JP3646869B2 - サービス管理装置、それと通信する機器、および、そのプログラムが記録された記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、消耗部品・消費部品に対するサービス管理方法及びそれに係わるサービス管理ネットワークシステムに関し、好適には、複写機・プリンタ等の画像形成装置の消耗部品・消費部品の管理方法、納入方法、課金方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機・プリンタ等の画像形成装置を継続的に使用すると、トナーカートリッジ、感光体カートリッジ等の消耗部品・消費部品の交換が必要になる。
【0003】
ここで、消耗部品とは、消耗材としての感光体を有する感光体カートリッジ等の部品を意味し、一方、消費部品とは、消費材としてのトナー、インク等の部材を有するトナーカートリッジ、インクカートリッジ等の部品を意味するものとする。しかし、消耗部品の場合も、新たな消耗部品と交換されるという意味では、消費物であること、また、上記感光体カートリッジ及びトナーカートリッジを単一のカートリッジとして形成したカートリッジ形態も存在すること等から、特に、両者を区別する必要がない場合には、両者を統合した意味で、消費部品を用いることにする。
【0004】
このような、消費部品の交換を前提とした機器では、消費部品の枯渇に伴う機器の不稼動状態を回避するために、機器使用者は、予備としての消費部品を予め購入して用意しておくのが一般的である。
【0005】
このとき、当然の事ながら料金が発生する。すなわち、現在の課金サービス方法は、消費部品の購入過程の後に該消費部品を保有する権利が発生するシステムであるので、購入過程無くして保有権を得ることができず、したがって、予備の消費部品を用意しておくためには、消費部品の購入が必要であるからである。
【0006】
予算申請が厳しい状況にあっては、消費部品に対する出費を抑制することが求められる。その一つの解決方法として、予め購入しておく消費部品の数を少量にすることが考えられるが、予備の消費部品を補充するサイクルも短くなるので、現在使用している消費部品の残量及び予備の消費部品の数の確認等の作業も頻繁に行わなければならず、負担が大きくなる。このような作業は、通常、機器使用者あるいは管理者が行うことになるが、本来の業務の合間に行われるため、対応できない、あるいは対応しないといった可能性が大きい。
【0007】
このような理由により、結局は、現在必要とする数以上の消費部品を予備として購入しておくことが多く行われている。
【0008】
また、環境の面から、上記消費部品のリサイクル化、リユース化が推進されている。ここで、リサイクルとは、使用済みの消費部品を回収し、材料毎に分別した後、該部品を粉砕し、材料として再生することをいう。また、リユースとは、洗浄、研磨等の簡単な加工により消費部品を再利用することをいう。
【0009】
この場合、トナーカートリッジの個々の部品に関する使用履歴を考慮して、部品をリユースするか、または、破棄するかの判断を行うために、トナーカートリッジに記憶手段を設け、個々の部品に関する使用履歴を該記憶手段に記憶させる方法がある。
【0010】
たとえば、特開平11−126008号公報によれば、トナーカートリッジを構成する現像シリンダ、感光ドラム、クリーニングブレード等の個々の部品に関し、ロット番号、リサイクル回数、累積印刷枚数等の使用履歴をEEPROM等の記憶手段に記憶させ、該記憶手段をトナーカートリッジに着脱自在に具えておくことによって、返品された使用済みのトナーカートリッジが再生利用可能か否かを的確に管理できるようにした技術が開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、リース切れ等により現在の画像形成装置をリース会社に返却する場合、あるいは、画像形成装置の償却が終了して廃棄する場合等において、機器使用者が、これまでの装置用の消費部品を予備として保有していたとすると、該消費部品は全く無駄になってしまう。
【0012】
また、リース契約更新時において機種を変更した場合であっても、これまでの装置用の消費部品と新たな装置用の消費部品との間に互換性が保たれなければ、保有している古い装置用の消費部品は全く無駄になってしまう。
【0013】
特に、オフィス等の多量印刷シーンにおいては、その需要に応じるために、多量の消費部品を購入しておく必要があり、多大な事前出費を伴っている。したがって、上記事態が生じた場合の損害も多大なものとなる。
【0014】
上記課題を極力解決する方法として、機器の使用状況、たとえば、消費部品の前回の交換日時、消費部品が交換されてからの機器の使用時間、印字枚数等の情報を、該消費部品に装備したICチップ等に記憶させ、該情報を参照することで、感光体及びトナーの寿命予測を行う技術がある。
【0015】
このような機能を有する画像形成装置によれば、感光体カートリッジ及びトナーカートリッジ等の寿命予測を電子的手段によって正確に行うようにすれば、消費部品の事前購入数をなるべく少なくした状態であっても、日頃の消費物の管理を自動化して確実に行うことができないこともない。
【0016】
しかしながら、予測の精度を向上できたとしても、予備の消費部品が必要であり、該消費部品の入手には出費が伴うという点には変わりはない。さらに、予測を行うアルゴリズムの性能次第で、予測精度は大幅に変わり、予測である以上、本質的に100%の精度は得られない。
【0017】
以上のように、消費部品の枯渇に伴う機器の不稼動状態を回避するためには予備の消費部品の確保が必要であるが、現在の課金システムでは該消費部品の確保のために購入する必要があり、さらに、出費により得た該予備の消費部品が、実際には必要とせず無駄になるかも知れないという点に問題がある。
【0018】
また、上記特開平11−126008号公報は、トナーカートリッジの構成部品が再生利用可能か否かの判断を行う根拠とするために、個々の構成部品に関する使用履歴を記憶するものであるが、それはトナーカートリッジの製造コスト削減や、エネルギーおよび環境資源の浪費抑制をねらったものであり、機器使用者側で予備の消費部品の無駄な出費が発生する点を何ら改善するものではない。
【0019】
また、トナーカートリッジが複数の部品から形成されている場合には、個々の部品に関して、その使用履歴を記憶させておく必要がある。したがって、記憶する情報量の増大に伴い、記憶手段の記憶容量が大きくなるという問題や、情報入力時の所要時間の長期化、生産性の悪化、コストアップ等の問題もある。さらに、使用履歴を正確に把握する必要性から、ユーザ側において使用枚数あるいは累積使用時間の書き込みを要求する場合には、印字装置自体に記憶手段に対して書き込みを行う機能を具備しておく必要があり、装置及び処理の複雑化等の問題があった。
【0020】
本発明は、以上を解決するためになされたものであって、消費部品の枯渇に伴う機器の不稼動状態を回避するために機器使用者に納入した消費部品の内、実際に使用した消費部品に対してのみ課金対象とすることにより、予測といった不確実な方法を採る必要なしに、不必要な出費を抑制することができる方法及びシステム等を提供する。さらに、リサイクル回数に応じて、課金額を変動させることにより、適正な価格対性能比を有した消費部品を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
・本発明のサービス管理方法は、上記の課題を解決するために、サービス受給者に対し納入した流通物を特定する情報、該サービス受給者による流通物の使用状況、及び流通物のリサイクル情報もしくはリユース情報を(コンピュータの記憶部に)随時記録した管理テーブルに(コンピュータの演算処理部が)アクセスし、該サービス受給者が購入したと認定し得る流通物の数と、その数に含めた流通物のリサイクル情報もしくはリユース情報とを読み出すステップと、読み出した流通物の数とリサイクル情報もしくはリユース情報とに基づき、該サービス受給者に請求する課金額を(上記演算処理部が)計算するステップとを、プログラムされたコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0022】
これにより、サービス受給者に納入しただけに過ぎない未使用状態の流通物は課金処理の対象とならず、サービス受給者が購入したと認定し得る流通物のみについて求めた課金額が、サービス受給者に請求される。しかも、その課金額は、流通物のリサイクル情報もしくはリユース情報を考慮して求められているので、流通物のリサイクル回数もしくはリユース回数に応じた減額等によって、リサイクルもしくはリユース履歴の無い流通物と区別した課金処理が可能である。
【0023】
この結果、サービス受給者に無駄の無い課金額を請求する、合理的なサービスを提供することができ、サービス提供者にとっては、上記のサービスを提供することによって、顧客の確保が確実に行えるので、流通物の販売を安定に行うことができる。
【0024】
さらに、流通物のリサイクル情報もしくはリユース情報に基づき課金額を計算するようにしているので、リサイクルに伴う部品の性能劣化分を課金額に換算することで、リサイクル品と非リサイクル品とを同一の市場に投入することができる。
【0025】
また、サービス受給者に納入した流通物の情報がサービス提供者のコンピュータにおける管理テーブルに随時記録されているので、当サービスに適用されない海賊版としての流通物を排除することもできる。すなわち、サービス受給者が使用する流通物は、サービス提供者から直接提供され、サービス提供者自らのコンピュータに記録されるので、海賊版が記録されることはなく、したがって、海賊版に対して本発明のサービスが適用されることはないからである。
【0026】
また、サービス提供者は、複数のサービス受給者で使用される流通物を、管理テーブルによって一元的に管理することができるので、異なるサービス受給者で同一の流通物の使用を検出した場合には、正規品と海賊版の区別が可能となり、したがって、海賊版と認定された流通物を使用しているサービス受給者に警告等を行うことにより、海賊版を排除することができる。
【0027】
以上のようにして、同一の流通物の使用は、サービス提供者において簡単にチェックすることができ、また、サービス提供者の手により登録された流通物の情報に基づいて、当該流通物を納入したサービス受給者を特定することができるので、海賊版を使用しているサービス受給者の割り出しを簡単に行うことができる。
【0028】
・本発明のサービス管理方法は、上記の課題を解決するために、サービス受給者に対し納入する流通物の情報をコンピュータの管理テーブルに登録するステップと、サービス受給者に納入した流通物の情報と(コンピュータの通信部または入力部を介して)取得した残量情報とリサイクル情報あるいは/及びリユース情報とに基づいて、サービス受給者に納入した流通物の残量及びリサイクル情報あるいは/及びリユース情報に応じた課金額をコンピュータに計算させるステップとを有することを特徴としている。
【0029】
これによれば、流通物の残量情報を取得するようにし、流通物の残量、すなわち消費量に基づいて課金額を決定しているので、たとえば、トナーカートリッジにおけるトナーのように、残量トナーを有する場合であっても、該残量トナーに対しては課金対象外となり、サービス受給者にとって一層経済的できめ細やかなサービス方法を提供することができる。
【0030】
・本発明のサービス管理方法は、上記の課題を解決するために、機器を動作させるのに必要な流通物を提供するためのコンピュータを用いたサービス管理方法において、サービス提供者が、サービス受給者に対し納入する流通物を特定するための固有情報とリサイクル情報あるいは/及びリユース情報とをコンピュータの管理テーブルに登録するステップと、サービス受給者に設置された機器が読み出した、該機器に装着されている流通物の固有情報を少なくとも含む情報を、(サービス提供者がコンピュータを操作して)ネットワークを介してサービス受給者から受信するステップと、サービス受給者から受信した情報を基に、該サービス受給者が購入したと認定し得る流通物を上記管理テーブル上で(サービス提供者が)特定するステップと、上記特定した流通物の数とそのリサイクル情報もしくはリユース情報とに基づき、該サービス受給者に請求する課金額をコンピュータに計算させるステップとを有することを特徴としている。
【0031】
これによれば、サービス提供者が、コンピュータを操作して上記の処理を行わせることにより、上記した同様の効果を得ることができる。特に、リサイクル情報あるいは/及びリユース情報を、たとえば、サービス提供者のコンピュータにて管理することにより、流通物の固有情報のみをネットワークを介して送受信することができるので、ネットワーク負荷を低減することができる。
【0032】
このとき、流通物を製造するメーカと本発明のサービス提供者が同一であれば、これら情報の入手に関しては問題はない。製造時において、流通物の固有情報を付与する際に、該情報をコンピュータに入力することができると共に、リサイクル情報もコンピュータに入力することができるからである。このような場合では、さらに、流通物の製造時等に流通物の固有情報を付与するコンピュータとリサイクル情報あるいは/及びリユース情報を入力するコンピュータとは同一であってよい。
【0033】
一方、流通物を製造するメーカと本発明のサービス提供者が同一でない場合には、サービス提供者はメーカに対し、流通物に対して与えられる固有情報と該流通物のリサイクル情報あるいは/及びリユース情報をペアにしてICチップ等の情報記録体に形成するよう要求する。さらに、流通物の固有情報と関連づけられたリサイクル情報あるいは/及びリユース情報を電子ファイルとして入手し、コンピュータの管理テーブルに保存する。これにより、流通物の固有情報を手がかりとして、該流通物のリサイクル情報あるいは/及びリユース情報を上記ファイルから得ることができる。
【0034】
・本発明のサービス管理方法は、上記の課題を解決するために、機器を動作させるのに必要な流通物を提供するためのコンピュータを用いたサービス管理方法において、サービス提供者が、サービス受給者に対し納入する流通物を特定するための固有情報をコンピュータの管理テーブルに登録するステップと、サービス受給者に設置される機器が読み出した、該機器に装着されている流通物の固有情報とリサイクル情報あるいは/及びリユース情報とを少なくとも含む情報を、サービス受給者から受信するステップと、サービス受給者から受信した情報を基に、該サービス受給者が購入したと認定し得る流通物を上記管理テーブル上で特定するステップと、上記特定した流通物の数とそのリサイクル情報もしくはリユース情報とに基づき、該サービス受給者に請求する課金額をコンピュータに計算させるステップとを有することを特徴としている。
【0035】
これによれば、上記した同様の効果を得ることができる。特に、サービス提供者は、リサイクル情報あるいは/及びリユース情報をサービス受給者から受信することによって、リサイクル情報あるいは/及びリユース情報を統括的に管理する必要がなくなるので、サービス提供者の管理負荷を低減することができる。
【0036】
・本発明のサービス管理方法は、上記の課題を解決するために、サービス受給者に対し納入した流通物を特定する情報、該サービス受給者が使用した流通物の残量情報、及び流通物のリサイクル情報もしくはリユース情報を随時記録した管理テーブルにアクセスし、該サービス受給者が使用した流通物の残量情報とリサイクル情報もしくはリユース情報とを読み出すステップと、読み出した流通物の残量情報とリサイクル情報もしくはリユース情報とに基づき、該サービス受給者に請求する課金額を計算するステップとを、プログラムされたコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0037】
これにより、前述した作用効果と同様にして、管理テーブルの記録に基づいて、サービス受給者に経済的なサービス方法を提供することができる。
【0038】
・本発明のサービス管理装置は、上記の課題を解決するために、サービス受給者に対し納入する流通物の情報とリサイクル情報あるいは/及びリユース情報とを登録する記憶部と、該流通物の使用状況を入力する入力部と、該サービス受給者に納入した流通物の内、使用された流通物の数または量とリサイクル情報あるいは/及びリユース情報とに基づいて課金額を計算する演算処理部と、を有することを特徴としている。
【0039】
これによれば、演算処理部が、記憶部に登録された流通物の情報から納入数または納入量を取り込み、入力部を介して入力された使用状況の情報から使用数または使用量を取り込んで、納入数または納入量から使用数または使用量を引き算することにより、サービス受給者における実際の消費数または消費量を求めることができるので、予め納入される未使用状態の流通物には課金せず、実際に使用した流通物に対してのみ課金するという新たなサービスを一元的に管理することが可能となる。
【0040】
なお、登録時に該流通物の情報とサービス受給者情報とを対にして保存しておくならば、流通物の使用過程において、サービス受給者が流通物情報のみを上記サービス管理装置に送信する場合であっても、サービス管理装置において該流通物を使用したサービス受給者を特定することができる。したがって、流通物の使用時に流通物の固有情報とサービス受給者情報とを対にして受信する場合に比べて、受信すべき情報量を削減することができるので、入力負荷及び演算処理負荷を軽減することができる。
【0041】
さらに、実際の消費量に基づいて課金額を決定するようにしているので、たとえば、トナーカートリッジにおけるトナーのように、残量トナーを有する場合であっても、該残量トナーに対しては課金対象外となり、サービス受給者にとって経済的なサービス方法を提供することができる。
【0042】
さらに、流通物のリサイクル情報もしくはリユース情報に基づき課金額を計算するようにしているので、リサイクルに伴う部品の性能劣化分を課金額に換算することで、サービス受給者に合理的な課金額を請求することができると共に、リサイクル品と非リサイクル品とを同一の市場に投入することができる。
【0043】
・本発明のサービス管理装置は、上記の課題を解決するために、サービス受給者に対し納入する流通物を特定するための固有情報を登録する記憶部と、該流通物の固有情報とリサイクル情報あるいは/及びリユース情報とをネットワークを介して検出するための通信部と、該サービス受給者に納入した流通物の内、使用された流通物の数または量とリサイクル情報あるいは/及びリユース情報とに基づいて課金額を計算する演算処理部と、を有することを特徴としている。
【0044】
これによれば、固有情報を記憶部に登録しておくことにより、サービス受給者に対し納入した流通物の特定が容易になり、演算処理部が流通物の使用状況の管理を個々の流通物ごとにきめ細かく行うことが可能になる。また、ネットワークを介してサービス受給者による該流通物の使用状況を検出するため、サービス提供者は遠隔地に居ながら確実かつほぼリアルタイムで、サービス受給者の購入状況を入手することができる。また、サービス受給者が複数であっても、その入手を容易に行うことができる。さらに、サービス提供者はリサイクル情報あるいは/及びリユース情報を記憶部にて統括的に管理する必要がなくなるので、サービス提供者の管理負荷を低減することができる。
【0045】
また、サービス受給者に提供する流通物一つ一つについて固有情報を割り当てて記憶部に登録しているので、固有情報を通信部によってネットワークを介して検出したときに、演算処理部は、サービス受給者が当該固有情報の付された流通物を使用したと同定することができる。
【0046】
さらに、検出した固有情報が登録した固有情報に一致するかどうかを判定することにより、サービス受給者が海賊版を使用しているか否かを簡単に検出することができる。また、異なるサービス受給者から同じ固有情報を検出した場合にも、市場に海賊版が出回っていることを検出できる。
【0047】
その上、流通物が機器に装着して使用するものであり、機器が流通物の固有情報を読み取ってサービス管理装置に送信するように構成した場合には、機器に装着された流通物の該情報が同じであるか異なっているかによって、たとえば、画像形成装置の場合にはペーパージャム処置時等の同一流通物の抜き差しか、あるいは、交換による新規流通物の装着かを演算処理部は電子的に判断することができる。したがって、装着された流通物の該情報が新たな場合、その通知結果をもって、流通物の使用と同定することが可能となる。
【0048】
なお、登録時に該流通物の固有情報とサービス受給者情報とを対にして保存しておくならば、流通物の使用過程において、サービス受給者が流通物情報のみを上記端末に送信する場合であっても、端末において該流通物を使用したサービス受給者を特定することができる。したがって、流通物の使用時に流通物の固有情報とサービス受給者情報とを対にして受信する場合に比べて、受信すべき情報量を削減することができるので、ネットワーク負荷及び演算処理負荷を軽減することができる。
【0049】
・本発明の流通物は、複数の構成部材から構成される流通物であって、該構成部材のリサイクル回数あるいは/及びリユース回数に重み付けを行って総和を求めた値に関する情報を、該流通物のリサイクル回数あるいは/及びリユース回数を示す情報として記録した情報記録体を該流通物に付随させて流通させることを特徴としている。
【0050】
これによれば、本発明のサービス管理方法を実施するサービス提供者は、該流通物をサービス受給者に納入するとき、あるいは該流通物をサービス受給者から回収したときに、該流通物に付随しているリサイクル回数あるいは/及びリユース回数を示す情報を、流通物毎に対応付けて確実に入手することができる。また、該情報を読み取る携帯型の読み取り器を用いれば、課金額の請求する場所と時期とに柔軟性を持たせることもできる。
【0051】
さらに、流通物を構成する部材が複数であり、該複数の部材のリサイクル回数あるいは/及びリユース回数を流通物に直接またはICチップ等の情報記録体に形成する場合において、リサイクル回数あるいは/及びリユース回数を示す情報が総和を求めた値に関する情報なので、複数の部材のリサイクル回数あるいは/及びリユース回数を個々に記録する場合に比べて、情報記録体に記録する情報量を低減することができる。
【0052】
たとえば、流通物に凹凸等を形成することにより情報を形成する場合には、該凹凸の形成量を削減できるので、金型が複雑にならず、製造コストの低減を図ることができる。また、ICチップに情報を形成する場合には、該ICチップの記憶容量を削減することができる。
【0053】
また、上記リサイクル回数及びリユース回数等の情報をICチップに記憶するようにすれば、従来、海賊版を排除する目的で装着が検討されているICチップをそのまま利用することができ、ハードウエア上の新たなコストアップを発生することなく、本発明において必要な流通物の固有情報を記憶させることができる。
【0054】
・本発明の流通物は、本発明に係る上記のサービス管理方法において用いられることを特徴としている。
【0055】
これにより、本発明の流通物は、本発明に係る上記のサービス管理方法によって管理されるので、この流通物を取り扱うサービス提供者およびサービス受給者は、サービス管理方法により得られる上記効果を享受することができる。
【0056】
・本発明のサービス管理ネットワークシステムは、固有情報を有して特定可能であり、消費または消耗される流通物が、装脱着可能に配設される機器であって、該流通物から上記固有情報を検出するための読み取り部と、該読み取った情報をネットワークを介して外部に送信する送信部と、該読み取り部及び送信部の制御を行うコントローラ部と、を有する機器から構成される第1のグループと、上記第1のグループと通信を行うための通信部と、第1のグループにおける流通物の情報を登録する記憶部と、該流通物の使用状況を入力する入力部と、該流通物の納入数の内、実際に使用された数あるいは量とリサイクル情報あるいは/及びリユース情報とに基づいて課金額を計算する演算処理部と、を有するサービス管理装置から構成される第2のグループとから構成されることを特徴としている。
【0057】
これによれば、前述のサービス管理方法をネットワークシステム及びICチップ等のIT技術を利用することにより実現することができる。
【0058】
また、第1のグループにて予備の流通物と交換された事実を、新たな固有情報の検出をもって、購入行為として同定することができる。
【0059】
また、仮に、海賊版が使用されていたとしても、機器は、該流通物に形成されている流通物の固有情報を読み取り、ネットワークを介して外部に送信するように動作するため、サービス管理装置は、受信した固有情報と、記憶部に登録した流通物の情報とを比較することにより、使用された流通物が正規の流通物か海賊版かをチェックすることができる。この結果、流通物の固有情報を有しない流通物はこのチェックに基づいて排除できる。
【0060】
たとえば、異なるサービス受給者から同一の固有情報が検出された場合、サービス管理装置はどちらかの流通物が海賊版であると認識することができる。一般には、時間的に後で検出された流通物が海賊版(=正規品の固有情報をコピー)である可能性が高く、排除される。
【0061】
さらに、リサイクル情報あるいは/及びリユース情報とに基づいて課金額を計算するようにしているので、リサイクル品あるいはリユース品の通常の新規製品に対する性能及びイメージのハンディキャップをなくすことができ、また、該情報をサービス受給者にオープンにすることで透明度の高い商品販売並びにサービスを提供することができる。
【0062】
また、ネットワークを介して流通物の情報を監視できるので、リサイクル品である場合には、非リサイクル品に比べて余寿命が短い等の問題発生予測を事前に行うことができ、問題が発生する前に対応策を講じることができる。また、ネットワークを介した処理なので、リアルタイム処理が可能となる。
【0063】
・本発明のサービス管理ネットワークシステムは、固有情報を有して特定可能であり、消費または消耗される流通物が、装脱着可能に配設される機器であって、該流通物から上記固有情報を検出するための読み取り部と、流通物の残量を測定するための残量検出部と、該読み取り部及び残量検出部からの情報をネットワークを介して外部に送信する送信部と、該読み取り部、残量検出部及び送信部の制御を行うコントローラ部と、を有する機器から構成される第1のグループと、上記第1のグループと通信を行うための通信部と、第1のグループにおける流通物に関し、リサイクル情報あるいは/及びリユース情報を含む情報を登録する記憶部と、該通信部を介して取得した流通物の残量とリサイクル情報あるいは/及びリユース情報とに基づいて課金額を計算する演算処理部と、を有するサービス管理装置から構成される第2のグループとから構成されることを特徴としている。
【0064】
これによれば、上記の効果に加えて、機器に装着されている流通物の固有情報及び該流通物の残量を読み出すというサービス受給者側における簡単なステップにより、流通物の実際の使用量に基づいた、サービス受給者にとって無駄の無い課金サービスを提供することができる。
【0065】
・本発明のサービス管理ネットワークシステムは、固有情報を有して特定可能であり、消費または消耗される流通物が、装脱着可能に配設される機器であって、該流通物から上記固有情報を検出するための読み取り部と、該読み取り部からの情報をネットワークを介して外部に送信する送信部と、該読み取り部及び送信部の制御を行うコントローラ部と、を有する機器から構成される第1のグループと、上記第1のグループと通信を行うための通信部と、第1のグループにおける流通物に関し、リサイクル情報あるいは/及びリユース情報を含む情報を登録する記憶部と、通信部で取得した流通物の固有情報の変化を検出することによってサービス受給者における流通物の交換を認定する交換認定部と、流通物の残量を測定するための残量検出部と、該流通物の残量とリサイクル情報あるいは/及びリユース情報とに基づいて課金額を計算する演算処理部と、を有するサービス管理装置から構成される第2のグループとから構成されることを特徴としている。
【0066】
これによれば、上記した同様の効果を得ることができる。さらに、上記サービス管理方法と比較し、機器が備える残量検出部を省略できるので、機器の小型化、制御フローの簡略化に伴う演算処理負荷の軽減及び該制御フローを記憶しておくためのメモリ等のハードウエアの削減を行うことができる。さらに、サービス提供者側に残量検出部を設けるようにしているので、トナー残量を簡単かつ正確に測定することができる。したがって、よりきめ細かな課金額の設定を行うことができる。
【0067】
・本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明のサービス管理方法を実行するプログラムを記録したことを特徴としている。
【0068】
上記構成によれば、上記記録媒体に記録されたプログラムを、コンピュータにロードすることによって、一般的なコンピュータを用いて、本発明のサービス管理方法をサービス受給者に提供することができる。
【0069】
なお、本発明のサービス管理方法を、サービス受給者に対し納入する流通物の情報を(コンピュータの演算処理部が記憶部に)登録するステップと、サービス受給者による該流通物の使用状況を(上記演算処理部がコンピュータの通信部または入力部を介して)取得するステップと、該使用状況が流通物の使用と(上記演算処理部によって)判断される情報の場合に、(上記演算処理部が)該使用を購入アクションと認定するステップと、流通物の納入数の内、該購入アクションと認定された流通物の数と該流通物のリサイクル情報もしくはリユース情報とに基づき(上記演算処理部が)課金額を計算するステップとを、プログラムされたコンピュータに実行させるように構成してもよい。
【0070】
これによれば、サービス受給者に納入しただけに過ぎない未使用状態の流通物には課金されず、サービス受給者が購入アクションを取ったと認定される流通物に対してのみ課金する処理が実行されるので、サービス受給者は、余計な事前支出を抑えることができる。
【0071】
一方、サービス提供者にとっては、上記のサービスを提供することによって、顧客の確保が確実に行えるので、流通物の販売を安定に行うことができる。また、事前に納入する流通物の情報がサービス提供者のコンピュータに登録されるので、当サービスに適用されない海賊版としての流通物を排除することもできる。すなわち、サービス受給者が使用する流通物は、サービス提供者から直接提供され、サービス提供者自らのコンピュータに登録されるので、海賊版が登録されることはなく、したがって、海賊版に対して本発明のサービスが適用されることはない。
【0072】
また、サービス提供者は、複数のサービス受給者で使用される流通物を一元的に管理することができるので、異なるサービス受給者で同一の流通物の使用を検出した場合には、正規品と海賊版の区別が可能となり、したがって、海賊版と認定された流通物を使用しているサービス受給者に警告等を行うことにより、海賊版を排除することができる。
【0073】
以上のようにして、同一の流通物の使用は、サービス提供者において簡単にチェックすることができ、また、サービス提供者の手により登録された流通物の情報に基づいて、当該流通物を納入したサービス受給者を特定することができるので、海賊版を使用しているサービス受給者の割り出しを簡単に行うことができる。
【0074】
さらに、流通物のリサイクル情報もしくはリユース情報も併せて登録または別途取得することにより、リサイクル情報もしくはリユース情報に基づき課金額を計算するようにしているので、リサイクルに伴う部品の性能劣化分を課金額に換算することで、リサイクル品と非リサイクル品とを同一の市場に投入することができる。
【0075】
本発明のサービス管理方法を、サービス受給者に対し納入する流通物を特定するための固有情報を登録するステップと、サービス受給者による該流通物の使用をネットワークを介して検出するステップと、該使用を購入アクションと認定するステップと、流通物の納入数の内、該購入アクションと認定された流通物の数と該流通物のリサイクル情報もしくはリユース情報とに基づき課金額を計算するステップとを、プログラムされたコンピュータに実行させるように構成してもよい。
【0076】
これにより、上記効果に加え、固有情報を登録しておくことにより、サービス受給者に対し納入した流通物の特定が容易になり、流通物の使用状況の管理を個々の流通物ごとにきめ細かく行うことが可能になる。また、ネットワークを介してサービス受給者による該流通物の使用を検出するため、サービス提供者は遠隔地に居ながら確実かつほぼリアルタイムで、サービス受給者の購入状況を入手することができる。
【0077】
また、サービス受給者が複数であっても、その入手は容易である。
【0078】
本発明のサービス管理装置を、サービス受給者に対し納入する流通物を特定するための固有情報とリサイクル情報あるいは/及びリユース情報とを登録する記憶部と、該流通物の使用状況をネットワークを介して検出するための通信部と、該サービス受給者に納入した流通物の内、使用された流通物の数または量とリサイクル情報あるいは/及びリユース情報とに基づいて課金額を計算する演算処理部と、を有する構成としてもよい。
【0079】
これによれば、固有情報を記憶部に登録しておくことにより、サービス受給者に対し納入した流通物の特定が容易になり、演算処理部が流通物の使用状況の管理を個々の流通物ごとにきめ細かく行うことが可能になる。また、サービス受給者に対し納入する流通物の固有情報とリサイクル情報あるいは/及びリユース情報とを記憶部にて統括的に管理できるので、課金額算出に必要な上記情報が揃っているか否かを事前に確認することが簡単にでき、確実かつ正確な課金計算を行うことができ、したがって、確実かつ正確なサービスを行うことができる。
【0080】
また、上記効果に加え、ネットワークを介してサービス受給者による該流通物の使用状況を検出するため、サービス提供者は遠隔地に居ながら確実かつほぼリアルタイムで、サービス受給者の使用状況を入手することができる。
【0081】
本発明の流通物は、さらに、トナーを蓄えてなるカートリッジであることが好ましい。
【0082】
電子写真方式の画像形成装置は、一般に、該トナーカートリッジ等の消耗品の交換を前提として設計されており、画像形成装置本体以上にアフターマーケットとしての市場が大きいため、海賊版の製造・販売が横行している。このような状況にあって、本発明によるサービス管理方法を利用すれば、海賊版を排除しながら、正規流通物を提供することができるという効果を奏する。つまり、該流通物は、製造、流通、販売全ての過程をサービス提供者が保証及び管理しているので、海賊版が紛れ込む余地がなく、さらに、納入時において流通物を登録するのはサービス提供者であるので、サービス提供者が認めた流通物のみをサービス対象とすることができる。
【0083】
本発明の流通物は、さらに、インクを蓄えてなるカートリッジであることが好ましい。
【0084】
これにより、インクジェットプリンタのインクカートリッジに対しても同様の効果を有する。
【0085】
本発明のサービス管理ネットワークシステムは、さらに、上記機器が画像形成装置であることが好ましい。
【0086】
これにより、ネットワーク接続された画像形成装置に対し、トナーカートリッジ等の流通物情報をネットワークを通じて一元管理しながら、本発明のサービスを提供することができる。
【0087】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
(流通物)
本実施の形態に於いて、流通物とは、機能から見れば装置の一部を構成し、交換により性能が回復・保持できるものを指す。たとえば、装置が、画像形成装置の場合には、トナーカートリッジあるいは現像カートリッジ、感光体カートリッジ、現像部材と感光体とが一体的に形成されたカートリッジ、インクカートリッジ、インクタンクと印字ヘッドが一体的に形成されたカートリッジ等が相当する。当業界では、これらの商品をサプライ品と呼ぶ場合がある。
【0088】
さらに、消費材とは、トナー、インクのように、消費される部材を指し、収容体とは、消費材以外の部材を指すものとする。
【0089】
図6に、流通物6がトナーカートリッジの場合の一般例を示す。流通状態のトナーカートリッジ60は、包装材62及び梱包材63により、包装及び梱包されている。これら包装材62及び梱包材63は、品質保持上あるいは保護上使用されており、包装材62は、たとえば、アルミパックであり、また、梱包材63は紙、ダンボールであり、トナーカートリッジ60の実使用上は不要のものである。したがって、流通状態の流通物6には、上記包装材62及び梱包材63等を含めるものとするが、機器装着時の流通物6はトナーカートリッジ60自体を指すものとする。
【0090】
インクジェットプリンタのインクカートリッジも同様な構成である。
【0091】
(ネットワーク構成及び装置構成)
図3は、サービス提供者10と契約者1とのネットワーク上の一般的な構成を示している。
【0092】
サービス提供者10は、契約者1(サービス受給者)に対し、以下で詳細に説明するようなトナーカートリッジ60等の流通物6に関するサービスを提供する。
【0093】
サービス提供者10がリース会社等の場合には、画像形成装置本体に対するリース契約を結ぶサービスであってもよい。
【0094】
ネットワーク20は、たとえば、電話回線等のパブリックネットワークである。以下では、特定の契約者1とサービス提供者10の関係について説明する。
【0095】
まず、サービス提供者10は、後述する画像形成装置2の納入と共に、該画像形成装置2に適合したトナーカートリッジ60等の流通物6を納入する。一般に、同一メーカ製であっても、画像形成装置の機種が異なれば、それに用いられる流通物も異なる場合が多いので、画像形成装置本体情報を基に流通物の型番・コード番号等を決定・確認する。
【0096】
このとき、流通物6の納入数は、特に規定はなく、装置本体で直ちに使用するものを除き、予備が1個以上であればよい。
【0097】
ネットワーク20として、図1に示すように、契約者1側の画像形成装置2は、たとえば電話回線等によりサービス提供者10側の端末12(サービス管理装置)と接続されている。
【0098】
以下に、契約者1側の画像形成装置2の構成について説明する。画像形成装置2は、図示しない画像形成手段と、消耗部品としてのトナーカートリッジ60と、該トナーカートリッジ60に形成されている情報(後述)を読み取るための読み取り部4と、該読み込んだ情報を外部に出力する送受信部5と、センサ回路91と、カートリッジ60のトナー残量を検出するための残量検出部92と、読み取り部4、送受信部5、センサ回路91及び残量検出部92の制御を行うコントローラ部3と、を有している。
【0099】
なお、残量検出部92は本実施の形態において特に必要としないので、設けない構成としても構わない。センサ回路91は、トナーカートリッジ60が画像形成装置2に装着されているか否かを検出するためのセンサ及びその周辺回路からなり、通常の複写機・プリンタには装備されている場合が多いので、それを利用することを前提とする。しかし、該センサがない場合には、代替手段を用いることができるので、必ずしも必要な要件ではない。
【0100】
トナーカートリッジ60としては、前述のようにその表面あるいは内部に固有の情報が記録されていることが好ましい。たとえば、図2に示すように、ICチップ61として搭載し、その中のEEPROM、強誘電体メモリ等の不揮発性メモリに商品種別番号、ID番号及びリサイクル回数、リユース回数等に関するリサイクル情報を予め記憶させておく。あるいは、バーコード等の簡易な方法により形成しても良い。本発明において、ICチップ61に保存するID番号には、特段の秘密保持性を必要としないからである。
【0101】
なお、流通管理、在庫管理等の目的のため、従来から流通物種別を特定するためのバーコードが印刷されている場合がある。このとき、印刷負担、印刷時間、管理負担等を削減するために、同一の流通物に対しては、同一のバーコードが用いられる。したがって、この状態では、異なる種別である場合には、当バーコードによって判別が可能であるが、同じ種別である場合には個々の判別が行えない。
【0102】
これに対し、本発明において流通物6に付与されるバーコードは、流通物6に固有の情報であり、流通物6の個々の判別を可能とする点で、従来のバーコードとは異なっている。
【0103】
本発明に於いては、ICチップ61に記憶させる情報は、基本的に商品種別番号及び該特定の商品におけるID番号及びリサイクル情報であり、これらの情報はトナーカートリッジ60の製造、組立段階において形成されるため、契約者1による使用時には情報の書き換えは必要ないので、メモリ容量・機能も少なくて済み、また、メモリコントローラ等のソフトウエア規模・ハードウエア規模を大幅に削減できる。
【0104】
また、必要に応じて、トナー残量検出センサを設けることにより、現在使用中のトナー量を比較的正確に検出することができる。
【0105】
読み取り部4は、上記トナーカートリッジ60に形成される情報の形態によって異なり、バーコードの場合にはバーコードリーダであり、また、ICチップの場合には電気的あるいは高周波による読み取り手段から構成される。
【0106】
送受信部5は、たとえば、モデムである。接続形態は、電話回線に限定されるものではなく、CATV等でもよい。また、画像形成装置2と端末12との伝送形態としては、全てが有線である必要はなく、一部に無線を介して伝送するものであってもよい。たとえば、図4に示すように、画像形成装置2に搭載もしくは接続される送受信部5の伝送形態を無線とし、契約者1内に設置される第2の送受信部51に対し無線状態で送信し、該第2の送受信部51は有線状態でネットワーク20と接続されている形態を採用することができる。また、送受信部5は、ローカルネットワーク21に接続するための機能を有していてもよい。なお、第2の送受信部51と端末12の通信部121の間が、無線伝送を一部に用いるものであっても当然よい。
【0107】
センサ回路91は、トナーカートリッジ60が画像形成装置2に装着されているか否かを検出するための各種センサ及び該センサからの信号を加工する周辺回路から成る。センサとしては、扉センサ、カートリッジセンサであり、機械式、光学式等の原理のものが用いられる。扉センサは、画像形成装置2の扉の開閉状態を検出するセンサであり、また、カートリッジセンサは、トナーカートリッジ60が画像形成装置2に対し装着されているか否かを検出するためのセンサである。周辺回路としては、該センサ出力の波形整形を行う波形整形回路、フィルタ回路、2値化回路、電圧レベル調整回路等が含まれ、センサ出力を0−5Vの論理レベルを有するデジタル信号に変換する。
【0108】
コントローラ部3は、トナーカートリッジ60の交換があったときなどに、ICチップ61にアクセスしてトナーカートリッジ情報を読み出すよう、読み取り部4に指示を出す。また、該読み取った情報を必要に応じて、外部に送信するよう送受信部5に指示する。また、各種センサからの信号を監視しており、信号内容に応じて所定の指示を行う。装置全体の制御のためにCPUを用いている画像形成装置の場合には、コントローラ部3として該CPUを用いることができる。
【0109】
次に、トナーカートリッジ60に形成される情報の記録内容について説明する。ICチップ61には、トナーカートリッジ60を個々に特定する固有情報及びトナーカートリッジ60のリサイクル回数あるいはリユース回数等の情報が形成されている。すなわち、トナーカートリッジ60を特定する固有情報としては、
0011 0001 0010 1101 1010
等の2進化された20桁の数字であり、たとえば図30(a)(b)に示すように、ICチップ61の記憶領域であるa領域に予め記憶させておく。なお、桁数はこれに限定されるものではない。該数字は、サービス提供者10によって作成され、管理される。
【0110】
次に、上記数字の意味について説明する。
【0111】
最上位4桁の数字は、複数あるトナーカートリッジ60の種類を特定するための情報である。この場合、0000から1111まで、16機種まで区別可能となる。なお、カラー機種の場合であって、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の4色のトナーカートリッジ60が必要である場合には、最上位2桁をカラー情報に割り当ててもよく、例えば、
【0112】
【表1】
【0113】
とすれば、残りの2桁によって4機種まで区別可能となる。たとえば、表2のようになる。
【0114】
【表2】
【0115】
あるいは、表3に示すように、トナーカートリッジA及びB、感光体カートリッジC及びDである。
【0116】
【表3】
【0117】
これらの対応表は、以下に述べる、サービス提供者10側の端末12に、流通物情報テーブルとして用意される。
【0118】
残り16桁の数字部分は、上記例でいえば、0011という種別番号を有するトナーカートリッジ60の個別番号であり、
0000 0000 0000 0000
から
1111 1111 1111 1111
までの65536とおりの数字が、1つのトナーカートリッジ60に対して単一かつ唯一の数字が割り当てられる。この情報も、サービス提供者10側の端末12に、上記流通物情報テーブルに加えられる。
【0119】
上述したルールに従い付与された流通物情報テーブルの一例を図32に示す。同図では、さらに、固有情報と契約者IDとが関連付けされた場合を示している。”契約者ID”情報欄にデータ(この場合には、6桁の数字)が入力されている場合には、該当のトナーカートリッジ60が、該契約者IDを有する契約者1に対して納入されていることを示す。該テーブルを用いることにより、固有情報を検索キーとして、該固有情報を有するトナーカートリッジ60の所有者(契約者1)を特定することができる。
【0120】
次に、サービス提供者10は、図30(a)(b)に示すように、トナーカートリッジ60のリサイクル回数あるいはリユース回数を示した情報をICチップ61の別の記憶領域であるb領域に書き込む。なお、図30(c)に示すように、リサイクル回数とリユース回数とを記録するためのb1領域とb2領域とを別々に設けてもよい。また、フリー領域は、契約者1側で情報の書き込みを必要とする項目、すなわち従来例における印字枚数換算値、印字時間等の記録用領域である。
【0121】
ただし、フリー領域に書き込む項目を作らなくても本発明は達成されるので、該項目を必要とする場合に比べ、メモリ容量を少なくすることができる。また、画像形成装置2側においても、フリー領域に対する情報の書き込み機能が不要となるので、装置構成を簡略化することができる。しかしながら、トナーカートリッジ60の使用状況を正確に管理することにより、より正確なサービスを提供できる場合には、利用するようにしても差し支えない。
【0122】
次に、サービス提供者10の端末12(サービス管理装置)の構成について説明する。
【0123】
図1に示すように、端末12は、たとえば、パーソナルコンピュータ(PC)、ワークステーション(WS)であり、通信部121と、演算処理部122と、入力部123と、記憶部124と、出力部125とから構成されている。
【0124】
通信部121は、ネットワーク20に対して接続するためであり、電話回線の場合には、たとえば、モデムである。また、ローカルネットワーク22に接続するための機能を有していてもよい。
【0125】
演算処理部122は、通信部121あるいは入力部123から入力された情報に対して演算を行う部分であり、たとえば、CPU、メモリである。メモリは、処理結果を一時的に保存しておくためのRAM等のメモリである。演算処理をソフトウエア的に行う場合には、処理手順を記したプログラムを保存しておくための不揮発性メモリを用意する。あるいは、後述する記憶部124にプログラムを保存しておき、プログラム動作時に該記憶部124から読み出し、RAM上で展開してもよい。
【0126】
入力部123は、たとえば、キーボード、マウス、ポインティングデバイス、イメージスキャナ、バーコードスキャナ等であり、契約者1の情報等を入力するために用いられる。
【0127】
記憶部124は、通信部121あるいは入力部123から入力された情報及び演算処理部122により行われた演算結果を記憶するための部分であり、たとえば、ハードディスク、光ディスクである。記憶内容としては、先述した表1乃至3に示した流通物情報テーブル、後述する契約者情報テーブル、契約者1毎のサービス管理テーブル、リサイクル管理テーブル、本発明によるサービス管理方法の処理フローを記したアプリケーションプログラム等がある。
【0128】
また、これらテーブルは、共通するキーを主キーとして関連付けることができる。たとえば、流通物情報テーブル、サービス管理テーブル、固有情報−契約者IDテーブルは、固有情報を主キーとして、また、契約者テーブル、サービス管理テーブル、固有情報−契約者IDテーブルは、契約者IDを主キーとして、それぞれ互いに結びつけることができる。なお、記憶部124は、本発明の記録媒体に相当する。
【0129】
出力部125は、情報のソフトコピー及びハードコピーのためであり、前者に対してはCRTあるいは液晶等のディスプレイが、また、後者に対してはプリンタが該当する。
【0130】
(流通物製造過程)
トナーカートリッジ60の製造業者は、該トナーカートリッジ60を構成する部品の組立及びトナーの充填を行って、包装・梱包することにより、該流通物6を製造する。
【0131】
このとき、ICチップ61には、流通物6の固有情報と流通物6のリサイクル情報、たとえば、リサイクル回数を記憶する。
【0132】
たとえば、バージン材料により製造された収容体を用いてトナーカートリッジ60を製造した場合には、該リサイクル回数としては、0を入力する。同様に、リサイクル回数0のトナーカートリッジ60を回収後、該収容体を粉砕し、素材化することにより得たリサイクル材を用いて収容体を製造した場合には、1を入力する。
【0133】
(登録過程)
次に、システムの動作について説明する。
【0134】
まず、サービス提供者10は、事前情報として契約者1の情報を入手する。図8(a)に契約者テーブル[1]として示すように、該情報は、契約者1を特定できるものであれば何でもよく、たとえば、契約者1が1企業である場合には会社名であり、また、同一会社であっても、事業所毎に契約する場合には該事業所名までを特定する必要があるため、部署名までを登録する。
【0135】
次に、端末12において上記契約者情報を扱うために、サービス提供者10は、契約者1毎に契約者IDを発行する。該契約者IDはユニークであり、図8(a)に示すように、000125等の番号のような1つのID番号が1つの契約者1毎に割り振られる。
【0136】
さらに、サービス対象物としての流通物6を納品するために所在地情報を、また、料金回収のために支払方法等の情報を入手する。
【0137】
以上を、電子ファイルという形態で端末12の記憶部124に保存する。前述の図8(a)は、該ファイルを端末12の出力部125に表示した場合の一例である。
【0138】
次に、サービス提供者10は、契約者1にサービスマンを派遣し、画像形成装置2の設置・設定及び流通物6の納入を行う。該画像形成装置2は外部のネットワーク20と通信可能に接続・設定され、通信可能な状態となった時点で、上記与えられた契約者IDに加えて、該画像形成装置2の機種番号、製品個別のID番号等の情報を送るようにしてもよい。
【0139】
契約者1がどのような種類の画像形成装置2を有しているかを知りさえすればよいのであれば、機種を特定できる機種番号、商品番号等でよいが、契約者1が同一の画像形成装置2を複数有している場合であって、各画像形成装置2毎の情報を個別に知る必要がある場合には、該画像形成装置2を特定できる製造番号等のユニークな情報がよい。
【0140】
複写機の場合には、印字枚数を指定する等のためにテンキーが具えられているので、該入力手段を利用して契約者ID番号あるいは/及び画像形成装置2のID番号を画像形成装置2に簡単に入力することができる。一度入力した契約者ID番号は、不揮発性のメモリに保存されるようにしておけば、契約者1からサービス提供者10に情報を送信する際、改めて入力を行う必要はない。また、画像形成装置2のID番号も出荷時に不揮発性のメモリに保存するようにしておけば、その後において入力動作を省略することができるので、一連の動作を電子的に自動で行うことができる。上述した不揮発性メモリは、コントローラ部3の構成要素の一部として形成する。
【0141】
以上のようにして、端末12には、図8(b)に示すように、契約者テーブル[2]に必要事項が入力される。たとえば、ID番号000003の契約者は、AR−2000及びAR−2001という2種類の画像形成装置2について、本発明によるサービスを受けていることが分かる。
【0142】
なお、上記契約者テーブル[1]と本契約者テーブル[2]とは、ID番号を関連づけるための共通情報として結合し得る。したがって、図8(a)を参照すれば、ID番号000003の契約者は、“C株式会社 △△△事業部”であることが分かる。
【0143】
該端末12は、このステップにより、契約者1の画像形成装置2の機種を自動的に検知することができ、サービス対象としての機種情報を入手することができる。
【0144】
また、該画像形成装置2用のトナーカートリッジ60が性能向上等のため変更されて、該トナーカートリッジ60の種別番号が変更になっても、画像形成装置2の機種情報を基に、最新のトナーカートリッジ60を提供することができる。また、製品個別のID番号は特に必要ではないが、機種は同じでも、製造途中で一部変更等がある場合があるので、トナーカートリッジ60等の流通物等に係わる、あるいはそれらに及ぶ変更がなされた場合には、それに正しく対応するためである。また、一部変更の前後に於いて、画像形成装置2の不具合が発見されたときに、契約者1への不具合の通知等の付加的なサービスを行う場合にも利用できる。
【0145】
なお、サービス提供者10側の端末12には、各契約者1に対し、サービス管理ファイル(管理テーブル)が作成され、記憶部124に保存されている。該ファイルを端末12の出力部125に表示した場合の一例を図9に示す。この場合、使用中カートリッジ・テーブル(同図(a))及び予備カートリッジ・テーブル(同図(b))が用意されているが、予備カートリッジ・テーブルのみであってもよい。初期状態では、図9(a)及び(b)に示すように、契約者1の画像形成装置2で現在使用中のカートリッジ情報及び契約者1側に納入されている予備のカートリッジ情報は入っていない。
【0146】
次に、サービス提供者10は、契約者1側に予め納めるトナーカートリッジ60全てについて情報を収集しておき、該情報を即時に、あるいは後でサービス提供者10の端末12に蓄える。
【0147】
情報収集方法としては、図5(a)に示すように、トナーカートリッジ60を特定できる情報(流通物6の固有情報)を記した情報記録体7を、流通物6の梱包材63に別途貼付しておき、契約者1側に納入する際に、該情報記録体7の情報形成部分73に形成された情報をスキャナで読み込むことで行う。上記情報記録体7の内容は、トナーカートリッジ60に搭載されているICチップ61の記憶内容とほぼ同一であり、たとえば、ID番号であるが、情報の形成方法は同一である必要はない。すなわち、バーコードスキャナで読み取るようなバーコード化したものであってよい。本発明において、流通物6の固有情報としてICチップ61に保存するID番号には、特段の秘密保持性がないので暗号化、復号化のような複雑なデータ処理を要しない簡易な情報形成方法を採用することができる。
【0148】
また、情報記録体7には、リサイクル情報は必要ない。流通物6を特定できる情報が重要であるからである。しかしながら、契約者1の要望として、リサイクル品を許容できる場合もあれば、リサイクル品は不可という場合もあり、これらに対応するためには、契約者1に納入する前にリサイクル品か否かの情報を知り得た方がよい場合もある。このような場合には、情報記録体7に、流通物6の固有情報に加え、該流通物6のリサイクル回数も形成するようにする。
【0149】
このように、ICチップ61と同様の内容(すなわち、流通物6の固有情報)を形成した情報記録体7を、流通物6の梱包材63に別途貼付しておくことにより、サービスマンは、流通物6の納入時において納入する該流通物6の情報を梱包材63等の流通物6の表面に貼付された情報記録体7から入手することが可能となり、梱包材63等を開封して流通物6を取り出し、該流通物6に形成されている固有情報を入手する必要が無く、開封に伴う商品性の喪失を生じることがない。
【0150】
情報収集後、サービスマンは読み込みが済んだことを確認するために、該情報記録体7を回収する。このように、情報記録体7を流通物6から切り離し可能に形成しておけば、情報記録体7の有無により、未納品か既納品かの判断を行うことができる。また、該情報記録体7を持ち帰ることが可能となるので、スキャナが故障している場合等においても、事前登録が行えないという事態を回避することができ、サービス提供者10宅に持ち帰って情報の読み取り及び事前登録を行うことができる。
【0151】
この場合の、情報記録体7の添付方法は、該トナーカートリッジ60を開封することなく得られるように、図5(a)に示すように、梱包材63あるいは包装材62等の保護部材の外表面部分にその一部71を接着剤等によって接着あるいはステープラー等により結合し、情報が記された部分72は切取線Kにより一部71から切り取り可能なように構成されている。
【0152】
該情報記録体7の材質としては、紙、樹脂等のフィルム部材、カール等が生じない程度に厚みを有するシート部材である。硬質のシート部材の場合には、切取線Kから折り取ることとなる。耐久性、情報の読み取り性から、硬質の樹脂である方が好ましい。
【0153】
また、情報記録体7の他の添付方法としては、図5(b)に示すように、情報が形成されていない情報記録体7の裏面に接着剤等により流通物6の梱包材63に貼付しておき、情報73が記された部分72は切取線K1及びK2により接着部分71から切り取り可能なように構成されている。
【0154】
また、情報記録体7のさらに他の添付方法としては、図5(c)に示すように、破損することなく開閉可能な保護部材63の蓋部分の内部64であってもよい。これにより、流通過程において、情報記録体7が劣化することがないので、紙等の素材であっても問題ない。
【0155】
なお、以上では、流通状態の流通物6は梱包材63により梱包されているとしたので、情報記録体7を貼付する箇所は梱包材63であったが、流通状態の流通物6の最外表部分という意味である。
【0156】
スキャナで読み取った情報は、即座に、図示しない通信手段を介して、サービスマンがサービス提供者10側の端末12に送信する。あるいは、スキャナで読み取った情報をフロッピィディスク、メモリスティック等の媒体に保存しておき、持ち帰った後で、サービス提供者10側の端末12に入力する形態であってもよい。
【0157】
通信手段を用いて即座に送信する場合には、スキャナで読み取った情報と契約者ID番号を対にして、端末12に送信する。これにより、端末12側で、契約者1と該契約者1に納入した流通物6の情報とを関連づけることができる。
【0158】
端末12の動作についてより詳細に説明すると、受信した情報から、契約者1を特定する。これは、受信した情報に含まれるユーザIDを識別することで行うことができる。次に、該特定された契約者1に関する管理テーブル(図9)を呼び出す。該管理テーブルは、契約時等において、サービス対象が明確になった時点で契約者1毎に作成されている。
【0159】
次に、受信した情報に含まれるトナーカートリッジ60のID番号を抽出する。該ID番号は、図の全情報欄に入力されるべきデータである。図10(b)は、受信した全情報の入力が完了した状態を示している。同図では、受信順に通し番号が付けられているが、色毎にソートし直してもよい。また、一旦、全受信情報を記憶部124の仮記憶領域(あるいは、作業領域)に保存しておき、全情報に含まれるカラー情報(全情報の最上位2桁)を識別することにより、色毎に整理した上で、図10(b)に自動的に入力するようにすることもできる。このとき、同一色の場合には、固有情報を比較し、該番号の若い順にテーブルに入力するとよい。
【0160】
また、現場では携帯情報端末等を用いて、スキャナで読み取った情報と契約者ID番号を対にして記憶しておき、サービス提供者10宅に帰った時点で、端末12と携帯情報端末を有線接続あるいは赤外線通信を行うことにより、携帯情報端末に記憶されている情報を端末12に転送するようにしてもよい。
【0161】
あるいは、現場でスキャナを用いずとも、回収した情報記録体7の部分72を持ち帰り、サービス提供者10側の端末12に接続されたバーコードスキャナ等の入力部123を用いて情報の読み込み、あるいは、キーボード等を用いて手入力で端末12に入力するようにしてもよい。この場合も、流通物6の固有情報を契約者ID情報と対にして入力する。現場で電子的に情報の読み取り及び送信を行う前者の方法は、即時性があり、また、納品書内容と実際の納入品とが異なるというミスを排除できるので確実性があり、より好ましいといえる。
【0162】
なお、流通物6の固有情報を契約者ID情報と対にして入力する処理は、サービス提供者10から契約者1へ流通物6を発送する前に、サービス提供者10側の端末12に、キーボード等を用いて手入力で行っておく形態でも構わない。
【0163】
まず、現場で電子的に情報の読み取り及び送信を即座に行う場合について説明する。
【0164】
サービス提供者10側の端末12は、受信された情報を基に情報の更新を行う。すなわち、図10(b)は、黒、イエロー、マゼンタ、シアンの各トナーカートリッジ60を2個づつ契約者1に納入した場合を示しているが、全てについて、異なる20桁のコード情報が入力される。他の情報として、納入日が入力される。なお、同図の説明では、ユーザーインターフェースの観点から、トナーカートリッジ60等の種別の情報に関する表示は、コード情報だけでなく、“黒トナー”等のように実際の名称を補助的に使用している。この予備カートリッジ情報の入力が初めての時点では、使用状況欄は、全て“未(予備)”と自動的に表示されるようになっている。
【0165】
したがって、納入直後の時点では、図10(a)に示す現在使用中のカートリッジ情報、リサイクル回数情報に変化はなく、図9(a)と同内容である。
【0166】
次に、サービスマンは、画像形成装置2を動作させるに必要なトナーカートリッジ60を開封し、画像形成装置2にセットする。画像形成装置2は、既に、外部と通信可能に接続・設定され、通信可能な状態となっているので、画像形成装置2は、サービス提供者10側の端末12に対し、セットされた上記トナーカートリッジ60の情報を送信する。
【0167】
該情報には、固有情報に加えてリサイクル回数が含まれていてもよい。該リサイクル回数は、課金額の計算の際に必要となるので、その時点までであれば送信するタイミングはいつでもよいからである。端末12側で、どの契約者1からの情報かを判別するために、契約者IDとともに送信する。
【0168】
以上の動作を自動的に行う場合について、以下に説明する。画像形成装置2には、一般に、扉の開閉具合、トナーカートリッジ60の装着有無を検出するための各種センサが配設されており、コントローラ部3は、各センサを監視する機能を有している。トナーカートリッジセンサからの信号に基づきトナーカートリッジ60の装着を検出すると、コントローラ部3は読み取り部4に対し、トナーカートリッジ60のICチップ61に記憶されている情報、すなわち、固有情報とリサイクル情報を読み出すよう指示する。さらに、送受信部5から該情報を送信するよう送受信部5に送信命令を出す。該動作の詳細については、後述する。
【0169】
サービス提供者10側では、端末12の演算処理部122は、通信部121で受信した情報を基に、図11(a)に示すように、契約者1の画像形成装置2で現在使用中のカートリッジ情報欄を更新する。また、同図(b)に示すように、予備カートリッジ情報として入力されているトナーカートリッジ60であって、上記操作により、現在使用中として設定されたトナーカートリッジ60に対しては、使用状況欄が、“未(予備)”から“現在使用中”に更新される。また、受信した情報を基にリサイクル回数も併せて入力される。
【0170】
なお、通信部121で受信した情報に、新たに使用されたトナーカートリッジ60の固有情報が含まれているかどうかは、使用中カートリッジ・テーブルに同じ固有情報が既に記録されているかどうかを演算処理部122がチェックすることによって検出することができる。また、予備カートリッジ・テーブルで使用状況欄が、“未(予備)”と記録されているトナーカートリッジ60の固有情報と通信部121で受信した情報に含まれている固有情報とを演算処理部122が比較することによっても、たとえば両者が一致した場合に、通信部121で受信した情報に新たに使用されたトナーカートリッジ60の固有情報が含まれていることを検出することができる。
【0171】
以上で、初期の設定・登録は終了する。
【0172】
なお、以上の説明では、該画像形成装置2の機種番号、製品個別のID番号、リサイクル回数等の情報が、サービス提供者10側の端末12に自動的に送られるとしたが、サービス提供者10側が入力部123により端末12に登録するようにしてもよい。
【0173】
図33のフローチャートは、予備カートリッジ・テーブルの新規登録処理を手入力で行う場合に関する演算処理部122の制御動作の流れを示している。以下、フローチャートに基づき演算処理部122の制御動作を説明する。
【0174】
ステップ〔20〕(S20)
初めに、予備カートリッジ・テーブルの新規登録を行うプログラムの実行指示命令により、図9に示す予備カートリッジ・テーブルの新規登録画面を出力部125に表示する。予備カートリッジ・テーブルの新規登録を行うプログラムとは、以下に示すS21〜S27の処理を行うプログラムである。また、該プログラムは端末12の記憶部124に予めインストールされており、またその実行は、出力部125に表示される新規登録を行うプログラムの実行ボタンのクリックの検出により行われる。
【0175】
ステップ〔21〕(S21)
次に、”契約者ID””本体機種”情報、および予備カートリッジ情報欄の”全情報(全桁)”情報欄が入力可能状態となり、入力部123からの情報の入力待ちとなっていることを表示する。たとえば、プロンプトを用いて入力箇所の表示および催促を行う。図9は、”契約者ID”(図示せず)および”本体機種”情報が入力された後の状態を示している。
【0176】
ステップ〔22〕(S22)
次に、図示しない確認ボタンのクリックにより、登録画面の入力内容に対して確認命令が発生したか否かを検出する。確認命令が発生した場合にはS23に処理が移行し、発生しなければ、そのまま待機状態となる。
【0177】
ステップ〔23〕(S23)
続いて、S23では、上記情報および情報欄(入力が必須の情報)の入力が全て行われているか否かを検出する。入力が完了していれば、S24に処理が移行し、入力されていない項目があれば、S25に処理が移行する。
【0178】
ステップ〔24〕(S24)
S24では、”全情報(全桁)”欄に入力された固有情報を基に、図32に示す流通物情報テーブルの”備考”欄を参照して、商品名、型番を読み出し、予備カートリッジ・テーブルの”カラー情報”欄、”機種情報”欄等に転記する。また、”納入日付”欄に対する日付の入力は、”全情報(全桁)”欄に固有情報が入力されたことによって、その入力した日付、すなわちトナーカートリッジ60を契約者1に納入した日付が自動的に書き込まれるようにしてもよい。この日付の自動入力には、端末12が有するタイマ機能が利用される。
【0179】
当ステップは、端末12の操作者に対する操作性の向上を意図したものである。すなわち、数値化されたトナーカートリッジ60の固有情報(ここでは”全情報”)だけでは、操作者がその商品名、型番等を具体的に特定できないため、付加的に設けられたステップであり、コンピュータ処理においては必ずしも必要ではない。
【0180】
ステップ〔25〕(S25)
S23で上記情報および情報欄の入力が全て行われていない場合、S25で入力催促のメッセージを表示し、S21に戻る。より詳細に説明すれば、
”全情報(全桁)が入力されていません。”
等のエラーメッセージおよび該メッセージに対する確認ボタンの表示を行い、該確認ボタンのクリックを検出した場合に、S21の状態に戻るようにする。なお、この場合のS21の状態とは、単に入力可能状態であることを意味し、既に入力されている情報をクリアするものではない。
【0181】
ステップ〔26〕(S26)
S24に続いて、予備カートリッジ・テーブルの新規登録が完了し、登録ボタンのクリックによって登録命令が発生したか否かを検出する。
【0182】
ステップ〔27〕(S27)
上記情報を予備カートリッジ・テーブルに保存し、新規登録処理が完了する。これにより、管理画面は、図9から図10に示したように変化する。
【0183】
以上の操作により、サービス提供者10側の端末12に、契約者1側に納入した未使用状態のトナーカートリッジ60の数、種類及び個別番号情報が蓄積される。
【0184】
(交換過程)
次に、トナーカートリッジ60の交換が行われた場合の動作について説明する。
【0185】
サービス提供者10と契約している契約者1の中の機器管理者あるいは機器利用者は、画像形成装置2から発せられている“トナーカートリッジ交換”メッセージを基に、予備として備えられている新規のトナーカートリッジ60と交換する。本実施の形態では、黒トナーのみが消費された場合について説明する。
【0186】
画像形成装置2から、図11(b)に示す使用済みのトナーカートリッジ60(予備カートリッジNo.1)を取り出し、その代わりに未使用状態のトナーカートリッジ60(予備カートリッジNo.5)を装着する。
【0187】
以下に、図7を用いて、画像形成装置2の内部動作について説明する。
【0188】
画像形成装置2には、一般に、トナーカートリッジ60の装着の有無を検出するためのセンサが設けられている。したがって、該センサの反応結果を用いて、トナーカートリッジ60の脱着及び装着を検出することができる。
【0189】
同図(a)及び(b)は、トナーカートリッジ60の装着/脱着動作及びその時のセンサ出力の一例を示している。トナーカートリッジ60が装着されている時のセンサ出力信号はロー・レベルであり、脱着されている時のセンサ出力信号はハイ・レベルである。
【0190】
次に、センサ回路91は、上記センサ出力信号を基に、同図(c)に示すようなトリガ・パルスを発生する。すなわち、センサ出力信号の立ち下がりをタイミングとして、一定パルス幅のパルス信号を発生する。回路的には、モノマルチ・バイブレータを用いて、センサ出力信号をモノマルチ・バイブレータの入力信号とし、センサ出力信号の立ち下がりタイミングで立ち上がるパルスを生成することができる。なお、センサ出力信号に含まれるノイズ、チャッタリングにより、モノマルチ・バイブレータの誤動作が生じないように、センサ出力信号をシュミットトリガ回路、フィルタ回路等を通してモノマルチ・バイブレータに入力するようにしてもよい。
【0191】
以上のようにして、トナーカートリッジ60の装着タイミングを検出し、該タイミングを読み取り部4が動作を行うためのトリガとする。
【0192】
次に、該トリガが発生すると、読み取り部4は、トナーカートリッジ60のICチップ61にアクセスを行う。同図(d)には、読み取り部4がICチップ61にアクセスを行っている期間について示している。具体的には、ストローブ信号であり、該期間中にアドレス指定、データ読み出しを行う。読み出したデータは、RAM等の揮発性メモリに記憶する。
【0193】
上記ストローブ信号の立ち下がりをタイミングとして、同図(e)に示すように、一定パルス幅のパルス信号を発生する。
【0194】
上記トリガパルスは、読み取り部4が読み取った情報を送受信部5により送信するためのタイミング信号として用いられる。すなわち、上記トリガパルスにより、送受信部5において通信形態に応じて情報の加工等が行われ、同図(f)に示すように送信される。
【0195】
以上の動作により、画像形成装置2からは、未使用状態のトナーカートリッジ60に関する情報がサービス提供者10の端末12に送信される。
【0196】
以上では、画像形成装置2にトナーカートリッジ60の装着の有無を検出するためのセンサが設けられているとしたが、ない場合には、扉センサを利用してもよい。扉は、トナーカートリッジ60の交換のために、あるいは、紙詰まりの際に紙を取り除くために設けられており、該扉には安全のために、開閉状態のチェックのための扉センサが設けられているのが一般的である。したがって、トナーカートリッジ60を交換する時は、必ず扉を開閉する動作が発生するため、間接的ではあるが、扉センサの開閉動作をトナーカートリッジ60へのアクセスタイミングとすることもできる。
【0197】
さらに、一切のセンサがない機器の場合には、コントローラ部3を一定間隔毎に読み取りのためのイベントが発生するようにプログラミングしておくことで対応可能である。
【0198】
サービス提供者10の端末12においては、図12(b)に示すように、予備カートリッジNo.1及びNo.5の使用状況欄がそれぞれ“使用済み”及び “現在使用中”に更新される。また、同図(a)に示すように、使用中カートリッジ・テーブルでは、黒トナー・カートリッジの情報(交換日付、全情報、固有情報、リサイクル回数、予備カートリッジ対応)のみが更新される。
【0199】
すなわち、演算処理部122は、予備カートリッジ・テーブルで使用状況欄が、“未(予備)”と記録されているトナーカートリッジ60の固有情報と通信部121で受信した情報に含まれている固有情報とを比較することによって、同色のトナーカートリッジ60(予備カートリッジNo.5)の固有情報を検出した場合に、黒トナー用の予備カートリッジNo.1が黒トナー用の予備カートリッジNo.5に交換されたと認定する。つまり、演算処理部122は、通信部121で受信した流通物6の固有情報の変化を検出することによって、契約者1における流通物6の交換を認定する交換認定部として機能する。
【0200】
また、演算処理部122は、この認定に基づいて、予備カートリッジNo.5の使用状況欄を“未(予備)”から“現在使用中”に更新する。このとき、演算処理部122は、新たに使用されたトナーカートリッジ60(予備カートリッジNo.5)が黒トナー用であることを既に検知しているので、同じ黒トナー用のトナーカートリッジ60(予備カートリッジNo.1)を使用済みになったと認定し、予備カートリッジNo.1の使用状況欄を“現在使用中”から“使用済み”に更新する。このような演算処理部122の判定動作によって、予備カートリッジ・テーブルの更新が実行される。
【0201】
この段階に於いて、予備の黒トナー・カートリッジはないので、サービス提供者10は、少なくとも黒トナー・カートリッジを契約者1に発送する。図13(a)(b)はこの状態を表示しており、前記の初期の設定・登録の処理と同様にして、No.9の新たな予備カートリッジ情報が追加されている。図13(a)に示す使用中カートリッジ・テーブルについては、図12(a)と同じである。
【0202】
以上のようにして、サービス提供者10は、予備のトナーカートリッジ情報を常に監視し、予備のトナーカートリッジ60がなくなると同時に、あるいはなくなる前に、新たな予備のトナーカートリッジ60を契約者1に発送することにより、契約者1側での消費物品の欠如を阻止するようになっている。
【0203】
すなわち、以上の処理を端末12が電子的に行うには、納入されている流通物6の数をNf、使用された流通物6の数をNu、とした場合、演算処理部122によりNf−Nuの演算を行った結果、Nf−Nu=0であれば、演算処理部122は発送の指示に関する処理を行う。Nfの値は、契約者1別に記憶部124に保存されており、上記演算を行う場合には該記憶部124から値を読み出す。また、新たな納入が行われた場合に、該値を更新するようになっている。Nfの値は、図11(b)等において、通し番号(図中No.)の最大値を用いることができる。
【0204】
また、Nuの値は、以下のようにして算出する。
【0205】
前回までの累計使用数を記憶部124に保存しておき、今回、端末12に入力された最新情報としての使用数を上記累計使用数に対し加算する。これにより、最新の使用数を算出することができる。たとえば、図11(b)等において、使用状況欄において、“使用済み”及び“使用中”と表示された全件数を加算することで可能である。この場合も、記憶部124に保存されている累計使用数値を更新する。
【0206】
発送する旨の指示内容としては、端末12の出力部125に表示するものであってもよいし、あるいは、通信部121に接続されたローカルネットワーク22を利用して、サービス提供者10の社内の発送部門に電子メール等の手段により通知するものであってもよい。さらには、通信部121に接続されたネットワーク20を利用して、契約者1に対し、発送の予告連絡を行うようにしてもよい。
【0207】
なお、予備のトナーカートリッジ60を契約者1に対し発送するタイミング及びその判断は、予め、基準となる数N(≠0)を設定しておき、契約者1側に予備として保管されている数N’との比較により、
N>N’
となった場合に行うようにしてもよい。N=0の場合に比べ、危険度は減少するが、発送回数(発送頻度)は増えることになる。危険度と発送回数とはトレードオフの関係にあるので、経験により適切なNに設定すればよい。
【0208】
以上説明した予備カートリッジ・テーブルの自動更新処理に関する演算処理部122の制御動作の流れを、図34のフローチャートに基づいてさらに説明する。
【0209】
ステップ〔30〕(S30)
まず、通信部121を介して、契約者1の画像形成装置2から流通物6の情報(契約者ID、トナーカートリッジ60の固有情報等)を受信したか否かの判断を行う。該情報を受信した場合、S31に進み、受信しない場合には受信待ちの状態となる。
【0210】
ステップ〔31〕(S31)
S30で受信した流通物6の情報から契約者IDを検出し、検出した契約者IDを基にして、記憶部124に保存されている複数の予備カートリッジ・テーブルの中から、該当する契約者IDの付された予備カートリッジ・テーブル(図10(b))を読み出す。なお、出力部125には、読み出した予備カートリッジ・テーブルを必要に応じて表示する。
【0211】
ステップ〔32〕(S32)
次に、S30で受信した固有情報(全情報)を含むトナーカートリッジ60について、予備カートリッジ・テーブルの”使用状況”欄を検索する。
【0212】
ステップ〔33〕(S33)
続いて、該当する”使用状況”欄が”未(予備)”と記録されているか否かを判定する。判定の結果、”使用状況”欄が”未(予備)”と記録されている場合には、S34へ処理が進み、そうでない場合にはS43へ処理が進む。
【0213】
ステップ〔34〕(S34)
上記S33において、”使用状況”欄が”未(予備)”と判定された場合は、S30で受信したトナーカートリッジ60の固有情報(全情報)から、カラー情報を読み出すことにより、トナーカートリッジ60の色の種類を特定する。特定の仕方について説明すると、上述した固有情報の作成ルールに従えば、受信した固有情報(全情報)の最上位4桁がカラー種別および適応機種に関する情報なので、最上位4桁の読み出しを行い、表1ないし表3等で与えられる流通物情報テーブルを参照することで、上記色の種類および適応機種を特定することができる。
【0214】
たとえば、図12(b)に示した場合では、2000年06月12日時点で受信した流通物6の情報は、No.5のトナーカートリッジ60についてであり、最上位4桁の情報”0000”から、AR−2000という機種の画像形成装置2に適応した黒色のトナーカートリッジ60に関する情報であると判別できる。
【0215】
なお、契約者1のサービス対象としての画像形成装置2が1つしかない場合には、機種情報の個別の記録または読み出しを省略することができ、最上位2桁のカラー情報のみを判定すればよい。
【0216】
ステップ〔35〕(S35)
次に、予備カートリッジ・テーブルに対し、S34で特定したカラー情報を含むトナーカートリッジ60の”使用状況”欄を検索する。
【0217】
ステップ〔36〕(S36)
上記S35における”使用状況”欄の検索の結果、”現在使用中”と記録されている”使用状況”欄が有るか否かを判定する。判定の結果、”現在使用中”と記録された”使用状況”欄が有る場合には、S37へ処理が進み、そうでない場合にはS38へ処理が進む。
【0218】
より具体的に説明すると、本ステップで”現在使用中”と記録されている”使用状況”欄が無かった場合には、予備カートリッジ・テーブルに固有情報を登録して以降、その固有情報の検出が、契約者1の画像形成装置2にとって初めてのケースに該当する。すなわち、契約者1に納入済みで未使用のトナーカートリッジ60の1つが、画像形成装置2に初めて装着され、その固有情報が読み取り部4で読み取られ、端末12へ送信されたことになる。
【0219】
また、本ステップで”現在使用中”と記録されている”使用状況”欄が有った場合は、”現在使用中”と記録されているトナーカートリッジ60が、S30で固有情報を受信したトナーカートリッジ60に交換されたケースに該当する。すなわち、画像形成装置2に装着されていたトナーカートリッジ60が取り外されて、契約者1に納入済みで未使用のトナーカートリッジ60の1つに交換された結果、その固有情報が読み取り部4で読み取られ、端末12へ送信されたことになる。
【0220】
ステップ〔37〕(S37)
そこで、S36において、”現在使用中”と記録された”使用状況”欄が有った場合には、本ステップへ処理が進み、”現在使用中”と記録された”使用状況”欄を”使用済み”に更新し、S38に処理を進める。
【0221】
ステップ〔38〕(S38)
本ステップでは、S30で受信したトナーカートリッジ60の固有情報(全情報)を含むトナーカートリッジ60について、”使用状況”欄を”未(予備)”から”現在使用中”に更新する。
【0222】
これにより、画像形成装置2にトナーカートリッジ60が初めて装着された場合も、装着されていたトナーカートリッジ60が別の新しいトナーカートリッジ60に交換された場合も、いずれも予備カートリッジ・テーブルの”使用状況”欄は、”現在使用中”と記録され、その記録に基づいて画像形成装置2に装着されているトナーカートリッジ60を識別することができる。
【0223】
ステップ〔39〕(S39)
S38に引き続き、本ステップで、S30で固有情報を受信したトナーカートリッジ60の”使用状況”欄が”未(予備)”となっていた場合に、その”使用日付”欄に、固有情報を検出した当日の日付を入力する。この日付の自動入力には、前述のように、端末12が有するタイマ機能が利用され、固有情報を受信した時点のタイマ値を読み出し、コピーする方法を採用することができる。
【0224】
ステップ〔40〕(S40)
次に、上記S34において特定したカラー情報を含むトナーカートリッジ60について、”使用状況”欄が”未(予備)”となっている数を調べる。
【0225】
ステップ〔41〕(S41)
続いて、S40で求めた数を規定値と比較し、”使用状況”欄が”未(予備)”となっているトナーカートリッジ60の数が、該規定値以下になったか否かを判定する。判定結果が規定値以下の場合には、S42へ処理が進む。
【0226】
また、判定結果が該規定値を上回っている場合には、予備カートリッジ・テーブル更新処理を終了する。もしくは、S30に処理を戻し、予備カートリッジ・テーブル更新処理を繰り返すようにしてもよい。
【0227】
ステップ〔42〕(S42)
上記S41で、”使用状況”欄が”未(予備)”となっているトナーカートリッジ60の数が、規定値以下の場合には、契約者1の手元に置かれている当該カラー用のトナーカートリッジ60の在庫が少なくなっている状態を意味しているので、当該契約者1にトナーカートリッジ60を補給するための発送処理を行う。なお、在庫管理の詳細については前述したとおりである。
【0228】
ステップ〔43〕(S43)
一方、S33で、受信した固有情報を含むトナーカートリッジ60の”使用状況”欄が”未(予備)”となっていなかった場合には、本ステップへ処理が進み、当該”使用状況”欄が”現在使用中”となっているか否かを、更に判定する。
【0229】
ステップ〔44〕(S44)
S43で、当該”使用状況”欄が”現在使用中”となっている場合、画像形成装置2でトナーカートリッジ60の交換が行われたのではなく、同一のトナーカートリッジ60が、後でも説明するように、何らかの理由で抜き差しされたと判断する。したがって、この場合には、予備カートリッジ・テーブルの更新処理を行わないようにする。
【0230】
ステップ〔45〕(S45)
これに対し、S43で、当該”使用状況”欄が”現在使用中”ともなっていなかった場合には、該当するトナーカートリッジ60の記録自体が無い、”使用状況”欄が”使用済み”となっている、等の不正常な状態に該当する。すなわち、画像形成装置2に装着されたトナーカートリッジは、海賊版であるとの疑いが持たれるので、原因究明処理を行う。具体的には、出力部125の表示画面に警告メッセージを表示したり、通信部121に接続されたローカルネットワーク22を利用して、サービス提供者10の社内の管理部門に電子メール等の手段により通知する等の処理を行う。
【0231】
以上の予備カートリッジ・テーブル更新処理の結果の一例が、図12(b)である。図11(b)と比較すれば、No.1とNo.5のレコードが更新されていることが分かる。
【0232】
次に、使用中カートリッジ・テーブルの更新について説明する。使用中カートリッジ・テーブルは、基本的には、上述した予備カートリッジ・テーブルの一部を抽出しただけのものであり、データ内容的には一切の加工を行わず、表示上の整理を行ったものである。
【0233】
このように、データ主体を予備カートリッジ・テーブルのみとし、使用中カートリッジ・テーブル独自の情報修正を禁止するようにすれば、両テーブル間でデータの同一性を常に保つことができる。
【0234】
より詳細に説明すると、予備カートリッジ・テーブルにおいて、”使用日付”欄が入力されているレコードを使用中カートリッジ・テーブルの更新対象とし、カラー情報が一致するレコードが複数ある場合には、”使用日付”欄が最新のレコードに基づいて、使用中カートリッジ・テーブルのレコードを更新するようになっている。
【0235】
したがって、図10(b)の場合には、一部に情報の入力がなされているものの、”使用日付”欄が未入力なので、それに対応する図10(a)の使用中カートリッジ・テーブルには、情報が一切入力されていない。
【0236】
また、図12(b)に示した例では、カラー情報として”00”を有するレコードはNo.1とNo.5の2つが存在するが、両者の”使用日付”欄を比較した結果、No.5の使用日付が最新なので、使用中カートリッジ・テーブルにおける黒色のトナーカートリッジ60の情報としては、No.5のレコードが表示されるようになっている。
【0237】
(課金過程)
次に、課金処理方法について説明する。図14は、課金対象となる消費物品リスト(課金リスト[1]〜[3])である。課金対象期間は、たとえば、1ヶ月単位である。該消費物品リストは、たとえば、図11(b)、図12(b)に示す予備カートリッジ・テーブルを基に、課金計算の締め日(本実施の形態では、毎月15日)から1ヶ月前までに使用されたカートリッジ情報を抜き出したものである。このときの抽出方法は、上記予備カートリッジ・テーブルの使用状況欄において、使用済みあるいは現在使用中のものを対象とし、かつ、使用日付が課金計算の締め日から1ヶ月前までに該当するものを抽出することで行われる。
【0238】
本出願人による特願2000−291264号では、トナーカートリッジ60の料金Pは一定とした。すなわち、回収したトナーカートリッジ60は一般には廃棄され、性能が保証される場合に限りリサイクル利用された。したがって、トナー以外の構成部材に関し、バージン材料とリサイクル材料とで性能差がない、もしくは無視し得るので、これに基づく価格差を設ける必要はなかった。
【0239】
しかしながら、近年、環境への配慮、資源の有効利用、廃棄物の削減等から、リサイクルの要求はますます強まっており、リサイクル回数の増加によるバージン材料に対する性能劣化が無視し得ない問題となってきている。
【0240】
また、回収時の部品の余寿命と装置本体の寿命との関係等から、回収部品をリユースできる場合もある。
【0241】
本発明は、このような状況にも対応すべく創出されたものであり、トナーカートリッジ等の消費物品の流通にあたって該物品の使用履歴を記憶する記憶手段を付随させ、契約者が実際に使用した消費物品のみに対して課金すると共に、その課金額にリサイクル回数またはリユース回数を反映させることを特徴としている。
【0242】
該記憶手段は、例えば、書き換え可能な不揮発性メモリとしてのEEPROMであり、トナーカートリッジ60の個々の部品(たとえば、現像ローラ、カバー部材、ブレード等)の使用履歴に関する情報(以下、使用履歴情報と称する)が記憶されている。使用履歴情報としては、個々の部品のロット番号、リサイクル回数、リユース回数、その部品でこれまでに何枚の印刷を行ったかを示す累計印刷枚数等の情報がある。
【0243】
端末12は、上記使用履歴情報及び、必要に応じてさらに、これら使用履歴情報間に重み付けを行って、トナーカートリッジ料金Pを算出する。
【0244】
たとえば、リサイクル回数に応じてトナーカートリッジ料金Pを表4のように変化させる。
【0245】
【表4】
【0246】
ここで、pi は、値下げ料金であり、p0 =0、p1 <p2 <・・・<pi である。ここで、Δpi =pi −p(i-1) は、一定でなくてもよく、たとえば、Δp1 <<Δp2 <<・・・<<Δpi であってよい。すなわち、リサイクル回数が多くなるほど、値下げ幅が増大するようにpi を設定してもよい。
【0247】
あるいは、現像ローラの使用頻度、たとえば、印字枚数換算値に応じて、トナーカートリッジ料金Pを表5のように変化させる。
【0248】
【表5】
【0249】
ここで、p2000<p5000<p7000・・・
である。
【0250】
あるいは、複数のパラメータによる表6のようなマトリクスにより、変化させてもよい。
【0251】
【表6】
【0252】
ここで、pij(i ,j =1,2,・・・)は、リサイクル回数あるいは現像ローラの使用枚数のどちらに重み付けを行うか否かによって設定されたトナーカートリッジ料金である。
【0253】
たとえば、現像ローラの使用枚数依存性がない、もしくは、考慮しないとした場合には、
p11=p21=p31=・・・
p12=p22=p32=・・・
・・・
となり、表4の場合に相当する。
【0254】
また、リサイクル回数依存性がない、もしくは、考慮しない場合には、
p11=p12=p13=・・・
p21=p22=p23=・・・
・・・
となり、表5の場合に相当する。
【0255】
また、現像ローラの使用枚数及びリサイクル回数の両者を考慮する場合には、一般に、
p11≠p21≠p31≠・・・
p12≠p22≠p32≠・・・
・・・
及び、
p11≠p12≠p13≠・・・
p21≠p22≠p23≠・・・
・・・
となり、表6のようなマトリクスが必要になる。
【0256】
さて、現像ローラの使用枚数換算値は、現像ローラの耐久性といった技術に関するものであり、一方、リサイクル回数は、材料自体のリサイクル特性、解体方法、不純物除去方法等の技術に関するものである。そこで、技術の難易度で比較した場合に、困難な方の項目に対して、依存度を少なくする。たとえば、現像ローラの耐久性向上よりもリサイクル材料の性能向上技術の方が困難であり、設備投資、製造コストが過大にかかるような状況では、現像ローラの使用枚数に伴う料金の差Δ:
|p11−p21|,|p21−p31|,|p31−p41|,・・・
よりも、リサイクル回数に伴う料金の差Δ:
|p11−p12|,|p12−p13|,|p13−p14|,・・・
を小さく設定する。これにより、余寿命の短い現像ローラである場合に、より多くの値引きを行うようにし、リサイクル回数が大きくても上記値引き額より小さく抑えることができるので、製造コストに対する販売額のマージンを確保することができるようになる。
【0257】
図14では、ID番号が「000125」である契約者1について、表4のルールに従い計算した過去3ヶ月分の課金リストを表示している。表中、”調整額”と記載した項目が、上記pi に相当する。同様に、表5または表6のルールに従い計算された場合の”調整額は”、それぞれ、p2000、p5000、・・・またはpijが相当する。
【0258】
課金リスト[1]では、図11(b)の予備カートリッジテーブルから「使用中」と認定された黒トナーカートリッジ(No.1)、Yトナーカートリッジ(No.2)、Mトナーカートリッジ(No.3)およびCトナーカートリッジ(No.4)が使用日と共に読み出されている。また各色トナーカートリッジについて、個数と基準料金とが併記される。一方、リサイクル回数は、いずれのトナーカートリッジ60も0であったため、”調整額”の欄には0が入力されており、P−pi で算出される小計額は、基準料金Pのみとなる。なお、図中では、カートリッジ種別、すなわち、カラーによって該基準額が異なるように表示しているが、同一であってもよい。
【0259】
次に、課金リスト[2]では、該当期間(2000年4月16日から同年5月15日)における課金対象がないため、”該当がありません”という表示のみ記載されている。
【0260】
次に、課金リスト[3]では、該当期間(2000年5月16日から同年6月15日)において2000年6月12日に使用された黒トナーカートリッジ(No.5)が、図12に示したようにリサイクル回数1のものであったため、リサイクル回数欄には、数値1が予備カートリッジテーブルから読み出されて入力されると共に、調整額欄には、p1 が入力され、小計額は、Pb−p1 となっている。
【0261】
以上のように、本発明においては、契約者1が実際に使用したトナーカートリッジ60のみを課金対象としており、未使用のトナーカートリッジ60については課金対象としていない。これにより、契約者1側に於いては、無用の在庫を抱えることなく、また、消費物品の欠如を生じることなく、また、煩雑な管理を行うことなく、画像形成装置2を使用することが可能になる。
【0262】
また、新たなトナーカートリッジ60が画像形成装置2に装着されたことを検出することによって、予備カートリッジの数を確認するようにしている。これによって、単一の管理方法によって、従来の画像形成装置2自体の管理と、予備のトナーカートリッジ60の在庫管理の両方を実現することができる。
【0263】
また、最大の特徴は、トナーカートリッジ60のリサイクル回数に応じて課金額が変動するようにした点である。これにより、リサイクル回数に起因したトナーカートリッジ60の性能差を課金額に換算することができるので、価格対性能比を適正に保つことができる。
【0264】
なお、上記性能差とは、初期性能だけでなく経時劣化による寿命の短縮も含めたものとする。
【0265】
[実施の形態2]
本発明の他の実施の形態を以下に説明する。なお、説明の便宜上、本実施の形態を説明するにあたって、前記実施の形態で説明した構成と同一の機能を有する構成には、同一の符号を付し、その重複する説明を省略する。
【0266】
まず、図1の説明で簡単に触れた残量検出部92についてさらに詳しく説明する。残量検出部92は、画像形成装置2で使用中のトナーカートリッジ60に残存するトナー量を検出するためのものである。たとえば、質量センサによる質量変化や、変位センサによるトナー層厚変化等のように、トナー残量を直接的に測定する方法であってもよいし、あるいは、チェック用に感光体上あるいは現像ローラ上に形成したトナー濃度を測定する方法及び印字枚数情報等を用いてトナー消費量を推定により算出する方法等の間接的に測定する方法であってもよい。
【0267】
なお、残量検出部92は、ほぼトナーを消費した状態でのトナー残量の検出が多いため、検知範囲としては、ほぼトナーを消費した状態から完全に空の状態までを検知できればよい。また、トナー残量のアナログ的な検出はセンサコストの面からも必ずしも必要ではなく、段階的(デジタル的)であってよい。たとえば、2つのレベルセンサX及びYを設けておき、各センサX及びYの検知結果から、例えば、
【0268】
【表7】
【0269】
のように判断する。(H:Highレベル、L:Lowレベル)
コントローラ部3は、トナーカートリッジ60の交換があったときなどに、ICチップ61(図2参照)にアクセスしてトナーカートリッジ情報を読み出すよう、読み取り部4に指示を出すと共に、残量検出部92からトナー残量情報Liを入手する。読み取られたカートリッジ情報及びトナー残量情報Liは、必要に応じて、コントローラ部3の指示によって送受信部5から端末12に向けて送信される。
(登録過程)
サービス提供者10側の端末12には、各契約者1に対し、図9(a)(b)に示したサービス管理ファイルとしての使用中カートリッジ・テーブル(同図(a))及び予備カートリッジ・テーブル(同図(b))に、それぞれ残量情報の記録欄が追加されたサービス管理ファイルが、図15(a)(b)に示すように作成され、記憶部124に保存されている。図15(a)(b)は、該ファイルを端末12の出力部125に表示した場合の一例を示している。
【0270】
サービス提供者10側の端末12は、契約者1に納品したトナーカートリッジ60の情報記録体7から電子的に読み取られ、送信されたトナーカートリッジ60に関する情報を受信し、その情報を基にサービス管理ファイルの情報の更新を行う。すなわち、図16(b)は、黒、イエロー、マゼンタ、シアンの各トナーカートリッジ60を2個づつ納入した場合を示しているが、納入直後の時点では、図16(a)に示す現在使用中のカートリッジ情報、残量情報、リサイクル回数情報に変化はなく、図15(a)と同内容である。
【0271】
また、コントローラ部3は、残量検出部92から、装着されたトナーカートリッジ60のトナー残量情報Liを入手する。この場合、新規なトナーカートリッジ60なので、表7に示した4段階検出の場合には、残量検出部92からの出力内容は、L1(かなり多い)である。なお、表7の結果を通知するために、残量検出部92とコントローラ部3とを接続する信号線は、パラレル伝送の場合2本あればよく(接地線を含めれば3本)、以下の表8のように関係づけることができる。したがって、新規カートリッジ装着時の信号線には、論理レベルで表せば、上位、下位ビット共に”0”が出力される。
【0272】
【表8】
【0273】
ここで、表7との対応関係を示すと、”0”=Lowレベル、”1”=Highレベルである。
【0274】
新規のトナーカートリッジ60が装着された状態のカートリッジ情報画面を図17に示す。画像形成装置2に装着された全てのトナーカートリッジ60に対する残量情報が、”L1”と表示されている。
【0275】
サービス提供者10側の端末12は、上記情報を受けて、送信された情報を基に、図17(a)に示すように、契約者1の画像形成装置2で現在使用中のカートリッジ情報欄を更新する。また、同図(b)に示すように、予備カートリッジ情報として入力されているトナーカートリッジ60であって、上記操作により、現在使用中として設定されたトナーカートリッジ60に対しては、使用状況欄が、”未(予備)”から”現在使用中”に更新される。また、リサイクル回数も、契約者1側から送信された情報を基に、あるいはサービス提供者10側で入力される。
【0276】
(消費過程)
次に、トナーカートリッジ60の交換が行われるまでの動作について説明する。コントローラ部3は、残量検出部92から得られる2つの信号を監視し、該信号内容を送受信部5から端末12に向けて送信する。
【0277】
具体的に説明すると、コントローラ部3は、残量検出部92から得られる2つの信号を定期的(例えば1時間毎)に監視する。そして、トナーの消費が進み、表7に規定するレベルL2(多い)の状態になると、残量検出部92はコントローラ部3に対し、上位ビット=”0”、下位ビット=”1”の情報を出力するようになる。さらに消費が進み、レベルL3の状態になると、残量検出部92はコントローラ部3に対し、上位ビット=”1”、下位ビット=”0”の情報を出力するようになる。コントローラ部3は、入手したトナー残量情報Li(この場合レベルL2またはL3)を、端末12に対して送信するよう送受信部5に指示を出す。
【0278】
図18(a)(b)に、端末12が画像形成装置2からのトナー残量情報Liを入手し、情報を更新した場合の一例を示している。黒トナーカートリッジの消費が最も激しく、トナー残量レベルがL3になっており、他のトナーカートリッジ60のトナー残量レベルはL2であることが分かる。
【0279】
(交換過程)
次に、トナーカートリッジ60の交換が行われた場合の動作について説明する。
【0280】
サービス提供者10と契約している契約者1の中の機器管理者あるいは機器利用者は、画像形成装置2から発せられている”トナーカートリッジ交換”メッセージを基に、予備として備えられている新規のトナーカートリッジ60と交換する。本実施の形態では、黒トナーのみが消費された場合について説明する。
【0281】
交換直前のカートリッジ情報画面の一例を図19(a)(b)に示す。黒トナーカートリッジのトナー残量レベルがL4、マゼンタトナーカートリッジのトナー残量レベルがL3、イエロー及びシアントナーカートリッジのトナー残量レベルがL2である。
【0282】
画像形成装置2から使用済みのトナーカートリッジ60(予備カートリッジNo.1)を取り出し、その代わりに未使用状態のトナーカートリッジ60(予備カートリッジNo.5)を装着する。画像形成装置2から、未使用状態のトナーカートリッジ60に関する情報がサービス提供者10の端末12に送信される際の画像形成装置2の動作については、図7に基づいて説明したとおりである。
【0283】
サービス提供者10の端末12においては、図20(b)に示すように、予備カートリッジNo.1及びNo.5の使用状況欄がそれぞれ”使用済み”及び”現在使用中”に更新されると共に、トナー残量情報Liがそれぞれ”L4”及び”L1”と更新される。予備カートリッジNo.1に対する値L4は確定され、また、予備カートリッジNo.5に対する値L1は、今後のトナー消費に従って変化していく。
【0284】
そして、端末12は、契約者1側で使用中のトナーカートリッジ60(たとえば、No.1)が、新たなトナーカートリッジ60(たとえば、No.5)と交換されたことを検知した場合、上記予備カートリッジNo.1に対するトナー情報に関しては、予備カートリッジNo.1の交換が行われた直前の情報を保持し、その後、該情報の更新は行わないようにする。これにより、契約者1側で使用した予備カートリッジNo.1の使用トナー量を確定することができる。
【0285】
さらに、予備カートリッジNo.5のリサイクル回数をICチップ61から読み出し、端末12に送信する。図20(b)では、該予備カートリッジNo.5はリサイクル品であり、リサイクル回数が1回であることが分かる。
【0286】
また、同図(a)に示すように、使用中カートリッジ・テーブルでは、黒トナーカートリッジの情報(交換日付、全情報、固有情報、残量情報、リサイクル回数、予備カートリッジ対応)のみが更新される。
【0287】
この段階に於いて、予備の黒トナーカートリッジはないので、サービス提供者10は、少なくとも黒トナーカートリッジを契約者1に発送する。図21(b)はこの状態を表示しており、No.9の新たな予備カートリッジ情報が追加されている。
【0288】
以上のようにして、サービス提供者10は、予備のトナーカートリッジ情報を常に監視し、予備のトナーカートリッジ60がなくなると同時に、あるいはなくなる前に、新たな予備のトナーカートリッジ60を契約者1に発送することにより、契約者1側での消費物品の欠如を阻止するようになっている。予備のトナーカートリッジ60の在庫数の計算方法については、実施の形態1で説明したとおりである。
【0289】
(課金過程)
次に、課金処理方法について説明する。トナーカートリッジ60の料金Pは、トナー料金P1とトナーカートリッジ筐体、現像ローラ、現像ブレード等のトナー以外の構成部材のいわゆる固定料金P2とから成り立っている。すなわち、
P=P1+P2 ・・・(1)
である。
【0290】
次に、トナー料金P1は、画像形成装置2から送信されるトナー残量情報Li に対応した課金係数mi により決定され、基準料金p及び課金係数mi を用いて、
P1=p*mi ・・・(2)
で算出される。ここで、P1(=p*mi )は、トナーの消費量に応じて契約者1に課金される料金であり、基準料金pと課金係数mi の積からなる。mi は、トナーの消費量に相関して値が増大する課金係数であり、上記表2の場合には、m1 <m2 <m3 <m4 であり、予め、mi (i=1,2,3,4)の値を実験等を基に決定しておく。たとえば、m1 =0.7、m2 =0.8、m3 =0.9、m4 =1とする。なお、色毎にpあるいは/及びmi を設定してもよい。
【0291】
一方、P2は、表4で説明した料金Pと全く同様にリサイクル回数に応じた値下げ料金piによって値引きする。したがって、P2をP2−piと置き直すと、(1)式は、
P=p*mi + (P2−pi) ・・・(3)
で表される。
【0292】
このように、トナーなどの消費材部分とカートリッジなどの収容体部分に対する課金額を分離し、トナー部分については従量制とし、また、カートリッジ部分についてはリサイクル回数あるいはリユース回数に応じて課金額を設定することにより、リユースあるいはリサイクル時のそれぞれの費用を考慮した課金額を設定することができる。
【0293】
図22は、課金対象となる消費物品リスト(課金リスト[4]〜[6])である。課金対象期間は、たとえば、1ヶ月単位である。該消費物品リストは、たとえば、図17(b)、図18(b)に示す予備カートリッジ・テーブルを基に、課金計算の締め日(本実施の形態では、毎月15日)から1ヶ月前までに使用されたカートリッジ情報を抜き出したものである。このときの抽出方法は、上記予備カートリッジ・テーブルの使用状況欄において、使用済みあるいは現在使用中のものを対象とし、かつ、使用日付が課金計算の締め日から1ヶ月前までに該当するものを抽出することで行われる。
【0294】
図22では、表7及び8のルールに従い計算した過去3ヶ月分のリストを表示している。表中、”調整額”と記載した項目が、上記リサイクル回数に応じた値下げ料金pi に相当する。
【0295】
課金リスト[4]では、該当期間(2000年3月16日から同年4月15日)におけるいずれのトナーカートリッジ60もリサイクル回数が0であったため、”調整額”の欄には0が入力されており、P2−pi で算出される小計額▲3▼は、基準料金P2のみとなる。なお、図中では、カートリッジ種別、すなわち、カラーによって該基準額が異なるように表示しているが、同一であってもよい。また、従量部分については、それぞれの基準料金pと課金係数mi の積によって小計額▲6▼が算出されている。上記小計額▲3▼及び▲6▼の和として合計額▲7▼が算出され、該合計額▲7▼の総和として総合計額▲8▼が算出される。
【0296】
次に、課金リスト[5]では、該当期間(2000年4月16日から同年5月15日)における課金対象がないため、”該当がありません”という表示のみ記載されている。
【0297】
次に、課金リスト[6]では、該当期間(2000年5月16日から同年6月15日)において、2000年6月12日に使用された黒トナーカートリッジ(No.5)が、図20に示したようにリサイクル回数1のものであったため、リサイクル回数欄には、1が入力されると共に、調整額欄には、p1 が入力され、小計額▲3▼は、Pb−p1 となっている。また、従量部分については、黒トナーカートリッジ(No.5)のトナー残量情報LiがL1であったことに基づき、表7に従って課金係数mi にm1 を代入し、基準料金pと課金係数m1 との積によって小計額▲6▼が算出されている。上記小計額▲3▼及び▲6▼の和として合計額▲7▼が算出され、該合計額▲7▼の総和として総合計額▲8▼が算出される。
【0298】
式(3)に従って個々のトナーカートリッジに対して課金額が計算される。また、トナー残量情報Liに対応した課金係数mi の値は単一とし、色毎に基準料金pを異ならせるようにしている。これにより、適正な料金設定を行うことができる。
【0299】
該リストは利用明細書として利用できる。
【0300】
以上のように、本発明においては、契約者1が実際に使用したトナーカートリッジ60のみを課金対象としており、未使用のトナーカートリッジ60については課金対象としていないことをひとつの特徴としている。これにより、契約者1側に於いては、無用の在庫を抱えることなく、また、消費物品の欠如を生じることなく、また、煩雑な管理を行うことなく、画像形成装置2を使用することが可能になる。
【0301】
さらに、本発明の課金算出方法は、使用したトナーカートリッジ60の数のみに基づくのではなく、消費したトナー量を課金対象に含めることもひとつの特徴としている。これにより、回収したトナーカートリッジ60の残量トナー量が多い場合であっても、契約者1側にとっては、消費量に対し適正な料金徴収が行われるので、無駄が発生しない。また、該残量トナーを再使用するようにすれば、全体としてのトナー使用効率の向上、省資源化、トナー製造工程における省エネルギー化に貢献することができる。
【0302】
また、新たなトナーカートリッジ60が装着されたことを検出することによって、予備カートリッジの数を確認するようにしているので、単一の管理方法によって、従来の画像形成装置2自体の管理と、予備のトナーカートリッジ60の在庫管理の両方を実現することができる。
【0303】
また、最大の特徴は、トナーカートリッジ60のリサイクル回数に応じて課金額が変動するようにした点である。これにより、リサイクル回数に起因したトナーカートリッジ60の性能差を課金額に換算することができるので、価格対性能比を適正に保つことができる。
【0304】
なお、上記性能差とは、初期性能だけでなく経時劣化による寿命の短縮も含めたものとする。
【0305】
また、ネットワーク30を介して、流通物6のリサイクル回数を入手することができるので、サービス提供者10は該情報を基に、実質的に販売後の流通物6に対し、問題発生予測等の流通物管理を行うことができる。たとえば、リサイクル回数が多い流通物6である場合には、通常の非リサイクル品と比較して寿命が短い等の予測により、トナーの消費を待たずして、意図的に該流通物6を回収することができる。このような対応ができるのも、使用したトナー量に応じて課金するシステムであるが故である。これにより、リサイクル部材を使用したことによる流通物6のトラブル発生を未然に予防することができる。
【0306】
(リユース過程)
以上は、トナーカートリッジ60を構成する収容体等の樹脂材料のリサイクル回数に着目した。したがって、材料レベルでは再利用であるが、該材料を用いて製造された収容体等の部品レベルでは新規利用である。
【0307】
これに対し、部品レベルで再利用、すなわち、リユースする場合について説明する。この場合、ICチップ61には、図30(c)に示すように、リサイクル回数に加え、リユース回数の形成が必要である。あるいは、リサイクル材を用いない場合には、リサイクル回数は不要であり、リユース回数だけでよい。
【0308】
サービス提供者10は、サービスマンの手によって契約者1で使用済みのトナーカートリッジ60を回収する。該トナーカートリッジ60は、リサイクル工場において、個別部品毎に検査が行われ、リユースが可能か否かの判断が行われる。OKの場合には、洗浄、比較的簡単な修正等によって再利用される。一方、NGの場合には、該部品は廃棄あるいはリサイクルとして処理され、新たな部品に交換される。該新たな部品は、バージン材料から製造されたバージン部材である場合もあるし、リサイクルされた材料により製造されたリサイクル部材である場合もある。
【0309】
たとえば、収容体がリユースされる場合には、図30(c)において、ICチップ61のb2領域にリユース回数が入力される。具体的には、ICチップ61のb2領域に既に入力されている値を読み出し、該値に1を加えた値を上書き更新することで行う。また、リユースされず新たな部品と交換される場合には、0にリセットする。これらの処理は、サービス提供者10の端末12で行う。
【0310】
[実施の形態3]
本発明のさらに他の実施の形態を以下に説明する。なお、説明の便宜上、本実施の形態を説明するにあたって、前記実施の形態で説明した構成と同一の機能を有する構成には、同一の符号を付し、その重複する説明を省略する。
【0311】
実際のトナーカートリッジ60は、上記収容体の他、現像ローラ、層厚規制部材等の主要部材を含んでいる。さらに、上記収容体もカバー部材K1、カバー部材K2、・・・等のように複数の部品から構成されており、その内のどれか1つがリサイクル品である場合もあれば、複数の部品がリサイクル品である場合もある。この場合、いずれも、トナーカートリッジ60全体としてみればリサイクル品であり、前実施の形態のようにリサイクル情報として単一の情報しか与えない場合には、それぞれのリサイクル回数が同じであれば、トナーカートリッジ60は同等品として扱われる。しかしながら、部品毎にリサイクルコスト及び寿命、劣化具合が異なるため、同一の基準ではサービス提供者10としては採算が合わなくなる。
【0312】
このような問題点を改善する方法として、下記の表9に示すように、トナーカートリッジ60を構成する個別部品を項目としたテーブルをサービス提供者10の端末12、すなわち記憶部124に作成しておき、該テーブルで与えられるリサイクル回数を用いることにより、単一のリサイクル情報を用いながら構成部品間の性能差、リサイクルに係わる製造コスト、部品の分解及び取り付けに係わるコスト等に起因した問題点を排除することができる。
【0313】
なお、下記テーブル及び該テーブルを用いたリサイクル回数の算出にあたっては、サービス提供者10の端末12で行えればよく、ICチップ61に記憶する内容は、単一のリサイクル情報である。したがって、従来例のように、構成部品個々の情報を記憶する必要がなくなり、従来例よりメモリ容量の削減を行うことができる。
【0314】
【表9】
【0315】
ここで、Ri(i=1, 2,・・・)は、i行の部品がリサイクル品である場合のトナーカートリッジ60に与えられるリサイクル回数であり、たとえば、R1,R2,R3,・・・は現像ローラのみ、層厚規制部材のみ、カバー部材K1のみがそれぞれリサイクル品である場合のトナーカートリッジ60に与えられるリサイクル回数を示している。
【0316】
また、現像ローラと層厚規制部材との2つがリサイクル品である場合には、現像ローラがリサイクル品である場合のトナーカートリッジ60に与えられるリサイクル回数R1と層厚規制部材がリサイクル品である場合のトナーカートリッジ60に与えられるリサイクル回数R2との和で与えられる。
【0317】
一般に、R1≠R2≠R3≠Riであり、構成部品間の性能差、製造コスト差を基に重み付けして算出される。たとえば、カバー部材K1のリサイクル回数R3を基準とした場合の、現像ローラ及び層厚規制部材のリサイクル回数R1及びR2は、それぞれ、R1=3R3及びR2=2R3と重み付けする。すなわち、現像ローラにリサイクル回数1回のリサイクル品を用いた場合、現像ローラ自体のリサイクル回数は1であるが、その重要度から見て他のリサイクル部材との均衡から、カバー部材K1を基準として3回とみなすようにするということである。同様に、層厚規制部材のリサイクル回数1回は、カバー部材K1を基準として2回とみなすようにする。
【0318】
以上では、同じリサイクル部品を用いるにしても、カバー部材K1・K2のようにトナーカートリッジ60の全体性能に比較的影響が少ないと考えられる部材をリサイクルする方が、現像ローラ等の主要部材をリサイクルするよりも、性能面あるいは性能維持時間等の性能信頼面で有利との判断から、カバー部材K1のリサイクル回数R3に対し、現像ローラ及び層厚規制部材のリサイクル回数R1及びR2を、R3<R1,R2としたが、これに限ることはない。たとえば、カバー部材K1・K2の劣化で、人体、環境に悪影響を与えかねないトナーの飛散を最重要視する場合には、R1,R2<R3とすることも考えられる。
【0319】
[実施の形態4]
本発明のさらに他の実施の形態を以下に説明する。なお、説明の便宜上、本実施の形態を説明するにあたって、前記実施の形態で説明した構成と同一の機能を有する構成には、同一の符号を付し、その重複する説明を省略する。
【0320】
(ネットワーク構成及び装置構成)
契約者1側の画像形成装置2の構成を図23に示す。本実施の形態の画像形成装置2は、図1に基づいて説明した画像形成装置2から残量検出部92を除いた構成を有している。各部の動作は基本的に実施の形態1と同様である。
【0321】
次に、サービス提供者10の端末12(サービス管理装置)の構成について説明する。
【0322】
端末12は、図1に基づいて説明した端末12のI/Oインターフェース部(図示せず)に残量検出装置13が接続され、前記演算処理部122と残量検出装置13とが、I/Oインターフェース部を介してデータの授受を行う点で、図1の端末12と異なっている。該残量検出装置13は、計測部とI/Oインターフェース部とを有しており、たとえば、計測部としては電子天秤の機能を有したものである。これにより、演算処理部122は、契約者1から回収した後のトナーカートリッジ60の重量あるいは残量トナーの重量を測定したデータ(残量情報)を取得することができる。
【0323】
端末12の演算処理部122は、残量検出装置13から得られた回収後のトナーカートリッジの重量情報あるいは残量トナーの重量を基に、トナーの使用量を考慮した課金額を算出する。
【0324】
(課金過程)
前述の実施の形態では、使用済みとなったトナーカートリッジ60は、端末12で課金処理が行われた後、たとえば次の未使用トナーカートリッジ60をサービス提供者10が納品するときのついでに、契約者1から回収されればよかった。
【0325】
これに対し、本実施の形態では、残量トナーの計測をサービス提供者10が行うので、使用済みとなった、あるいは使用可能なトナーが残っているけれど不要となったトナーカートリッジ60を、課金処理の前に契約者1から回収する点に特徴がある。
【0326】
そこで、サービス提供者10は、交換されたトナーカートリッジ60を回収するために、たとえば、カートリッジ情報画面を監視しておき、予備カートリッジ・テーブルが図19(b)の状態から図20(b)の状態になったことを検出することにより、使用済みのトナーカートリッジ(No.1)の発生を検知し、該トナーカートリッジ60を回収するためのサービスマンを派遣する。
【0327】
なお、使用済みのトナーカートリッジ60の発生検出を、上記のようにカートリッジ情報画面の人間による監視によってもよいし、予備カートリッジ・テーブルの「使用状況欄」に「使用済み」を示すデータが入力されたかどうかを演算処理部122が監視するように、ソフトウエア上で処理してもよい。また、該回収時期は、新たな流通物6の納入時期と同時に行えば、作業効率を向上させることができる。
【0328】
サービス提供者10は、回収したトナーカートリッジ60の使用状況を残量検出装置13によって検出する。すなわち、残量検出装置13の計測部が電子天秤機能を有したものであるときには、
(トナー消費量m)=(トナーカートリッジ初期重量)−(回収後のトナーカートリッジ重量) ・・・(4)
により、トナー消費量を算出する。なお、トナーカートリッジ初期重量は、トナーカートリッジ60の機種によって一律に定まった値となるので、たとえば残量検出装置13に記憶させておき、機種に応じた値を呼び出せばよい。
【0329】
該残量検出装置13は端末12と接続されているので、測定結果としてのトナー消費量mは端末12に取り込まれ、演算処理部122によって図22に示す課金リストの「課金係数mi 」の欄に記入されて、記憶部124に保存される。
【0330】
前実施形態では、残量検出部92を画像形成装置2の内部に構成する必要があったため、検出レベル、検出精度、検出方法等に制約があり、正確かつ細かな測定が困難であった。これに対し、本実施の形態では、トナー消費量をトナーカートリッジ60の回収後にサービス提供者10において検出するようにしたので、これらの制約を受けない方法を提供することができる。
【0331】
なお、トナー消費量の検出方法としては、上述以外に、トナーカートリッジ60から残量トナーのみを採取して、
(トナー消費量m)=(トナー初期質量)−(回収後のトナー質量)・・(5)
により、トナー消費量を直接算出することも可能である。この場合にも、トナー初期質量は、トナーカートリッジ60の機種によって一律に定まった値となるので、たとえば残量検出装置13に記憶させておき、機種に応じた値を呼び出せばよい。
【0332】
端末12の演算処理部122は、トナー消費量mを変数として、以下の計算式により課金額(トナー料金P1および固定料金P2)を算出する。
【0333】
P1=p’*m ・・・(6)
ここで、P[円]、p’[円/g]、m[g]である。なお、式(2)のmiが離散的な値であったのに対し、式(6)におけるmは連続的な値であるという点で、式(2)と異なっている。したがって、よりきめ細かな課金額を算出することができる。
【0334】
したがって、契約者1に課金する料金Pは、トナーカートリッジ60の構成部材のリサイクル回数に応じた値下げ料金piを考慮した式(3)に従って
P=p’*m + (P2−pi) ・・・(7)
で表される。
【0335】
図31に、課金対象となる消費物品リスト(課金リスト[7]〜[9])の一例を示す。該消費物品リストは、たとえば、図19(b)、図20(b)に示す予備カートリッジ・テーブルを基に、課金計算の締め日(本実施の形態では、毎月15日)から1ヶ月前までに使用されたカートリッジ情報を抜き出したものである。このときの抽出方法は、上記予備カートリッジ・テーブルの使用状況欄において、使用済みあるいは現在使用中のものを対象とし、かつ、使用日付が課金計算の締め日から1ヶ月前までに該当するものを抽出することで行われる。
【0336】
図22で示した課金リスト[4]〜[6]と異なり、消費量m(mb、my、mm、mc)はアナログ値である。
【0337】
なお、本実施形態の場合も同様に、図25に示すように、画像形成装置2に搭載もしくは接続される送受信部5の伝送形態を無線とし、契約者1内に設置される第2の送受信部51に対し無線状態で送信し、該第2の送受信部51は有線状態でネットワーク20と接続されている形態であってもよい。
【0338】
さらに、図24に示すように、残量検出装置13がネットワーク22によって端末12の通信部121と接続されている形態であってもよい。残量検出装置13は、上述したI/Oインターフェースがネットワーク接続に対応した機能を有していればよい。これにより、残量検出装置13が端末12の近くに設置される必要はなく、たとえば、端末12は管理室、残量検出装置13は計測室等の離間した別の部屋に設置することができる。トナーカートリッジ60に収容されている消費材としてのトナーは、数ミクロン程度の小粒径のものが用いられるようになってきており、使用後のトナーカートリッジ60からはトナーが流出できる状態にあるため、人体及び端末12等の機器に対し悪影響を及ぼす危険性がある。このような状況においては、端末12と残量検出装置13とを別の部屋に設置することは必要条件となり、両者をネットワーク接続する多大な効果が得られる。
【0339】
また、図26に示すように、画像形成装置2に搭載もしくは接続される送受信部5の伝送形態を無線とし、契約者1内に設置される第2の送受信部51に対し無線状態で送信し、該第2の送受信部51は有線状態でネットワーク20と接続されている形態であって、かつ、残量検出装置13がネットワーク22によって端末12の通信部121と接続されている形態であってもよい。
【0340】
[実施の形態5]
本発明のさらに他の実施の形態を以下に説明する。なお、説明の便宜上、本実施の形態を説明するにあたって、前記実施の形態で説明した構成と同一の機能を有する構成には、同一の符号を付し、その重複する説明を省略する。
【0341】
画像形成装置2を使用する際、装置搬送系が主な原因となるトラブルにより、用紙が機器内部で詰まる状況、いわゆる、ペーパージャムが生じることがある。この場合、用紙を取り除くために、抜き差し可能になっているトナーカートリッジ60類を取り出す必要がある。
【0342】
このようなカートリッジ交換に関係しない同一カートリッジの抜き差しが行われた場合、上記実施の形態で説明した手順通りに、一々情報を送信していては煩雑である。
【0343】
一方、受信者側であるサービス提供者10においても、このような有用でない情報を受信しても意味ないばかりか、図15乃至図18で説明したように、交換日付欄等が更新されてしまうと、課金計算の場合に誤った計算を行ってしまうという虞がある。
【0344】
したがって、本実施の形態では、同一カートリッジの抜き差しが行われた場合には、カートリッジ情報を送信しないようにする。この目的のために、図27に示すように画像形成装置2に演算部8を設ける。該演算部8は、記憶部81と比較部82とから構成されており、読み取り部4から入力された最新の情報と既に記憶されている情報とを比較器82により比較し、異なる場合には、該情報を送受信部5に送信すると共に記憶部81に記憶されている記憶内容を更新し、また、同一である場合には、記憶更新も情報送信も行わないような処理を行う。
【0345】
なお、演算部8を別途設ける必要はなく、コントローラ3の機能に含ませるように構成してもよい。
【0346】
また、画像形成機能の一部としてハードディスク等の記憶装置を有する画像形成装置の場合には、記憶部81として該ハードディスクを用いることができる。
【0347】
他の変形例を、図28及び29に示す。図28のシステム構成は、図23で示したシステム構成に、演算部8を加えた構成である。また、図29のシステム構成は、図24で示したシステム構成に、演算部8を加えた構成である。
【0348】
上記の構成は、同一カートリッジの抜き差しが行われた場合に、カートリッジ情報を送信しないようにする処理を画像形成装置2で行っているが、別途、演算部8を設ける必要があるため、画像形成装置2のコストアップにつながるという問題がある。
【0349】
したがって、この構成に代えて、サービス提供者10側において、受信した情報が「現在使用中」として既に登録されている情報と同じ場合には、同一カートリッジの抜き差しであると判断し、情報の一切の更新を行わないようにし、一方、異なる場合には、カートリッジ交換が行われたと判断し、予備カートリッジ・テーブルおよび使用中カートリッジ・テーブルを更新するような処理を行う。このような処理は、前実施の形態で説明したと同様なハードウエアで実現してもよいし、あるいは、図34に示すフローチャートに基づいて説明したように、端末12においてソフトウエア処理により行ってもよい。後者の方が、汎用性、コスト、制御方法の変更への対応の柔軟さ等から好ましい。
【0350】
なお、本発明は、プリンタだけでなく、複数の機器(例えばホストコンピュータ,インタフェース機器,リーダ,プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機,ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0351】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0352】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0353】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピィディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,等を用いることができる。
【0354】
また、上記プログラムコードは、通信ネットワークのような伝送媒体を介して、他のコンピュータシステムから端末12の記憶部124へダウンロードされるものであってもよい。
【0355】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0356】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0357】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明した処理手順に対応するプログラムコードを格納することになる。
【0358】
本発明は上述した各実施形態に限らず、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。
【0359】
なお、全体を通じ、本発明の主要部分は、消費物品・消耗物品等の交換サービスに関する内容であるので、画像形成装置本体に対する契約は必ずしも前提ではなく、また、必須ではない。つまり、契約者1側が別ルートでリース契約、レンタル契約もしくは購入した画像形成装置本体に対し、本発明によるサービスを適用できることは言うまでもない。しかし、新たに画像形成装置本体をリース契約、レンタル契約もしくは購入した者に対しては、本体契約・購入と同時に本発明によるサービスに関する契約を行うことは、手続き上本発明のサービス管理方法をスムーズに行わせることができる。
【0360】
また、本発明は、複写機・プリンタ等に限定されるわけではなく、本体装置の消費及び消耗期限より短い交換部品全てが対象となり得る。さらに好ましくは、交換部品に固有の情報が形成されており、本体装置によって該情報が読み出し可能であれば、交換部品の脱着・装着を電子的に検知できる。
【0361】
【発明の効果】
・本発明のサービス管理方法は、サービス受給者に対し納入した流通物を特定する情報、該サービス受給者による流通物の使用状況、及び流通物のリサイクル情報もしくはリユース情報を随時記録した管理テーブルにアクセスし、該サービス受給者が購入したと認定し得る流通物の数と、その数に含めた流通物のリサイクル情報もしくはリユース情報とを読み出すステップと、読み出した流通物の数とリサイクル情報もしくはリユース情報とに基づき、該サービス受給者に請求する課金額を計算するステップとを、プログラムされたコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0362】
これにより、サービス受給者に納入しただけに過ぎない未使用状態の流通物は課金処理の対象とならず、サービス受給者が購入したと認定し得る流通物のみについて求めた課金額が、サービス受給者に請求される。しかも、その課金額は、流通物のリサイクル情報もしくはリユース情報を考慮して求められているので、流通物のリサイクル回数もしくはリユース回数に応じた減額等によって、リサイクルもしくはリユース履歴の無い流通物と区別した課金処理が可能である。
【0363】
この結果、サービス受給者に無駄の無い課金額を請求する、合理的なサービスを提供することができ、サービス提供者にとっては、上記のサービスを提供することによって、顧客の確保が確実に行えるので、流通物の販売を安定に行うことができる。
【0364】
さらに、流通物のリサイクル情報もしくはリユース情報に基づき課金額を計算するようにしているので、リサイクルに伴う部品の性能劣化分を課金額に換算することで、リサイクル品と非リサイクル品とを同一の市場に投入することができる。
【0365】
さらに、サービス提供者は、複数のサービス受給者で使用される流通物を、管理テーブルによって一元的に管理することができるので、同一の流通物の使用は、サービス提供者において簡単にチェックすることができ、また、サービス提供者の手により登録された流通物の情報に基づいて、当該流通物を納入したサービス受給者を特定することができるので、海賊版を使用しているサービス受給者の割り出しを簡単に行うことができるという効果を奏する。
【0366】
・本発明のサービス管理方法は、サービス受給者に対し納入する流通物の情報をコンピュータの管理テーブルに登録するステップと、サービス受給者に納入した流通物の情報と取得した残量情報とリサイクル情報あるいは/及びリユース情報とに基づいて、サービス受給者に納入した流通物の残量及びリサイクル情報あるいは/及びリユース情報に応じた課金額をコンピュータに計算させるステップとを有することを特徴としている。
【0367】
これによれば、流通物の残量情報を入手するようにし、流通物の残量、すなわち消費量に基づいて課金額を決定しているので、たとえば、トナーカートリッジにおけるトナーのように、残量トナーを有する場合であっても、該残量トナーに対しては課金対象外となり、サービス受給者にとって一層経済的できめ細やかなサービス方法を提供することができるという効果を奏する。
【0368】
・本発明のサービス管理方法は、機器を動作させるのに必要な流通物を提供するためのコンピュータを用いたサービス管理方法において、サービス提供者が、サービス受給者に対し納入する流通物を特定するための固有情報とリサイクル情報あるいは/及びリユース情報とをコンピュータの管理テーブルに登録するステップと、サービス受給者に設置された機器が読み出した、該機器に装着されている流通物の固有情報を少なくとも含む情報を、ネットワークを介してサービス受給者から受信するステップと、サービス受給者から受信した情報を基に、該サービス受給者が購入したと認定し得る流通物を上記管理テーブル上で特定するステップと、上記特定した流通物の数とそのリサイクル情報もしくはリユース情報とに基づき、該サービス受給者に請求する課金額をコンピュータに計算させるステップとを有することを特徴としている。
【0369】
これによれば、サービス提供者が、コンピュータを操作して上記の処理を行わせることにより、上記した同様の効果を得ることができる。特に、リサイクル情報を、たとえば、サービス提供者のコンピュータにて管理することにより、流通物の固有情報のみをネットワークを介して送受信することができるので、ネットワーク負荷を低減することができるという効果を奏する。
【0370】
・本発明のサービス管理方法は、機器を動作させるのに必要な流通物を提供するためのコンピュータを用いたサービス管理方法において、サービス提供者が、サービス受給者に対し納入する流通物を特定するための固有情報をコンピュータの管理テーブルに登録するステップと、サービス受給者に設置される機器が読み出した、該機器に装着されている流通物の固有情報とリサイクル情報あるいは/及びリユース情報とを少なくとも含む情報を、サービス受給者から受信するステップと、サービス受給者から受信した情報を基に、該サービス受給者が購入したと認定し得る流通物を上記管理テーブル上で特定するステップと、上記特定した流通物の数とそのリサイクル情報もしくはリユース情報とに基づき、該サービス受給者に請求する課金額をコンピュータに計算させるステップとを有することを特徴としている。
【0371】
これによれば、上記した同様の効果を得ることができる。特に、サービス提供者は、リサイクル情報あるいは/及びリユース情報をサービス受給者から受信することによって、リサイクル情報あるいは/及びリユース情報を統括的に管理する必要がなくなるので、サービス提供者の管理負荷を低減することができるという効果を奏する。
【0372】
・本発明のサービス管理方法は、サービス受給者に対し納入した流通物を特定する情報、該サービス受給者が使用した流通物の残量情報、及び流通物のリサイクル情報もしくはリユース情報を随時記録した管理テーブルにアクセスし、該サービス受給者が使用した流通物の残量情報とリサイクル情報もしくはリユース情報とを読み出すステップと、読み出した流通物の残量情報とリサイクル情報もしくはリユース情報とに基づき、該サービス受給者に請求する課金額を計算するステップとを、プログラムされたコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0373】
これにより、管理テーブルの記録に基づいて、サービス受給者に経済的なサービス方法を提供することができるという効果を奏する。
【0374】
・本発明のサービス管理装置は、サービス受給者に対し納入する流通物の情報とリサイクル情報あるいは/及びリユース情報とを登録する記憶部と、該流通物の使用状況を入力する入力部と、該サービス受給者に納入した流通物の内、使用された流通物の数または量とリサイクル情報あるいは/及びリユース情報とに基づいて課金額を計算する演算処理部と、を有することを特徴としている。
【0375】
これによれば、演算処理部が、記憶部に登録された流通物の情報から納入数または納入量を取り込み、入力部を介して入力された使用状況の情報から使用数または使用量を取り込んで、納入数または納入量から使用数または使用量を引き算することにより、実際の消費数または消費量を求めることができるので、予め納入される未使用状態の流通物には課金せず、実際に使用した流通物に対してのみ課金するという新たなサービスを一元的に管理することが可能となる。
【0376】
さらに、実際の消費量に基づいて課金額を決定することもできるので、たとえば、トナーカートリッジにおけるトナーのように、残量トナーを有する場合であっても、該残量トナーに対しては課金対象外となり、サービス受給者にとって経済的なサービス方法を提供することができる。
【0377】
さらに、流通物のリサイクル情報もしくはリユース情報に基づき課金額を計算するようにしているので、リサイクルに伴う部品の性能劣化分を課金額に換算することで、サービス受給者に合理的な課金額を請求することができると共に、リサイクル品と非リサイクル品とを同一の市場に投入することができるという効果を奏する。
【0378】
・本発明のサービス管理装置は、サービス受給者に対し納入する流通物を特定するための固有情報を登録する記憶部と、該流通物の固有情報とリサイクル情報あるいは/及びリユース情報とをネットワークを介して検出するための通信部と、該サービス受給者に納入した流通物の内、使用された流通物の数または量とリサイクル情報あるいは/及びリユース情報とに基づいて課金額を計算する演算処理部と、を有することを特徴としている。
【0379】
これによれば、固有情報を記憶部に登録しておくことにより、サービス受給者に対し納入した流通物の特定が容易になり、演算処理部が流通物の使用状況の管理を個々の流通物ごとにきめ細かく行うことが可能になる。また、ネットワークを介してサービス受給者による該流通物の使用状況を検出するため、サービス提供者は遠隔地に居ながら確実かつほぼリアルタイムで、サービス受給者の購入状況を入手することができる。また、サービス受給者が複数であっても、その入手を容易に行うことができる。さらに、サービス提供者はリサイクル情報あるいは/及びリユース情報を記憶部にて統括的に管理する必要がなくなるので、サービス提供者の管理負荷を低減することができる。
【0380】
また、サービス受給者に提供する流通物一つ一つについて固有情報を割り当てて記憶部に登録しているので、固有情報を通信部によってネットワークを介して検出したときに、演算処理部は、サービス受給者が当該固有情報の付された流通物を使用したと同定することができる。
【0381】
さらに、検出した固有情報が登録した固有情報に一致するかどうかを判定することにより、サービス受給者が海賊版を使用しているか否かを簡単に検出することができる。また、異なるサービス受給者から同じ固有情報を検出した場合にも、市場に海賊版が出回っていることを検出できるという効果を奏する。
【0382】
・本発明の流通物は、複数の構成部材から構成される流通物であって、該構成部材のリサイクル回数あるいは/及びリユース回数に重み付けを行って総和を求めた値に関する情報を、該流通物のリサイクル回数あるいは/及びリユース回数を示す情報として記録した情報記録体を該流通物に付随させて流通させることを特徴としている。
【0383】
これによれば、本発明のサービス管理方法を実施するサービス提供者は、該流通物をサービス受給者に納入するとき、あるいは該流通物をサービス受給者から回収したときに、該流通物に付随しているリサイクル回数あるいは/及びリユース回数を示す情報を、流通物毎に対応付けて確実に入手することができる。また、該情報を読み取る携帯型の読み取り器を用いれば、課金額の請求する場所と時期とに柔軟性を持たせることもできる。
【0384】
さらに、流通物を構成する部材が複数であり、該複数の部材のリサイクル回数あるいは/及びリユース回数を流通物に直接またはICチップ等の情報記録体に形成する場合において、リサイクル回数あるいは/及びリユース回数を示す情報が総和を求めた値に関する情報なので、複数の部材のリサイクル回数あるいは/及びリユース回数を個々に記録する場合に比べて、情報記録体に記録する情報量を低減することができるという効果を奏する。
【0385】
・本発明の流通物は、本発明に係る上記のサービス管理方法において用いられることを特徴としている。
【0386】
これにより、本発明の流通物は、本発明に係る上記のサービス管理方法によって管理されるので、この流通物を取り扱うサービス提供者およびサービス受給者は、サービス管理方法により得られる上記効果を享受することができるという効果を奏する。
【0387】
・本発明のサービス管理ネットワークシステムは、固有情報を有して特定可能であり、消費または消耗される流通物が、装脱着可能に配設される機器であって、該流通物から上記固有情報を検出するための読み取り部と、該読み取った情報をネットワークを介して外部に送信する送信部と、該読み取り部及び送信部の制御を行うコントローラ部と、を有する機器から構成される第1のグループと、上記第1のグループと通信を行うための通信部と、第1のグループにおける流通物の情報を登録する記憶部と、該流通物の使用状況を入力する入力部と、該流通物の納入数の内、実際に使用された数あるいは量とリサイクル情報あるいは/及びリユース情報とに基づいて課金額を計算する演算処理部と、を有するサービス管理装置から構成される第2のグループとから構成されることを特徴としている。
【0388】
これによれば、前述のサービス管理方法をネットワークシステム及びICチップ等のIT技術を利用することにより実現することができる。
【0389】
また、第1のグループにて予備の流通物と交換された事実を、新たな固有情報の検出をもって、購入行為として同定することができる。
【0390】
また、仮に、海賊版が使用されていたとしても、機器は、該流通物に形成されている流通物の固有情報を読み取り、ネットワークを介して外部に送信するように動作するため、サービス管理装置は、受信した固有情報と、記憶部に登録した流通物の情報とを比較することにより、使用された流通物が正規の流通物か海賊版かをチェックすることができる。この結果、流通物の固有情報を有しない流通物はこのチェックに基づいて排除できる。
【0391】
さらに、リサイクル情報あるいは/及びリユース情報とに基づいて課金額を計算するようにしているので、リサイクル品あるいはルユース品の通常の新規製品に対する性能及びイメージのハンディキャップをなくすことができ、また、該情報をサービス受給者にオープンにすることで透明度の高い商品販売並びにサービスを提供することができる。
【0392】
また、ネットワークを介して流通物の情報を監視できるので、リサイクル品である場合には、非リサイクル品に比べて余寿命が短い等の問題発生予測を事前に行うことができ、問題が発生する前に対応策を講じることができるという効果を奏する。
【0393】
・本発明のサービス管理ネットワークシステムは、固有情報を有して特定可能であり、消費または消耗される流通物が、装脱着可能に配設される機器であって、該流通物から上記固有情報を検出するための読み取り部と、流通物の残量を測定するための残量検出部と、該読み取り部及び残量検出部からの情報をネットワークを介して外部に送信する送信部と、該読み取り部、残量検出部及び送信部の制御を行うコントローラ部と、を有する機器から構成される第1のグループと、上記第1のグループと通信を行うための通信部と、第1のグループにおける流通物に関し、リサイクル情報あるいは/及びリユース情報を含む情報を登録する記憶部と、該通信部を介して取得した流通物の残量とリサイクル情報あるいは/及びリユース情報とに基づいて課金額を計算する演算処理部と、を有するサービス管理装置から構成される第2のグループとから構成されることを特徴としている。
【0394】
これによれば、上記の効果に加えて、機器に装着されている流通物の固有情報及び該流通物の残量を読み出すというサービス受給者側における簡単なステップにより、流通物の実際の使用量に基づいた、サービス受給者にとって無駄の無い課金サービスを提供することができるという効果を奏する。
【0395】
・本発明のサービス管理ネットワークシステムは、固有情報を有して特定可能であり、消費または消耗される流通物が、装脱着可能に配設される機器であって、該流通物から上記固有情報を検出するための読み取り部と、該読み取り部からの情報をネットワークを介して外部に送信する送信部と、該読み取り部及び送信部の制御を行うコントローラ部と、を有する機器から構成される第1のグループと、上記第1のグループと通信を行うための通信部と、第1のグループにおける流通物に関し、リサイクル情報あるいは/及びリユース情報を含む情報を登録する記憶部と、通信部で取得した流通物の固有情報の変化を検出することによってサービス受給者における流通物の交換を認定する交換認定部と、流通物の残量を測定するための残量検出部と、該流通物の残量とリサイクル情報あるいは/及びリユース情報とに基づいて課金額を計算する演算処理部と、を有するサービス管理装置から構成される第2のグループとから構成されることを特徴としている。
【0396】
これによれば、上記した同様の効果を得ることができる。さらに、上記サービス管理方法と比較し、機器が備える残量検出部を省略できるので、機器の小型化、制御フローの簡略化に伴う演算処理負荷の軽減及び該制御フローを記憶しておくためのメモリ等のハードウエアの削減を行うことができる。さらに、サービス提供者側に残量検出部を設けるようにしているので、トナー残量を簡単かつ正確に測定することができる。したがって、よりきめ細かな課金額の設定を行うことができるという効果を奏する。
【0397】
・本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明のサービス管理方法を実行するプログラムを記録したことを特徴としている。
【0398】
上記構成によれば、上記記録媒体に記録されたプログラムを、コンピュータにロードすることによって、一般的なコンピュータを用いて、本発明のサービス管理方法をサービス受給者に提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるサービス管理ネットワークシステムの構成を示す概略図である。
【図2】本発明による流通物の形態を説明するための概略的な斜視図である。
【図3】本発明によるサービス管理ネットワークシステムの接続イメージを示す説明図である。
【図4】本発明による他のサービス管理ネットワークシステムの概略図である。
【図5】(a)〜(c)は、本発明による流通物の流通形態を示すための説明図である。
【図6】本発明による流通物の梱包状態を説明するための図である。
【図7】(a)〜(f)は、機器の動作を説明するためのタイミングチャートを示した図である。
【図8】(a)(b)は、情報管理画面に表示された契約者テーブルの一例を示した図である。
【図9】(a)(b)は、情報管理画面に表示された管理テーブル(初期状態)の他の例を示した図である。
【図10】(a)(b)は、情報管理画面に表示された管理テーブル(事前登録時点)の他の例を示した図である。
【図11】(a)(b)は、情報管理画面に表示された管理テーブル(流通物使用時点)の他の例を示した図である。
【図12】(a)(b)は、情報管理画面に表示された管理テーブル(流通物交換時点)の他の例を示した図である。
【図13】(a)(b)は、情報管理画面に表示された管理テーブル(流通物補充時点)の他の例を示した図である。
【図14】課金方法を説明するための図である。
【図15】(a)(b)は、情報管理画面に表示された残量情報記録欄を含む管理テーブル(初期状態)の一例を示した図である。
【図16】(a)(b)は、情報管理画面に表示された残量情報記録欄を含む管理テーブル(事前登録時点)の一例を示した図である。
【図17】(a)(b)は、情報管理画面に表示された残量情報記録欄を含む管理テーブル(流通物使用開始時点)の一例を示した図である。
【図18】(a)(b)は、情報管理画面に表示された残量情報記録欄を含む管理テーブル(流通物使用中時点)の一例を示した図である。
【図19】(a)(b)は、情報管理画面に表示された残量情報記録欄を含む管理テーブル(流通物交換直前)の一例を示した図である。
【図20】(a)(b)は、情報管理画面に表示された残量情報記録欄を含む管理テーブル(流通物交換時点)の一例を示した図である。
【図21】(a)(b)は、情報管理画面に表示された残量情報記録欄を含む管理テーブル(流通物補充時点)の一例を示した図である。
【図22】他の課金方法を説明するための図である。
【図23】本発明によるさらに他のサービス管理ネットワークシステムの概略図である。
【図24】本発明によるさらに他のサービス管理ネットワークシステムの概略図である。
【図25】本発明によるさらに他のサービス管理ネットワークシステムの概略図である。
【図26】本発明によるさらに他のサービス管理ネットワークシステムの概略図である。
【図27】本発明によるさらに他のサービス管理ネットワークシステムの概略図である。
【図28】本発明によるさらに他のサービス管理ネットワークシステムの概略図である。
【図29】本発明によるさらに他のサービス管理ネットワークシステムの概略図である。
【図30】ICチップの記憶領域の構成を示した説明図である。
【図31】さらに他の課金方法を説明するための図である。
【図32】流通物の固有情報と契約者IDとを関連付ける流通物情報テーブルの一例を示す説明図である。
【図33】予備カートリッジ・テーブルの新規登録処理に関する演算処理部の制御動作の流れを示すフローチャートである。
【図34】予備カートリッジ・テーブルの自動更新処理に関する演算処理部の制御動作の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 サービス受給者
2 画像形成装置(機器)
3 コントローラ部
4 読み取り部
5 送受信部
6 流通物
7 情報記録体
8 演算部
10 サービス提供者
12 端末(サービス管理装置)
13 残量検出装置
91 センサ回路
92 残量検出部
121 通信部
122 演算処理部(交換認定部)
123 入力部
124 記憶部(記録媒体)
125 出力部
126 残量検出部
Claims (11)
- サービス受給者に納入された流通物のリサイクルまたは及びリユース情報、固有情報、使用日付、並びに、使用状況を含むレコードを記憶する管理テーブルが格納された記憶部と、
上記記憶部に格納されたサービス受給者の管理テーブルから、使用状況欄が使用済みまたは現在使用中で、しかも、使用日付が課金対象期間に該当するレコードを抽出し、抽出された各レコードに含まれる固有情報によって特定される流通物の上記サービス受給者への課金額を、上記抽出された各レコードに含まれるリサイクルまたは及びリユース情報に応じて変化させる演算処理部と、
上記サービス受給者側に設置された機器であって、流通物が装着された場合に、当該流通物に付随する記録媒体から、当該流通物を特定するための固有情報、並びに、当該流通物のリサイクルまたは及びリユース情報を読み出して送信する機器と通信する通信部とを備え、
上記固有情報には、流通物の種類を示す情報が含まれており、
上記演算処理部は、上記通信部の受信した流通物の固有情報について、上記管理テーブルを検索して、該当する使用状況欄が”未(予備)”と記録されているか否かを判定し、”未(予備)”であった場合は、当該固有情報の種類の情報を読み出すと共に、上記管理テーブルに対して、当該種類の情報を固有情報に含む流通物の使用状況欄を検索して、”現在使用中”と記録された使用状況欄があれば、当該使用状況欄を”使用済み”に更新し、さらに、上記”未(予備)”と記録されていた使用状況欄を”現在使用中”に更新すると共に、当該使用状況欄を含むレコードの使用日付欄に上記固有情報を検出した当日の日付けを入力することを特徴とするサービス管理装置。 - 上記演算処理部は、上記抽出された各レコードに含まれるリサイクルまたは及びリユース情報に応じた減額処理によって、上記抽出された各レコードに含まれる固有情報によって特定される流通物の料金を変化させることを特徴とする請求項1記載のサービス管理装置。
- 上記演算処理部は、上記抽出された各レコードに含まれる固有情報によって特定される流通物の料金を、流通物の基準額をP、上記抽出された各レコードに含まれるリサイクルまたは及びリユース情報に応じた値下げ料金をpiとするとき、P−piによって演算することを特徴とする請求項1記載のサービス管理装置。
- 上記管理テーブルには、流通物の残量情報の記録欄が追加されており、
上記機器は、装着されている流通物の残量を検出する残量検出部を備え、当該残量検出部からの残量情報と上記流通物の固有情報とを上記サービス管理装置に送信するものであり、
上記演算処理部は、当該機器からの残量情報および流通物の固有情報を上記通信部が受信すると、上記管理テーブルのうち、当該流通物の残量情報欄を更新すると共に、上記流通物の料金を算出する際、上記流通物の消費材部分と収容体部分とに対する課金額を分離し、上記収容体部分の料金は、上記抽出された各レコードに含まれるリサイクルまたは及びリユース情報に応じて変化させることによって算出すると共に、上記抽出された各レコードに含まれる残量情報欄の残量情報に対応した課金係数をmi、基準料金をpとするとき、消費材部分の料金をp*miとすることを特徴とする請求項1記載のサービス管理装置。 - 上記管理テーブルは、各サービス受給者に関して設けられており、
上記通信部は、上記機器として、上記固有情報、並びに、当該流通物のリサイクルまたは及びリユース情報を、当該サービス受給者を特定するためのIDと共に送信する機器と 通信可能であり、
上記演算処理部は、上記通信部の受信したIDに基づいて、上記記憶手段に格納された管理テーブルの中から、当該サービス受給者に関する管理テーブルを特定し、当該管理テーブルに記憶されている上記各流通物の使用状況を更新することを特徴とする請求項1または4記載のサービス管理装置。 - 上記流通物は、トナーカートリッジであり、
上記演算処理部は、トナーカートリッジの上記サービス受給者への課金額を演算することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のサービス管理装置。 - サービス受給者側に設置される機器であって、
当該サービス受給者に納入された流通物のリサイクルまたは及びリユース情報、流通物の種類の情報を含み、当該流通物を特定するための固有情報、使用日付、並びに、使用状況を含むレコードを記憶する管理テーブルが格納された記憶部と、受信した流通物の固有情報について、上記管理テーブルを検索して、該当する使用状況欄が”未(予備)”と記録されているか否かを判定し、”未(予備)”であった場合は、当該固有情報の種類の情報を読み出すと共に、上記管理テーブルに対して、当該種類の情報を固有情報に含む流通物の使用状況欄を検索して、”現在使用中”と記録された使用状況欄があれば、当該使用状況欄を”使用済み”に更新し、さらに、上記”未(予備)”と記録されていた使用状況欄を”現在使用中”に更新すると共に、当該使用状況欄を含むレコードの使用日付欄に上記固有情報を検出した当日の日付けを入力し、また、上記記憶部に格納されたサービス受給者の管理テーブルから、使用状況欄が使用済みまたは現在使用中で、しかも、使用日付が課金対象期間に該当するレコードを抽出し、抽出された各レコードに含まれる固有情報によって特定される流通物の料金を、上記抽出された各レコードに含まれるリサイクルまたは及びリユース情報に応じて変化させる演算処理部とを備えているサービス管理装置と通信する送受信部と、
当該流通物に付随する記録媒体から、当該流通物の固有情報、並びに、当該流通物のリサイクルまたは及びリユース情報を読み出す読み取り部と、
流通物が装着された場合に、当該読み取り部が読み出した流通物の固有情報、並びに、当該流通物のリサイクルまたは及びリユース情報を、上記サービス管理装置へ送信するように上記送受信部へ送信命令を出すコントローラ部とを備えていることを特徴とする機器。 - 上記管理テーブルには、流通物の残量情報の記録欄が追加されており、
上記演算処理部は、当該機器からの残量情報および流通物の固有情報を上記通信部が受信すると、上記管理テーブルのうち、当該流通物の残量情報欄を更新すると共に、上記流通物の料金を算出する際、上記流通物の消費材部分と収容体部分とに対する課金額を分離し、上記収容体部分の料金は、上記抽出された各レコードに含まれるリサイクルまたは及びリユース情報に応じて変化させることによって算出すると共に、上記抽出された各レコードに含まれる残量情報欄の残量情報に対応した課金係数をmi、基準料金をpとするとき、消費材部分の料金をp*miとするものであり、
さらに、上記機器は、装着されている流通物の残量を検出する残量検出部を備え、上記コントローラ部は、当該残量検出部からの残量情報と上記流通物の固有情報とを上記サービス管理装置に送信することを特徴とする請求項7記載の機器。 - 上記流通物は、トナーカートリッジであり、
上記読み取り部は、トナーカートリッジに付随する記録媒体から、当該トナーカートリッジの固有情報、並びに、当該トナーカートリッジのリサイクルまたは及びリユース情報を読み出すことを特徴とする請求項7または8記載の機器。 - 請求項1ないし6のいずれか1項に記載のサービス管理装置としてコンピュータを動作させるプログラムが記録された記録媒体。
- 請求項7、8または9記載の機器としてコンピュータを動作させるプログラムが記録された記録媒体。
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