JP3715246B2 - 射出成形機の可動金型支持装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形機の可動金型支持装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、射出成形機においては、加熱シリンダ内において加熱され、溶融させられた樹脂を高圧で射出して金型装置のキャビティ空間に充填(てん)し、該キャビティ空間内において樹脂を冷却し、固化させることによって成形品を成形するようになっている。
【0003】
そのために、前記金型装置は固定金型及び可動金型から成り、型締装置によって前記可動金型を進退させ、前記固定金型に対して接離させることによって、型開閉、すなわち、型閉、型締及び型開を行うことができるようになっている。そして、前記型締装置は、一般に、固定金型を保持する固定プラテン及び可動金型を保持する可動プラテンを有し、該可動プラテンを進退させる開閉装置としてトグル機構が配設され、該トグル機構は、駆動部に配設された電動モータ、サーボモータ等を駆動することによって作動させられる。
【0004】
図2は従来の可動プラテンにおける第1の側面図、図3は従来の可動プラテンにおける第2の側面図である。
【0005】
図において、107は、図示されない固定プラテンとトグルサポートとの間に架設された複数、例えば、四本のタイバーであり、100は前記固定プラテンと対向して配設され、前記タイバー107に沿って進退(図における左右方向に移動)自在に配設された可動プラテンである。
【0006】
そして、前記固定プラテンにおける可動プラテン100と対向する金型取付面には図示されない固定金型が取り付けられ、また、前記可動プラテン100における前記固定プラテンと対向する金型取付板101の金型取付面101aには可動金型105が取り付けられる。
【0007】
また、前記金型取付板101の金型取付面101aと反対側の面、すなわち、背面には、トグル機構の上側のトグルピンが挿入される上部ピン挿入孔102aを備える上部荷重受け部102、及び、下側のトグルピンが挿入される下部ピン挿入孔103aを備える下部荷重受け部103が形成される。ここで、前記上部荷重受け部102及び下部荷重受け部103は、前記トグル機構から、図における右方へ移動させる型閉及び型締の力を受ける強度部材なので、金型取付板101と一体的に形成される。
【0008】
さらに、前記可動プラテン100には、前記タイバー107が挿入されるガイド孔106を備えるガイド部104が、タイバー107の数と同数だけ、例えば、四つ配設される。なお、前記ガイド孔106のそれぞれには、前記タイバー107と摺(しゅう)動するためのブッシュ108が嵌(かん)挿されている。また、前記ガイド孔106とタイバー107の隙(すき)間には潤滑剤としてのグリスが収納される。
【0009】
そして、前記可動プラテン100が図示されないトグル機構によって前方(図において右方)に移動させられると、前記可動金型105が図示されない固定金型に押し付けられ、型閉及び型締が行われる。
【0010】
なお、前記トグル機構は、前記可動プラテン100の後方(図において左方)に配設され、一般に、クロスヘッドに対して揺動自在に支持されたトグルレバー、前記トグルサポートに対して揺動自在に支持されたトグルレバー、及び、前記可動プラテンに対して揺動自在に支持されたトグルアームから成る。そして、前記トグルレバー及びトグルアームの間がリンク結合され、モータ等の駆動源による推進力にトグル倍率を乗じた型締力を前記可動プラテン100の上部荷重受け部102及び下部荷重受け部103に伝達するようになっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の可動金型支持装置においては、型締及び型閉によってトグル機構から強い力を受けた時に、金型取付板101が撓(たわ)んで、金型取付面101aが変形してしまうことがある。
【0012】
図2に示されるように、前記上部荷重受け部102及び下部荷重受け部103は、それぞれ、可動金型105よりも上側及び下側に位置している。そして、該可動金型105は図示されない固定金型に押し付けられ、移動不能な状態となっている。このため、トグル機構から図における右方への強い力を受けると、金型取付板101に曲げモーメントが作用し、該金型取付板101が撓み、101’のように変形してしまう。それに伴い、金型取付面101aも101a’のように変形してしまう。なお、図2における金型取付板101’及び金型取付面101a’は、説明の都合上、誇張して示されている。
【0013】
このように、金型取付面101aが101a’のように変形すると、可動金型105も変形してしまうので、成形品の成形性が低下してしまう。
【0014】
そこで、従来の可動金型支持装置においては、前記金型取付板101の撓み及び金型取付面101aの変形を防止するために、前記金型取付板101の板厚を厚くすることによって剛性を向上させている。
【0015】
しかし、該金型取付板101の板厚を厚くすると可動プラテン100の製造コストが高くなり、しかも、前記可動プラテン100の重量が増大するので、射出成形機全体の強度を向上させる必要があり、射出成形機全体の製造コストも高くなってしまう。
【0016】
また、前記従来の可動金型支持装置においては、ブッシュ108の内周面とタイバー107の外周面との間から漏れ出たグリス109が流下して金型取付面101aや可動金型105に付着してしまうことがあった。
【0017】
図3に示されるように、ガイド部104のガイド孔106とタイバー107の隙間に収納されるグリスが、ブッシュ108の内周面とタイバー107の外周面との間から漏れ出てしまう。この場合、金型取付板101の背面側に漏れ出たグリス109は、流下しても落下してしまうので、問題とならないが、金型取付面101a側に漏れ出たグリス109は、金型取付面101aの広い範囲に付着し、また、可動金型105に付着する可能性も非常に高くなっている。
【0018】
そして、金型取付面101aや可動金型105に付着したグリス109が成形された成形品に付着すると、該成形品は不良品となり、射出成形機の不良品発生率が高くなってしまう。
【0019】
本発明は、前記従来の可動金型支持装置の問題点を解決して、金型取付板の板厚を厚くすることなく、金型取付板の撓みや金型取付面の変形を防止することができる射出成形機の可動金型支持装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の射出成形機の可動金型支持装置においては、可動金型を取り付けることができ、駆動源による推進力に基づく型締力を受ける可動金型支持装置であって、金型取付面を備える金型取付板と、前記型締力を受ける第1荷重受け部及び第2荷重受け部と、一端が前記第1荷重受け部及び第2荷重受け部に接続され、他端が前記第1荷重受け部及び第2荷重受け部よりも前記金型取付板の中心に接近した位置で該金型取付板の背面に接続される荷重伝達部材とを有し、前記金型取付板は、背面が膨出し、前記荷重伝達部材が接続される位置において板厚が他の位置における板厚よりも厚くなっている。
本発明の他の射出成形機の可動金型支持装置においては、さらに、前記第1荷重受け部は前記トグル機構の第1のピンが挿入される第1ピン挿入孔を備え、前記第2荷重受け部は前記トグル機構の第2のピンが挿入される第2ピン挿入孔を備え、前記第1荷重受け部及び第2荷重受け部はトグル機構を介して型締力を受ける。
【0021】
本発明の更に他の射出成形機の可動金型支持装置においては、さらに、前記荷重伝達部材は、一端が前記第1荷重受け部に接続され、他端が該第1荷重受け部よりも前記金型取付板の中心に接近した位置で該金型取付板の背面に接続される第1荷重伝達部材と、一端が前記第2荷重受け部に接続され、他端が該第2荷重受け部よりも前記金型取付板の中心に接近した位置で該金型取付板の背面に接続される第2荷重伝達部材とから成る。
本発明の更に他の射出成形機の可動金型支持装置においては、さらに、ガイド手段と係合するガイド部を有し、前記ガイド手段に沿って移動する。
本発明の更に他の射出成形機の可動金型支持装置においては、さらに、前記第1荷重受け部及び第2荷重受け部を接続する荷重受け部連結部材を有する。
【0022】
本発明の更に他の射出成形機の可動金型支持装置においては、さらに、前記金型取付板、ガイド部、第1荷重受け部、第2荷重受け部、荷重受け部連結部材及び荷重伝達部材は、一体的に形成される。
【0023】
本発明の更に他の射出成形機の可動金型支持装置においては、さらに、前記荷重受け部連結部材は、筒状の形状を備える。
【0026】
本発明の更に他の射出成形機の可動金型支持装置においては、さらに、前記ガイド手段はタイバーであり、前記ガイド部は前記タイバーが挿入されるガイド孔を備える。
【0027】
本発明の更に他の射出成形機の可動金型支持装置においては、さらに、前記ガイド手段はガイドレールであり、前記ガイド部は前記ガイドレールに係合する係合ガイドを備える。
【0029】
本発明の更に他の射出成形機の可動金型支持装置においては、さらに、前記ガイド部の金型取付面側の面は、前記金型取付面よりも背面側に位置する。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
図4は本発明の第1の実施の形態における射出成形機の概略図である。
【0033】
図において、21はフレーム、23は該フレーム21に固定された固定プラテン、34は該固定プラテン23との間に所定の距離を置いて、前記フレーム21に対して移動自在に配設されたベースプレートとしてのトグルサポートである。
【0034】
また、12は前記固定プラテン23とトグルサポート34との間に架設された複数、例えば、四本のガイド手段としてのタイバーである。
【0035】
そして、11は前記固定プラテン23と対向して配設され、前記タイバー12に沿って進退(図における左右方向に移動)自在に配設された可動金型支持装置としての可動プラテンである。さらに、前記固定プラテン23における可動プラテン11と対向する金型取付面37に固定金型25が取り付けられ、また、前記可動プラテン11における前記固定プラテン23と対向する金型取付面16に可動金型24が取り付けられる。
【0036】
また、前記可動プラテン11の後端 (図における左端) には図示されないエジェクタピンを移動させるための駆動装置を取り付けるようにしてもよい。
【0037】
そして、前記可動プラテン11とトグルサポート34との間には、トグル式型締装置としてのトグル機構22が、前記トグルサポート34の後端(図における左端)には射出成形機の型締用の駆動手段としての駆動装置30が取り付けられる。該駆動装置30は、サーボモータ等の駆動源31を有し、被駆動部材としてのクロスヘッド35を進退させることによって、トグル機構22を作動させることができる。
【0038】
これにより、前記可動プラテン11が前進(図における右方向に移動)させられて型閉が行われるとともに、駆動源31による推進力にトグル倍率を乗じた型締力が発生させられ、該型締力によって型締が行われる。本実施の形態においては、トグル機構22を作動させることによって型締力を発生させるようにしているが、トグル機構22を使用することなく、駆動源31による推進力をそのまま型締力として可動プラテン11に伝達することもできる。
【0039】
また、前記トグル機構22は、前記クロスヘッド35に対して揺動自在に支持されたトグルレバー36、前記トグルサポート34に対して揺動自在に支持されたトグルレバー32、及び、前記可動プラテン11に対して揺動自在に支持されたトグルアーム33から成り、前記トグルレバー32とトグルレバー36との間、及び、トグルレバー32とトグルアーム33との間が、それぞれ、リンク結合される。
【0040】
次に、前記可動プラテン11について説明する。
【0041】
図1は本発明の第1の実施の形態における可動金型支持装置の斜視図、図5は本発明の第1の実施の形態における図1の縦断面図、図6は本発明の第1の実施の形態における可動金型支持装置の側面図、図7は本発明の第1の実施の形態における図6のA矢視図、図8は本発明の第1の実施の形態における図6のB矢視断面図、図9は本発明の第1の実施の形態における図7のC矢視図、図10は本発明の第1の実施の形態における図7のD矢視断面図、図11は本発明の第1の実施の形態における図7のE矢視断面図である。
【0042】
この場合、可動プラテン11には、複数の前記タイバー12のそれぞれに対応する位置に、ガイド手段であるタイバー12と係合する、ガイド孔としてのタイバーガイド孔46を備える複数、例えば、四つのガイド部45が形成される。また、前記タイバーガイド孔46のそれぞれには前方と後方に図示されないタイバーブッシュがそれぞれ嵌(は)め込まれ、該タイバーブッシュの内周面がタイバー12の外周面に接触して摺動するようになっている。そして、前記タイバーガイド孔46とタイバー12との隙間には、潤滑剤としてのグリスが収納されている。なお、前記タイバーブッシュを省略する場合には、前記タイバーガイド孔46の内周面がタイバー12の外周面に直接に接触して摺動することになる。
【0043】
ここで、前記ガイド部45の金型取付面16側の面50は、図6及び9に示されるように、金型取付面16よりも引っ込んで、背面20側に位置する。すなわち、可動プラテン11の金型取付面16における前記タイバーガイド孔46の周囲には、凹部49がそれぞれ形成される。そして、該凹部49は、可動金型24と反対側に窪(くぼ)むように形成され、金型取付面16と平行な底面を有する。また、前記凹部49は、例えば、一つの角が丸く各辺の長さがタイバーガイド孔46の直径より長い長方形のような形状を有するが、前記凹部49の形状は、いかなるものであってもよく、円形のような形状であってもよい。これにより、タイバーブッシュの内周面とタイバー12の外周面との間から漏れ出たグリスが、直接に金型取付面16を流下することがない。
【0044】
そして、前記可動プラテン11は、一方に前記金型取付面16が形成された金型取付板15を有する。ここで、該金型取付板15は略矩(く)形の形状を有し、中心に、例えば、金型内のキャビティに突出するエジェクタピンを駆動するためのエジェクタロッドユニット等を配設するための、貫通孔51を備える。なお、該貫通孔51はいかなる形状のものであってもよい。また、前記金型取付板15の厚さは、図10及び11に示されるように、中心付近が肉厚になっていることが望ましい。これは、後述されるように、上部荷重受け部13及び下部荷重受け部17からの荷重が上部荷重伝達部材42及び下部荷重伝達部材43を介して、金型取付板15の中心に近い部分の背面20に伝達されるためである。
【0045】
また、前記金型取付板15の金型取付面16と反対側の面、すなわち、背面20には、第1荷重受け部としての上部荷重受け部13及び第2荷重受け部としての下部荷重受け部17を有する。なお、前記上部荷重受け部13及び下部荷重受け部17は、それぞれ、左右に分かれて形成されているが、単一のものであってもよい。
【0046】
ここで、前記上部荷重受け部13はトグル機構22の第1のピンとしての上側トグルピンが挿入される第1ピン挿入孔としての上部ピン挿入孔14を備え、前記下部荷重受け部17はトグル機構22の第2のピンとしての下側トグルピンが挿入される第2ピン挿入孔としての下部ピン挿入孔18を備える。なお、前記上部ピン挿入孔14及び下部ピン挿入孔18には、上側トグルピン及び下側トグルピンの外周面に接触して回転するためのブッシュが挿入されていてもよい。
【0047】
また、前記上部荷重受け部13及び下部荷重受け部17は、荷重受け部連結部材41によって互いに連結される。ここで、該荷重受け部連結部材41は、例えば、断面が略矩形状の筒状孔44を備える角筒状の形状を有するものであるが、いかなる形状であってもよい。そして、前記荷重受け部連結部材41の上端は上部荷重受け部13に接続され、下端は下部荷重受け部17に接続される。
【0048】
なお、前記筒状孔44内の空間には、金型取付板15の背面20に取り付けられた、例えば、エジェクタロッドユニット、エジェクタロッド駆動源等の装置を収納することができる。
【0049】
さらに、前記上部荷重受け部13は、荷重伝達部材としての上部荷重伝達部材42によって前記金型取付板15の背面20に接続され、前記下部荷重受け部17は、荷重伝達部材としての下部荷重伝達部材43によって前記金型取付板15の背面20に接続される。
【0050】
ここで、前記上部荷重伝達部材42の金型取付板15側の端部は、前記上部荷重受け部13よりも低い位置で前記金型取付板15の背面20に接続される。すなわち、前記上部荷重伝達部材42は、一端が上部荷重受け部13に接続され、他端が該上部荷重受け部13よりも金型取付板15の中心に接近した位置で該金型取付板15の背面20に接続される。また、前記下部荷重伝達部材43の金型取付板15側の端部は、前記下部荷重受け部17よりも高い位置で前記金型取付板15の背面20に接続される。すなわち、前記下部荷重伝達部材43は、一端が下部荷重受け部17に接続され、他端が該下部荷重受け部17よりも金型取付板15の中心に接近した位置で該金型取付板15の背面20に接続される。なお、前記上部荷重伝達部材42及び下部荷重伝達部材43は、それぞれ、左右に分かれて形成されているが、単一のものであってもよい。さらに、前記上部荷重伝達部材42と下部荷重伝達部材43とを結合して一体的に形成し、単一の荷重伝達部材とすることもできる。
【0051】
そして、前記上部荷重伝達部材42及び下部荷重伝達部材43の金型取付板15側の端部の背面20に接続される部分、すなわち、中心に近い部分においては、金型取付板15の板厚が、図10及び11に示されるように、厚くなっている。このため、前記金型取付板15の中心に近い部分は、上部荷重受け部13及び下部荷重受け部17からの荷重が、上部荷重伝達部材42及び下部荷重伝達部材43を介して背面20に伝達されても、ほとんど変形することがない。
【0052】
また、前記上部荷重伝達部材42及び下部荷重伝達部材43には、図8及び9に示されるように、ガイド部45を連結するためのガイド部連結部材48が接続される。ここで、前記ガイド部45は複数、例えば、四つなので、前記ガイド部連結部材48も対応する数、例えば、四つ配設される。そして、各ガイド部連結部材48の一端はガイド部45に接続され、他端は上部荷重伝達部材42又は下部荷重伝達部材43に接続される。
【0053】
なお、前記荷重受け部連結部材41の金型取付板15側の端面は、該金型取付板15の背面20から離間しており、例えば、エジェクタロッドユニット、エジェクタロッド駆動源等を配設したり点検したりするための作業に適した作業孔47が形成される。ここで、該作業孔47は、例えば、四つ形成されているので、射出成形機のオペレータは、金型取付板15の背面20に取り付けられたエジェクタロッドユニット、エジェクタロッド駆動源等を容易に配設したり点検したりすることができる。
【0054】
そして、前記金型取付板15、上部荷重受け部13、下部荷重受け部17、上部荷重伝達部材42、下部荷重伝達部材43、荷重受け部連結部材41、ガイド部45及びガイド部連結部材48は、型閉及び型締の力を受ける強度部材なので、鋳造などの方法によって一体的に形成されて、可動プラテン11を構成することが望ましい。
【0055】
次に、前記構成の射出成形機の可動金型支持装置の動作を説明する。
【0056】
図12は本発明の第1の実施の形態における可動金型支持装置に作用する力を示す図である。
【0057】
まず、図4に示される駆動装置30の駆動源31が作動し、クロスヘッド35を前進させることによって、トグル機構22を作動させる。これにより、可動プラテン11が前進させられて可動金型24が固定金型25に接合されて型閉が行われ、次いで、型締が行われる。続いて、図示されない射出装置から樹脂が高圧で射出され、前記可動金型24及び固定金型25のキャビティ空間に充填される。そして、前記樹脂が冷却して固化することによって成形品が成形される。すると、前記駆動源31が作動し、クロスヘッド35を後退させることによって、可動プラテン11が後退させられて可動金型24が固定金型25から離間して、型開が行われる。続いて、図示されないエジェクタロッドを前進させると、エジェクタピンが、前記可動金型24内部のキャビティに突出して成形品をエジェクトする。これにより、成形品が取り出される。以上の動作を繰り返すことによって、多数の成形品が成形される。
【0058】
なお、可動プラテン11は、タイバー12に沿って往復動を繰り返すことになる。そして、前記タイバー12のそれぞれに対応するタイバーガイド孔46には前方と後方に図示されないタイバーブッシュがそれぞれ嵌め込まれ、前方のタイバーブッシュと後方のタイバーブッシュとの間の部分にグリスが収納されている。このため、グリスがタイバーブッシュの内周面とタイバーの外周面との間にわずかずつ進入するので、前記タイバーブッシュの内周面とタイバー12の外周面との間の潤滑が常に良好となり、滑らかに摺動するので、前記可動プラテン11がタイバー12に沿ってスムーズに進退することができる。
【0059】
ここで、型閉及び型締の時には、図12に示されるように、トグル機構22の上下のトグルアーム33からの押す力F1及び力F2が、可動プラテン11の上部荷重受け部13及び下部荷重受け部17に作用する。一方、金型取付板15の金型取付面16には、可動金型24及び固定金型25を介して、固定プラテン23からの反力が押す力F3として作用する。
【0060】
この場合、該力F3の中心は金型取付面16の中心軸線L3に沿って作用すると考えることができ、上下のトグルアーム33からの力F1及び力F2は、上部荷重受け部13及び下部荷重受け部17に線L1及び線L2に沿って作用する。
【0061】
ところで、上部荷重伝達部材42及び下部荷重伝達部材43の金型取付板15側の端部は該金型取付板15中心に接近した位置で該金型取付板15の背面20に接続されている。そのため、上下のトグルアーム33からの力F1及び力F2は、上部荷重伝達部材42及び下部荷重伝達部材43に伝達され、力F1’及び力F2’として、線L6及び線L7に沿って金型取付板15の背面20の点P1及び点P2に作用する。なお、前記線L6及び線L7は、上部荷重伝達部材42及び下部荷重伝達部材43の中心線L4及び中心線L5が金型取付板15の背面20と交差する点P1及び点P2を通過し、中心軸線L3と平行な直線である。また、力F1’及び力F2’の大きさは、力F1及び力F2にそれぞれ等しい。
【0062】
この場合、線L6及び線L7と中心軸線L3との距離R2は短いので、力F1’及び力F2’によって金型取付板15に作用する曲げモーメントの大きさは小さくなる。
【0063】
これに対して、可動プラテン11が、仮に「従来の技術」において説明した可動プラテン100のような構成であるとすると、線L1及び線L2が金型取付板15の背面と交差する点に力F1及び力F2が作用することになる。すると、線L1及び線L2と中心軸線L3との距離R1が前記距離R2よりもはるかに長いので、金型取付板15に作用する曲げモーメントは大きくなってしまう。
【0064】
このように、金型取付板15に作用する上下のトグルアーム33からの押す力F1’及び力F2’の作用点と、反力が押す力F3の作用点の距離が近いので、金型取付板15に作用する曲げモーメントは小さくなる。そのため、金型取付板15は曲げモーメントによって撓むことがない。また、金型取付板15の中心付近が、図10及び11に示されるように、肉厚になっている場合、力F1’及び力F2’によって、金型取付板15が変形することもない。
【0065】
なお、上部荷重受け部13及び下部荷重受け部17は、上部荷重伝達部材42及び下部荷重伝達部材43を介して、金型取付板15の背面の点P1及び点P2に接続されている。そのため、力F1及び力F2によって、点P1及び点P2を中心に上部荷重受け部13及び下部荷重受け部17をそれぞれ上下方向へ押し広げるような力を受けることになる。すなわち、上部荷重受け部13及び下部荷重受け部17を互いに離間させるような力を受けることになる。
【0066】
しかし、前記上部荷重受け部13及び下部荷重受け部17は、荷重受け部連結部材41によって互いに連結されているので、離間することがない。
【0067】
このように、本実施の形態においては、上下のトグルアーム33からの力は、上部荷重伝達部材42及び下部荷重伝達部材43に伝達され、金型取付板15の背面20の中心に近い点P1及び点P2に作用する。
【0068】
このため、金型取付板15に作用する曲げモーメントが小さくなるので、金型取付板15の板厚を厚くしなくても、金型取付板15が撓むことがない。したがって、金型取付面16の変形を有効に防止することができるので、可動金型24が変形せず、成形品の成形性が低下することがない。
【0069】
また、ガイド部45の金型取付面16側の面50は、前記金型取付面16よりも背面20側に位置するので、タイバーガイド孔46の内周面とタイバー12の外周面との間から漏れ出たグリスが、直接に金型取付面16を流下することがない。
【0070】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、前記第1の実施の形態と同じ構成のものについては、同じ符号を付与することにより説明を省略する。
【0071】
図13は本発明の第2の実施の形態における可動金型支持装置の側面図、図14は本発明の第2の実施の形態における図13のF矢視図、図15は本発明の第2の実施の形態における図13のG矢視断面図、図16は本発明の第2の実施の形態における図14のH矢視図、図17は本発明の第2の実施の形態における図14のI矢視断面図、図18は本発明の第2の実施の形態における図14のJ矢視断面図である。
【0072】
本実施の形態において、可動金型支持装置としての可動プラテン11には、複数の前記タイバー12のそれぞれに対応する位置に、ガイド手段であるタイバー12と係合するガイド孔としてのタイバーガイド孔57を備える複数、例えば、四つのガイド部55が形成される。
【0073】
ここで、該ガイド部55の構成は、前記第1の実施の形態におけるガイド部45とほぼ同様であり、前記タイバーガイド孔57のそれぞれには前方と後方に図示されないタイバーブッシュがそれぞれ嵌め込まれ、該タイバーブッシュの内周面がタイバー12の外周面に接触して摺動するようになっている。そして、前記タイバーガイド孔57とタイバー12との隙間には、潤滑剤としのグリスが収納されている。なお、前記タイバーブッシュを省略する場合には、前記タイバーガイド孔57の内周面がタイバー12の外周面に直接に接触して摺動することになる。
【0074】
しかし、本実施の形態におけるガイド部55は、前記第1の実施の形態におけるガイド部45よりも短く、前記ガイド部55の金型取付面16側の面56は、金型取付板15の背面20よりも上部荷重受け部13及び下部荷重受け部17側に引っ込んでいる。すなわち、図13及び16に示されるように、前記ガイド部55の金型取付面16側の面56と前記背面20との間には隙間が生じた状態となっている。これにより、タイバーブッシュの内周面とタイバー12の外周面との間から漏れ出たグリスは、前記隙間から下方へ落下するので、金型取付面16を流下することがない。
【0075】
次に、前記構成の射出成形機の可動金型支持装置の動作を説明する。
【0076】
まず、駆動装置30の駆動源31が作動し、クロスヘッド35を前進させることによって、トグル機構22を作動させる。これにより、可動プラテン11が前進させられて可動金型24が固定金型25に接合されて型閉が行われ、次いで、型締が行われる。続いて、図示されない射出装置から樹脂が高圧で射出され、前記可動金型24及び固定金型25のキャビティ空間に充填される。そして、前記樹脂が冷却して固化することによって成形品が成形される。すると、前記駆動源31が作動し、クロスヘッド35を後退させることによって、可動プラテン11が後退させられて可動金型24が固定金型25から離間して、型開が行われる。続いて、図示されないエジェクタロッドを前進させると、エジェクタピンが、前記可動金型24内部のキャビティに突出して成形品をエジェクトする。これにより、成形品が取り出される。以上の動作を繰り返すことによって、多数の成形品が成形される。
【0077】
なお、可動プラテン11は、タイバー12に沿って往復動を繰り返すことになる。そして、可動プラテン11の前記タイバー12のそれぞれに対応するタイバーガイド孔57のそれぞれには前方と後方に図示されないタイバーブッシュがそれぞれ嵌め込まれ、前方のタイバーブッシュと後方のタイバーブッシュとの間の部分にグリスが収納されている。このため、グリスがタイバーブッシュの内周面とタイバー12の外周面との間にわずかずつ進入するので、前記タイバーブッシュの内周面とタイバー12の外周面との間の潤滑が常に良好となり、滑らかに摺動するので、前記可動プラテン11がタイバー12に沿ってスムーズに進退することができる。
【0078】
ここで、型締装置が長時間にわたり上記の動作を繰り返すと、前記タイバーガイド孔57又はタイバーブッシュの内周面とタイバー12の外周面との間からグリスが少しずつ漏れ出てくる。本実施の形態においては、ガイド部55の金型取付面16側の面56は、金型取付板15の背面20よりも上部荷重受け部13及び下部荷重受け部17側に引っ込んで、前記面56と背面20との間には隙間が生じた状態となっている。そのため、金型取付面16側の面56において、上側の二本のタイバー12の外周面とタイバーガイド孔57の内周面との間から漏れ出たグリスは、前記隙間から下方へ落下する。
【0079】
したがって、前記漏れ出たグリスは、金型取付面16に付着することがないので、金型取付面16や該金型取付面16に取り付けられた可動金型24が前記グリスによって汚染されることがない。
【0080】
なお、前記漏れ出たグリスは落下して、フレーム21の面や型締装置の据え付けられている床面等に付着するが、これらの面は可動金型24や固定金型25から離れているので、これらの面に付着したグリスが成形品に付着する恐れはない。また、前記漏れ出たグリスは微量であるので、型締装置やその周辺の環境の汚染という観点からみても、別段の問題は発生しない。
【0081】
そして、金型取付面16における前記面56と反対側の面のタイバー12の外周面とタイバーガイド孔57の内周面との間から漏れ出たグリスも流下して落下するが、前記反対側の面は可動金型24や固定金型25から離れているので、この面に付着したグリスが成形品に付着する恐れはない。また、前記漏れ出たグリスは微量であるので、型締装置やその周辺の環境の汚染という観点からみても、別段の問題は発生しない。
【0082】
なお、本実施の形態において、型閉及び型締の時に可動プラテン11に作用する力については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0083】
このように、本実施の形態においては、ガイド部55の金型取付面16側の面56は、金型取付板15の背面20よりも上部荷重受け部13及び下部荷重受け部17側に引っ込んで、前記面56と背面20との間には隙間が生じた状態となっている。
【0084】
したがって、金型取付面16側の面56において、上側の二本のタイバー12の外周面とタイバーガイド孔57の内周面との間から漏れ出たグリスは、前記隙間から下方へ落下するので、金型取付面16や該金型取付面16に取り付けられた可動金型24に付着するようなことがない。このため、前記金型取付面16や可動金型24に付着したグリスが成形された成形品に付着して該成形品が不良品となることがない。
【0085】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、前記第1及び第2の実施の形態と同じ構成のものについては、同じ符号を付与することにより説明を省略する。
【0086】
図19は本発明の第3の実施の形態における可動金型支持装置の背面図である。
【0087】
本実施の形態においては、フレーム21の上面にガイド手段としてのガイドレール63が取り付けられ、可動プラテン11の下端に取り付けられたベース部材61の下面にガイド部としての係合ガイド62が取り付けられている。なお、前記ベース部材61を省略して、前記可動プラテン11の下端面に係合ガイド62を直接取り付けることもできる。また、前記ガイドレール63は、フレーム21以外の部材に取り付けられていてもよい。
【0088】
ここで、前記ガイドレール63はリニアガイドウェイのレールであり、前記係合ガイド62は、リニアガイドウェイのキャリッジであることが望ましい。なお、リニアガイドウェイは、リニアシステム、リニアガイド、又は、LM(Linear Motion)ガイドとも呼ばれ、キャリッジがレールに係合し、該レールに沿って移動するシステムである。この場合、キャリッジとレールとの間には、ローラ、ボール等の転動部材が多数配設され、該転動部材が転動することによって、キャリッジはレールに沿って滑らかに移動することができるようになっている。なお、通常、前記転動部材は、キャリッジに保持され、循環経路内を循環するようになっている。また、キャリッジは、レールに係合しており、該レールの軸方向に移動することができるが、レールの軸に垂直な方向には移動することができないようになっている。そのため、キャリッジにレールの軸に垂直な方向の荷重が加えられた場合であっても、キャリッジは、がたつくことなく、レールに沿って滑らかに移動することができる。
【0089】
もっとも、前記ガイドレール63及び係合ガイド62は、リニアガイドウェイのレール及びキャリッジでなくてもよい。この場合も、前記ガイドレール63及び係合ガイド62は、図19に示されるような断面形状を有し、係合ガイド62がガイドレール63に係合した状態で、該ガイドレール63に沿って移動する。なお、ガイドレール63と係合ガイド62との摺動面には、グリス等の潤滑剤が供給され、摩擦抵抗を低くするようになっている。
【0090】
このように、本実施の形態における係合ガイド62は、ガイドレール63の軸に垂直な方向(図19における、例えば、上下左右方向)の加重を受けても、ガイドレール63の軸方向(図19の紙面に対して垂直方向)に滑らかに移動することができる。そのため、前記係合ガイド62は、可動プラテン11、該可動プラテン11に取り付けられた可動金型24等の重量を受けつつ、ガイドレール63に沿って滑らかに移動する。また、可動プラテン11に横方向から力が加えられた場合であっても、前記係合ガイド62は、がたつくことなく、ガイドレール63に沿って滑らかに移動する。
【0091】
本実施の形態においては、前記第1及び第2の実施の形態のように、タイバー12がガイド手段として機能しない。そのため、本実施の形態における可動プラテン11は、前記第1及び第2の実施の形態のようなガイド部45及びガイド部55を備えておらず、タイバー12が通過するための切欠58を備える。なお、該切欠58は、タイバー12と干渉しないものであれば、いかなる形状及び大きさのものであってもよく、また、タイバー12が可動プラテン11の外縁よりも外側に位置する場合には、省略することもできる。
【0092】
なお、本実施の形態において、型閉及び型締の時の可動プラテン11の動作、及び、該可動プラテン11に作用する力については、前記第1及び第2の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0093】
このように、本実施の形態においては、可動プラテン11の下端に取り付けられた係合ガイド62が、ガイドレール63に係合して、該ガイドレール63に沿って移動するようになっている。そして、該ガイドレール63はリニアガイドウェイのレールであり、前記係合ガイド62は、リニアガイドウェイのキャリッジである。
【0094】
したがって、可動プラテン11は、前後左右にがたつくことなく、滑らかに前進又は後退するので、型閉、型締等の際の金型の位置精度が向上し、高精度の成形品を成形することができる。
【0095】
また、タイバー12がガイド手段として機能しないので、前記可動プラテン11は、前記第1及び第2の実施の形態のようなガイド部45及びガイド部55を備える必要がない。そのため、タイバー12の外周面とタイバーガイド孔の内周面との間から漏れ出たグリスが、金型取付面16や該金型取付面16に取り付けられた可動金型24に付着するという問題が発生することがない。
【0096】
さらに、タイバー12に可動プラテン11、該可動プラテン11に取り付けられた可動金型24等の重量がかかることがないので、前記タイバー12が変形することがない。そのため、金型の位置精度が向上し、高精度の成形品を成形することができる。
【0097】
なお、前記実施の形態においては、可動プラテンが横方向(水平方向)に移動する横置型の射出成形機について説明したが、本発明の可動金型支持装置は、可動プラテンが縦方向(垂直方向)に移動する縦置型の射出成形機にも適用することができる。さらに、本発明の可動金型支持装置は、射出成形機の他に、ダイキャストマシーン、IJ封止プレス等の成形機にも適用することができる。
【0098】
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0099】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、射出成形機の可動金型支持装置においては、可動金型を取り付けることができ、駆動源による推進力に基づく型締力を受ける可動金型支持装置であって、金型取付面を備える金型取付板と、前記型締力を受ける第1荷重受け部及び第2荷重受け部と、一端が前記第1荷重受け部及び第2荷重受け部に接続され、他端が前記第1荷重受け部及び第2荷重受け部よりも前記金型取付板の中心に接近した位置で該金型取付板の背面に接続される荷重伝達部材とを有し、前記金型取付板は、背面が膨出し、前記荷重伝達部材が接続される位置において板厚が他の位置における板厚よりも厚くなっている。
【0100】
この場合、金型取付板の中心に接近した位置に作用するので曲げモーメントが小さくなり、金型取付板の板厚を厚くしなくても、金型取付板が撓むことがない。そのため、金型取付板の板厚を厚くすることなく、金型取付板の撓みや金型取付面の変形を防止することができる。
【0101】
他の射出成形機の可動金型支持装置においては、さらに、前記荷重伝達部材は、一端が前記第1荷重受け部に接続され、他端が該第1荷重受け部よりも前記金型取付板の中心に接近した位置で該金型取付板の背面に接続される第1荷重伝達部材と、一端が前記第2荷重受け部に接続され、他端が該第2荷重受け部よりも前記金型取付板の中心に接近した位置で該金型取付板の背面に接続される第2荷重伝達部材とから成る。
【0102】
この場合、金型取付板の中心に近い部分は、第1荷重受け部及び第2荷重受け部からの荷重が、荷重伝達部材を介して背面に伝達されても、ほとんど変形することがない。
【0103】
更に他の射出成形機の可動金型支持装置においては、さらに、前記金型取付板、ガイド部、第1荷重受け部、第2荷重受け部、荷重受け部連結部材及び荷重伝達部材は、一体的に形成される。
【0104】
この場合、可動金型支持装置の剛性がさらに高くなり、金型取付板が撓むことがない。
【0105】
更に他の射出成形機の可動金型支持装置においては、さらに、前記荷重受け部連結部材は、筒状の形状を備える。
【0106】
この場合、筒状の空間には、金型取付板の背面に取り付けられた、例えば、エジェクタロッドユニット、エジェクタロッド駆動源等の装置を収納することができる。
【0107】
更に他の射出成形機の可動金型支持装置においては、さらに、前記筒状の形状は、角筒状の形状である。
【0108】
この場合、荷重受け部連結部材の剛性が高くなり、変形することがない。
【0109】
更に他の射出成形機の可動金型支持装置においては、さらに、前記荷重受け部連結部材の金型取付板側の端面は、前記金型取付板の背面から離間している。
【0110】
この場合、筒状の空間には、金型取付板の背面に取り付けられた、例えば、エジェクタロッドユニット、エジェクタロッド駆動源等の装置の保守や交換等を容易に行うことができる。
【0111】
更に他の射出成形機の可動金型支持装置においては、さらに、前記ガイド手段はタイバーであり、前記ガイド部は前記タイバーが挿入されるガイド孔を備える。
【0112】
この場合、可動金型支持装置は、ガイドのための手段を別段配設しなくても、タイバーに沿って滑らかに前進又は後退することができる。
【0113】
更に他の射出成形機の可動金型支持装置においては、さらに、前記ガイド手段はガイドレールであり、前記ガイド部は前記ガイドレールに係合する係合ガイドを備える。
【0114】
この場合、可動金型支持装置は、ガイドレールに沿って滑らかに移動することができ、金型の位置精度が向上し、高精度の成形品を成形することができる。また、タイバーの外周面とガイド孔の内周面との間から漏れ出たグリスが、金型取付面や該金型取付面に取り付けられた可動金型に付着するという問題が発生することがない。
【0115】
更に他の射出成形機の可動金型支持装置においては、さらに、前記ガイドレールはリニアガイドウェイのレールであり、前記係合ガイドはリニアガイドウェイのキャリッジである。
【0116】
この場合、可動金型支持装置は、前後左右にがたつくことなく、滑らかに前進又は後退するので、型閉、型締等の際の金型の位置精度が向上し、高精度の成形品を成形することができる。
【0117】
更に他の射出成形機の可動金型支持装置においては、さらに、前記ガイド部の金型取付面側の面は、前記金型取付面よりも背面側に位置する。
【0118】
この場合、漏れ出たグリスが、直接に金型取付面を流下することがないので、グリスが金型取付面や可動金型に付着してまうことを防止することができる。したがって、金型取付面や可動金型に付着したグリスが成形された成形品に付着して該成形品が不良品となることがない。
【0119】
更に他の射出成形機の可動金型支持装置においては、さらに、前記ガイド部の金型取付面側の面は、前記背面よりもトグル式型締装置側に位置する。
【0120】
この場合、漏れ出たグリスは、隙間から下方へ落下するので、金型取付面や該金型取付面に取り付けられた可動金型に付着するようなことがない。したがって、前記金型取付面や可動金型に付着したグリスが成形された成形品に付着して該成形品が不良品となることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における可動金型支持装置の斜視図である。
【図2】従来の可動プラテンにおける第1の側面図である。
【図3】従来の可動プラテンにおける第2の側面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における射出成形機の概略図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における図1の縦断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における可動金型支持装置の側面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における図6のA矢視図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における図6のB矢視断面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における図7のC矢視図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態における図7のD矢視断面図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態における図7のE矢視断面図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態における可動金型支持装置に作用する力を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態における可動金型支持装置の側面図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態における図13のF矢視図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態における図13のG矢視断面図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態における図14のH矢視図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態における図14のI矢視断面図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態における図14のJ矢視断面図である。
【図19】本発明の第3の実施の形態における可動金型支持装置の背面図である。
【符号の説明】
11 可動プラテン
12 タイバー
13 上部荷重受け部
14 上部ピン挿入孔
15 金型取付面
16、37 金型取付面
17 下部荷重受け部
18 下部ピン挿入孔
20 背面
22 トグル機構
41 荷重受け連結部材
42 上部荷重伝達部材
43 下部荷重伝達部材
45、55 ガイド部
49、57 タイバーガイド孔
50、56 面
62 係合ガイド
63 ガイドレール
Claims (10)
- (a)可動金型を取り付けることができ、駆動源による推進力に基づく型締力を受ける可動金型支持装置であって、
(b)金型取付面を備える金型取付板と、
(c)前記型締力を受ける第1荷重受け部及び第2荷重受け部と、
(d)一端が前記第1荷重受け部及び第2荷重受け部に接続され、他端が前記第1荷重受け部及び第2荷重受け部よりも前記金型取付板の中心に接近した位置で該金型取付板の背面に接続される荷重伝達部材とを有し、
(e)前記金型取付板は、背面が膨出し、前記荷重伝達部材が接続される位置において板厚が他の位置における板厚よりも厚くなっていることを特徴とする射出成形機の可動金型支持装置。 - 前記第1荷重受け部は前記トグル機構の第1のピンが挿入される第1ピン挿入孔を備え、前記第2荷重受け部は前記トグル機構の第2のピンが挿入される第2ピン挿入孔を備え、前記第1荷重受け部及び第2荷重受け部はトグル機構を介して型締力を受ける請求項1に記載の射出成形機の可動金型支持装置。
- 前記荷重伝達部材は、一端が前記第1荷重受け部に接続され、他端が該第1荷重受け部よりも前記金型取付板の中心に接近した位置で該金型取付板の背面に接続される第1荷重伝達部材と、一端が前記第2荷重受け部に接続され、他端が該第2荷重受け部よりも前記金型取付板の中心に接近した位置で該金型取付板の背面に接続される第2荷重伝達部材とから成る請求項1又は2に記載の射出成形機の可動金型支持装置。
- ガイド手段と係合するガイド部を有し、前記ガイド手段に沿って移動する請求項1〜3のいずれか1項に記載の射出成形機の可動金型支持装置。
- 前記第1荷重受け部及び第2荷重受け部を接続する荷重受け部連結部材を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の射出成形機の可動金型支持装置。
- 前記金型取付板、ガイド部、第1荷重受け部、第2荷重受け部、荷重受け部連結部材及び荷重伝達部材は、一体的に形成される請求項5に記載の射出成形機の可動金型支持装置。
- 前記荷重受け部連結部材は、筒状の形状を備える請求項5に記載の射出成形機の可動金型支持装置。
- 前記ガイド手段はタイバーであり、前記ガイド部は前記タイバーが挿入されるガイド孔を備える請求項4に記載の射出成形機の可動金型支持装置。
- 前記ガイド手段はガイドレールであり、前記ガイド部は前記ガイドレールに係合する係合ガイドを備える請求項4に記載の射出成形機の可動金型支持装置。
- 前記ガイド部の金型取付面側の面は、前記金型取付面よりも背面側に位置する請求項4に記載の射出成形機の可動金型支持装置。
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