JP3559962B2 - 熱電変換材料及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は新しい構造・形態を有する物質からなる熱電変換材料とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱電変換材料には従来、Bi2Te3,PbTeなどのカルコゲナイド系材料やSi −Ge系混晶材料などが取り上げられてきた。
熱電変換材料における熱電変換効率を表す性能指数Zは、材料の熱伝導率κ,電気抵抗率ρ及びゼーベック係数(単位温度差あたりの熱起電力)Sを用いて次式で表される。
【0003】
Z=S2 /κρ
Zは温度の逆数の次元をもち、温度Tとの積ZTを無次元性能指数として用いることも多い。熱電変換効率のよい材料とは上式よりSが大きく、ρとκが小さい物質となる。
ところで、これまでに実用化されている熱電変換材料はすべて半導体であり、それも上記に例示したような高移動度の縮退半導体に限られている。これは以下の理由による。
【0004】
即ち、伝導がバンド電子(あるいは正孔)による場合、κ,ρ,Sはいずれもキャリア濃度nに依存するため、Zはnの関数となり、n=n0 =1019cm−3程度で最大となる。これは比較的大きな密度の電子または正孔を持つ半導体(エネルギー分布が縮退したフェルミ分布をなすことから縮退半導体と呼ばれる)のキャリア濃度に相当する。
一方、熱は伝導電子によってだけではなく、格子振動(フォノン)によっても運ばれ、熱伝導率κは電子の寄与と格子の寄与の和として、
κ=κelectronic+κlattice
と表される。κelectronicはキャリア濃度によって決まるが、κlattice は材料の構成元素や構造に依存する。
【0005】
従って、最適なキャリア濃度n0 の下で、小さなρ及びκを得るためには、それぞれ移動度を大きくすること及びフォノンが担う熱伝導率κlattice を小さくするしかなく、よって従来の熱電変換材料はすべて高移動度の縮退半導体であり、Bi ,Te,Pbなどの重元素を用いたり、混晶化することによりフォノンの平均自由行程を下げ、κlattice を低減する工夫がなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の半導体結晶材料を前提とした物質設計では、材料の電気的性質と熱的性質とを個別に制御する自由度が小さく、実際のところ結晶を構成する元素や構造が決定されると、κ,ρ,Sの値はほぼ決まってしまい、よってρとκlattice を別々に制御して熱電変換効率の大幅な向上を図るといった物質設計は困難であり、ZTが1を超える熱電変換材料の実用化は実現していない。
【0007】
この発明の目的は上述した問題に鑑み、κlattice をガラス材料と同等レベルまで小さくした上で、最大のZが得られるようρを制御することができる新しい物質構造を提案し、ZTが1を超える熱電変換材料を実現することにあり、さらにその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明によれば、熱電変換材料は粒子の大きさが0.5nm以上100nm以下の範囲内で分布する結晶のみが堆積されてなり、それら粒子においては量子閉じ込め効果によるバンドギャップが生成されると共に、少なくともその一部の粒子がキャリアを供給することで電気伝導性を得ているものとされる。
請求項2の発明によれば、熱電変換材料は粒子の大きさが 0. 5 nm 以上100 nm 以下の範囲内で分布する結晶が、絶縁体である固体マトリクス材もしくは溶液中に分散されることでそのすき間を埋められて堆積されてなり、それら粒子においては量子閉じ込め効果によるバンドギャップが生成されると共に、少なくともその一部の粒子がキャリアを供給することで、その粒子間を通じて電気伝導性を得ているものとされる。
【0009】
請求項3の発明では請求項1または2の発明において、上記粒子の材料がビスマスとされる。
請求項4の発明では請求項1乃至3のいずれかの発明において、上記粒子の表面が上記結晶とは異種の1〜数原子層の物質層で被覆されているものとされる。
【0010】
請求項5の発明によれば、請求項1または2記載の熱電変換材料は、ガス圧が0.1Torr 以上760Torr 以下に設定された不活性ガス中で、そのガス圧を変化させながらターゲット材料にパルスレーザ光を照射し、レーザアブレーションにより原子を放出させて上記粒子を生成する工程と、生成した 0. 5 nm 以上100 nm 以下の粒子のみをノズルを介して高真空中に差動排気によりビームとして引き出す工程と、それら引き出された粒子を基板上に堆積させ、または固体マトリクス材もしくは溶液中に分散させることでそのすき間を埋めて堆積させる工程とによって製造される。
【0011】
請求項6の発明によれば、請求項4記載の熱電変換材料は、チャンバ内の、ガス圧が0.1Torr 以上760Torr 以下に設定された不活性ガス中で、そのガス圧を変化させながらターゲット材料にパルスレーザ光を照射し、レーザアブレーションにより原子を放出させて上記粒子を生成する工程と、生成した 0. 5 nm 以上100 nm 以下の粒子のみをノズルを介して高真空に保たれたもうひとつのチャンバに差動排気によりビームとして引き出す工程と、それら引き出された粒子の表面に、そのもうひとつのチャンバに表面修飾ガスを導入して上記異種の1〜数原子層の物質層を形成する工程と、それら異種の1〜数原子層の物質層で被覆された粒子を基板上に堆積させ、または固体マトリクス材もしくは溶液中に分散させることでそのすき間を埋めて堆積させる工程とによって製造される。
【0012】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を実施例により説明する。
図1Aはこの発明による熱電変換材料の一実施例の構成を模式的に示したものであり、図2はその熱電変換材料の形成過程を模式図で示したものである。この例ではナノメートルサイズの粒子(以下、ナノ微粒子と言う。)11を基板12上に堆積させ、薄膜化することによって、ナノ微粒子薄膜13を形成し、このナノ微粒子薄膜13を熱電変換材料として用いる。
【0013】
まず、図2を参照して、このナノ微粒子薄膜13の製造方法について説明する。
不活性ガス14を導入したチャンバ15内で、例えば半導体のバルク材料よりなるターゲット16にパルスレーザ光17を照射し、レーザアブレーションにより瞬時に構成原子18を大量に放出させる。放出された原子18は不活性ガス雰囲気中での衝突反応を経て冷却され、ナノ微粒子11に成長する。
【0014】
レーザアブレーションではバルク材料の構成原子比を保ったナノ微粒子11を容易に生成させることが可能である。不活性ガス14にはヘリウムやアルゴンなどの希ガスを用いる。ガス中で生成されるナノ微粒子11は一般に広いサイズ(粒径)分布を持つ。ガス圧を制御することにより、生成されるナノ微粒子11の平均粒径を変化させることができる。
生成したナノ微粒子11を細径のノズル19を介して高真空に保たれたチャンバ21中へビームとして引き出す。そして、ナノ微粒子11の表面を安定化させるために、水素や酸素などのガス(表面修飾ガス)22をチャンバ21内に導入し、ナノ微粒子ビーム23と反応させて、ナノ微粒子11の表面のコーティング(被覆)を行う。
【0015】
表面コーティングを施されたナノ微粒子11を基板12上に堆積させ、薄膜化する。これにより、基板12上にナノ微粒子薄膜13が形成される。形成されたナノ微粒子薄膜13は位置、サイズともに不規則に配列、堆積したナノ微粒子11によって構成される。
上記のようなナノ微粒子薄膜13の形成過程において、ナノ微粒子11は、そのサイズが0.5nm以上100nm以下の範囲内で分布するように生成され、これによりそれらナノ微粒子11において、量子閉じ込め効果によるバンドギャップが生成されると共に、少なくともその一部の粒子がキャリアを供給することで電気伝導性を得ているものとされる。
【0016】
このようなナノ微粒子11を生成すべく、チャンバ15内の不活性ガス14のガス圧は0.1Torr 以上760Torr 以下に設定される。
このように、この例では材料をナノ微粒子化して堆積させ、ナノ微粒子のみを含む薄膜を形成し、熱電変換材料として用いるものとなっている。
ナノ微粒子薄膜では個々のナノ微粒子のもつ電気的熱的性質だけでなく、ナノ微粒子間で起こる電子(あるいは正孔)及び熱の伝導が膜としての熱電的性質を決定する。この特徴により、電気的特性と熱的特性とを分離して制御でき、高効率の熱電変換材料が得られるものとなる。即ち、
ナノ微粒子間で熱伝導が起こる際にフォノンの散乱が起こるため、フォノンの平均自由行程を粒子サイズ以下にすることができる。さらに、各ナノ微粒子のサイズに分布が存在することで、散乱過程に不規則性が導入され、この点もフォノンの平均自由行程を下げる方向へ働く。
【0017】
つまり、熱伝導率は位置・サイズともに不規則に堆積したナノ微粒子間で常にフォノンが散乱を受けることから、フォノンの平均自由行程が通常の半導体結晶よりずっと小さくなるため、構造上の固有の特徴として、電気的性質によらず小さくなり、κlattice をガラス材料と同程度にまで下げることが可能となる。
一方、ナノ微粒子では量子効果や表面効果あるいはバルクの結晶構造とは異なる新たな粒子構造の出現により、バンド構造が変化し、サイズと共に電気的性質が変化する。従って、電気伝導(電気抵抗率ρ)はナノ微粒子のサイズを変えることにより制御することができる。
【0018】
このように、ナノ微粒子薄膜は熱伝導率を小さくした上で、最大の熱電変換効率が得られるよう電気的特性を最適化できる特徴があり、無次元性能指数ZTが1を超える熱電変換材料を実現することができる。
以下、ナノ微粒子薄膜の特性・仕様及び製造上のポイントについて、項分けし、さらに詳述する。
1.電気抵抗率ρに関して
100nm以下のサイズにすることで、それより大きいサイズの結晶(バルク結晶と呼ぶことにする)とは顕著に異なる性質が現れる。これは、100nm以下のサイズ領域では量子効果が現れること、また体積に占める表面の割合が高く、このサイズ領域に特有の粒子表面の再構成構造が電子状態を決定し得ることに起因するもので、ナノメートルサイズの粒子からなる物質は、アモルファスともバルク結晶とも異なる新たな物質相として扱われるべきものとなる。
【0019】
例えば、ビスマスはバルク結晶では半金属であり、熱電変換材料にはならないが、100nm以下の細線(ナノワイヤ)にすると量子閉じ込め効果によりバンドギャップが発生して半導体になるという指摘がなされている。即ち、サイズを変えることで電気的な性質を顕著に改変することができる。これはバルク結晶では利用できなかった材料をナノメートルサイズ化することにより熱電変換材料として利用できることを意味する。そのため、従来知られている材料にとらわれず、材料選択の自由度が大幅に広がる。熱電変換材料として有利な重い元素を用いることで組成を単純化しつつ、高い性能指数を有する熱電変換素子の実現が可能となる。
2.熱伝導率κに関して
小粒子化は熱伝導率低減に寄与し、結晶サイズをナノメートルサイズにまで極小化することで、フォノンの平均自由行程を縮小して、κlattice をガラス材料相当まで引き下げるに至る。
3.ナノ微粒子を得るためのポイント
特徴点は以下の2点にある。
【0020】
▲1▼ ガス圧を0.1Torr から760Torr の範囲に設定する点。
▲2▼ ナノ微粒子をビームとして真空中に引き出す点。
レーザアブレーションにより放出された原子を不活性ガス中で反応させてナノ微粒子を生成する。このため、ガス圧を0.1Torr から760Torr の範囲に設定する。ガス圧は真空ポンプで排気しながらガス流量を制御することにより制御する。なお、0.1Torr 以下ではナノ微粒子は形成されず、また760Torr (大気圧)以上では排気と流量のバランスで不活性ガスの圧力を制御することができなくなる。
【0021】
一方、ナノ微粒子はガス中で成長する。そこで、本発明では生成したナノ微粒子のみを差動排気により真空中にビームとして引き出して基板上に堆積させる。具体的にはターゲット面から数mm上空に位置するノズル(直径1mm以下の穴)を通じて成長したナノ微粒子を高真空側へ引き出す。引き出されたビーム中にはナノ微粒子のみが含まれる。
4.粒子サイズの分布幅について
熱伝導率κの低減の観点からは、結晶粒をなるべく小さくする方が有利で、究極的にはアモルファスのように結晶サイズがゼロになってしまったような物質が理想的である。本発明では熱伝導率κを下げるために小さい粒子を多く含みつつ、一方で最適な電気伝導(電気抵抗率ρ)を得るためにそれよりも大きなサイズを含ませ、即ち粒径にサイズ分布を持たせるようにする。
【0022】
ビスマスを例にとると、量子効果でサイズの減少と共にバンドギャップが大きくなると、小さい粒子はより絶縁体に近づき、キャリアを供給しなくなる。しかしながら、半導体あるいは半金属となるサイズの大きい粒子が混ざっていれば、この粒子を伝わって電流は流れ、結果として膜全体では小さい粒子による散乱で熱伝導率は(それを含まない場合に比べて)小さくでき、それにもかかわらず電気伝導は大きい粒子を通じて確保できる。即ち、サイズ分布があることで、同じ物質を用いて小さい熱伝導率と半導体領域の電気伝導を持たせることが可能となる。
【0023】
なお、物質によって最高の性能指数が得られるサイズ分布は異なるため、サイズ分布を変化させて最適化を行うようにする。
さらに、粒子サイズの分布は、上記電気抵抗率ρに係る効果のほか、熱伝導率κそのもののためにも、
▲1▼ ナノ微粒子の堆積位置がランダムになる点が、フォノンの強い散乱を誘起して熱伝導率を下げる役割を果たし、また
▲2▼ サイズに分布があることでフォノンの散乱過程に不規則性が導入され、フォノンの平均自由行程引き下げに寄与するものとなる。
【0024】
なお、▲1▼については、特段の工夫をしなくても勝手にランダムに堆積されていくものであって、本発明はこれをも利用していると言える。
これら性能指数向上に効果を奏する粒子サイズの幅は、0.5nm〜100nmであり、これは原子・分子(<0.5nm)より大きく、ほとんどバルク単結晶的になる100nmよりは小さい領域であって、量子サイズ効果など顕著な物性の変化が発現する領域である。
5.粒子サイズの分布幅を得るためのポイント
不活性ガス中で生成されるナノ微粒子の平均粒径はガス圧に依存する。一例を上げれば、シリコンよりなるナノ微粒子の場合、ヘリウムガス圧2.5Torr 及び10Torr で生成された粒子の平均粒径はそれぞれ12nm及び20nmとなる。分布幅は平均粒径の30%程度が典型的な値である。さらに、高いガス圧を用いることにより、平均粒径が数10nmで最大100nm程度の粒子を含むナノ微粒子群を生成することが可能である。アブレーションレーザ1ショットにつき、上記のようなガス圧で決まるサイズ分布を持つナノ微粒子群が生成されて基板に到達する。
【0025】
アブレーションレーザのフルエンスや基板位置の条件にもよるが、1μm の膜厚のナノ微粒子薄膜を得るには104 オーダのレーザショットの積算が必要になる。そこで、積算中に不活性ガス圧を0.1Torr から760Torr までの範囲内で、例えば1Torr から数100Torr まで連続的に変化させることにより、0.5nmから100nmのナノ微粒子を含む所望の膜をより良好に生成することができる。サイズ分布形状はガス圧の変化を制御することで自在に変えることができる。
6.粒子のコーティングについて
コーティングの手段としては水素、酸素、窒素などのガスをラジカル化(原子化)してナノ微粒子にあて、粒子の表面を水素化、酸化あるいは窒化する。また、分子ガスの状態で直接吹き付け、表面反応を誘起して表面層を改変するようにしてもよい。
【0026】
コーティングの作用と効果は以下のとおりとなる。
まず、このコーティングはナノ微粒子表面のダングリングボンド(結合相手のいない結合手)を終端して、粒子同士あるいは粒子と大気との反応性を低めることで膜の電気特性を安定に発現させる。
粒子同士の反応の結果として、基板にナノ微粒子を堆積させると、ナノ微粒子同士が凝集して大きいサイズの粒子になってしまう可能性がある。しかしながら、個々の粒子がばらばらで存在するクラスタービームの段階で個々の粒子表面をコーティングしてから基板上に堆積させるようにすれば、このような現象を回避することができる。
【0027】
また、これに加え、粒子の表面層の厚さや種類を変える(コーティング源の制御により変えられる)ことで、電気抵抗率ρや熱伝導率κの制御の自由度をさらに拡大すると共に、熱電変換特性のさらなる向上に資する効果がある。
まず、電気的にはこの方法によるコーティングではせいぜいナノ微粒子の表面の1〜数原子層(厚さにして1nm程度以下であり、トンネル効果が起こる程度に薄い)の被覆しか行わないため、完全な絶縁層とはならない範囲において、その表面層が形成するポテンシャル障壁の高さによって粒子間の電気伝導に影響し、これを操作することができる。
【0028】
一方、熱伝導については、コーティングガス(表面修飾ガス)とナノ微粒子の表面が反応して元々ナノ微粒子の一部だった部分が異種の物質相(表面層)に変化するため、ナノ微粒子のコア部分のサイズがさらに減少すること、及び重い元素を含む表面層で修飾された場合には、その存在によって熱伝導度が低減することの両方により、熱伝導率κをさらに小さくする効果を奏する。
7.ターゲット(=粒子)材料
Biの外、Bi−Te系材料、CoSb3 などのskutterudite材料、Si−Ge系混晶材料など、すでにバルクの熱電変換材料として用いられている材料を使用することができる。特に、Biのような元素材料やSiをベースにした安価で安全な材料の使用が好ましい。
【0029】
以上、ナノ微粒子のみを堆積させたナノ微粒子薄膜について詳述したが、例えば図1Bに示したように、ナノ微粒子11が固体媒質(固体マトリクス)31中に分散されて埋め込まれた形態とすることもできる。但し、あくまで電気伝導はナノ微粒子間を通じて起こすことが必要なため、マトリクス中に各粒子を孤立させることが目的ではなく、ナノ微粒子堆積時に生じるすき間を埋めることで膜の安定性を高め、取り扱いを容易にすることが目的である。このマトリクス分散ナノ微粒子薄膜32はナノ微粒子11を基板12上に堆積させる際に、分散媒質材料を同時に基板12上に堆積させることによって形成することができる。
【0030】
このようなマトリクス分散ナノ微粒子薄膜32においても、マトリクスの材質を選択することにより、熱伝導率を低く保ったまま、電気的性質の制御が可能である。
なお、マトリクス材料は絶縁体で熱伝導率が低い材料が好ましく、以下に示すようなものが使用される。
▲1▼ シリカガラス:方法としてはナノ微粒子堆積中に同時にアモルファスSi O2 膜を堆積させる。
【0031】
▲2▼ アモルファスシリコンなどのアモルファス半導体材料:この場合、マトリクス材料がナノ微粒子間の電気伝導よりはるかに小さい電気伝導度しかもたなければ、電気伝導はナノ微粒子間を通じて起こるので、シリカガラスのように完全な絶縁体に限る必要はない。
▲3▼ シリカガラスのような無機材料ではなく、割れにくい有機系の材料:熱電変換素子として使用するにあたっては、大きな電流を取り出すために、ある程度の体積が必要となる。薄膜の場合には大面積化が必要となる。柔軟性のある有機系材料中にナノ微粒子が保持された薄膜であれば、割れを回避でき、大面積のシート化が可能となる。
【0032】
図1Bに示したマトリクス分散ナノ微粒子薄膜32は固体マトリクスにナノ微粒子を分散させたものであるが、例えば固体マトリクスのかわりに溶液を用いてナノ微粒子分散溶液を作成することもできる。このようなナノ微粒子分散溶液は例えば図1Aに示したナノ微粒子薄膜13を基板12から剥がし、溶液に浸漬して溶かすことによって作成される。
このようなナノ微粒子分散溶液を作成すれば、例えばこれを塗布することにより熱電変換素子を形成することができるものとなる。なお、溶液には粒子間の凝集をふせいで分散溶液にするため、界面活性剤の役割を果たす有機系の液体が好ましい。
【0033】
図3はレーザアブレーションを用いたナノ微粒子薄膜熱電変換材料の製造装置の構成概要を示したものであり、この製造装置は図1Bに示したマトリクス分散ナノ微粒子薄膜32の製造に対応できるものとなっている。以下、この製造装置の構成について説明する。なお、図2と対応する部分には同一符号を付してある。
この例ではチャンバ15と21との間に、チャンバ21の真空度をより向上させるべく、さらにチャンバ41が設けられたものとなっており、チャンバ15と41との隔壁にノズル19が配され、さらにチャンバ41と21との隔壁にスキマー42が配されたものとなっている。また、チャンバ21にはマトリクス用材料供給源43が設けられている。なお、図中、44〜46はそれぞれ真空ポンプを示し、47,48はそれぞれガス流量計を示す。
【0034】
ターゲット16は回転するサンプルホルダ49上に設置され、このターゲット16にパルスレーザ光が照射される。レーザ51は例えばNd:YAGレーザとされる。チャンバ15内に導入されるヘリウム等の不活性ガス14はガス流量計47により制御され、これによりチャンバ15内のガス圧が所要の圧力に制御される。
この製造装置では、チャンバ15のガス中で成長したナノ微粒子はノズル19を介して差動排気されたチャンバ41へ引き出され、さらにスキマー42を通すことにより、ほぼ平行化され、高真空(10−8Torr 程度)に保たれたチャンバ21に導かれる。
【0035】
チャンバ21には酸素や水素等の表面修飾ガス(コーティングガス)22がガス流量計48により制御されて導入され、これによりナノ微粒子の表面がコーティングされる。場合によってはチャンバ21内にラジカル化装置を設置してコーティングガスを通過させることにより、原子化されたガスによる表面修飾が可能となる(図示せず)。このコーティングされたナノ微粒子はマトリクス用材料供給源43からのマトリクス材料と共に基板12上に堆積され、これによりマトリクス分散ナノ微粒子薄膜が基板12上に形成されるものとなっている。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明による熱電変換材料によれば、熱伝導率κlattice をガラス材料と同等レベルまで小さくした上で最大の熱電変換効率が得られるよう電気抵抗率ρを制御することができ、よって無次元性能指数ZTが1を超える熱電変換材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Aはこの発明による熱電変換材料の一実施例(ナノ微粒子薄膜)を示す模式図、Bはこの発明による熱電変換材料の他の実施例(マトリクス分散ナノ微粒子薄膜)を示す模式図。
【図2】この発明による熱電変換材料の形成過程(製造方法)を説明するための模式図。
【図3】この発明による熱電変換材料の製造に用いる製造装置の構成の一例を示す図。
【発明の属する技術分野】
この発明は新しい構造・形態を有する物質からなる熱電変換材料とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱電変換材料には従来、Bi2Te3,PbTeなどのカルコゲナイド系材料やSi −Ge系混晶材料などが取り上げられてきた。
熱電変換材料における熱電変換効率を表す性能指数Zは、材料の熱伝導率κ,電気抵抗率ρ及びゼーベック係数(単位温度差あたりの熱起電力)Sを用いて次式で表される。
【0003】
Z=S2 /κρ
Zは温度の逆数の次元をもち、温度Tとの積ZTを無次元性能指数として用いることも多い。熱電変換効率のよい材料とは上式よりSが大きく、ρとκが小さい物質となる。
ところで、これまでに実用化されている熱電変換材料はすべて半導体であり、それも上記に例示したような高移動度の縮退半導体に限られている。これは以下の理由による。
【0004】
即ち、伝導がバンド電子(あるいは正孔)による場合、κ,ρ,Sはいずれもキャリア濃度nに依存するため、Zはnの関数となり、n=n0 =1019cm−3程度で最大となる。これは比較的大きな密度の電子または正孔を持つ半導体(エネルギー分布が縮退したフェルミ分布をなすことから縮退半導体と呼ばれる)のキャリア濃度に相当する。
一方、熱は伝導電子によってだけではなく、格子振動(フォノン)によっても運ばれ、熱伝導率κは電子の寄与と格子の寄与の和として、
κ=κelectronic+κlattice
と表される。κelectronicはキャリア濃度によって決まるが、κlattice は材料の構成元素や構造に依存する。
【0005】
従って、最適なキャリア濃度n0 の下で、小さなρ及びκを得るためには、それぞれ移動度を大きくすること及びフォノンが担う熱伝導率κlattice を小さくするしかなく、よって従来の熱電変換材料はすべて高移動度の縮退半導体であり、Bi ,Te,Pbなどの重元素を用いたり、混晶化することによりフォノンの平均自由行程を下げ、κlattice を低減する工夫がなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の半導体結晶材料を前提とした物質設計では、材料の電気的性質と熱的性質とを個別に制御する自由度が小さく、実際のところ結晶を構成する元素や構造が決定されると、κ,ρ,Sの値はほぼ決まってしまい、よってρとκlattice を別々に制御して熱電変換効率の大幅な向上を図るといった物質設計は困難であり、ZTが1を超える熱電変換材料の実用化は実現していない。
【0007】
この発明の目的は上述した問題に鑑み、κlattice をガラス材料と同等レベルまで小さくした上で、最大のZが得られるようρを制御することができる新しい物質構造を提案し、ZTが1を超える熱電変換材料を実現することにあり、さらにその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明によれば、熱電変換材料は粒子の大きさが0.5nm以上100nm以下の範囲内で分布する結晶のみが堆積されてなり、それら粒子においては量子閉じ込め効果によるバンドギャップが生成されると共に、少なくともその一部の粒子がキャリアを供給することで電気伝導性を得ているものとされる。
請求項2の発明によれば、熱電変換材料は粒子の大きさが 0. 5 nm 以上100 nm 以下の範囲内で分布する結晶が、絶縁体である固体マトリクス材もしくは溶液中に分散されることでそのすき間を埋められて堆積されてなり、それら粒子においては量子閉じ込め効果によるバンドギャップが生成されると共に、少なくともその一部の粒子がキャリアを供給することで、その粒子間を通じて電気伝導性を得ているものとされる。
【0009】
請求項3の発明では請求項1または2の発明において、上記粒子の材料がビスマスとされる。
請求項4の発明では請求項1乃至3のいずれかの発明において、上記粒子の表面が上記結晶とは異種の1〜数原子層の物質層で被覆されているものとされる。
【0010】
請求項5の発明によれば、請求項1または2記載の熱電変換材料は、ガス圧が0.1Torr 以上760Torr 以下に設定された不活性ガス中で、そのガス圧を変化させながらターゲット材料にパルスレーザ光を照射し、レーザアブレーションにより原子を放出させて上記粒子を生成する工程と、生成した 0. 5 nm 以上100 nm 以下の粒子のみをノズルを介して高真空中に差動排気によりビームとして引き出す工程と、それら引き出された粒子を基板上に堆積させ、または固体マトリクス材もしくは溶液中に分散させることでそのすき間を埋めて堆積させる工程とによって製造される。
【0011】
請求項6の発明によれば、請求項4記載の熱電変換材料は、チャンバ内の、ガス圧が0.1Torr 以上760Torr 以下に設定された不活性ガス中で、そのガス圧を変化させながらターゲット材料にパルスレーザ光を照射し、レーザアブレーションにより原子を放出させて上記粒子を生成する工程と、生成した 0. 5 nm 以上100 nm 以下の粒子のみをノズルを介して高真空に保たれたもうひとつのチャンバに差動排気によりビームとして引き出す工程と、それら引き出された粒子の表面に、そのもうひとつのチャンバに表面修飾ガスを導入して上記異種の1〜数原子層の物質層を形成する工程と、それら異種の1〜数原子層の物質層で被覆された粒子を基板上に堆積させ、または固体マトリクス材もしくは溶液中に分散させることでそのすき間を埋めて堆積させる工程とによって製造される。
【0012】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を実施例により説明する。
図1Aはこの発明による熱電変換材料の一実施例の構成を模式的に示したものであり、図2はその熱電変換材料の形成過程を模式図で示したものである。この例ではナノメートルサイズの粒子(以下、ナノ微粒子と言う。)11を基板12上に堆積させ、薄膜化することによって、ナノ微粒子薄膜13を形成し、このナノ微粒子薄膜13を熱電変換材料として用いる。
【0013】
まず、図2を参照して、このナノ微粒子薄膜13の製造方法について説明する。
不活性ガス14を導入したチャンバ15内で、例えば半導体のバルク材料よりなるターゲット16にパルスレーザ光17を照射し、レーザアブレーションにより瞬時に構成原子18を大量に放出させる。放出された原子18は不活性ガス雰囲気中での衝突反応を経て冷却され、ナノ微粒子11に成長する。
【0014】
レーザアブレーションではバルク材料の構成原子比を保ったナノ微粒子11を容易に生成させることが可能である。不活性ガス14にはヘリウムやアルゴンなどの希ガスを用いる。ガス中で生成されるナノ微粒子11は一般に広いサイズ(粒径)分布を持つ。ガス圧を制御することにより、生成されるナノ微粒子11の平均粒径を変化させることができる。
生成したナノ微粒子11を細径のノズル19を介して高真空に保たれたチャンバ21中へビームとして引き出す。そして、ナノ微粒子11の表面を安定化させるために、水素や酸素などのガス(表面修飾ガス)22をチャンバ21内に導入し、ナノ微粒子ビーム23と反応させて、ナノ微粒子11の表面のコーティング(被覆)を行う。
【0015】
表面コーティングを施されたナノ微粒子11を基板12上に堆積させ、薄膜化する。これにより、基板12上にナノ微粒子薄膜13が形成される。形成されたナノ微粒子薄膜13は位置、サイズともに不規則に配列、堆積したナノ微粒子11によって構成される。
上記のようなナノ微粒子薄膜13の形成過程において、ナノ微粒子11は、そのサイズが0.5nm以上100nm以下の範囲内で分布するように生成され、これによりそれらナノ微粒子11において、量子閉じ込め効果によるバンドギャップが生成されると共に、少なくともその一部の粒子がキャリアを供給することで電気伝導性を得ているものとされる。
【0016】
このようなナノ微粒子11を生成すべく、チャンバ15内の不活性ガス14のガス圧は0.1Torr 以上760Torr 以下に設定される。
このように、この例では材料をナノ微粒子化して堆積させ、ナノ微粒子のみを含む薄膜を形成し、熱電変換材料として用いるものとなっている。
ナノ微粒子薄膜では個々のナノ微粒子のもつ電気的熱的性質だけでなく、ナノ微粒子間で起こる電子(あるいは正孔)及び熱の伝導が膜としての熱電的性質を決定する。この特徴により、電気的特性と熱的特性とを分離して制御でき、高効率の熱電変換材料が得られるものとなる。即ち、
ナノ微粒子間で熱伝導が起こる際にフォノンの散乱が起こるため、フォノンの平均自由行程を粒子サイズ以下にすることができる。さらに、各ナノ微粒子のサイズに分布が存在することで、散乱過程に不規則性が導入され、この点もフォノンの平均自由行程を下げる方向へ働く。
【0017】
つまり、熱伝導率は位置・サイズともに不規則に堆積したナノ微粒子間で常にフォノンが散乱を受けることから、フォノンの平均自由行程が通常の半導体結晶よりずっと小さくなるため、構造上の固有の特徴として、電気的性質によらず小さくなり、κlattice をガラス材料と同程度にまで下げることが可能となる。
一方、ナノ微粒子では量子効果や表面効果あるいはバルクの結晶構造とは異なる新たな粒子構造の出現により、バンド構造が変化し、サイズと共に電気的性質が変化する。従って、電気伝導(電気抵抗率ρ)はナノ微粒子のサイズを変えることにより制御することができる。
【0018】
このように、ナノ微粒子薄膜は熱伝導率を小さくした上で、最大の熱電変換効率が得られるよう電気的特性を最適化できる特徴があり、無次元性能指数ZTが1を超える熱電変換材料を実現することができる。
以下、ナノ微粒子薄膜の特性・仕様及び製造上のポイントについて、項分けし、さらに詳述する。
1.電気抵抗率ρに関して
100nm以下のサイズにすることで、それより大きいサイズの結晶(バルク結晶と呼ぶことにする)とは顕著に異なる性質が現れる。これは、100nm以下のサイズ領域では量子効果が現れること、また体積に占める表面の割合が高く、このサイズ領域に特有の粒子表面の再構成構造が電子状態を決定し得ることに起因するもので、ナノメートルサイズの粒子からなる物質は、アモルファスともバルク結晶とも異なる新たな物質相として扱われるべきものとなる。
【0019】
例えば、ビスマスはバルク結晶では半金属であり、熱電変換材料にはならないが、100nm以下の細線(ナノワイヤ)にすると量子閉じ込め効果によりバンドギャップが発生して半導体になるという指摘がなされている。即ち、サイズを変えることで電気的な性質を顕著に改変することができる。これはバルク結晶では利用できなかった材料をナノメートルサイズ化することにより熱電変換材料として利用できることを意味する。そのため、従来知られている材料にとらわれず、材料選択の自由度が大幅に広がる。熱電変換材料として有利な重い元素を用いることで組成を単純化しつつ、高い性能指数を有する熱電変換素子の実現が可能となる。
2.熱伝導率κに関して
小粒子化は熱伝導率低減に寄与し、結晶サイズをナノメートルサイズにまで極小化することで、フォノンの平均自由行程を縮小して、κlattice をガラス材料相当まで引き下げるに至る。
3.ナノ微粒子を得るためのポイント
特徴点は以下の2点にある。
【0020】
▲1▼ ガス圧を0.1Torr から760Torr の範囲に設定する点。
▲2▼ ナノ微粒子をビームとして真空中に引き出す点。
レーザアブレーションにより放出された原子を不活性ガス中で反応させてナノ微粒子を生成する。このため、ガス圧を0.1Torr から760Torr の範囲に設定する。ガス圧は真空ポンプで排気しながらガス流量を制御することにより制御する。なお、0.1Torr 以下ではナノ微粒子は形成されず、また760Torr (大気圧)以上では排気と流量のバランスで不活性ガスの圧力を制御することができなくなる。
【0021】
一方、ナノ微粒子はガス中で成長する。そこで、本発明では生成したナノ微粒子のみを差動排気により真空中にビームとして引き出して基板上に堆積させる。具体的にはターゲット面から数mm上空に位置するノズル(直径1mm以下の穴)を通じて成長したナノ微粒子を高真空側へ引き出す。引き出されたビーム中にはナノ微粒子のみが含まれる。
4.粒子サイズの分布幅について
熱伝導率κの低減の観点からは、結晶粒をなるべく小さくする方が有利で、究極的にはアモルファスのように結晶サイズがゼロになってしまったような物質が理想的である。本発明では熱伝導率κを下げるために小さい粒子を多く含みつつ、一方で最適な電気伝導(電気抵抗率ρ)を得るためにそれよりも大きなサイズを含ませ、即ち粒径にサイズ分布を持たせるようにする。
【0022】
ビスマスを例にとると、量子効果でサイズの減少と共にバンドギャップが大きくなると、小さい粒子はより絶縁体に近づき、キャリアを供給しなくなる。しかしながら、半導体あるいは半金属となるサイズの大きい粒子が混ざっていれば、この粒子を伝わって電流は流れ、結果として膜全体では小さい粒子による散乱で熱伝導率は(それを含まない場合に比べて)小さくでき、それにもかかわらず電気伝導は大きい粒子を通じて確保できる。即ち、サイズ分布があることで、同じ物質を用いて小さい熱伝導率と半導体領域の電気伝導を持たせることが可能となる。
【0023】
なお、物質によって最高の性能指数が得られるサイズ分布は異なるため、サイズ分布を変化させて最適化を行うようにする。
さらに、粒子サイズの分布は、上記電気抵抗率ρに係る効果のほか、熱伝導率κそのもののためにも、
▲1▼ ナノ微粒子の堆積位置がランダムになる点が、フォノンの強い散乱を誘起して熱伝導率を下げる役割を果たし、また
▲2▼ サイズに分布があることでフォノンの散乱過程に不規則性が導入され、フォノンの平均自由行程引き下げに寄与するものとなる。
【0024】
なお、▲1▼については、特段の工夫をしなくても勝手にランダムに堆積されていくものであって、本発明はこれをも利用していると言える。
これら性能指数向上に効果を奏する粒子サイズの幅は、0.5nm〜100nmであり、これは原子・分子(<0.5nm)より大きく、ほとんどバルク単結晶的になる100nmよりは小さい領域であって、量子サイズ効果など顕著な物性の変化が発現する領域である。
5.粒子サイズの分布幅を得るためのポイント
不活性ガス中で生成されるナノ微粒子の平均粒径はガス圧に依存する。一例を上げれば、シリコンよりなるナノ微粒子の場合、ヘリウムガス圧2.5Torr 及び10Torr で生成された粒子の平均粒径はそれぞれ12nm及び20nmとなる。分布幅は平均粒径の30%程度が典型的な値である。さらに、高いガス圧を用いることにより、平均粒径が数10nmで最大100nm程度の粒子を含むナノ微粒子群を生成することが可能である。アブレーションレーザ1ショットにつき、上記のようなガス圧で決まるサイズ分布を持つナノ微粒子群が生成されて基板に到達する。
【0025】
アブレーションレーザのフルエンスや基板位置の条件にもよるが、1μm の膜厚のナノ微粒子薄膜を得るには104 オーダのレーザショットの積算が必要になる。そこで、積算中に不活性ガス圧を0.1Torr から760Torr までの範囲内で、例えば1Torr から数100Torr まで連続的に変化させることにより、0.5nmから100nmのナノ微粒子を含む所望の膜をより良好に生成することができる。サイズ分布形状はガス圧の変化を制御することで自在に変えることができる。
6.粒子のコーティングについて
コーティングの手段としては水素、酸素、窒素などのガスをラジカル化(原子化)してナノ微粒子にあて、粒子の表面を水素化、酸化あるいは窒化する。また、分子ガスの状態で直接吹き付け、表面反応を誘起して表面層を改変するようにしてもよい。
【0026】
コーティングの作用と効果は以下のとおりとなる。
まず、このコーティングはナノ微粒子表面のダングリングボンド(結合相手のいない結合手)を終端して、粒子同士あるいは粒子と大気との反応性を低めることで膜の電気特性を安定に発現させる。
粒子同士の反応の結果として、基板にナノ微粒子を堆積させると、ナノ微粒子同士が凝集して大きいサイズの粒子になってしまう可能性がある。しかしながら、個々の粒子がばらばらで存在するクラスタービームの段階で個々の粒子表面をコーティングしてから基板上に堆積させるようにすれば、このような現象を回避することができる。
【0027】
また、これに加え、粒子の表面層の厚さや種類を変える(コーティング源の制御により変えられる)ことで、電気抵抗率ρや熱伝導率κの制御の自由度をさらに拡大すると共に、熱電変換特性のさらなる向上に資する効果がある。
まず、電気的にはこの方法によるコーティングではせいぜいナノ微粒子の表面の1〜数原子層(厚さにして1nm程度以下であり、トンネル効果が起こる程度に薄い)の被覆しか行わないため、完全な絶縁層とはならない範囲において、その表面層が形成するポテンシャル障壁の高さによって粒子間の電気伝導に影響し、これを操作することができる。
【0028】
一方、熱伝導については、コーティングガス(表面修飾ガス)とナノ微粒子の表面が反応して元々ナノ微粒子の一部だった部分が異種の物質相(表面層)に変化するため、ナノ微粒子のコア部分のサイズがさらに減少すること、及び重い元素を含む表面層で修飾された場合には、その存在によって熱伝導度が低減することの両方により、熱伝導率κをさらに小さくする効果を奏する。
7.ターゲット(=粒子)材料
Biの外、Bi−Te系材料、CoSb3 などのskutterudite材料、Si−Ge系混晶材料など、すでにバルクの熱電変換材料として用いられている材料を使用することができる。特に、Biのような元素材料やSiをベースにした安価で安全な材料の使用が好ましい。
【0029】
以上、ナノ微粒子のみを堆積させたナノ微粒子薄膜について詳述したが、例えば図1Bに示したように、ナノ微粒子11が固体媒質(固体マトリクス)31中に分散されて埋め込まれた形態とすることもできる。但し、あくまで電気伝導はナノ微粒子間を通じて起こすことが必要なため、マトリクス中に各粒子を孤立させることが目的ではなく、ナノ微粒子堆積時に生じるすき間を埋めることで膜の安定性を高め、取り扱いを容易にすることが目的である。このマトリクス分散ナノ微粒子薄膜32はナノ微粒子11を基板12上に堆積させる際に、分散媒質材料を同時に基板12上に堆積させることによって形成することができる。
【0030】
このようなマトリクス分散ナノ微粒子薄膜32においても、マトリクスの材質を選択することにより、熱伝導率を低く保ったまま、電気的性質の制御が可能である。
なお、マトリクス材料は絶縁体で熱伝導率が低い材料が好ましく、以下に示すようなものが使用される。
▲1▼ シリカガラス:方法としてはナノ微粒子堆積中に同時にアモルファスSi O2 膜を堆積させる。
【0031】
▲2▼ アモルファスシリコンなどのアモルファス半導体材料:この場合、マトリクス材料がナノ微粒子間の電気伝導よりはるかに小さい電気伝導度しかもたなければ、電気伝導はナノ微粒子間を通じて起こるので、シリカガラスのように完全な絶縁体に限る必要はない。
▲3▼ シリカガラスのような無機材料ではなく、割れにくい有機系の材料:熱電変換素子として使用するにあたっては、大きな電流を取り出すために、ある程度の体積が必要となる。薄膜の場合には大面積化が必要となる。柔軟性のある有機系材料中にナノ微粒子が保持された薄膜であれば、割れを回避でき、大面積のシート化が可能となる。
【0032】
図1Bに示したマトリクス分散ナノ微粒子薄膜32は固体マトリクスにナノ微粒子を分散させたものであるが、例えば固体マトリクスのかわりに溶液を用いてナノ微粒子分散溶液を作成することもできる。このようなナノ微粒子分散溶液は例えば図1Aに示したナノ微粒子薄膜13を基板12から剥がし、溶液に浸漬して溶かすことによって作成される。
このようなナノ微粒子分散溶液を作成すれば、例えばこれを塗布することにより熱電変換素子を形成することができるものとなる。なお、溶液には粒子間の凝集をふせいで分散溶液にするため、界面活性剤の役割を果たす有機系の液体が好ましい。
【0033】
図3はレーザアブレーションを用いたナノ微粒子薄膜熱電変換材料の製造装置の構成概要を示したものであり、この製造装置は図1Bに示したマトリクス分散ナノ微粒子薄膜32の製造に対応できるものとなっている。以下、この製造装置の構成について説明する。なお、図2と対応する部分には同一符号を付してある。
この例ではチャンバ15と21との間に、チャンバ21の真空度をより向上させるべく、さらにチャンバ41が設けられたものとなっており、チャンバ15と41との隔壁にノズル19が配され、さらにチャンバ41と21との隔壁にスキマー42が配されたものとなっている。また、チャンバ21にはマトリクス用材料供給源43が設けられている。なお、図中、44〜46はそれぞれ真空ポンプを示し、47,48はそれぞれガス流量計を示す。
【0034】
ターゲット16は回転するサンプルホルダ49上に設置され、このターゲット16にパルスレーザ光が照射される。レーザ51は例えばNd:YAGレーザとされる。チャンバ15内に導入されるヘリウム等の不活性ガス14はガス流量計47により制御され、これによりチャンバ15内のガス圧が所要の圧力に制御される。
この製造装置では、チャンバ15のガス中で成長したナノ微粒子はノズル19を介して差動排気されたチャンバ41へ引き出され、さらにスキマー42を通すことにより、ほぼ平行化され、高真空(10−8Torr 程度)に保たれたチャンバ21に導かれる。
【0035】
チャンバ21には酸素や水素等の表面修飾ガス(コーティングガス)22がガス流量計48により制御されて導入され、これによりナノ微粒子の表面がコーティングされる。場合によってはチャンバ21内にラジカル化装置を設置してコーティングガスを通過させることにより、原子化されたガスによる表面修飾が可能となる(図示せず)。このコーティングされたナノ微粒子はマトリクス用材料供給源43からのマトリクス材料と共に基板12上に堆積され、これによりマトリクス分散ナノ微粒子薄膜が基板12上に形成されるものとなっている。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明による熱電変換材料によれば、熱伝導率κlattice をガラス材料と同等レベルまで小さくした上で最大の熱電変換効率が得られるよう電気抵抗率ρを制御することができ、よって無次元性能指数ZTが1を超える熱電変換材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Aはこの発明による熱電変換材料の一実施例(ナノ微粒子薄膜)を示す模式図、Bはこの発明による熱電変換材料の他の実施例(マトリクス分散ナノ微粒子薄膜)を示す模式図。
【図2】この発明による熱電変換材料の形成過程(製造方法)を説明するための模式図。
【図3】この発明による熱電変換材料の製造に用いる製造装置の構成の一例を示す図。
Claims (6)
- 粒子の大きさが0.5nm以上100nm以下の範囲内で分布する結晶のみが堆積されてなり、
それら粒子においては量子閉じ込め効果によるバンドギャップが生成されると共に、少なくともその一部の粒子がキャリアを供給することで電気伝導性を得ていることを特徴とする熱電変換材料。 - 粒子の大きさが 0. 5 nm 以上100 nm 以下の範囲内で分布する結晶が、絶縁体である固体マトリクス材もしくは溶液中に分散されることでそのすき間を埋められて堆積されてなり、
それら粒子においては量子閉じ込め効果によるバンドギャップが生成されると共に、少なくともその一部の粒子がキャリアを供給することで、その粒子間を通じて電気伝導性を得ていることを特徴とする熱電変換材料。 - 請求項1または2記載の熱電変換材料において、
上記粒子の材料はビスマスであることを特徴とする熱電変換材料。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の熱電変換材料において、
上記粒子の表面が上記結晶とは異種の1〜数原子層の物質層で被覆されていることを特徴とする熱電変換材料。 - 請求項1または2記載の熱電変換材料を製造する方法であって、
ガス圧が0.1Torr 以上760Torr 以下に設定された不活性ガス中で、そのガス圧を変化させながらターゲット材料にパルスレーザ光を照射し、レーザアブレーションにより原子を放出させて上記粒子を生成する工程と、
生成した 0. 5 nm 以上100 nm 以下の粒子のみをノズルを介して高真空中に差動排気によりビームとして引き出す工程と、
それら引き出された粒子を基板上に堆積させ、または固体マトリクス材もしくは溶液中に分散させることでそのすき間を埋めて堆積させる工程とからなることを特徴とする熱電変換材料の製造方法。 - 請求項4記載の熱電変換材料を製造する方法であって、
チャンバ内の、ガス圧が0.1Torr 以上760Torr 以下に設定された不活性ガス中で、そのガス圧を変化させながらターゲット材料にパルスレーザ光を照射し、レーザアブレーションにより原子を放出させて上記粒子を生成する工程と、
生成した 0. 5 nm 以上100 nm 以下の粒子のみをノズルを介して高真空に保たれたもうひとつのチャンバに差動排気によりビームとして引き出す工程と、
それら引き出された粒子の表面に、そのもうひとつのチャンバに表面修飾ガスを導入して上記異種の1〜数原子層の物質層を形成する工程と、
それら異種の1〜数原子層の物質層で被覆された粒子を基板上に堆積させ、または固体マトリクス材もしくは溶液中に分散させることでそのすき間を埋めて堆積させる工程とからなることを特徴とする熱電変換材料の製造方法。
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