JP3571780B2 - 成形用ポリプロピレン樹脂コンパウンド - Google Patents

成形用ポリプロピレン樹脂コンパウンド Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、成形用ポリプロピレン樹脂コンパウンドに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン樹脂、特に、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂は、強度、耐衝撃性等の機械的特性、成形性、耐薬品性、耐候性および耐熱性が優れているため、バンパー、インストルメントパネルおよび内装トリム等の自動車用外内装部品、その他の成形品に使用されている。プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂には、通常、上記特性に加えて耐衝撃性を改良するためにゴム成分と、剛性を改良するためにタルク等の無機フィラーと、着色の目的で顔料等とが配合され、射出成形等により成形品とされている。
【0003】
プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂を射出成形すると、ゲート直後または肉厚の変化する部分におけるゲートの延長線上の成形品表面に、「白筋」と呼ばれる色むらが発生して外観を害する。この白筋はタルク等の無機フィラーを配合した場合に顕著な白筋として形成され、特に黒、青、灰色系の濃い色に着色された場合に目立ち易くなる。上記のような筋状の色むらはゲートを中心として波紋状に形成されるフローマークとは異なり、フローマークが形成されないような射出成形条件、たとえば、射出樹脂の流速が遅い場合でも形成されることがある。
【0004】
このような筋状の色むらを防止するために、特開平2−43243号公報および特開平2−43249号公報には、プロピレン−エチレンブロック共重合体と鉄黒を含有する多成分系顔料とからなるポリオレフィン−α−オレフィンブロック共重合体樹脂に、変性ポリオレフィンを配合する方法が開示されている。さらに、特公平6−27236号公報には、黒色に着色するに際して、黒色顔料として、pH2〜4で、平均粒径が15〜25μmのチャンネルタイプカーボンブラックを用いて色むらを防止する方法が開示されている。特開平1−284545号公報には、pH1.5〜4のファーネスタイプカーボンブラックを他の黒色顔料と併用使用する方法が開示されている。また、特公平4−76384号公報には、CuO−Mn−Fe系顔料またはCuO−Cr−Fe系顔料を単独もしくは併用して用いる方法が開示されている。しかしながら、これらの方法では改良効果が不充分であり、加えて耐熱性および耐候性を悪化させる問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、顔料で着色されたポリプロピレン樹脂成形品の耐熱性および耐候性を上げ、射出成形したときにゲートの延長線上の成形品表面に形成される白筋と呼ばれる色むらが生じないようにすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
〔成形ポリプロピレン樹脂用着色マスターパウダー組成物〕
成形ポリプロピレン樹脂用着色マスターパウダー組成物は、顔料と、変性ワックスを含んだ顔料分散剤と、シランカップリング剤とを含む。
前記顔料、変性ワックスを含んだ顔料分散剤およびシランカップリング剤の合計100重量%に対して、前記顔料が15〜75重量%、前記変性ワックスを含んだ顔料分散剤が23〜75重量%、前記シランカップリング剤が2〜10重量%であると好ましい。
【0007】
前記変性ワックスがマレイン酸変性ワックスであると好ましい。
前記シランカップリング剤がアミノシラン化合物であると好ましい。
以下、成形ポリプロピレン樹脂用着色マスターパウダー組成物を詳しく説明する。
本発明で用いられる顔料は、特に制限はなく、一般に利用されてるものが使用できる。たとえば、カーボンブラック、鉄黒、弁柄、酸化チタン、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、酸化亜鉛、群青、コバルトブルー、炭酸カルシウム、チタンイエロー、鉛白、鉛丹、鉛黄、紺青等の無機顔料;キナクリドン、ポリアゾイエロー、アンスラキノンイエロー、ポリアゾレッド、アゾレーキイエロー、ベリレン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、イソインドリノンイエロー等の有機顔料が挙げられる。これらの顔料は2種類以上を併用してもよい。
【0008】
顔料はポリプロピレン樹脂に対する親和性(分散性)は必ずしも良くないので、配合に際しては後述の顔料分散剤と事前にスーパーミキサーやタンブラー、加熱式ロール等で混合または混練しておく方が好ましい。顔料分散剤は顔料の分散を助け、かつその分散を維持し被着色物へ顔料を円滑に導き入れることを目的とする。
本発明で用いられる変性ワックスを含んだ顔料分散剤は、変性ワックスを含むものであれば特に制限はない。変性ワックスとしては、たとえば、分子構造中に酸性基を有するワックスが挙げられる。分子構造中に酸性基を有するワックスとしては、たとえば、マレイン酸変性ワックス、フマル酸変性ワックス、アクリル酸変性ワックス、メタクリル酸変性ワックス、クロトン酸変性ワックスが挙げられる。中でも、少量で白筋防止効果の大きいマレイン酸変性ワックスが好ましい。これらの酸性基を有するワックスは2種類以上を併用してもよい。
【0009】
変性ワックスの数平均分子量は1,000〜15,000であるのが好ましい。また、変性ワックスの酸価は4mg−KOH/g以上、好ましくは10〜100mg−KOH/gである。
本発明で用いられる顔料分散剤は、金属石鹸、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等の変性ワックス以外の顔料分散剤および可塑剤を含むものであってもよい。変性ワックスを含んだ顔料分散剤中の変性ワックスの配合量は、5〜50重量%であると白筋発生を防止すると共に顔料の分散性を向上させるため好ましい。5重量%未満では、使用量が少ないために、射出成形したときにゲートの延長線上の成形品表面に形成される白筋を十分に解消することはできない。また、50重量%を超えると、耐熱性および耐候性等の性能を悪化させることがあり、しかも、経済的でない。
【0010】
本発明で用いられるシランカップリング剤としては、たとえば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカトプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、N−トリメチルシリルアセトアミド、N,N’−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N,N’−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、ジメチルトリメチルシリルアミン、ジエチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール、N−トリメチルシリルフェニルウレアを挙げることができる。中でも、アミノ系の官能基を含有するアミノシラン化合物である、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、N−トリメチルシリルアセトアミド、N,N’−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N,N’−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、ジメチルトリメチルシリルアミン、ジエチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール、N−トリメチルシリルフェニルウレアを使用すると、白筋防止効果がさらに大きくなり、耐熱性および耐候性も一層向上するため好ましい。
【0011】
着色マスターパウダー組成物中、顔料、変性ワックスを含んだ顔料分散剤およびシランカップリング剤の配合割合は、特に限定はないが、前記顔料、変性ワックスを含んだ顔料分散剤およびシランカップリング剤の合計100重量%に対して、前記顔料が15〜75重量%、前記変性ワックスを含んだ顔料分散剤が23〜75重量%、前記シランカップリング剤が2〜10重量%であると、着色最終コンパウンドの白筋防止効果に加えて、顔料の分散性を向上させ、耐熱性および耐候性もさらに向上するため好ましい。
着色マスターパウダー組成物中には、その特性を害さない限り、他の添加剤を添加することができる。添加剤としては、たとえば、酸化防止剤、界面活性剤、可塑剤等を挙げることができる。
【0012】
着色マスターパウダー組成物は、公知の方法で製造することができる。製造方法としては、たとえば、顔料、変性ワックスを含んだ顔料分散剤およびシランカップリング剤を均一に分散させた後、これを冷却して粉砕することによって得られる。
このようにして得られた着色マスターパウダー組成物は、以下の(1)または(2)のようにして、射出成形することによって最終成形品となる。
(1)着色マスターパウダー組成物を含む着色マスターバッチ組成物を得た後、着色マスターバッチ組成物と、成形用ポリプロピレン樹脂を混合し、射出成形する。
【0013】
(2)着色マスターパウダー組成物を含むコンパウンドを得た後、コンパウンドを射出成形する。
得られた最終成形品は、耐熱性および耐候性を上げ、射出成形したときにゲートの延長線上の成形品表面に形成される白筋と呼ばれる色むらが生じない。
〔成形ポリプロピレン樹脂用着色マスターバッチ組成物〕
成形ポリプロピレン樹脂用着色マスターバッチ組成物は、ポリプロピレン樹脂と、変性ポリオレフィンと、顔料と、顔料分散剤と、シランカップリング剤とを含む。
【0014】
前記ポリプロピレン樹脂、変性ポリオレフィン、顔料、顔料分散剤およびシランカップリング剤の合計100重量%に対して、前記ポリプロピレン樹脂が5〜88重量%、前記変性ポリオレフィンが5〜30重量%、前記顔料が3〜40重量%、前記顔料分散剤が3〜20重量%、前記シランカップリング剤が1〜5重量%であると好ましい。
前記変性ポリオレフィンが無水マレイン酸グラフトポリプロピレンであると好ましい。
別の成形ポリプロピレン樹脂用着色マスターバッチ組成物は、ポリプロピレン樹脂と、顔料と、変性ワックスを含んだ顔料分散剤と、シランカップリング剤とを含む。
【0015】
前記ポリプロピレン樹脂、顔料、変性ワックスを含んだ顔料分散剤およびシランカップリング剤の合計100重量%に対して、前記ポリプロピレン樹脂が35〜93重量%、前記顔料が3〜40重量%、前記変性ワックスを含んだ顔料分散剤が3〜20重量%、前記シランカップリング剤が1〜5重量%であると好ましい。
前記変性ワックスがマレイン酸変性ワックスであると好ましい。
前記シランカップリング剤がアミノシラン化合物であると好ましい。
以下、成形ポリプロピレン樹脂用着色マスターバッチ組成物を詳しく説明する。
【0016】
本発明で用いられる顔料、変性ワックスを含んだ顔料分散剤、シランカップリング剤として、前記着色マスターパウダー組成物で説明したものを使用することができる。好ましい種類についても前記と同じである。また、変性ワックスを含んだ顔料分散剤中の変性ワックスの配合量も前記と同範囲にあると好ましい。
本発明で用いられるポリプロピレン樹脂は、特に制限はなく、たとえば、商業的に販売されているプロピレン単独重合体、および、プロピレンとα−オレフィンとのランダムまたはブロック共重合体を挙げることができる。中でも、JIS−K−7210に従って測定した溶融流れ指数(MFR)が、1〜100g/10分のものが使用できる。プロピレンとα−オレフィンとのランダムまたはブロック共重合体は、その共重合体中に、プロピレン構造単位を通常70〜99モル%含有し、残りの成分はプロピレン以外のα−オレフィン構造単位である。プロピレン以外のα−オレフィンとしては、たとえば、エチレン、1−ブテン、ヘキセン−1,4−メチルペンテン−1を挙げることができる。プロピレン以外のα−オレフィン構造単位としては、エチレンが好ましい。
【0017】
本発明で用いられる変性ポリオレフィンは、分子構造中に変性基を有するものてあれば特に制限はない。変性ポリオレフィンとしては、たとえば、分子構造中に酸性基を有するポリオレフィンが挙げられる。分子構造中に酸性基を有するポリオレフィンとしては、たとえば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、ヘキセン−1,4−メチルペンテン−1、1−オクテン等のα−オレフィンを単独または共重合して得た重合体をさらに酸化してカルボキシル基を導入して得られるポリオレフィン;上記α−オレフィンの単独重合体または共重合体からなるポリオレフィンに対し、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等のα,β−不飽和カルボン酸またはその無水物をグラフト重合して得られるポリオレフィン;エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体等の上記α−オレフィンと上記α,β−不飽和カルボン酸とのランダム共重合体;上記ポリオレフィンのスルホン化物を挙げることができる。
【0018】
中でも、変性ポリオレフィンとしては、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、1−酸化ポリブテン、酸化エチレン−α−オレフィン共重合等の酸化ポリオレフィン;無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、無水マレイン酸グラフトエチレン−α−オレフィン共重体等の無水マレイン酸グラフトポリオレフィンが、少量で白筋防止効果が大きいため好ましく、その中でも、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンがさらに好ましい。これらは2種類以上を混合して使用することができる。
変性ポリオレフィンの酸価は4mg−KOH/g以上、好ましくは10〜100mg−KOH/gである。また、デカリン中135℃で測定した変性ポリオレフィンの極限粘度〔η〕は、0.04〜2dl/gであるのが好ましい。
【0019】
本発明で用いられる顔料分散剤は、特に制限はなく、たとえば、ワックス、金属石鹸、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンおよび可塑剤を挙げることができる。また、ワックスが前記で説明した変性ワックスであってもよい。 本発明の着色マスターバッチ組成物には、その特性を害さない限り、他の樹脂、ゴム成分および添加剤を配合することができる。配合することのできる樹脂としては、たとえば、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリブテン樹脂等を挙げることができる。ゴム成分としては、たとえば、エチレンを主成分とするエチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレンを主成分とするエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合ゴム、プロピレンを主成分とするプロピレン−α−オレフィン共重合ゴム、ブテン−1を主成分とするブテン−α−オレフィン共重合ゴム、SBR、NBS、天然ゴム、IIR等のジエン系ゴムのほか、SEBS、ポリイソブチレン等が挙げられる。添加剤としては、たとえば、プロセス油、可塑剤、潤滑油、中和剤、酸化防止剤、重金属不活性化剤、耐候剤、滑剤、造核剤、帯電防止剤、離型剤、無機フィラー、防かび剤等を添加することができる。他の樹脂、ゴム成分および添加剤は、それぞれについて2種類以上を併用してもよい。
【0020】
着色マスターバッチ組成物中の各成分の配合量は、特に制限はないが、各成分の好ましい配合量は以下の(1)または(2)に示すように、着色マスターバッチ組成物中に含まれる成分の種類によって異なる。
(1)着色マスターバッチ組成物が、ポリプロピレン樹脂と、変性ポリオレフィンと、顔料と、顔料分散剤と、シランカップリング剤とを含む場合は、前記ポリプロピレン樹脂、変性ポリオレフィン、顔料、顔料分散剤およびシランカップリング剤の合計100重量%に対して、前記ポリプロピレン樹脂が5〜88重量%、前記変性ポリオレフィンが5〜30重量%、前記顔料が3〜40重量%、前記顔料分散剤が3〜20重量%、前記シランカップリング剤が1〜5重量%であると、着色最終コンパウンドの白筋防止効果に加えて、顔料の分散性を向上させ、耐熱性および耐候性もさらに向上するため好ましい。
【0021】
(2)着色マスターバッチ組成物が、ポリプロピレン樹脂と、顔料と、変性ワックスを含んだ顔料分散剤と、シランカップリング剤とを含む場合は、前記ポリプロピレン樹脂、顔料、変性ワックスを含んだ顔料分散剤およびシランカップリング剤の合計100重量%に対して、前記ポリプロピレン樹脂が35〜93重量%、前記顔料が3〜40重量%、前記変性ワックスを含んだ顔料分散剤が3〜20重量%、前記シランカップリング剤が1〜5重量%であると、着色最終コンパウンドの白筋防止効果に加えて、顔料の分散性を向上させ、耐熱性および耐候性もさらに向上するため好ましい。
【0022】
着色マスターバッチ組成物に用いられる変性ワックスとして、前記着色マスターパウダー組成物で説明したマレイン酸変性ワックスを使用すると、少量で白筋防止効果が大きいため好ましい。
着色マスターバッチ組成物に用いられるシランカップリング剤として、前記着色マスターパウダー組成物で説明したアミノシラン化合物を使用すると、白筋防止効果がさらに大きくなり、耐熱性および耐候性も一層向上するため好ましい。
着色マスターバッチ組成物は、公知の方法で製造することができる。製造方法としては、たとえば、上記各成分を一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー等の混練機を用いて加熱溶融状態で混練することによって得ることができる。
【0023】
得られたマスターバッチ組成物を、成形用ポリプロピレン樹脂に、さらに必要に応じて、無機フィラーおよびゴム成分等と混合し、射出成形すると最終成形品が得られる。
成形用ポリプロピレン樹脂としては、ポリプロピレン樹脂をそのまま使用することができる。
無機フィラーとしては、たとえば、タルク、クレー、シリカ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、マイカ、ワラスナイト、ガラス繊維等を挙げることができ、その使用量は、成形用ポリプロピレン樹脂100重量部に対して、5〜80重量部であるのが好ましい。
【0024】
ゴム成分としては、前記で説明した着色マスターバッチ組成物に配合できるものを使用することができ、その使用量は、成形用ポリプロピレン樹脂100重量部に対して、5〜60重量部であるのが好ましい。
得られた最終成形品は、耐熱性および耐候性を上げ、射出成形したときにゲートの延長線上の成形品表面に形成される白筋と呼ばれる色むらが生じない。
〔成形用ポリプロピレン樹脂コンパウンド〕
本発明の成形用ポリプロピレン樹脂コンパウンドは、ポリプロピレン樹脂と、当該ポリプロピレン樹脂100重量部に対する割合で、0.3〜6重量部の変性ポリオレフィンと、0.1〜5重量部の顔料と、0.1〜5重量部の顔料分散剤と、0.05〜1重量部のシランカップリング剤と、5〜80重量部の無機フィラーと、0〜60重量部のゴム成分と、を含み、前記変性ポリオレフィンが無水マレイン酸グラフトポリプロピレンである。
【0025】
発明の別の成形用ポリプロピレン樹脂コンパウンドは、ポリプロピレン樹脂と、当該ポリプロピレン樹脂100重量部に対する割合で、0.1〜5重量部の顔料と、0.1〜5重量部の、変性ワックスを含んだ顔料分散剤と、0.05〜1重量部のシランカップリング剤と、5〜80重量部の無機フィラーと、0〜60重量部のゴム成分と、を含み、前記変性ワックスがマレイン酸変性ワックスである。
【0026】
本発明においては、前記シランカップリング剤がアミノシラン化合物であると好ましい。
以下、本発明の成形用ポリプロピレン樹脂コンパウンドを詳しく説明する。
本発明で用いられるポリプロピレン樹脂、顔料、シランカップリング剤、顔料分散剤、ゴム成分、無機フィラーとして、前記着色マスターパウダー組成物および前記着色マスターバッチ組成物で説明したものを使用することができる。好ましい種類についても前記と同じである。また、変性ワックスを含んだ顔料分散剤中の変性ワックスの配合量も前記と同範囲にあると好ましい。
【0027】
本発明のコンパウンドには、その特性を害さない限り、前記で説明した他の樹脂および添加剤を配合することができる。
本発明のコンパウンド中の各成分の配合量は、特に制限はないが、各成分の好ましい配合量は以下の(A)または(B)に示すように、着色マスターバッチ組成物中に含まれる成分の種類によって異なる。
(A)コンパウンドが、ポリプロピレン樹脂と、変性ポリオレフィンとしての無水マレイン酸グラフトポリプロピレンと、顔料と、顔料分散剤と、シランカップリング剤と、ゴム成分と、無機フィラーとを含む場合は、前記ポリプロピレン樹脂100重量部に対して、前記変性ポリオレフィンが0.3〜6重量部、前記顔料が0.1〜5重量部、前記顔料分散剤が0.1〜5重量部、前記シランカップリング剤が0.05〜1重量部、前記ゴム成分が5〜60重量部、前記無機フィラーが5〜80重量部であると着色最終コンパウンドの白筋防止効果に加えて、顔料の分散性を向上させ、耐熱性および耐候性もさらに向上するため好ましい。
【0028】
(B)コンパウンドが、ポリプロピレン樹脂と、顔料と、変性ワックスとしてのマレイン酸変性ワックスを含んだ顔料分散剤と、シランカップリング剤と、ゴム成分と、無機フィラーとを含む場合は、前記ポリプロピレン樹脂100重量部に対して、前記顔料が0.1〜5重量部、前記変性ワックスを含んだ顔料分散剤が0.1〜5重量部、前記シランカップリング剤が0.05〜1重量部、前記ゴム成分が5〜60重量部、前記無機フィラーが5〜80重量部であると、着色最終コンパウンドの白筋防止効果に加えて、顔料の分散性を向上させ、耐熱性および耐候性もさらに向上するため好ましい。
【0029】
本発明のコンパウンドに用いられる変性ポリオレフィンとして、前記着色マスターバッチ組成物で説明した無水マレイン酸グラフトポリプロピレンを使用すると、少量で白筋防止効果が大きいため好ましい。
本発明のコンパウンドに用いられる変性ワックスとして、前記着色マスターパウダー組成物で説明したマレイン酸変性ワックスを使用すると、少量で白筋防止効果が大きいため好ましい。
本発明のコンパウンドに用いられるシランカップリング剤として、前記着色マスターパウダー組成物で説明したアミノシラン化合物を使用すると、白筋防止効果がさらに大きくなり、耐熱性および耐候性も一層向上するため好ましい。
【0030】
本発明のコンパウンドは、公知の方法で製造することができる。製造方法としては、たとえば、上記各成分を一度に混合する方法、予めコンパウンドを構成するいくつかの成分を混合したものと、残りの成分とを混合する方法を挙げることができる。後者の方法としては、予め用意したマスターパウダー組成物と、マスターパウダー組成物以外の成分とを混合してコンパウンドを得る方法が好ましい。
コンパウンド製造に用いる装置としては、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー等の混練機が用いられる。また、混練は加熱溶融状態で行うのが好ましい。
【0031】
このようにして得られたコンパウンドを、射出成形すると最終成形品が得られる。得られた最終成形品は、耐熱性および耐候性を上げ、射出成形したときにゲートの延長線上の成形品表面に形成される白筋と呼ばれる色むらが生じない。
【0032】
【実施例】
以下に、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例における色むら、熱酸化安定性および耐候性の試験方法は次の通りである。
<色むら試験>
住友−ネスタール射出成形機であるネオマット75/SYCAP−Mを用いて、シリンダ−温度220℃、金型温度50℃の成形条件で、103×133×2mm(厚み)の板状の成形品を成形した。得られた成形品の色むら発生状況を観察した。色むらの発生状況は4段階で評価した。その判定基準を表1に示す。
【0033】
【表1】
Figure 0003571780
<熱酸化安定性試験法>
JIS K 7212〔熱可塑性プラスチックの熱老化性試験法(オーブン法)通則〕に準拠して評価を行った。東洋精機製作所(株)製ギアーオーブンを使用し150℃で測定した。抗張力が零になる試験片(厚み2mmの成形品)が完全劣化するまでの時間(GOライフ)を測定した。
<耐候性試験法>
スガ試験機(株)製サンシャインスーパーロングライフウエザーメーター(WEL−SUN−DC型)を使用して促進耐候試験を行った。試験片表面に亀裂等外観異常が発生する時間を測定した。試験条件は以下の(1)〜(5)である。
【0034】
(1)試験片寸法 :70mm×25mm×2mm(厚み)の成形品
(2)ブラックパネル温度 :83℃
(3)スプレー/ドライサイクル:18分/120分
(4)試験機槽内湿度 :50%RH(相対湿度)
(5)亀裂等外観異常の観察 :顕微鏡(50倍)による観察
〔実施例1〕
(1)着色マスターパウダーの作成
低分子量ポリエチレンワックスサンワックス165P(三洋化成(製))37重量%、マレイン酸変性ポリエチレンワックス(酸価:30mg−KOH/g,数平均分子量:3500)19重量%、pH3.0のファーネスカーボンブラック38重量%、N−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン6重量%の混合物をジャケット付バタフライミキサー中で130℃で20分間溶融混合した後、加熱温度130℃の3本ロールミルで混練、分散させた。得られた混練分散物を常温まで冷却後、粉砕機で顆粒状に粉砕した。
【0035】
(2)被着色ポリプロピレン樹脂の作成
結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(エチレン含有量:7.2重量%,MFR:20g/10分)の粉末100重量部と、タルクを10重量部と、熱酸化安定剤としてテトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン0.1重量部と、ビス(2,4−ジ−tブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.05重量部と、ジミリスチルチオジプロピオネート0.03重量部と、耐候剤としてビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セパケート0.2重量部と、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロペンゾトリアゾール0.1重量部とを、タンブラーミキサーで攪拌、混合した。その後、シリンダー温度220℃で、二軸押出機(TEM−35B 東芝機械(株)製)を使用して溶融しながら造粒した。
【0036】
(3)コンパウンドの作成
上記(2)で作成した被着色ポリプロピレン樹脂100重量部と上記(1)で作成したマスターパウダー2.5重量部とを、タンブラーで攪拌、混合した。その後、シリンダー温度220℃で、二軸押出機(TEM−35B 東芝機械(株)製)を使用して溶融しながら造粒した。
(4)色むら試験、GOライフおよび耐候性の測定
上記(3)で作成したコンパウンドを射出成形(最大20ショット)した。得られた成形品の表面を観察すると、色むらの発生は認められず、外観の良好な成形品を得ることができた。また、この成形品から所定の寸法の試験片を切り出し、GOライフと耐候性とを測定した。GOライフは750時間、耐候性は2850時間であった。
【0037】
〔比較例1〕
(1)着色マスターパウダーの作成
低分子量ポリエチレンワックスサンワックス165P(三洋化成(製))60重量%、pH3.0のファーネスカーボンブラック40重量%の混合物をジャケット付バタフライミキサー中で130℃で20分間溶融混合した後、加熱温度130℃の3本ロールミルで混練、分散させた。得られた混練分散物を常温まで冷却後、粉砕機で顆粒状に粉砕した。
(2)コンパウンドの作成
実施例1の(2)で作成した被着色ポリプロピレン樹脂100重量部と上記(1)で作成したマスターパウダー2.5重量部とを、タンブラーで攪拌、混合した。その後、シリンダー温度220℃で、二軸押出機(TEM−35B 東芝機械(株)製)を使用して溶融しながら造粒した。
【0038】
(3)色むら試験、GOライフおよび耐候性の測定
上記(2)で作成したコンパウンドを実施例1と同様にして、色むら試験、GOライフおよび耐候性を測定した。この場合色むらが顕著に認められた。また、GOライフは350時間、耐候性は1950時間であった。
〔実施例2〕
(1)着色マスターバッチの作成
MFRが18g/10分のホモポリプロピレン粉末48重量%と、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン(酸価:30mg−KOH/g,極限粘度〔η〕:1.15dl/g)20重量%と、N−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン2重量%と、pH3.0のファーネスカーボンブラックとステアリン酸カルシウムとを4:6の割合で予めスーパーミキサーで混合した物(ドライカラー)30重量%とを、タンブラーミキサーで攪拌、混合した。その後、シリンダー温度220℃で、二軸押出機(TEM−35B 東芝機械(株)製)を使用して溶融しながら造粒した。
(2)色むら試験、GOライフおよび耐候性の測定
実施例1の(2)で作成した被着色ポリプロピレン樹脂100重量部と、上記(1)で作成した着色マスターバッチ5重量部とをペレットブレンドして射出成形(最大20ショット)した。得られた成形品の表面を観察すると、色むらの発生は認められず、外観の良好な成形品を得ることができた。また、この成形品から所定の寸法の試験片を切り出し、GOライフと耐候性とを測定した。GOライフは750時間、耐候性は2550時間であった。
【0039】
〔実施例3〕
実施例1の(2)で作成した被着色ポリプロピレン樹脂100重量部と、実施例2の(1)で作成した着色マスターバッチ3重量部とをペレットブレンドして、実施例2と同様にして、色むら試験、GOライフおよび耐候性を測定した。色むらの発生は認められず、またGOライフは850時間、耐候性は2050時間であった。
〔実施例4〕
実施例2の(1)で、顔料であるpH3.0のファーネスカーブラックを鉄黒に代えた以外は、実施例2と同様にして着色マスターバッチを作成した。実施例1の(2)で作成した被着色ポリプロピレン樹脂100重量部と、実施例4の着色マスターバッチ7重量部とをペレットブレンドして、実施例2と同様にして、色むら試験、GOライフおよび耐候性を測定した。色むらの発生は認められず、またGOライフは620時間、耐候性は2100時間であった。
【0040】
〔実施例5〕
(1)着色マスターバッチの作成
MFRが18g/10分のホモポリプロピレン粉末48重量%と、実施例1の(1)で作成した着色マスターパウダー52重量%とを、タンブラーミキサーで攪拌、混合した。その後、シリンダー温度220℃で、二軸押出機(TEM−35B 東芝機械(株)製)を使用して溶融しながら造粒した。
(2)色むら試験、GOライフおよび耐候性の測定
実施例1の(2)で作成した被着色ポリプロピレン樹脂100重量部と、上記(1)で作成した着色マスターバッチ5重量部とをペレットブレンドして射出成形(最大20ショット)した。得られた成形品の表面を観察すると、色むらの発生は認められず、外観の良好な成形品を得ることができた。
【0041】
また、この成形品から所定の寸法の試験片を切り出し、GOライフと耐候性とを測定した。GOライフは700時間、耐候性は2750時間であった。
〔比較例2〕
実施例2の(1)で着色マスターバッチ作成時に使用したホモポリプロピレン粉末70重量%と、pH3.0のファーネスカーボンブラックとステアリン酸カルシウムとを4:6の割合で予めスーパーミキサーで混合した物(ドライカラー)30重量%とを、タンブラーミキサーで攪拌、混合した。その後、実施例1と同様に造粒して着色マスターバッチを得た。実施例1の(2)で作成した被着色ポリプロピレン樹脂100重量部と、比較例2の着色マスターバッチ5重量部とをペレットブレンドして、実施例2と同様にして、色むら試験、GOライフおよび耐候性を測定した。成形品表面に顕著に白筋状の色むらが発生した。また、GOライフは500時間、耐候性は2000時間であった。
【0042】
〔比較例3〕
比較例2で、顔料であるpH3.0のファーネスカーボンブラックを鉄黒に代えた以外は、比較例2と同様にして、着色マスターバッチを作成した。実施例1の(2)で作成した被着色ポリプロピレン樹脂100重量部と、比較例3の着色マスターバッチ7重量部とをペレットブレンドして、実施例2と同様にして、色むら試験、GOライフおよび耐候性を測定した。成形品表面に白筋状の色むらが比較的強く発生した。また、GOライフが400時間、耐候性は1950時間であった。
【0043】
〔比較例4〕
実施例2の(1)で着色マスターバッチ作成時に使用したホモポリプロピレン粉末50重量%と、pH3.0のファーネスカーボンブラックとステアリン酸カルシウムとを4:6の割合で予めスーパーミキサーで混合した物(ドライカラー)30重量%と、マレイン酸グラフトポリプロピレン20重量%とを、タンブラーミキサーで攪拌、混合した。その後、実施例2と同様に造粒して着色マスターバッチを得た。実施例1の(2)で作成した被着色ポリプロピレン樹脂100重量部と、比較例4の着色マスターバッチ5重量部とをペレットブレンドして、実施例1と同様にして、色むら試験、GOライフおよび耐候性を測定した。成形品表面に白筋状の色むらが僅かに発生した。また、GOライフは350時間、耐候性は1650時間であった。
【0044】
〔実施例6〕
(1)コンパウンドの作成
結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(エチレン含有量:7.2重量%,MFR:20g/10分)の粉末100重量部に対し、タルクを20重量部と、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン(酸価:30mg−KOH/g,極限粘度〔η〕:1.15dl/g)1.0重量部と、N−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3重量部と、pH3.0のファーネスカーボンブラックとステアリン酸カルシウムとを4:6の割合で予めスーパーミキサーで混合した物(ドライカラー)2.0重量部と、熱酸化安定剤としてテトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン0.1重量部と、ビス(2,4−ジ−tブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.05重量部と、ジミリスチルチオジプロピオネート0.03重量部と、耐候剤としてビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セパケート0.2重量部と、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロペンゾトリアゾール0.1重量部とを、タンブラーミキサーで攪拌、混合した。その後、シリンダー温度220℃で、二軸押出機(TEM−35B 東芝機械(株)製)を使用して溶融しながら造粒した。
【0045】
(2)色むら試験、GOライフおよび耐候性の測定
上記(1)で作成したコンパウンドを実施例1と同様にして、色むら試験、GOライフおよび耐候性を測定した。この場合色むらが顕著に認められた。また、GOライフは800時間、耐候性は2650時間であった。
〔比較例5〕
実施例6において無水マレイン酸グラフトポリプロピレンとN−(アミノエチル)3アミノプロピルトリメトキシシランを除いた以外は実施例6と同様の操作を行った。この場合は色むらが顕著に認められた。またGOライフは350時間、耐候性は1850時間であった。
【0046】
〔実施例7〕
実施例2の(1)で、顔料であるpH3.0のファーネスカーブラックをpH7.0のファーネスカーブラックに代えた以外は、実施例2と同様にして着色マスターバッチを作成した。実施例1の(2)で作成した被着色ポリプロピレン樹脂100重量部と、実施例7の着色マスターバッチ7重量部とをペレットブレンドして、実施例2と同様にして、色むら試験、GOライフおよび耐候性を測定した。色むらの発生は認められず、またGOライフは750時間、耐候性は2550時間であった。
【0047】
〔実施例8〕
実施例2の(1)で、顔料であるpH3.0のファーネスカーブラックをpH3.0のファーネスカーブラックとフタロシアニンブルーとの混合物(混合比は重量比で1:3である。)に代えた以外は、実施例2と同様にして着色マスターバッチを作成した。実施例1の(2)で作成した被着色ポリプロピレン樹脂100重量部と、実施例7の着色マスターバッチ7重量部とをペレットブレンドして、実施例2と同様にして、色むら試験、GOライフおよび耐候性を測定した。色むらの発生は認められず、またGOライフは700時間、耐候性は2150時間であった。
【0048】
【表2】
Figure 0003571780
実施例1〜8および比較例1〜5では、色むら試験およびGOライフについて、顕著な差があることがわかった。
【0049】
【発明の効果】
本発明の成形用ポリプロピレン樹脂コンパウンドは、顔料で着色されたポリプロピレン樹脂成形品の耐熱性および耐候性を上げ、射出成形したときにゲートの延長線上の成形品表面に形成される白筋と呼ばれる色むらが生じないようにすることができる。
成形ポリプロピレン樹脂用着色マスターパウダー組成物が、顔料、変性ワックスを含んだ顔料分散剤およびシランカップリング剤の合計100重量%に対して、顔料が15〜75重量%、変性ワックスを含んだ顔料分散剤が23〜75重量%、シランカップリング剤が2〜10重量%であると、着色最終コンパウンドの白筋防止効果に加えて、顔料の分散性を向上させ、耐熱性および耐候性もさらに向上する。
【0050】
成形ポリプロピレン樹脂用着色マスターバッチ組成物が、ポリプロピレン樹脂と、変性ポリオレフィンと、顔料と、顔料分散剤と、シランカップリング剤とを含む場合は、前記ポリプロピレン樹脂、変性ポリオレフィン、顔料、顔料分散剤およびシランカップリング剤の合計100重量%に対して、前記ポリプロピレン樹脂が5〜88重量%、前記変性ポリオレフィンが5〜30重量%、前記顔料が3〜40重量%、前記顔料分散剤が3〜20重量%、前記シランカップリング剤が1〜5重量%であると、着色最終コンパウンドの白筋防止効果に加えて、顔料の分散性を向上させ、耐熱性および耐候性もさらに向上する。
【0051】
別の成形ポリプロピレン樹脂用着色マスターバッチ組成物が、ポリプロピレン樹脂と、顔料と、変性ワックスを含んだ顔料分散剤と、シランカップリング剤とを含む場合は、前記ポリプロピレン樹脂、顔料、変性ワックスを含んだ顔料分散剤およびシランカップリング剤の合計100重量%に対して、前記ポリプロピレン樹脂が35〜93重量%、前記顔料が3〜40重量%、前記変性ワックスを含んだ顔料分散剤が3〜20重量%、前記シランカップリング剤が1〜5重量%であると、着色最終コンパウンドの白筋防止効果に加えて、顔料の分散性を向上させ、耐熱性および耐候性もさらに向上する。
【0052】
本発明の成形用ポリプロピレン樹脂コンパウンドが、ポリプロピレン樹脂と、変性ポリオレフィンと、顔料と、顔料分散剤と、シランカップリング剤と、ゴム成分と、無機フィラーとを含み、前記変性ポリオレフィンが無水マレイン酸グラフトポリプロピレンである場合は、前記ポリプロピレン樹脂100重量部に対して、前記変性ポリオレフィンが0.3〜6重量部、前記顔料が0.1〜5重量部、前記顔料分散剤が0.1〜5重量部、前記シランカップリング剤が0.05〜1重量部、前記ゴム成分が5〜60重量部、前記無機フィラーが5〜80重量部であると、着色最終コンパウンドの白筋防止効果に加えて、顔料の分散性を向上させ、耐熱性および耐候性もさらに向上する。
【0053】
本発明の別の成形用ポリプロピレン樹脂コンパウンドが、ポリプロピレン樹脂と、顔料と、変性ワックスを含んだ顔料分散剤と、シランカップリング剤と、ゴム成分と、無機フィラーとを含み、前記変性ワックスがマレイン酸変性ワックスである場合は、前記ポリプロピレン樹脂100重量部に対して、前記顔料が0.1〜5重量部、前記変性ワックスを含んだ顔料分散剤が0.1〜5重量部、前記シランカップリング剤が0.05〜1重量部、前記ゴム成分が5〜60重量部、前記無機フィラーが5〜80重量部であると、着色最終コンパウンドの白筋防止効果に加えて、顔料の分散性を向上させ、耐熱性および耐候性もさらに向上する。
【0054】
前記変性ワックスがマレイン酸変性ワックスであると、少量で白筋防止効果が大きい。
前記変性ポリオレフィンが無水マレイン酸グラフトポリプロピレンであると、少量で白筋防止効果が大きい。
前記シランカップリング剤がアミノシラン化合物であると、白筋防止効果がさらに大きくなり、耐熱性および耐候性も一層向上する。

Claims (3)

  1. ポリプロピレン樹脂と、当該ポリプロピレン樹脂100重量部に対する割合で、0.3〜6重量部の変性ポリオレフィンと、0.1〜5重量部の顔料と、0.1〜5重量部の顔料分散剤と、0.05〜1重量部のシランカップリング剤と、5〜80重量部の無機フィラーと、0〜60重量部のゴム成分と、を含み、
    前記変性ポリオレフィンが無水マレイン酸グラフトポリプロピレンである、
    成形用ポリプロピレン樹脂コンパウンド。
  2. ポリプロピレン樹脂と、当該ポリプロピレン樹脂100重量部に対する割合で、0.1〜5重量部の顔料と、0.1〜5重量部の、変性ワックスを含んだ顔料分散剤と、0.05〜1重量部のシランカップリング剤と、5〜80重量部の無機フィラーと、0〜60重量部のゴム成分と、を含み、
    前記変性ワックスがマレイン酸変性ワックスである、
    成形用ポリプロピレン樹脂コンパウンド。
  3. 前記シランカップリング剤がアミノシラン化合物である請求項1または2に記載のコンパウンド。
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