja) 固形レゾール型フェノール樹脂およびその製造方法
TWI466965B (zh) 酚醛清漆樹脂之製造方法及酚醛清漆樹脂
JP2005154480A (ja) ノボラック型フェノール樹脂の製造方法
JP2018150464A (ja) フェノール樹脂の製造方法
JP2007153977A (ja) 炭化物用硬化フェノール樹脂粒子及びその製造方法並びにそれを用いた炭化物の製造方法
JP2006273899A (ja) フェノール樹脂とその製造方法
JP3755629B2 (ja) フェノールアラルキル樹脂の製造方法
JP4191019B2 (ja) フェノールアラルキル樹脂の製造方法
JP2005206706A (ja) エポキシ樹脂の製造方法
JP2005179383A (ja) アラルキル変性フェノール樹脂の製造方法
JP2005179382A (ja) ノボラック型フェノール樹脂の製造方法
JP2005179448A (ja) 芳香族炭化水素フェノール樹脂の製造方法
JP2005068395A (ja) ノボラック型フェノール樹脂の製造方法
JP2005200489A (ja) 熱可塑性樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法
JP2005075938A (ja) ハイオルソノボラック型フェノール樹脂の製造方法
JP4101143B2 (ja) ノボラック型フェノール樹脂の製造方法
JP2006096891A (ja) 熱硬化性樹脂の製造方法
JP2002302525A (ja) ノボラック型フェノール樹脂の製造方法
JP2005089662A (ja) レゾール型フェノール樹脂の製造方法
JP2005194354A (ja) 固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法
JP2005075936A (ja) ノボラック型フェノール樹脂およびその製造方法
JP2005232389A (ja) 硬化性樹脂組成物
JP2005232199A (ja) 耐火物結合剤用ノボラック型フェノール樹脂