JP2007227948A - 有機エレクトロルミネッセンス素子及びそれを用いた表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光輝度、量子効率及び寿命の向上し、かつ高効率な有機エレクトロルミネッセンス素子とそれを用いた表示装置を提供する。
【解決手段】下記一般式(3)で表される部分構造を有する化合物またはその互変異性体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化1】
Figure 2007227948

【選択図】なし

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELとも略記する)素子及びそれを用いた表示装置に関し、詳しくは、発光輝度の高い有機エレクトロルミネッセンス素子及びそれを用いた表示装置に関するものである。
発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子や有機エレクトロルミネッセンス素子が挙げられる。無機エレクトロルミネッセンス素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光する化合物を含有する発光層を、陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、さらに、自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
しかしながら、今後の実用化に向けた有機EL素子においては、さらに低消費電力で効率よく高輝度に発光する有機EL素子の開発が望まれている。
本発明の有機EL素子のフルカラー化方式は、燐光性化合物をドーパントとして用いることが特徴である。
例えば、特許文献1に記載の方法では、スチルベン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体又はトリススチリルアリーレン誘導体に、微量の蛍光体をドープし、発光輝度の向上、素子の長寿命化を達成している。
また、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体をホスト化合物として、これに微量の蛍光体をドープした有機発光層を有する素子(例えば、特許文献2参照。)、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体をホスト化合物として、これにキナクリドン系色素をドープした有機発光層を有する素子(例えば、特許文献3参照。)が知られている。
以上のように、励起一重項からの発光を用いる場合、一重項励起子と三重項励起子の生成比が1:3であるため発光性励起種の生成確率が25%であることと、光の取り出し効率が約20%であるため、外部取り出し量子効率(ηext)の限界は5%とされている。ところが、プリンストン大より、励起三重項からの燐光発光を用いる有機EL素子の報告(非特許文献1参照。)がされて以来、室温で燐光を示す材料の研究が活発になってきている。例えば、非特許文献2、特許文献4などにも開示されている。
励起三重項を使用すると、内部量子効率の上限が100%となるため、励起一重項の場合に比較して原理的に発光効率が4倍となり、冷陰極管とほぼ同等の性能が得られ、照明用にも応用可能であり注目されている。
例えば、非特許文献3等においては、多くの化合物がイリジウム錯体系など重金属錯体を中心に合成検討されている。
又、前述の非特許文献2においては、ドーパントとして、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウムを用いた検討がされている。
その他、M.E.Tompsonらは、The 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence(EL’00、浜松)において、ドーパントとしてL2Ir(acac)、例えば、(ppy)2Ir(acac)を、又、Moon−Jae Youn.0g,Tetsuo Tsutsui等は、やはり、The 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence(EL’00、浜松)において、ドーパントとして、トリス(2−(p−トリル)ピリジン)イリジウム(Ir(ptpy)3)、トリス(ベンゾ[h]キノリン)イリジウム(Ir(bzq)3)、Ir(bzq)2ClP(Bu)3等を用いた検討を報告している。
又、前記非特許文献3等においても、各種イリジウム錯体を用いて素子化する試みがなされている。
又、高い発光効率を得るために、非特許文献4においては、Ikaiらは、ホール輸送性の化合物を燐光性化合物のホストとして用いている方法を報告している。また、M.E.Tompsonらは、各種電子輸送性材料を燐光性化合物のホストとして、これらに新規なイリジウム錯体をドープして用いる方法を報告している。さらに、Tsutsuiらは、ホールブロック層の導入により高い発光効率を得る方法について報告している。
しかし、緑色発光については、理論限界である20%近くの外部取り出し効率が達成されているものの、その他の発光色についてはまだ十分な効率が得られておらず改良が必要であった。
特許第3093796号公報 特開昭63−264692号公報 特開平3−255190号公報 米国特許第6,097,147号明細書 M.A.Baldo et al.,nature、395巻、151〜154ページ(1998年) M.A.Baldo et al.,nature、403巻、17号、750〜753ページ(2000年) S.Lamansky et al.,J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304ページ(2001年) The 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence(EL ’00、浜松)
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、特定の構造を有する金属錯体を含有し、発光輝度、量子効率及び寿命の向上し、かつ高効率な有機エレクトロルミネッセンス素子とそれを用いた表示装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.下記一般式(3)で表される部分構造を有する化合物またはその互変異性体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 2007227948
〔式中、Cは炭素原子、Nは窒素原子を表し、Z31は炭素原子および窒素原子とともに芳香族環を形成するのに必要な原子群を表し、Z32は炭素原子とともに5員芳香族環を形成するのに必要な炭素原子、窒素原子または酸素原子により構成される原子群を表し、Mは金属を表す。〕
2.前記一般式(3)のMで表される金属が、イリジウム、白金またはオスミウムであることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
3.発光層が、前記一般式(3)で表される部分構造を有する化合物またはその互変異性体を含有することを特徴とする前記1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
4.前記1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする表示装置。
本発明により、発光輝度、量子効率及び寿命の向上した有機エレクトロルミネッセンス素子とこれを用いた高輝度な表示装置を提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者等は、鋭意検討の結果、前記一般式(3)で表される特定構造を有する金属錯体化合物を用いた有機EL素子が、高い外部取り出し効率を示すことを見出し、これらの化合物を組み合わせることにより、高効率なフルカラー画像の表示装置が得られることを見いだしたものである。
はじめに、本発明に係る一般式(3)で表される特定構造を有する金属錯体化合物について説明する。
前記一般式(3)において、Z31は炭素原子および窒素原子とともに芳香族環を形成するのに必要な原子群を表し、Z32は炭素原子とともに芳香族5員環を形成するのに必要な、炭素、窒素または酸素原子により構成される原子群を表し、Mは金属を表す。Z31で形成される芳香環としては、例えば、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンズイミダゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズオキサゾール環、キナゾリン環、フタラジン環等が挙げられる。Z32で形成される芳香族5員環としては、例えば、ピロール環、フラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環等を挙げることができ、好ましくは含窒素芳香環であり、より好ましくは窒素または酸素原子が複数個含まれる含窒素芳香環である。
上記説明した一般式(3)において、Z31及びZ32によって形成される環は、更に置換基を有していても良く、また、置換基同士が結合して、更に環を形成しても良い。また、一般式(3)において、Mは元素の周期律表でVIII属の金属であることが好ましく、より好ましくはMがイリジウム、オスミウムまたは白金であり、最も好ましくはMがイリジウムである。
以下に、一般式(3)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
Figure 2007227948
Figure 2007227948
本発明に係る一般式(3)で表される化合物は、当業者で公知の方法に従って合成することができ、例えば、J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304ページ(2001年)及びInorg.Chem.,40巻、1704ページ(2001年)等に記載のイリジウム錯体の合成例に準じて、得ることができる。
本発明において、本発明に係る一般式(3)で表される化合物を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子とは、有機EL素子を構成するいずれかの有機層を形成するか、または有機層に含有されることを表す。好ましくは、発光層に含有されることである。
以下、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の構成要素について説明する。
本発明において、有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明これに限定されるものではない。
(i)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In23−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10〜1000nm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
次に、注入層、正孔輸送層、電子輸送層、発光層等について説明する。
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記のごとく陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び、陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号、同9−260062号、同8−288069号等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号、同9−17574号、同10−74586号等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるが、その膜厚は0.1〜100nmの範囲が好ましい。
阻止層は、上記のごとく、有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号、同11−204359号及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは広義では電子輸送層であり、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
一方、電子阻止層とは広義では正孔輸送層であり、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。
正孔輸送層、電子輸送層は単層もしくは複数層設けることができる。
本発明の有機EL素子においては、発光層のホスト、発光層に隣接する正孔輸送層、発光層に隣接する電子輸送層すべての材料の蛍光極大波長が415nm以下であることが好ましい。
発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子および正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は、発光層内であっても発光層と隣接層との界面であっても良い。
発光層に使用される材料(以下、発光材料という)は、蛍光または燐光を発する有機化合物または錯体であることが好ましく、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。このような発光材料は、主に有機化合物であり、所望の色調により、例えば、Macromol.Synth.,125巻,17〜25頁に記載の化合物等を用いることができる。
発光材料は、発光性能の他に、正孔輸送機能や電子輸送機能を併せ持っていても良く、正孔輸送材料や電子輸送材料の殆どが、発光材料としても使用できる。
発光材料は、p−ポリフェニレンビニレンやポリフルオレンのような高分子材料でも良く、さらに前記発光材料を高分子鎖に導入した、または前記発光材料を高分子の主鎖とした高分子材料を使用しても良い。
この発光層は、上記化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。発光層としての膜厚は、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲で選ばれる。この発光層は、これらの発光材料1種又は2種以上からなる単一層構造であってもよいし、あるいは、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。本発明の有機EL素子の好ましい態様は、発光層が2種以上の材料からなり、その内の少なくとも1種が本発明に係る化合物の場合である。
また、この発光層は、特開昭57−51781号公報に記載されているように、樹脂などの結着材と共に上記発光材料を溶剤に溶かして溶液としたのち、これをスピンコート法などにより薄膜化して形成することができる。このようにして形成された発光層の膜厚については、特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができるが、通常は5nm〜5μmの範囲である。
発光層の材料が2種以上であるとき、主成分をホスト、その他の成分をドーパントといい、本発明の化合物は、好ましくはドーパントである。ドーパントの混合比は、好ましくは質量比で0.1%以上、15%未満である。
発光層のホスト化合物は、有機化合物または錯体であることが好ましく、本発明においては、好ましくは蛍光極大波長が415nm以下である。ホスト化合物の極大波長を415nm以下にすることにより可視光、特にBGR発光が可能となる。
つまり蛍光極大波長を415nm以下にすることにより、通常のπ共役蛍光もしくは燐光材料において、π−π吸収を420nm以下に有するエネルギー移動型のドーパント発光が可能である。また415nm以下の蛍光を有することから非常にワイドエネルギーギャップ(イオン化ポテンシャル−電子親和力、HOMO−LUMO)であるので、キャリアトラップ型にも有利に働く。
このようなホスト化合物としては、有機EL素子に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができ、また後述の正孔輸送材料や電子輸送材料の殆どが発光層ホスト化合物としても使用できる。
ポリビニルカルバゾールやポリフルオレンのような高分子材料でもよく、さらに前記ホスト化合物を高分子鎖に導入した、または前記ホスト化合物を高分子の主鎖とした高分子材料を使用してもよい。
ホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、かつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層もしくは複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、特に制限はなく、従来、光導伝材料において、正孔の電荷注入輸送材料として慣用されているものやEL素子の正孔注入層、正孔輸送層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
正孔輸送材料は、正孔の注入もしくは輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えばトリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには、米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
さらに、これらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、p型−Si,p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、本発明においては、正孔輸送層の正孔輸送材料は415nm以下に蛍光極大波長を有することが好ましい。すなわち、正孔輸送材料は、正孔輸送能を有しつつかつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tgである化合物が好ましい。
この正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5〜5000nm程度である。この正孔輸送層は、上記材料の一種または二種以上からなる一層構造であってもよい。
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層もしくは複数層設けることができる。
さらに、必要に応じて用いられる電子輸送層は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
この電子輸送層に用いられる材料(以下、電子輸送材料という)の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体などが挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。
さらに、これらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)など、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基などで置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様に、n型−Si、n型−SiCなどの無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層に用いられる化合物は、415nm以下に蛍光極大波長を有することが好ましい。すなわち、電子輸送層に用いられる化合物は、電子輸送能を有し、かつ発光の長波長化を防ぎ、それに加えて高Tgである化合物が好ましい。
本発明の有機EL素子に好ましく用いられる基体は、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また、透明のものであれば特に制限はないが、好ましく用いられる基板としては例えばガラス、石英、光透過性樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい基体は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物もしくは有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、室温における発光の外部取り出し効率は1%以上であることが好ましく、より好ましくは2%以上である。ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用してもよい。
本発明の表示装置は、少なくとも2種類の異なる発光極大波長を有する有機EL素子からなるが、有機EL素子を作製する好適な例を説明する。例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明すると、まず適当な基体上に、所望の電極物質、例えば陽極用物質からなる薄膜を、1μm以下、好ましくは10〜200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陽極を作製する。次に、この上に素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔阻止層の有機化合物薄膜を形成させる。
この有機化合物薄膜の薄膜化の方法としては、前記の如くスピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等があるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法またはスピンコート法が特に好ましい。さらに層ごとに異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は、使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10-6〜10-2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚0.1nm〜5μmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
これらの層の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより、所望の有機EL素子が得られる。この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施してもかまわない。その際には作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
本発明の表示装置は、発光層形成時のみシャドーマスクを設け、他層は共通であるのでシャドーマスク等のパターニングは不要であり、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で膜を形成できる。
発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、印刷法である。蒸着法を用いる場合においてはシャドーマスクを用いたパターニングが好ましい。
また作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。さらに、交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
本発明の表示装置は、表示デバイス、ディスプレー、各種発光光源として用いることができる。表示デバイス、ディスプレーにおいて、青、赤、緑発光の3種の有機EL素子を用いることにより、フルカラーの表示が可能となる。
表示デバイス、ディスプレーとしてはテレビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、文字放送表示、自動車内の情報表示等が挙げられる。特に、静止画像や動画像を再生する表示装置として使用してもよく、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリックス(パッシブマトリックス)方式でもアクティブマトリックス方式でもどちらでもよい。
発光光源としては、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではない。
また、本発明の有機EL素子に共振器構造を持たせた有機EL素子として用いてもよい。このような共振器構造を有した有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではない。また、レーザー発振をさせることにより、上記用途に使用してもよい。
また、以下に示す構成も好ましい態様の1つである。
A)下記一般式(2)で表される部分構造を有する化合物またはその互変異性体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 2007227948
〔式中、Cは炭素原子、Nは窒素原子を表し、Z21およびZ22は、それぞれ炭素原子および窒素原子とともに芳香環を形成するのに必要な原子群を表し、Mは金属を表す。〕
B)下記一般式(5)で表される部分構造を有する化合物またはその互変異性体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 2007227948
〔式中、Cは炭素原子、Nは窒素原子を表し、Z51は炭素原子および窒素原子とともに芳香族環を形成するのに必要な原子群を表し、Z52は炭素原子とともにアズレン環を形成する原子群を表し、Mは金属を表す。〕
C)前記Mで表される金属が、イリジウム、白金またはオスミウムであることを特徴とする前記A又はBに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
D)発光層が、前記一般式(2)または(5)で表される化合物を含有することを特徴とする前記A〜Cのいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
E)前記A〜Dのいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする表示装置。
上記一般式(2)、(5)で表される特定構造を有する金属錯体化合物について説明する。
前記一般式(2)において、Z21およびZ22は、各々炭素原子および窒素原子とともに芳香環を形成するのに必要な原子群を表し、Mは金属を表す。Z21で形成される芳香環としては、例えば、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンズイミダゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズオキサゾール環、キナゾリン環、フタラジン環等が挙げられる。Z22で形成される芳香環としては、例えば、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、インドール環、ベンズイミダゾール環等が挙げられる。好ましくは、ピロール環、トリアゾール環の時である。
次に、一般式(5)について説明する。
一般式(5)において、Z51は炭素原子および窒素原子とともに複素芳香族環を形成するのに必要な原子群を表し、Z52は炭素原子とともにアズレン環を形成するのに必要な原子群を表し、Mは金属を表す。Z51で形成される芳香環としては、例えば、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンズイミダゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズオキサゾール環、キナゾリン環、フタラジン環等が挙げられる。
上記説明した一般式(2)、(5)において、Z21、Z22、Z51およびZ52によって形成される環は、更に置換基を有していても良く、また、置換基同士が結合して、更に環を形成しても良い。また、一般式(2)、(5)において、Mは元素の周期律表でVIII属の金属であることが好ましく、より好ましくはMがイリジウム、オスミウムまたは白金であり、最も好ましくはMがイリジウムである。
以下に、一般式(2)、(5)で表される化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2007227948
Figure 2007227948
Figure 2007227948
Figure 2007227948
一般式(2)、(5)で表される化合物は、当業者で公知の方法に従って合成することができ、例えば、J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304ページ(2001年)及びInorg.Chem.,40巻、1704ページ(2001年)等に記載のイリジウム錯体の合成例に準じて、得ることができる。
上記各化合物を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子においては、上記各化合物を、有機EL素子を構成するいずれかの有機層を形成するか、または有機層に含有さ競ることができ、好ましくは、発光層に含有されることである。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《有機EL素子の作製》
陽極として、ガラス上にITO(インジウムチンオキシド)を厚さ150nmで成膜した基板(NHテクノグラス社製:NA−45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板を、i−プロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この透明支持基板を、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、5つのモリブデン製抵抗加熱ボートに、α−NPD、CBP、比較化合物1、BC、Alq3をそれぞれ入れ真空蒸着装置に取付けた。
次いで、真空槽を4×10-4Paまで減圧した後、α−NPDの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/secで透明支持基板に膜厚が50nmになるように蒸着し、正孔注入/輸送層を設けた。さらに、CBPの入った前記加熱ボートと比較化合物1の入ったボートをそれぞれ独立に通電してCBPと比較化合物1の蒸着速度が100:7になるように調節し、膜厚が30nmになるように蒸着し、発光層を設けた。
ついで、BCの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/secで厚さ10nmの電子輸送層を設けた。更に、Alq3の入った前記加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/secで膜厚40nmの電子注入層を設けた。
次に、真空槽を開け、電子輸送層上にステンレス鋼製の長方形穴あきマスクを設置し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートにマグネシウム3gを入れ、タングステン製の蒸着用バスケットに銀を0.5g入れ、再び真空槽を2×10-4Paまで減圧した後、マグネシウム入りのボートに通電して蒸着速度1.5〜2.0nm/secでマグネシウムを蒸着した。この際、同時に銀のバスケットを加熱し、蒸着速度0.1nm/secで銀を蒸着し、前記マグネシウムと銀との混合物から成る陰極(200nm)とすることにより、図1に記載の構成からなる比較用の有機EL素子OLED1−1を作製した。
次いで、上記有機EL素子OLED1−1の作製において、発光層の比較化合物1を表1に記載の各化合物に変更した以外は同様にして、有機EL素子OLED1−2〜1−13を作製した。
Figure 2007227948
《有機EL素子の評価》
以上のようにして作製した各有機EL素子を、温度23度の乾燥窒素ガス雰囲気下で10V直流電圧印加による連続点灯を行い、点灯開始時の発光輝度(L)(cd/m2)、外部取り出し量子効率(η)及び輝度が半減するまでの時間(半減寿命:τ)を測定した。また、点灯開始時の色度を測定し、CIE色度図上での色名を評価した。なお、上記各測定において、発光輝度は、有機EL素子OLED1−1を100とした時の相対値で表し、外部取り出し量子効率(η)は有機EL素子OLED1−1を100とした時の相対値で表し、輝度の半減する時間(半減寿命:τ)は、有機EL素子OLED1−1の輝度が半減する時間を100とした相対値で表した。
以上により得られた結果を表1に示す。
Figure 2007227948
表1より明らかなように、有機EL素子OLED1−1〜1−6の青から青緑発光の有機EL素子においては、比較化合物1を用いたOLED1−1に対して、本発明に係る一般式(3)で表される化合物を発光層に用いた有機EL素子1−4〜1−6は、発光輝度、量子効率および半減寿命のいずれにおいても優れていることが分かる。
実施例2
《多色表示装置の作製》
(青色発光素子の作製)
ガラス基板上にITOを膜厚200nmで蒸着して陽極(シート抵抗30Ω/□)を形成した。この陽極上にシャドーマスクをかけ、化合物1を膜厚60nmに真空蒸着して正孔輸送層とした。その上にTCTAと例示化合物3−2(TCTA:3−2=93:7)を共蒸着して、膜厚40nmの青色発光層とした。更に、化合物2を蒸着して膜厚30nmとし、正孔阻止層の役割も兼ねた電子輸送層を設けた。その上に、さらに、Alq3を膜厚20nmに真空蒸着し電子輸送層とした。これを青色発光素子とした。
(緑色発光素子の作製)
次に、シャドーマスクを横にずらし、陽極上に化合物1を膜厚30nmに真空蒸着して正孔輸送層とした。その上にTCTAと例示化合物2−20(TCTA:2−20=93:7)を共蒸着して、膜厚20nmの緑色発光層とした。更に、化合物2を蒸着して膜厚30nmとし、正孔阻止層の役割も兼ねた電子輸送層を設けた。その上に、さらに、Alq3を膜厚20nmに真空蒸着し電子輸送層とした。これを緑色発光素子とした。
(赤色発光素子の作製)
更に、シャドーマスクを横にずらし、陽極上に化合物1を膜厚40nmに真空蒸着して正孔輸送層とした。その上にTCTAと例示化合物2−6(TCTA:2−6=93:7)を共蒸着して、膜厚30nmの赤色発光層とした。更に、化合物2を蒸着して膜厚30nmとし、正孔阻止層の役割も兼ねた電子輸送層を設けた。その上に、さらに、Alq3を膜厚30nmに真空蒸着し電子輸送層とした。これを赤色発光素子とした。
Figure 2007227948
Figure 2007227948
次いで、シャドーマスクをはずし、LiFを膜厚0.5nmで一面蒸着し、最後にシャドーマスクをかけ、Alを膜厚200nm蒸着し、青色、緑色、赤色発光素子を同一基板上に有する多色表示装置を作製した。
図2に、作製したフルカラー表示装置の表示部の模式図を示した。図2において、同一基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と、並置した複数の画素3(発光の色が青領域の画素、緑領域の画素、赤領域の画素等)とを有し、配線部の走査線5及び複数のデータ線6は、それぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示せず)。複数の画素3は、それぞれの発光色に対応した有機EL素子、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタと駆動トランジスタそれぞれが設けられたアクティブマトリクス方式で駆動されており、走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。この様に各赤、緑、青の画素を適宜、並置することによって、多色表示が可能となる。
上記構成からなる多色表示装置を駆動した結果、輝度の高い鮮明なフルカラー動画表示を得ることができた。
実施例3
以下のようにして、図3に記載の層構成の多色表示装置を作製した。
ガラス基板1上に、ITOを膜厚200nmで蒸着して陽極20(シート抵抗30Ω/□)を形成した。この陽極20上に、真空蒸着法により化合物1を膜厚60nmに一面蒸着して正孔輸送層21を形成した。次いで、シャドーマスクをかけ、TCTAと例示化合物3−2(TCTA:3−2=93:7)を共蒸着して、膜厚33nmの青色発光層22を形成した。
次に、シャドーマスクを横にずらし、TCTAと例示化合物2−20(TCTA:2−20=93:7)を共蒸着し、膜厚33nmの緑色発光層23を形成した。
更に、シャドーマスクを横にずらし、TCTAと例示化合物2−6(TCTA:2−6=93:7)を共蒸着して膜厚33nmの赤色発光層24を形成した。
次に、シャドーマスクをはずし、化合物2を膜厚30nmで一面蒸着して、正孔阻止層の役割も兼ねた電子輸送層25を設けた。その上に、さらに、Alq3を膜厚20nmとなるよう真空蒸着して電子輸送層26とした。
最後に、シャドーマスクをかけ、Alを膜厚200nm蒸着して陰極27を形成することで、図3の層構成からなる多色表示装置を作製した。
この多色表示装置を駆動した結果、輝度の高い鮮明な動画を表示することができた。
有機エレクトロルミネッセンス素子の構成の一例を示す断面図である。 有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた多色表示装置の表示部の一例を示す模式図である。 有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた多色表示装置の他の一例を示す模式図である。
符号の説明
1 ガラス基板
2 配線部
3 画素
5 走査線
6 データ線
20 陽極
21 正孔輸送層
22 青色発光層
23 緑色発光層
24 赤色発光層
25、26 電子輸送層
27 陰極

Claims (4)

  1. 下記一般式(3)で表される部分構造を有する化合物またはその互変異性体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2007227948
    〔式中、Cは炭素原子、Nは窒素原子を表し、Z31は炭素原子および窒素原子とともに芳香族環を形成するのに必要な原子群を表し、Z32は炭素原子とともに5員芳香族環を形成するのに必要な炭素原子、窒素原子または酸素原子により構成される原子群を表し、Mは金属を表す。〕
  2. 前記一般式(3)のMで表される金属が、イリジウム、白金またはオスミウムであることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 発光層が、前記一般式(3)で表される部分構造を有する化合物またはその互変異性体を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする表示装置。
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