JP3642663B2 - ガスメータコントローラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス遮断システム、特に、ガスメータコントローラのRAS機能に関する。
ここで、RAS機能とは、信頼性(Reliability)、稼働率(Availability)、保守性(Serviceability)をいう。
【0002】
【従来の技術】
ガスメータコントローラは、既に多数使用され、ガスメータの内部情報として異常な動作を分析したり、信頼性を向上するための解析情報を所有し、通信手段を用いてその内部情報を読み出す機能が知られている。
例えば、LPガス用のS形メータや都市ガス用マイコンメータに、遮断出力回数(弁の動作寿命と電池の消耗に関する)、過去3回分の遮断事象と遮断事象データ(遮断時の原因とその要因に関する)、異常な状況を示すアラーム情報などの情報が備わり、適宜読み出せるようになっている。
このような情報は、ガスメータの遮断動作がどのような原因で発生したかを分析できるように設けられたものである。
【0003】
また、上述した情報の読み出し機能は、ガスメータコントローラのマイコンシステムが予想外の現象を起こす場合に、その原因を追求する目的で設けられている。
上記予想外の動作としては、内蔵する電池の異常消耗、ノイズなどによる異常動作、ソフトウエアの異常動作などが考えられる。
なお、従来技術として、たとえば、特公平4−25828号公報に開示されたものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のガスメータコントローラは、以下の点で不都合を有していた。
(1)電池の消耗に関係した機能データとしての機能が不十分であり、電池の異常消耗の原因を究明することができない場合が多い。
(2)ガス遮断現象が発生したときのガスメータの使用状況が不明確である。
(3)ガス遮断現象が発生してからの経過時間情報がないため、ガスメータの使用状況が不明確である。
さらに、ガスメータコントローラは、システム価格が安価でなければならないという制約があるため、特別な素子を追加することはできず、容易に新たな解析情報の追加をすることができなかった。
【0005】
また、ガスメータやガスメータコントローラの動作異常を分析する際に、異常現象を再現できない場合や、電池の異常消耗の原因を特定できない場合が、大半であるという事実もある。
このため、ガスメータの信頼性、保守性、稼働率の改善を図るためのRAS機能としては、要因分析に役立つ情報の提供が大きな課題となっている。
【0006】
さらに、別の課題として、遮断現象が、ガスメータの工場出荷調整試験などで実施されたものなのか、あるいはそれ以降のフィールドでの実使用状態で発生したものなのかの区分けができないという不都合がある。
一般的には、工場出荷時に、それまで実施された遮断現象の動作履歴をクリアする。
しかし、工場出荷調整試験などで実施された遮断現象をデータとして残しておいて、実使用状態で発生した遮断現象の原因究明に役立てたいという要望がある。
【0007】
そこで本発明は、上記不都合を解消し、ガスメータの遮断原因、電池の異常消耗原因等を容易に解明することのできる安価なガスメータコントローラを提供しようとするものである。
【0008】
【解決を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、ガスメータのガス流路中を流れるガスの流量を測定するセンサと、当該センサからの信号に基づいてガス流路を開閉するガス遮断弁と、メモリを内蔵し、全体の制御を行うマイクロコンピュータと、電源を供給する電池と、外部機器とデータの送受信を行う通信手段と、を備え、ガス遮断事象、警報事象の発生、及び当該発生した事象ごとの発生経過時間を前記マイクロコンピュータのメモリに記録するようになされたガスメータコントローラにおいて、
新たな遮断事象が発生した場合に、遮断事象データまたは警報事象データをメモリに書き込む手段と、
電池電圧検知タイミングに合わせて、経過時間データをカウントする手段と、
カウントした経過時間データをガス遮断事象データまたは警報事象データごとにメモリに書き込む手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のガスメータコントローラにおいて、さらに、前記電池の消費量を推定するためのデータとして、マイクロコンピュータの累積通電時間、ガス遮断弁の駆動回数、及び、警報表示器若しくは前記通信手段として使用するLEDの累積点灯時間を、前記マイクロコンピュータのメモリに記録することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のガスメータコントローラにおいて、さらに、ガス遮断発生時の個別最大流量、及びガス遮断発生時の全体流量を前記マイクロコンピュータのメモリに記録することを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1、2、または3記載のガスメータコントローラにおいて、さらに、前記マイクロコンピュータのリセットの発生の有無を前記マイクロコンピュータのメモリに記録することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態であるガスメータコントローラが有する保持データの一覧である。
実施形態では、遮断、警報事象s1に加えて、これら事象の発生後の経過時間を遮断、警報事象タイマs2により計測し、保持することを特徴とする。
遮断時の個別最大流量s3、遮断時の全体流量s4は、遮断時のガス使用状態の推定に使用するものである。ここで、個別最大流量とは、ガスメータに接続された各ガス器具ごとに流れるガスの最大流量をいう。全体流量とは、ガスメータに流れる全体のガス流量をいう。
ガスメータコントローラを制御するマイコンのイニシャルリセット以降の累積動作時間を示す通電時間タイマs5、遮断弁の駆動回数を示す遮断弁動作カウンタs6、LED点灯時間カウンタs7、感震入力回数カウンタs8は、ガスメータコントローラに内蔵された電池の消費量の推定に使用するものである。
なお、LEDは、警報事象が発生したときの警報表示や、後述するデータ送信手段として使用されるものである。
不要リセット発生フラグs9は、ガスメータコントローラを制御するマイコンのリセットの有無を把握するためのものである。
【0013】
図2は、遮断、警報事象s1の内容を示したものである。すなわち、16進数のデータによって種々の遮断、警報事象の内容を表すものとする。
これにより、遮断、警報事象の発生原因を容易に究明することができる。
【0014】
図1、図2は示される情報を、ガスメータコントローラのマイコンが、機能設定や動作試験のために持っているインターフェイスを用いて読み出し、動作状況を判断することによって、なぜ、遮断現象が発生したのか、電池の消耗の原因がどこにあるのかなどの調査が可能である。また、ノイズなどの影響によって不要なリセット動作の発生の有無も知ることができる。これらの解析ができれば、ガスの使用状況に起因する正常な遮断現象なのかどうかを判断でき、マイコンシステムやハード的な異常(たとえば、ノイズ等による回路の誤動作や、衝撃による機構部分の誤動作)は、遮断事象データが無いのにもかかわらず遮断していることを確認することにより区分可能となる。
また、電池の消耗に関しても、LEDの点灯を放置したための電池消耗や感震器の入力信号が頻繁に発生しているのかなどのメータの使用環境に起因する電池消耗の解析が可能である。
【0015】
図3は、ガスメータ3に備え付けられたガスメータコントローラ3aから、保持データ(図1参照)を読み出す場合のシステム構成図である。
すなわち、システムは、携帯用情報端末1と、通信用ヘッド2と、ガスメータコントローラ3aを備えるガスメータ3から構成される。
図3(b)は、システムの使用状態を示した図である。
【0016】
図4は、システムの各構成要素の内部回路ブロック図である。
図4に基づいて、保持データとしての遮断事象データを読み出す場合の各構成要素の作用について説明する。
先ず、情報端末1のタッチパネルなどの操作部10によりデータ読み出しの指示を行う。
情報端末1は、RS−232CI/F(符号11)からデータ読み出し電文を通信用ヘッド2に送信する。
【0017】
通信用ヘッド2では、RS−232CI/F(符号20)からの電文を一旦電文送受信バッファ21に記憶し、ガスメータコントローラ3aとの通信電文フォーマットに変換してガスメータコントローラ3aとデータ通信を行う。
【0018】
ガスメータコントローラ3aには、一般的に内部データ設定用通信I/Fとして、データ受信用リードスイッチ30及びデータ送信用LED31が備えられている。
通信用ヘッド2のデータ送信用電磁コイル22をON/OFFすることにより、ガスメータコントローラ3aのデータ受信用リードスイッチ30がON/OFFする。これにより、通信用ヘッド2のデータ送信が可能となる。
また、ガスメータコントローラ3aのデータ送信用LED31がON/OFFすることにより通信用ヘッドのデータ受信用光受光素子23がON/OFFし、通信用ヘッド2のデータ受信が可能となる。
なお、データ送信用LED31は、警報事象が発生したときに点灯し、警報表示器として使用することも可能である。
図示されていないが、ガスメータコントローラ3aは、ガスメータのガス流路中を流れるガスの流量を測定するセンサと、当該センサからの信号に基づいてガス流路を開閉するガス遮断弁と、全体の制御を行うマイクロコンピュータと、電源を供給する電池と、外部機器とデータの送受信を行う通信手段を備えている。
【0019】
前記通信方法を用い、通信用ヘッド2はデータ読み出し電文をガスメータコントローラ3aに送信する。
ガスメータコントローラ3aは、電文を受信後、内部に記憶している遮断事象データを送信する。
通信用ヘッド2は、ガスメータコントローラ3aから送信されたデータを一旦電文送受信バッファ21に記憶し、RS−232CI/F電文フォーマットに変換して情報端末1に送信する。
情報端末1は、通信用ヘッド2から送られたデータにより遮断事象等をLCD等からなる表示部12に表示する。
上述した通信手順を図5に示す。
【0020】
携帯用情報端末1は、種々の装置が市販されているので、用途、大きさ、使い勝手を考慮して選定すればよい。
市販の端末装置は、一般に標準のインターフェイス(例えばRS−232C)を持っているので、これを利用することができる。
もちろん、他のインターフェイスであっても支障はない。
例えば、赤外線通信のインターフェイスを利用すれば、ワイヤレスで通信ヘッド2と端末装置間を通信できるので、使いやすい。
このように、市販の端末装置及び、当該端末装置に備わっている一般的なインターフェイスを利用することにより、安価で小型のシステムを提供することができる。
【0021】
図4から明らかなように、通信用ヘッド2は電池24を内蔵する。
これは、ガスメータコントローラ3a側から通信用ヘッド2に電源を供給すると、ガスメータコントローラ3aの電源の消耗が激しいという理由によるものである。
【0022】
つぎに、ガスメータコントローラ3aの内部回路32(マイコン)が、遮断、警報事象発生後の経過時間を遮断、警報事象タイマs2(図1参照)によりメモリに記憶する場合の流れ図を図6に示す。
【0023】
ガスメータの使用現場でどのような状況が発生しているのかについては発生現象だけでなく、その時間経過情報が望まれるのは当然である。
しかし、ガスメータコントローラ3aでは、RAM,ROMなどのメモリ容量の制約とともに、マイコンの動作に伴う電池33の容量の消耗防止が重要な課題である。
通常、経過時間を計測するには、メモリの容量、マイコンの動作時間の増大は避けられない。
そこで、実施形態では、図6のステップs12に示す如く、電池電圧検知機能(通常は25時間毎に動作する)のタイミングを利用し、そのときに遮断現象別に発生時間の累積時間計算を行うことにより、電池33の消耗を増大することなく、経過時間情報を持つことができる。
この経過時間情報により、最近に起きたガス遮断現象に限定したり、経過時間を指定して発生現象を読み出すことで解析を容易に行うことができる。
【0024】
図6について説明する。
先ず、新たな遮断事象が発生すると(ステップs10のYES分岐)、ステップs11において、メモリ内の遮断事象データ、及び経過時間データを1桁シフトし、遮断事象データを書き込む。
次に、上述したように、電池電圧検知タイミングに合わせて(ステップs12のYES分岐)、経過時間データをカウントする(ステップs13)。
図7は、図6の流れ図に従って、ガスメータコントローラ3aのメモリ(図示せず)に、遮断事象データ、経過時間データを書き込む過程を示したものである。
なお、図7において、遮断事象発生後の経過時間を示しているが、これに限定されるものではなく、警報事象発生後の経過時間であっても勿論有効である。
【0025】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の発明によれば、ガス遮断の発生時期や工場出荷時の試験履歴を解析することにより、ガス遮断原因を究明することができ、ガスメータコントローラのRAS機能を向上することができる。
【0026】
請求項2記載の発明によれば、電池の消耗原因を究明することができ、ガスメータコントローラのRAS機能を向上することができる。
【0027】
請求項3記載の発明によれば、ガス遮断時のガス使用状態を推定して、ガス遮断原因を究明することができ、ガスメータコントローラのRAS機能を向上することができる。
【0028】
請求項4記載の発明によれば、発生事象が、ガスメータの使用状況に起因する現象であるか、ガスメータコントローラのマイコンに起因する現象であるかを区別でき、ガスメータコントローラのRAS機能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガスメータコントローラが有する保持データの一覧である。
【図2】遮断、警報事象のデータ内容を示したものである。
【図3】図3(a)は、保持データを読み出す場合のシステム構成図である。
図3(b)は、当該システムの使用状態を示した図である。
【図4】システムの内部回路ブロック図である。
【図5】通信手順を示した図である。
【図6】遮断、警報事象発生後の経過時間をメモリに記憶する場合の流れ図である。
【図7】発生事象、及び経過時間データの変移を示した図である。
【符号の説明】
1 携帯端末
2 通信用ヘッド
3 ガスメータ
3a ガスメータコントローラ
10 操作部
11、20 RS−232CI/F
21 電文送受信バッファ
22 データ送信用電磁コイル
23 データ受信用受光素子
24 電池
30 データ受信用リードスイッチ
31 データ送信用LED
32 内部回路
33 電池
Claims (4)
- ガスメータのガス流路中を流れるガスの流量を測定するセンサと、当該センサからの信号に基づいてガス流路を開閉するガス遮断弁と、メモリを内蔵し、全体の制御を行うマイクロコンピュータと、電源を供給する電池と、外部機器とデータの送受信を行う通信手段と、を備え、ガス遮断事象、警報事象の発生、及び当該発生した事象ごとの発生経過時間を前記マイクロコンピュータのメモリに記録するようになされたガスメータコントローラにおいて、
新たな遮断事象が発生した場合に、遮断事象データまたは警報事象データをメモリに書き込む手段と、
電池電圧検知タイミングに合わせて、経過時間データをカウントする手段と、
カウントした経過時間データをガス遮断事象データまたは警報事象データごとにメモリに書き込む手段と、
を備えることを特徴とするガスメータコントローラ。 - 請求項1記載のガスメータコントローラにおいて、
さらに、前記電池の消費量を推定するためのデータとして、マイクロコンピュータの累積通電時間、ガス遮断弁の駆動回数、及び、警報表示器若しくは前記通信手段として使用するLEDの累積点灯時間を、前記マイクロコンピュータのメモリに記録することを特徴とするガスメータコントローラ。 - 請求項1または2記載のガスメータコントローラにおいて、
さらに、ガス遮断発生時の個別最大流量、及びガス遮断発生時の全体流量を前記マイクロコンピュータのメモリに記録することを特徴とするガスメータコントローラ。 - 請求項1、2、または3記載のガスメータコントローラにおいて、
さらに、前記マイクロコンピュータのリセットの発生の有無を前記マイクロコンピュータのメモリに記録することを特徴とするガスメータコントローラ。
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