JP4201542B2 - 移動機械の部品情報管理システム、移動機械の部品情報管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム - Google Patents

移動機械の部品情報管理システム、移動機械の部品情報管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動機械の部品情報管理システム、移動機械の部品情報管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【0002】
【背景技術】
移動機械である例えば建設機械の修理サービス等での部品の供給や、消耗部品のような補給部品の供給は、建設機械を稼働させるうえで極めて重要である。現在これらの部品については、移動機械の工場出荷時点での部品情報に基づいてパーツブック(部品明細書)が作成されるとともに、各部品情報のデータベースを構築して情報管理されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、建設機械を構成する部品点数が非常に多いことや、同じ型式の建設機械でも使用環境(例えば鉱山地帯、山林地帯、軟弱地盤地帯、あるいは都市部等々)に応じて部品の仕様が異なるために、仕様を考慮した部品情報を工場出荷時にデータベースに正確に反映させるのが難しいという問題がある。
【0004】
また、工場出荷時に組み込まれていた部品の仕様は、以下の理由で変更される場合が多いのであるが、この変更に伴うデータベース内の部品情報が必ずしもタイムリーに更新されず、修理や消耗等による交換時に正しい部品が供給されないという問題がある。
【0005】
すなわち、例えば第1には、工場出荷後に販売代理店において、使用者の要求によってカスタマイズ(改造)されたり、使用者自身によるカスタマイズにより、仕様が変わる場合である。第2には、建設機械の所有権の移転(中古車としての転売)や輸出(使用国の移転)などにより、建設機械の使用環境が大幅に変わり、部品の仕様が変わる場合である。第3には、使用者側での独自の修理やオーバーホール等により、工場出荷時点で組み込まれた部品が別の仕様の部品に交換された場合である。第4には、部品供給側でのエンジニアリングチェンジ(設計変更)等により、部品の仕様に新旧が生じた場合である。
【0006】
本発明の目的は、移動機械側と情報管理者側とで同一レベルのデータベースを容易に構築できる移動機械の部品情報管理システム、移動機械の部品情報管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段と作用効果】
本発明の請求項1に記載の移動機械の部品情報管理システムは、移動可能な移動機械の部品情報を移動機械側と情報管理者のサーバ側とで管理するための移動機械の部品情報管理システムであって、前記移動機械を構成する部品に取り付けられて当該部品の部品情報を担持している部品情報担持手段と、部品情報担持手段から得られる部品情報を入力する機械側入力手段と、前記部品の部品情報が記憶される移動機械側およびサーバ側双方の部品情報記憶手段と、移動機械側およびサーバ側相互でネットワークを介して部品情報の通信を行う通信手段と、前記部品情報記憶手段の部品情報を更新する移動機械側およびサーバ側双方の更新手段とを備え、前記移動機械側の更新手段は、前記部品情報記憶手段内に記憶された前記部品の部品情報を、当該部品とは仕様の異なる別の部品の部品情報担持手段から得られる部品情報に更新し、前記サーバ側の更新手段は、前記移動機械側で前記部品情報記憶手段内の部品情報の更新があったことを当該移動機械からの入力で認識すると、前記部品情報記憶手段に記憶された更新後の部品情報を前記ネットワークを介してアップロードし、前記サーバ側の前記部品情報記憶手段内にもともと記憶されている部品情報を前記アップロードした部品情報に更新することを特徴とする。
【0008】
この部品情報管理システムにおいては、部品情報が担持された部品情報担持手段を部品に取り付けておくので、移動機械の工場出荷時に、通常とは異なる仕様の部品を組み込む場合や、工場出荷後において、販売代理店または使用者側で仕様の異なる部品を組み込む場合には、その部品の部品情報担持手段から得られる部品情報を機械側入力手段を介して入力し、部品情報記憶手段内のデータベースに反映させる。そして、その部品情報記憶手段内の部品情報を通信手段を介して情報管理者側にアップロードして、情報管理者側の部品情報記憶手段内の部品情報を更新すれば、常時移動機械側と情報管理者側とで互いに同一レベルでかつ部品の仕様に応じた正確なデータベースが構築される。
【0009】
本発明の請求項2に記載の移動機械の部品情報管理システムは、請求項1に記載の移動機械の部品情報管理システムにおいて、情報管理者側の更新手段は、情報管理者の部品情報記憶手段内の部品情報を当該部品の生産者側からの部品情報に基づいて更新可能に設けられていることを特徴とする。
この部品情報管理システムにおいては、生産者側で部品に設計変更等を適用した場合でも、この設計変更に係る部品情報が更新手段によって逐次データベースに反映されるようになり、部品情報の更新漏れが防止される。
【0010】
本発明の請求項3に記載の移動機械の部品情報管理システムは、請求項1または請求項2に記載の移動機械の部品情報管理システムにおいて、前記情報管理者側の部品情報記憶手段には標準仕様の部品情報が記憶されているとともに、移動機械側の部品情報記憶手段内の部品情報と情報管理者側の部品情報記憶手段内の標準仕様の部品情報とを照合する照合手段を備えていることを特徴とする。
移動機械の部品には設計変更が入ることがあるが、設計変更があっても、既に稼働している移動機械には適用されず、次の生産分の移動機械から適用される場合がある。このような場合、情報管理者側の部品情報記憶手段にのみ、設計変更が適用された部品情報が標準仕様として記憶される。一方で、稼働している移動機械を引き上げ、再度整備して中古として販売することがある。この場合には、中古の移動機械の部品を過去からの設計変更が適用された最新の標準仕様の部品に変更して販売することが多い。
そこで、本発明の部品情報管理システムによれば、照合手段を備えていることにより、中古として引き上げた移動機械のいずれの部品が設計変更以前の部品であるかを容易に特定することが可能であり、最新の標準仕様への変更が迅速に行われるようになる。
【0011】
本発明の請求項4に記載の移動機械の部品情報管理システムは、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の移動機械の部品情報管理システムにおいて、前記部品情報記憶手段の更新履歴を履歴情報として記憶する履歴情報記憶手段と、前記移動機械の稼働情報を記憶する稼働情報記憶手段と、前記履歴情報および稼働情報に基づいて部品の余命情報を演算する余命情報演算手段とを備えていることを特徴とする。
この部品情報管理システムにおいては、部品の余命情報を演算する余命情報演算手段を備えているので、部品の余命が即座に把握されるようになり、部品の交換時期等が正確に予測されるようになる。
【0012】
本発明の請求項5に記載の移動機械の部品情報管理システムは、請求項4に記載の移動機械の部品情報管理システムにおいて、前記余命情報に基づいて前記部品および/または移動機械の残存価値を演算する残存価値演算手段を備えていることを特徴とする。
この部品情報管理システムにおいては、部品や移動機械全体を中古として販売したい場合に、これらの残存価値が残存価値演算手段で正確に演算されるから、適正な中古価格で販売可能である。
【0013】
本発明の請求項6に記載の移動機械の部品情報管理システムは、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の移動機械の部品情報管理システムにおいて、前記移動機械の駆動状態を検出する検出手段での検出結果が異常であると判断された場合に、この異常状態に応じた故障診断を支援する故障診断システムにアクセス可能に設けられており、この故障診断システムは、前記検出手段によって特定される故障情報が記憶された故障情報記憶手段と、故障情報記憶手段に記憶された故障情報を表示させる表示手段と、表示手段で表示された故障情報を選択することで故障診断を実行させる故障診断実行手段と、故障診断実行中に表示される部品の図面情報が記憶された図面情報記憶手段と、故障診断実行中に表示される部品関連情報を選択することで当該部品の図面情報を前記図面情報記憶手段から抽出する図面情報抽出手段とを備え、抽出された図面情報が前記表示手段に表示されることを特徴とする。
この部品情報管理システムにおいては、部品の故障診断を促す故障診断システムにアクセスすることで、異常部品の特定が容易に行われるようになり、大事に至る前の早期対応が可能である。そして、故障診断システムにおいては、故障診断実行手段を用い、表示手段に表示された故障情報(例えば故障の症状)を選択すれば、この故障情報に応じた故障診断が問診形式等で開始され、また、図面情報記憶手段および図面情報抽出手段により、診断実行中に表示手段に表示された部品を選択すると、この部品自身の図面やこの部品が設けられた位置等が解る図面等が表示されるようになり、異常部品の特定がより迅速に行えるようになる。
【0014】
本発明の請求項7に記載の移動機械の部品情報管理システムは、請求項6に記載の移動機械の部品情報管理システムにおいて、前記故障診断システムは、部品の発注を支援する部品発注システムにアクセス可能に設けられており、この部品発注システムは、前記表示手段に表示された図面情報または部品情報の中から、前記手配が必要な部品を選択することで発注業務関連シートを作成するシート作成手段を備えていることを特徴とする。
この部品情報管理システムにおいては、部品発注システムにアクセスすることにより、異常のある部品が特定された場合など、この部品の発注または見積依頼を行う必要が生じた際には、シート作成手段によって部品発注シートや部品見積依頼シート等の発注業務関連シートが自動的に作成されるようになり、部品発注業務での労力が大幅に軽減される。
【0016】
本発明の請求項8のプログラムは、移動可能な移動機械の部品情報を移動機械側と情報管理者のサーバ側とで管理するための移動機械の部品情報管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、移動機械を構成する部品に担持された部品情報を移動機械側およびサーバ側の双方に記憶させる手順と、前記移動機械側の前記部品情報記憶手段内に記憶された前記部品の部品情報を、当該部品とは仕様の異なる別の部品の部品情報担持手段から得られる部品情報に更新する手順と、前記サーバ側で、前記移動機械側で前記部品情報記憶手段内の部品情報の更新があったことを当該移動機械からの入力で認識させるとともに、前記部品情報記憶手段に記憶された更新後の部品情報をネットワークを介してアップロードし、前記サーバ側の前記部品情報記憶手段内にもともと記憶されている部品情報を前記アップロードした部品情報に更新する手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0017】
以上の部品情報管理方法およびプログラムは、請求項1の部品情報管理システムを実施する方法およびこの方法をコンピュータで実行するためのプログラムであり、請求項1で説明した作用効果が同様に得られ、本発明の目的を達成できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る部品情報管理システムの全体構成を説明するための説明図、図2は、本システムで管理されるケーブル(部品)1が組み込まれた建設機械(移動機械)10のブロック図、図3は、情報管理者20側のブロック図である。
【0019】
〔1.全体構成の概略説明〕
部品情報管理システムは、建設機械10(10A,10B…)を構成する部品の部品情報を情報管理者20側と建設機械10側で管理するシステムであって、コンピュータを用いたネットワーク技術によって構築されている。なお、情報管理者20とは、例えば建設機械10のメーカーであり、種々の情報を統括的に管理している情報管理部門等である。また、建設機械10は、例えば鉱山開発業者や土木建築業者等の使用者30(30A,30B…)で使用されている。
【0020】
具体的に本システムは、情報管理者20側に設置されたホストコンピュータ等で構成されるサーバ21と、使用者30側に設置されたパーソナルコンピュータ等で構成される端末(不図示)とを備え、これらサーバ21および端末がインターネット等のネットワーク90を介して相互通信可能に接続されている。また、このネットワーク90には、建設機械10のメーカー側の開発センターや製造工場といった生産者40の端末が接続されているとともに、建設機械10の販売代理店50(50A,50B…)の端末、および通信衛星61の通信基地である衛星通信局60の端末も接続されている。
【0021】
建設機械10において、建設機械10Aは、使用者30Aの所有であり、例えば鉱山開発に専ら使用されている。建設機械10Bは、使用者30Bの所有であり、例えば都市部の建設現場で専ら使用されている。この際、建設現場で使用される建設機械10Bは、メーカー側で設定した標準仕様の部品を備えている。その一例として、図4の配線図に示すように、電気回路基板で形成された信号入力基板E12は、建設機械10の駆動状態を検出するためのエンジン回転センサERSの検出信号が入力する構成であり、また、信号入力基板E12とエンジンコントローラECおよびトランスミッションコントローラATC3Aとを接続するケーブルアセンブリ(以下、単にケーブルと称す)1は、図5に示すように、ハーネス状の部品である。
【0022】
ここで、ケーブル1は、前記エンジンコントローラECおよびトランスミッションコントローラATC3Aに接続される二つのコネクタ2と、前記信号入力基板E12に接続されるコネクタ(不図示)と、各コネクタ2内に係合されている金属製のプラグ4と、プラグ4に結線されたバルクケーブル6と、複数のバルクケーブル6をハーネス状にまとめるタイバンド7等を備え、一つのコネクタ2にはICチップ(部品情報担持手段)5が取り付けられている。
【0023】
ICチップ5は、所定の部品情報を記憶担持するとともに、非接触データ通信可能であり、後述する機械側入力手段11に対して無線通信用の微弱な搬送波を出力するように設けられている。このようなICチップ5としては、ISO14443等の被接触IC規格を用いて構成することができる。ただし、本発明に係る部品情報担持手段としては、ICチップに限定されず、例えばバーコードラベル等であってもよい。この場合、機械側入力手段11としては、バーコードリーダーが用いられることになる。
【0024】
〔2.建設機械の説明〕
以上のケーブル1を標準仕様として組み込まれる建設機械10は、コンピュータ技術を利用した以下の構成を備えている。つまり、建設機械10は、図2に戻って示すように、機械側入力手段11、部品情報記憶手段12、更新手段13、履歴情報記憶手段14、表示手段15、通信手段16、稼働情報記憶手段17、余命情報演算手段18、および残存価値演算手段19を備えている。また、建設機械10には、各手段11〜19,70を本システム上で円滑に機能させるためのコンピュータプログラム(オペレーティングシステム)が図示しない記憶手段に記憶されている。
【0025】
機械側入力手段11は、ICチップ5から出力される搬送波を受信する受信機であり、この受信によりICチップ5内に担持されたケーブル1の部品情報(部品番号、部品名、数量、価格など)を得ることが可能である。
【0026】
部品情報記憶手段12は、ケーブル1の部品情報のみならず、建設機械10を構成する部品全ての部品情報を階層的にデータベース化して記憶するものであり、ケーブル1についていえば、例えば図6に模式的に示す状態で記憶するように構成されている。記憶される情報は、前述したように機械側入力手段11から部品単位で入力される場合や、全部品の部品情報が情報管理者20側から通信衛星61を介してダウンロードされる場合がある。
【0027】
更新手段13は、コンピュータプログラムからなり、部品情報記憶手段12内の部品情報を書き換えて更新するために実行される。例えば工場出荷時に、標準仕様とは異なるケーブル1(部品番号も異なる)を組み込んだり、建設機械10を販売代理店50から使用者30への納品にあたってカスタマイズし、仕様の異なるケーブル1と交換したり、納品後に使用者30自らのカスタマイズにより、別の仕様のケーブル1に交換した場合など、更新手段13はそれら仕様の異なるケーブル1(やはり同様なICチップ5を備えている)から得られるの部品情報に基づき、部品情報記憶手段12内のデータを書き換える。また、更新手段13は、サーバ21側からのダウンロードにより、全ての部品情報を書き換え、更新することも可能である。
【0028】
履歴情報記憶手段14は、部品情報の更新が行われた際に、その履歴を履歴情報としてデータベース化して記憶するものであり、更新の対象となった部品の部品番号、部品名、更新日、更新者などが記憶されるように構成されている。ここでの部品番号や部品名は、更新を行うことで自動的に記憶され、また、更新日や更新者等は、例えば端末に付設されたキーボード等から入力されることになる。
【0029】
表示手段15は、液晶ディスプレイ等で構成され、部品情報記憶手段12や履歴情報記憶手段14内の情報を適宜に表示させる他、ネットワーク90から衛星通信局60および通信衛星61を介して送信された情報(コンテンツ)を表示可能である。
【0030】
通信手段16は、通信衛星61との通信用であり、通信衛星61に対して情報の送受信を行うことが可能である。これにより、サーバ21からの部品情報を含むネットワーク90上の情報を受信可能であり、また、サーバ21に対して部品情報や種々の情報を送信できるようになっている。
【0031】
稼働情報記憶手段17は、建設機械10に搭載されたアワーメータ(図示略)からの累積稼働時間や使用条件等を稼働情報として記憶するものであり、建設機械10全体の稼働時間や使用条件が記憶される他、例えば途中で交換された部品に対しても、交換時点からの稼働時間などが記憶されるようになっている。
【0032】
余命情報演算手段18も、コンピュータプログラムであり、履歴情報記憶手段14内の履歴情報および稼働情報記憶手段17内の稼働情報に基づき、部品の余命情報を演算する機能を備えている。建設機械10の各部品には予め最大使用時間(寿命)が決められているが、このような最大使用時間と使用条件を加味した実際の累積稼働時間とを余命情報演算手段18で逐一比較することで、部品の交換時期を予測し、予測結果を一余命情報として表示手段15に表示させることが可能である。また、余命情報としては、予測結果を導き出すための余命時間等も含まれる。
【0033】
残存価値演算手段19は、部品の余命情報(余命時間)および部品の購入価格に基づき、部品の残存価値を現状価格として算出したり、全部品の現状価格を合計して建設機械10全体の現状価格を算出する機能を備えている。この残存価値演算手段19は、建設機械10を中古車として売買する場合に有用である。
【0034】
〔3.情報管理者側サーバの説明〕
一方、情報管理者20側のサーバ21は、部品情報記憶手段22、更新手段23、履歴情報記憶手段24、表示手段25、通信手段26、稼働情報記憶手段27、余命情報演算手段28、残存価値演算手段29、照合手段70、故障情報記憶手段71、故障診断実行手段72、診断フロー記憶手段73、図面情報記憶手段74、図面情報抽出手段75、およびシート作成手段76を備えている。また、サーバ21にも、各手段22〜29,70〜76を本システム上で円滑に機能させるためのコンピュータプログラム(オペレーティングシステム)が図示しない記憶手段に記憶されている。
【0035】
なお、各手段22〜29は、建設機械10側の各手段12〜19とほぼ同機能を備えているために、それらの機能についてはここでの説明を簡略化する。例えば更新手段23は、生産者40側から部品情報が入力されるのを監視しており、何らかの理由で部品に設計変更等が適用され、これに伴って新たな部品番号が付与されたり、あるいは特別な識別コードが付与されたといった場合に、それらの部品番号や識別コードの入力を受け付けて部品情報記憶手段22内の部品情報を更新する。
【0036】
また、当該更新手段23は、建設機械10側で部品情報記憶手段12内の部品情報に変更が加えられた場合など、その変更があったことを建設機械10側からの入力で認識すると、部品情報記憶手段12内の部品情報全てを通信衛星61およびネットワーク90を介してアップロードし、情報管理者20側の部品情報記憶手段22内にもともと存在する部品情報に上書きし、更新する。これにより、建設機械10側で変更があった場合でも、情報管理者20側での部品情報も実機に合わせた同じレベルに維持される。
【0037】
さらに、通信手段26は無線通信用ではなく、有線通信であってよい。そして、稼働情報記憶手段27に記憶される稼働情報は、建設機械10側での稼働情報が通信衛星61およびネットワーク90を介してサーバ21側に送られることで記憶される。
【0038】
照合手段70は、コンピュータプログラムであり、例えば以下の場合に用いられる。すなわち、建設機械10の部品には設計変更が入ることがあるが、設計変更があっても、既に稼働している建設機械10には適用されず、次の生産分の建設機械10から適用される場合がある。一方で、稼働している建設機械10を引き上げ、再度整備して中古として販売することがある。この場合には、中古の建設機械10の部品を過去の設計変更が適用された最新の標準仕様に変更して販売することが多い。そこで、中古として引き上げた建設機械のいずれの部品が設計変更以前の部品であるかを特定する必要があり、この特定のために照合手段70が用いられる。
【0039】
故障情報記憶手段71は、建設機械10の故障に伴ってインジケータ101(図13)に表示される全てのサービスコードや、それぞれのサービスコードに対応した異常系統、各系統で生じ得る異常内容および点検箇所等の故障情報をデータベース化して記憶するものである。
【0040】
故障診断実行手段72は、故障情報記憶手段71内の故障情報を表示手段25に表示させた際に、任意の故障情報を選択することで故障診断を自動的に実行させる機能を備えている。
【0041】
診断フロー記憶手段73は、故障診断を実行するための診断フローを記憶するものであり、本実施形態では、診断フロー内に設定された問診に順次応じることにより、当該診断フローに従って診断が進むように構成されている。
【0042】
図面情報記憶手段74は、建設機械10の全部品についてその図面、例えば図4、図5に示した配線図や組立図、さらには部品の配置位置を示した配置図等を図面情報として記憶するものである。
【0043】
図面情報抽出手段75は、図面情報をネットワーク90および通信衛星61を介して建設機械10側に送信し、表示手段15に表示させる機能を備えている。例えば前記故障診断サービスを受けている最中において、診断フロー中に何らかの部品情報が登場した場合など、その部品情報を選択すると、この部品情報に対応した図面情報を図面情報記憶手段74内から抽出し、表示させる。これにより、部品が組み込まれている箇所等が迅速に把握され、対応がスムーズに行われる。
【0044】
そして、これら故障情報記憶手段71、故障診断実行手段72、診断フロー記憶手段73、図面情報記憶手段74、図面情報抽出手段75、および建設機械10側の表示手段15により、本発明に係る故障診断システムが形成されている。このような故障診断システムは、各手段71〜73の動作により、サーバ21側からネットワーク90上に故障診断サービスを提供しており、このサービスを利用することで、建設機械10の故障診断が自動的に行えるようになっている。
【0045】
さらに、このサービスを建設機械10側で受けるには、表示手段15に表示されたリンク手段を用いればよく、例えば建設機械10側で部品情報管理システムを起動している最中においても、故障診断システムに容易にアクセスしてサービスを受けることが可能である。このことにより、建設機械10側で複数の部品の交換を一度に行った場合などに、建設機械10が正常に稼働しない場合でも、即座に異常箇所や異常部品を特定することが可能である。勿論、このサービスは、建設機械10の通常の稼働時において故障が生じた場合にも、同様に受けることができる。
【0046】
シート作成手段76は、表示手段15に表示された組立図(図5参照)の符号(IDX:インデックス)等を選択すると、その部品の部品発注シートまたは部品見積依頼シートを自動的に作成する機能を備えている。
【0047】
そして、このシート作成手段76を含んで本発明に係る部品発注システムが形成されている。このような部品発注システムにおいても、サーバ21側からネットワーク90上に部品発注サービスを提供しており、このサービスを建設機械10側で利用することにより、建設機械10に居ながらにして部品の発注業務が行えるようになっている。さらに、このシステムへは、建設機械10側でのメニューの選択により自動的にアクセスされ、部品発注サービスを受けることが可能である。
【0048】
〔具体的な事例の説明〕
以下には、本実施形態の具体的な事例を図7に基づいて説明する。
図7に示す流れ図において、先ず建設機械10の開発および生産にあたり、生産者40は全部品の部品情報を作成し、標準仕様の建設機械10の一台分のパーツブック等を完成させる。また、部品の作成にあたっては、当該部品の部品情報を任意の書込手段でICチップ5に予め書き込んでおき、担持させておく(S1)。一方、情報管理者20は、生産者40側で作成した部品情報を部品情報記憶手段22にデータベース化して記憶し、管理する(S2)。例えば図5に示すケーブル1であれば、図6に示すような形態で部品情報が記憶される。
【0049】
生産者40側では、建設機械10の生産を開始するとともに、完成した建設機械10の部品情報記憶手段12に標準仕様の部品情報をダウンロードして記憶させる(S3)。この際の部品情報は、生産者40側のデータベースからダウンロードしてもよく、情報管理者20側の部品情報記憶手段22からダウンロードしてもよい。
【0050】
そこで、例えば鉱山開発を手がける使用者30A側で建設機械10の購入が決定すると、その発注と仕様説明を販売代理店50に対して行う(S4)。この後、販売代理店50は、生産者40側にオーダーを立てる(S5)。
【0051】
このオーダーを受けた生産者40側では、使用者30が要求する仕様に合うように部品を組み換え、標準仕様であった建設機械10の仕様変更を行う。例えばケーブル1に関して、鉱山での稼働に適するように、使用者30Aが標準仕様のケーブル1よりも長いケーブル1を要求した場合には、この要求に見合った仕様のケーブル1に組み換えるのである(S6)。
【0052】
この際、標準仕様の短いケーブル1の部品番号が「1234−56−7890−SH」であるのに対して、長いケーブル1の部品番号が「1234−56−7890−LH」であるとすれば、この長いケーブル1に設けられたICチップ5内の部品情報を機械側入力手段11で読み取り、部品情報記憶手段12内の部品情報を書き換えて更新する(S7)。この更新は、建設機械10の更新手段13によって行われる。また、更新した際には、その更新履歴が履歴情報記憶手段14に記憶される。更新された部品情報を図8に示す。
【0053】
さらに、建設機械10側においては、更新された部品情報記憶手段12内の全部品情報を通信衛星61およびネットワーク90を介してサーバ21側にアップロードし、この建設機械10の機番に対応したデータベース、つまり標準仕様とは異なった当該機番の固有のデータベースを部品情報記憶手段22内に構築する(S8)。これにより、情報管理者20側と建設機械10側とでは、同一レベルの部品情報を有することになる。そして、建設機械10を納品し(S9)、使用者30側で使用する(S10)。
【0054】
ところで、建設機械10に現在組み込まれている部品に設計変更を適用することがある。例えばケーブル1において、現段階で使用されているコネクタ2(図5)は、耐久性に優れた高価な材質で形成されているのであるが、種々の耐久試験の結果、コストダウンが可能と判明した場合などには、より安価な材質のコネクタ2を適用する場合が考えられる。このような場合には通常、コネクタ2の品番も変更する(S11)。
【0055】
このような設計変更が認められると、次生産の建設機械10等から標準仕様として適用されることになる。このため、生産者40はその情報を情報管理者20側に出力し、標準仕様の部品情報の更新を促す。すなわち、安価なコネクタ2の部品番号「0987−65−4321」や「9876−54−3210」等を出力し、この部品情報に基づいて更新手段23が部品情報記憶手段22内の部品情報を更新する(S12)。情報管理者20側での更新は、サーバ21の更新手段23によって行われる。また、更新した際には、その更新履歴が履歴情報記憶手段24に記憶される。更新された部品情報を図9に示す。
【0056】
なお、図7には記載されていないが、設計変更には、品質向上等の理由から、既に使用者30側で稼働している建設機械10の部品に対して適用する場合がある。このような場合には、新たに組み込まれる部品を販売代理店50等で用意し、サービスカー等で使用者30を巡回し、部品の交換作業を行う。この際、新たな部品には、標準仕様の部品とは異なった部品番号(部品情報)が付与されているために、部品の交換にあたって部品情報記憶手段12内の部品情報を更新する。つまり、新たな部品に設けられたICチップ5を機械側入力手段11で読み込み、更新手段13で更新する。更新が終了したら、部品情報をサーバ21側にアップロードし、部品情報記憶手段22内の対応した機番の部品情報も併せて更新する。
【0057】
さて、建設機械10Aを専ら鉱山開発に使用していた使用者30Aは、建設機械10Aをより緻密に駆動制御できるように改造し、稼働場所を選ばないよりハイグレードな仕様にカスタマイズしたとする(S13)。このために使用者30Aは、例えば図10の配線図に示すように、信号入力基板E12を交換し、エンジン回転センサ(検出手段)ERSからの検出信号の他、過給機に設けられた圧縮機側圧力センサからの検出信号、および排気管に設けられた排気温度センサからの検出信号をも取り込めるようにするとともに、標準仕様よりも多くの信号を高速でエンジンコントローラECとトランスミッションコントローラATC3Aに伝送できるようにした。
【0058】
このカスタマイズでは、信号入力基板E12、エンジンコントローラEC、トランスミッションコントローラATC3A、およびケーブル1の仕様がそれぞれ交換になるのであるが、説明の簡略化のためにケーブル1についてのみいえば、ケーブル1が図11に示すように交換されるのである。このケーブル1は、いわゆるフラットケーブルのアセンブリ部品であり、ハーネス状の標準仕様のケーブル1とは構成が大きく異なる。
【0059】
そして、新たなケーブル1には別の部品番号「1234−56−7890−LF」が付与されている。販売代理店50は、このケーブル1を用意して交換を行い、さらに、前述したと同様に、部品情報記憶手段12内の部品情報を更新する(S14,S15)。更新された部品情報を図12に示す。また、このような場合にも、部品情報記憶手段12内の部品情報をサーバ側にアップロードし、部品情報記憶手段22内の部品情報も更新する。従って、使用者30側での独自のカスタマイズに対しても、使用者30および情報管理者20双方で部品情報が共有される。また、この際の履歴も、前述と同様に記憶される。
【0060】
さらに、建設機械10では、稼働中において異常が発生すると(S16)、図13に示すように、その異常を表すサービスコードがインジケータ101に表示されるようになっている。本実施形態では、サービスコードとして「b010」が表示されている。このような場合、建設機械10側では、サーバ21側に構築された故障診断システムにアクセスし(S17)、サーバ21から故障診断サービスを受けることになる(S18)。
【0061】
この故障診断サービスによれば先ず、建設機械10の表示手段15には、図14に示す入力画面151が表示される。この入力画面151において、建設機械10の機種(本実施形態ではHD785−5)、機番(本実施形態では、4006)、および前述のサービスコード(b010)を入力すると、図15に示す故障情報画面152に切り換わる。故障情報画面152では、サービスコード(b010)に対応した異常系統や異常内容等の故障情報が表示される。このような故障情報は、サーバ21の故障情報記憶手段71にサービスコードに対応して予め記憶されている。
【0062】
この後、故障情報画面152上において、故障情報を確認し、故障であると判断した場合には、該当する部品情報、この場合ではサービスコード(b010)をタッチパネル形式で選択する。これにより、この選択した際の入力信号がサーバ21側に送られ、サーバ21の故障診断実行手段72が起動して故障診断を開始し、故障部品等の特定を行う。
【0063】
具体的には、図16に示すように、表示手段15に診断フロー画面153が表示される。診断フロー画面153では、YES−NO形式の問診を順次行うことで診断が進むようになっており、このような診断フローがサーバ21の診断フロー記憶手段73から抽出され、表示される。
【0064】
より具体的に説明すると、先ず「エンジンコントローラにエラーコードがでているか」という問いに対しては、表示されていればYES、表示されていなければNOに進む。ここでは、異常表示がなく、NOを選択したものとする。そして、次の「ケーブル1の端子間の抵抗値は正常か」の問いに答えるのである。しかしながらここで、ケーブル1を外して抵抗値を測定するのであるが、はたしてケーブル1がどの位置にあるかわからない場合がある。このような場合には、この問いの部分をタッチパネル形式等で選択すればよい。
【0065】
すると、この選択によってサーバ21の図面情報抽出手段75が起動し、選択した部分に含まれる部品の図面情報を図面情報記憶手段74から抽出し、図17に示すように、配置図として表示手段15に表示する。この配置図の表示により、ケーブル1の位置を容易に把握することが可能である。
【0066】
図16に戻って、ケーブル1での抵抗値を測定した後、抵抗値が正常であれば、再度ケーブル1を接続してエンジンコントローラECに設けられた表示でのエラーコードを確認し、以下に進むのである。しかし、ここでは、測定値に異常があり、NOに進むものとする。この結果、異常の原因はトランスミッションコントローラATC3Aおよび信号入力基板E12間にあることが特定され、ケーブル1を交換する処置が要求される。以上により、故障診断が完了する。
【0067】
この段階で交換用のケーブル1を即座に発注したいときには、画面上の「部品」を選択する。これにより、図面情報抽出手段75は、ケーブル1に関する図面情報をサーバ21側の図面情報記憶手段74から抽出し、図18に示すように組立図155として表示する。また、本実施形態では、図面情報の他、部品情報記憶手段12からケーブル1およびその小部品の部品情報が抽出され、部品表156として表示する。これによって異常部品として特定されたケーブル1をより正確に認識することが可能である。
【0068】
さらに、部品表156上のメニューバーなどから「発注シート」を選択すると、部品発注システムにアクセスしたことになり(S19)、シート作成手段76が起動して部品発注サービスが提供されるとともに(S20)、図19に示すように、ケーブル1の部品発注シート157が表示される。この際、これを出力するこで、部品発注シート(発注業務関連シート)157を建設機械10側で作成することもできるが、画面上で作成された部品発注シート157のデータを使用者30の購買部門等に転送し、ここで出力させることも可能である(S21)。
【0069】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1) すなわち、部品情報管理システムにおいては、例えばケーブル1でいえば、部品情報が担持されたICチップ5がケーブル1に取り付けられているので、建設機械10の工場出荷時に、通常とは異なる仕様のケーブル1が組み込まれたり、工場出荷後において、販売代理店50や使用者30側で仕様の異なるケーブル1が組み込まれた場合には、その組み込まれたケーブル1のICチップ5から得られる部品情報を、機械側入力手段11を介して読み込んで入力でき、建設機械10の部品情報記憶手段12内のデータベースに反映させることができる。従って、その部品情報記憶手段12内の部品情報を通信手段16,26を介して情報管理者20側にアップロードし、部品情報記憶手段22内の部品情報を更新すれば、常時建設機械10側と情報管理者20側とで互いに同一レベルでかつ部品の仕様に応じた正確なデータベースを構築できる。
【0070】
(2) サーバ21の更新手段23は、情報管理者20側の部品情報記憶手段22内の部品情報を生産者40側からの部品情報に基づいて更新可能であるから、生産者40側でケーブル1に設計変更等を適用した場合でも、この設計変更に係る部品情報を更新手段23によって逐次データベースに反映でき、標準仕様の部品情報の更新漏れを確実に防止できる。
【0071】
(3) サーバ21は照合手段70を備えているので、建設機械10を中古として使用者30から引き上げた場合など、建設機械10側の部品情報と情報管理者20側の部品情報とを照合することにより、引き上げた建設機械10のいずれの部品が設計変更以前の部品であるかを容易に特定でき、最新の標準仕様への変更を迅速に行える。
【0072】
(4) また、建設機械10が使用者30側で稼働している場合でも、この照合手段70を起動させれば、設計変更が適用されていない旧式の部品が現時点で幾つ出回っているのかを確実に把握できるので、何らかの理由で旧式の部品を使用続ける必要がある場合など、旧式の部品の在庫管理や、旧式の部品の生産設備の処分時期等を正確に管理できる。
【0073】
(5) 建設機械10およびサーバ21は、部品の余命情報を演算する余命情報演算手段18,28を備えているので、部品の余命を即座に把握でき、部品の交換時期等を正確に予測できる。また双方で余命情報演算手段18,28を備えていることにより、交換時期を失念するといった事態も免れる。
【0074】
(6) 建設機械10およびサーバ21は、部品および建設機械10の残存価値を演算する残存価値演算手段19,29を備えているので、部品や建設機械10を中古として販売したい場合に、これらの残存価値を残存価値演算手段19,29で正確に演算でき、適正な中古価格を設定できる。
【0075】
(7) また、部品情報管理システムにおいては、部品の故障診断を促す故障診断システムにアクセス可能であるから、異常部品の特定を容易にでき、大事に至る前に早期に対応できる。そして、故障診断システムにおいては、故障診断実行手段72を用い、表示手段15に表示された故障情報を選択すればよいため、この故障情報に応じた故障診断を確実かつ即座に開始できる。また、診断実行中においては、表示手段15に表示された部品を選択すると、図面情報記憶手段74および図面情報抽出手段75により、その部品自身の組立図やこの部品が設けられた位置等がわかる配置を表示でき、異常部品の特定をより迅速に行える。
【0076】
(8) このような故障診断システムの実行中には、部品の発注を支援する部品発注システムにアクセス可能であるため、異常のある部品が特定された場合など、この部品の発注または見積依頼を行う必要が生じた際には、シート作成手段76によって部品発注シート157や部品見積依頼シート等を自動的に作成でき、部品発注業務での労力を大幅に軽減できる。
【0077】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態の部品情報管理システムでは、部品情報の照合手段70がサーバ21側にのみ設けられていたが、同様な照合手段を必要に応じて建設機械10側に設けてもよい。
【0078】
また、故障診断システムや部品発注システムもサーバ21側に構築されていたが、建設機械10側に構築されていてもよい。しかしながら、建設機械10側に構築すると、各種の記憶手段に大容量のメモリーが必要になり、建設機械10の制御装置の大型化およびコストの上昇を招くため、サーバ21に構築して建設機械10からアクセス可能に構成するのが望ましい。
【0079】
前記実施形態での故障診断システムにおいては、図16に示す「部品」を選択することでケーブル1の組立図や部品表を表示させたが、「ショップ」を選択することでショップマニュアル(部品解説マニュアル)を表示させてもよい。
【0080】
本発明に係る部品としてはケーブル1に限定されず、燃料フィルタ、燃料噴射装置、冷却水循環用ポンプといった任意の部品であってよい。勿論、本発明に係る移動機械としても建設機械10に限らず、移動可能な任意の土木機械や、その他の移動可能な機械であってよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る部品情報管理システムの全体構成を説明するための説明図である。
【図2】移動機械を示すブロック図である。
【図3】情報管理者側を示すブロック図である。
【図4】部品の配線図である。
【図5】部品の組立図である。
【図6】情報記憶手段内に記憶された部品情報を示す模式図である。
【図7】具体的な事例を示す流れ図である。
【図8】部品情報記憶手段内に記憶された別の部品情報を示す模式図である。
【図9】部品情報記憶手段内に記憶されたさらに別の部品情報を示す模式図である。
【図10】仕様の異なる部品の配線図である。
【図11】仕様の異なる部品の組立図である。
【図12】部品情報記憶手段内に記憶された仕様の異なる部品の部品情報を示す模式図である。
【図13】移動機械のインジケータを示す図である。
【図14】入力画面を示す図である。
【図15】故障情報画面を示す図である。
【図16】診断フロー画面を示す図である。
【図17】部品の配置図である。
【図18】組立図および部品表が表示された画面を示す図である。
【図19】部品発注シートを示す図である。
【符号の説明】
1…部品であるケーブル、5…部品情報担持手段であるICチップ、10…移動機械である建設機械、11…機械側入力手段、12,22…部品情報記憶手段、13,23…更新手段、14,24…履歴情報記憶手段、15,25…表示手段、16,26…通信手段、17,27…稼働情報記憶手段、18,28…余命情報演算手段、19,29…残存価値演算手段、20…情報管理者、40…生産者、70…照合手段、71…故障情報記憶手段、72…故障診断実行手段、74…図面情報記憶手段、75…図面情報抽出手段、76…シート作成手段、157…発注業務関連シートである部品発注シート、ERS…検出手段であるエンジン回転センサ。

Claims (8)

  1. 移動可能な移動機械(10)の部品情報を移動機械(10)側と情報管理者(20)のサーバ(21)側とで管理するための移動機械(10)の部品情報管理システムであって、
    前記移動機械(10)を構成する部品(1)に取り付けられて当該部品(1)の部品情報を担持している部品情報担持手段(5)と、
    部品情報担持手段(5)から得られる部品情報を入力する機械側入力手段(11)と、
    前記部品(1)の部品情報が記憶される移動機械(10)側およびサーバ(21)側双方の部品情報記憶手段(12,22)と、
    移動機械(10)側およびサーバ(21)側相互でネットワーク(90)を介して部品情報の通信を行う通信手段(16,26)と、
    前記部品情報記憶手段(12,22)の部品情報を更新する移動機械(10)側およびサーバ(21)側双方の更新手段(13,23)とを備え
    前記移動機械(10)側の更新手段(13)は、前記部品情報記憶手段(12)内に記憶された前記部品(1)の部品情報を、当該部品(1)とは仕様の異なる別の部品(1)の部品情報担持手段(5)から得られる部品情報に更新し、
    前記サーバ(21)側の更新手段(23)は、前記移動機械(10)側で前記部品情報記憶手段(12)内の部品情報の更新があったことを当該移動機械(10)からの入力で認識すると、前記部品情報記憶手段(12)に記憶された更新後の部品情報を前記ネットワーク(90)を介してアップロードし、前記サーバ(21)側の前記部品情報記憶手段(23)内にもともと記憶されている部品情報を前記アップロードした部品情報に更新する
    ことを特徴とする移動機械(10)の部品情報管理システム。
  2. 請求項1に記載の移動機械(10)の部品情報管理システムにおいて、
    情報管理者(20)側の更新手段(23)は、情報管理者(20)側の部品情報記憶手段内(22)の部品情報を当該部品(1)の生産者(40)側からの部品情報に基づいて更新可能に設けられている
    ことを特徴とする移動機械(10)の部品情報管理システム。
  3. 請求項1または請求項2に記載の移動機械(10)の部品情報管理システムにおいて、
    前記情報管理者(20)側の部品情報記憶手段(22)には標準仕様の部品情報が記憶されているとともに、
    移動機械(10)側の部品情報記憶手段(12)内の部品情報と情報管理者(20)側の部品情報記憶手段(22)内の標準仕様の部品情報とを照合する照合手段(70)を備えている
    ことを特徴とする移動機械(10)の部品情報管理システム。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の移動機械(10)の部品情報管理システムにおいて、
    前記部品情報記憶手段(12,22)の更新履歴を履歴情報として記憶する履歴情報記憶手段(14,24)と、
    前記移動機械(10)の稼働情報を記憶する稼働情報記憶手段(17,27)と、
    前記履歴情報および稼働情報に基づいて部品(1)の余命情報を演算する余命情報演算手段(18,28)とを備えている
    ことを特徴とする移動機械(10)の部品情報管理システム。
  5. 請求項4に記載の移動機械(10)の部品情報管理システムにおいて、
    前記余命情報に基づいて前記部品(1)および/または移動機械(10)の残存価値を演算する残存価値演算手段(19,29)を備えている
    ことを特徴とする移動機械(10)の部品情報管理システム。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の移動機械(10)の部品情報管理システムにおいて、
    前記移動機械(10)の駆動状態を検出する検出手段(ERS)での検出結果が異常であると判断された場合に、この異常状態に応じた故障診断を支援する故障診断システムにアクセス可能に設けられており、
    この故障診断システムは、前記検出手段(ERS)によって特定される故障情報が記憶された故障情報記憶手段(71)と、故障情報記憶手段(71)に記憶された故障情報を表示させる表示手段(15)と、表示手段(15)で表示された故障情報を選択することで故障診断を実行させる故障診断実行手段(72)と、故障診断実行中に表示される部品(1)の図面情報が記憶された図面情報記憶手段(74)と、故障診断実行中に表示される部品関連情報を選択することで当該部品(1)の図面情報を前記図面情報記憶手段(74)から抽出する図面情報抽出手段(75)とを備え、抽出された図面情報が前記表示手段(15)に表示される
    ことを特徴とする移動機械(10)の部品情報管理システム。
  7. 請求項6に記載の移動機械(10)の部品情報管理システムにおいて、
    前記故障診断システムは、部品の発注を支援する部品発注システムにアクセス可能に設けられており、
    この部品発注システムは、前記表示手段(15)に表示された図面情報または部品情報の中から、手配が必要な部品(1)を選択することで発注業務関連シート(157)を作成するシート作成手段(76)を備えている
    ことを特徴とする移動機械(10)の部品情報管理システム。
  8. 移動可能な移動機械(10)の部品情報を移動機械(10)側と情報管理者(20)のサーバ(21)側とで管理するための移動機械(10)の部品情報管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
    移動機械(10)を構成する部品に担持された部品情報を移動機械(10)側およびサーバ(21)側の双方に記憶させる手順と、
    前記移動機械(10)側の前記部品情報記憶手段(12)内に記憶された前記部品(1)の部品情報を、当該部品(1)とは仕様の異なる別の部品(1)の部品情報担持手段(5)から得られる部品情報に更新する手順と、
    前記サーバ(21)側で、前記移動機械(10)側で前記部品情報記憶手段(12)内の部品情報の更新があったことを当該移動機械(10)からの入力で認識させるとともに、前記部品情報記憶手段(12)に記憶された更新後の部品情報をネットワーク(90)を介してアップロードし、前記サーバ(21)側の前記部品情報記憶手段(23)内にもともと記憶されている部品情報を前記アップロードした部品情報に更新する手順と
    をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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