JPH0742388B2 - 自動車内装部品用ポリプロピレン複合材 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、特定の摩耗度を有する微粒タルクと特定粘度
のエチレン・プロピレン・ゴム及び多量の顔料をエチレ
ン・プロピレン・ブロック・コポリマーに配合すること
によって得られる良好な耐表面受傷性，優れた外観特性
（特にフローマーク），高度な物性バランス（特に衝撃
強度と剛性のバランス）を備えた自動車内装部品用ポリ
プロピレン複合材に関する。

従来の技術 自動車内装部品例えばインストルメントパネルロアー，
コンソールボックス，グローブボックス等は従来ABS樹
脂が使用されてきたが、最近コストダウンを主目的にポ
リプロピレン（PP）複合材の採用もなされつつある。

従来技術の問題点 しかし、PP複合材は、 （１）傷が付くと白化が目立つ（耐表面受傷性が良くな
い）。

（２）外観不良部（縞模様のフローマーク等）が発生
し、塗装を必要とする。

（３）衝撃強度と剛性のバランスが悪い。

という欠点を有している。

本発明はこれらの欠点を解決するものであり、タルクの
摩耗度，粒度，エチレン・プロピレン・ゴムの粘度，エ
チレン含量，顔料及びエチレン・プロピレン・ブロック
・コポリマーのメルトフロー，エチレン含量,Q値に着目
し、PP複合材性能に及ぼす影響を検討した結果特定の摩
耗度を有する微粒タルクと特定粘度のエチレン・プロピ
レン・ゴム及び多量の顔料をエチレン・プロピレン・ゴ
ム・ブロック・コポリマーに特定量配合することによっ
て、良好な耐表面受傷性，優れた外観特性（特にフロー
マーク），高度な物性バランス（特に衝撃強度と剛性の
バランス）を有するPP複合材を提供することを目的とす
る。

問題点を解決するための手段 メルトフロー10〜15g/10分，エチレン含量５〜15重量
％,Q値10以上のエチレン・プロピレン・ブロック・コポ
リマーを65〜76重量％配合し、摩耗度20mg以下，平均粒
径1.0〜1.8μのタルクを18〜25重量％配合し、ムーニー
粘度 60〜90,エチレン含量70〜85重量％のエチレン・プロピ
レン・ゴムを６〜10重量％配合し、顔料を3.5〜10部配
合する。

本発明で用いるエチレン・プロピレン・ブロック・コポ
リマーは、メルトフローが10〜15g/10分，エチレン含量
が５〜15重量％,Q値10以上のものである。

メルトフローが10g/10分未満のものは、フローマークが
発生し15g/10分超過のものは、物性バランスが悪くなる
（剛性が低下するか、又は衝撃強度の低下が生じる）。

また、エチレン含量が５重量％未満では、衝撃強度が低
下し15重量％超過では、剛性は低く、耐表面受傷性が劣
る。Ｑ値が10未満ではフローマーク等の外観不良が発生
する。

タルクは、摩耗度が20mg以下，平均粒径が1.0〜1.8μの
もので配合量は18〜25重量％。摩耗度が20mgを超過する
と耐表面受傷性が劣り、平均粒径が1.8μを超過すると
クラック発生が容易となる為、又、10μ未満では、２次
凝集を生じる為、衝撃強度が低下する。

配合量が18重量％未満では、剛性が不足し、25重量％を
超過すると耐表面受傷性が悪化し、フローマークも発生
しやすくなる。

エチレン・プロピレン・ゴムは、ムーニー粘度 が60〜90,エチレン含量が70〜85重量％のもので、配合
量は６〜10重量％。ムーニー粘度が60未満では、剛性が
低下し、外観的にも艶（光沢）が出すぎるため好ましく
ない。ムーニー粘度が90超過では、衝撃強度が低下し、
外観不良となる。エチレン含量が70重量％未満では剛性
が低下する。85重量％超過では衝撃強度が低下し、フロ
ーマークが発生する。配合量が６重量％未満では衝撃強
度が不足し、耐表面受傷性も劣る。10重量％超過では剛
性が低下し、耐表面受傷性も劣り、フローマークが発生
する。

顔料配合量は3.5〜10部。一般にPP複合材の着色に要す
る顔料配合量は、多くても３部であるが、耐表面受傷性
改良の目的で、3.5〜10部を配合する。3.5未満では、耐
表面受傷性が不十分である。10部超過では、衝撃強度の
低下に到る。

本発明組成物は、上記のエチレン・プロピレン・ブロッ
ク・コポリマー，タルク，エチレン・プロピレン・ゴ
ム，顔料以外に酸化防止剤，滑剤，紫外線吸収剤，帯電
防止剤，分散剤，銅害防止剤，中和剤，造刻剤等を添加
することができる。

また本発明組成物は、一軸押出機，二軸押出機，バンバ
リーミキサー，ロール，ブラベンダー，プラストグラ
フ，ニーダー等の通常の混練機を使用して製造すること
ができる。

本発明で用いる各種測定法は、次の通りである。

落錘衝撃強度 −30℃にて、3m/secの速度にて直径１インチの半球形先
端を有する落錘を厚み3mmの試験片に衝突させた時の、
試験片の破壊に要するエネルギー。

メルトフロー JIS K7210に拠る（測定温度＝230℃，荷重＝2160g）。

剛性（曲げ弾性率） JIS K7203に拠る（測定温度＝80℃）。

耐表面受傷性 紋付きのプレート上に一定条件でついた傷を色差（Δ
Ｅ）変化にて判定する。色差計はスガ試験機（株）多光
源分光測色計を使用した（測定温度＝23℃）。

外観（フローマーク等） 350mm×120mm×2mm厚さの平板を成形し、外観を目視判
定する。

摩耗度 日本フィルコン（株）PW摩耗試験機を使用し試料（タル
ク）400gの２％濃度スラリーにて、プラスチックワイヤ
ーを用い180分間運転し摩耗度を測定する。

平均粒径 島津製作所（株）製 SACP−II20型にて測定。

実施例Ｉ メルトフローが12g/10分，エチレン含量が７重量％,Q値
が12のエチレン・プロピレン・ブロック・コポリマー・
ペレットと平均粒径1.6μで摩耗度3.3mgのタルク，ムー
ニー粘度 70,エチレン含量75重量％のエチレン・プロピレン・ゴ
ムと日産自動車（株）指定色;B43（ブルー）用顔料をヘ
ンシェルミキサーにて混合後、神戸製鋼所製FCM型２軸
押出機で混練造粒しペレット状コンパウンドを得た。こ
れを東芝機械製 射出成形機にて試験片を作成し落錘衝
撃強度，剛性，耐表面受傷性，外観を評価した。

配合比率及び結果を表１（No.1,2）に示す。

落錘衝撃強度は450kg・cm以上であれば、実用的に問題
が発生しない。剛性8000kg/cm²以上必要である。耐表面
受傷性（ΔＥ）は、3.0以下であれば、目立ち難くな
る。外観はフローマーク，艶ムラ，色ムラ等が発生せ
ず、良好でなければならない。

比較例１ No.1においてタルクの種類，配合料を変えたのみで、そ
の他はNo.1と同じ場合の結果を表１（No.3〜７）に示
す。

比較例II エチレン・プロピレン・ブロック・コポリマーのメルト
フロー,Q値を変えた他はNo.1に同じ。

結果を表１（No.8〜10）に示す。

比較例III エチレン・プロピレン・ゴムの種類，配合量を変えた他
はNo.1に同じ。

結果を表１（No.11〜13）に示す。

比較例IV 顔料配合量を変えた他はNo.1に同じ。

結果を表１（No.14〜16）に示す。

次に実施例No.1のPP複合材ペレットを使用して、インス
トルメントパネルロアー部品を成形した際の例を示す。

インストルメントパネルロアー部品を成形し評価したと
ころ、以下のように、実施例１での性能が忠実に再現さ
れ、内装部品として十分な性能を有していることが判明
した。

発明の効果 以上説明してきたようにこの発明によれば、良好な耐表
面受傷性，優れた外観特性，衝撃強度と剛性のバランス
の点での高度な物性バランスを有するという効果があ
る。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】メルトフロー10〜15g/10分，エチレン含量
   ５〜15重量％,Q値（＝重量平均分子量／数平均分子量）
   10以上のエチレン・プロピレン・ブロック・コポリマー
   を65〜76重量％配合し、摩耗度20mg以下，平均粒径1.0
   〜1.8μのタルクを18〜25重量％配合し、ムーニー粘度 60〜90,エチレン含量70〜85重量％のエチレン・プロピ
   レン・ゴムを６〜10重量％配合し、顔料を3.5〜10部配
   合することを特徴とする自動車内装部品用ポリプロピレ
   ン複合材。