JPH09161658A - 電子放出素子およびその製造方法 - Google Patents

電子放出素子およびその製造方法

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JPH09161658A
JPH09161658A JP7338097A JP33809795A JPH09161658A JP H09161658 A JPH09161658 A JP H09161658A JP 7338097 A JP7338097 A JP 7338097A JP 33809795 A JP33809795 A JP 33809795A JP H09161658 A JPH09161658 A JP H09161658A
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JP
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electron
chamber
conductive material
emitting device
fine particles
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JP7338097A
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Yoji Iwamoto
岩本要司
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定した電子放出が可能であり、また、製造
プロセスが簡便な電子放出素子およびその製造方法を提
供する。 【解決手段】 500torrの第1のチャンバ内にヘ
リウムと酸素ガスを導入し、アルミニウムを蒸発させ、
直径30nm程度の超微粒子アルミニウムを生成し、そ
の表面を酸化させる。こうして、表面が酸化膜(Al
)に覆われた直径30nm程度の超微粒子アルミニ
ウムを生成し、これを5torrの第2のチャンバへ移
送してノズルから吹き出させて基板上に超微粒子の充填
層を形成する。この充填層は、アルミニウム中に局所的
に酸化アルミニウムからなる高抵抗領域を有する層にな
り、表面伝導型の電子放出素子が形成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子に関
し、特に、表面伝導型の電子放出素子に関する。
【0002】
【従来の技術】フラットパネルディスプレイの一種とし
て、FED(Field Emission Display)が精力的に研究
されている。このFEDは、カソード基板とアノード基
板とを対向させ、カソード基板上に多数の電子放出素子
を配置し、この電子放出素子からアノード基板に向けて
電子を放出させ、アノード基板上の蛍光体層を発光させ
るものである。カソード基板上に形成される電子放出素
子は、個々の画素に対応することになる。これまで利用
されている電子放出素子は、電子放出に適した尖鋭な突
起構造を有するものが一般的であり、たとえば、先端部
が尖った円錐状の金属からなる電子放出素子が広く利用
されている。
【0003】これに対して、近年、表面伝導型の電子放
出素子が注目を浴びている。これは、基板上に形成され
た小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより
電子放出が生じる現象を利用した電子放出素子である。
このような電子放出現象は、1965年に「ラジオエン
ジニアリング エレクトロ フィジックス(Radio Eng.
Electron. Phys.)第10巻、1290〜1296頁」
に、エム・アイ・エリンソン(M.I.Elinson )らによっ
て報告されて以来、今日に至るまで種々の報告がなされ
ている。具体的には、エリンソンらによって開発された
SnO(Sb)薄膜をはじめ、Au薄膜、ITO薄
膜、カーボン薄膜などで、この表面伝導型の電子放出現
象が報告されている。このような現象は、高抵抗領域が
局所的に存在する薄膜について起こる特有の電子放出現
象であることが知られており、通常は、局所的な高抵抗
領域を形成するためにフォーミング処理が施される。た
とえば、特公平6−87392号公報には、微粒子を含
む導電性薄膜に通電加熱を施すことにより、表面伝導型
の電子放出機能をもった電子放出素子を製造する方法が
開示されている。この方法では、通電加熱というフォー
ミング処理により、導電性薄膜内に局所的に亀裂を発生
させることができ、この亀裂部分が高抵抗領域として機
能することになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たフォーミング処理を施す製造方法では、安定した電子
放出が可能な素子を製造することが非常に困難である。
基板上に導電性薄膜を形成し、この導電性薄膜に通電加
熱などのフォーミング処理を施すと、通電破壊によって
膜内に局所的に亀裂が生じ、この亀裂部分が高抵抗領域
として機能することになる。したがって、安定した電子
放出を実現するためには、亀裂を薄膜内に均一に発生さ
せてやる必要がある。ところが、このフォーミング処理
工程において、亀裂の発生箇所や亀裂の大きさなどを制
御することは困難であり、安定した電子放出が可能な素
子を実現するためには、このフォーミング処理工程に高
度な技術が必要になる。
【0005】また、上述したように、表面伝導型の電子
放出素子は、FEDなどのフラットパネルディスプレイ
への利用が期待されている素子であり、このようなディ
スプレイへ応用する場合、基板上に多数の素子を行列状
に配置し、各素子から安定した均一な電子放出を得る必
要がある。もし、動作が不安定な素子が混在するように
なると、ディスプレイとしての画面表示にムラが生じ、
もはや高品位のディスプレイは実現できなくなる。この
ため、ディスプレイへ応用する上では、各画素を構成す
る個々の電子放出素子の特性をできるだけ均一にし、す
べての素子から安定した電子放出が得られるようにする
必要がある。したがって、ディスプレイに利用される電
子放出素子の場合は、更に高度なフォーミング処理が要
求されることになる。
【0006】このようなフォーミング処理の問題を解決
すべく、特公平6−101297号公報には、フォーミ
ング処理が必要ない電子放出素子の構造が提案されてい
る。すなわち、この公報には、第1の絶縁層の表面に微
粒子を分散させ、この上に第2の絶縁層を形成すること
により、微粒子の分散面を絶縁層によって挟持した構造
を作り、表面伝導型の電子放出素子を構成する技術が開
示されている。しかしながら、この構造では、微粒子分
散面を絶縁層によって挟み込む必要があるため、製造プ
ロセスが複雑化するという新たな問題が生じることにな
る。
【0007】そこで本発明は、単純な工程で製造するこ
とができ、しかも安定した電子放出が可能な電子放出素
子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の第1の態様は、電子放出素子を、表面が
絶縁膜によって覆われた導電性材料からなる微粒子を多
数充填することにより構成される電子放出層と、この電
子放出層に接触し互いに所定間隔をおいて配置された一
対の電極と、電子放出層および一対の電極を支持する支
持基板と、によって構成したものである。
【0009】(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1
の態様に係る電子放出素子において、電子放出層を構成
する微粒子として、直径が100nm以下の超微粒子を
用いるようにしたものである。
【0010】(3) 本発明の第3の態様は、上述の第1
または第2の態様に係る電子放出素子を製造する方法に
おいて、導電性材料を収容した第1のチャンバと、電子
放出層を形成させる支持基板を収容した第2のチャンバ
と、を用意し、第1のチャンバ内に、導電性材料と反応
して絶縁化合物を生成する性質をもった反応性ガスを、
不活性ガスとともに導入しながら、導電性材料を加熱し
て蒸発させ、表面が絶縁化合物によって覆われた導電性
材料からなる微粒子を生成し、生成した微粒子を、第2
のチャンバ内にノズルから支持基板に向けて放出させる
ようにして導入し、支持基板上に電子放出層を形成する
ようにしたものである。
【0011】(4) 本発明の第4の態様は、上述の第1
または第2の態様に係る電子放出素子を製造する方法に
おいて、導電性材料を収容した第1のチャンバと、電子
放出層を形成させる支持基板を収容した第2のチャンバ
と、を用意し、第1のチャンバ内に、不活性ガスを導入
しながら、導電性材料を加熱して蒸発させ、導電性材料
からなる微粒子を生成し、生成した微粒子を移送管を通
じて第1のチャンバから第2のチャンバへと移送しつ
つ、この移送管の途中において、導電性材料と反応して
絶縁化合物を生成する性質をもった反応性ガスを導入
し、微粒子の表面に反応性ガスを反応させ、表面が絶縁
化合物によって覆われた微粒子を生成し、この微粒子
を、第2のチャンバ内にノズルから支持基板に向けて放
出させるようにして導入し、支持基板上に電子放出層を
形成するようにしたものである。
【0012】(5) 本発明の第5の態様は、上述の第4
の態様に係る電子放出素子を製造する方法において、反
応性ガスを移送管の途中に導入する経路に、調圧チャン
バを設け、導入した反応性ガスが第1のチャンバ側へ逆
流しないように導入圧の調整を行うようにしたものであ
る。
【0013】(6) 本発明の第6の態様は、上述の第1
または第2の態様に係る電子放出素子を製造する方法に
おいて、導電性材料を収容した第1のチャンバと、電子
放出層を形成させる支持基板を収容した第2のチャンバ
と、を用意し、第1のチャンバ内に不活性ガスを導入し
ながら、導電性材料を加熱して蒸発させ、導電性材料か
らなる微粒子を生成し、第2のチャンバ内に導電性材料
と反応して絶縁化合物を生成する性質をもった反応性ガ
スを導入した状態において、第1のチャンバで生成した
微粒子を、ノズルから支持基板に向けて放出させるよう
にして第2のチャンバ内に導入し、導入した微粒子の表
面に反応性ガスを反応させて絶縁化合物の膜を形成さ
せ、この膜を有する微粒子によって、支持基板上に電子
放出層を形成するようにしたものである。
【0014】(7) 本発明の第7の態様は、上述の第1
または第2の態様に係る電子放出素子を製造する方法に
おいて、導電性材料とプラズマ生成用電極とを収容した
第1のチャンバと、電子放出層を形成させる支持基板を
収容した第2のチャンバと、を用意し、第1のチャンバ
内に不活性ガスを導入しながら導電性材料を加熱して蒸
発させ、プラズマ生成用電極の近傍に、導電性材料と反
応して絶縁化合物を生成する性質をもった反応性ガスを
導入しながら、プラズマ生成用電極に高周波電圧を印加
して反応性ガスによるプラズマを発生させ、蒸発した導
電性材料にこのプラズマを反応させ、表面が絶縁化合物
によって覆われた導電性材料からなる微粒子を生成し、
生成した微粒子を、第2のチャンバ内にノズルから支持
基板に向けて放出させるようにして導入し、支持基板上
に電子放出層を形成するようにしたものである。
【0015】(8) 本発明の第8の態様は、上述の第3
〜第7の態様に係る電子放出素子を製造する方法におい
て、第2のチャンバ内に、支持基板を移動させる移動ス
テージを設け、この移動ステージにより支持基板を移動
させながら電子放出層を成長させることにより、移動軌
跡に応じたパターンの電子放出層を形成するようにした
ものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示する実施形態
に基づいて説明する。
【0017】§1. 従来の電子放出素子の構造および
動作 はじめに、従来の一般的な表面伝導型の電子放出素子の
構造および動作原理を説明しておく。図1は、従来の表
面伝導型の電子放出素子10および対向基板20の構造
を示す断面図である。この例では、電子放出素子10
は、ガラス基板11上に電極12,13を形成し、更に
その上に電子放出層14を形成することにより構成され
ている。電子放出層14は、カソード電極として機能す
ることになり、たとえば、SnO,In,Pb
Oなどの金属酸化物、Au,Agなどの金属、カーボン
その他各種半導体など、表面伝導型の電子放出現象が知
られている材料であればどのような材料で構成してもか
まわない。一方、対向基板20は、ガラス基板21上に
透明電極22および蛍光体層23を形成したものであ
る。透明電極22は、たとえばITOなどの材料で構成
され、アノード電極として機能することになる。
【0018】図2は、図1に示す電子放出素子10にお
けるガラス基板11上に形成された構成要素の上面図で
あり、この図における切断線1−1による断面が図1に
示されていることになる。電極12および13が所定間
隔をおいて向き合っており、その間に電子放出層14が
形成されている状態が明瞭に示されている。
【0019】いま、図1に示すように、各部に配線を施
した場合に生じる現象について考えてみる。この配線に
よれば、電極13は接地され、電極12には電源31か
ら負の電圧が印加される。また、電子放出素子10と対
向基板20との間にも、電源32によってカソード/ア
ノード間電圧が印加されるが、この図1に示す状態で
は、スイッチ33が開いているため、電圧印加は行われ
ていない。さて、電極12,13によって、電子放出層
14の両側に電圧が印加されると、電子放出層14の膜
表面部分に、図に矢印で示したような電子放出が起こ
る。これが、表面伝導型の電子放出として知られている
現象である。
【0020】ここで、スイッチ33を閉じてカソード/
アノード間電圧を印加すれば、図3に示すように、電子
放出層14の表面に放出された電子は、アノード側の対
向基板20へと飛翔することになり、このようなカソー
ドからアノードへと向かう電子の衝突により、蛍光体層
23が蛍光を発することになる。ここでは、説明の便宜
上、1画素分の構成要素のみを示したが、このような1
画素分の構成要素を縦横にマトリックス状に配列すれ
ば、画素を二次元平面上に並べたフラットパネルディス
プレイを実現することができる。なお、このようなフラ
ットパネルディスプレイでは、スイッチ33を閉じた状
態のままとし、各画素ごとに電源31からの印加電圧を
調節して、画素ごとの発光状態を制御するのが一般的で
ある。より具体的には、電子放出層14に与える印加電
圧の値および印加時間を調節することにより、対向基板
20側への電子の飛翔量を制御することができる。
【0021】このような電子放出特性をもった電子放出
層を形成するために、従来は導電性薄膜に対するフォー
ミング処理を行っていた。すなわち、図4の側断面図に
示すように、ガラス基板11上に一対の電極12,13
を形成した後、導電性薄膜14Zを形成し、両電極1
2,13間に電源34からフォーミング用の比較的大き
な電流Ifを供給し、ジュール熱により導電性薄膜14
Zを局所的に破壊、変形もしくは変質させて電気的に高
抵抗な領域(具体的には、0.5μm〜5μm程度の亀
裂)を生成させ、電子放出層14の形成を行っていた。
しかしながら、このようなフォーミング工程では、亀裂
の生成箇所や大きさを正確に制御することができないた
め、安定した電子放出が可能な電子放出層14を形成す
ることが困難であることは既に述べたとおりである。
【0022】§2. 本発明の電子放出素子の構造およ
び動作 本発明に係る電子放出素子は、図1に示すような表面伝
導型の電子放出素子において、電子放出層14を、表面
が絶縁膜によって覆われた導電性材料からなる微粒子を
多数充填することにより構成したものである。図5は、
この電子放出層の基本構成を説明するための拡大断面図
である。
【0023】いま、図5に断面が示されているように、
表面が絶縁膜によって覆われた導電性材料からなる微粒
子を多数用意する。この実施例では、アルミニウム(A
l)からなる超微粒子の表面に酸化アルミニウム(Al
)の膜が形成されている。一般に、「超微粒子」
という言葉は、直径100nm以下の微粒子に対して用
いられており、本実施形態では、いずれの超微粒子も直
径10〜30nm程度の大きさのものを用いている。ま
た、この超微粒子の表面に形成された酸化アルミニウム
の絶縁膜は膜厚5nm程度のものである。
【0024】本願発明者は、このような表面絶縁膜を有
する超微粒子を支持基板上に充填して物理的な層を形成
すれば、この層は電子放出層として機能することを見出
したのである。たとえば、図5において左端点Pに示さ
れている超微粒子と、右端点Qに示されている超微粒子
との間に、所定の印加電圧V1を供給すると、二点PQ
間に充填されている他のいくつかの超微粒子を介して電
流が流れることになる。超微粒子の充填密度をある程度
以上に保てば、三次元空間内において、各超微粒子の大
部分は他の超微粒子と表面接触した状態になる。このよ
うな構造体において、電子放出現象が起こる理由につい
て、詳細な理論的考察は現段階ではなされていないが、
本願発明者は、各微粒子の表面に形成された絶縁膜が、
高抵抗領域として機能するためであると考えている。す
なわち、従来のフォーミング処理によって生成される亀
裂と同じ機能を、各微粒子表面の絶縁膜が果たしている
ものと思われる。したがって、本発明では、従来のよう
なフォーミング処理は不要になる。
【0025】図6は、本発明の一実施形態に係る電子放
出素子の具体的な構造を示す斜視図である。支持基板4
1上において、一対の電極42,43に挟持されるよう
にして、いわゆるカマボコ型の電子放出層44が形成さ
れている。この電子放出層44は、図5に示した超微粒
子を所定の密度に充填してなる層であり、その両端部を
覆うように、一対の電極42,43がそれぞれ形成され
ている。一方の電極42と他方の電極43との間に所定
の印加電圧V1を供給すれば、前述のように、電子放出
層44には所定の電流I1が流れることになる。このと
き、電子放出層44内を移動中の電子の一部が表面から
外部に放出される。したがって、図に破線で示すような
対向電極45を用意し、この対向電極45にアノード電
圧V2を印加し、支持基板41と対向電極45との間の
空間を所定の真空度に維持しておけば、電子放出層44
の表面から放出された電子が対向電極45へと向かって
飛翔し、放出電流I2を生じることになる。このよう
に、支持基板41、ならびに、その上に形成された一対
の電極42,43および電子放出層44によって、電子
放出素子が形成されることになる。なお、印加電圧V1
は、直流電圧に限らず、交流電圧でもよい。
【0026】ここで、電子放出層44の表面からは、非
常に安定した電子放出が得られる。電子放出層44は、
図5に示すような超微粒子を一様に充填させてなる層で
ある。もちろん、個々の超微粒子をミクロ的に見れば、
それぞれ直径や形状も異なり、また、隣接する超微粒子
との接触状態もそれぞれ異なっている。しかしながら、
電子放出層44全体としてマクロ的に見れば、各超微粒
子の分布も相互の接触状態も均一とみなすことができ
る。したがって、高抵抗領域として機能する絶縁膜の分
布も、マクロ的には均一なものとなり、非常に安定した
電子放出が得られるのである。また、たとえば、この1
つの電子放出層44によって1画素を表示するディスプ
レイ装置を製造する場合、支持基板41上には多数の独
立した電子放出層44が形成されることになるが、マク
ロ的に見れば、各電子放出層44内の超微粒子構造や密
度はほぼ同一になり、画素間における表示特性も均一に
なる。このため、画素間の表示特性にムラのない高品位
のディスプレイ装置が実現できる。
【0027】§3. 本発明の電子放出素子の別な実施
形態 本発明に係る電子放出素子は、図6に示すような構造に
限定されるものではなく、支持基板上に、表面が絶縁膜
によって覆われた導電性材料からなる微粒子を多数充填
することにより構成される電子放出層と、この電子放出
層に接触し互いに所定間隔をおいて配置された一対の電
極と、が形成された構造であれば、どのような構造であ
ってもかまわない。たとえば、図1に示す従来構造の電
子放出素子に本発明を適用する場合は、電子放出層14
を図5に示す微粒子充填構造にすればよい。以下、いく
つかの別な実施形態の構造を例示しておく。
【0028】図6に示す構造は、支持基板41上に電極
42,電子放出層44,電極43を横に並べたものであ
り、図1に示す構造も、支持基板11上に電極12,電
子放出層14,電極13を横に並べたものである。これ
に対して、図7に示す構造は、これを縦に並べるように
したものである。すなわち、まず、図7(a) に示すよう
に、支持基板51(図示されていない)の上に、下部電
極層52,中間絶縁層53,上部電極層54を積層した
三層構造体を形成し、更に、その側面端部に、図7(b)
に示すように電子放出層55を形成するのである。ここ
で、電子放出層55は、図5に示すように、表面が絶縁
膜によって覆われた導電性材料からなる微粒子を多数充
填した層である。このような構造によっても、電子放出
素子50を形成することができる。
【0029】すなわち、図8の側断面図に示されている
ように、ガラス基板51上に、下部電極層52,中間絶
縁層53,上部電極層54を積層した三層構造体を形成
し、更に、その側面端部に、電子放出層55を形成して
なる電子放出素子50を用意し、その上方に対向基板2
0を配置する。対向基板20は、ガラス基板21上に透
明電極22および蛍光体層23を形成したものである。
ここで、図8に示すように各部に配線を施す。この配線
によれば、電極層52は接地され、電極層54には電源
31から負の電圧が印加される。また、電子放出素子5
0と対向基板20との間にも、電源32によってカソー
ド/アノード間電圧が印加されるが、この図8に示す状
態では、スイッチ33が開いているため、電圧印加は行
われていない。電極層52,54によって、電子放出層
55の両側に電圧が印加されると、電子放出層55の膜
表面部分に、図に矢印で示したような電子放出が起こ
る。
【0030】ここで、スイッチ33を閉じてカソード/
アノード間電圧を印加すれば、図9に示すように、電子
放出層55の表面に放出された電子は、アノード側の対
向基板20へと飛翔することになり、このようなカソー
ドからアノードへと向かう電子の衝突により、蛍光体層
23が蛍光を発することになる。ここでは、説明の便宜
上、1画素分の構成要素のみを示したが、このような1
画素分の構成要素を縦横にマトリックス状に配列すれ
ば、画素を二次元平面上に並べたフラットパネルディス
プレイを実現することができる。なお、このようなフラ
ットパネルディスプレイでは、スイッチ33を閉じた状
態のままとし、各画素ごとに電源31からの印加電圧を
調節して、画素ごとの発光状態を制御するのが一般的で
ある。より具体的には、電子放出層55に与える印加電
圧の値および印加時間を調節することにより、対向基板
20側への電子の飛翔量を制御することができる。
【0031】図10に示す構造は、図7に示す構造に段
差を設けたものである。すなわち、まず、図10(a) に
示すように、支持基板61(図示されていない)の上
に、下部電極層62,中間絶縁層63,上部電極層64
を積層した三層構造体を形成する。この三層構造体は、
側部が段差構造となっている。そこで、この段差構造部
分に、図10(b) に示すように電子放出層65を形成す
るのである。ここで、電子放出層65は、図5に示すよ
うに、表面が絶縁膜によって覆われた導電性材料からな
る微粒子を多数充填した層である。このような構造によ
っても、電子放出素子60を形成することができる。
【0032】要するに、本発明の特徴は、表面が絶縁膜
によって覆われた導電性材料からなる微粒子を多数充填
して電子放出層を形成する点にあり、この電子放出層に
対して一対の電極をどのような形態で接触させて電子放
出素子を構成してもかまわない。
【0033】§4. 本発明に係る電子放出層の製造方
上述したように、本発明の特徴は、表面が絶縁膜によっ
て覆われた導電性材料からなる微粒子を多数充填して電
子放出層を形成する点にあるが、このような電子放出層
は、非常に簡便な製造プロセスで製造可能である。たと
えば、第1のチャンバ内を所定の真空度に保ち、不活性
ガスを導入しながら金属を加熱して蒸発させれば、チャ
ンバ内に金属微粒子を充満させることができる。そこ
で、この第1のチャンバ内に、不活性ガスの他に、この
金属と反応して絶縁化合物を生成する性質をもった反応
性ガスを導入すれば、金属微粒子の表面に反応性ガスを
反応させて絶縁化合物の膜を形成させることができる。
こうして、表面に絶縁膜が形成された微粒子を、支持基
板を収容した第2のチャンバ内に導入し、ノズルから支
持基板に向けて放出すれば、支持基板上に微粒子の充填
層が作られ、上述の原理に基づく電子放出現象が起こる
電子放出層が得られる。
【0034】微粒子の大きさや絶縁膜の厚みは、チャン
バ内の真空度や材料の蒸発温度によって制御することが
できる。支持基板上に形成される電子放出層内には、膨
大な数の微粒子が堆積した状態になり、全体として、微
粒子の密度や分布は支持基板上で均一になるため、安定
した電子放出が得られることになる。
【0035】また、第2のチャンバ内に、支持基板を移
動させる移動ステージを設け、この移動ステージにより
支持基板を移動させながら電子放出層を成長させるよう
にすれば、ノズルから放出される微粒子を支持基板上の
任意の位置へ堆積させることが可能になり、移動軌跡に
応じた任意のパターンを非常に簡単に形成させることが
できる。
【0036】なお、反応性ガスは、第1のチャンバから
第2のチャンバへ向かう移送管の途中において導入する
ことも可能である。この場合は、反応性ガスを導入する
経路に調圧チャンバを設け、導入した反応性ガスが第1
のチャンバ側へ逆流しないように導入圧の調整を行うよ
うにするとよい。あるいは、反応性ガスを第2のチャン
バ側に導入し、ノズルから放出した金属微粒子の表面に
絶縁膜を形成させた直後に、支持基板上に堆積させるよ
うにしてもよい。また、第1のチャンバ内に反応性ガス
を導入する場合には、チャンバ内にプラズマ生成用電極
を用意しておき、このプラズマ生成用電極の近傍に反応
性ガスを導入し、プラズマ状態の反応性ガスにより絶縁
膜の形成を行うようにすると効率的である。
【0037】
【実施例】以下、本発明に係る電子放出素子の具体的な
製造方法を図示するいくつかの実施例に基いて説明す
る。この製造プロセスは、いわゆる反応性ガスデポジシ
ョン装置を用いた反応性超微粒子成膜技術を利用したも
のである。この方法によれば、表面が絶縁膜に覆われた
導電性微粒子の充填層を基板上に形成させることが、短
時間で、かつ非常に簡単なプロセスで行うことができ
る。
【0038】(1) 第1の製造方法 まず、図11に示すように、2つのチャンバを用意す
る。第1のチャンバ110は、収容したアルミニウム材
料111を蒸発させて、アルミニウムの超微粒子を生成
し、その表面に酸化膜を形成させるためのチャンバであ
り、第2のチャンバ120は、この第1のチャンバ11
0で生成された微粒子を、支持基板101上にノズル1
21から放出することにより、支持基板101上に電子
放出層104を形成させるためのチャンバである。後述
するように、支持基板101は、移動ステージ122上
に載置されている。なお、この第2のチャンバ120内
は、排気管123を介して真空ポンプ(図示されていな
い)などで排気されており、所定の真空度に保つことが
できる。また、第1のチャンバ110と第2のチャンバ
120とは、移送管114によって連結されているた
め、排気管123からの排気により、第1のチャンバ1
10内も間接的に排気され、所定の真空度に保たれるこ
とになる。両チャンバ内の真空度は、真空ポンプによる
排気能率やノズル121の口径などを調節することによ
り制御できる。
【0039】第1のチャンバ110内には、アルミニウ
ム材料111を入れるためのルツボ112が備わってお
り、このルツボ112は、図示されていない加熱装置に
よって加熱される(抵抗加熱・高周波加熱などを利用す
ればよい)。チャンバ110内には、ガス導入管113
によって不活性ガスとしてのヘリウムと反応性ガスとし
ての酸素とが導入される。反応性ガスは、ルツボ112
内の導電性材料と反応して絶縁化合物を生成する性質を
もったガスであればどのようなガスでもかまわない。こ
の実施例では、アルミニウムと反応して酸化アルミニウ
ムを生成する性質をもった酸素ガス(O)を反応性ガ
スとして用いているが、この他にも、たとえばアンモニ
アガス(NH)、窒素ガス(N)などを反応性ガス
として用いてもよい。
【0040】ガス導入管113からヘリウムおよび酸素
を導入しながら、第1のチャンバ110内を所定の真空
度に保ち、ルツボ112を加熱してアルミニウム材料1
11を蒸発させると、アルミニウム蒸気がチャンバ11
0内に充満することになる。そして、チャンバ110内
において、散在しているアルミニウム原子が互いに結合
して、アルミニウムの微粒子が生成される。ところが、
チャンバ内には、ヘリウムガスとともに酸素ガスが導入
されているので、生成されたアルミニウムの微粒子の表
面は酸素ガスによる酸化を受けて酸化膜が形成されるこ
とになる(ガス中蒸発法)。
【0041】導入するヘリウムガスと酸素ガスとの配分
率は、適宜選択することができるが、生成される超微粒
子の酸化膜を薄くするためには、酸素の配分率を小さく
する必要がある。この実施例では、酸素の配分率を10
%程度としている。生成される微粒子の大きさは、チャ
ンバ内の真空度と、ルツボ112の温度によって制御す
ることができる。チャンバ内の圧力を、数10mtor
r〜数1000torr程度に維持すれば、アルミニウ
ムの超微粒子を生成することが可能であるが、最終的に
製造される電子放出層104の密度を高くするために
は、300torr以上に維持しておくのが好ましい。
【0042】第1のチャンバ110内で生成された微粒
子(表面に酸化膜が形成されたアルミニウム微粒子)
は、移送管114を伝わって第2のチャンバ120内に
送られ、ノズル121から支持基板101に向かって放
出される。排気管123からの排気により、第2のチャ
ンバ120内の圧力は、第1のチャンバ110内の圧力
より低くなるため、微粒子はチャンバ間の圧力差に基い
て、自然に第2のチャンバ120内に移送され、ノズル
121から放出されることになる。この実施例では、第
1のチャンバ110の圧力を500torrに維持する
とともに、第2のチャンバ120の圧力を5torr以
下に維持することができるように、排気系やノズル径の
設定を行っている。
【0043】第2のチャンバ120内には、移動ステー
ジ122が設けられており、支持基板101は、この移
動ステージ122上に固定されている。ノズル121か
ら放出された超微粒子は、支持基板101の上面に吹き
付けられる。移動ステージ122は、このノズル121
の吹き出し方向に対して垂直な平面内において、支持基
板101を自由に移動させることができる。そこで、た
とえば、図12に示すように、矢印Aの方向に支持基板
101をゆっくりと移動させながら、ノズル121から
の超微粒子を支持基板101上に吹き出させれば、支持
基板101上には、この矢印Aで示す移動軌跡に応じた
パターンをもった電子放出層104を成長させることが
できる。この実施例では、幅200μm、厚み(高さ)
20μm、長さ10mm程度の寸法をもった電子放出層
104を得ている。
【0044】こうして得られた電子放出層104の両端
に、それぞれ電極層を形成するようにすれば、図6に示
すような構造をもった電子放出素子が形成できる。な
お、上述の方法によれば、移動ステージ122の移動軌
跡によって、任意のパターンをもった電子放出層104
を形成することができる。たとえば、図7(a) に示すよ
うな三層構造体を予め基板上に形成しておき、その側面
部にノズル121からの微粒子を吹き付けるようにすれ
ば、図7(b) に示すような電子放出層55を形成するこ
とも可能である。また、移動ステージ122の移動速
度、ルツボ112の温度(材料の蒸発速度を左右す
る)、導入ガスの流量などを制御することにより、形成
される電子放出層の厚みは自由に制御することが可能で
ある。更に、必要に応じて、アルミニウムに対するエッ
チャントを用いれば、電子放出層を形成後に、エッチン
グプロセスにより、この電子放出層に対するパターニン
グを行うことも可能である。
【0045】なお、この第1の製造方法では、第1のチ
ャンバ110内に酸素ガスを導入するため、ルツボ11
2やその加熱機構が酸化により劣化することのないよう
にする必要がある。特に、一般的なカーボンルツボや、
加熱用タングステンヒータを用いると、カーボンやタン
グステンが酸化を受け好ましくない。そこで、たとえ
ば、BNルツボ(Boron Nitride 製のルツボ)などをル
ツボ112として用いるのが好ましい。
【0046】(2) 第2の製造方法 上述した第1の製造方法では、第1のチャンバ110内
に反応性ガスを導入して表面酸化膜の形成を行ったが、
第1のチャンバ110から第2のチャンバ120への移
送途中で反応性ガスを導入し、表面酸化を行うようにし
てもよい。図13は、このような製造プロセスを行うた
めの装置の構成図である。第1のチャンバ110には、
ガス導入管113によって不活性ガスとしてのヘリウム
だけが導入されており、反応性ガスは、移送管114の
途中に設けられた別なガス導入管115から導入され
る。このガス導入管115から導入する反応性ガスとし
ては、ここでは酸素ガス(O)を用いているが、上述
の第1の製造方法と同様に、アンモニアガス(N
)、窒素ガス(N)などを用いてもよい。また、
これらの反応性ガスをヘリウムなどの不活性ガスに混ぜ
てガス導入管115から導入するようにしてもよい。
【0047】このような方法によれば、第1のチャンバ
110内では、アルミニウムからなる超微粒子が生成さ
れるが、この超微粒子は、移送管114を介して第2の
チャンバ120へと移送される途中において、ガス導入
管115から導入された反応性ガスと反応し、表面に酸
化膜が形成されることになる。したがって、第2のチャ
ンバ120内のノズル121から放出される超微粒子
は、表面に酸化膜が形成されたアルミニウムの超微粒子
となり、前述の方法と同様に、支持基板101上に電子
放出層104を形成することができる。
【0048】なお、ガス導入管115から反応性ガスを
導入する場合、導入したガスが第1のチャンバ110側
へと逆流する可能性がある。このような逆流が起こる
と、移送管114を介しての第2のチャンバ120への
微粒子移送が円滑に行われなくなる。そこで、実用上
は、図14に示すように、ガス導入管115の経路途中
に調圧チャンバ116を設け、導入した反応性ガスが第
1のチャンバ110側へ逆流しないように、導入圧の調
整を行うようにするのが好ましい。この実施例では、第
1のチャンバ110を500torr、第2のチャンバ
120を5torrに維持しつつ、調圧チャンバ116
を500torrに調圧することにより、ガスの逆流を
防止している。
【0049】(3) 第3の製造方法 反応性ガスを第2のチャンバ120内に導入して表面酸
化を行うことも可能である。図15は、このような製造
プロセスを行うための装置の構成図である。第2のチャ
ンバ110には、ガス導入管113によって不活性ガス
としてのヘリウムだけが導入されており、反応性ガス
は、第2のチャンバ120側にガス導入管124から導
入されている。このガス導入管124から導入する反応
性ガスとしては、ここでは酸素ガス(O)を用いてい
るが、上述の各製造方法と同様に、アンモニアガス(N
)、窒素ガス(N)などを用いてもよい。また、
これらの反応性ガスをヘリウムなどの不活性ガスに混ぜ
てガス導入管124から導入するようにしてもよい。
【0050】このような方法によれば、第1のチャンバ
110内では、アルミニウムからなる超微粒子が生成さ
れ、この超微粒子は、移送管114を介して第2のチャ
ンバ120へと導入される。そして、ノズル121から
放出された時点で、ガス導入管123から導入された酸
素ガスと反応し、表面に酸化膜が形成されることにな
る。したがって、支持基板101上には、表面に酸化膜
が形成されたアルミニウムの超微粒子が吹き付けられ、
前述の各方法と同様に、支持基板101上に電子放出層
104を形成することができる。
【0051】(4) 第4の製造方法 反応性ガスとの反応を促進させるためには、反応性ガス
をプラズマ化すると効果的である。図16は、このよう
な製造プロセスを行うための装置の構成図である。第1
のチャンバ110には、更に、プラズマ生成用電極11
7a,117bが設けられており、この一対の電極間に
高周波電圧RFを印加できるような構成になっている。
また、不活性ガス用のガス導入管113とは別に、反応
性ガス用のガス導入管118が設けられている。このガ
ス導入管118によって、反応性ガスがプラズマ生成用
電極117a,117bの近傍に導入され、両電極間に
高周波電圧RFを印加することにより、この電極近傍に
プラズマ状態の反応性ガスを発生させることができる。
なお、ガス導入管118から導入する反応性ガスとして
は、ここでは酸素ガス(O)を用いているが、上述の
各製造方法と同様に、アンモニアガス(NH)、窒素
ガス(N)などを用いてもよい。また、これらの反応
性ガスをヘリウムなどの不活性ガスに混ぜてガス導入管
118から導入するようにしてもよい。
【0052】ルツボ111から蒸発したアルミニウム蒸
気は、プラズマ生成用電極117a,117b間を通っ
て、移送管114へと向かうことになるが、その行程に
おいて、プラズマ化した反応性ガスと反応し、表面に絶
縁膜が形成されることになる。こうして、表面に絶縁膜
が形成された微粒子は、第2のチャンバ120へと移送
され、ノズル121から放出される。したがって、支持
基板101上には、表面に酸化膜が形成されたアルミニ
ウムの超微粒子が吹き付けられ、前述の各方法と同様
に、支持基板101上に電子放出層104を形成するこ
とができる。
【0053】もっとも、酸素ガスは比較的反応性の高い
ガスであるため、実用上は、あえて酸素ガスをプラズマ
化して反応を促進する必要はない。しかしながら、窒素
ガスのように、比較的反応性の低いガスを利用する場合
には、このようなプラズマ化する方法は非常に有効であ
る。
【0054】以上、本発明を図示する実施例に基いて説
明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではな
く、この他にも種々の態様で実施可能である。たとえ
ば、上述の実施例では、表面に酸化アルミニウムが形成
されたアルミニウム超微粒子を用いて電子放出層104
を形成しているが、超微粒子の構成材料はこれらのもの
に限定されるものではなく、アルミニウムの代わりに、
鉄、銅、銀などの別な金属やこれらの合金を用いてもか
まわないし、たとえば、SnO,In,PbO
などの金属化合物やカーボンなど、金属以外の別な導電
性材料を用いてもかまわない。本明細書における「導電
性材料」は、半導体をも含んだ広い概念であり、アルミ
ニウムの代わりにシリコンを用い、このシリコンの微粒
子表面に酸化シリコンからなる絶縁膜を形成してもよ
い。また、絶縁膜も「導電性材料」に対して高抵抗膜と
して機能する材料であれば、種々の材料を用いることが
できる。
【0055】また、上述の実施例では、微粒子材料をル
ツボに入れて加熱しているが、ルツボを用いずに微粒子
材料を直接加熱するようにしてもよい。このような直接
加熱の方法としては、レーザアブレーション法、ラ
ンプ加熱法(たとえば、キセノンランプの光を集光して
加熱する方法)、高周波加熱法などを用いることがで
き、特に、上記およびの方法は、シリコンなどの低
熱伝導率をもち高融点の材料を加熱する場合に有効であ
る。
【0056】
【発明の効果】以上のとおり本発明によれば、表面が絶
縁膜で覆われた超微粒子を充填させて電子放出層を実現
したため、安定した電子放出が可能であり、また、製造
プロセスが簡便な電子放出素子を実現することが可能に
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来提案されている一般的な表面伝導型の電子
放出素子10および対向基板20の構造を示す断面図で
ある。
【図2】図1に示す電子放出素子10におけるガラス基
板11上に形成された構成要素の上面図であり、この図
における切断線1−1による断面が図1に示されてい
る。
【図3】図1に示す電子放出素子10からの電子放出が
行われている状態を示す断面図である。
【図4】図1に示す電子放出素子10の電子放出層14
をフォーミング処理により形成する方法を示す断面図で
ある。
【図5】本発明に係る電子放出素子における電子放出層
の基本構成を説明するための拡大断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る電子放出素子の具体
的な構造を示す斜視図である。
【図7】本発明の別な一実施形態に係る電子放出素子5
0の具体的な構造を示す斜視図である。
【図8】図7に示す電子放出素子50および対向基板2
0の構造を示す断面図である。
【図9】図7に示す電子放出素子50からの電子放出が
行われている状態を示す断面図である。
【図10】本発明の更に別な一実施形態に係る電子放出
素子60の具体的な構造を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る電子放出素子の第1の製造方法
を実施するための装置構成を示すブロック図である。
【図12】図11に示す装置における第2のチャンバ1
20内の詳細図である。
【図13】本発明に係る電子放出素子の第2の製造方法
を実施するための装置構成を示すブロック図である。
【図14】本発明に係る電子放出素子の第2の製造方法
を実施するための別な装置構成を示すブロック図であ
る。
【図15】本発明に係る電子放出素子の第3の製造方法
を実施するための装置構成を示すブロック図である。
【図16】本発明に係る電子放出素子の第4の製造方法
を実施するための装置構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10…電子放出素子 11…ガラス基板 12…電極 13…電極 14…電子放出層 14Z…導電性薄膜 20…対向基板 21…ガラス基板 22…透明電極 23…蛍光体層 31…電源 32…電源 33…スイッチ 34…電源 41…支持基板 42…電極 43…電極 44…電子放出層 45…対向基板 50…電子放出素子 51…支持基板 52…下部電極層 53…中間絶縁層 54…上部電極層 55…電子放出層 60…電子放出素子 61…支持基板 62…下部電極層 63…中間絶縁層 64…上部電極層 65…電子放出層 101…支持基板 104…電子放出層 110…第1のチャンバ 111…アルミニウム材料 112…ルツボ 113…ガス導入管 114…移送管 115…ガス導入管 116…調圧チャンバ 117a,17b…プラズマ生成用電極 118…ガス導入管 120…第2のチャンバ 121…ノズル 122…移動ステージ 123…排気管 124…ガス導入管 I1…ダイオード電流 I2…放出電流 If…フォーミング用電流 V1…印加電圧 V2…アノード電圧

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面が絶縁膜によって覆われた導電性材
    料からなる微粒子を多数充填することにより構成される
    電子放出層と、この電子放出層に接触し互いに所定間隔
    をおいて配置された一対の電極と、前記電子放出層およ
    び前記一対の電極を支持する支持基板と、を有すること
    を特徴とする電子放出素子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電子放出素子におい
    て、 電子放出層を構成する微粒子として、直径が100nm
    以下の超微粒子を用いたことを特徴とする電子放出素
    子。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の電子放出素子
    の製造方法において、 導電性材料を収容した第1のチャンバと、電子放出層を
    形成させる支持基板を収容した第2のチャンバと、を用
    意し、 前記第1のチャンバ内に、前記導電性材料と反応して絶
    縁化合物を生成する性質をもった反応性ガスを、不活性
    ガスとともに導入しながら、前記導電性材料を加熱して
    蒸発させ、表面が前記絶縁化合物によって覆われた導電
    性材料からなる微粒子を生成し、 生成した微粒子を、前記第2のチャンバ内にノズルから
    支持基板に向けて放出させるようにして導入し、前記支
    持基板上に電子放出層を形成することを特徴とする電子
    放出素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載の電子放出素子
    の製造方法において、 導電性材料を収容した第1のチャンバと、電子放出層を
    形成させる支持基板を収容した第2のチャンバと、を用
    意し、 前記第1のチャンバ内に、不活性ガスを導入しながら、
    前記導電性材料を加熱して蒸発させ、前記導電性材料か
    らなる微粒子を生成し、 生成した微粒子を移送管を通じて前記第1のチャンバか
    ら前記第2のチャンバへと移送しつつ、この移送管の途
    中において、前記導電性材料と反応して絶縁化合物を生
    成する性質をもった反応性ガスを導入し、前記微粒子の
    表面に前記反応性ガスを反応させ、表面が前記絶縁化合
    物によって覆われた微粒子を生成し、 この微粒子を、前記第2のチャンバ内にノズルから支持
    基板に向けて放出させるようにして導入し、前記支持基
    板上に電子放出層を形成することを特徴とする電子放出
    素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の電子放出素子の製造方
    法において、 反応性ガスを移送管の途中に導入する経路に、調圧チャ
    ンバを設け、導入した反応性ガスが第1のチャンバ側へ
    逆流しないように導入圧の調整を行うことを特徴とする
    電子放出素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1または2に記載の電子放出素子
    の製造方法において、 導電性材料を収容した第1のチャンバと、電子放出層を
    形成させる支持基板を収容した第2のチャンバと、を用
    意し、 前記第1のチャンバ内に不活性ガスを導入しながら、前
    記導電性材料を加熱して蒸発させ、前記導電性材料から
    なる微粒子を生成し、 前記第2のチャンバ内に前記導電性材料と反応して絶縁
    化合物を生成する性質をもった反応性ガスを導入した状
    態において、前記第1のチャンバで生成した微粒子を、
    ノズルから支持基板に向けて放出させるようにして前記
    第2のチャンバ内に導入し、導入した微粒子の表面に前
    記反応性ガスを反応させて前記絶縁化合物の膜を形成さ
    せ、この膜を有する微粒子によって、前記支持基板上に
    電子放出層を形成することを特徴とする電子放出素子の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1または2に記載の電子放出素子
    の製造方法において、 導電性材料とプラズマ生成用電極とを収容した第1のチ
    ャンバと、電子放出層を形成させる支持基板を収容した
    第2のチャンバと、を用意し、 前記第1のチャンバ内に不活性ガスを導入しながら前記
    導電性材料を加熱して蒸発させ、前記プラズマ生成用電
    極の近傍に、前記導電性材料と反応して絶縁化合物を生
    成する性質をもった反応性ガスを導入しながら、前記プ
    ラズマ生成用電極に高周波電圧を印加して反応性ガスに
    よるプラズマを発生させ、蒸発した前記導電性材料に前
    記プラズマを反応させ、表面が前記絶縁化合物によって
    覆われた導電性材料からなる微粒子を生成し、 生成した微粒子を、前記第2のチャンバ内にノズルから
    支持基板に向けて放出させるようにして導入し、前記支
    持基板上に電子放出層を形成することを特徴とする電子
    放出素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項3〜7のいずれかに記載の電子放
    出素子の製造方法において、 第2のチャンバ内に、支持基板を移動させる移動ステー
    ジを設け、この移動ステージにより支持基板を移動させ
    ながら電子放出層を成長させることにより、移動軌跡に
    応じたパターンの電子放出層を形成することを特徴とす
    る電子放出素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005097074A (ja) * 2003-02-17 2005-04-14 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 絶縁化超微粉末とその製造方法、およびそれを用いた高誘電率樹脂複合材料

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