JP3635064B2 - ノニオン性界面活性剤の製造方法 - Google Patents

ノニオン性界面活性剤の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非アルキルフェノール系ノニオン性界面活性剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
脂肪族系アルコール類に塩基性触媒または酸性触媒の存在下でアルキレンオキサイドを付加重合させて得られる脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物は、各種界面活性剤、溶剤、化学品中間体等として知られている。しかしながら、従来の脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物は、アルキルフェノール系ノニオン性界面活性剤に比べて界面活性能が十分に発現されない場合があり、例えば、乳化剤としては乳化性、乳化安定性、低泡性という点で不十分であるという問題があった。
また、アルキレンオキサイド付加の触媒として、過塩素酸塩類を用いる方法が知られている(米国特許第4,112,231号明細書)が、その反応活性が小さく、触媒の量を増加して反応時間を短縮させようとすると、生成物の着色が著しく、製品の外観を悪化させたり、生成物のアルデヒド含有量が多い等の問題があり、工業的利用には至っていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これらの問題点を解決し、アルキルフェノール系ノニオン性界面活性剤に匹敵する界面活性能を有し、しかもアルキルフェノール系界面活性剤のような環境ホルモンの恐れのない、脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の組成を有し特定の分子量分布を有する、脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物からなるノニオン性界面活性剤が、優れた乳化力、洗浄力を有することを見いだした。さらに、このような脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物は、特定の2種の触媒を組み合わせて用いることにより直接製造できることを見いだし、本発明に到達した。
【0005】
すなわち本発明は、過ハロゲン酸、硫酸塩、燐酸塩および硝酸塩からなる群から選ばれる1種以上である触媒(d)であって、且つその使用量が、下記(a2)と(b3)の合計100質量部当たり0.001〜1質量部である触媒(d)の存在下、炭素数8〜24の脂肪族系アルコール(a2)に炭素数2以上のアルキレンオキサイド(b3)を平均1〜2.5モル付加させてなり、Weibullの分布則から導かれる下記式(4')から求められる分布定数c'が1.0以下である脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物(e)に、アルカリ触媒(f)の存在下、炭素数2以上のアルキレンオキサイド(b4)[(b4)は(b3)と同じであっても異なっていてもよい]を付加反応させて下記 (i) (iii) を満たす脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)を直接製造することを特徴とする脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物の製造方法;
c'=(v'+n0'/n00'−1)/[Ln(n00'/n0')+n0'/n00'−1] (4')
[但し、v'は脂肪族系アルコール(a2)1モル当たりに付加したアルキレンオキサイドの平均付加モル数、n00'は反応に用いた脂肪族系アルコール(a2)のモル数、n0'は未反応の脂肪族系アルコール(a2)のモル数を表す。]
(i) 下記一般式(1)で表される化合物の2種以上の混合物からなる。
1 O− [( 2 4 )m ( AO )n] ( 2 4 )p −H (1)
[式中、R 1 は炭素数8〜24の脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基;Aは炭素数3以上のアルキレン基;mは平均が0〜4となる0または1以上の整数、nは平均が1〜3となる0または1以上の整数、pは平均が1〜80となる0または1以上の整数であり、(m+n+p)は平均が3〜81となる整数であり、(m+p)/(m+n+p)は平均0.5以上である。{ ([ 2 4 )m ( AO )n }は、m≠0,n≠0のときブロック付加またはランダム付加を表す。 ]
(ii) 重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比:Mw/Mnが下記関係式(2)または(3)を満たす。
Mw/Mn≦0.030×Ln ( ) +1.010(但し、v<10) (2)
Mw/Mn≦−0.026×Ln ( ) +1.139(但し、v≧10)(3)
[但し、vは脂肪族系アルコール(a1)1モル当たりに付加したアルキレンオキサイドの平均付加モル数を表し、上記一般式(1)での(m+n+p)の平均に相当する。]
(iii) Weibullの分布則から導かれる下記式(4)から求められる分布定数cが1.0以下である。本項はvが12までのみ適用する。
c= ( v+n 0 / 00 −1 ) [ Ln ( 00 / 0 ) +n 0 / 00 −1 ] (4)
[但し、vは上記に同じ、n 00 は反応に用いた脂肪族系アルコール(a1)のモル数、n 0 は未反応の脂肪族系アルコール(a1)のモル数を表す。]
並びに、過ハロゲン酸、硫酸塩、燐酸塩および硝酸塩からなる群から選ばれる1種以上である触媒(d)であって、且つその使用量が、下記(a2)と(b3)の合計100質量部当たり0.001〜1質量部である触媒(d)の存在下、炭素数8〜24の脂肪族系アルコール(a2)にエチレンオキサイドを平均1〜2.5モル付加させてなり、Weibullの分布則から導かれる上記式( 4' )から求められる分布定数c ' が1.0以下である脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物(e)に、アルカリ触媒(f)の存在下、エチレンオキサイドを付加反応させて下記 (i) (iii) を満たす脂肪族系アルコールエチレンオキサイド付加物(B)を直接製造することを特徴とする脂肪族系アルコールエチレンオキサイド付加物の製造方法である。
(iv) 下記一般式(5)で表される化合物の2種以上の混合物からなる。
2 O− ( 2 4 )q −H (5)
[式中、R 2 は炭素数8〜24の脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基;qは平均が3〜80となる整数である。]
(v) 重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比:Mw/Mnが下記関係式(6)または(7)を満たす。
Mw/Mn≦0.020×Ln ( ) +1.010(但し、v<10) (6)
Mw/Mn≦−0.026×Ln ( ) +1.116(但し、v≧10)(7)
[但し、vは脂肪族系アルコール(a1)1モル当たりに付加したアルキレンオキサイドの平均付加モル数を表し、上記一般式(5)でのqの平均に相当する。]
(vi) Weibullの分布則から導かれる上記式(4)から求められる分布定数cが1.0以下である。本項はvが12までのみ適用する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の製造法で製造される脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)は、脂肪族系アルコール(a1)(ここでは脂環式も含む。)にアルキレンオキサイド(b1)を付加して直接製造される脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物の2種以上の混合物である。
ここで、「直接製造される」とは、上記付加物が精留などにより未反応アルコールや付加モル数の異なるものを分別する操作なしで直接得られたものであることを意味する。分別を要するものは、工程が煩雑となり、通常のノニオン性界面活性剤として用いるには実用性がない。但し、未反応アルキレンオキサイドや低沸点物をストリッピングしたものは含まれない。
【0007】
O−[(CO)m/(AO)n]−(CO)p−H (1)
上記式(1)中、Rは、脂肪族系アルコール(a1)の残基であり、炭素数が通常8〜24(好ましくは12〜18)の脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を表す。Rの炭素数が8未満では、所望の乳化力、可溶化力、洗浄力が得られず、炭素数が24を超えるとアルキレンオキサイド付加物の流動点が上がるなど取り扱いの面で好ましくない。上記脂肪族炭化水素基としては、直鎖および/または分岐状の飽和または不飽和脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基);脂環式炭化水素基としては、シクロアルキル基および多環炭化水素基が挙げられる。Rは直鎖状と分岐状など2種以上の基の混合物であってもよい。
の具体例としては、アルキル基としては、オクチル、ノニル、デシル、ラウリル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ノナデシル、2−エチルヘキシル、2−エチルオクチル基などが挙げられる。アルケニル基としては、オクテニル、デセニル、ドデセニル、トリデセニル、ペンタデセニル、オレイル、ガドレイル基などが挙げられる。アルカジエニル基としては、リノレイル基などが挙げられる。シクロアルキル基としては、エチルシクロヘキシル、プロピルシクロヘキシル、オクチルシクロヘキシル、ノニルシクロヘキシル基などが挙げられる。多環炭化水素基としては、アダマンチル基などが挙げられる。
【0008】
本発明に用いる脂肪族系アルコール(a1)としては、上記のR残基を与えるものであり、炭素数が通常8〜24(好ましくは12〜18)のアルコールであり、天然アルコールでも合成アルコール(チーグラーアルコール、オキソアルコールなど)でもよい。
具体例としては、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクタデシルアルコール、ノナデシルアルコールなどの飽和脂肪族アルコール;オクテニルアルコール、デセニルアルコール、ドデセニルアルコール、トリデセニルアルコール、ペンタデセニルアルコール、オレイルアルコール、ガドレイルアルコール、リノレイルアルコールなどの不飽和脂肪族アルコール;エチルシクロヘキシルアルコール、プロピルシクロヘキシルアルコール、オクチルシクロヘキシルアルコール、ノニルシクロヘキシルアルコール、アダマンチルアルコールなどの環状脂肪族アルコールが挙げられる。これら脂肪族系アルコールは1級または2級が好ましく、さらに1級が好ましい。また、アルキル基部分は直鎖状でも分岐状でもよい。特に好ましくはドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクタデシルアルコールである。
【0009】
上記式(1)中、(CO)の部分は、エチレンオキサイド(以下、EOと略記)の付加により形成される。Aは炭素数3以上、好ましくは炭素数3〜8、とくに好ましくは炭素数3のアルキレン基を表し、(AO)の部分は、炭素数3以上のアルキレンオキサイドの付加により形成される。このようなアルキレンオキサイドとしては、プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,2−または2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、スチレンオキサイドなどが挙げられる。好ましくはPOである。
【0010】
上記一般式(1)中、mは通常、平均が0〜4、好ましくは0〜3、特に好ましくは1〜3となる0または1以上の整数である。nは通常平均が1〜3となる0または1以上の整数であり、好ましくは1または2である。pは通常、平均が1〜80となる0または1以上の整数であり、好ましくは2〜70、特に好ましくは3〜40、最も好ましくは3〜20の整数である。80を超えると親水性が強すぎて充分な乳化力、可溶化力が得られず、また分子が大きすぎて所望の浸透力が得られない。
(m+n+p)は通常、平均が3〜81、好ましくは3〜71、特に好ましくは3〜41の整数である。81を超えると親水性が強すぎて充分な乳化力、可溶化力が得られず、また分子が大きすぎて所望の浸透力が得られない。3未満であると、親水性が乏しく乳化力が劣る。(m+p)/(m+n+p)は通常0.5以上であり、好ましくは0.7〜0.99である。0.5未満では乳化力が低くなる。{(CO)m/(AO)n}の部分は、ブロック付加〔(CO)m、(AO)nの順〕でもランダム付加でも良いが、好ましくはブロック付加である。
【0011】
得られる脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)の重量平均分子量(Mw)は、通常261〜5,000、好ましくは300〜1,200である。261〜5,000であると、浸透力などの界面活性能が特に良好であり好ましい。〔分子量の測定はゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による。以下も同じ。〕
(A)のMwと数平均分子量(Mn)との比:Mw/Mnは下記関係式(2)または(3)を満たす必要がある。
Mw/Mn≦0.030×Ln(v)+1.010(但し、v<10) (2)
Mw/Mn≦−0.026×Ln(v)+1.139(但し、v≧10)(3)
これらの式で、Ln(v)はvの自然対数を意味し、vは脂肪族系アルコール(a1)1モル当たりに付加したアルキレンオキサイドの平均付加モル数を表し、前記一般式(1)での各アルキレンオキサイドの付加モル数であるmとnとpの合計の平均に相当する。]
関係式(2)または(3)を満たさない場合、すなわち分子量分布が広くなると充分な界面活性能が得られない。
また、Mw/Mnは下記関係式(2’)または(3’)を満たすことが好ましい。
Mw/Mn≦0.031×Ln(v)+1.000(但し、v<10) (2’)
Mw/Mn≦−0.026×Ln(v)+1.129(但し、v≧10)(3’)
【0012】
さらに、(A)は、下記Weibullの分布則の式(9)から導き出される関係式(4)から分布定数cを求めることができるとき、cが1.0以下である必要がある。cは好ましくは0.9以下、さらに好ましくは0.7以下である。
関係式(4)において、分布定数cの値が小さい、すなわち未反応の脂肪族系アルコールの含有量が少ないほど分子量分布が狭いことを意味する。
なお、この式は、未反応の脂肪族系アルコール(a1)の量が検出限界(0.001質量%)以上の場合に適用される式であり、アルキレンオキサイド(b1)の平均付加モル数が12モルまで適用可能である。cが1を超えると、充分な界面活性能が得られない。
v=c×Ln(n00/n)−(c−1)×(1−n/n00) (9)
c=(v+n/n00−1)/[Ln(n00/n)+n/n00−1] (4)
これらの式で、Ln(n00/n)は(n00/n)の自然対数を意味し、vは上記に同じ、n00は反応に用いた脂肪族系アルコール(a1)のモル数、nは未反応の脂肪族系アルコール(a1)のモル数を表す。
【0013】
脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物(B)は、脂肪族系アルコール(a1)(ここでは脂環式も含む。)にEO(b2)を付加して直接製造される脂肪族系アルコールEO付加物の2種以上の混合物である。
ここで、「直接製造される」とは、前記したものと同じ意味である。
【0014】
O−(CO)q−H (5)
上記式(5)中、Rは、脂肪族系アルコール(a1)の残基であり、炭素数が通常8〜24(好ましくは12〜18)の脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を表す。Rの炭素数が8未満では、所望の乳化力、可溶化力、洗浄力が得られず、炭素数が24を超えるとEO付加物の流動点が上がるなど取り扱いの面で好ましくない。上記脂肪族炭化水素基としては、直鎖および/または分岐状の飽和または不飽和脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基);脂環式炭化水素基としては、シクロアルキル基および多環炭化水素基が挙げられる。Rは直鎖状と分岐状など2種以上の基の混合物であってもよい。
の具体例は、前記のRとして例示したものと同様である。
qは通常、平均が3〜80となる整数であり、好ましくは3〜40の整数である。80を超えると親水性が強すぎて充分な乳化力、可溶化力が得られず、また分子が大きすぎて所望の浸透力が得られない。3未満であると、親水性が乏しく乳化力が劣る。
【0015】
脂肪族系アルコールEO付加物(B)の重量平均分子量(Mw)は、通常250〜5,000、好ましくは270〜1,200である。250〜5,000であると、浸透力などの界面活性能が特に良好であり好ましい。
(B)のMwと数平均分子量(Mn)との比:Mw/Mnは下記関係式(6)または(7)を満たす必要がある。
Mw/Mn≦0.020×Ln(v)+1.010(但し、v<10)(6)
Mw/Mn≦−0.026×Ln(v)+1.116(但し、v≧10)(7)
これらの式で、Ln(v)はvの自然対数を意味し、vは脂肪族系アルコール(a1)1モル当たりに付加したアルキレンオキサイド(EO)の平均付加モル数を表し、前記一般式(5)でのEOの付加モル数であるqの平均に相当する。 関係式(6)または(7)を満たさない、すなわち分子量分布が広くなると充分な界面活性能が得られない。
また、Mw/Mnは下記関係式(6’)または(7’)を満たすことが好ましい。
Mw/Mn≦0.018×Ln(v)+1.015(但し、v<10) (6’)
Mw/Mn≦−0.023×Ln(v)+1.113(但し、v≧10)(7’)
【0016】
さらに、(B)は、下記Weibullの分布則の式(9)から導き出される関係式(4)から分布定数cを求めることができるとき、cが1.0以下である必要がある。cは好ましくは0.9以下、さらに好ましくは0.7以下である。関係式(4)において、分布定数cの値が小さい、すなわち未反応の脂肪族系アルコールの含有量が少ないほど分子量分布が狭いことを意味する。
なお、この式は、未反応の脂肪族系アルコール(a1)の量が検出限界(0.001質量%)以上の場合に適用される式であり、(B)の場合はEO(b2)の平均付加モル数が10モル以下程度まで適用可能である。
cが1を超えると、充分な界面活性能が得られない。
v=c×Ln(n00/n)−(c−1)×(1−n/n00) (9)
c=(v+n/n00−1)/[Ln(n00/n)+n/n00−1] (4)
これらの式で、Ln(n00/n)は(n00/n)の自然対数を意味し、vは上記に同じ、n00は反応に用いた脂肪族系アルコール(a1)のモル数、nは未反応の脂肪族系アルコール(a1)のモル数を表す。
【0017】
脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)または脂肪族系アルコールEO付加物(B)からなる界面活性剤において、(A)または(B)のHLBが5〜13(特に6〜12)の範囲で、且つ鉱物油に対する乳化力指数sが8以上(特に9以上)であるものが、疎水性の強い物質に対する乳化力が特に良好であるという点で好ましい。好ましい具体例としては、一般式(1)においてR1が炭素数10〜20の脂肪族炭化水素基であり、mが1〜4、nが0〜2、pが1〜5で、(m+n+p)が3〜20である(A)が挙げられ、特に好ましくはR1が炭素数12〜18の脂肪族炭化水素基で(m+n+p)が3〜10である(A)である。また、一般式(5)においてR1が炭素数10〜20の脂肪族炭化水素基であり、qが3〜20である(A)が挙げられ、特に好ましくはR1が炭素数12〜18の脂肪族炭化水素基でqが3〜10である(A)である。上記および以下において、HLBは下記の式(10)にて求められるグリフィンのHLBをいう。
Figure 0003635064
【0018】
また、ここで本発明の製造法で得られる界面活性剤を乳化剤として用いる場合の鉱物油に対する乳化力指数sは、以下の方法で測定する。
アニリン点70℃で且つ25℃における粘度が15〜25mPa・sの鉱物油97質量部と、ノニオン性界面活性剤からなる乳化剤3質量部を配合し、このうちの5質量部を、別途25℃に温調しておいた95質量部のイオン交換水の入った100mlの蓋付きメスシリンダーに投入する。次いでメスシリンダーを上下に20回振り、25℃にて静置する。60分後の乳化状態を観察し、以下に示す基準にて評価した点数を乳化力指数sとする。
10:全体が均一に乳化した状態
9:全体は乳白色であるが一部油層が分離(2mm未満)
8:全体は乳白色であるが一部油層が分離(2mm以上5mm未満)
7:全体は乳白色であるが一部油層が分離(5mm以上8mm未満)
6:全体は乳白色であるが一部油層が分離(8mm以上10mm未満)
5:全体は乳白色であるが一部油層が分離(10mm以上13mm未満)
4:油層がほぼ分離(13mm以上)、油層は乳白色、水層最下部に透明感
3:油層がほぼ分離(13mm以上)、油層は乳白色、水層下部半分に透明感
2:油層がほぼ分離(13mm以上)、油層は乳白色、水層全体がほぼ透明
1:完全分離、油層・水層ともほぼ透明
【0019】
脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)または脂肪族系アルコールEO付加物(B)からなる界面活性剤において、(A)または(B)のHLBが11〜19(特に12〜18)の範囲で、且つ酸化ポリエチレンワックスに対する乳化力指数tが8以上(特に9以上)であるものが、親水性の強い物質に対する乳化力が特に良好であるという点で好ましい。好ましい具体例としては、一般式(1)においてRが炭素数10〜20の脂肪族炭化水素基であり、mが1〜4、nが0〜3、pが5〜20で、(m+n+p)が3〜20である(A)が挙げられ、特に好ましくはRが炭素数12〜18の脂肪族炭化水素基で(m+n+p)が3〜10である(A)である。
【0020】
ここで本発明の製造法で得られる界面活性剤を乳化剤として用いる場合
の酸化ポリエチレンワックスに対する乳化力指数tは、以下の方法で測定する。
重量平均分子量が9000〜10000、酸価が22〜24の酸化ポリエチレンワックス40部、乳化剤11部、水酸化カリウム0.5部、イオン交換水48.5部をステンレス製ビーズ10個とともにステンレス製の耐圧容器に入れ、窒素シールした後、140℃で2〜3kgf/cmの加圧下、30分間振とう乳化する。得られた乳化物の1%水希釈液の状態を下記の基準で評価する。なお、粒子径はレーザ回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所製)を用い、乳化物を水で1質量%に希釈して測定する。
10:平均粒子径が0.2μm未満のエマルション
9:平均粒子径が0.2μm以上0.3μm未満のエマルション
8:平均粒子径が0.3μm以上0.5μm未満のエマルション
7:平均粒子径が0.5μm以上0.6μm未満のエマルション
6:平均粒子径が0.6μm以上1.0μm未満のエマルション
5:平均粒子径が1.0μm以上、かつ1%水溶液のUV(750nm)透過率 が30%以上のエマルション
4:平均粒子径が1.0μm以上、かつ1%水溶液のUV(750nm)透過率 が30%未満のエマルション
3:高粘度ペースト状
2:乳化不十分で凝集破壊が起こる
1:各成分が分離
【0021】
また、本発明の製造法で得られるアルキレンオキサイド付加物(A)からなる界面活性剤において、(A)のHLBが7〜15(特に8〜14)の範囲で、且つ(A)の凝固点が下記関係式(8)を満たすものが、従来の脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物に比べ、低温での取り扱いが容易で、かつ乳化力が良好であるという点で好ましい。HLBが8〜14の範囲であると乳化力が特に良好である。好ましい具体例としては、一般式(1)においてRが炭素数10〜20の脂肪族炭化水素基であり、mが1〜4、nが1〜3、pが1〜20である(A)が挙げられ、特に好ましくは一般式(1)においてRが炭素数12〜18の脂肪族炭化水素基であり、mが1〜3、nが1〜3、pが2〜16で、(m+n+p)が3〜20である(A)が挙げられ、特に好ましくはRが炭素数12〜18の脂肪族炭化水素基で(m+n+p)が3〜10である(A)である。
1.61×x−102≦y≦1.61×x−92 (8)
この式で、xは一般式(1)におけるEOの質量%を表し、yは脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)の凝固点(℃)を表す。
凝固点yは、下記関係式(8’)を満足することが、さらに好ましい。
1.61×x−100≦y≦1.61×x−95 (8’)
【0022】
本発明の方法で製造された脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)または脂肪族系アルコールEO付加物(B)からなる界面活性剤において、(A)または(B)のHLBが7〜15(特に8〜14)の範囲で、且つスライドガラス上に支持された人工汚垢に対する洗浄力指数〔ノニルフェノールエチレンオキサイド9.5モル付加物を100とする〕が100以上(特に102以上)であるものが、金属や食器などの硬質表面や衣料の洗浄力に優れているという点で好ましい。好ましい具体例としては、一般式(1)においてRが炭素数10〜20の脂肪族炭化水素基であり、mが1〜4、nが1〜3、pが3〜15で、(m+n+p)が3〜20である(A)が挙げられ、特に好ましくはRが炭素数12〜18の脂肪族炭化水素基で(m+n+p)が3〜10である(A)である。また、一般式(5)においてRが炭素数10〜20の脂肪族炭化水素基であり、qが3〜20である(A)が挙げられ、特に好ましくはRが炭素数12〜18の脂肪族炭化水素基でqが3〜10である(A)である。
【0023】
ここで、洗浄力指数は以下の方法で測定する。以下、特に記載の無い場合、%は質量%を意味する。
洗剤液配合処方
ノニオン性界面活性剤5%
ラウリルベンゼンスルホン酸Na10%
エタノール5%
尿素5%
水75%
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
合計100%
上記の処方で配合した洗剤液を用い、リーナッツ法(JISK3370)に準じて洗浄試験を行う。汚垢支持体としてスライドガラス6枚を1組として用い、汚垢成分は下記組成の人工汚垢のクロロホルム溶液を塗布して用いる。洗剤液の濃度0.15%水溶液を洗浄液として、人工汚垢を塗布したスライドガラスを洗浄し、次式から洗浄力を求め、ノニルフェノールエチレンオキサイド9.5モル付加物の洗浄力を100としたときの指数を洗浄力指数とする。
【0024】
人工汚垢成分組成
牛脂16.6%
大豆油16.6%
モノオレイン0.4%
オイルレッド0.2%
クロロホルム66.2%
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
合計100.0%
洗浄力(%)
=100×〔洗浄前の汚垢量(g)−洗浄後の汚垢量(g)〕/洗浄前の汚垢量(g)
【0025】
脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)または脂肪族系アル
コールEO付加物(B)からなる界面活性剤において、(A)または(B)のHLBが10〜14(特に11〜13)の範囲で、且つ5%水溶液の粘度指数〔ノニルフェノールエチレンオキサイド8.5モル付加物の5%水溶液の粘度を100とする〕が50以上(特に70以上)であるものが、高い増粘作用を持ち増粘剤として有用である点で好ましい。好ましい具体例としては、一般式(1)においてRが炭素数10〜20の脂肪族炭化水素基であり、mが1〜4、nが0〜3、pが1〜10で、(m+n+p)が3〜20である(A)が挙げられ、特に好ましくはRが炭素数12〜18の脂肪族炭化水素基で(m+n+p)が3〜10である(A)である。
【0026】
ここで、粘度指数は以下の方法で測定する。
ノニオン性界面活性剤の5%水溶液を作成し、ブルックフィールド型粘度計を用いて、3号ローター,40rpm,25℃で粘度を測定し、ノニルフェノールEO8.5モル付加物の5%水溶液の粘度を100としたときの指数を粘度指数とする。
【0027】
本発明の製造法で得られるノニオン性界面活性剤をその用途に適用する際には、他のノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤を配合してもよい。具体的には、ノニオン性界面活性剤としては、本発明以外の脂肪族系アルコール(炭素数8〜24)アルキレンオキサイド(炭素数2〜8)付加物(重合度=1〜100)、ポリオキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=20)、ジステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=30)等]、多価(2価〜10価またはそれ以上)アルコール脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノラウリン酸ソルビタン等]、ポリオキシアルキレン(炭素数2〜8,重合度=1〜100)多価(2価〜10価またはそれ以上)アルコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノラウリン酸ポリオキシエチレン(重合度=10)ソルビタン、ポリオキシエチレン(重合度=50)ジオレイン酸メチルグルコシド等]、ポリオキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)アルキル(炭素数1〜22)フェニルエーテル、ポリオキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)アルキル(炭素数8〜24)アミノエーテルおよび1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、アルキル(炭素数8〜24)ジアルキル(炭素数1〜6)アミンオキシド[ラウリルジメチルアミンオキシド等]等が挙げられる。
【0028】
アニオン性界面活性剤としては、炭素数8〜24の炭化水素系カルボン酸またはその塩、[ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルスルホコハク酸2ナトリウム等]、炭素数8〜24の炭化水素系硫酸エステル塩[ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム]、炭素数8〜24の炭化水素系スルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等]及び炭素数8〜24の炭化水素系リン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム等]、その他[スルホコハク酸ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウロイルエタノールアミド2ナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]等が挙げられる。
【0029】
カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩型[塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等]、アミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩、オレイルアミン乳酸塩等]等が挙げられる。両性界面活性剤としては、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピイルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピル等]、アミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
これらの1種または2種以上が使用出来る。
【0030】
本発明の製造法で得られる界面活性剤は、例えば、金属加工用乳化剤、農薬乳剤用乳化剤、化粧品用乳化剤、水系塗料用乳化剤、乳化重合用乳化剤などの乳化剤(I)の用途に用いると乳化性、乳化安定性、低起泡性などに優れた性能を発揮する。具体的には、鉱物油;ひまし油、大豆油、オリーブ油などの植物油;牛脂、卵黄油などの動物性油脂;スチレン、アクリルエステルなどのモノマー類のO/WまたはW/O型エマルジョン作成用乳化剤として用いられるが、本用途に限定されるものではない。
また、本発明の製造法で得られるノニオン性界面活性剤は、乳化剤(I)の用途以外に、顔料や脂肪酸金属塩などの紙用薬剤の分散剤(J);香料用などの可溶化剤(K);衣料用洗剤、皿洗い用洗剤などの家庭用洗剤、機械金属用洗剤などの工業用洗剤としての洗浄剤(L);浸透剤(M)または湿潤剤(N)としての各種界面活性剤用途にも有益である。
【0031】
本発明の製造法で得られる脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)を乳化剤(I)、分散剤(J)または可溶化剤(K)として用いる場合は、一般式(1)中のpは平均が2〜40となる整数であることが好ましい。40を超えると親水性が強すぎて、乳化剤、分散剤または可溶化剤としては好ましくない。また、(A)を前記の用途に用いる場合のMwは、好ましくは250〜2,000、さらに好ましくは270〜1,500である。
【0032】
また、上記の脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物は、本発明の製造方法により製造することが好ましい。
本発明の方法において脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物(e)は、下記Weibullの分布則から導かれる式(4’)から求められる分布定数c’が1.0以下となる付加物を与える触媒(d)の存在下、脂肪族系アルコール(a2)に、アルキレンオキサイド(b3)を平均1〜2.5モル付加させてなるものである。この付加物(e)に、アルカリ触媒(f)の存在下で炭素数2以上のアルキレンオキサイド(b4)を付加反応させることにより、分子量分布の狭い脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物が得られる。
c’=(v’+n0’/n00’−1)/[Ln(n00’/n0’)+n0’/n00’−1] (4’)
[但し、v’は脂肪族系アルコール(a2)1モル当たりに付加したアルキレンオキサイドの平均付加モル数、n00’は反応に用いた脂肪族系アルコール(a2)のモル数、n0’は未反応の脂肪族系アルコール(a2)のモル数を表す。]
【0033】
脂肪族系アルコール(a2)としては、炭素数が通常1〜24(好ましくは8〜24、特に好ましくは12〜18)のアルコールであり、天然アルコールでも合成アルコール(チーグラーアルコール、オキソアルコールなど)でもよい。この内炭素数8〜24の脂肪族アルコールは(a1)と同じものが挙げられる。炭素数1〜7の脂肪族アルコールとしては、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコールなどの飽和脂肪族アルコール;プロペニルアルコール、ブテニルアルコール、ペンテニルアルコールなどの不飽和脂肪族アルコール;メチルシクロヘキシルアルコールなどの環状脂肪族アルコールが挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。これら脂肪族系アルコールは1級または2級が好ましく、特に1級が好ましい。また、アルキル基部分は直鎖状でも分岐状でもよい。
特に好ましくは、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクタデシルアルコールである。
【0034】
アルキレンオキサイド(b3)および(b4)としては、例えば、炭素数2以上、好ましくは2〜8のアルキレンオキサイドが挙げられる。具体例としては、EO、PO、1,2−または2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、スチレンオキサイドなどが挙げられ、2種以上を併用してもよい。2種以上用いる場合は、ブロック付加でもランダム付加でもよい。これらのうちで好ましくは、EOおよびPOである。(b4)は(b3)と同じであっても異なっていてもよい。
【0035】
触媒(d)としては得られるアルキレンオキサイド付加物の分布定数c'が1.0以下となるものが用いられる。好ましくはc'が0.7以下、さらに好ましくはc'が0.45以下となるものである。分布定数c'が1.0を超えると狭い分子量分布の(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルが得られない。
分布定数c'が1.0以下となる触媒としては、過ハロゲン酸、硫酸塩、燐酸塩及び硝酸塩からなる群から選ばれる1種以上が用いられる。塩を形成する場合の金属は、特に限定されるものではないが、アルカリ金属以外のものが好ましく、2価または3価の金属が好ましい。これら金属として好ましくは、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Co、Ni、Cu、Alであり、より好ましくは、Mg、Zn、Ca、Sr、Ba、Alであり、特に好ましくは、Mg、Zn、Alである。過ハロゲン酸のハロゲンとしては塩素、臭素、沃素が挙げられ、塩素が好ましい。したがって、(d)としては、2価もしくは3価の金属の過塩素酸塩が好ましく、Mg、ZnおよびAlから選ばれる金属の過塩素酸塩がさらに好ましい。また、(d)に2価もしくは3価の金属アルコラートを併用してもよい。併用する金属アルコラートの量は(d)100質量部に対して20〜200質量部である。金属アルコラートのアルキル基としては、アルコールとして留去し易い低級(炭素数1〜4)アルキル基、または原料脂肪族系アルコールと同一組成のアルキル基が挙げられる。これらの触媒は1種でもよいが、2種以上の触媒〔たとえば、過塩素酸マグネシウム/硫酸マグネシウム7水塩=95/5〜50/50、過塩素酸マグネシウム/過塩素酸アルミニウム=99/1〜30/70(いずれも質量比)〕を併用した方が好ましい。
【0036】
触媒(d)の使用量としては、反応速度と経済性の点から、(a2)と(b3)の合計100質量部当たり、0.001〜1質量部が好ましい。さらに好ましくは0.003〜0.8質量部、特に好ましくは0.005〜0.5質量部である。
(a2)に(b3)を付加して得られるアルキレンオキサイド付加物(e)に、アルキレンオキサイド(b4)を付加させる際に用いる触媒はアルカリ触媒(f)である。アルカリ触媒(f)としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物、たとえば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどが挙げられるが、より好ましくは水酸化カリウム、水酸化セシウムである。
触媒(f)の使用量としては、反応速度と経済性の点から、(e)と(b4)の合計100質量部当たり、0.0001〜1質量部が好ましい。さらに好ましくは0.001〜0.8質量部である。
【0037】
(a2)と(b3)を反応させる場合の反応条件としては、(a2)と(d)を混合し、窒素置換を行った後、−0.8〜5kgf/cm2Gの圧力でで、80〜200℃の温度で(b3)を導入し、所定量の(b3)を投入後、80〜200℃で反応系内の圧力が平衡になるまで熟成を行う方法などが挙げられる。
このようにして得られたアルキレンオキサイド付加物(e)に、アルカリ触媒(f)を添加し、アルキレンオキサイド(b4)を、上記と同様の方法で反応することで、目的とする脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物が得られる。
【0038】
本発明の方法による重合終了後は、生成した脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物をそのまま、あるいはpHを調整することにより各種用途に使用することが可能であり、目的に応じて例えば[「キョーワード600」協和化学工業(株)製]などの吸着剤で吸着処理後、ろ過操作で重合物から触媒を除去することが出来る。この際、必要によりろ過助剤としてケイソウ土系ろ過助剤[例えば昭和化学工業(株)製のラヂオライト等]を用いることによりろ過操作に要する時間を短縮することも可能である。また、特開昭56−112931号公報、特公平2−53417号公報に記載のようなオキシカルボン酸(乳酸など)を用いてアルカリ触媒を中和処理してもよい。
上記の製造方法で得られる脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物は、未反応の脂肪族系アルコール含有量が少ないため、臭気改良などの点で、例えば低臭気の硫酸化物、カルボキシメチル化物などのアニオン活性剤を得る際の中間体として用いることができる。また、前述の乳化剤、分散剤などの用途にも、もちろん有用である。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、部は質量部、%は質量%を示す。
【0040】
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下GPCと略記)による分子量の測定条件は次の通り。
Figure 0003635064
【0041】
ガスクロマトグラフィー(以下GCと略記)による未反応脂肪族系アルコール濃度の測定は次のとおりである。
《GCの測定条件》
機種:ガスクロマトグラフ GC−14B(島津製作所製)
検出器:FID
カラム:ガラスカラム(内径=約3mm,長さ=約2m)
カラム充填剤:シリコンGE SE−30 5%
カラム温度:90℃から280℃まで昇温。昇温速度=4℃/分
キャリアガス:窒素#試料:50%アセトン溶液
注入量:1μl
定量:使用した脂肪族系アルコールより、炭素数が2または3少ない脂肪族系アルコールを内部標準物質として用い定量した。
【0042】
実施例1
撹拌および温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール186部(1モル)、過塩素酸マグネシウム0.04部、硫酸マグネシウム7水塩0.01部を投入し、混合系内を窒素で置換した後、減圧下(約20mmHg)、120℃にて1時間脱水を行った。次いでEO88部(2モル)を150℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cmとなるように導入した。得られた付加物のWeibull分布定数c’は0.42であり、未反応アルコール量は2.2%(0.032モル)であった。この付加物に水酸化カリウム0.3部を追加し、EO220部(5モル)を150℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cmとなるように導入した。反応物に「キョーワード600(協和化学工業株式会社製)」を3部投入し、90℃にて触媒を吸着処理後、ろ過によりアルキレンオキサイド付加物(B−1)を得た。
アルキレンオキサイド付加物(B−1)の分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.045[一般式(6)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.049]、未反応脂肪族系アルコール量は0.02%、一般式(4)による分布定数cの計算値は0.92であった。
【0043】
実施例2
実施例1における過塩素酸マグネシウム0.05部に代えて過塩素酸マグネシウム0.04部と過塩素酸アルミニウム9水塩0.01部を用い(得られた付加物の分布定数c’は0.38、未反応アルコール量は1.7%)、アルカリ触媒存在下でのEO導入量220部に代えてEO352部(8モル)を用いた以外は、実施例1と同様にしてアルキレンオキサイド付加物(B−2)を得た。
アルキレンオキサイド付加物(B−2)の分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.052[一般式(7)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.056]、未反応脂肪族系アルコールは検出されなかった[検出限界:0.001%、以下同じ]。
【0044】
実施例3
実施例1における硫酸マグネシウム7水塩に代えて硫酸バリウムを用い(得られた付加物の分布定数c’は0.32、未反応アルコール量は1.1%)、アルカリ触媒存在下でのEO220部に代えてEO616部(14モル)を用いた以外は、実施例1と同様にしてアルキレンオキサイド付加物(B−3)を得た。
アルキレンオキサイド付加物(B−3)の分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.041[一般式(7)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.044]、未反応脂肪族系アルコールは検出されなかった。
実施例4
実施例1におけるアルカリ触媒存在下でのEO220部を1,672部(38モル)に代えた以外は、実施例1と同様にしてアルキレンオキサイド付加物(B−4)を得た。
アルキレンオキサイド付加物(B−4)の分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.019[一般式(7)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.020]、未反応脂肪族系アルコールは検出されなかった。
【0045】
実施例5
撹拌および温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール186部(1モル)、過塩素酸マグネシウム0.05部を投入し、混合系内を窒素で置換した後、減圧下(約20mmHg)、120℃にて1時間脱水を行った。次いでEO88部(2モル)を150℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cm2となるように導入した。得られた付加物の分布定数c’は0.60、未反応アルコール量は4.5%であった。この付加物に水酸化カリウム1.3部を追加し、PO116部(2モル)次いでEO176部(4モル)の順に130℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cmとなるように導入した。反応物に「キョーワード600(協和化学工業株式会社製)」を3部投入し、90℃にて触媒を吸着処理後、ろ過によりアルキレンオキサイド付加物(A−1)を得た。
アルキレンオキサイド付加物(A−1)の分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.067[一般式(2)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.072]、未反応脂肪族系アルコール量は0.006%、一般式(4)による分布定数cの計算値は0.91であった。
【0046】
実施例6
実施例5においてアルカリ触媒存在下でのEO導入量176部に代えてEO528部(12モル)を用いた以外は実施例5と同様にしてアルキレンオキサイド付加物(A−2)を得た。
アルキレンオキサイド付加物(A−2)の分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.065[一般式(3)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.067]、未反応脂肪族系アルコールは検出されなかった。
【0047】
実施例7
撹拌および温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール186部(1モル)、過塩素酸マグネシウム0.05部と過塩素酸亜鉛0.05部を投入し、混合系内を窒素で置換した後、減圧下(約20mmHg)、120℃にて1時間脱水を行った。次いでPO116部(2モル)を120℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cmとなるように導入した。得られた付加物の分布定数c’は0.42、未反応アルコール量は2.0%であった。この付加物に水酸化カリウム1.3部を追加し、EO704部(16モル)を130℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cmとなるように導入した。反応物に「キョーワード600(協和化学工業株式会社製)」を3部投入し、90℃にて触媒を吸着処理後、ろ過によりアルキレンオキサイド付加物(A−3)を得た。
アルキレンオキサイド付加物(A−3)の分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.061[一般式(3)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.064]、未反応脂肪族系アルコールは検出されなかった。
【0048】
実施例8
撹拌および温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール186部(1モル)、過塩素酸マグネシウム0.05部と過塩素酸亜鉛0.05部を投入し、混合系内を窒素で置換した後、減圧下(約20mmHg)、120℃にて1時間脱水を行った。次いでEO44部(1モル)とPO58部(1モル)を混合し、120℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cm2となるように導入した。得られた付加物の分布定数c’は0.34、未反応アルコール量#は1.3%であった。この付加物に水酸化カリウム1.3部を追加し、EO704部(8モル)を130℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cmとなるように導入した。反応物に「キョーワード600(協和化学工業株式会社製)」を3部投入し、90℃にて触媒を吸着処理後、ろ過によりアルキレンオキサイド付加物(A−4)を得た。
アルキレンオキサイド付加物(A−4)の分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.071[一般式(3)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.079]、未反応脂肪族系アルコールは検出されなかった。
【0049】
実施例9
撹拌および温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール186部(1モル)、過塩素酸マグネシウム0.05部と硫酸亜鉛0.03部を投入し、混合系内を窒素で置換した後、減圧下(約20mmHg)、120℃にて1時間脱水を行った。次いでEO88部(2モル)を150℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cmとなるように導入した。得られた付加物の分布定数c’は0.38、未反応アルコール量は1.7%であった。この付加物に水酸化カリウム1.3部を追加し、1,2−ブチレンオキサイド144部(2モル)、次いでEO704部(8モル)の順に130℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cmとなるように導入した。反応物に「キョーワード600(協和化学工業株式会社製)」を3部投入し、90℃にて触媒を吸着処理後、ろ過によりアルキレンオキサイド付加物(A−5)を得た。
アルキレンオキサイド付加物(A−5)の分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.071[一般式(3)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.074]、未反応脂肪族系アルコールは検出されなかった。
【0050】
比較例1
撹拌および温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール186部(1モル)、水酸化カリウム0.3部を投入し、混合系内を窒素で置換した後、減圧下(約20mmHg)、120℃にて1時間脱水を行った。次いでEO308部(7モル)を150℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cmとなるように導入した。反応物に「キョーワード600(協和化学工業株式会社製)」を3部投入し、90℃にて触媒を吸着処理後、ろ過によりノニオン性界面活性剤Iを得た。
ノニオン性界面活性剤Iの分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.089、[一般式(6)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.049]、未反応脂肪族系アルコール量は2.9%、一般式(4)による分布定数cの計算値は3.70であった。
【0051】
比較例2
撹拌および温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール186部(1モル)、水酸化カリウム0.3部を投入し、混合系内を窒素で置換した後、減圧下(約20mmHg)、120℃にて1時間脱水を行った。次いでEO440部(10モル)を150℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cmとなるように導入した。反応物に「キョーワード600(協和化学工業株式会社製)」を3部投入し、90℃にて触媒を吸着処理後、ろ過によりノニオン性界面活性剤IIを得た。
ノニオン性界面活性剤IIの分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.101[一般式(7)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.056]、未反応脂肪族系アルコール量は0.7%、一般式(4)による分布定数cの計算値は3.26であった。
【0052】
比較例3
撹拌および温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール186部(1モル)、水酸化カリウム0.3部を投入し、混合系内を窒素で置換した後、減圧下(約20mmHg)、120℃にて1時間脱水を行った。次いでEO88部(2モル)、PO116部(2モル)、EO264部(6モル)を順次130℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cmとなるように導入した。反応物に「キョーワード600(協和化学工業株式会社製)」を3部投入し、90℃にて触媒を吸着処理後、ろ過によりノニオン性界面活性剤IIIを得た。
ノニオン性界面活性剤IIIの分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.118[一般式(3)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.079]、未反応脂肪族系アルコール量は0.3%、一般式(4)による分布定数cの計算値は2.50であった。
【0053】
比較例4
撹拌および温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール186部(1モル)、水酸化カリウム0.3部を投入し、混合系内を窒素で置換した後、減圧下(約20mmHg)、120℃にて1時間脱水を行った。次いでEO88部(2モル)、PO116部(2モル)、EO528部(12モル)を順次130℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cmとなるように導入した。反応物に「キョーワード600(協和化学工業株式会社製)」を3部投入し、90℃にて触媒を吸着処理後、ろ過によりノニオン性界面活性剤IVを得た。
ノニオン性界面活性剤付加物IVの分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.122[一般式(3)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.067]、未反応脂肪族系アルコール量は0.028%、一般式(4)による分布定数cの計算値は2.71であった。
【0054】
比較例5
撹拌および温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール186部(1モル)を投入し、系内を窒素で置換した後、減圧下(約20mmHg)120℃にて脱水し、40℃にて三フッ化ホウ素ジエチルエーテル0.3部を投入し、混合系内を窒素で置換した。次いでEO440部(10モル)を50℃にて、ゲージ圧が約1kgf/cmとなるように導入した。反応物をアルカリで中和し、ノニオン性界面活性剤Vを得た。
ノニオン性界面活性剤Vの分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.082[一般式(7)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.056]、未反応脂肪族系アルコール量は0.04%、一般式(4)による分布定数cの計算値は1.60であった。また、本比較例では、約6%のポリエチレングリコールの副生が認められた。
【0055】
比較例6
撹拌および温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール186部(1モル)を投入し、系内を窒素で置換した後、減圧下(約20mmHg)120℃にて脱水し、40℃にて三フッ化ホウ素ジエチルエーテル0.3部を投入し、混合系内を窒素で置換した。次いでEO88部(2モル)、PO116部(2モル)、EO264部(6モル)を順次50℃にて、ゲージ圧が約1kgf/cm2となるように導入した。反応物をアルカリで中和し、ノニオン性界面活性剤VIを得た。
ノニオン性界面活性剤VIの分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.096[一般式(7)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.079]、未反応脂肪族系アルコール量は0.04%、一般式(4)による分布定数cの計算値は1.60であった。また、本比較例では、約7%のポリアルキレングリコールの副生が認められた。
【0056】
実施例10
撹拌および温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール186部(1モル)、過塩素酸マグネシウム0.05部、硫酸マグネシウム7水塩0.02部を投入し、混合系内を窒素で置換した後、減圧下(約20mmHg)、120℃にて1時間脱水を行った。次いでEO88部(2モル)を150℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cmとなるように導入した。得られた付加物の分布定数c’は0.42であり、未反応アルコール量は2.2%(0.032モル)であった。この付加物に水酸化カリウム0.3部を追加し、EO61.6部(1.4モル)をゲージ圧が1〜3kgf/cmとなるように導入#した。反応物に「キョーワード600(協和化学工業株式会社製)」を3部投入し、90℃にて触媒を吸着処理後、ろ過によりアルキレンオキサイド付加物からなる乳化剤(I−1)を得た。HLBは8.9である。
乳化剤(I−1)の分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.031[一般式(6)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.035]、未反応脂肪族系アルコール量は0.3%、一般式(4)による分布定数cの計算値は0.57であった。
【0057】
実施例11
実施例10においてラウリルアルコールに代えてセチルアルコール242部(1モル)を用い、アルカリ触媒存在下でのEO導入量61.6部に代えて105.6部(2.4モル)を用いた以外は、実施例10と同様にしてアルキレンオキサイド付加物からなる乳化剤(I−2)を得た。HLBは8.9である。
乳化剤(I−2)の分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.037[一般式(6)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.040]、未反応脂肪族系アルコール量は0.08%、一般式(4)による分布定数cの計算値は0.61であった。
【0058】
実施例12
実施例10においてラウリルアルコールに代えてステアリルアルコール270部(1モル)を用い、アルカリ触媒存在下でのEO導入量61.6部に代えて127.6部(2.9モル)を用いた以外は、実施例10と同様にしてアルキレンオキサイド付加物からなる乳化剤(I−3)を得た。HLBは8.9である。 乳化剤(I−3)の分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.038[一般式(6)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.042]、未反応脂肪族系アルコール量は0.05%、一般式(4)による分布定数cの計算値は0.65であった。
【0059】
比較例7
撹拌および温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール186部(1モル)、水酸化カリウム0.3部を投入し、混合系内を窒素で置換した後、減圧下(1〜5mmHg)、130℃にて1時間脱水を行った。次いでEO149.6部(3.4モル)を150℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cm2 となるように導入した。反応物に「キョーワード600(協和化学工業株式会社製)」を3部投入し、90℃にて触媒を吸着処理後、ろ過により乳化剤Iを得た。HLBは8.9である。
乳化剤Iの分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.084[一般式(6)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.035]、未反応脂肪族系アルコール量は10.8%、一般式(4)による分布定数cの計算値は3.13であった。
【0060】
比較例8
撹拌および温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール186部(1モル)を投入し、系内を窒素で置換した後、減圧下(約20mmHg)120℃にて脱水し、40℃にて三フッ化ホウ素ジエチルエーテル0.3部を投入し、混合系内を窒素で置換した。次いでEO149.6部(3.4モル)を50℃にて、ゲージ圧が約1kgf/cmとなるように導入した。
反応物をアルカリで中和し、乳化剤IIを得た。HLBは8.9である。
乳化剤IIの分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.063[一般式(6)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.035]、未反応脂肪族系アルコール量は5.5%、一般式(4)による分布定数cの計算値は1.77であった。本比較例では、約4%のポリエチレングリコールの副生が認められた。
【0061】
比較例9
撹拌および温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール186部(1モル)、過塩素酸マグネシウム3.6部を投入し、混合系内を窒素で置換した後、減圧下(約20mmHg)、120℃にて1時間脱水を行った。次いでEO149.6部(3.4モル)を150℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cm となるように導入した。反応物に「キョーワード1000(協和化学工業株式会社製)」を3部投入し、90℃にて触媒を吸着処理後、ろ過により乳化剤IIIを得た。HLBは8.9である。この場合、アルデヒド臭が強く、副生物として高分子量物(アルドール縮合物のような二量体)を約3%含有した。なお、本比較例で得られた乳化剤IIIは着色が著しく、色相は黒褐色であった。また、水酸基価から求めたEOの平均付加モル数は2.5モルであった。
乳化剤IIIの分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.058[一般式(6)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.028]、未反応脂肪族系アルコール量は0.5%、一般式(4)による分布定数cの計算値は0.39であった。
【0062】
試験例1
実施例10〜12で得られた乳化剤(I−1)〜(I−3)および比較例7〜9で得られた乳化剤I〜IIIを用いてアニリン点70℃の鉱物油を水中に乳化させO/W型のエマルジョンを作成した。試験条件を以下に示す。
鉱物油97部と乳化剤3部を配合し、このうちの5部を、別途25℃に温調しておいた95部のイオン交換水の入った100mlの蓋付きメスシリンダーに投入した。次いでメスシリンダーを上下に20回振り、25℃にて静置した。直後、30分、60分、および90分後の乳化状態を観察し、前述した点数方式にて評価した。60分後の点数が乳化力指数sである。評価結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
Figure 0003635064
【0064】
表1の結果より、アルキレンオキサイド付加物を乳化剤として用いた各実施例は、いずれも各比較例と比べると乳化性、乳化安定性に優れ、乳化力指数が10である。また泡立ちにおいても比較例に比べ半分以下になっていることがわかる。
実施例13
撹拌および温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、ドバノール45(商品名、C14/C15=65/35の混合物、直鎖率約75%、三菱化学社製)219部(1モル)、過塩素酸マグネシウム0.05部および硫酸バリウム0.02部を投入し、混合系内を窒素で置換した後、減圧下(1〜5mmHg)、130℃にて1時間脱水を行った。次いでEO88部(2モル)を150℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cmとなるように導入した。得られた付加物のWeibull定数は0.38、未反応アルコール量は1.7%であった。この付加物に水酸化カリウム1.3部を追加し、PO87部(1.5モル)、EO492.8部(11.2モル)の順に130℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cmとなるように導入した。反応物に「キョーワード600(協和化学工業株式会社製)」を3部投入し、90℃にて触媒を吸着処理後、ろ過により乳化剤(I−4)を得た。乳化剤(I−4)の2%水溶液の曇点は87℃であった。乳化剤(I−4)の分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果を表2に示す。
【0065】
実施例14
撹拌および温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、ドバノール45(商品名、C14/C15=65/35の混合物、直鎖率約75%、三菱化学社製)219部(1モル)、過塩素酸マグネシウム0.05部および硫酸バリウム0.02部を投入し、混合系内を窒素で置換した後、減圧下(1〜5mmHg)、130℃にて1時間脱水を行った。次いでEO88部(2モル)を150℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cmとなるように導入した。得られた付加物のWeibull定数は0.38、未反応アルコール量は1.7%であった。この付加物に水酸化カリウム0.5部を追加し、EO528部(12モル)を130℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cmとなるように導入した。反応物に「キョーワード600(協和化学工業株式会社製)」を3部投入し、90℃にて触媒を吸着処理後、ろ過により乳化剤(I−5)を得た。乳化剤(I−5)の2%水溶液の曇点は87℃であった。乳化剤(I−5)の分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果を表2に示す。
【0066】
比較例10
撹拌および温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、ドバノール45(商品名、C14/C15=65/35の混合物、直鎖率約75%、三菱化学社製)219部(1モル)、水酸化カリウム0.3部を投入し、混合系内を窒素で置換した後、減圧下(1〜5mmHg)、130℃にて1時間脱水を行った。次いでEO88部(2モル)、PO87部(1.5モル)、EO462部(10.5モル)を順次150℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cm となるように導入した。反応物に「キョーワード600(協和化学工業株式会社製)」を3部投入し、90℃にて触媒を吸着処理後、ろ過により乳化剤IVを得た。乳化剤IVの2%水溶液の曇点は87℃であった。乳化剤IVの分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果を表2に示す。
【0067】
比較例11
撹拌および温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、ドバノール45(商品名、C14/C15=65/35の混合物、直鎖率約75%、三菱化学社製)219部(1モル)、水酸化カリウム0.3部を投入し、混合系内を窒素で置換した後、減圧下(1〜5mmHg)、130℃にて1時間脱水を行った。次いでEO484部(11モル)を150℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cmとなるように導入した。反応物に「キョーワード600(協和化学工業株式会社製)」を3部投入し、90℃にて触媒を吸着処理後、ろ過により乳化剤Vを得た。乳化剤Vの2%水溶液の曇点は87℃であった。乳化剤Vの分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果を表2に示す。
【0068】
試験例2
実施例13と14で得られた乳化剤(I−4)と(I−5)および比較例10と11で得られた乳化剤IVおよびV、さらに乳化剤VIとしてノニルフェノールEO11モル付加物を用いて、酸化ポリエチレンワックスを高温加圧下で乳化させ乳化力を比較した。試験条件を以下に示す。
酸化ポリエチレンワックス〔BASF社製 LUWAX OA3(重量平均分子量:9000〜10000、酸価22〜24)〕40部、乳化剤11部、水酸化カリウム0.5部、イオン交換水48.5部をステンレス製ビーズ10個とともにステンレス製の耐圧容器に入れ、窒素シールした後、140℃で2〜3kgf/cmの加圧下、30分間振とう乳化した。評価結果を表2に示す。
【0069】
【表2】
Figure 0003635064
【0070】
前述した乳化力指数tの基準に従い、得られた乳化物の1%水希釈液の状態で評価した。なお、粒子径はレーザ回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所製)を用い、乳化物を水で1重量%に希釈して測定した。
表2の結果より、アルキレンオキサイド付加物(A)および(B)からなる乳化剤(I)は、ノニルフェノールEO付加物と同等の乳化力を有し、(I−4においては乳化力を保持したまま低温流動性が改良されていることがわかる。これに比較して従来の非アルキルフェノール系ノニオン性界面活性剤では、低温流動性は解決されても乳化力を持たせることはできない。
【0071】
実施例15
撹拌および温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、ドバノール45(商品名、C14/C15=65/35の混合物、直鎖率約75%、三菱化学社製)219部(1モル)、過塩素酸マグネシウム0.05部および硫酸マグネシウム7水塩0.02部を投入し、混合系内を窒素で置換した後、減圧下(1〜5mmHg)、130℃にて1時間脱水を行った。次いでEO88部(2モル)を150℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cmとなるように導入した。得られた付加物のWeibull定数は0.42であり、未反応アルコール量は2.2%(0.032モル)であった。この付加物に水酸化カリウム1部を追加し、EO88部(2モル)、PO116部(2モル)、EO352部(8モル)を順次にゲージ圧が1〜3kgf/cmとなるように導入した。反応物に「キョーワード600(協和化学工業株式会社製)」を3部投入し、90℃にて触媒を吸着処理後、ろ過により洗浄剤(L−1)を得た。HLBは12.2である。
この洗浄剤(L−1)の分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.068[一般式(3)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.070]、未反応脂肪族系アルコールは検出されなかった。
【0072】
比較例12
撹拌および温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、ドバノール45(商品名、C14/C15=65/35の混合物、直鎖率約75%、三菱化学社製)219部(1モル)、水酸化カリウム1.5部を投入し、混合系内を窒素で置換した後、減圧下(1〜5mmHg)、130℃にて1時間脱水を行った。次いでEO176部(4モル)、PO116部(2モル)、EO352部(8モル)を順次150℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cmとなるように導入した。反応物に「キョーワード600(協和化学工業株式会社製)」を3部投入し、90℃にて触媒を吸着処理後、ろ過により洗浄剤(VII)を得た。HLBは12.2である。
この洗浄剤(VII)の分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよ#びGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.101[一般式(3)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.070]、未反応脂肪族系アルコール量は0.048%、一般式(4)による分布定数cの計算値は2.51であった。
【0073】
試験例3
実施例15で得られた洗浄剤(L−1)、比較例12で得られた洗浄剤(VII)およびノニルフェノールEO9.5モル付加物(HLB13.1)(VIII)を用いて、洗浄力の比較試験を行った。試験条件は前記した方法に従う。
洗浄試験はリーナッツ法(JISK3370)に準じた。汚垢支持体としてスライドガラス6枚を1組として用い、汚垢成分は前記した組成のものを用いた。上記洗剤液の濃度0.15%水溶液を洗浄液として人工汚垢を塗布したスライドガラスを洗浄し、前記した式から洗浄力を求め、ノニルフェノールEO9.5モル付加物(VIII)の洗浄力を100とした指数を洗浄力指数とした。試験結果を表3に示す。
【0074】
【表3】
Figure 0003635064
【0075】
表3の結果より、本発明の製造法で得られるアルキレンオキサイド付加物を洗浄剤として用いた実施例は、比較例と比べると洗浄力に優れていることがわかる。
実施例16
撹拌および温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、ドバノール45(商品名、C14/C15=65/35の混合物、直鎖率約75%、三菱化学社製)219部(1モル)、過塩素酸マグネシウム0.05部および硫酸マグネシウム7水塩0.02部を投入し、混合系内を窒素で置換した後、減圧下(1〜5mmHg)、130℃にて1時間脱水を行った。次いでEO88部(2モル)を150℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cmとなるように導入した。得られた付加物のWeibull定数は0.42であり、未反応アルコール量は2.2%(0.032モル)であった。この付加物に水酸化カリウム0.3部を追加し、EO264部(6モル)を150℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cmとなるように導入した。反応物に「キョーワード600(協和化学工業株式会社製)」を3部投入し、90℃にて触媒を吸着処理後、ろ過によりアルキレンオキサイド付加物(H−1)を得た。HLBは12.3である。
アルキレンオキサイド付加物(H−1)の分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.046[一般式(2)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.052]、未反応脂肪族系アルコール量は0.003%、一般式(4)による分布定数cの計算値は0.83であった。
【0076】
比較例13
撹拌および温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、ドバノール45(商品名、C14/C15=65/35の混合物、直鎖率約75%、三菱化学社製)219部(1モル)、水酸化カリウム1.0部を投入し、混合系内を窒素で置換した後、減圧下(1〜5mmHg)、130℃にて1時間脱水を行った。次いでEO352部(8モル)を150℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cm#となるように導入した。反応物に「キョーワード600(協和化学工業株式会社製)」を3部投入し、90℃にて触媒を吸着処理後、ろ過により界面活性剤(IX)を得た。HLBは12.3である。
この界面活性剤(IX)の分子量分布と未反応脂肪族系アルコール量をGPCおよびGCにより測定した結果、Mw/Mnは1.092[一般式(2)を満たすMw/Mnの上限計算値:1.052]、未反応脂肪族系アルコール量は1.4%、一般式(4)による分布定数cの計算値は3.13であった。
【0077】
試験例4
実施例16で得られた界面活性剤(H−1)、比較例13で得られた界面活性剤(IX)およびノニルフェノールEO8.5モル付加物(HLB12.6)(X)を用いて、水溶液の粘度を測定し、(X)の粘度を100とした指数を粘度指数とした。なお、粘度測定にはブルックフィールド型粘度計を用い、3号ローター,40rpm,25℃で測定を行った。結果を表4に示す。
【0078】
【表4】
Figure 0003635064
【0079】
表4の結果より、本発明の製造法で得られるアルキレンオキサイド付加物は、比較例と比べると同じ濃度で高い粘度を示し、増粘作用に優れていることがわかる。
【0080】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、ノニオン性界面活性剤に用いる脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物を、精留などの分別操作無しで、収率良く直接製造することができる。
本発明の製造法で得られるノニオン界面活性剤は、乳化力、可溶化力、洗浄力、浸透力などの界面活性能に優れる。そのため、例えば、金属加工用乳化剤、農薬乳剤用乳化剤、化粧品用乳化剤、水系塗料用乳化剤、乳化重合用乳化剤などの乳化剤;顔料や脂肪酸金属塩などの紙用薬剤の分散剤;香料用などの可溶化剤;衣料用洗剤、皿洗い用洗剤などの家庭用洗剤、機械金属用洗剤などの工業用洗剤としての洗浄剤;浸透剤;湿潤剤;消泡剤など各種界面活性剤用途に有用である。また、未反応の脂肪族系アルコール含有量が少ないため、臭気改良などの点でアニオン界面活性剤、例えば低臭気の硫酸化物を得る際の中間体としても有益である。
なお、従来、この用途でよく使われてきたアルキルフェノール系ノニオン性界面活性剤は、近年、環境ホルモン(外因性内分泌撹乱物質)としての危険性が指摘されており、これに代わるものとして、本発明の方法で著直接製造された性能の優れた非アルキルフェノール系ノニオン性界面活性剤である脂肪族系のノニオン性界面活性剤は種々の用途に有用である。

Claims (5)

  1. 過ハロゲン酸、硫酸塩、燐酸塩および硝酸塩からなる群から選ばれる1種以上である触媒(d)であって、且つその使用量が、下記(a2)と(b3)の合計100質量部当たり0.001〜1質量部である触媒(d)の存在下、炭素数8〜24の脂肪族系アルコール(a2)に炭素数2以上のアルキレンオキサイド(b3)を平均1〜2.5モル付加させてなり、Weibullの分布則から導かれる下記式(4')から求められる分布定数c'が1.0以下である脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物(e)に、アルカリ触媒(f)の存在下、炭素数2以上のアルキレンオキサイド(b4)[(b4)は(b3)と同じであっても異なっていてもよい]を付加反応させて下記 (i) (iii) を満たす脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)を直接製造することを特徴とする脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物の製造方法。
    c'=(v'+n0'/n00'−1)/[Ln(n00'/n0')+n0'/n00'−1] (4')
    [但し、v'は脂肪族系アルコール(a2)1モル当たりに付加したアルキレンオキサイドの平均付加モル数、n00'は反応に用いた脂肪族系アルコール(a2)のモル数、n0'は未反応の脂肪族系アルコール(a2)のモル数を表す。]
    (i) 下記一般式(1)で表される化合物の2種以上の混合物からなる。
    1 O− [( 2 4 )m ( AO )n] ( 2 4 )p −H (1)
    [式中、R 1 は炭素数8〜24の脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基;Aは炭素数3以上のアルキレン基;mは平均が0〜4となる0または1以上の整数、nは平均が1〜3となる0または1以上の整数、pは平均が1〜80となる0または1以上の整数であり、(m+n+p)は平均が3〜81となる整数であり、(m+p)/(m+n+p)は平均0.5以上である。{ ([ 2 4 )m ( AO )n }は、m≠0,n≠0のときブロック付加またはランダム付加を表す。 ]
    (ii) 重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比:Mw/Mnが下記関係式(2)または(3)を満たす。
    Mw/Mn≦0.030×Ln ( ) +1.010(但し、v<10) (2)
    Mw/Mn≦−0.026×Ln ( ) +1.139(但し、v≧10)(3)
    [但し、vは脂肪族系アルコール(a1)1モル当たりに付加したアルキレンオキサイドの平均付加モル数を表し、上記一般式(1)での(m+n+p)の平均に相当する。]
    (iii) Weibullの分布則から導かれる下記式(4)から求められる分布定数cが1.0以下である。本項はvが12までのみ適用する。
    c= ( v+n 0 / 00 −1 ) [ Ln ( 00 / 0 ) +n 0 / 00 −1 ] (4)
    [但し、vは上記に同じ、n 00 は反応に用いた脂肪族系アルコール(a1)のモル数、n 0 は未反応の脂肪族系アルコール(a1)のモル数を表す。]
  2. 過ハロゲン酸、硫酸塩、燐酸塩および硝酸塩からなる群から選ばれる一種以上であって、且つその使用量が、下記(a2)と(b3)の合計100質量部当たり0.001〜1質量部である触媒(d)の存在下、炭素数8〜24の脂肪族系アルコール(a2)にエチレンオキサイドを平均1〜2.5モル付加させてなり、Weibullの分布則から導かれる下記式(4')から求められる分布定数c'が1.0以下である脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物(e)に、アルカリ触媒(f)の存在下、エチレンオキサイドを付加反応させて下記 (i) (iii) を満たす脂肪族系アルコールエチレンオキサイド付加物(B)を直接製造することを特徴とする脂肪族系アルコールエチレンオキサイド付加物の製造方法。
    c'=(v'+n0'/n00'−1)/[Ln(n00'/n0')+n0'/n00'−1] (4')
    [但し、v'は脂肪族系アルコール(a2)1モル当たりに付加したアルキレンオキサイドの平均付加モル数、n00'は反応に用いた脂肪族系アルコール(a2)のモル数、n0'は未反応の脂肪族系アルコール(a2)のモル数を表す。]
    (i)下記一般式(5)で表される化合物の2種以上の混合物からなる。
    2O−(C24O)q−H (5)
    [式中、R2は炭素数8〜24の脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基;qは平均が3〜80となる整数である。]
    (ii)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比:Mw/Mnが下記関係式(6)または(7)を満たす。
    Mw/Mn≦0.020×Ln(v)+1.010(但し、v<10) (6)
    Mw/Mn≦−0.026×Ln(v)+1.116(但し、v≧10)(7)
    [但し、vは脂肪族系アルコール(a1)1モル当たりに付加したアルキレンオキサイドの平均付加モル数を表し、上記一般式(5)でのqの平均に相当する。]
    (iii)Weibullの分布則から導かれる下記式(4)から求められる分布定数cが1.0以下である。本項はvが12までのみ適用する。
    c=(v+n0/n00−1)/[Ln(n00/n0)+n0/n00−1] (4)
    [但し、vは上記に同じ、n00は反応に用いた脂肪族系アルコール(a1)のモル数、n0は未反応の脂肪族系アルコール(a1)のモル数を表す。]
  3. 触媒(d)が、2価もしくは3価の金属の過塩素酸塩である請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 触媒(d)が、2価の金属塩と他の金属塩との併用又は3価の金属塩の1種若しくは他の金属塩との併用である請求項1〜3の何れか記載の製造方法。
  5. 触媒(d)の使用量が、(a2)と(b3)の合計100質量部当り0.005〜0.5質量部である請求項1〜4の何れか記載の製造方法。
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