JP3196644B2 - 光電子材料の製造方法、並びにその光電子材料を用いた応用素子及び応用装置 - Google Patents

光電子材料の製造方法、並びにその光電子材料を用いた応用素子及び応用装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光電子材料の製造
方法並びにその光電子材料を用いた発光素子及び表示素
子並びに携帯用表示装置に関し、特に、無尽埋蔵量かつ
環境汚染フリーな材料から形成される粒径の制御された
半導体超微粒子を中核として構成され、さらに、自発光
性、高速応答性、細密画素性、低消費電力、高耐環境性
及びアセンブリーレス工程において優れた特徴を有する
光電子材料の製造方法、並びにその光電子材料を用いた
発光素子、表示素子及び携帯用表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】1990年における多孔質珪素(Si)
の室温可視発光の確認(例えば、”アプライド フィジ
ックス レターズ”(L.T.Canham,Appl
iedPhysics Letters Vol.5
7,No.10,1046(1990))等に開示され
ている。)から、間接遷移型半導体であるため発光素子
とは無縁と考えられてきたSiを母材とした室温可視発
光特性の研究が盛んとなってきた。
【0003】これらの報告の大多数は、多孔質形状のS
iに関するものであるから、まず、第1の従来例とし
て、この発光性多孔質Siについて説明する。
【0004】この発光性多孔質Siは、基本的に、単結
晶Si基板表面を弗化水素を主体とした溶液中における
陽極化成により形成されるものであり、これまでに、8
00nm(赤)から425nm(青)の領域における幾
つかの波長のフォトルミネッセンスが確認されている。
【0005】また、電流注入励起による発光(エレクト
ロルミネッセンス)の試みも為されるようになってき
た。
【0006】この技術については、例えば特開平5−2
06514号公報に記載されているが、図18を用いて
具体的に説明する。
【0007】まず、面方位(100)、p−型導電性の
Si単結晶基板141の表面に対し、エタノールで希釈
された弗化水素溶液中で陽極化成することにより多孔質
Si層142を形成する。
【0008】次に、プラズマCVD法により、n−型導
電性の微結晶炭化珪素(SiC)薄膜143を堆積す
る。
【0009】最後に、上部に半透明電極である酸化イン
ジウム−錫(ITO)薄膜144を、下部に金属電極1
45を配し、オーミックコンタクトを形成して完成す
る。
【0010】多孔質Si領域142は、n−型SiC薄
膜143とp−型Si基板141により構成されるp−
n接合領域に存在するので、n−型領域から電子を、p
−型領域から正孔を注入し、多孔質Si領域142内部
でこれらを再結合させることで発光が可能となるもので
ある。
【0011】これら多孔質Siのエレクトロルミネッセ
ンスにおいて特徴的な性質として以下のことが挙げられ
る。(1)エレクトロルミネッセンスとフォトルミネッ
センスの発光スペクトルが、強度において差があるにし
ても、ほぼ同様の形状をしていること。(2)実使用状
態と想定される注入電流密度の領域では、エレクトロル
ミネッセンス発光の強度が注入電流に比例すること。但
し、注入電流密度がこれより低い領域では、エレクトロ
ルミネッセンス発光の強度が注入電流の2乗に比例する
ことを報告する例もある。
【0012】(1)はエレクトロルミネッセンスとフォ
トルミネッセンスの発光が、概ね同じ発光準位を介した
キャリア(励起された電子−正孔対)の再結合により発
生することを示唆し、(2)はエレクトロルミネッセン
スに不可欠なキャリアの生成が主に、p−n接合付近に
おける少数キャリアの注入により行われていることを示
している。
【0013】間接遷移型半導体であるSiの発光機構に
ついては、多孔質形状のうちナノメートル(nm)オー
ダーの3次元的微細構造領域において、光遷移の波数選
択則の緩和が生じ、電子−正孔対の輻射再結合過程が可
能になるとする説と、Siの多員環酸化物(シロキセ
ン)が多孔質Siの表面に形成され、このシロキセン/
Siの界面において輻射再結合過程に寄与する新たなエ
ネルギー準位形成されるとする説がある。
【0014】しかし、どちらにしても、光励起過程に関
しては量子閉じ込め効果によるエネルギーバンド構造変
化(ギャップ幅の増大現象)が発生していることは確実
のようである。
【0015】この分野に関する総括的解説は、例え
ば、”ポーラスシリコン”(Z.C.Feng and
R.Tsu編著、”Porous Silico
n”、World Scientific、(199
4))に開示されている。
【0016】ついで、第2の従来例として、化合物半導
体を用いた発光素子について説明をする。
【0017】化合物半導体による発光・表示素子は、一
般に、p−n接合は形成しにくいが可視領域発光が容易
なII−VI族を主体としたものと、p−n接合の形成
が容易であるが可視領域(特に青色)発光に難のあるI
II−V族を主体としたものの2種類に大別される。
【0018】前者のII−VI族半導体を誘電体中に分
散させ、これを直流電流注入により励起する方式が、例
えば、”プロシーデイングス オブ インステイテユー
トフォア エレクトリック アンド エレクトロニクス
エンジニアズ”(A.Vecht,Proc.IEE
E Vol.61,902(1973))に記載されて
いる。
【0019】この技術内容について、図19を用いて説
明する。まず、硫化亜鉛(ZnS)にマンガン(Mn)
を賦活することにより蛍光体としてから粉末化する。
【0020】次に、この粉末の表面を銅(Cu)で被覆
したもの(符号151で示す)を誘電体152中に分散
させ、これを透明電極153を介してガラス基板154
上に塗布する。
【0021】そして、上部には金属電極155を接続す
る。更に、高電界を印加するフォーミング処理により、
誘電体152の透明電極153側にフォーミング蛍光体
層156が形成され、この素子は直流電流励起による可
視(黄橙色)発光が可能になる。
【0022】後者のIII−V族半導体については、結
晶性が良好なためp−n接合が形成し易い。
【0023】そのためp−n接合を形成し、ダイオード
として順方向電圧を印加すれば、少数キャリアとしてp
−型領域にドリフトした電子とp−型領域多数キャリア
である正孔の輻射再結合が、p−n接合面近傍で効率的
におこるので発光が可能となる。
【0024】これが所謂LED(Light Emit
ting Diode)の原理である。
【0025】さらに第3の従来例として、現在のカラー
表示素子の主流である液晶を用いたカラー表示素子につ
いて記す。
【0026】図20に典型的な、透過型アクテイブマト
リックス駆動法によるカラー液晶表示素子(LCD)の
断面概念図を示す。
【0027】この系列の素子においては、基本的に、バ
ックライトユニット161、カラーフィルター162、
液晶163、駆動用薄膜トランジスタ(TFT)164
の主要素により構成されている。
【0028】ここで、3原色(RGB)に対応して作製
されたカラーフィルター162の集合体が一つの画素を
構成している。
【0029】このような構成において、まず、3波長冷
陰極蛍光灯と乱反射板を基本に構成されるバックライト
ユニット161から、カラーフィルター162側に3波
長光を照射し、カラーフィルター162を透過させる。
【0030】そして、駆動用TFT164の動作により
各カラーフィルター162の領域に対応する液晶部16
3に印加する電圧値が調整され、液晶163が電界強度
に対応してTN(ツイステッド ネマテイツク)モード
の動作を示すことにより、明状態と暗状態が実現でき、
結果的に各カラーフィルター162を透過したバックラ
イトに対する光シャッター効果を呈する。
【0031】したがって、各カラーフィルター単位、各
画素単位で、液晶163の光シャッター効果により、そ
の透過光量を調整することで、様々の色、コントラスト
(強度)の表示が行える。
【0032】また、このようにバックライトユニットを
有するLCDの他に、最近になって、バックライトを必
要としないため低消費電力な、反射型LCDも開発され
実用化され始めてきている。
【0033】さらに、第4の従来例として、このような
LCDの開発とあいまって、特に、小型で携帯性に優
れ、次世代のディスプレイとして注目されている、ヘッ
ドマウントディスプレイ(HMD)について記す。
【0034】HMDとは、目の前に配置した2つの表示
装置により両目に対してそれぞれ別々の画像を与え、小
さな機器で大画面表示装置を見ているかのように表示を
行うものであり、これにより、自分がその世界にいるよ
うな感じになる「バーチャルリアリテイ(仮想現実)」
や「疑似3D」等における立体表示が可能となる。
【0035】従来のHMDとしては、特開平5−130
532号公報、特開平7−49464号公報等に記載さ
れたものが知られているが、図21に従来のHMDの構
造断面図を代表的に示す。
【0036】図21(a)は、LCDを用いたシースル
ー型のHMDの構造を示しており、LCD171、ハー
フミラー172、接眼光学系173から構成されてい
る。
【0037】LCD171からの画像は、ハーフミラー
172に反射されて接眼光学系173に導かれ、装着者
の眼174で結像される。また、ハーフミラー172を
透過してきた外界からの光も装着者の眼174に届くた
め、シースルー機能をも有する。
【0038】また、図21(b)は、小型陰極線管(以
下、CRTと略す)を用いたHMDの構造を示してお
り、CRT175、接眼光学系173から構成されてい
る。CRT175からの画像は、接眼光学系173によ
り装着者の眼174で結像される。
【0039】このようなHMDでは、表示装置の画像表
示面と眼との距離が近いため、小型な光学系を用いて広
い視野角を得ることができる。
【0040】特に、表示装置として薄型かつ軽量という
特徴を有するLCDを用いた場合には、小型かつ軽量な
HMDを構成することができる。
【0041】一方、携帯用表示装置の他の応用例とし
て、電子辞書がある。これも、従来の紙の辞書の小型・
軽量化を図ったもので、表示装置としてはLCDが用い
られている。
【0042】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第1の
従来技術では、溶液中の陽極化成により、単結晶Si基板
の表面に多孔質状の層を形成するため、多孔質層におけ
る微結晶の結晶性は良好であるものの、微結晶の形状と
大きさを制御することが難しい。
【0043】特に、粒径5nm以下の球状微結晶を効率
的に生成することが困難である。Si系IV族材料にお
ける可視発光のメカニズムが量子サイズ効果(波数選択
則の緩和、量子閉じ込め効果によるバンド構造変化等)
であるとすると、やはり粒径がnmレベルで制御された
球形微粒子の生成が不可欠となるが、この点から判断す
ると、最適な作製技術とはいえない。
【0044】また、この第1の従来例の方法では、IV
族材料による発光材料の作製を想定した場合、Si単体
による構成は容易であるが、Siとゲルマニウム(G
e)あるいは炭素(C)との混晶による構成をしようと
した際に実現が困難となる。
【0045】さらに、これら多孔質Siによる発光素子
を規則的に配列した上、独立に動作させることにより表
示素子の機能を発揮しようと意図した際に困難が生じ
る。即ち、上記の多孔質SiはSi基板に直接作り込む
ため、各素子間の電気的独立性(絶縁性)を保つことが
不可能である。
【0046】次に、第2の従来例では、直接遷移型半導
体であるII−VI族材料により構成されているため、
発光効率は高い。
【0047】しかしながら、II−VI族発光材料には
カドミウム(Cd)、ストロンチウム(Sr)が含まれ
る。
【0048】良く知られているように、前者は有害物質
であり、後者は埋蔵量が極めて少なく精製コストが高い
材料である。
【0049】また、賦活材料として、マンガン(M
n)、テルビウム(Tb)、サマリウム(Sm)、ユー
ロピウム(Eu)等を使用する。
【0050】これらの元素についてもやはり埋蔵量の限
界あるいは精製コストが懸念されるところである。
【0051】さらに、II−VI族半導体と上記賦活材
料においては、半導体製造プロセス技術としての微細加
工技術がいまだ成熟していないため、ミクロン(μm)
以下の微細パターンを形成することは困難である。
【0052】つまり、半導体材料を主体として自発光性
素子が構成されるものの、電子素子の代表であるSi−
LSIのプロセス・デバイス技術との整合性が悪く、実
質的にSi−LSIと一体化された素子の作製は不可能
といえる。
【0053】そして、さらに、本質的課題として、発光
波長を調整するためには、材料種を変更(つまり新たに
探索)し、製法を全般にわたり再構築しなければならな
いという課題がある。このような点に関しては、上記課
題は概ねIII−V族半導体材料についてもあてはま
る。
【0054】そして、第3の従来例では、基本的にバッ
クライト光量の極く一部(通常5%以下)をカラーフィ
ルターを透過させ表示光とするため、消費電力の割に輝
度が低いという欠点をもつ。表示光エネルギーの全消費
電力に対する割合(外部エネルギー効率)は、標準的に
0.2%以下であり、これは非自発光素子のもつ本質的
課題である。
【0055】また、素子動作上の問題として、アクテイ
ブマトリックス駆動法を用いても、液晶の応答速度が4
0msレベル以上であり、高速応答性に問題がある。
【0056】さらに、構成要素を大別すると、バックラ
イトユニット、カラーフィルター、液晶及び駆動用TF
Tの3種から成り立つため、表示素子の製造にはアセン
ブリ工程が避けえない。
【0057】このことは、製造コスト上の課題と、完成
した表示素子の衝撃・温度・湿度等に対する耐環境能力
の限界を示すものである。
【0058】最近、開発段階から実用段階に移行しつつ
ある反射型液晶表示素子においては、バックライトを必
要としないため、極めて低い消費電力にて動作が可能と
なっているが、反面暗い使用環境では視認が不可能とな
る本質的短所を有している。
【0059】以上の結果、第4の従来例でも、LCDを
用いているHMDでは、解像度が低いという欠点を持
つ。
【0060】例えば、現状のHMDで用いられているL
CDは、1インチ程度のもので10万画素程度である
が、HMDの装着者に充分な臨場感を与えるためには、
100万画素以上が望まれている。
【0061】LCDを用いた現状の電子辞書の場合も、
従来の紙の辞書の1行程度づつしか表示できないため、
非常に見にくく、効率が悪いものとなっている。
【0062】そこで、例えば、航空機のシミュレータ等
に用いる、高速応答性と信頼性が要求されるHMDで
は、表示装置としてCRTが用いられている。
【0063】しかし、表示装置としてCRTを用いた場
合には、比較的安価に高い解像度と信頼性が得られる
が、立体視に必要な広画角に対応するためにはサイズが
大きくなり、寸法的にも重量的にも頭部に搭載して使用
されるHMDには適していない。
【0064】また、他の携帯用表示装置としても小型
化、薄型化を制限する。本発明は上記の課題に鑑みなさ
れたものであって、無尽埋蔵量かつ環境汚染フリーな材
料から成り、さらに、自発光、高速応答、低消費電力、
細密画素、Si−LSI技術整合性、耐環境性、アセン
ブリーレス性を特徴とする光電子材料の製造方法並びに
その光電子材料を用いた発光素子及び表示素子並びに携
帯用表示装置を提供することを目的とする。
【0065】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の光電子材料の製造方法は、まず、希ガス雰
囲気中にてレーザーアブレーション工程を施すものであ
る。
【0066】これにより、基板上にnmオーダーで粒径
が制御された超微粒子堆積物が形成でき、その平均粒径
制御や混晶の組成比制御等をも行い得て、発光特性を高
自由度に調整可能とする。
【0067】さらに、アブレーションとスパッタを用い
た同時堆積により、基板上には超微粒子が分散した誘電
体薄膜をも形成し得る。
【0068】そして、さらに超微粒子に熱処理をし超微
粒子を被覆する酸化膜を形成していてもよく、この場
合、非酸化雰囲気の熱処理と酸化雰囲気の熱処理を組み
合せて施し、超微粒子の結晶性回復と同時に表面酸化膜
の形成を行ってもよい。
【0069】また、本発明の発光素子及び表示素子は、
以上の製造方法により作製された光電子材料を発光材料
として用いて、電子を超微粒子に注入し、超微粒子中に
おける衝突イオン化により電子−正孔対を励起し、それ
らの輻射再結合過程における発光現象を呈するものであ
る。
【0070】これにより、発光光子エネルギーが混晶超
微粒子の量子サイズ効果により調整され得る発光素子や
モノクロームやカラーの表示素子を得ることができる。
【0071】さらに、本発明の携帯用表示装置は、上記
の表示素子を中核として構成されたものである。
【0072】これにより、小型・軽量化に適し、低消費
電力、高解像度を有する携帯用表示装置が得られ、ヘッ
ドマウントディスプレイや電子辞書として好適に適用さ
れ得る。
【0073】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1記載の発明は、
第1のターゲット材を低圧希ガス雰囲気の真空反応室の
内部に配置する第1のターゲット材配置工程と、前記真
空反応室の内部に基板を配置する基板配置工程と、前記
第1のターゲット材配置工程で配置された第1のターゲ
ット材にレーザー光を照射して前記第1のターゲット材
の脱離・射出を生じるアブレーション工程と、前記アブ
レーション工程で得られた脱離・射出された物質を空中
会合させる空中会合工程と、前記空中会合工程で得られ
た超微粒子を基板上に補集して前記超微粒子を含む光電
子材料を得る工程とを有する光電子材料の製造方法であ
って、さらに、第2のターゲット材を前記第1のターゲ
ット材が配置される真空反応室内に配置する第2のター
ゲット材配置工程を有し、前記アブレーション工程に起
因して得られた超微粒子が基板上に補集されるのと実質
的に同時に前記第2のターゲット材をスパッタしてスパ
ッタ生成物質を前記基板上に補集して、前記第2のター
ゲット材から構成される物質中に前記超微粒子が分散さ
れた光電子材料を得る光電子材料の製造方法である。
【0074】上記の構成によって、希ガス雰囲気中にて
レーザーアブレーション工程を施すことにより、基板上
にnmオーダーで粒径が制御された超微粒子堆積物が確
実に形成されるとともに、アブレーションとスパッタを
用いた同時堆積により、基板上に超微粒子が分散した誘
電体薄膜を形成する
【0075】ここで、請求項2記載のように、低圧希ガ
スの導入圧力を変化させる工程を有し、前記超微粒子の
平均粒径を制御してもよい。
【0076】
【0077】
【0078】以上において、請求項記載のように、第
1のターゲット材が、半導体、金属及び誘電体の内の少
なくとも1種を含み、特に、請求項記載のように、I
V族半導体を含むものであってもよい。
【0079】そして、請求項記載のように、第1のタ
ーゲット材が複数種のIV族半導体の混合体を含むもの
でもよく、請求項記載のように、この混合体がシリコ
ンとゲルマニウムの混合体であり、さらに、請求項
載のように、混晶状態にあってもよい。
【0080】この構成により、混晶超微粒子を用いるこ
とにより、混晶組成比が補助的パラメータとして発光特
性の調整に利用され得る。
【0081】さらに、このように混晶化することによ
り、超微粒子化した際の波数選択則の緩和が生じ易くな
る、つまり輻射再結合が起き易くなる。
【0082】ここで、請求項記載のように、混合体
が、出発原料粉末を複数種類機械的に混合する混合工程
と、前記混合された粉末体をホットプレス法により成型
する成型工程により形成されることが好適である。
【0083】あるいは、請求項記載のように、第1の
ターゲット材をII−VI族半導体やIII−V族半導
体とすれば、基本的にレーザーアブレーション法は、タ
ーゲット元素の融点や蒸気圧への依存性が少ないプロセ
スなので、結果として化学量論組成の保たれたこれらの
半導体超微粒子を製造することが可能である。
【0084】さらに、請求項10記載のように、基板上
に補集された超微粒子が形成する半導体層に対して、n
−型導電性不純物とp−型導電性不純物を導入する工程
を有してもよく、半導体中にp−n接合が形成される。
【0085】この場合、請求項11に記載のように、半
導体層に対して導入されるn−型導電性不純物とp−型
導電性不純物は、互いの拡散深さを異ならせて導入され
てもよく、所望の位置にp−n接合を形成できる。
【0086】一方、請求項12記載のように、第2のタ
ーゲット材は、誘電体であることが好適である。
【0087】また、請求項13記載のように、さらに、
基板上の光電子材料の表面を酸化する工程を有していて
もよい。
【0088】この構成により、結晶欠陥あるいは不純物
の混入した表面層を除去し、結晶性と純度を向上する。
【0089】ここで、請求項14記載のように、酸化工
程では、空中会合工程で得られた超微粒子を酸素含有の
雰囲気ガス中にて加熱処理することにより、前記超微粒
子の表面を熱酸化膜で被覆することが好適である。
【0090】そして、請求項15記載のように、さら
に、被覆する熱酸化膜の形成時よりも高い温度の非酸化
性雰囲気での熱処理を、前記熱酸化膜の形成時よりも以
前に実施する工程を有することが好適であり、超微粒子
の結晶性をより完全なものに回復し得る。
【0091】さらに、本発明の請求項16に記載の発明
は、以上の光電子材料の製造方法により形成された薄膜
状の光電子材料層と、前記光電子材料層の上下に設けら
れた1対の電極とを有し、前記1対の電極により電子を
注入して超微粒子の表面に衝突させて電子−正孔対を励
起させ、前記電子−正孔対の輻射再結合過程により発光
現象を呈する発光素子である。
【0092】ここで、請求項17記載のように、超微粒
子の粒径を調整することにより発光光子エネルギーが制
御される構成としてもよいし、請求項18記載のよう
に、超微粒子の表面に接触する誘電膜の構造を調整する
ことにより発光光子エネルギーが制御される構成として
もよい。
【0093】また、請求項19記載のように、1対の電
極が透明あるいは半透明な電極であり、良好な外部光の
透過性を有することもできる。
【0094】また、請求項20記載のように、電子が第
2のターゲット材から形成された誘電体の存在する領域
を介し超微粒子の表面に到達する構成としてもよい。
【0095】また、請求項21から23に記載のよう
に、光電子材料層の超微粒子は半導体から形成され、前
記光電子材料層に薄膜状の金属電極が接触する構成で、
光電子材料層と金属電極とは、ショットキー接合型の接
触をなし、薄膜状の金属電極は、アルミニウム、白金、
金、銀、タングステン、モリブデン、タンタルのいずれ
かを含む構成であってもよく、発光素子を高い再現性の
もとに実現させ得るものである。
【0096】ここで、請求項24記載のように、さら
に、一方の電極を設けた半導体基板と、前記半導体基板
の前記一方の電極の反対側に設けられ一部に前記半導体
基板が露出する開口部が形成された絶縁体層とを有し、
光電子材料層は前記開口部を被覆する状態で形成された
前記開口部を活性領域とする構成で、請求項25記載の
ように、超微粒子の内部または表面近傍における電子−
正孔対の輻射再結合過程は増倍現象による構成とするこ
とが好適であり、請求項26記載のように、発光強度
は、発光素子への注入電流に比例する以上に増大する特
性を有する。
【0097】このような、増倍現象を利用することは、
当初の電子注入に消費される電力と、衝突イオン化時の
限られた量子効率を、極めて有効に利用し得るものであ
り、発光強度のダイナッミクレンジを大きくすることに
極めて有効である。
【0098】そして、請求項27記載のように、光電子
材料層にp−n接合が形成されている構成とすれば、単
にショットキー接合型の接触を有する場合には、確か
に、発光素子を実現する上で最も簡易的な構成になる
が、これに対してより電力効率の高い構成となる。
【0099】そして、請求項28記載のように、このよ
うな発光素子から単位画素に対応した素子を形成し、前
記単位画素の各々が平面的に規則的に配列され、前記単
位画素の発光素子への励起電流の変化により、前記単位
画素の各々における発光強度を調整するモノクローム表
示素子を形成したり、請求項29記載のように、このよ
うな発光素子が、前記発光素子の超微粒子の平均粒径が
異なること等に起因して3原色の内の1色を発光し、互
いに異なる各1色を発光する前記発光素子から3原色の
全てを発光可能なように単位画素の対応した素子を形成
し、前記単位画素の各々が平面上に規則的に配列され、
前記単位画素を構成する前記発光素子への励起電流の変
化により、前記単位画素の各々の発光強度と色彩を調整
するカラー表示素子を形成してもよい。
【0100】さらに、本発明の請求項30に記載の発明
は、このような表示素子を有する携帯用表示装置であ
る。
【0101】そして、請求項31記載のように、単位画
素の1方向の長さが10〜100μm程度とすることに
より、きわめて良好な高解像度を得ることができる。
【0102】ついで、請求項32記載に記載のように、
このような表示素子を有する携帯用表示装置は、前記表
示装置を装着者の頭部に固定するための固定部材と、前
記表示装置に表示された情報を前記装着者の左右の目に
結像させるための光学系とを備えるヘッドマウントディ
スプレイであってもよい。
【0103】この構成により、表示装置が小型かつ高精
細であることから、接眼光学系も小型になり、ヘッドマ
ウントディスプレイ本体の小型・軽量化が図れ、広画角
かつ高解像度も実現できる。
【0104】また、請求項33記載のように、光学系
は、更に、外界の情報をも装着者の左右の目に結像する
ヘッドマウントディスプレイであってもよく、好適には
請求項34記載のように、請求項19記載の透過性を有
する発光素子が、透過性部材に配列されて透過性を有
し、外界の光を光学系に入射する構成が採り得る。
【0105】この構成では、透過性を有することから、
ハーフミラー等を必要としないコンパクトなシースルー
型のヘッドマウントディスプレイを実現できる。
【0106】さらに、請求項35に記載のように、請求
2829に記載された表示素子が、装着者の外部へ
の視線方向よりも異なった視線方向に配置されていても
よく、装着者が頭自体を動かすのではなく、視線を上下
等に動かすことにより、簡便に外部が観察できる。
【0107】また、請求項36に記載のように、請求項
28または29記載の表示素子により情報を表示する電
子辞書であってもよい。
【0108】この構成では、表示装置が小型かつ高精細
であることから、従来の紙の辞書と同レベルの高解像度
を有する小型・軽量な辞書が実現できる。
【0109】(実施の形態1)以下、主に本発明の光電
子材料の製造方法を、実施の形態1として、図1から図
4を用いて詳細に説明する。
【0110】図1は、光電子材料の1例であるIV族超
微粒子の製造方法を示す工程図であり、11はシリコン
(Si)の粉体、12はゲルマニウム(Ge)の粉体で
あり、どちらも粒径は1.0〜2.0μm程度であり、
純度は6N以上である。そして、14はホットプレス装
置、15はSi−Ge混合ターゲットである。
【0111】まず、図1(a)に示すように、Si粉体
11とGe粉体12を、機械的に均一分散するように混
合し、Si−Ge混合粉体13を作製する。
【0112】ここで、混合比は、後に詳述するように発
光波長の制御のために、任意に設定できるが、発光効率
を優先して、モル比でSi:Ge=0.2:0.8とし
た。
【0113】次に図1(b)に示すように、Si−Ge
混合粉体13を圧縮成型するために、ホットプレス装置
14内に封入し、加熱と圧縮を同時に行う。
【0114】この際の加熱温度は、一般に、共晶点
(K)を基準に0.8倍程度が適当であるが、本実施の
形態においては約700℃とした。
【0115】また、加圧の程度については、15から2
0MPaの範囲とし、圧縮成型の際の雰囲気は、希ガス
(アルゴンガス)としたが、真空ホットプレス法を適用
すれば、最終的に、より稠密性の高い成型体を得ること
ができる。
【0116】あるいは、希ガスを用いたホットプレス法
と同程度の稠密性の成型体を得るのであれば、より低温
低圧の圧縮にて実現できるものである。
【0117】そして、図1(c)に示すように、ホット
プレス装置14から成型されたSi−Ge混合ターゲッ
ト15を取り出す。
【0118】この様にして成型されたSi−Ge混合タ
ーゲットは、μmレベルでSiとGeが一様に分散して
おり、密度は理想値の99%以上に達する。
【0119】次に、図2において、図1の製造方法で得
たSi−Ge混合ターゲットに対して、レーザーアブレ
ーション法を施すことにより、nmオーダーで粒径が制
御されたIV族(Si−Ge)混晶超微粒子を作製する
ための装置概念図を示す。
【0120】なお、レーザーアブレーション法とは高い
エネルギー密度(パルスエネルギー:1.0J/cm2
程度かそれ以上とする。)のレーザー光をターゲット材
に照射し、被照射ターゲット材表面の溶融・脱離を起こ
すものである。
【0121】ここで、1.0J/cm2程度のパルスエ
ネルギー密度における脱離物質は、主にイオン及び中性
粒子である原子・分子・クラスター(数個から数十個程
度の原子から構成される。)である。
【0122】また、運動エネルギーは、イオンで数十e
V、中性粒子の場合は数eVであることが知られている
が、この際の運動エネルギーの分布は、温度に換算する
と数万℃以上に相当するので、極端な非熱平衡状態が現
出しているといえる。
【0123】さて、基本的な装置構成は、アルゴン−フ
ッ素(ArF)エキシマレーザー光源22からのレーザ
ー光(波長:193nm)が、スリット23、集光レン
ズ24、ミラー25、導入窓26から構成された光学系
を経由して、真空反応室21に導入され、真空反応室2
1内部に配置されたSi−Ge混合ターゲット28の表
面に集光照射されるものである。
【0124】この際、照射エネルギー条件は、パルスエ
ネルギー密度:1.0〜3.0J/cm2、繰り返し周
波数:10Hzとした。
【0125】さらに、Si−Ge混合ターゲット28は
自転機構を有するターゲットホルダー27の上に配置さ
れている。
【0126】そして、Si−Ge混合ターゲット28表
面の法線方向に7〜10mmの距離で、かつこのターゲ
ット表面に平行に堆積基板29が配されており、Si−
Ge混合ターゲット28の照射表面からの脱離物質が、
ここに補集・堆積される。
【0127】つまり、本実施の形態の照射条件では、脱
離物質は主に原子・分子・クラスターであるので、高真
空中でのレーザーアブレーション堆積では、超微粒子を
含む薄膜が形成されることとなる。
【0128】より具体的には、予め真空反応室21を、
ターボ分子ポンプを主体とした高真空排気系32によ
り、1×10-6Paまで排気した後、この高真空排気系
32を閉鎖する。
【0129】次に、希ガス導入ライン30を通してヘリ
ウムガス(He)を導入し、マスフローコントローラー
31による流量制御とドライロータリーポンプあるいは
高圧用ターボ分子ポンプを主体とした差動排気系33に
よる差動排気により、一定圧力の希ガス(He)雰囲気
を実現する。
【0130】ここで、Heガスの雰囲気の制御圧力範囲
は、1.0〜20.0Torrである。
【0131】このような数TorrのHeガス雰囲気に
て、上記の照射条件のレーザーアブレーション堆積を行
うと、脱離物質の運動エネルギーは雰囲気ガス原子に散
逸するため、空中での会合と成長が促進され、堆積基板
29に到達・補集した時点では、粒径数nmから数十n
mの超微粒子に成長していることになる。
【0132】従来、バルクに対する1000℃台の溶融
熱処理では、高品質なSi−Ge混晶を形成することは
困難を伴うものであったのに対して、本実施の形態によ
れば、Si−Ge混合ターゲット28の表面上で数万℃
の超高温に相当する非熱平衡状態を現出できるので、理
想的なSi−Ge混晶を形成できたものである。
【0133】また、Si−Ge混合ターゲット28は、
SiとGeがμmレベルで均一に分散しており、照射レ
ーザースポットの面積は数mm2の大きさであること
と、温度換算では数万℃相当の超高温状態であるため、
つまり、SiとGeの融点、蒸発温度の差が無視できる
ため、1パルス毎の脱離物質の組成は、充分にSi−G
e混合ターゲット28自体の組成(モル比:0.2:
0.8)に一致したものとなる。
【0134】なお、もちろん、粒径がnmオーダでそろ
った超微粒子の堆積物を基板上に形成することは、混合
ターゲットではなくとも、SiやGeのような単一材料
のIV属材料のターゲットを用いることもでき、もちろん
これらの混合ターゲットとしてもよい。
【0135】次に、本実施の形態における、Si−Ge
混晶超微粒子の平均粒径制御法について説明する。
【0136】本実施の形態における平均粒径制御は、基
本的に、真空反応室21内の希ガス(Heガス)雰囲気
の圧力を、マスフローコントローラー31による流量制
御とドライロータリーポンプを主体とした差動排気系3
3のコンダクタンス調整により、定圧的に変化させるこ
とで実現する。
【0137】図3に、導入Heガス圧力と堆積基板29
に付着したSi−Ge混晶超微粒子の平均粒径の関係を
表す特性曲線を示す。
【0138】これによると、Heガス圧が2.0Tor
rから10.0Torrの範囲では、Heガス圧の上昇
に伴い、超微粒子の粒径が単調に増加していることが理
解できる。
【0139】さらに、定量的には、Heガス圧(p)の
1/3乗に比例して、粒径が増大していることもわか
る。
【0140】この依存性は、Heガス雰囲気を慣性抵抗
媒質と見立てて、脱離(射出)粒子の運動エネルギーの
この媒質への散逸現象により説明される。
【0141】なお、もちろん、このような粒径制御は、
混合材料のターゲットでなくとも、SiやGeのような
単一材料のターゲットにも用いることもできる。
【0142】それでは、可視光域で発光波長を調整する
には、Si−Ge混晶超微粒子の粒径をどの範囲で制御
すればよいかについて説明する。
【0143】図4は、Si単体、Ge単体、Si−Ge
混晶の球状超微粒子からの吸収端発光エネルギーを、有
効質量近似の成立する領域の量子閉じ込め効果を原理と
して、理論的に算出したものである。
【0144】この図によれば、3原色(RGB)発光を
するためには、Si単体では2.8nmから4.0nm
の範囲、Ge単体では3.6nmから5.0nmの範囲
において粒径を制御することにより達成できることがわ
かる。
【0145】よって、Si−Ge混晶超微粒子において
は、組成比により、Si単体とGe単体の特性曲線の中
間的な特性曲線を現出することになる。
【0146】本実施の形態において代表的に用いている
モル組成比Si0.2Ge0.8のSi−Ge混晶超微粒子に
おいては、図4に示される粒径−吸収端発光エネルギー
の特性曲線を呈するものである。
【0147】以上まとめれば、本実施の形態では、ま
ず、希ガス雰囲気中にてレーザーアブレーション工程を
施すことにより、基板上にnmオーダーで粒径が制御さ
れた超微粒子堆積物が確実に形成されることとなる。
【0148】次に、真空反応室内の希ガス雰囲気の圧力
を、定圧変化させることにより、平均粒径制御を行うこ
とができる。
【0149】そして、特に混晶超微粒子を用いているこ
とにより、粒径を吸収端発光エネルギー調整の主なパラ
メータとしているものの、混晶組成比が補助的パラメー
タとして有効に利用可能である。
【0150】さらに、このように混晶化することによる
バンド構造変化が吸収端エネルギー値のみならず、エネ
ルギー(E)−波数(k)空間での形状として変化する
ことにより、超微粒子化した際の波数選択則の緩和が生
じ易くなる、つまり輻射再結合が起き易くなる効果をも
有する。
【0151】というのは、Si単体では伝導帯の底がE
−k空間におけるX点付近にあり、一方Ge単体ではこ
の伝導帯の底がL点近傍にあるが、Si−Ge混晶化す
ることにより、伝導帯の底(エネルギー極小点)が先の
X点からL点の中間に形成されることになり、特に組成
比がSi0.2Ge0.8の場合には、伝導帯エネルギー極小
点がΓ点(価電子帯エネルギー極大点)に付近に形成さ
れると考えられるからである。
【0152】また、光電子材料としては、他の種類や組
成比の単体または混晶を用いることももちろん可能であ
る。例えば、直接遷移型半導体であるガリウム−ヒ素
(GaAs)等のIII−V族化合物や、硫化カドミニウ
ム(CdS)等のII−VI族化合物を用いてもよい。
【0153】(実施の形態2)以下、主に本発明の光電
子材料の他の製造方法について、実施の形態2として、
図5と図6を用いて説明する。
【0154】本実施の形態においては、主にIV族超微
粒子が分散した誘電体薄膜からなる光電子材料の製造方
法について説明する。
【0155】前述した本発明の実施の形態1において
は、IV族超微粒子の製造方法について説明したが、こ
れを直接堆積基板に付着・堆積した場合は、結局は、超
微粒子からなる多孔質形状の薄膜を形成してしまう傾向
がある。
【0156】この多孔質形状については、電極を接続し
て素子化することを想定すると、より最適化されたもの
が求められる場合もあり、また、球状超微粒子元来の量
子サイズ効果を引き出し、発光に関する新機能を発現す
るためにも、より最適な形状等が求められる場合もあ
る。
【0157】このために、本実施の形態では、IV族混
晶超微粒子と誘電体材料の堆積を同時に同一基板上に対
して行い、誘電体薄膜中にIV族混晶超微粒子を分散さ
せる工程を有するもので、希ガス(Ar)雰囲気中にお
いて、レーザーアブレーションによるIV族混晶超微粒
子の付着堆積と、スパッタ法による誘電体薄膜の堆積
を、同時に同一基板上に実施するものである。
【0158】具体的に、図5と図6において、本実施の
形態における装置概念図を示す。図5は、本実施の形態
で用いるアブレーション−スパッタハイブリッドカソー
ド51の構成を示す。
【0159】図5において、中心部にはレーザーアブレ
ーション用で円盤状のIV族(Si−Ge)混合ターゲ
ット52を配し、これを取り巻く同心円状にスパッタ用
の誘電体(SiO2)ターゲット53を配している。
【0160】なお、IV族(Si−Ge)混合ターゲッ
ト52は、本発明の実施の形態1において用いたものと
同様のものである。
【0161】ついで、誘電体ターゲット53の底面は、
RF電源(13.56 MHz、1.0kW)54に接
続され、さらに、誘電体ターゲット53付近のプラズマ
密度の向上とスパッタレートの増大を企図して、誘電体
ターゲット53の下部には、永久磁石を配列したマグネ
トロン構造57をも有している。
【0162】なお、レーザーアブレーション用IV族混
合ターゲット52表面や、他の不必要箇所がスパッタさ
れることによるクロスコンタミネーションを防ぐため、
アノードリング55が適切な形状に配置されている。
【0163】また、IV族混合ターゲット52や誘電体
ターゲット53の底面は、過熱を防ぐため水冷される
が、バッキングプレート56はこの冷却効率を良くする
ため銅製として設けられている。
【0164】次に、図6は、ハイブリッドカソード51
を中心として、Si−GeのIV族混合ターゲット52
のレーザーアブレーションと誘電体ターゲット53のス
パッタを同時に行うことにより、誘電体薄膜中にIV族
混晶超微粒子が分散した光電子材料薄膜を形成するため
の複合堆積装置の概念図を示す。
【0165】図6において、まず全金属製の真空反応室
60は、ターボ分子ポンプを主体とする高真空排気系6
1により、到達真空1.0×10-7Paまで排気する。
【0166】そして、高真空排気系61をバルブにより
閉鎖した後、マスフローコントローラ62を経由して、
希ガス導入ライン63より、ArあるいはHeガスの導
入を行う。
【0167】ここで、ドライロータリーポンプもしくは
高圧用ターボ分子ポンプを主体とした差動排気系64の
動作と連動することにより、真空反応室60内の希ガス
圧力を、10.0mTorrから10.0Torrの範
囲の一圧力値に設定する。
【0168】そして、この状態で、ハイブリッドカソー
ド51の中心部に配置されたSi−Geターゲット52
の表面に対して、光導入窓65を通して、エキシマレー
ザー光源66からのArFエキシマレーザー光を照射す
る。
【0169】すると、Si−Geターゲット52表面で
は、レーザーアブレーション現象が発生し、Si及びG
eのイオンあるいは中性粒子(原子、クラスター)が脱
離し、当初はイオンで50eV、中性粒子で5eVのオ
ーダーの運動エネルギーで、主にターゲット法線方向に
射出して行く。
【0170】そして、脱離物質の運動エネルギーは、雰
囲気ガス原子に散逸するため、空中での会合と成長が促
進されるため、Si−Geターゲット52中心の鉛直上
方にある堆積基板67に到達・補集した時点では、粒径
数nmの超微粒子に成長している。
【0171】この希ガス雰囲気中のレーザーアブレーシ
ョン工程に関しては、図2において説明したものと基本
的に同様である。
【0172】そして、上記希ガス雰囲気中でハイブリッ
ドカソード51のSiO2ターゲット53領域に高周波
電力を印加することにより、SiO2のスパッタ堆積を
同時に行う。
【0173】以上のアブレーション(Si−Ge)とス
パッタ(SiO2)の同時堆積により、堆積基板67上
にはSi−Ge(IV族)混晶超微粒子が分散したSi
2(誘電体)薄膜を形成することが可能となる。
【0174】堆積終了後、一旦、真空反応室60を高真
空排気した後、酸素導入ライン68より酸素ガスを導入
することにより、酸素雰囲気を形成する。
【0175】そして、堆積基板67の背面に設置された
ハロゲンランプ70aと均一化反射鏡70bからなる輻
射加熱装置70からの赤外光(インコヒーレント光)を
堆積基板67に照射することにより、堆積基板67上の
Si−Ge混晶超微粒子が分散したSiO2薄膜を加熱
する。
【0176】この際、基板ホルダー69には、石英等の
透明材質を用いている。この加熱処理は、酸素雰囲気中
であるため、温度を600から900℃の範囲に設定す
れば、IV族混晶超微粒子の表面を酸化できる。
【0177】堆積直後のIV族混晶超微粒子表面には、
高エネルギー粒子や輻射による損傷による結晶欠陥ある
いは不純物の混入があるが、この酸素雰囲気による表面
酸化工程によりこれら好ましくない表面層を除去し、結
晶性と純度の優れたIV族混晶超微粒子を形成すること
ができた。
【0178】ここで、空中飛行中の超微粒子の表面は活
性であるため、この時点で酸素分子に接触して表面酸化
が促進されている。
【0179】また、この酸素ガス混入によっては、堆積
SiO2薄膜の酸素組成は減少されず化学量論的組成が
保たれている。
【0180】なお、酸素を混入割合は、1.0%のオー
ダーでArガスに対して混入することが好適である。
【0181】以上のように、本実施の形態においては、
Si−Ge混晶超微粒子が分散したSiO2薄膜を得る
ことができるため、多孔質形状を排することができ、電
極を接続して素子化するに簡便で、量子サイズ効果をも
効果的に引き出し得る超微粒子を含む薄膜を作製するこ
とができた。
【0182】なお、雰囲気希ガスとしてArを用いる場
合とHeを用いる場合との差は、堆積時で同等の超微粒
子平均粒径を得るためには、Arの場合はHeを基準と
すると0.1から0.2倍の圧力に設定する必要がある
という点にあり、実際には、従来のスパッタ堆積法との
整合性を考えて、Arにて0.01から0.1Torr
程度の範囲に設定することが好適である。
【0183】さらに、同時堆積時における酸素ガス雰囲
気下での加熱による表面酸化工程により好ましくない表
面層を除去し、結晶性と純度の優れたIV族混晶超微粒
子を形成することができた。
【0184】また、半導体材料としては、実施の形態1
と同様に、他の種類や組成比の単体または混晶を用いる
ことももちろん可能であるし、誘電体材料としては、他
の材料、例えば酸化アルミニウム(Al23)等を用い
ることも可能である。
【0185】とういのは、Al23を用いると、酸化ア
ルミニウムの化学量論的組成からのずれが、SiO2
場合に比較して、混在するIV族半導体超微粒子に与え
る悪影響(主に過剰な酸素がIV族半導体を酸化してし
まうことを意味する。)が少ないからである。
【0186】(実施の形態3)以下、主に本発明の発光
素子の構成を、実施の形態3として、図7を用いて説明
する。
【0187】図7に、本実施の形態における発光素子の
断面構造を示す。図7において、基板の1例としてSi
単結晶基板71の表面に、やはり1例として示す下部電
極である膜厚50nmの珪化タングステン層72が形成
されている。
【0188】この珪化タングステン層72の上層に、n
mオーダーの粒径が制御されたIV族半導体超微粒子、
モル比=0.2:0.8のSiGe混晶(Si0.2Ge
0.8)73が分散した誘電体層(SiO2)74が、膜厚
50nmで形成されている。
【0189】ここで、このIV族半導体超微粒子73が
分散された誘電体層74は、実施の形態2の作製方法と
同様の方法で得たものである。
【0190】そして、半導体超微粒子73が分散された
誘電体層74の上には、上部透明電極の1例として示す
可視光透過率90%以上の酸化インジウム−錫(IT
O)層75が、膜厚150nmで被着されている。
【0191】なお、このITOの組成は、約In23
(10 mol%)SnO2とした。
【0192】また、珪化タングステン層72は、下部電
極としての低抵抗性部および半導体超微粒子において発
生した光の前方への反射率を確保する反射層として機能
するが、さらに低抵抗性を優先する場合には、珪化チタ
ンニウムを用いることもできるし、電極としての低抵抗
性も光の前方反射率もさほど必要とされない場合には、
Si基板71の表面をn−型高濃度拡散層とし、これを
下部電極とすることも製造コスト面から見れば有効な構
成である。
【0193】また、誘電体材料としては、酸化アルミニ
ウム(Al23)等を用いることも可能である。
【0194】さらに、珪化タングステン層72と半導体
超微粒子分散誘電体層74の中間に、(金属電極/酸化
物)界面の電気的障壁高さを低減するために、膜厚20
nm程度の薄いマグネシウム(Mg)膜を配置してもよ
く、電子の酸化膜中(ここでは半導体超微粒子分散誘電
体層74)へのトンネリングによるキャリアの注入を、
より効率的に実現するために有効でもある。
【0195】なお、下部電極として透明あるいは半透明
薄膜を用いることにより、透過性を有する発光素子が得
られるが、この場合、上部電極より可視光透過率の低い
材料を用いることが望ましい。
【0196】次に、以上のような構成を有する発光素子
における、発光の動作について説明する。
【0197】まず、下部電極の珪化タングステン層72
を接地し、上部透明電極であるITO膜75に不図示の
正の電源電圧から12.0Vを印加する。
【0198】このとき、半導体超微粒子分散誘電体層7
4のSiO2部分には平均的に、106V/cm程度の強
度の電界が印加される。
【0199】一般に、SiO2膜の絶縁耐圧は、107
/cm程度であり、その10%のレベルの電界強度で
は、トンネリングによるキャリア電子の注入と電気伝導
が発生している。
【0200】そして、SiO2膜中における電子は、電
界により加速され運動エネルギーが増加するが、音響フ
ォノンとの相互作用により運動エネルギーが散逸し出す
ため、この運動エネルギーの上昇は、ある値で飽和して
安定する傾向を持つ。
【0201】なお、106V/cm台の電界強度におけ
る電子の加速と速度飽和に要する走行距離は、約10n
mであり、各電界強度におけるSiO2膜中における電
子の平均運動エネルギーは、概略、2.0×106V/
cmで2.0eV、5.0×106V/cmで3.0e
V、8.0×106V/cmで4.0eV程度となり、
速度飽和の後の運動エネルギーの分布は、電界強度が高
くなるにつれて広くなる傾向を持ち、特に高エネルギー
側に裾を引くような傾向を有する。
【0202】次に、半導体超微粒子分散誘電体層74の
SiO2膜中をこのように走行する電子が、IV族半導
体超微粒子73の表面に衝突した場合の現象について説
明する。
【0203】IV族半導体超微粒子として、Si、Ge
もしくはSi−Ge混晶を想定すると、バンドギャップ
エネルギー(Eg)は、最大でSiでの1.10eVで
あるが、さらに106V/cm台の電界強度において、
10nm以上の走行距離にて加速された電子は、上述の
ように2.0eV以上の運動エネルギーを有しているの
で、Si表面において、衝突イオン化による電子−正孔
対を励起することは充分可能である。
【0204】具体的には、この過程の量子効率γ”(電
子−正孔対発生数/衝突電子数)は、電子の平均運動エ
ネルギーEav=2.0eVでは0.1程度であるが、E
の上昇とともに急激に増大し、Eav=4.0eVでγ”
=1.0、Eav=8.0eVでγ”=2.0に到達す
る。
【0205】このように励起された電子−正孔対は、再
結合の過程で、バンドギャップEgに応じた発光を現出
し、本実施の形態における発光素子の動作が確認され
た。
【0206】元来、IV族半導体は間接遷移型なので、
バンド間遷移においてはフォノンの介在が不可欠であ
り、必然的に再結合過程では熱の発生が多く、輻射再結
合をする確率は極めて少ないが、本実施の形態のよう
に、形状を粒径が数nmオーダーの超微粒子にすると、
バンド間遷移における波数選択則の緩和、振動子強度の
増大、さらにSi−Ge混晶の際には伝導帯エネルギー
極小点のΓ点付近への移動等の効果が生じることによ
り、電子−正孔対の輻射再結合過程の発生確率が増大
し、強い発光を呈することが可能となったものである。
【0207】ここで、発光波長(発光フォトンエネルギ
ー)の制御は、本発明の実施の形態1(図4参照)に示
した、量子閉じ込め効果によるバンドギャップEgの増
大現象を利用すればよい。
【0208】具体的には、IV族半導体超微粒子73の
粒径を調整することにより、必要とする発光波長を得る
ことが可能となる。
【0209】また、Si−Ge混晶では、組成比による
バンドギャップEgの変化を利用することも可能であ
る。
【0210】よって、本実施の形態の電子注入−衝突イ
オン化による励起においても、図4で示したと同様に、
3原色(RGB)発光をするためには、Si単体では
2.8nmから4.0nmの範囲、Ge単体では3.6
nmから5.0nmの範囲において粒径を制御すること
により達成できることとなる。
【0211】なお、内部量子効率γ’(放出フォトン数
/電子−正孔対数)は約0.5%となるから、E=4.
0eV、γ”=1.0付近で使用することを標準的な素
子動作条件とすれば、外部量子効率γ=γ’・γ”が
0.5%程度確保される。
【0212】また、半導体超微粒子分散誘電体層74の
誘電体層としてSiO2(バンドギャップエネルギー:
約9eV)を想定してきたが、12.0V程度の印加電
圧では得られる電流密度に制限があるので、注入電子密
度すなわち発光強度を優先させたい場合には、ITO膜
等の導電性透明材質に置き換えることも有効である。
【0213】(実施の形態4)以下、本発明の発光素子
の他の構成を、実施の形態4として、図8から図11を
用いて詳細に説明する。
【0214】本実施の形態においては、IV族半導体の
内でも、代表的に表面が自身の熱酸化膜にて被覆された
Si単体の超微粒子の集合体から構成された光電子材料
層を発光(活性)領域としたエレクトロルミネッセンス
発光素子について説明するものである。
【0215】図8は、本実施の形態における発光素子の
断面構造を示す。図8において、81は基板である。こ
の基板81は、面方位(100)、導電性がホウ素ドー
プのp−型、比抵抗が10Ω・cmであるp−型Si基
板を1例として用いた。
【0216】このp−型Si基板81の上部表面には、
1例としてのSiO2酸化膜である分離絶縁膜82が厚
さ100nmで形成されている。この分離絶縁膜82に
は、発光素子の発光(活性)領域たるべき箇所に、直径
1から2mm程度の開口部82aが形成され、基板81
の表面が露出した形状になっている。
【0217】そして、少なくとも開口部82aを被覆す
るように、Si超微粒子83の集合体が光電子材料層8
4として堆積されている。ここで、Si超微粒子83
は、形状がほぼ球形であり、結晶性はバルクSiと同一
の結晶構造を有し、かつ導電性は低濃度にホウ素がド−
プされたp−型であって、粒径は3から10nm程度に
調整されている。ここで、光電子材料層84のSi超微
粒子83は、その表面が不図示の厚さ1から5nmのS
iO2膜により被覆されている。また、光電子材料層8
4と基板81は、ともにp−型であるので、これらの界
面には、電気的障壁は形成されていない。
【0218】さらに、光電子材料層84の上部表面に
は、1例として厚さ10nmで材質が白金(Pt)の半
透明電極85が接触し、光電子材料層84と電気的には
いわゆるショットキー接合を形成している。
【0219】また、基板81の下部表面には、1例とし
てPt製の裏面電極86が設けられ、基板81と電気的
にはオーミック接触を形成している。
【0220】なお、電極85と85は、Pt以外にも、
アルミニウム、金、銀、タングステン、モリブデン、タ
ンタル等のいずれかを主体に形成することも可能であ
る。
【0221】そして、半透明電極85と裏面電極86
は、必要に応じ導電性ペースト87等を介して、ワイヤ
リード線等により電源に接続されている。
【0222】ここで、半透明電極85側における電源接
続位置である導電性ペースト87の位置は、発光(活
性)領域を避けて配置することが好適である。
【0223】次に、以上の構成において、エレクトロル
ミネッセンス発光素子としての動作特性について説明す
る。
【0224】まず、本実施形態のエレクトロルミネッセ
ンス発光素子としての動作は、裏面電極86側に対し
て、半透明電極85側に、負の直流バイアスを印加す
る。これは、本実施形態の発光素子が順方向バイアスで
動作することを意味する。
【0225】このような条件により本実施形態の発光素
子を動作させた場合において、図9は、発光素子の電流
−電圧特性曲線図を示す。
【0226】図9(a)は、縦軸(電流)・横軸(電
圧)ともにリニアスケール表示とし、横軸の印加電圧に
ついては、図8における半透明電極85と光電子材料層
3の界面に形成されるショットキー接合における順方向
電位をグラフ上の正方向としている。
【0227】この図9(a)によると、半透明電極85
と光電子材料層84の界面のショットキー接合による強
い整流特性が示されている。また、順方向電圧印加時の
高電流側での外挿から推定される発光素子全体としての
外部直列抵抗は、400Ω程度である。
【0228】次に、図9(b)は、縦軸(電流)のみ対
数スケール表示とし、横軸(電圧)はショットキー接合
における順方向電位をグラフ上の正方向としてリニアス
ケール表示したものである。
【0229】この図の特性曲線の傾きからは、ショット
キー接合の理想因子n値を求めることができるが、本実
施形態の発光素子のn値は印加電圧依存性を持ってお
り、0.2V以下では1.8、これより高い領域では1
5程度まで増加していることがわかる。一般に1を大き
く越えて高いn値は、界面準位密度が高く、かつこれら
が帯電していることを意味する。つまり、この点から
も、本実施形態の発明のエレクトロルミネッセンス発光
素子が発光するのは、半透明電極85とS光電子材料層
84の界面に形成されるショットキー接合に対し、順方
向電圧を印加した際であり、逆方向電圧印加時には発光
しないと考えられる。
【0230】図10に、本実施の形態のエレクトロルミ
ネッセンス発光素子の発光強度−電流特性曲線図を示
す。
【0231】ここでは、縦軸(発光強度)・横軸(電
流)ともに対数スケール表示を用いている。
【0232】図10によれば、順方向の電流密度が30
mA/cm2(この際の順方向電圧は約7.0V)の時
に発光がはじまり、その後、順方向電流の増加に従い、
発光強度は単調に増大してゆくことがわかる。
【0233】つまり、発光強度をIELと、順方向電流j
とは、以下の関係式で表わせることになる。
【0234】
【数1】
【0235】このように発光強度が順方向電流の3.5
乗に比例するとういことは、発光強度の順方向電流に対
する依存性がきわめて急峻であるということであり、こ
れまでの微結晶Siを活性層とする発光素子には、全く
観察されなかった新規な結果である。
【0236】例えば、多孔質Si層を活性領域としたエ
レクトロルミネッセンス発光素子においては、従来の技
術で述べたように、基本的に発光強度は、順方向電流に
比例し増大するに過ぎないものであった。
【0237】このような結果を呈する本実施の形態にお
ける発光素子の動作原理は以下のごとく説明されると考
える。
【0238】まず、順方向印加電圧により加速された電
子(ホットエレクトロン)は、発光素子上部の半透明電
極85から、ショットキー接合している光電子材料層8
4に注入され、さらにその中のSi超微粒子83を被覆
している表面酸化膜中に、トンネリング現象により注入
される。
【0239】次に、注入された電子は、Si超微粒子8
3本体にまで到達すると、衝突イオン化により電子−正
孔対を励起(生成)する。この励起過程における量子効
率は、注入電子のエネルギーが4.0eVのとき約1.
0に到達し、さらにエネルギーの上昇に伴い上昇してい
く。
【0240】ついで、一旦、注入された電子や励起され
た電子−正孔対は、Si超微粒子83に被覆されたSi
2膜との界面によりSi超微粒子83内に閉じこめら
れ、印加電圧中でSi超微粒子83内において電子−正
孔対を生成していき、つまり、いわば増倍(mutip
lication)現象を呈し、さらに多数の励起電子
−正孔対を生成していくことになる。
【0241】そして、このように増倍的に生成され続け
る励起電子−正孔対に対応した輻射再結合中心を介した
再結合現象により、発光強度の順方向電流に対する依存
性がきわめて急峻である発光現象を呈することになるわ
けである。
【0242】さらにつけ加えると、本実施の形態では、
対象となるSi超微粒子83が粒径nmレベルの球形を
しているため、Si/SiO2界面により超微粒子83
内に閉じこめられた電子や励起電子−正孔対が移動する
平均自由行程が短く、より効果的に衝突イオン化による
励起電子−正孔対を生成し得ているとも考えられる。
【0243】一方、従来の技術における第1の従来例で
説明した多孔質Siを活性層とするエレクトロルミネッ
センス発光素子では、基本的に接合(p−n)における
少数キャリアの注入により励起電子−正孔対を生成して
いるものに過ぎず、励起電子−正孔対の数は注入電流に
比例し、結果として発光強度も注入電流に比例すること
になるわけである。
【0244】また、この従来例では、多孔質Siがnm
レベルの微細な構造を有しているものの、実際には多孔
質Siが線状の形状をしているため、多孔質Si中をキ
ャリアがドリフトする際の平均自由行程が比較的長いこ
とも、励起電子−正孔対の発生効率に悪影響していると
も考えられる。
【0245】次に、図11に、本実施の形態のエレクト
ロルミネッセンス発光素子のフォトルミネッセンス(P
L)及びエレクトロルミネッセンス(EL)双方のスペ
クトル(発光強度−光子エネルギー特性曲線図)を示
す。
【0246】ここで、PLの励起手法は、光子エネルギ
ー2.54eV、パワー10mWのアルゴンイオン(A
+)レーザーを用い、活性層となる光電子材料層に直
接レーザ光を照射した。
【0247】また、ELの励起条件は、順方向電圧30
V、順方向電流28mA、発光活性領域は円形(3.1
×10-2cm2)とした。
【0248】図11によれば、PLでは、2.2eV
(緑色)を中心に、半値幅0.4eV程度の幅を持つ発
光スペクトルとなっている。
【0249】これに対し、ELでは、中心フォトンエネ
ルギーが1.7eV(赤色)と低エネルギー側にあり、
半値幅はよりブロードな発光スペクトルとなっている。
【0250】以上のように、PLとELの発光スペクト
ルが一致しない理由は次のように考えられる。
【0251】即ち、EL過程における衝突イオン化とそ
の増倍による励起電子−正孔対の生成では、注入される
電子が、Siのバンドギャップ(1.1eV)よりはる
かに高いエネルギーを持っているために(図11の励起
条件では印加電圧30Vである。)、伝導帯中でもより
高エネルギー側への遷移(いわゆるハイヤーインターバ
ンド遷移)が可能となる。故に、最小バンド幅における
輻射再結合のみならず、より高いエネルギー差をもった
輻射再結合も発生するようになり、結果として発光スペ
クトルの幅がより幅広くなってしまうと考えられる。
【0252】対して、PLでは、注入される光子エネル
ギーが2.54eVと相対的に低いため、ハイヤーイン
ターバンド遷移が発生する割合は低く、発光スペクトル
の幅はELよりも狭くなると考えられるのである。
【0253】さらに、ELでは、注入電子による衝突イ
オン化が、Si/SiO2界面の極く近傍のSi超微粒
子83本体で発生する。そのため、この励起過程は界面
状態に極めて敏感であるが、界面には帯電した界面準位
が多数しているため、バルクと同様な電子−正孔対の励
起は期待できず、特に高エネルギー側の励起効率が低下
していると考えられる。
【0254】対して、PLでは、エネルギー2.54e
Vの励起光を照射した際の吸収係数の大きさから、Si
超微粒子83全体にわたってほぼ同一の強度の励起光が
貫くと考えられ、各々のSi超微粒子83の中心部も含
んだほぼ全体で、バルク的に電子−正孔対が励起される
と見積られ、高エネルギー側の励起効率が低下しないと
考えられるのである。
【0255】さて、本発実施の形態のエレクトロルミネ
ッセンス発光素子の活性発光体として機能する光電子材
料層84の製造方法及び発光素子自体の製造方法の概略
を説明する。
【0256】本実施の光電子材料は、実施の形態1にお
いて図2を用いて説明した減圧希ガス雰囲気中でのレー
ザーアブレーション法により形成するものである。
【0257】但し、実施の形態1ではターゲット材料し
ては、Si−Ge混合体を中心に述べたが、本実施の形
態では、低濃度ホウ素ドープのp−型Si単結晶をター
ゲットとして用いることにより、形成される超微粒子8
3も純粋な低濃度p−型Si単結晶となる点が異なって
いる。
【0258】ここで、具体的な作製条件としては、照射
パルスエネルギー密度1.0J/cm2、導入Heガス
圧2.5Torr、堆積時間10分間とし、この他の条
件は実施の形態1にて図2を用いて説明したものと同一
である。
【0259】この作製条件では、平均粒径12nmのS
i単結晶の超微粒子83が、これらの集合体として、厚
さ800nm程度堆積され、光電子材料層が形成される
ことになる。
【0260】そして、この堆積時に、基板として、前述
したp−型Si基板81であって、上部表面にSiO2
の分離絶縁膜82が所定の開口部82aを有し厚さ10
0nmで形成されたものを用いれば、この分離絶縁膜の
開口部を被覆するように光電子材料層84が形成される
のである。なお、実施の形態2で得た誘電体中に分散さ
れた形態の光電子材料ももちろん適用可能である。
【0261】ここで、堆積された光電子材料層84を構
成する各々のSi超微粒子83の表面に、被覆酸化膜を
形成するため、電気炉を用いて、酸素含有の雰囲気ガス
中にて800℃、10分間の加熱処理を行った。
【0262】これにより、Si超微粒子83の表面は、
厚さ1から5nmの熱酸化膜であるSiO2で被覆され
ることとなる。なお、酸素含有の雰囲気ガスとは、具体
的には1気圧の窒素ガスに流量比で1%の酸素を含有し
たものである。
【0263】ところで、Si超微粒子83の表面には、
一種の結晶欠陥に基づく表面準位が高い密度で存在して
いる場合がある。
【0264】これを充分に回復した上で、厚さ1から5
nmの表面熱酸化膜を形成するためには、単一の800
℃、10分の酸化性雰囲気熱処理よりも、次に述べる多
段階(マルチステップ)の熱処理の方が効果的である。
【0265】即ち、酸素含有の雰囲気ガス中にて加熱処
理すことにより、Si超微粒子83の表面を熱酸化膜で
被覆するに際し、予めより高い温度の非酸化性雰囲気熱
処理を以前に実施しておくマルチステップ熱処理シーケ
ンスである。
【0266】具体的には、まず、減圧希ガス雰囲気中で
のレーザーアブレーション法により、光電子材料層84
の堆積が完了したp−型Si基板81に対し、非酸化性
雰囲気中で高温の熱処理を行いSi超微粒子83の結晶
欠陥と、これに伴う界面準位を回復する(900から1
100℃、20分、1気圧純窒素雰囲気による。)。
【0267】次に、必要に応じて、微量の残留酸素もし
くは水蒸気により形成された熱酸化膜を、弗酸(HF)
水溶液により除去する。
【0268】そしてその後に、酸化性雰囲気中で前段の
非酸化性雰囲気熱処理よりは低温の酸化熱処理を行い、
Si超微粒子83の表面に、厚さ1から5nmの熱酸化
膜を形成する(600から1050℃、10分以内、1
気圧純酸素雰囲気もしくは1気圧純水蒸気雰囲気によ
る。)。
【0269】以上のマルチステップ熱処理シーケンス
は、高温を必要とする結晶欠陥回復と、Si超微粒子8
3の大部分が酸化されることを避けるための比較的低温
の必要性がある薄い表面熱酸化膜の形成を巧みに両立さ
せたものである。
【0270】ここで、以上の構成において、Si超微粒
子83の集合体層84の上側半分を高濃度のn−型に変
更し、Si超微粒子83の集合体層84の下層側半分及
び基板81の全体を低濃度p−型にしておくと、Si超
微粒子83の集合体層84と金属半透明電極85の接触
は、オーミック性となり、Si超微粒子83の集合体層
84の中央にはp−n接合が形成される。但し、n−型
に対応した不純物の拡散深さは元々のP−型に対応した
不純物の拡散深さより短ければ、層84中にp−n接合
が形成され得る。
【0271】この構成において、順方向電圧(半透明電
極85側が、基板81側に対して負)を印加すると、光
電子材料層84の内部で、電子が高濃度n−型領域から
低濃度p−型領域へ、正孔が低濃度p−型領域から高濃
度n−型領域へと、少数キャリアが相互に注入されるこ
ととなる。
【0272】このp−n接合は、ショットキー接合を介
して電子(p−型Siに対する少数キャリア)のみの注
入を行う構成よりも、電子−正孔対の生成が効率的に実
現できる効果を有する。
【0273】そして、減圧希ガス雰囲気中でのレーザー
アブレーション法により、p−型Si基板81に対し、
光電子材料層84の堆積が完了した時点で、砒素(As
)をイオン注入法により導入することにより得た。こ
の際のイオン注入条件は、加速エネルギー100ke
V、ドーズ量5×1015cm-2とした。
【0274】次に、本実施形態のエレクトロルミネッセ
ンス発光素子において、可視光域で発光波長(光子エネ
ルギー)を制御する方法について説明する。
【0275】まず、第1の方法としては、実施の形態1
において説明したSi超微粒子83本体の粒径(サイ
ズ)を調整し、この際生じる量子閉じ込め効果により、
バンドギャップ幅とこれに伴う吸収端発光エネルギーを
直接可変するものである。
【0276】図4にも示したように、Si単体超微粒子
83では、直径4.0nmで赤色、3.2nmで緑色が
発光できる。
【0277】しかし青色については、図4からは、直径
2.8nmが対応することになるが、実際には直径2n
m台でのサイズ制御はかなり困難である上に、前述した
ごとく衝突イオン化による電子−正孔対の励起は、高エ
ネルギー側になるほど効率が低下してしまう。
【0278】さらに、直径2nm台の超微粒子83の表
面原子割合は70%近くに達し、当然表面欠陥とこれに
伴う界面準位の影響は無視できないものになる。
【0279】故に、Si単体超微粒子83において量子
閉じ込め効果による青色発生は実現が容易ではないとも
いえる。
【0280】しかし、Si単体超微粒子83を活性発光
層として青色を発生させるためには、Si超微粒子83
と表面酸化膜の界面における表面酸化膜の分子配列を再
構成し、青色のフォトンエネルギーに対応する局在発光
中心を形成することが有効である。
【0281】より具体的には、Si超微粒子83の最表
面を、例えば鎖状シロキセン構造とすることにより、青
色の発光が可能となる。
【0282】また、化合物半導体の場合には、化合物半
導体の超微粒子が酸化できる場合にはその酸化膜の、酸
化できない場合には別種の誘電膜の分子配列を再構成す
る等により、発光光子エネルギーが制御できる。
【0283】(実施の形態5)以下、本発明のモノクロ
ーム表示素子の構成を、実施の形態5として、図12を
用いて説明する。
【0284】図12に、本実施の形態におけるモノクロ
ーム表示素子の1画素分(単位画素分)の断面構造、そ
の等価回路及び画素の配列回路を示す。
【0285】図12(a)において、モノクローム表示
素子の1画素分の素子91は、実施の形態3と同様な発
光素子を用いたものである。なお、もちろん実施の形態
4で説明した発光素子を用いてもよい。
【0286】ここで、上部電極95は、可視光透過率9
0%以上のITO薄膜を使用し、下部電極96として
は、前方への発光エネルギー反射促進のためと低抵抗率
の実現のため、珪化タングステン薄膜を用いた。なお、
実施の形態4の発光素子では、上部電極95には半透明
電極85が対応し、下部電極96には裏面電極86が対
応する。
【0287】また、等価回路としては、図12(b)で
示すように、容量と抵抗が並列接続されたものと考えて
よい。
【0288】そして、IV族半導体超微粒子としては、
組成比Si:Ge=0.2:0.8のSi−Ge混晶を
用い、平均粒径を4.2nmに設定した。なお、実施の
形態4の発光素子においては、その光電子材料を用いる
ことになる。
【0289】この際の吸収端発光エネルギーは、2.2
7eVであり(図4参照)、鮮やかな緑色を呈した。
【0290】そして、図12(c)に示されるような、
上記1画素を格子状に規則正しくマトリックス状に配列
して構成されるモノクローム表示パネルを作製した。
【0291】ここで、本実施の形態では、基本的駆動方
式として、共通電極群分割と、時間分割で駆動するマル
チプレックス駆動方式を採用し、さらに、各画素には能
動素子を接続させない、単純マトリックス駆動方式を採
用した。
【0292】このような構成のX−Yマトリックス型表
示パネルにおいて、走査(Y)電極の片側に付加された
接地端子への導通ゲートを順次走査的にオンしてゆき、
他方の信号(X)電極には、表示パターンに対応しかつ
設定されたコントラストに対応する選択・非選択電圧を
同時に印加して動作させた。
【0293】本実施の形態における表示用画素は、非メ
モリー性なので、走査(Y)電極側の走査を繰り返し、
累積応答効果により全画面が構成されることになる。
【0294】以上により、本実施の形態では、特に1イ
ンチ以下の小型の表示素子に最適な各画素のレスポンス
が非常に速い(1 μ秒オーダー)鮮やかな緑色で発光す
るモノクローム表示パネルを実現することができた。
【0295】なお、さらに画質の向上を必要とする場合
には、各画素にドライバー用MOSトランジスタを付加
したアクテイブマトリックス駆動法が有効であることは
もちろんである。
【0296】(実施の形態6)以下、本発明のカラー表
示素子の構成を、実施の形態6として、図13を用いて
説明する。
【0297】図13に、本実施の形態におけるカラー表
示素子の1画素(単位画素)の構造の概念図を示す。
【0298】本実施の形態のカラー表示素子の1画素に
相当する素子は、基本的に、実施の形態3あるいは実施
の形態4と同様の構成を有する発光素子の3種類を1組
として構成されており、幾何学的形状としては、ストラ
イプ配列とした。
【0299】なお、上部透明電極105としては、可視
光透過率90%以上のITO薄膜を使用い、下部電極1
06としては、前方への発光エネルギー反射促進のため
と低抵抗率の実現のため、珪化タングステン薄膜を用い
た。なお、実施の形態4の発光素子を用いた場合には、
対応関係は実施の形態5で説明したものと同様である。
【0300】本実施の形態では、1種類の発光素子が3
原色のうちの1色を発光し、IV族半導体超微粒子の平
均粒径が異なる発光素子同士が3種類集合することによ
り、1画素101内で3原色すべての発光を行うことと
した。
【0301】この3種類の発光素子を、それぞれ、赤色
発光素子101R、緑色発光素子101G、青色発光素
子101Bとする。
【0302】ここで、発光の中心的役割を担うIV族半
導体超微粒子としては、前述の実施の形態と同様に、組
成比Si:Ge=0.2:0.8のSi−Ge混晶を用
いた。なお、実施の形態4の発光素子をを用いる場合に
は、その光電子材料を用いる。
【0303】また、1画素を構成する3種発光素子の各
々の平均粒径と発光光子エネルギーは、赤色発光素子9
3は4.8nm、1.77eV、緑色発光素子94は
4.2nm、2.27eV、青色発光素子95は3.6
nm、2.84eVに設定した(図4参照)。
【0304】そして、これら3種発光素子の集合により
構成されるカラー表示画素101は、平面上にマトリッ
クス状に配列し、各画素を構成する各発光素子の励起電
流の変化により、各画素の発光強度と色彩を調整した。
【0305】その結果、3種の発光素子から発せられる
3原色の加法混色によって、カラー表示をすることが可
能となった。
【0306】さらに、1つのカラー表示画素101の大
きさが10〜100μm程度と、従来のカラー表示画素
に比べて非常に微細な画素を実現することができる。
【0307】なお、以上の各実施の形態においては、I
V族等の半導体材料やSiO2等の誘電体について説明
したが、他の金属、半導体または誘電体についても、そ
の用途に応じ単独でまたは組み合わせて適宜使用可能で
あることはもちろんである。
【0308】また、実施の形態5や実施の形態6におけ
る光電子材料層は、実施の形態3や実施の形態4で得ら
れたもので説明したが、実施の形態1で得られた光電子
材料を有する等他の超微粒子を含む光電子材料層を用い
た発光素子を使用してももちろんよい。
【0309】(実施の形態7)以下、本発明の携帯用表
示装置の原理的な構成を、実施の形態7として、図14
を用いて説明する。
【0310】図14は、表示装置の主構造概念図を示し
ており、表示面111、ロウデコーダ112、コラムデ
コーダ113から構成されている。
【0311】表示面111は、図13に示した3種発光
素子の集合により構成されるカラー表示画素101を平
面上にマトリックス状に配列させたものであり、ロウデ
コーダ112およびコラムデコーダ113からの信号に
応じて、各画素を構成する各発光素子の励起電流を変化
させることにより、各画素の発光強度と色彩を調整す
る。
【0312】なお、モノクロ表示の場合は、発光強度の
みの調整となる。このようなカラー表示素子は、微細画
素からなる自発光素子を用いていることから、低消費電
力、高解像度が可能となる。
【0313】例えば、従来のHMDに用いられている1
インチ程度の表示装置を想定すると、カラー表示で10
0万画素以上が実現できる。
【0314】さらに、以上の構成をSi基板上へ形成
し、高密度集積化を図ることにより、厚さ1mm程度の
薄型化が可能であるだけでなく、この表示装置の製造に
おいては、アセンブリフリーかつ既存LSI技術との整
合性もとることができ、好適に携帯用表示装置として用
いることができる。
【0315】(実施の形態8)以下、本発明の携帯用表
示装置のより具体的な応用装置であるHMD(ヘッドマ
ウントディスプレイ)について、実施の形態8として、
図15と図16を用いて説明する。
【0316】図15(a)は、HMDの構造断面図を示
しており、筐(きょう)体121と、筐体121内に内
蔵される右眼および左眼用の表示装置122および接眼
光学系123と、筐体121を頭部に装着するベルト部
124から構成されている。
【0317】そして、表示装置122からの右眼および
左眼用画像は、接眼光学系123により装着者のそれぞ
れの眼に結像される。
【0318】また、図15(b)は、シースルー型のH
MDの構造断面図を示しており、125は二つのハーフ
ミラーであり、他は図15(a)と同じ構成である。
【0319】ここで、表示装置122からの右眼および
左眼用画像は、ハーフミラー125に反射されて接眼光
学系123に導かれ、装着者のそれぞれの眼で結像され
る。
【0320】そして、ハーフミラー125を透過してき
た外界からの光も装着者の眼に届くため、シースルー機
能を有する。
【0321】いずれの場合にも、表示装置122として
図14の表示装置を用いることにより、小型・軽量化が
図れるだけでなく、従来のLCDを用いたHMDに比べ
て十倍以上の解像度を有するHMDが可能となる。
【0322】さらに、航空機のシミュレータ等に用い
る、高速応答性と信頼性が要求されるHMDへも適用で
きる。
【0323】そして、実施の形態3や実施の形態4にお
ける発光素子において、下部電極として透明あるいは半
透明薄膜を用いれば透過性を有する発光素子が得られる
が、この透過性を有する発光素子を用い、上記の構成を
ガラス等の透過性材料の上に形成することにより、シー
スルー型表示装置を実現できる。
【0324】これを用いれば、ハーフミラー等を必要と
せず、シースルー型HMDのさらなる小型・軽量化を図
ることができることになる。
【0325】次に、図16は、図12(a)あるいは
(b)の構造を有する眼鏡型HMDを装着した時の外観
図を示す。軽量・小型化により、眼鏡のように気軽に携
帯でき、長時間の使用も可能となる。
【0326】なお、以上の説明では、左右別々の画像を
映すことにより立体表示を可能とするHMDの例で説明
したが、その他に、通常のテレビやビデオ等の画像を見
るための、1つの表示装置のみを用いるHMDについて
も同様に実施可能である。
【0327】(実施の形態9)以下、本発明の携帯用表
示装置のより具体的な応用装置であるHMDの他の構成
について、実施の形態9として、図17を用いて説明す
る。
【0328】図17は、本発明のHMDの他の構造横断
面図を示しており、筐体131と、筐体131内に内蔵
される、図14に示した表示装置132および接眼光学
系133と、筐体131を頭部に装着するベルト部13
4から構成されている。
【0329】ここで、筐体131内の下部に内蔵された
表示装置132からの画像は、接眼光学系133により
装着者の眼135に結像される。
【0330】よって、以上の構成により、装着者が外部
を観察するために視線を正面あるいは上に向けていると
きは外界が見え、視線を下に向けたとき、表示装置から
の高精細画像を見ることができる。
【0331】したがって、装着者は、視線を動かすだけ
で頭を動かすことなく、外界と表示装置からの高精細画
像を別々にあるいは同時に見ることができる。
【0332】例えば、医療分野においては、手術中に、
表示装置から被術者の状態を表す画像等を送ることによ
り、頭を動かすこと無く情報を得ることができ、作業効
率および精度がきわめて高まることになる。
【0333】なお、この効果は、微細部品の検査等にお
いても同様である。また、本実施の形態では、表示装置
が筐体の下部に内蔵されていたが、作業対象の方向によ
っては、表示装置が筐体の上部や横に内蔵されていても
よく、作用は全く同様である。
【0334】さらに、電子辞書において、表示装置とし
て図14の表示装置を用いることにより、小型・軽量化
が図れるだけでなく、従来のLCDを用いた電子辞書に
比べて十倍以上の解像度を有する電子辞書が可能とな
る。
【0335】これにより、現状の電子辞書の大きさで、
数行から成る1語分の説明を一度に表示でき、紙の辞書
と同程度の見やすさを実現できる。
【0336】なお、以上の説明では、本発明の携帯用表
示装置を用いた応用例としてHMD及び電子辞書を示し
たが、携帯用テレビ電話、携帯端末等、多くの携帯用機
器にも応用できることはいうまでもない。
【0337】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、まず、
希ガス雰囲気中にてレーザーアブレーション工程を施す
ことにより、基板上にnmオーダーで粒径が制御された
超微粒子堆積物が確実に形成され、その平均粒径制御や
混晶の組成比制御をも行い得て、発光特性を高自由度に
調整可能とする。
【0338】そして、アブレーションとスパッタを用い
た同時堆積により、基板上には超微粒子が分散した誘電
体薄膜をも形成し得る。
【0339】また、以上のような効果を呈する製造方法
により作製された光電子材料を発光材料として用いて電
子注入することにより、電子−正孔対の輻射再結合過程
における発光現象を呈し、さらに発光光子エネルギーが
混晶超微粒子の量子サイズ効果により調整され得る発光
素子やモノクロームやカラーの表示素子を得ることがで
きる。
【0340】さらに、以上のような表示素子を用いるこ
とにより、小型・軽量化に適し、低消費電力かつ高解像
度を有する携帯用表示装置を提供することができる。
【0341】よって、本発明によれば、無尽埋蔵量かつ
環境汚染フリーな材料からなり、さらに自発光、高速応
答、低消費電力、細密画素、高耐環境性、アセンブリー
レス性の特徴を有する光電子材料、発光素子及び表示素
子並びに携帯用表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における混合ターゲット
を形成する工程説明図
【図2】同超微粒子を作製する装置概念図
【図3】同希ガス圧力−超微粒子平均粒径の関係を示す
特性図
【図4】同超微粒子粒径−吸収端発光エネルギーの関係
を示す特性図
【図5】本発明の実施の形態2におけるハイブリッドカ
ソード装置の構造図
【図6】同光電子材料を製造するための複合堆積装置の
構造図
【図7】本発明の実施の形態3における発光素子の断面
構造図
【図8】本発明の実施の形態4における発光素子の断面
構造図
【図9】同発光素子の電流−電圧特性曲線図
【図10】同発光素子の発光強度−電流特性曲線図
【図11】同発光素子のPL及びELの発光強度−光子
エネルギー特性曲線図
【図12】本発明の実施の形態5におけるモノクローム
表示素子の構造図
【図13】本発明の実施の形態6におけるカラー表示素
子の構造図
【図14】本発明の実施の形態7による携帯用表示装置
の主構造概念図
【図15】本発明の実施の形態8によるHMDの構造断
面図
【図16】同眼鏡型HMDを装着した時の外観図
【図17】本発明の実施の形態9によるHMDの構造断
面図
【図18】従来の発光素子の断面構造図
【図19】同発光素子の断面構造図
【図20】同表示素子の断面構造図
【図21】同HMDの構造断面図
【符号の説明】
11 Si粉体 12 Ge粉体 13 Si−Ge混合粉体 14 ホットプレス装置 15 Si−Ge混合ターゲット 21 真空反応室 22 エキシマレーザー光源 23 スリット 24 集光レンズ 25 ミラー 26 光導入窓 27 ターゲットホルダー 28 Si−Ge混合ターゲット 29 堆積基板 30 希ガス導入ライン 31 マスフローコントローラ 32 高真空排気系 33 差動排気系 51 アブレーション/スパッタハイブリッドカソード 52 Si−Geターゲット 53 SiO2ターゲット 54 RF電源 55 アノードリング 56 バッキングプレート 57 マグネトロン 60 真空反応室 61 高真空排気系 62 マスフローコントローラ 63 希ガス導入ライン 64 差動排気系 65 光導入窓 66 エキシマレーザー光源 67 堆積基板 68 酸素導入ライン 69 基板ホルダー 70 輻射加熱装置 70a ハロゲンランプ 70b 反射鏡 71 Si単結晶基板 72 珪化タングステン層 73 IV族半導体超微粒子 74 半導体超微粒子分散誘電体層 75 酸化インジウム−錫層 81 p−型シリコン基板 82 分離絶縁酸化膜 83 超微粒子 84 光電子材料層 85 半透明電極 86 裏面電極 87 導電性ペースト 91 1画素の素子 94 光電子材料層 95 上部透明電極 96 下部電極 101 カラー表示画素 105 上部透明電極 106 下部電極 111 表示面 112 ロウデコーダ 113 コラムデコーダ 121 筐体 122 表示装置 123 接眼光学系 124 ベルト部 125 ハーフミラー 131 筐体 132 表示装置 133 接眼光学系 134 ベルト部 135 装着者の眼 141 p−型Si単結晶基板 142 多孔質Si層 143 n−型微結晶SiC薄膜 144 ITO薄膜 145 金属電極 151 ZnS:Mn(Cu)粉体 152 誘電体 153 透明電極 154 ガラス基板 155 金属電極 156 フォーミング蛍光体層 161 バックライトユニット 162 カラーフィルター 163 液晶 164 駆動用TFT 171 LCD 172 ハーフミラー 173 接眼光学系 174 装着者の眼 175 CRT
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武藤 勝彦 神奈川県伊勢原市下谷1148番18号 (56)参考文献 特開 平4−231460(JP,A) 特開 平3−18013(JP,A) 特開 平6−292826(JP,A) 特開 平7−331422(JP,A) 特開 平7−68161(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/203,21/363 C23C 14/00 - 14/58

Claims (36)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1のターゲット材を低圧希ガス雰囲気
    の真空反応室の内部に配置する第1のターゲット材配置
    工程と、前記真空反応室の内部に基板を配置する基板配
    置工程と、前記第1のターゲット材配置工程で配置され
    た第1のターゲット材にレーザー光を照射して前記第1
    のターゲット材の脱離・射出を生じるアブレーション工
    程と、前記アブレーション工程で得られた脱離・射出さ
    れた物質を空中会合させる空中会合工程と、前記空中会
    合工程で得られた超微粒子を基板上に補集して前記超微
    粒子を含む光電子材料を得る工程とを有する光電子材料
    の製造方法であって、さらに、第2のターゲット材を前
    記第1のターゲット材が配置される真空反応室内に配置
    する第2のターゲット材配置工程を有し、前記アブレー
    ション工程に起因して得られた超微粒子が基板上に補集
    されるのと実質的に同時に前記第2のターゲット材をス
    パッタしてスパッタ生成物質を前記基板上に補集して、
    前記第2のターゲット材から構成される物質中に前記超
    微粒子が分散された光電子材料を得る光電子材料の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 さらに、低圧希ガスの導入圧力を変化さ
    せる工程を有し、前記超微粒子の平均粒径を制御する請
    求項1記載の光電子材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 第1のターゲット材が、半導体、金属及
    び誘電体の内の少なくとも1種を含む請求項1または2
    記載の光電子材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 第1のターゲット材が、IV族半導体を
    含む請求項項記載の光電子材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 第1のターゲット材が、III−V族半
    導体またはII−VI族半導体を含む請求項記載の光
    電子材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 第1のターゲット材が、複数のIV族半
    導体を含む混合体である請求項項記載の光電子材料の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 混合体が、シリコンとゲルマニウムの混
    合体である請求項記載の光電子材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 混合体が、混晶状態にある請求項記載
    の光電子材料の製造方法。
  9. 【請求項9】 混合体が、出発原料粉末を複数種類機械
    的に混合する混合工程と、前記混合された粉末体をホッ
    トプレス法により成型する成型工程により形成された請
    求項からのいずれかに記載の光電子材料の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 基板上に補集された超微粒子が形成す
    る半導体層に対して、n−型導電性不純物とp−型導電
    性不純物を導入する工程を有する請求項または記載
    の光電子材料の製造方法。
  11. 【請求項11】 半導体層に対して導入されるn−型導
    電性不純物とp−型導電性不純物は、互いの拡散深さを
    異ならせて導入される請求項10記載の光電子材料の製
    造方法。
  12. 【請求項12】 第2のターゲット材は、誘電体である
    請求項から11のいずれかに記載の光電子材料の製造
    方法。
  13. 【請求項13】 さらに、基板上の光電子材料の表面を
    酸化する酸化工程を有する請求項1から12のいずれか
    に記載の光電子材料の製造方法。
  14. 【請求項14】 酸化工程では、空中会合工程で得られ
    た超微粒子を酸素含有の雰囲気ガス中にて加熱処理する
    ことにより、前記超微粒子の表面を熱酸化膜で被覆する
    請求項13記載の光電子材料の製造方法。
  15. 【請求項15】 さらに、被覆する熱酸化膜の形成時よ
    りも高い温度の非酸化性雰囲気での熱処理を、前記熱酸
    化膜の形成時よりも以前に実施する工程を有する請求項
    14記載の光電子材料の製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項1から15のいずれかに記載の
    光電子材料の製造方法により形成された光電子材料を含
    む光電子材料層と、前記光電子材料層の上下に設けられ
    た1対の電極とを有し、前記1対の電極により電子を注
    入して前記光電子材料の超微粒子の表面に衝突させて電
    子−正孔対を励起させ、前記電子−正孔対の輻射再結合
    過程により発光現象を呈する発光素子。
  17. 【請求項17】 超微粒子の粒径を調整することにより
    発光光子エネルギーが制御される請求項16記載の発光
    素子。
  18. 【請求項18】 超微粒子の表面に接触する誘電膜の構
    造を調整することにより発光光子エネルギーが制御され
    る請求項16記載の発光素子。
  19. 【請求項19】 1対の電極が、透明あるいは半透明な
    電極である請求項16から18のいずれかに記載の発光
    素子。
  20. 【請求項20】 電子が第2のターゲット材から形成さ
    れた誘電体の存在する領域を介し超微粒子の表面に到達
    する請求項16から19のいずれかに記載の発光素子。
  21. 【請求項21】 光電子材料層の超微粒子は半導体から
    形成され、前記光電子材料層に薄膜状の金属電極が接触
    する請求項16から20のいずれかに記載の発光素子。
  22. 【請求項22】 光電子材料層と金属電極とは、ショッ
    トキー接合型の接触をなしている請求項21記載の発光
    素子。
  23. 【請求項23】 薄膜状の金属電極は、アルミニウム、
    白金、金、銀、タングステン、モリブデン、タンタルの
    いずれかを含む請求項21または22記載の発光素子。
  24. 【請求項24】 さらに、一方の電極を設けた半導体基
    板と、前記半導体基板の前記一方の電極の反対側に設け
    られ一部に前記半導体基板が露出する開口部が形成され
    た絶縁体層とを有し、光電子材料層は前記開口部を被覆
    する状態で形成され前記開口部を活性領域とする請求項
    21から23のいずれかに記載の発光素子。
  25. 【請求項25】 超微粒子の内部または表面近傍におけ
    る電子−正孔対の輻射再結合過程は増倍現象による請求
    21から24のいずれかに記載の発光素子。
  26. 【請求項26】 発光強度は、発光素子への注入電流に
    比例する以上に増大する請求項25記載の発光素子。
  27. 【請求項27】 光電子材料層にp−n接合が形成され
    ている請求項26記載の発光素子。
  28. 【請求項28】 請求項16から27のいずれかに記載
    の発光素子から単位画素に対応した素子を形成し、前記
    単位画素の各々が平面的に規則的に配列され、前記単位
    画素の発光素子への励起電流の変化により、前記単位画
    素の各々における発光強度を調整するモノクローム表示
    素子。
  29. 【請求項29】 請求項16から27のいずれかに記載
    の発光素子が、3原色の内の1色を発光し、互いに異な
    る各1色を発光する前記発光素子から3原色の全てを発
    光可能なように単位画素の対応した素子を形成し、前記
    単位画素の各々が平面上に規則的に配列され、前記単位
    画素を構成する前記発光素子への励起電流の変化によ
    り、前記単位画素の各々の発光強度と色彩を調整するカ
    ラー表示素子。
  30. 【請求項30】 請求項28または29記載の表示素子
    を有する携帯用表示装置。
  31. 【請求項31】 表示素子の単位画素の1方向の長さが
    10〜100μm程度である請求項30記載の携帯用表
    示装置。
  32. 【請求項32】 請求項28または29記載の表示素子
    と、前記表示装置を装着者の頭部に固定するための固定
    部材と、前記表示装置に表示された情報を前記装着者の
    左右の目に結像させるための光学系とを備えるヘッドマ
    ウントディスプレイである請求項30または31記載の
    携帯用表示装置。
  33. 【請求項33】 光学系は、更に、外界の情報をも装着
    者の左右の目に結像する請求項32記載の携帯用表示装
    置。
  34. 【請求項34】 請求項19記載の発光素子が、透過性
    部材に配列されて透過性を有し、外界の光を光学系に入
    射する請求項33記載の携帯用表示装置。
  35. 【請求項35】 表示素子が、装着者の外部への視線方
    向よりも異なった視線方向に配置される請求項33また
    34記載の携帯用表示装置。
  36. 【請求項36】 請求項28または29記載の表示素子
    により情報を表示する電子辞書である請求項30または
    31記載の携帯用表示装置。
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