JP3541557B2 - 射出成形装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定盤、可動盤、型締ハウジング等から構成されている射出成形機と、この射出成形機の可動盤と型締ハウジングを軸方向に案内するリニアガイド装置とからなる射出成形装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
射出成形機は、図4にも示されているように従来周知で、射出ベット50上に固定されている固定盤51、この固定盤51に対して軸方向に移動可能に設けられている可動盤52、型締装置であるトグル式型締機構53のクロスヘッドが取り付けられている型締ハウジング54、この型締ハウジング54と固定盤51との間に設けられている複数本のタイバー55、55、…等から構成されている。また、固定盤51には固定金型56が、そして可動盤52には可動金型57が設けられている。そして、トグル式型締機構53は、例えば油圧ピストン・シリンダ機構58で駆動されるようになっている。
上記のように構成されている射出成形機の可動盤52と型締ハウジング54の下方端には車輪60、60、…が設けられ、これらの車輪60、60、…が射出ベット50上に転動自在に乗って、可動盤52と型締ハウジング54が軸方向に移動自在になっている。
【0003】
このように、型締ハウジング54は、射出ベット50上を軸方向に移動可能に車輪60、60により支持されているので、タイバーナット55’、55’、…を適宜回転して型締力を調節することができる。また、可動盤52も車輪60、60により射出ベット50上に軸方向に移動自在に支持されているので、油圧ピストン・シリンダ機構58に圧油を給排することにより、可動盤52を固定盤51に対して、溶融樹脂を射出するために型締めすることも、成形品を取り出すために型開きすることもできる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の射出成形機も、軸方向に移動する可動盤52と型締ハウジング54は、車輪60、60、…により射出ベット50上に支持されているので、成形動作に関連して軸方向に移動させ、一応成形することはできる。しかしながら、高い品質の成形品を得る上では欠点、あるいは問題がある。すなわち、これらの移動可能な可動盤52および型締ハウジング54は、単に車輪60、60、…により射出ベット50上に支持されているので、例えば不均一な射出圧力により回転モーメントが作用すると、可動盤52と固定盤51との間の平行度が落ちることがある。さらに詳しく説明すると、金型56、57のキャビテイは、射出圧力を考慮して、一般に対称形に形成されているが、成形品の形状、個数等により必ずしも対称形にならないこともあり、このようなときは射出圧力が金型56、57に不均一に作用する。そうすると、金型56、57を倒そうとする回転モーメントが作用する。
ところで、固定盤51は射出ベット50に固定的に支持されているので、可動盤52の方が傾くことになる。可動盤52が傾くので、型締ハウジング54も当然傾くことになる。その結果、成形品の品質が落ち、高精度の成形が要求される成形品、例えば情報記録用のディスク等の成形はできないことになる。
【0005】
また、可動盤52は、固定盤51に対する芯合わせの調整をする必要があるが、従来の射出成形装置には調整用の手段が格別に設けられていないので、芯調整に手間がかかる問題もある。さらには、可動盤52と型締ハウジング54は、車輪60、60、…により支持されているが、回転あるいは移動抵抗が比較的大きく、高速移動には問題があり、成形サイクルの短縮化を達成する上での障害になっている。
上記したような欠点、問題点等は、車輪60、60、…の代わりに複数個のコロあるいはスライドシューで支持されている射出成形機にも当てはまる。
したがって、本発明は、金型に片寄った射出圧力が作用しても、可動盤と固定盤との間の平行度が保たれると共に、高速射出成形にも適した射出成形装置を提供することを目的としている。また、他の発明は上記目的に加え、可動盤の固定盤に対する芯調整が容易にできる射出成形装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、固定盤は射出ベッドあるいはトラックレールに固定され、そして可動盤と型締ハウジングはトグル式型締機構等の型締機構で結合されているので、可動盤と型締ハウジングの少なくとも一方を、不均一な射出圧力による回転モーメントが作用しても傾かないようにすることにより達成される。すなわち、本願の請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、所定位置に固定されている固定盤、この固定盤に対して型開閉方向に駆動される可動盤、この可動盤に型締装置により結合されている型締ハウジング等から構成されている射出成形機と、前記可動盤と前記型締ハウジングを軸方向に案内するリニアガイド装置とからなる射出成形装置であって、前記リニアガイド装置は、ベースに固定されるトラックレールと、前記トラックレールにより軸方向に案内されるハウジングと、複数個の鋼球とからなり、前記複数個の鋼球は、前記トラックレールに形成されている断面が半円形の凹溝と前記ハウジングに形成されている断面が半円形の凹溝とにより構成されている、軸方向に所定長さのガイド孔に介在され、前記可動盤は前記ハウジングに固定されるように構成される。請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の射出成形装置において、可動盤が、水平方向に配置されている偏心軸を介してハウジングに固定されている。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1を参照すると、明らかなように本実施の形態に係わる射出成形装置は、ベースB上の一対のリニアガイド装置1、1と、これらのリニアガイド装置1、1の上に設けられている射出成形機20とから構成されている。
【0008】
一対のリニアガイド装置1、1は、同じ構造をしているので、以下主として1個のリニアガイド装置1について説明する。リニアガイド装置1は、詳しくは図2、3に示されているように、1本のトラックレール2と、このトラックレール2に跨った状態で軸方向に移動する複数個のハウジング10、10、…とから概略構成されている。トラックレール2は、断面形は略方形を呈している。そして、下面がベースBに固定され、その上方部分でハウジング10が軸方向に案内されるようになっている。トラックレール2の両側壁3、3には、外側に開口した断面が半円形の凹溝4、4が軸方向に形成されている。これらの凹溝4、4は、後述するハウジング10の凹溝と共働して複数個の鋼球のガイド孔を構成する。
【0009】
ハウジング10は、ブラケット44を介して射出成形機20の可動盤24が搭載される平らな支持部11と、図2に示されているように、この支持部から下方へ延び、そしてトラックレール2の周壁に近接して、これを跨いでいる1対の脚部13、13とから概略構成されている。脚部13、13の内側に、トラックレール2の半円形の凹溝4、4と共働する同様に半円形の凹溝14、14が軸方向に形成されている。これらの凹溝4、4、14、14により断面が略円形の鋼球のガイド孔14’、14’が形成される。そして、こられのガイド孔14’、14’に複数個の鋼球15、15、…が入れられている。鋼球15、15、…により、ハウジング10は小さな抵抗でトラックレール2上を案内される。また、ハウジング10とトラックレール2は、ガイド孔14’、14’に入っている鋼球15、15、…を介して結合されているので、ハウジング10の上下方向の移動がトラックレール2により規制されることになる。
なお、図2、3中の他の符号12はボルト孔を、16は下面シールを、17は側板を、18は鋼球支持バンドを、そして19はグリースニップルをそれぞれ示している。
【0010】
射出成形機20は、図1に示されている実施の形態ではトグル式型締機構30を備えているが、従来周知のように、トラックレール2、2に固定されている固定盤21、トラックレール2、2上に軸方向に移動自在に設けらている型締ハウジング22、固定盤21と型締ハウジング22との間に設けられている4本のタイバー23、23、…、これらのタイバー23、23、…が挿通されて軸方向に移動自在な可動盤24、型締ハウジング22と可動盤24との間に設けられているトグル型締機構30、トグル型締機構30を駆動するピストン・シリンダユニット28等から構成されている。
【0011】
固定盤21には、固定金型25が、そして可動盤24には可動金型26が、またタイバー23、23、…の左端部には型締力調整用の調整ナット27、27、…がそれぞれ周知の態様で設けられている。
トグル型締機構30は、周知のように、1個のクロスヘッド31、一対のクロスリンク32、32、同様に一対の短リンク33、33、一対の長リンク34、34等から構成されている。そして、これらのリンク31〜34は、周知のように互いにピンにより回動自在に結合され、またこれらのリンク33、34の端部は型締ハウジング22と可動盤24とに同様にピンにより回動自在に結合されている。
【0012】
図2は、図1において矢視AーAでみた断面図であるが、同図に示されているように、可動盤24の下面には、下側が開口した凹部あるいは溝40が設けられている。そして、この溝40を構成している側壁41、41に偏心量が「e」の偏心軸42がその両側部において軸受けされている。
一方、リニアガイド装置1の支持部11には、複数個のボルト孔12、12によりブラケット44が取り付けられ、このブラケット44の上面に軸受45が固定されている。軸受45は、前述した偏心軸42を軸受けしている。したがって、可動盤24は、偏心軸42、軸受45、ブラケット44およびリニアガイド装置1を介してトラックレール2、2により支持されることになり、偏心軸42を回動すると、可動盤24とリニアガイド装置1との間隔hが変化することになる。
【0013】
可動盤24は、図示の実施の形態ではリニアガイド装置1と偏心軸42とにより、2本のトラックレール2、2上に、前後、両側の4ヶ所で軸方向に移動自在に支持されている。可動盤24は、前後方向に所定の間隔をおいてリニアガイド装置1、1により支持されているので、可動盤24を傾けようとする力に対してより強固に対抗できる。また、型締ハウジング22もリニアガイド装置1と偏心軸42とにより支持することもできるが、図示の実施の形態では、型締ハウジング22は4個のリニアガイド装置1、1、…により、ブラケット46、46、…を介して直接的に支持されている。
【0014】
次に、上記実施の形態の作用について説明する。偏心軸42、42を回動して可動盤24の芯調整をする。偏心軸42、42が回動すると、軸受45、45、…はブラケット44、44、…を介してリニアガイド装置1、1に固定されているので、可動盤24とブラケット44との間隔hが変化する。すなわち、可動盤24が上下動する。これにより芯調整をする。調整ナット27、27、…により、従来周知のようにして型締力を調整する。この調整時に型締ハウジング22は、リニアガイド装置1、1に案内されて軸方向に移動する。
ピストン・シリンダユニット28の一方の油室に圧油を供給して、トグル型締機構30のクロスヘッド31を駆動する。これにより可動金型26が固定金型25に対して所定の型締力で型締めされる。周知のようにしてキャビテイに溶融樹脂を射出する。
【0015】
このとき、金型25、26間に片寄った樹指圧が作用し、移動自在な可動盤24が倒れるような回転モーメントを受けても、リニアガイド装置1、1のハウジング10、10、…がトラックレール2、2に対して複数個の鋼球15、15、…を介して上下方向の移動が規制されているので、ハウジング10、10、…は傾かない。すなわち、可動盤24はハウジング10、10、…と、ブラケット44、44、…、軸受45、45、…、偏心軸42、42、…等を介して一体化されているので、傾かない。したがって、可動盤24と固定盤21との間の平行度が保たれ、品質の高い成形品を得ることができる。
ピストン・シリンダユニット28の他方の油室に圧油を供給して、可動盤24を開いて成形品を取り出す。このとき、可動盤24は、摺動抵抗の小さいリニアガイド装置1、1により小さな駆動力で開かれる。本実施の形態によると、抵抗が小さいので、高速で型の開閉ができ、成形サイクルを短縮することができる。
【0016】
【発明の効果】
以上のように本発明によると、所定位置に固定されている固定盤、この固定盤に対して型開閉方向に駆動される可動盤、この可動盤に型締装置により結合されている型締ハウジング等から構成されている射出成形機の可動盤は、リニアガイド装置により軸方向に案内されるようになっているが、リニアガイド装置は、ベースに固定されるトラックレールと、前記トラックレールにより軸方向に案内されるハウジングと、複数個の鋼球とからなり、前記複数個の鋼球は、前記トラックレールに形成されている断面が半円形の凹溝と前記ハウジングに形成されている断面が半円形の凹溝とにより構成されている、軸方向に所定長さのガイド孔に介在され、前記可動盤は前記ハウジングに固定されているので、固定盤と可動盤との間に偏荷重が作用し、可動盤を倒すような力が作用しても、可動盤は傾かない、すなわち固定盤と可動盤との間の平行度が保たれ、高品質の成形品を得ることができるという、本発明特有の効果が得られる。また、可動盤を倒すような射出樹脂圧力が作用しても、可動盤は傾かないので、キャビテイのレイアウトの設計が容易になる効果も得られる。さらには、リニアガイド装置が、ベースに固定されるトラックレールと、このトラックレールに複数個の鋼球を介して案内されるハウジングとから構成されているので、摩擦抵抗が小さく、可動盤を小さな力で、高速で駆動することができ、成形サイクルの短縮を図ることもできる。
請求項2に記載の発明によると、可動盤は、リニアガイド装置のハウジングに水平方向に配置されている偏心軸を介してハウジングに固定されているので、上記効果に加えて、偏心軸を回動するだけで、可動盤の芯調整をすることができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を、一部断面にして示す正面図である。
【図2】図1において矢視AーAでみた断面図である。
【図3】リニアガイド装置の斜視図である
【図4】従来例を、一部断面にして示す正面図である。
【符号の説明】
1 リニアガイド装置 2 トラックレール
4、14 凹溝 15 鋼球
20 射出成形機 24 可動盤
42 偏心軸
Claims (2)
- 所定位置に固定されている固定盤(21)、この固定盤(21)に対して型開閉方向に駆動される可動盤(24)、この可動盤(24)に型締装置(30)により結合されている型締ハウジング(22)等から構成されている射出成形機(20)と、前記可動盤(24)と前記型締ハウジング(22)を軸方向に案内するリニアガイド装置(1、1)とからなる射出成形装置であって、
前記リニアガイド装置(1、1)は、ベースに固定されるトラックレール(2、2)と、前記トラックレール(2、2)により軸方向に案内されるハウジング(10、10)と、複数個の鋼球(15、15、…)とからなり、
前記複数個の鋼球(15、15、…)は、前記トラックレール(2、2)に形成されている断面が半円形の凹溝(4、4)と前記ハウジング(10、10)に形成されている断面が半円形の凹溝(14、14)とにより構成されている、軸方向に所定長さのガイド孔(14’、14’)に介在され、前記可動盤(24)は前記ハウジング(10、10)に固定されていることを特徴とする射出成形装置。 - 請求項1に記載の射出成形装置において、可動盤(24)が、水平方向に配置されている偏心軸(42)を介してハウジング(10、10)に固定されている射出成形装置。
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