JP3636048B2 - フックの取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,自動車のドアの室内側に配され,太陽光線を遮るためのブラインドであるサンシェード等の先端係合部を係合するために用いるフックに関する。
【0002】
【従来技術】
従来より,例えば,高級車の後方座席において,窓ガラスを通して入ってくる太陽光線を遮るためのブラインドであるサンシェードがリアドアの室内側に設けられている。上記サンシェードは,通常は,リアドアの内部に巻き取って収納してあり,必要なときに収納方向への付勢力に抗して引っ張り出して,その先端係合部を対向するサッシュ部に設けられたフックに係合させるようになっている。上記ドアにおける窓ガラスの周辺のサッシュ部においては,サッシュ部の骨格であるドアフレームとその室内側に配されるドアフレームガーニッシュとにより構成されている。そして,上記フックは,ドアフレームに設けた取付部にビス等により固定している。そして,フックの先端部分を,ドアフレームガーニッシュに設けた穴から室内側に突出させている。
【0003】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記のような方法によると,ドアフレームに取付部を設けることが不可欠となり,この工程の合理化が困難になっている。
一方,フックをドアフレームガーニッシュのみにより保持することによりドアフレームに取付部を設けないでおくことが考えられる。しかしながら,ドアフレームガーニッシュは,プラスチック等でできており,この方法では,上記サンシェードの先端係合部を係合しておくのに十分な強度を保てない。
【0004】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,ドアフレームに取付部を設けることなく容易に取り付けることができると共に,取付強度に優れたフックの取付構造を提供しようとするものである。
【0005】
【課題の解決手段】
請求項1に記載の発明は,自動車のドアの窓ガラスを囲うように配設されるドアフレームと,該ドアフレームの室内側に配されるドアフレームガーニッシュとよりなるサッシュ部へフックを取り付ける取付構造であって,
上記ドアフレームと上記ドアフレームガーニッシュとの間に,上記ドアフレームの形状に沿って形成されたブラケットを介在させ,該ブラケットに上記フックを固定すると共に上記ドアフレームガーニッシュに設けた貫通穴から室内側へ上記フックを突出させてなり,
かつ,上記ブラケットは,上記ドアフレームにおける上記窓ガラス側に面する内周側面及びその反対側の外周側面にそれぞれ当接する基部及び先端部を有してなると共に,上記基部と上記先端部における上記ドアフレームとの当接面の少なくとも一部には,滑り止めのためのコーティング材が配設されていることを特徴とする自動車のサッシュ部へのフックの取付構造にある。
【0006】
本発明において最も注目すべきことは,上記ブラケットは,上記基部及び上記先端部を有してなると共に,上記基部と上記先端部における上記ドアフレームとの当接面の少なくとも一部には,滑り止めのためのコーティング材が配設されていることである。
【0007】
次に,本発明の作用効果につき説明する。
本発明においては,上記フックを取り付けるに当り,ドアフレームとドアフレームガーニッシュとの間に,ドアフレームの形状に沿って形成されたブラケットを介在させており,該ブラケットにフックを固定している。
つまり,ブラケットは,ドアフレームの形状に沿っており,ドアフレームガーニッシュとドアフレームとによって挟まれることにより,サッシュ部に取り付けられる。そのため,フックは,ブラケットにより,ビス等の固定具を使用することなく,容易にドアフレームに取り付けられることができる。
【0008】
また,本発明によれば,上記ドアフレームにフックを取り付けるための取付部を設けておかなくてもよい。そのため,ドアフレームの構造が簡単になり,ドアフレームは,フックの取付の有無に関わらず,共通のものを使用することができる。そのため,ドアフレームの製造工程を合理化することができる。
【0009】
また,上記フックは強度があるブラケットに固定され,該ブラケットは強度があるドアフレームに沿って配置される。そのため,フックの取付強度が高い。
更に,上記ブラケットには,上記基部及び先端部におけるドアフレームとの当接面の少なくとも一部には,滑り止めのためのコーティング材が配設されている。そして,このコーティング材により,ブラケットは,ドアフレームに対して密着している。そのため,フックに対して荷重がかけられた際に,フックがドアフレームに対して滑ってずれることを防止することができる。それ故,上記フックの取付強度が一層高くなる。
【0010】
以上,本発明によれば,ドアフレームに取付部を設けることなく容易に取り付けることができると共に,取付強度に優れたフックの取付構造を提供することができる。
【0011】
次に,請求項2に記載の発明のように,上記自動車のドアには太陽光線を遮るために上記窓ガラスを覆うサンシェードが収納されており,該サンシェードは収納方向への付勢力に抗して伸張可能に配設されており,上記フックは,付勢力に抗して上記サッシュ部に向けて伸張させた上記サンシェードの先端係合部と係合するようよう構成されていることが好ましい。
【0012】
上記サンシェードの先端係合部をフックに係合させたとき,該フックにはサンシェードの付勢力による引張り荷重が加わる。このとき,フックを固定しているブラケットは,そのコーティング材が施してある基部と先端部により,ドアフレームに対して滑ってずれることを防止される。そのため,フックは,サンシェードによる引張り荷重に十分に持ちこたえ,サンシェードを確実に係合させることができる。
【0013】
次に,請求項3に記載の発明のように,上記コーティング材は,ナイロンよりなることが好ましい。
これにより,上記フックを固定したブラケットがドアフレームに対して滑ってずれることを確実に防止することができる。
【0014】
次に,請求項4に記載の発明のように,上記フックは,上記ドアフレームガーニッシュを挟み込むための挟持部を有しており,該挟持部と上記ブラケットにより上記ドアフレームガーニッシュを挟み込むことにより,上記ドアフレームガーニッシュに固定されていることが好ましい。
【0015】
これにより,上記フック及びブラケットは,ドアフレームガーニッシュをドアフレームに取り付ける前に,ドアフレームガーニッシュに固定しておくことができる。そして,フック及びブラケットは,そのドアフレームガーニッシュと同時にドアフレームに取り付けられることができる。そのため,サッシュ部へのフックの取付を一層容易に行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
実施形態例
本発明の実施形態例にかかるフックの取付構造につき,図1〜図5を用いて説明する。
図1に示すごとく,本例におけるフック2は,自動車のドアの窓ガラス71を囲うように配設されるドアフレーム3と,該ドアフレーム3の室内側に配されるドアフレームガーニッシュ4とよりなるサッシュ部1に取り付けられる。
上記フック2の取付構造は,上記ドアフレーム3と上記ドアフレームガーニッシュ4との間に,上記ドアフレーム3の形状に沿って形成されたブラケット5を介在させ,該ブラケット5に上記フック2を固定すると共に上記ドアフレームガーニッシュ4に設けた貫通穴41から室内側へ上記フック2を突出させてなる。
【0017】
そして,上記ブラケット5は,上記ドアフレーム3において上記窓ガラス71側に面する内周側面に当接する基部51と,内周側面と反対側の外周側面に当接する先端部52とを有している。また,上記基部51と上記先端部52における上記ドアフレーム3との当接面の少なくとも一部には,滑り止めのためのコーティング材6が配設されている。
【0018】
以下に,これを詳説する。
上記フック2は,上記ドアフレームガーニッシュ4を挟み込むための挟持部21を有しており,該挟持部21と上記ブラケット5により上記ドアフレームガーニッシュ4を挟み込むことにより,上記ドアフレームガーニッシュ4に固定されている。また,挟持部21は,フック2のドアフレームガーニッシュ4に当接する部分の両脇に分かれて設けられている。
上記フック2は,サンシェード72の先端係合部721を係合させるための引っ掛け部22を先端に有したC字状に形成されている。また,フック2には,上記ブラケット5に固定するためのビス56がねじ込まれるメネジが切ってある。
【0019】
図2に示すごとく,上記ブラケット5の基部51は,上記ドアフレームガーニッシュ4の貫通穴41に係合するための凸部53を有している(図1参照)。そして,この凸部53の周辺の4辺は,ブラケット5をドアフレームガーニッシュ4に取り付ける際に上記貫通穴41の周辺に掛止するようになっている。上記凸部53にはブラケット5にフック2をビス56で固定するときの,ビス56を通すための穴55が設けられている。
上記先端部52は,基部51の一方の端部より立設した立設部54の先端において,ドアフレーム3側に折り曲げて形成されている。
【0020】
上記ドアフレームガーニッシュ4の貫通穴41は,上記ブラケット5の凸部53が係合する大きさを有している。ドアフレームガーニッシュ4は,ドアフレーム3の室内側に配置され,ドアフレーム3に覆い被さるようにして取り付けられる。
また,上記コーティング材6は,ナイロンよりなる。
【0021】
図3に示すごとく,上記フック2は,自動車のリアドア10のサッシュ部1に取り付けられている。
フック2は,自動車のリアドア10の室内側において,太陽光線を遮るために窓ガラス71を覆うサンシェード72の先端係合部721を係合することができるようになっている。
上記サンシェード72は,自動車のリアドア10において,前側サンシェード725と後側サンシェード726との2つに分割して設けてあり,収納方向への付勢力に抗して伸張可能に配設されいる。
【0022】
前側サンシェード725は,リアドア10の本体部75の内部に収納されており,上方に向けて伸張させて,2箇所に設けてある先端係合部721をそれぞれサッシュ部1の上方に設けてあるフック2に係合する。また,後側サンシェード72は,窓ガラス71の中間にドアフレーム3に架け渡して設けた支柱部73の内部に収納されており,後方に向けて伸張させて,その先端係合部721をサッシュ部1の後方に設けてあるフック2に係合する。
【0023】
次に,上記フック2をサッシュ部1に取り付ける方法について説明する。
まずは,ブラケット5の基部51の先端掛止部511,先端部52及び立設部54に予めコーティング材6を施しておく(図2参照)。
次に,図4(a)に示すごとく,ブラケット5の凸部53をドアフレームガーニッシュ4の貫通穴41に係合して,ブラケット5を,フック2に対してドアフレームガーニッシュ4を挟み込むようにして,ビス56により固定する。
そして,図4(b)に示すごとく,フック2及びブラケット5が取り付いたドアフレームガーニッシュ4を,ドアフレーム3に嵌合により固定する。
【0024】
次に,上記フック2の取付構造について説明する。
図1に示すごとく,本例においては,ブラケット5には,その基部51の先端掛止部511,先端部52及び立設部54における表裏両側,つまり,ドアフレーム3に当接する側とドアフレームガーニッシュ4に当接する側との両側にコーティング材6が施してある。
また,ブラケット5とフック2とを固定しているビス56の頭は,上記凸部53の内側に収まり,ドアフレーム3と干渉しないようになっている。
【0025】
次に,本例の作用効果につき説明する。
本例においては,上記フック2を取り付けるに当り,ドアフレーム3とドアフレームガーニッシュ4との間に,ドアフレーム3の形状に沿って形成されたブラケット5を介在させており,該ブラケット5にフック2を固定している。
つまり,ブラケット5は,ドアフレーム3の形状に沿っており,ドアフレームガーニッシュ4とドアフレーム3とによって挟まれることにより,サッシュ部1に取り付けられる。そのため,フック2は,ブラケット5により,ビス等の固定具を使用することなく,容易にドアフレーム3に取り付けられることができる。
【0026】
また,本例によれば,上記ドアフレーム3にフック2を取り付けるための取付部を設けておかなくてもよい。そのため,ドアフレーム3の構造が簡単になり,ドアフレーム3は,フック2の取付の有無に関わらず,共通のものを使用することができる。そのため,ドアフレーム3の製造工程を合理化することができる。
【0027】
また,上記フック2は強度があるブラケット5に固定され,該ブラケット5は強度があるドアフレーム3に沿って配置される。そのため,フック2の取付強度が高い。
更に,上記ブラケット5には,上記基部51及び先端部52におけるドアフレーム3との当接面には,滑り止めのためのコーティング材6が配設されている。そして,このコーティング材6により,ブラケット5は,ドアフレーム3に対して密着している。そのため,フック2に対して荷重がかけられた際に,フック2がドアフレーム3に対して滑ってずれることを防止することができる。それ故,上記フック2の取付強度が一層高くなる。
【0028】
また,このようにして,滑り止めがなされているので,上記のごとく,フック2にサンシェード72の先端係合部721を係合させて,フック2にサンシェード72の付勢力による引張り荷重が加わった場合でも,フック2は,十分に持ちこたえ,上記先端係合部721を確実に係合させることができる。
【0029】
また,上記フック2及びブラケット5は,予めドアフレームガーニッシュ4に取り付けておき,このドアフレームガーニッシュ4と同時にドアフレーム3に取り付けることができる。そのため,サッシュ部1へのフック2の取付を一層容易に行うことができる。
【0030】
なお,本例においては,ブラケット5の基部51の先端掛止部511,先端部52及び立設部54にのみコーティング材6を施しているが,これは,左右掛止部512も含めたブラケット5の全体に施してあってもよく,ブラケット5の製造工程上決定することが好ましい。また,コーティング材6は,先端掛止部511及び先端部52にのみ施してあっても勿論よい(図2参照)。
【0031】
また,上記フック2の取付構造は,図3におけるリアドア10の後方の部分では図1に示すごとくである。一方,リアドア10の上方の部分では,図5に示すごとく,ドアフレームガーニッシュ4において,窓ガラス71側と反対に位置する先端部分42が,ブラケット5の先端部52で途切れた形になっている。
【0032】
【発明の効果】
上述のごとく,本発明によれば,ドアフレームに取付部を設けることなく容易に取り付けることができると共に,取付強度に優れたフックの取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例における,サッシュ部の上方におけるフックの取付構造を示す断面図。
【図2】実施形態例における,ブラケットを示す斜視図。
【図3】実施形態例における,リアドアを示す斜視図。
【図4】実施形態例における,フックの取付方法を示す図で,(a)フック及びブラケットをドアフレームガーニッシュに取り付けた状態,(b)フック及びブラケットを取り付けたドアフレームガーニッシュをドアフレームに取り付ける状態を示す説明図。
【図5】実施形態例における,サッシュ部の後方におけるフックの取付構造を示す断面図。
【符号の説明】
1...サッシュ部,
10...リアドア,
2...フック,
3...ドアフレーム,
4...ドアフレームガーニッシュ,
5...ブラケット,
51...基部,
52...先端部,
6...コーティング材,
71...窓ガラス,

Claims (4)

  1. 自動車のドアの窓ガラスを囲うように配設されるドアフレームと,該ドアフレームの室内側に配されるドアフレームガーニッシュとよりなるサッシュ部へフックを取り付ける取付構造であって,
    上記ドアフレームと上記ドアフレームガーニッシュとの間に,上記ドアフレームの形状に沿って形成されたブラケットを介在させ,該ブラケットに上記フックを固定すると共に上記ドアフレームガーニッシュに設けた貫通穴から室内側へ上記フックを突出させてなり,
    かつ,上記ブラケットは,上記ドアフレームにおける上記窓ガラス側に面する内周側面及びその反対側の外周側面にそれぞれ当接する基部及び先端部を有してなると共に,上記基部と上記先端部における上記ドアフレームとの当接面の少なくとも一部には,滑り止めのためのコーティング材が配設されていることを特徴とする自動車のサッシュ部へのフックの取付構造。
  2. 請求項1において,上記自動車のドアには太陽光線を遮るために上記窓ガラスを覆うサンシェードが収納されており,該サンシェードは収納方向への付勢力に抗して伸張可能に配設されており,上記フックは,付勢力に抗して上記サッシュ部に向けて伸張させた上記サンシェードの先端係合部と係合するようよう構成されていることを特徴とする自動車のサッシュ部へのフックの取付構造。
  3. 請求項1又は2において,上記コーティング材は,ナイロンよりなることを特徴とする自動車のサッシュ部へのフックの取付構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において,上記フックは,上記ドアフレームガーニッシュを挟み込むための挟持部を有しており,該挟持部と上記ブラケットにより上記ドアフレームガーニッシュを挟み込むことにより,上記ドアフレームガーニッシュに固定されていることを特徴とする自動車のサッシュ部へのフックの取付構造。
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