JP3543488B2 - 封止接点装置の製造方法及び封止方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として、気密空間が形成されたハウジング内に固定接点と可動接点とが配置された封止接点装置の製造方法及び封止方法に関し、詳しくは、気密空間を得るための構成が、ハウジングから突出するのを回避し、ハウジングに突出部が生じるのを回避しようとする技術に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、気密空間Eが形成されたハウジング1内に固定接点2と可動接点3とが配置された封止接点装置Aaにおいては、図12に示す特公平5−28457号のように、ハウジング1から給排気管7aが突出され、この給排気用管7aを介してハウジング1内を真空排気し、または、内部にガスを導入し、その後、給排気用管7aを圧着して封止するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような構成のものにおいては、給排気用管7aを用いるため、この給排気用管7aがハウジング1から突出し、封止接点装置Aaの設置、梱包及び保管等において面倒になるものである。
【0004】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、気密空間を得るための構成が、ハウジングから突出するのを回避し、ハウジングに突出部が生じるのを回避することができる封止接点装置の製造方法及び封止方法を提供しようとするにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明においては、気密空間Eが形成されたハウジング1内に固定接点2と可動接点3とが配置され、ハウジング1を構成するセラミック製の容器本体4の開口端に金属蓋6が気密的に接合され、金属蓋6に給排気用孔7が形成され、この給排気用孔7を介して給排気後、孔周囲を溶融させて、その溶融金属により給排気用孔7を塞いで封止する封止接点装置の製造方法であって、切り起こし片6eを容器本体4の内側に形成して給排気用孔7を形成し、給排気後、切り起こし片6eの根元部分を局部加熱して切り起こし片
部分を変形させて給排気用孔7を塞ぐようにした後、残りの孔周囲を加熱溶融して封止することを特徴とするものである。
【0006】
請求項2の発明においては、請求項1において、切り起こし片6eに金属蓋6と略平行となる平行部6gが形成され、平行部6gを圧延して平行部6gの板厚を切り起こし片6eの他の部分よりも薄くして平行部6gの幅を広げ、切り起こし片6eを戻した時に重ね代6hを設けることを特徴とするものである。
【0007】
請求項3の発明においては、請求項1において、切り起こし片6eの容器本体4の内方への出っ張りを軽減するために、切り起こし片6eが形成された孔周辺を容器本体4の外方に張り出すことを特徴とするものである。
【0008】
請求項4の発明においては、気密空間Eが形成されたハウジング1内に固定接点2と可動接点3とが配置され、ハウジング1を構成するセラミック製の容器本体4の開口端に金属蓋6が気密的に接合され、金属蓋6に給排気用孔7が形成され、この給排気用孔7を介 して給排気後、孔周囲を溶融させて、その溶融金属により給排気用孔7を塞いで封止する封止接点装置の製造方法であって、金属蓋6の板厚に対して斜めに給排気用孔7を形成し、給排気用孔7の周囲を溶接して封止することを特徴とするものである。
【0009】
請求項5の発明においては、気密空間Eが形成されたハウジング1内に固定接点2と可動接点3とが配置され、ハウジング1を構成するセラミック製の容器本体4の開口端に金属蓋6が気密的に接合され、金属蓋6に給排気用孔7が形成され、この給排気用孔7を介して給排気後、孔周囲を溶融させて、その溶融金属により給排気用孔7を塞いで封止する封止接点装置の製造方法であって、金属蓋6に多数の微小孔7d…を形成して給排気用孔7とし、給排気用孔7を介して給排気した後、微小孔7d…を加熱溶融して封止することを特徴とするものである。
【0010】
請求項6の発明においては、請求項5において、金属蓋6の開口6jに対して、周壁に多数の溝32a…を有する栓部品32を挿入して溝32a…にて金属蓋6に微細孔を形成して給排気用孔7が形成され、給排気用孔7を介して給排気した後、栓部品32を金属蓋6に加熱溶融して給排気用孔7を封止することを特徴とするものである。
【0011】
請求項7の発明においては、気密空間Eが形成されたハウジング1内に固定接点2と可動接点3とが配置され、ハウジング1を構成するセラミック製の容器本体4の開口端に金属蓋6が気密的に接合され、金属蓋6に給排気用孔7が形成され、この給排気用孔7を介して給排気後、孔周囲を溶融させて、その溶融金属により給排気用孔7を塞いで封止する封止接点装置の製造方法であって、給排気用孔7が形成された金属蓋6部分にポート部材41を取り外し可能に気密的に取り付け、ポート部材41を介して給排気した後、給排気用孔7を封止することを特徴とするものである。
【0012】
請求項8の発明においては、気密空間 E が形成されたハウジング 1 内に固定接点 2 と可動接点 3 とが配置され、ハウジング 1 を構成するセラミック製の容器本体 4 の開口端に金属蓋 6 が気密的に接合され、金属蓋 6 に給排気用孔 7 が形成され、給排気用孔 7 に孔のない別の金属部材が装着され、この金属部材を溶融させて、給排気用孔 7 を塞いで封止する封止接点装置の製造方法であって、複数の栓43を切り離し片44にて切り離し自在に連結し、金属蓋6の給排気用孔7を栓43にて封止すると同時に、または、封止後に切り離し片44にて切り離すことを特徴とするものである。
【0014】
請求項9の発明においては、金属板6dに形成された給排気用孔7の封止方法であって、切り起こし片6eの根元部分を局部的に加熱して熱ひずみにより切り起こし片6e部分を変形させて給排気用孔7を塞ぐようにした後、小さくなった隙間周囲を加熱溶融して封止することを特徴とするものである。
【0015】
請求項1の構成においては、給排気用孔7を切り起こし片6eにて形成することで、真空排気及びガス導入時には大きな開口断面積を確保し、真空排気及びガス導入に要する時間の短縮が計れるとともに、切り起こし片6eを例えばレーザ照射で非接触で変形して隙間を小さくでき、さらに、金属の追加無しにレーザなどの熱源を用いて孔周辺の金属を溶
融させて気密に溶接することができる。
【0016】
請求項2の構成においては、切り起こし片6eを例えばプレスなどで圧延して板厚を薄くするとともに幅を広げて重ね代6hを形成しておくことで、切り起こし片6eの根元部分を例えばレーザ照射などにより局部加熱して、局部加熱した部分の冷却時の収縮により 切り起こし片6eを変形して隙間を小さくした時に、重ね代6hが形成されるので、気密溶接が容易になり、溶接の信頼性が高くなる。
【0017】
請求項3の構成においては、切り起こし片6eは金属板6dの下面より突出しないので、例えば、金属板6dの下方に他の部品が存在する場合、その部品と干渉することがなくなる。また、突出した変形部がリブの役割をし、溶接歪みによる周囲の変形を防止することができる。
【0018】
請求項4の構成においては、給排気用孔7を斜めに孔を貫通させているので、レーザ等の熱源を金属蓋6に対して垂直に照射しても容易に気密封止することができる。
【0019】
請求項5の構成においては、多数の微小孔としているので、給排気後に給排気用孔7を気密封止するのが容易におこなうことが可能で、封止の信頼性を高めることができる。
【0020】
請求項6の構成においては、別の栓部材32により微細な給排気用孔7を形成するので、金属蓋6に微細な孔加工を施すのに比べて容易にかつ安価に微細な給排気用孔7を得ることができる。また、略円錐状の栓部材32の外周に沿って溝32aを設けることにより、円状に熱源を移動させて加熱溶融することができるので、気密封止を容易に行うことが可能である。
【0021】
請求項7の構成においては、ポート部材41による給排気を行うので、真空領域を小さくすることが可能で、給排気に要する時間を短縮することができ、気密封止工程の生産性を向上させることができる。
【0022】
請求項8の構成においては、栓43…が連続的に供給され、気密封止における生産性を高めることができる。
【0024】
請求項9の構成においては、給排気用孔7を切り起こしとすることで、給排気時には大きな開口面積を確保でき、給排気に要する時間の短縮が計れるとともに、切り起こし片6eの変形にレーザ等の熱源を用いているので、金属板6dに非接触に取り扱うことが可能であり、真空状態やガス雰囲気といったチャンバー内部における工法として大変好都合である。さらに、レーザなどの熱源を用いて隙間を小さくすることで別部材の追加なしに気密封止を容易に行うことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の一形態を図面に基づいて詳述する。
【0026】
図1(e)は金属蓋6に給排気用孔7を形成して封止する封止接点装置Aの断面図を示したものである。
【0027】
まず、図1(e)は例えばアルミナ系セラミックのような耐熱性絶縁材料により一面が開口した箱状で、ハウジング1を構成するための容器本体4の底部に2個の固定電極10,10が気密接合され、ベローズ8と、42アロイ等からなり中央に貫通孔6a及び適宜箇所に給排気用孔7を有する金属蓋6と、軸受9を設けたベローズ押さえ12等により気密空間Eが構成される。
【0028】
すなわち、容器本体4の上開口部にはそれを塞ぐように金属部である上フランジ11を介して金属蓋6が接合され、ベローズ8は一方の上方端部をベローズ押さえ12で挟むようにして金属蓋6に、他方の下方端部を可動軸13に気密接合される。このようにして気密空間Eが形成され、真空排気後、給排気用孔7は封止される。封止接点装置Aの種類によっては内部に接点性能の向上を目的として給排気用孔7から封止前に水素または水素を主体とするガスが例えば2気圧程度でもって封入される場合がある。固定電極10には、例えば銅系材料により概略多段円柱状に形成され頂部に固定接点2が形成される。固定電
極10は42アロイ等からなる下フランジ14を介して気密接合される。15は可動接触子で銅系材料により固定接点2に接離し得る間隔で可動接点3、3を両端部に固着し略平板状に形成されており、可動軸13を介して外部の駆動部(図示せず)よりの力によって固定接点2に押し付けられ、また駆動力が解除された場合には復帰バネ16の作用によって固定接点2から離れる。
【0029】
このように、ハウジング1を構成するセラミック製の容器本体4の開口端に金属蓋6が気密的に接合され、金属蓋6に給排気用孔7が形成され、この給排気用孔7が封止され、給排気用孔7が封止されて金属蓋6から突出する物がなく、気密空間Eを得るための構成がハウジング1から突出することを回避している。
【0030】
(実施例1)
図1は請求項1の実施例である。
【0031】
金属蓋6に設けた給排気用孔7が切り起こし片6eにより形成されている。この切り起こし片6eは容器本体4の内方に形成されている。給排気用孔7を通じて、封止接点装置Aの種類によっては接点性能の向上を目的として内部を真空排気し、水素または水素を主体とするガスが例えば2気圧程度でガス導入[図1(a)]後、切り起こし片6eの根元部分を例えばレーザ照射などにより局部加熱して、局部加熱した部分の冷却時の収縮により切り起こし片6e部分を変形して隙間を小さくした〔図1(b)〕後、隙間部に例えばレーザを照射して孔周囲の金属を溶融させて隙間を気密溶接して給排気用孔7を封止する〔図1(c)〕。
【0032】
このような方法によれば、給排気用孔7を切り起こし片6eにて形成することで、真空排気及びガス導入時には大きな開口断面積を確保し、真空排気及びガス導入に要する時間の短縮が計れるとともに、切り起こし片6eを例えばレーザ照射で非接触で変形して隙間を小さくでき、さらに、金属の追加無しにレーザなどの熱源を用いて孔周辺の金属を溶融させて気密に溶接することができる。
【0033】
(実施例2)
図2は請求項2の実施例である。
【0034】
金属蓋6に設けた給排気用孔7が切り起こし片6eにより形成されているが、切り起こした後、切り起こし片6eを例えばプレスなどで延ばして板厚を薄くするとともに幅を広げて、切り起こし孔の幅よりも広幅となる重ね代6hを形成しておく。
【0035】
給排気用孔7を通じて、封止接点装置Aの種類によっては接点性能の向上を目的として内部を真空排気し、水素または水素を主体とするガスが例えば2気圧程度でガス導入〔図2(a)〕後、切り起こし片6eの根元部分を例えばレーザ照射などにより局部加熱して、局部加熱した部分の冷却時の収縮により切り起こし片6eを変形して隙間を小さくした〔図2(d)〕後、隙間部に例えばレーザを照射して孔周囲の金属を溶融させて隙間を気密溶接して封止する〔図2(f)〕。
【0036】
このような方法によれば、切り起こし片6eを例えばプレスなどで圧延して板厚を薄くするとともに幅を広げて重ね代6hを形成しておくことで、切り起こし片6eの根元部分を例えばレーザ照射などにより局部加熱して、局部加熱した部分の冷却時の収縮により切り起こし片6eを変形して隙間を小さくした時に、重ね代6hが切り起こし孔の縁部に重なるので、気密溶接が容易になり、溶接の信頼性が高くなる。
【0037】
(実施例3)
図3は請求項3の実施例である。本実施例の基本構成は実施例1のものと共通であり、共通する部分には同一の符号を付して説明は省略し、本実施例の特徴である給排気用孔7の封止の方法についてのみ説明する。
【0038】
まず、図3(a)のように例えば板厚tが0.5mmの金属板6dに板厚より例えば内方への切り起こし高さhが0.7mmとして切り起こし片6eを形成させる。このとき、図3(b)示すように切り起こし片6eの周辺の金属部分を塑性変形により外方へ立上げ高さjが0.7mm以上変形させておく。給排気用孔7を通じて、封止接点装置Aの種類によっては接点性能の向上を目的として内部を真空排気し、水素または水素を主体とするガスが例えば2気圧程度でガス導入後、切り起こし片6eの根元部分を例えばレーザ照射
などにより局部加熱して、局部加熱した部分の冷却時の収縮により切り起こし片6e部分を変形して隙間を小さくした〔図3(c)〕後、隙間部に例えばレーザを照射して隙間周囲の金属を溶融させて隙間を気密溶接して封止する〔図3(d)〕。
【0039】
これにより、切り起こし片6eは金属板6dの下面より突出しないので、例えば、金属板6dの下方に他の部品が存在する場合、その部品と干渉することがなくなる。また、突出した変形部がリブの役割をし、溶接歪みによる周囲の変形を防止する。
【0040】
(実施例4)
図4は請求項4の実施例であり、本実施例の基本構成は実施例1のものと共通であり、共通する部分には同一の符号を付して説明は省略し、本実施例の特徴である給排気用孔7の形成及びその封止手段についてのみ説明する。
【0041】
金属蓋6に、例えばφ0.2〜φ0.3程度の小径孔を斜めに貫通させて給排気用孔7としたものである。孔形成後、その給排気用孔7を介して、容器本体4の内部を真空排気を行った後、金属蓋6の給排気用孔7付近(内部に孔が存在する側)を例えばレーザ等の熱源により加熱して溶接させる〔図4(a)〕。このようにして、溶融金属が給排気用孔7部分に流れ込み、給排気用孔7を完全に塞いで気密封止させる〔図4(b)〕。
【0042】
本実施例によれば、給排気用孔7を斜めに孔を貫通させているので、レーザ等の熱源を金属蓋6に対して垂直に照射しても容易に気密封止することが可能である。
【0043】
(実施例5)
図5は請求項5の実施例であり、本実施例の基本構成は実施例1のものと共通であり、共通する部分には同一の符号を付して説明は省略し、本実施例の特徴である給排気用孔7の形成及びその封止手段についてのみ説明する。
【0044】
まず、図5(a)は金属蓋6の開口部に金属粉体30…を詰め、加圧等の手段によって多孔質組織を形成して多数の微小孔7d…から給排気用孔7を構成したものを示し、図5(b)はその断面図である。この場合、通常の焼結金属を形成するのに比べて圧力、温度を低く押さえることによって金属粉が互いに完全に融合することなく、通気性を有する仮焼結状態を得ることができる。
【0045】
図5(c)は同様に6角形断面の孔を多数有するいわゆるハニカム構造等のような多孔性の押し出し材29を金属蓋6の開口に詰めて、給排気用孔7を形成したものであり、図5(d)はその断面図である。
【0046】
更に、図5(e)は円形断面等の線材31を束ねたものを金属蓋6の開口に詰めて、給排気用孔7を形成したものであり、線材31…間の多数の微小孔7d…によって給排気用孔7を確保することができる。図5(f)はその断面図である。
【0047】
本実施例によれば、多数の微小孔7d…としているので、給排気後に給排気用孔7を気密封止するのが容易におこなうことが可能で、封止の信頼性が高くなる。
【0048】
(実施例6)
図6は請求項6の実施例であり、本実施例の基本構成は実施例1のものと共通であり、共通する部分には同一の符号を付して説明は省略し、本実施例の特徴である給排気用孔7の形成及びその封止手段についてのみ説明する。図6は図1における給排気用孔7用の開口6jを拡大して示すものである。
【0049】
金属蓋6に形成した開口6jに嵌合させる栓部材32は開口6jとほぼ同様の外形を有するが、栓部材32の外周部に多数の溝32aを設けることによって、開口6jと嵌合させた場合に溝32a…によって細かな給排気用孔7が形成される。この給排気用孔7を介して容器本体4の内部の真空排気を行った後、給排気用孔7に沿って加熱溶融して、気密封止させる。
【0050】
本実施例によれば、別の栓部材32により微細な給排気用孔7を形成するので、金属蓋6に微細な孔加工を施すのに比べて容易にかつ安価に微細な給排気用孔7を得ることができる。また、略円錐状の栓部材32の外周に沿って溝32aを設けることにより、円状に熱源を移動させて加熱溶融することができるので、気密封止を容易に行うことが可能である。
【0051】
(実施例7)
図7は請求項7の実施例である。本実施例の基本構成は実施例1のものと共通であり、共通する部分には同一の符号を付して説明は省略し、本実施例の特徴である給排気用孔7の形成及びその封止手段についてのみ説明する。
【0052】
封止接点装置Aの給排気用孔7を形成した金属蓋6部分にポート部材41をシール材42にて気密を維持して取り付ける。このポート部材41には排気バルブ34を介して真空ポンプ35に接続されている排気孔36と、同じく給気バルブ37を介してガスボンベ38に接続されている給気孔39があり、更に封止接点装置Aの金属蓋6の給排気用孔7の上方には外部よりレーザ照射を可能とするためのガラス窓40が設けられている。
【0053】
ポート部材41の内部は排気バルブ34を開くと、真空ポンプ35の作用によってほぼ真空状態となり、その時、封止接点装置Aの内部も給排気用孔7があるためほぼ真空状態となる。また、排気バルブ34を閉じ給気バルブ37を開くとポート部材41および封止接点装置Aの内部はガスボンベ38によりガスが充填された状態にすることができる。上記のように封止接点装置Aの内部雰囲気を所定の状態にした後、ガラス窓40の外部より給排気用孔7に向けてレーザを照射して、給排気用孔7部分を溶接することによって、封止接点装置Aは完全に密封され、ポート部材41を外した後も所定の内部雰囲気状態が維持される。
【0054】
本実施例によれば、ポート部材41による給排気を行うので、真空領域を小さくすることが可能で、給排気に要する時間を短縮することができ、気密封止工程の生産性を向上させることができる。
【0055】
(実施例8)
図8は請求項8の実施例であり、本実施例の基本構成は実施例1のものと共通であり、共通する部分には同一の符号を付して説明は省略し、本実施例の特徴である給排気用孔7の形成及びその封止手段についてのみ説明する。
【0056】
図8(a)は開口6jから形成される給排気用孔7を有する金属蓋6と、複数の栓43…が切り離し片44…によって連結されるフープ状に形成されたものの斜視図である。給排気用孔7を介して真空排気やガスの導入が行われた後、同図(b)に示すように、先頭の栓43が給排気用孔7の上に送られる。そして、同図(c)に示すように、栓43の周辺がレーザ等の手段を用いて溶接され、それと同時にあるいはその直後に同じくレーザ等によって切り離し片44が切断されて気密封止が完了する。
【0057】
本実施例によれば、栓43…が連続的に供給され、気密封止における生産性の高い方法を提供できる。
【0058】
(参考例)
図9は参考例であり、本参考例の基本構成は実施例1のものと共通であり、共通する部分には同一の符号を付して説明は省略し、本実施例の特徴である給排気用孔7の封止の方法についてのみ説明する。
【0059】
まず、通気性能向上のために、金属板6dに例えば0.2mm以上の隙間の切り起こし片6eを形成させておく。真空排気等の通気作業を行った後、切り起こし片6eを例えば、機械的に塑性変形させて隙間を0.1mm以下にして給排気用孔7を塞ぐようにする。その後、小さくなった孔周囲を例えばレーザー照射により加熱溶融して、その溶融金属で隙間を塞いで封止するものである。
【0060】
この方法によれば、切り起こし片6eによる通気能力が高く、かつ切り起こし片6eを戻して隙間を小さくすることにより溶融封止が容易に行うことが可能である。また、切り起こし片6eは加熱方向(金属板の板面と鉛直方向)から孔が見えないので封止が容易である。
【0061】
(実施例9)
図10は請求項9の実施例であり、本実施例の基本構成は実施例1及び参考例のものと共通であり、共通する部分には同一の符号を付して説明は省略し、本実施例の特徴である給排気用孔7の形成及びその封止手段についてのみ説明する。
【0062】
まず、通気性能の向上のために、金属板6dに例えば0.2mm以上の隙間dの切り起こし片6eを形成させておく。真空排気等の通気作業を行った後、切り起こし片6eの根
元部分に局部的にレーザ照射をして、加熱させる。これにより、切り起こし片6eは熱収縮により変形する。変形は切り起こし片6eの隙間d1 が0.1mm以下となるまで行い、給排気用孔7を塞ぐようにする。その後、小さくなった隙間周囲を例えばレーザ照射により加熱溶融し、その溶融金属で隙間を塞いで封止するものである。
【0063】
本実施例によれば、給排気用孔7を切り起こしとすることで、給排気時には大きな開口面積を確保でき、給排気に要する時間の短縮が計れるとともに、切り起こし片6eの変形にレーザ等の熱源を用いているので、金属蓋6に非接触に取り扱うことが可能であり、真空状態やガス雰囲気といった上記チャンバー21,33内部における工法として大変好都合である。さらに、レーザなどの熱源を用いて隙間を小さくすることで別部材の追加なしに気密封止を容易に行うことが可能である。
【0064】
(実施例10)
図11は実施例10を示し、本実施例の基本構成は実施例1及び実施例8のものと共通であり、共通する部分には同一の符号を付して説明は省略し、本実施例の特徴である給排気用孔7の形成及びその封止手段についてのみ説明する。
【0065】
まず、図11(a)のように板厚tが0.5mmの金属板6dに容器内方へ高さhが0.7mmとした切り起こし片6e(隙間dは0.2mm)を形成させる。このとき、図11(b)に示すように、切り起こし片6eの周辺の金属部分を塑性変形により容器外方へ立上げ高さjとして0.7mm変形させる。
【0066】
本実施例によれば、切り起こし片6eは金属板6dの下面より突出しないので、例えば、金属板6dの下方に他の部品が存在する場合、その部品と干渉することがなくなる。また、突出した変形部がリブの役割をし、溶接ひずみによる周囲の変形を防止できる。
【0067】
【発明の効果】
請求項1の発明においては、気密空間が形成されたハウジング内に固定接点と可動接点とが配置され、ハウジングを構成するセラミック製の容器本体の開口端に金属蓋が気密的に接合され、金属蓋に給排気用孔が形成され、この給排気用孔を介して給排気後、孔周囲を溶融させて、その溶融金属により給排気用孔を塞いで封止する封止接点装置の製造方法であって、切り起こし片を容器本体の内側に形成して給排気用孔を形成し、給排気後、切り起こし片の根元部分を局部加熱して切り起こし片部分を変形させて給排気用孔を塞ぐようにした後、残りの孔周囲を加熱溶融して封止するから、給排気用孔を切り起こし片にて形成することで、真空排気及びガス導入時には大きな開口断面積を確保し、真空排気及びガス導入に要する時間の短縮が計れるとともに、切り起こし片を例えばレーザ照射で非接触で変形して隙間を小さくでき、さらに、金属の追加無しにレーザなどの熱源を用いて孔周辺の金属を溶融させて気密に溶接することができるという利点がある。
【0068】
請求項2の発明においては、請求項1において、切り起こし片に金属蓋と略平行となる平行部が形成され、平行部を圧延して平行部の板厚を切り起こし片の他の部分よりも薄くして平行部の幅を広げ、切り起こし片を戻した時に重ね代を設けるから、切り起こし片を例えばプレスなどで圧延して板厚を薄くするとともに幅を広げて重ね代を形成しておくことで、切り起こし片の根元部分を例えばレーザ照射などにより局部加熱して、局部加熱した部分の冷却時の収縮により切り起こし片を変形して隙間を小さくした時に、重ね代が形成されるので、気密溶接が容易になり、溶接の信頼性が高くなるという利点がある。
【0069】
請求項3の発明においては、請求項1において、切り起こし片の容器本体の内方への出っ張りを軽減するために、切り起こし片が形成された孔周辺を容器本体の外方に張り出すから、切り起こし片は金属板の下面より突出しないので、例えば、金属板の下方に他の部品が存在する場合、その部品と干渉することがなくなる。また、突出した変形部がリブの役割をし、溶接歪みによる周囲の変形を防止することができるという利点がある。
【0070】
請求項4の発明においては、気密空間が形成されたハウジング内に固定接点と可動接点とが配置され、ハウジングを構成するセラミック製の容器本体の開口端に金属蓋が気密的に接合され、金属蓋に給排気用孔が形成され、この給排気用孔を介して給排気後、孔周囲を溶融させて、その溶融金属により給排気用孔を塞いで封止する封止接点装置の製造方法であって、金属蓋の板厚に対して斜めに給排気用孔を形成し、給排気用孔の周囲を溶接し
て封止するから、給排気用孔を斜めに孔を貫通させているので、レーザ等の熱源を金属蓋に対して垂直に照射しても容易に気密封止することができるという利点がある。
【0071】
請求項5の発明においては、気密空間が形成されたハウジング内に固定接点と可動接点とが配置され、ハウジングを構成するセラミック製の容器本体の開口端に金属蓋が気密的に接合され、金属蓋に給排気用孔が形成され、この給排気用孔を介して給排気後、孔周囲を溶融させて、その溶融金属により給排気用孔を塞いで封止する封止接点装置の製造方法であって、金属蓋に多数の微小孔を形成して給排気用孔とし、給排気用孔を介して給排気した後、微小孔を加熱溶融して封止するから、多数の微小孔としているので、給排気後に給排気用孔を気密封止するのが容易におこなうことが可能で、封止の信頼性を高めることができるという利点がある。
【0072】
請求項6の発明においては、請求項5において、金属蓋の開口に対して、周壁に多数の溝を有する栓部品を挿入して溝にて金属蓋に微細孔を形成して給排気用孔が形成され、給排気用孔を介して給排気した後、栓部品を金属蓋に加熱溶融して給排気用孔を封止するから、金属蓋に微細な孔加工を施すのに比べて容易にかつ安価に微細な給排気用孔を得ることができる。また、略円錐状の栓部材の外周に沿って溝を設けることにより、円状に熱源を移動させて加熱溶融することができるので、気密封止を容易に行うことが可能である。
【0073】
請求項7の発明においては、気密空間が形成されたハウジング内に固定接点と可動接点とが配置され、ハウジングを構成するセラミック製の容器本体の開口端に金属蓋が気密的に接合され、金属蓋に給排気用孔が形成され、この給排気用孔を介して給排気後、孔周囲を溶融させて、その溶融金属により給排気用孔を塞いで封止する封止接点装置の製造方法であって、給排気用孔が形成された金属蓋部分にポート部材を取り外し可能に気密的に取り付け、ポート部材を介して給排気した後、給排気用孔を封止するから、ポート部材による給排気を行うので、真空領域を小さくすることが可能で、給排気に要する時間を短縮することができ、気密封止工程の生産性を向上させることができるという利点がある。
【0074】
請求項8の発明においては、気密空間が形成されたハウジング内に固定接点と可動接点とが配置され、ハウジングを構成するセラミック製の容器本体の開口端に金属蓋が気密的に接合され、金属蓋に給排気用孔が形成され、給排気用孔に孔のない別の金属部材が装着され、この金属部材を溶融させて、給排気用孔を塞いで封止する封止接点装置の製造方法であって、複数の栓を切り離し片にて切り離し自在に連結し、金属蓋の給排気用孔を栓にて封止すると同時に、または、封止後に切り離し片にて切り離すから、栓が連続的に供給され、気密封止における生産性を高めることができるという利点がある。
【0076】
請求項9の発明においては、金属板に形成された給排気用孔の封止方法であって、切り起こし片の根元部分を局部的に加熱して熱ひずみにより切り起こし片部分を変形させて給排気用孔を塞ぐようにした後、小さくなった隙間周囲を加熱溶融して封止するから、給排気用孔を切り起こしとすることで、給排気時には大きな開口面積を確保でき、給排気に要する時間の短縮が計れるとともに、切り起こし片の変形にレーザ等の熱源を用いているので、金属板に非接触に取り扱うことが可能であり、真空状態やガス雰囲気といったチャンバー内部における工法として大変好都合である。さらに、レーザなどの熱源を用いて隙間を小さくすることで別部材の追加なしに気密封止を容易に行うことができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の請求項1の実施例を示し、(a)乃至(f)は給排気用孔を封止する工程を示し、(a)は断面図、(b)は概略斜視図、(c)は断面図、(d)は概略斜視図、(e)は断面図、(f)は概略斜視図である。
【図2】請求項2の実施例を示し、(a)乃至(h)は給排気用孔を封止する工程を示し、(a)は断面図、(b)は概略斜視図、(c)は裏面側からの斜視図、(d)は断面図、(e)は概略斜視図、(f)は断面図、(g)は概略斜視図、(h)は給排気用孔の形成方法を説明する図である。
【図3】請求項3の実施例を示し、給排気用孔を形成するとともに封止することを説明する図であり、(a)(b)は説明図、(c)(d)(e)は斜視図である。
【図4】請求項4の実施例を示し、(a)(b)は給排気用孔を形成するとともに封止することを説明する図である。
【図5】請求項5の実施例を示し、給排気用孔の形成を説明する図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図、(c)は斜視図、(d)は断面図、(e)は斜視図、(f)は断面図である。
【図6】請求項6の実施例を示し、(a)は分解斜視図、(b)は金属蓋の断面図、(c)は給排気用孔が形成された状態を示す斜視図、(d)は断面図である。
【図7】請求項7の実施例を示し、給排気用孔を封止することを説明する図である。
【図8】請求項8の実施例の給排気用孔を封止することを説明する図であり、(a)(b)、(c)は斜視図である。
【図9】(a)(b)(c)は参考例を示し、給排気孔を形成するとともに封止工程を示し説明する図、(d)は概略断面図である。
【図10】(a)(b)(c)は請求項9の実施例を示し、給排気用孔を形成するとともに封止工程を示す説明する図、(d)は概略全体断面図である。
【図11】他の実施例を示し、給排気用孔を形成するとともに封止することを説明する図であり、(a)(b)は説明図、(c)は斜視図、(d)は概略全体断面図である。
【図12】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 ハウジング
2 固定接点
3 可動接点
4 容器本体
6 金属蓋
6e 切り起こし片
6g 金属蓋と平行な平行部
6h 重ね代
7 給排気用孔
Claims (9)
- 気密空間が形成されたハウジング内に固定接点と可動接点とが配置され、ハウジングを構成するセラミック製の容器本体の開口端に金属蓋が気密的に接合され、金属蓋に給排気用孔が形成され、この給排気用孔を介して給排気後、孔周囲を溶融させて、その溶融金属により給排気用孔を塞いで封止する封止接点装置の製造方法であって、切り起こし片を容器本体の内側に形成して給排気用孔を形成し、給排気後、切り起こし片の根元部分を局部加熱して切り起こし片部分を変形させて給排気用孔を塞ぐようにした後、残りの孔周囲を加熱溶融して封止することを特徴とする封止接点装置の製造方法。
- 請求項1において、切り起こし片に金属蓋と略平行となる平行部が形成され、平行部を圧延して平行部の板厚を切り起こし片の他の部分よりも薄くして平行部の幅を広げ、切り起こし片を戻した時に重ね代を設けることを特徴とする封止接点装置の製造方法。
- 請求項1において、切り起こし片の容器本体の内方への出っ張りを軽減するために、切り起こし片が形成された孔周辺を容器本体の外方に張り出すことを特徴とする封止接点装置の製造方法。
- 気密空間が形成されたハウジング内に固定接点と可動接点とが配置され、ハウジングを構成するセラミック製の容器本体の開口端に金属蓋が気密的に接合され、金属蓋に給排気用孔が形成され、この給排気用孔を介して給排気後、孔周囲を溶融させて、その溶融金属により給排気用孔を塞いで封止する封止接点装置の製造方法であって、金属蓋の板厚に対して斜めに給排気用孔を形成し、給排気用孔の周囲を溶接して封止することを特徴とする封止接点装置の製造方法。
- 気密空間が形成されたハウジング内に固定接点と可動接点とが配置され、ハウジングを構成するセラミック製の容器本体の開口端に金属蓋が気密的に接合され、金属蓋に給排気用孔が形成され、この給排気用孔を介して給排気後、孔周囲を溶融させて、その溶融金属により給排気用孔を塞いで封止する封止接点装置の製造方法であって、金属蓋に多数の微小孔を形成して給排気用孔とし、給排気用孔を介して給排気した後、微小孔を加熱溶融して封止することを特徴とする封止接点装置の製造方法。
- 請求項5において、金属蓋の開口に対して、周壁に多数の溝を有する栓部品を挿入して溝にて金属蓋に微細孔を形成して給排気用孔が形成され、給排気用孔を介して給排気した後、栓部品を金属蓋に加熱溶融して給排気用孔を封止することを特徴とする封止接点装置の製造方法。
- 気密空間が形成されたハウジング内に固定接点と可動接点とが配置され、ハウジングを構成するセラミック製の容器本体の開口端に金属蓋が気密的に接合され、金属蓋に給排気用孔が形成され、この給排気用孔を介して給排気後、孔周囲を溶融させて、その溶融金属により給排気用孔を塞いで封止する封止接点装置の製造方法であって、給排気用孔が形成された金属蓋部分にポート部材を取り外し可能に気密的に取り付け、ポート部材を介して給排気した後、給排気用孔を封止することを特徴とする封止接点装置の製造方法。
- 気密空間が形成されたハウジング内に固定接点と可動接点とが配置され、ハウジングを構成するセラミック製の容器本体の開口端に金属蓋が気密的に接合され、金属蓋に給排気用孔が形成され、給排気用孔に孔のない別の金属部材が装着され、この金属部材を溶融させて、給排気用孔を塞いで封止する封止接点装置の製造方法であって、複数の栓を切り離し片にて切り離し自在に連結し、金属蓋の給排気用孔を栓にて封止すると同時に、または、封止後に切り離し片にて切り離すことを特徴とする封止接点装置の製造方法。
- 金属板に形成された給排気用孔の封止方法であって、切り起こし片の根元部分を局部的に加熱して熱ひずみにより切り起こし片部分を変形させて給排気用孔を塞ぐようにした後、小さくなった隙間周囲を加熱溶融して封止することを特徴とする封止方法。
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