JP3650552B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子およびこれを用いたパネル - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子およびこれを用いたパネル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子およびこれを用いたパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という)は、自発光型の平面型表示素子として、その用途が有望視されている。有機EL素子は、無機EL素子とは異なり、交流で駆動し、かつ、高電圧の印加が必要といった制約がなく、また、有機化合物の多様性により、多色化が容易であると考えられる。このため、カラーディスプレーなどへの応用が期待され、盛んに研究が行われている。
【0003】
有機EL素子をカラーディスプレーに適用する場合、光3原色である赤色、緑色、青色の3色の発光を得る必要がある。このうち緑色発光は多くの例が報告されており、例えば、緑色素子としては、トリス(8−キノリノール)アルミニウムを用いた素子(Applied Physics Letters 51、 P913(1987))、ジアリールアミン誘導体を用いた素子(特開平8−53397号公報)などが知られている。
【0004】
赤色発光の得られる有機EL素子については、たとえば特許第2795932号公報では青色発光を蛍光色素層において波長変換するようにして有機EL素子が得られており、また特開平7−272854号公報、特開平7−288184号公報又は特開平8−286033号公報等では緑色や青色の発光が得られる発光層に赤色蛍光色素をドーピングした赤色発光の有機EL素子の発明が記載されている。
【0005】
青色発光素子についても、スチルベン系化合物を用いた素子(特開平5−295359号)、トリアリールアミン誘導体を用いた素子(特開平7−53955号)、テトラアリールジアミン誘導体を用いた素子(特開平8−48656号)、スチリル化ビフェニル化合物を用いた素子(特開平6−132080号)など、数多くの報告例が知られている。
【0006】
しかしながら青色発光材料は、赤、緑発光材料と異なり発光材料自体のエネルギーギャップ(HOMO−LUMO準位間のエネルギー差)が大きく、通常、有機エレクトロルミネッセンス素子に用いられるトリス(8―キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)マグネシウム等の8−ヒドロキシキノリン金属錯体、オキサジアゾール誘導体等の電子輸送層より、イオン化ポテンシャルが大きくなっている。このため、図4に示すように、電子輸送層における正孔ブロック性が乏しく、正孔が通り抜けてしまい、正孔−電子再結合効率の低下をまねいていると考えられる。この結果、EL発光効率の低下、得られる最高輝度の減少化、また発光サイトが変化する等の問題が発生していた。
【0007】
一方、有機EL素子は、電界励起型発光の無機EL素子と異なり、陽極から正孔キャリアを、陰極から電子キャリアを注入し、これらキャリアが再結合することにより発光するキャリア注入型素子である。このような有機EL素子の高性能化には、発光層のみからなる単層型素子よりも発光層と電荷輸送層を組み合わせた積層型素子の方が望ましいとされている。これは、積層型素子においては発光材料と電荷輸送材料の適当な組み合わせにより、陽極からの正孔注入あるいは陰極からの電子注入の際のエネルギー障壁が低減され、電荷の注入が容易になるとともに、電荷輸送層が発光層から正孔または電子が通り抜けることを抑えるブロッキング層として働く。これによって、発光層中の正孔と電子の数的バランスが良くなり、その結果、再結合が有効に行われてEL発光効率が向上すると考えられる。従って、高効率の有機EL素子を作製するには、発光層と電荷輸送層界面の正孔や電子のブロッキング性の向上が課題となる。
【0008】
従来、正孔輸送性を有する赤色または緑色発光層の場合、発光材料のエネルギーギャップが比較的小さいため、発光材料よりイオン化ポテンシャルの大きい電子輸送材料は多く存在している。しかし、前記したように、従来の青色有機EL素子では、青色発光材料はエネルギーギャップが大きく、しかも成膜性、膜質安定性の良い電子輸送材料の選択は困難であった。図4に示すように、たとえば電子輸送材料または緑色発光材料として一般的に広く用いられているものとしてトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)が挙げられる。
【0009】
この材料は、キャリア輸送性、成膜性はよいがイオン化ポテンシャルが5.67eVであり、正孔輸送性青色発光材料が5.7〜5.8eVであることから、これと比しても小さい値であるので、正孔輸送性青色発光材料に対しては正孔ブロッキング性が小さい。このため、正孔が抜けてしまい、再結合効率、EL発光効率が小さくなるという欠点を有していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記有機EL青色素子の問題を改善することを目的とし、さらに詳しくは、C.I.E色度図(1931)で、X,Y座標が(0.25,0.25)以下のBLUE、GREENISH BLUE、PURPLISH BLUE領域の青色素子の高輝度化、高効率化を図ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の発明は、異極電極間に、発光層、電子注入層および電子輸送層から選択される少なくとも2層の有機化合物薄膜を有し、発光層が青色に発光する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記電子注入層または電子輸送層のイオン化ポテンシャルが発光層のイオン化ポテンシャルより大きく、前記電子注入層、または前記電子輸送層が、下記一般式(1)で表される化合物を含有し、前記電子輸送層のイオン化ポテンシャルが5.9eV以上であり、ガリウムの金属錯体の少なくとも1種を含み、前記発光層のイオン化ポテンシャルが5.70eV以下であり、下記一般式(2)で表される化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子である
【0012】
【化4】
Figure 0003650552
【0013】
(式中Mは金属原子を表し、R 1 〜R 6 はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基から選択される1種であり、同一でも異なっていてもよく、Lはハロゲン基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基から選択される基を有する配位子を表し、nは1または2を表し、nが2のとき、R 1 〜R 6 の同一記号で表される基は、同一でも異なっていてもよい。)。
【0014】
【化5】
Figure 0003650552
【0015】
(式中R 1 〜R 4 はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、シアノ基を表し、nが複数のとき、異なる環のR 1 〜R 4 で表される同一記号の基は、同一でも異なっていてもよく、R 5 およびR 6 はそれぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリール基を表し、nは3〜6の整数を表す。)
【0018】
更に本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の発明は発光層が、正孔輸送性を有することを特徴とする。
【0028】
さらに本発明の青色有機エレクトロルミネッセンス素子の発明は前記電子輸送層のガラス転移温度が80℃以上であることを特徴とする。
【0029】
さらに本発明に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有するパネルの発明は、前記本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明で用いたガリウム金属錯体は、表6および図5に示すように、イオン化ポテンシャルが5.9〜6.1eVと大きくなり、またキャリア輸送性、成膜性および膜の熱的安定性も非常によいことがわかる。本発明に係る有機EL素子に使用される材料および有機EL素子構造とすることにより、陽極から注入された正孔が、電子輸送層において確実にブロックされ、かつ陰極より注入された電子が、発光層でブロックされることにより、キャリアの再結合効率が向上する。このため、青色発光素子においても本発明に係る有機EL発光素子における発光効率の低下が無く、本発明に係る有機EL素子の最高輝度も、従来のAlq3を用いた有機EL素子の場合と比較して、大きくすることができる。
【0031】
また、本発明に係る有機EL素子においては、正孔の通り抜けがなく、電力効率も従来のものと比較して格段に良いため、低消費電力を可能とし、さらに本発明に係る有機EL素子では低負荷条件で駆動できるため、素子の寿命も長くなる。さらに、電子輸送層のイオン化ポテンシャルを5.9eV以上とすることにより、青色発光層のエネルギーギャップを大きくすることが可能となった。従って本発明に係る有機EL素子においては、発光波長の短波長化が可能となる。これにより、従来の材料では困難であった青色色度の良い有機EL素子の作成、およびこのような有機EL素子と、他の従来の有機EL素子とを組合わせて用いることにより、各種色度を生成することが可能となる。
【0032】
本発明に係る有機EL素子は、陰極と陽極の間に、有機薄膜層を2層以上積層した構造を有する構造となっており、その例として、以下の3つの組合わせが挙げられる。
(1)陽極、発光層、電子輸送層、陰極( 図1参照)
(2)陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極(図2参照)
(3)陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極(図3参照)
本発明に係る有機EL素子は、上記したいずれかの構成を有している。本発明に係る有機EL素子に使用される陽極は、正孔を正孔輸送層に注入する役割を担うものであり、4.5eV以上のイオン化ポテンシャル、仕事関数を有することが効果的である。本発明に用いられる陽極材料の具体例としては、酸化インジウム錫合金(ITO)、酸化錫(NESA)、金、銀、白金、銅等が挙げられる。
【0033】
本発明に係る有機EL素子の正孔注入層を形成する正孔注入材料は特に限定されず、下記(4)の構造式で表される金属のフタロシアニンまたは無金属のフタロシアニンを挙げることができる。
【0034】
【化7】
Figure 0003650552
【0035】
(上記式において、Xは水素、MはCu,VO,TiO,Mg,H2 より選択される少なくとも1種である。)、さらに下記構造式で示されるアリールアミン系化合物
【0036】
【化8】
Figure 0003650552
【0037】
N,N' ―ジフェニルーN,N' ―ビス(α―ナフチル)―1,1' ―ビフェニルー4,4' ―ジアミン(α―NPDと略記)等を挙げることができる。
【0038】
また、本発明の有機EL素子に使用される正孔輸送層を形成するための正孔輸送材料は特に限定されない。このような材料としては、通常正孔輸送材料として使用される化合物であればよく、このような材料に使用可能であれば、いかなる化合物でも使用可能である。このような正孔輸送材料としては、例えば下記構造式(9)で表されるジアミン化合物、
【0039】
【化9】
Figure 0003650552
【0040】
ビス(ジ(p−トリル)アミノフェニル)−1,1−シクロヘキサン、また、N,N' −ジフェニル−N,N' −ビス(3−メチルフェニル)−1,1' −ビフェニル−4、4' −ジアミン、N,N' −ジフェニル−N,N' −ビス(α−ナフチル)−(1,1' −ビフェニル)−4、4' −ジアミン等が挙げられ、さらに、トリアミン系化合物、テトラアミン類化合物およびスターバースト型分子が挙げられる。
【0041】
また、本発明に係る有機EL素子の陰極としては、電子輸送層に電子を効果的に注入するために、仕事関数が陽極よりも小さい材料を好ましく選択することができる。このような陰極材料としては特に限定されないが、具体的には、インジウム、アルミニウム、マグネシウムなどの元素、マグネシウム−インジウム、マグネシウム−アルミニウム、アルミニウム−リチウム、マグネシウム−銀等の合金あるいは前記元素と前記合金との混合金属または合金等が使用できる。
【0042】
電子注入層、または電子輸送層に用いられる材料
本発明に係る有機EL素子に使用される電子注入層、または電子輸送層に用いる材料は、下記一般式(1)を少なくとも一種以上含有する。
【0043】
【化10】
Figure 0003650552
【0044】
このような前記一般式(1)で示される化合物の例としては、具体的には、特開平10−88121号公報に開示されている有機金属錯体等、すなわち以下のものが挙げられる。
【0045】
ビス(2−メチル−8−キノリノール)クロロガリウム(表1中の化合物No116)、ビス(2−メチル−8−キノリノール)メトキシガリウム(表1中の化合物No.101)、ビス(2−メチル−8−キノリノール)エトキシガリウム(表1中の化合物No.102)、ビス(2−メチル−8−キノリノール)(o−クレゾラート)ガリウム(表1中の化合物No.104)、ビス(2−メチル−8−キノリノール)(m−クレゾラート)ガリウム(表1中の化合物No.105)、ビス(2−メチル−8−キノリノール)(p−クレゾラート)ガリウム(表1中の化合物No.106)、ビス(2−メチル−8−キノリノール)(1−フェノラート)ガリウム(式(12)、表1中の化合物No.103)、ビス(2−メチル−8−キノリノール)(o−フェニルフェノラート)ガリウム(表1中の化合物No.115)、ビス(2−メチル−8−キノリノール)(m−フェニルフェノラート)ガリウム(表1中の化合物No.114)、ビス(2−メチル−8−キノリノール)(p−フェニルフェノラート)ガリウム(表1中の化合物No.113)、ビス(2−メチル−8−キノリノール)(1−ナフトラート)ガリウム(表1中の化合物No.111)、ビス(2−メチル−8−キノリノール)(2−ナフトラート)ガリウム(表1中の化合物No.112)等を用いることができる。
【0046】
【表1】
Figure 0003650552
【0047】
【表2】
Figure 0003650552
【0048】
このような材料を単独で、または2種以上組み合わせて用いて、単層、混合層または、多層により、本発明に係る有機EL素子の前記電子注入層、または電子輸送層が形成される。また本発明においては、前記した電子輸送層に用いられる材料の中でも、DSC(示差走査型熱量分析器)により測定したTgが、80℃を超えたものを選択することが好ましく、さらに好ましくは、Tgが85℃以上のものを用いることが好ましい。
【0049】
発光層に用いられる材料
また、本発明の有機EL素子の発光層に用いる材料は、イオン化ポテンシャルが電子輸送層より小さいこと以外は特に限定されず、通常青色発光材料として使用される化合物であれば使用可能であるが、下記一般式(2)〜(3)から選択される一種以上の化合物を含有していることが望ましい。
【0050】
【化11】
Figure 0003650552
【0051】
式(2)中、R1 〜R4 はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、シアノ基を表す。nが複数のとき、異なる環のR1 〜R4 で表される同一記号の基は、同一でも異なっていてもよく、R5 およびR6 はそれぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリール基を表し、nは3〜6の整数を表す。より具体的には、たとえば以下の表2で表される化合物を例示することができる。
【0052】
【表3】
Figure 0003650552
【0053】
【化12】
Figure 0003650552
【0054】
式(3)中、Mは金属原子を表し、R11〜R19はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基から選択される1種の基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、R11〜R14、R15〜R19は互いに結合して飽和あるいは不飽和の環を形成してもよく、Ra はR11〜R19と同様の置換基を有していてもよい基であり、Rb はヘテロ原子であり、RaおよびRb は独立に、または互いに結合してヘテロ環を形成してもよく、nは2または3を表す。またR基は、2価の基、たとえば−O−を表す。このような式(3)で表されるヘテロ原子を複数有する5員環を含有する化合物は、より具体的には、以下の式(3−1)〜(3−3)の化合物が挙げられる。
【0055】
【化13】
Figure 0003650552
【0056】
式(3−1)〜(3−3)中、M、R11〜R19およびnは、式(3)と同様の意味である。このような式(3−1)に示されるベンゾオキサゾ−ル系化合物、式(3−2)で表されるオキサジアゾ−ル系化合物および式(3−3)に示されるイミダゾール系化合物としては、たとえば以下の表3に示すような化合物が挙げられる。この表3で表す化合物は、特に断らない限り式(3−1)〜(3−3)で表される化合物を全て含んでいる。すなわち、表3中のたとえば化合物No.301の化合物において、式(3−1)に相当する化合物は、後述する式(16)の化合物となり、同様に、式(3−2)に相当する化合物は、後述するZn(IMZ)2 に、式(3−3)に相当する化合物は、後述するZn(OXD)2 となる。
【0057】
【表4】
Figure 0003650552
【0058】
また、前記化合物をホスト、下記式(11)〜(13)で示されるアミノ置換ジスチリルアリーレン誘導体、ペリレン誘導体等をゲストとして、ドーピングしてもよい。
【0059】
【化14】
Figure 0003650552
【0060】
一般式(2)で示される化合物の例としては、特公平7−119407号公報、特開平3−231970号公報、特開平8−199162号公報、特開平8−333569号公報、特開平8−333283号公報に開示されている化合物等が挙げられる。このような化合物として例えば、
【0061】
【化15】
Figure 0003650552
【0062】
【化16】
Figure 0003650552
【0063】
さらに、トリス〔(2−フェニル−5−m−フェノキシ)−1,3,4−オキサジアゾール〕アルミニウム(Al(OXD)3 )(式(3−2)で表される表.3の化合物No.305の1つ)等が挙げられる。
【0064】
次に、本発明に係る有機EL素子の形成方法について、説明する。本発明に係る有機EL素子の各層の形成方法は特に限定されない。本発明の有機EL素子に用いる有機薄膜層は、公知の方法で形成することができるが、このような方法としては、たとえば、真空蒸着法、分子線蒸着法あるいは塗布法が挙げられる。前記塗布方法としては、たとえば、溶液あるいは分散液を用いてディッピング法、スピンコーティング法、キャスティング法等によって形成することができる。このような前記方法により、各層を前記構成で示すようにして形成することにより、本発明に係る有機EL素子を形成することができる。
【0065】
このような本発明に係る有機EL素子の各有機層の膜厚は特に制限されないが、一般に、膜厚が薄すぎるとピンホール等の欠陥が生じやすく、逆に、厚すぎると高い印加電圧が必要となり効率が悪くなる。このため、各有機層の膜厚を、たとえば数nm〜1μmの範囲に形成することが好ましい。
【0066】
本発明の一般式(1)で表される電子輸送材料は、たとえばガリウム化合物と、下記式(18)に示す式(1)の配位子残基を有する化合物とを原料として、公知の方法を用いて合成することができる。
【0067】
【化17】
Figure 0003650552
【0068】
前記ガリウム化合物としては、アルキルガリウム、ガリウムアルコキシド、ハロゲン化ガリウム、窒化ガリウム、酸化ガリウム等のイオン性ガリウム化合物が挙げられるが、これに限定されない。また前記一般式(18)の配位子として8−ヒドロキシキノリン、2−メチル−8−ヒドロキシキノリン等のキノリン残基を2配位有することができ、またLの配位子としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素などのハロゲン、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基を含有する残基等が挙げられ、これらを1配位有することができる。このような、本発明に使用される一般式(1)の錯体、前記一般式(18)の配位子および前記Lの配位子等は、極性有機溶媒、たとえばメタノール、エタノールなどのアルコール系溶剤等のイオン性溶媒、あるいは非極性溶媒、たとえばベンゼン、トルエン等の芳香族性溶媒、テトラヒドロフラン等の脂環式溶媒などの非極性溶媒下に反応させて得られる。
【0069】
また本発明に使用される一般式(2)で表される発光材料は、公知の方法で合成することができる。前記同様の溶媒存在下、フェニル基を有するホスホン酸エステルに、塩基を作用させて脱プロトンし、次いでベンゾフェノン等のカルボニル化合物を加えてアルケン化(たとえばWittig反応)する方法、またはホスホン酸エステルに塩基を作用させて脱プロトンし、次いでフェニル基を有するジアルデヒド化合物と反応させてアルケン化(前記同様の反応、たとえばWittig反応)する方法等を挙げることができる。前記した塩基には、アルキルリチウムなどのアルキルアルカリ金属塩、水素化アルミニウムリチウム、水素化ナトリウムなどの水素化アルカリ金属化合物、ナトリウムアミド、苛性ソーダ等を用いて行うことができる。
【0070】
また本発明で使用される前記一般式(3)〜(5)で表される発光材料は、公知の方法で合成することができる。例えば、安息香酸クロライドと安息香酸ヒドラジドをジオキサン存在下に反応させてジアシルヒドラジドとし、脱水還化してオキサジアゾール骨格を形成後、保護基を脱離する。次いで保護基を脱離して得られたオキサジアゾール残基を有する化合物と、亜鉛化合物たとえば酢酸亜鉛とを、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール等の極性溶媒の存在下に、またはn−ヘキサン等の非極性溶媒の存在下で反応させて、オキサジアゾール亜鉛錯体を得る。
【0071】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳説するが、本発明は以下の実施例に限定されて解釈されるものではない。
【0072】
イオン化ポテンシャル
材料のイオン化ポテンシャルは、ガラス基板上に求めようとする各材料を成膜し、理研計器(株)製AC−1を用いて大気圧下、24℃相対湿度40%下で測定した。なお成膜は、後述する成膜と同様の方法を用いた。
Tg(ガラス転移温度)
電子輸送層に用いられる材料を、(株)島津製作所製のDSC−50を用いて測定した。
【0073】
参考例1
図1に、参考例1に係る有機EL素子の断面構造を示す。本参考例1に示す有機EL素子は、透明支持基板(ガラス基板)1と、ガラス基板1上に形成された陽極2及び陰極3と、陽極2と陰極3との間に挟み込まれた有機薄膜層6〜7とからなる。以下、参考例1に係る有機EL素子の作製手順について説明する。まず、ガラス基板上にITO(インジウム錫オキサイド)をスパッタリングによって1300Å(130nm)の膜厚になるように成膜し、陽極2とした。このときのシート抵抗は12Ω/□であった。作成されたITOガラス基板を純水とイソプロピルアルコ−ルとにより、それぞれ超音波洗浄を行った後に、沸騰させたイソプロピルアルコ−ル上で乾燥させた。さらにUVオゾン洗浄装置によりこの基板を洗浄した後に、真空蒸着装置の基板ホルダ−に取り付けた。
【0074】
次に、モリブデン製の2つのボートに、それぞれ発光層6として、イオン化ポテンシャルが5.85eVの4,4''−ビス(2,2−ジフェニルビニル)−p−テルフェニルを100mgと、電子輸送層7としてイオン化ポテンシャルが6. 03eVのビス(2−メチル−8−キノリノール)(1−フェノラート)ガリウムを100mgとを入れ、それぞれ別の通電用端子に取り付けた。真空層内を1 ×10-4Paまで排気した後、4,4''−ビス(2,2−ジフェニルビニル)−p−テルフェニルの入ったボートに通電し、0.3nm/Secの蒸着速度で膜厚50nmになるまで成膜した。次いで、ビス(2−メチル−8−キノリノール)(1−フェノラート)ガリウムが入ったボートに通電し、0.3nm/Secの蒸着速度で膜厚50nmになるまで成膜した。
【0075】
こうして作製された支持基板/ITO/4,4''−ビス(2,2−ジフェニルビニル)−p−テルフェニル/ビス(2−メチル−8−キノリノール)(1−フェノラート)ガリウムの構造を有する発光層と電子輸送層のイオン化ポテンシャルの差が0.18である素子の上部にステンレス製シャド−マスクを取り付けた。ここで、BN製ボ−トにアルミニウムを3g入れ、通電用端子に取り付けた。同様に、タングステン製のフィラメントにLiを500mg入れ、別の通電用端子に取り付けた。真空層を1×10-4Paまで排気した後、アルミニウムの蒸着速度が0.4nm/Secとなるように通電し、同時にリチウムの蒸着速度が0.02〜0.03nm/Secとなるよう別の蒸着電源を用いて通電した。両材料の蒸着速度が安定してきたところでシャッタ−を開放し、混合膜の膜厚が30nmとなったところでリチウムの蒸着電源を止め、さらにアルミニウム膜が170nmの膜厚になるまで成膜し、陰極3を形成した。
【0076】
真空層を大気圧に戻し、透明支持基板/ITO/4,4''−ビス(2,2−ジフェニルビニル)−p−テルフェニル/ビス(2−メチル−8−キノリノール)(1−フェノラート)ガリウム/Al−Li/Alよりなる有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子のITOを正極、アルミニウム電極を負極とし、15V印加したところ、表に示すように、6800cd/m2 の青色発光が得られた。また、この素子を窒素雰囲気下、初期輝度100cd/m2 で駆動試験を行った結果、輝度半減時間は2500時間であった。また、この素子を窒素中で3000時間保存した後、ダ−クスポットと呼ばれる非発光部を観測した結果、成膜直後には5μmであったものが、保存後にも5〜10μmと大きな変化はなく、ダークスポットの成長は認められなかった。
【0077】
比較例1
発光層4として、下記に示すイオン化ポテンシャルが5.89eVの式(19)の4,4' −ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニルを50nm、電子輸送層5として、下記式(20)のトリス(8−キノリノール)アルミニウムを50nm、真空蒸着法により形成した以外は、実施例1と同様の操作を行い、電子輸送層のイオン化ポテンシャルが、発光層のイオン化ポテンシャルより、0.21eV小さい、すなわち正孔ブロック性の小さい有機EL素子を作製した。
【0078】
【化18】
Figure 0003650552
【0079】
【化19】
Figure 0003650552
【0080】
得られた有機EL素子の陽極2と陰極3の間に直流電圧を15V印加したところ、3600cd/m2 の青色発光が得られた。参考例1と比較すると、表5に示すように、CIE色度座標は大きい差がみられなかったが、最高輝度、効率の点で大きく劣っており、また、輝度半減寿命も900時間と参考例1と比較して短かった。この素子を窒素中で3000時間保存する前後のダ−クスポット(非発光部)を観測したところ、保存前には7μmであったものが、保存後には65μmに成長していた。
【0081】
参考例2
発光材料としてイオン化ポテンシャルが5.74eVの4,4''' −ビス(2,2−ジフェニルビニル)−p−クォーターフェニル、また電子輸送材料としてイオン化ポテンシャルが5.97eVのビス(2−メチル−8−キノリノール)(1−ナフトラート)ガリウムを真空蒸着法により50nm形成した以外は、参考例1と同様の操作を行い、電子輸送層のイオン化ポテンシャルが、発光層より、0.23eV大きい、すなわち正孔ブロック性の大きい有機EL素子を作製した。参考例1と同様に通電試験を行った結果、表4に示すように、最高輝度8500cd/m2 の青色発光が得られた。
【0082】
比較例2
電子輸送層5として、イオン化ポテンシャルが5.65eVの下記式(21)のビス{2 −(4−t −ブチルフェニル) −1,3,4 −オキサジアゾ−ル}−m −フェニレンを真空蒸着法により50nm形成した以外は、参考例2と同様の操作を行い、電子輸送層のイオン化ポテンシャルが、発光層よりも0.09eV小さい有機EL素子を作製した。
【0083】
【化20】
Figure 0003650552
【0084】
得られた有機EL素子の陽極2と陰極3の間に直流電圧を16V印加したところ、6500cd/m2 の青色発光が得られた。参考例2と比較すると、CIE色度座標は大きい差がみられなかったが、最高輝度、効率、寿命の点で大きく劣っていることが確認された。
【0085】
参考例3
発光層として、イオン化ポテンシャルが5.68eVのビス(2−m−フェノキシ)−ベンゾオキサゾール亜鉛(Zn(OXZ)2 )(式(16)の化合物、式(3−1)で表される表3の化合物No.301の1つ)を50nm、電子輸送層5として、イオン化ポテンシャルが6.02eVのビス(2−メチル−8−キノリノール)(p−フェニルフェノラート)ガリウム(表1の化合物No.113:DSCによるTg(ガラス転移温度)=102℃)を50nm、真空蒸着法により形成した以外は、参考例1と同様の操作を行い、電子輸送層のイオン化ポテンシャルが、発光層より0.34eV大きい有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子の陽極2と陰極3の間に直流電圧を17V印加したところ、6700cd/m2 の青色発光が得られた。
【0086】
比較例3
電子輸送層5としてイオン化ポテンシャルが5.67eVのAlq3を真空蒸着法にて50nm形成する以外は、参考例3と同様の操作を行い、電子輸送層のイオン化ポテンシャルが、発光層より0.01eV小さい有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子の陽極2と陰極3の間に直流電圧を17V印加したところ、5600cd/m2 の青緑色の発光が得られた。参考例3と比較すると、最高輝度で極端な差はみられなかったが、CIE色度座標(発光色)が長波長側(緑側)に大きくシフトしていることが確認された。EL発光スペクトルから、(Zn(OXZ)2 )とAlq3の両方が発光していることがわかった。これによって、(Zn(OXZ)2 )が正孔を輸送し、正孔と電子の再結合、励起子の生成が、Alq3層(電子輸送層)でも起きていることを示している。
【0087】
本発明で用いた亜鉛錯体の場合、正孔輸送層−発光層界面で発光していると考えられたが、この比較例3により、亜鉛錯体は正孔輸送性、電子輸送性両方とも大きいことが分かった。またAlq3の正孔ブロック性が小さいため、Alq3層内で正孔と電子とが再結合して、Alq3が発光し、色度を悪化させている。
【0088】
参考例3と、比較例3との比較からわかるように、本発明に用いる電子輸送層を用いると、参考例3、比較例3のような亜鉛金属錯体を用いた場合でも、本発明では、正孔ブロック性、封じ込めがあるため、純粋な青色発光が得られ、本発明では、最高輝度、効率が大幅に改善されている。
【0089】
参考例4
発光層として下記式(22)の1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1,3−シクロペンタジエン、電子輸送層5としてビス(2−メチル−8−キノリノール)クロロガリウムを、真空蒸着法により、それぞれ50nm形成した以外は、参考例2と同様の操作を行って有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子の陽極2と陰極3の間に直流電圧を16V印加したところ、5400cd/m2 の青色発光が得られた。
【0090】
【化21】
Figure 0003650552
【0091】
参考例5
参考例5に係る有機EL素子の断面構造を図2に示す。本参考例に係る有機EL素子は、ガラス基板1と、ガラス基板1上に形成された陽極2及び陰極3と、陽極2と陰極3との間に挟み込まれた正孔輸送層5、発光層6、電子輸送層7とからなる。参考例1と同様にして用意したITOガラス基板を蒸着機に装着し、高純度グラファイト製のるつぼ3個を用意し、それぞれ別々に、正孔輸送層としてN,N' −ジフェニル−N,N' −ビス(α−ナフチル)−1,1' −ビフェニル−4,4' −ジアミン(α−NPD)1g、発光材料としてイオン化ポテンシャルが5.85eVの4,4''−ビス(2,2−ジフェニルビニル)−p−テルフェニル(式(13)、表2の化合物No.201)を1g、電子輸送材料として下記式(23)で示すイオン化ポテンシャルが6.03eVのビス(2−メチル−8−キノリノール)(1−フェノラート)ガリウム(下記式(23)、表1の化合物No.103:DSCによるTg(ガラス転移温度)=89℃))を1g入れ、それぞれ別の通電用端子に取り付けた。
【0092】
【化22】
Figure 0003650552
【0093】
真空層内を1 ×10-4Paまで排気した後、始めにα−NPDが入ったるつぼに通電し、0.3nm/Secの蒸着速度で膜厚50nmになるまで成膜した。次に、4,4''−ビス(2,2−ジフェニルビニル)−p−テルフェニルが入ったるつぼに通電し、0.3nm/Secの蒸着速度で膜厚45nmになるまで成膜した。最後にビス(2−メチル−8−キノリノール)(1−フェノラート)ガリウムが入ったるつぼに通電し、蒸着速度0.3nmで膜厚50nmになるまで成膜した。
【0094】
こうして作製された支持基板/ITO/α−NPD/4,4''−ビス(2,2−ジフェニルビニル)−p−テルフェニル/ビス(2−メチル−8−キノリノール)(1−フェノラート)ガリウムの構造を有する素子に、さらに陰極3として、マグネシウム−銀合金を真空蒸着法によって200nm形成し、電子輸送層のイオン化ポテンシャルが、発光層より0.18eV大きい有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子の陽極2と陰極3の間に直流電圧を17V印加したところ、表1に示すように、16500cd/m2 の青色発光が得られた。
【0095】
実施例1
発光層をイオン化ポテンシャルが5.69eVの1,4−ビス〔4−(2,2−ジフェニルビニル)ナフチル〕ベンゼン(式(14)、表2の化合物No.205)を45nm、電子輸送層7としてイオン化ポテンシャルが6.04eVのビス(2−メチル−8−キノリノール)エトキシガリウム40nmを真空蒸着法にて成膜する以外は、参考例5と同様の操作を行い、電子輸送層のイオン化ポテンシャルが、発光層より0.35eV大きい有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子の陽極2と陰極3の間に直流電圧を17V印加したところ、表1に示すように、21700cd/m2 の青色発光が得られた。
【0096】
比較例4
電子輸送層5として下記式(24)の3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾールを真空蒸着法により40nm形成した以外は、参考例5と同様の操作を行い、電子輸送層のイオン化ポテンシャルが、発光層より0.18eV大きい有機EL素子を作製した。
【0097】
【化23】
Figure 0003650552
【0098】
得られた有機EL素子の陽極2と陰極3の間に直流電圧を17V印加したところ、表2に示すように、9400cd/m2 の青色発光が得られた。トリアゾール誘導体も、ガリウム金属錯体同様イオン化ポテンシャルが大きく、正孔ブロック性が認められた。但し、ガリウム金属錯体と比較すると、電子注入性、電子輸送性が小さいためか、駆動電圧が大きく、電力効率が小さくなった。参考例5と比較すると、CIE色度座標は大きい差がみられなかったが、最高輝度、効率、寿命の点で明らかに劣っていることがわかった。
【0099】
参考例6
発光層6として、前記式(17)に示すようなイオン化ポテンシャルが5.72eVのビス〔(2−フェニル−5−m−フェノキシ)−1,3,4−オキサジアゾール〕亜鉛(Zn(OXD)2 )を45nm、電子輸送層7としてイオン化ポテンシャルが6.02eVのビス(2−メチル−8−キノリノール)(p−フェニルフェノラート)ガリウム(表1の化合物No.113)を真空蒸着法により35nm形成した以外は、参考例5と同様の操作を行い、電子輸送層のイオン化ポテンシャルが、発光層より0.30eV大きい有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子の陽極2と陰極3の間に直流電圧を17V印加したところ、7800cd/m2 の青色発光が得られた。
【0100】
実施例2
実施例2に係る有機EL素子の断面構造を図3に示す。本実施例に係る有機EL素子は、ガラス基板1と、ガラス基板1上に形成された陽極2及び陰極3と、陽極2と、陰極3との間に挟み込まれた正孔注入層4と、正孔輸送層5と、発光層6と、電子輸送層7とからなる。
【0101】
まず参考例1と同様にして用意したITOガラス基板を蒸着機に装着した。モリブデン製の各ボートに、正孔注入層として4−フェニル−4' ,4''−ビス〔ジ(3−メチルフェニル)アミノ〕トリフェニルアミンを100mg、正孔輸送層としてα−NPDを100mg、発光層としてイオン化ポテンシャルが5.70eVの9,10−ビス〔4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル〕アントラセン(式(15)、表2の化合物No.203)を100mg、電子輸送層としてイオン化ポテンシャルが5.97eVのビス(2−メチル−8−キノリノール)(1−ナフトラート)ガリウム(表1の化合物No.111:DSCによるTg=103℃))を100mg入れ、それぞれ別の通電用端子に取り付けた。
【0102】
真空層内を1 ×10-4Paまで排気した後、4−フェニル−4' ,4''−ビス〔ジ(3−メチルフェニル)アミノ〕トリフェニルアミンが入ったボートに通電し、0.3nm/Secの蒸着速度で膜厚35nmになるまで成膜した。次にα−NPDが入ったボートに通電し、0.3nm/Secの蒸着速度で膜厚15nmになるまで成膜した。次に、9,10−ビス〔4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル〕アントラセンが入ったボートに通電し、0.3nm/Secの蒸着速度で膜厚45nmになるまで成膜した。次いでビス(2−メチル−8−キノリノール)(1−ナフトラート)ガリウムが入ったボートに通電し、蒸着速度0.3nmで膜厚35nmになるまで成膜した。最後に、参考例1と同様にして、陰極を200nm形成し、電子輸送層のイオン化ポテンシャルが、発光層より0.27eV大きい有機EL素子を作製した。
【0103】
得られた有機EL素子の陽極と陰極の間に直流電圧を17V印加したところ、表1に示すように、34200cd/m2 の青色発光が得られた。この素子を窒素中で初期輝度100cd/m2 で駆動試験を行った結果、輝度半減時間は16000時間であった。また、この素子を窒素中で16000時間保存する前後のダ−クスポットを観測した結果、保存前には5μmであったものが保存後には5〜7μmとなり、保存後も大きな変化はなく成長は認められなかった。
【0104】
比較例5
発光層として1,4−ビス〔4−(2,2−ジフェニルビニル)ナフチル〕ベンゼン(式(15)、表2の化合物No.205)を45nm、電子輸送層として下記式(25)の2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールを真空蒸着法により35nm形成した以外は、実施例2と同様の操作を行い、有機EL素子を作製した。
【0105】
【化24】
Figure 0003650552
【0106】
この有機EL素子の陽極と陰極の間に直流電圧を17V印加したところ、表5に示すように、13700cd/m2 の青色発光が得られた。実施例2と比較すると、CIE色度座標は大きい差がみられなかったが、最高輝度、効率、寿命の点で大きく劣っていることが確認された。
【0107】
実施例3
実施例3に係る有機EL素子の断面構造を図3に示す。本実施例に係る有機EL素子は、ガラス基板1と、ガラス基板1上に形成された陽極2と、陰極3と、陽極2と陰極3との間に挟み込まれた正孔注入層4と、正孔輸送層5と、ホストとドーパントからなる発光層6と、電子輸送層7とからなる。
【0108】
参考例1と同様にして用意したITOガラス基板を、蒸着機に装着し、高純度グラファイト製の5個のるつぼを用意し、それぞれ別々に、正孔注入層として4−フェニル−4' ,4''−ビス〔ジ(3−メチルフェニル)アミノ〕トリフェニルアミンを1g、正孔輸送層としてN,N' −ジフェニル−N、N' −ビス(α−ナフチル)−1,1' −ビフェニル−4,4' −ジアミン(α−NPD)1g、発光ホスト材料としてイオン化ポテンシャルが5.70eVの9,10−ビス〔4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル〕アントラセンを1g、発光ゲスト材料として下記式(26)の4,4' −ビス〔2−{4−(N,N−ジ(4−メチルフェニル)アミノ)フェニル}ビニル〕ビフェニルを0.5g、電子輸送材料としてイオン化ポテンシャルが6.03eVのビス(2−メチル−8−キノリノール)(1−フェノラート)ガリウム1g入れ、それぞれ別の通電用端子に取り付けた。
【0109】
【化25】
Figure 0003650552
【0110】
真空層内を1 ×10-4Paまで排気した後、実施例2と同様に正孔注入層、正孔輸送層を実施例2と同じ膜厚で成膜した。次に、ホストの9,10−ビス〔4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル〕アントラセン、およびゲストの4,4' −ビス〔2−{4−(N,N−ジ(4−メチルフェニル)アミノ)フェニル}ビニル〕ビフェニルが入ったるつぼにそれぞれ通電し、ホストが0.3nm/Sec、ゲストが0.02〜0.03nm/Secになるように電流を制御し、両者が安定したところで同時に蒸着を開始し、膜厚が45nmになるまで成膜した。次にビス(2−メチル−8−キノリノール)(1−フェノラート)ガリウムが入ったるつぼに通電し、蒸着速度0.3nmで膜厚35nmになるまで成膜した。こうして作製された素子にさらに実施例2と同様な方法により、陰極を形成して電子輸送層のイオン化ポテンシャルが、発光層ホスト分子のイオン化ポテンシャルより0.33eV大きく、ゲストのイオン化ポテンシャルはホストより小さい有機EL素子を作成した。
【0111】
得られた有機EL素子の陽極と陰極の間に直流電圧を18V印加したところ、表1に示すように、39500cd/m2 の青色発光が得られた。この素子を窒素中で初期輝度100cd/m2 で駆動試験を行った結果、輝度半減時間は20000時間であった。また、この素子を窒素中で20000時間保存する前後のダ−クスポットを観測した結果、保存前には4〜5μmであったものが保存後には5〜7μmとなり、成膜直後と変化はなく、成長は認められなかった。
【0112】
比較例6
発光層ホストとして、4,4' −ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニルを45nm、電子輸送層5として、トリス(8−キノリノール)アルミニウムを真空蒸着法により35nm形成した以外は、実施例3と同様の操作を行い、有機EL素子を作製した。なお得られた有機EL素子は、電子輸送層のイオン化ポテンシャルが、発光層のイオン化ポテンシャルより0.21eV小さくした。
【0113】
このようにして得られた有機EL素子の陽極と陰極の間に直流電圧を17V印加したところ、表2に示すように、17000cd/m2 の青色発光が得られた。実施例3と比較すると、CIE色度座標は大きい差がみられなかったが、最高輝度、効率、寿命の点のいずれも大きく劣っていることが確認された。
【0114】
【表5】
Figure 0003650552
【0115】
【表6】
Figure 0003650552
【0116】
【表7】
Figure 0003650552
【0117】
参考例7
カラーパネルの作製厚さ1.1 mmのガラス基板上に、陽極としてスパッタによりITO膜を130nmを形成した後、リソグラフィーとウェットエッチングによりパターン化した透明電極を作成した。この透明電極のシート抵抗は、12Ω/□で、配線幅は90μm、スペースは30μmであった。
【0118】
前記パターン化した陽極を配線したガラス基板上に、2×10-4Pa真空下に、正孔注入層として4−フェニル−4' ,4''−ビス〔ジ(3−メチルフェニル)アミノ〕トリフェニルアミンを35nm、正孔輸送層としてα- NPDを15nmの膜厚で抵抗加熱によりベタ状に成膜した。
【0119】
その成膜上に、RGB3色中1色の発光部分(ドット)に対応するラインパターン(90μm)をもつシャドーマスクを、シャドーマスクのマスク孔を赤色の発光層部分に合わせるようにパネル基版にほぼ接してITO配線上に位置合わせした状態で設置した。赤色の発光層としてトリス(8ーキノリノール)アルミニウムに、ドーパントとして4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM、ドーピング濃度2.5wt%)を共蒸着することにより、45nmの膜厚になるまで成膜した。
【0120】
緑色発光部形成は、シャドーマスクをずらして緑発光部へマスク孔の位置合わせを行い、赤色と同様に発光層の蒸着を行った。緑の発光部として、トリス(8ーヒドロキシキノリノール)アルミニウムをホストに、ドーパントとして2,9―ジメチルキナクリドン(ドーピング濃度3wt%)を共蒸着により45nmの膜厚になるまで成膜した。
【0121】
青色発光部形成についても同様に、シャドーマスクをずらしてブルー発光部へマスク孔の位置合わせを行い、赤と同様に発光層の蒸着を行う。青の発光部には、イオン化ポテンシャルが5.70eVの9,10−ビス〔4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル〕アントラセンを45nm、赤、緑と同様に成膜した。次に、電子輸送層としてイオン化ポテンシャルが6.03eVのビス(2−メチル−8−キノリノール)(1−フェノラート)ガリウムをベタ状に35nmの膜厚になるまで蒸着した。最後に、270μm幅のラインパターンをもつシャドーマスクを、ITOおよび発光層のパターンと直交するように、パネル基板にほぼ接して位置合わせした状態で設置し、陰極として、前記したのと同様にしてAl−Liを二源の蒸着源から共蒸着により30nm蒸着し、その後アルミニウムのみの一源で170nm蒸着した。電子輸送層のイオン化ポテンシャルが、発光層より0.33eV大きい素子構成とした。
【0122】
このようにして、サブピクセル90μmで、1ピクセル360×360μm、スペース30μm、画素数が水平320×垂直240ドットのカラー表示可能な有機ELパネルを作製した。青に対して正孔ブロックが存在するということは、青よりイオン化ポテンシャルが小さい緑、赤材料に対しても正孔ブロック性があり、緑、赤に対しても高効率の発光が図れ、これによって消費電力が10Wから7Wへと小さくすることができた。
【0123】
【発明の効果】
本発明に係る有機EL素子は、電界励起型発光の無機EL素子と異なり、陽極から正孔キャリアを、陰極から電子キャリアを注入し、これらキャリアが再結合することにより発光するキャリア注入型素子であり、発光層と電荷輸送層を組み合わせた積層型素子型構造となっているため、発光材料と電荷輸送材料の適切な組み合わせとすることにより、陽極からの正孔注入あるいは陰極からの電子注入の際のエネルギー障壁が低減し、電荷の注入が容易になるとともに、電荷輸送層が発光層から正孔または電子が通り抜けることを抑えるブロッキング層として働く。これにより発光層中の正孔と電子の数的バランスが良くなる。その結果、正孔と電子との再結合が有効に行われるようになりEL発光効率が向上することができた。
【0124】
前記したような本発明に係る有機EL素子に使用される特定の材料、素子構造とすることにより、陽極から注入された正孔が電子輸送層において確実にブロックされ、かつ陰極より注入された電子が発光層でブロックされることにより、キャリアの再結合効率が向上する。このため、青色発光素子のおいてもEL発光効率の低下が無く、最高輝度も従来のAlq3を用いる場合より大きくすることが可能となった。また、正孔の通り抜けがなく、電力効率も良いため、低消費電力化が図れ、また低負荷条件(低印加電圧)で駆動できるため、素子の寿命も長くすることができた。さらに、電子輸送層のイオン化ポテンシャルを5.9eV以上と大きくすることにより、青色発光層のエネルギーギャップを大きくすることができ、従って発光波長の短波長化が可能となった。これにより、従来の材料では困難であった色純度、色度(0.25,0.25)以下の青色発光が可能となった。
【0125】
また、本発明で用いられる電子輸送材料は、ガラス転移温度が高く、成膜性、膜質安定性が非常に良く耐熱性が高いため、従来有機EL素子が苦手とされた85℃の高温駆動、高温保存等、素子の高耐熱化が図れた。
【0126】
また、このような上記有機EL素子を用いて有機ELパネルを製造できるため得られたパネルは高輝度化、色度改善が図れ、320×240ピクセル単純マトリックス駆動(Duty 1/120)のカラー1/4VGAパネルが作製可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る有機EL素子の第1の構成例を示す図である。
【図2】 本発明に係る有機EL素子の第1の構成例を示す図である。
【図3】 本発明に係る有機EL素子の第1の構成例を示す図である。
【図4】 従来の有機EL素子に使用される材料のエネルギーダイアグラムを模式的に示す図である。
【図5】 本発明に係る有機EL素子に使用される材料のエネルギーダイアグラムを模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板
2 陽極
3 陰極
4 正孔注入層
5 正孔輸送層
6 発光層
7 電子注入層
10 正孔注入材料
11 正孔輸送材料
12 青色発色材料
13 Alq3
14 ガリウム錯体

Claims (4)

  1. 異極電極間に、発光層、電子注入層および電子輸送層から選択される少なくとも2層の有機化合物薄膜を有し、発光層が青色に発光する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記電子注入層または電子輸送層のイオン化ポテンシャルが発光層のイオン化ポテンシャルより大きく、
    前記電子注入層、または前記電子輸送層が、下記一般式(1)で表される化合物を含有し、
    前記電子輸送層のイオン化ポテンシャルが5.9eV以上であり、かつガリウムの金属錯体の少なくとも1種を含み、
    前記発光層のイオン化ポテンシャルが5.70eV以下であり、かつ下記式(2a)又は(2b)で表される化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0003650552
    (式中Mは金属原子を表し、R1 〜R6 はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基から選択される1種であり、同一でも異なっていてもよく、Lはハロゲン基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基から選択される基を有する配位子を表し、nは1または2を表し、nが2のとき、R1 〜R6 の同一記号で表される基は、同一でも異なっていてもよい。)
    Figure 0003650552
    (式中R 5 およびR 6 はフェニル基を表し、nは3を表す。)
  2. 前記発光層が、正孔輸送性を有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記電子輸送層のガラス転移温度が80℃以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の青色有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有するパネル。
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