JP3423270B2 - ドラム式洗濯機 - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、略水平な軸を中心
に回転駆動されるドラムを有するドラム式洗濯機に関
し、更に詳しくは、該ドラムを内装する外槽が弾性体に
より揺動可能に保持された構造を有するドラム式洗濯機
に関する。なお、ここで「脱水」とは、石油系溶剤等を
用いた洗濯における「脱液」も含めることとする。 【０００２】 【従来の技術】ドラム式洗濯機は、濡れた洗濯物が収容
された円筒籠状のドラムを水平軸を中心に高速回転させ
て、洗濯物に含まれる水を周囲に飛散して除去する構成
を有している。このような遠心脱水の際の大きな問題点
の１つは、洗濯物がドラム内周壁に不均等に分散してい
る状態でドラムを高速回転させると、回転軸周りの質量
分布のアンバランスによって異常振動や異常騒音が発生
することである。 【０００３】上述したような問題に対し、ドラムの周方
向にバランスよく洗濯物を分散させることにより偏心荷
重を軽減する方法や、ドラムの一部に重量固定又は重量
可変式の重錘を設け、その重錘と洗濯物との釣合によっ
て偏心荷重を軽減する方法など、脱水立ち上げ時のバラ
ンス調整に関する種々の提案がなされている。これら従
来のドラム式洗濯機によれば、洗濯物をドラム周方向に
適度に分散又は集中させて、ドラム全体の偏心荷重が所
定範囲内に収まるようにした上でドラムの回転速度を遠
心脱水を行うための速度まで上昇させることができる。 【０００４】 【発明が解決しようとする課題】ところが、これら従来
のバランス調整方法のいずれにおいても、ドラムの周方
向つまり回転軸周りのバランスは考慮されているもの
の、回転軸の延伸方向つまり円筒形状のドラムの奥行方
向のバランスは考慮されていない。ドラム式洗濯機で
は、ドラムはその後部端面に固定された回転軸によって
略水平に片持支持されており、その回転軸はベアリング
等から成る軸受により回転自在に支持されている。その
ため、周方向にみれば同一の偏心荷重であっても、軸方
向（上記奥行方向）にみてドラム前部に偏心荷重が存在
する場合には、ドラム後部に偏心荷重が存在する場合に
比べて軸受から偏心荷重までの距離が長くなり、ドラム
を高速回転させたときに軸受に掛かる負荷がそれだけ大
きくなる。また、ドラムを内装した外槽をバネ等の弾性
体で懸垂して振動吸収を図った構造である場合には、偏
心荷重が軸受から離れた位置に存在するほど外槽の揺動
も大きくなることがわかった。 【０００５】本発明はこのような課題を解決するために
成されたものであり、その目的とするところは、ドラム
の周方向でみた偏心荷重の大きさのみならず、ドラムの
軸方向の偏心荷重の位置をも考慮して、ドラムを高速で
回転させる際の振動や騒音の発生を軽減することができ
るドラム式洗濯機を提供することにある。 【０００６】 【課題を解決するための手段、発明の実施の形態、及び
効果】上記課題を解決するために成された本発明に係る
ドラム式洗濯機は、外槽に設けた軸受により軸体を回転
自在に支承し、該軸体の一端に略円筒形状の周面を有す
るドラムを取着して成り、前記軸体を介して該ドラムを
その中心軸線を中心に高速回転させることによって該ド
ラム内に収容されている洗濯物を遠心脱水するドラム式
洗濯機において、周面略円筒形状の前記ドラムは、その
中心軸線が前記軸体との取着部側に向かって下傾斜する
ように配設され、且つ、脱水の立ち上げ時には、前記ド
ラム内の洗濯物に作用する遠心力が重力と釣り合うよう
な均衡回転速度よりもやや高い回転速度でもって該ドラ
ムを回転させ、該ドラムと一体に回転する偏心荷重がド
ラムの上部に達したときにドラムの内周壁面側の洗濯物
をその面に張り付いたまま回転させる一方、軸体側の洗
濯物のみを前記取着部側に落下させるように、一時的に
前記均衡回転速度よりも低い回転速度までドラムの回転
速度を落とすような回転制御を行うことを特徴としてい
る。 【０００７】本発明に係るドラム式洗濯機の構成によれ
ば、ドラムが上記取着部側（通常は後端面側）に向かっ
て下傾斜するように傾けて配置されているから、例えば
ドラムを回転することによりドラム内で洗濯物を撹拌す
ると、洗濯物は傾斜に沿って徐々に移動し、結果的に後
端面側に片寄る。したがって、このような状態でドラム
の回転速度を、洗濯物に作用する遠心力が重力に釣り合
うような回転速度（以下「均衡回転速度」という）以上
に上昇させると、ドラムの周方向に洗濯物が偏在してい
て偏心荷重が存在する場合であっても、ドラムの軸方向
にみるとその偏心荷重の位置は上記取着部側である可能
性が非常に高くなる。そのため、この偏心荷重と軸受と
の距離が相対的に近く、ドラムが高速回転する際に軸受
に掛かる負荷が相対的に小さくてすみ、軸受の破損や劣
化を軽減することができる。また、ドラムを高速回転さ
せる際のドラムや外槽の振動も抑制することができる。 【０００８】また、本発明に係るドラム式洗濯機では、
前記ドラム内での中心軸線周りの洗濯物の偏在に起因す
る偏心荷重の大きき又はそれに応じた指標値を取得する
偏心荷重検知手段を備える構成とすることが好ましい。
この偏心荷重検知手段の一実施形態としては、ドラムが
所定の回転速度で回転している状態で、該ドラムを回転
駆動するモータに流れる電流のトルク電流成分に基づい
て偏心荷重を検知する構成とすることができる。すなわ
ち、ドラムの軸周りにアンバランスがあると、ドラムが
１回転する期間内で負荷トルクが変動するから、これに
伴いトルク電流成分が変動する。この変動は偏心荷重の
大きさやドラム周方向での位置に対応しているから、こ
れにより偏心荷重の大きさつまり偏心量を求めることが
できる。 【０００９】上記偏心荷重検知手段を備えていれば、そ
れにより得られた偏心荷重の大きさ又はそれに応じた指
標値を所定値と比較することにより、それ以上に回転速
度を上昇させて遠心脱水を行うことの可否を判定する構
成とすることができる。この構成によれば、遠心脱水時
に振動が所定許容範囲内に収まると想定し得る場合にの
み回転速度の上昇を許可することができるので、遠心脱
水時の振動を確実に抑制することができる。 【００１０】また、本発明に係るドラム式洗濯機では、
上述したように偏心荷重が存在しても軸受に近い位置で
あるため、偏心荷重が軸受から遠い位置に存在する場合
よりも、遠心脱水を許可する際の基準である上記所定値
を大きくすることができる。つまり、偏心量の許容範囲
が実質的に広がるため、従来、かなりの時間を費やして
いた洗濯物のバランス調整に要する時間が短縮化でき
る。 【００１１】また、本発明に係るドラム式洗濯機におい
て脱水の立ち上げ時に洗濯物のバランス調整を行う場
合、単に、均衡回転速度よりもやや低い回転速度でもっ
てドラムを回転させるようにしてもよいが、該均衡回転
速度よりもやや高い回転速度でもってドラムを回転さ
せ、ドラムと一体に回転する偏心荷重がドラムの上部に
達したときに一時的に均衡回転速度よりも低い回転速度
までドラムの回転速度を落とすような回転制御を行う構
成とすることが望ましい。 【００１２】この構成によれば、偏心荷重の原因となっ
ている洗濯物のかたまりの一部が減速により落下するの
で、偏心荷重を効果的に小さくすることができる。ま
た、ドラムが傾斜しているため、上記落下により洗濯物
は軸受に近付く方向に移動することになり、偏心荷重を
上記取着部側へ片寄らせるのにも有効である。 【００１３】 【実施例】〔実施例１〕以下、本発明の一実施例（以下
「実施例１」という）であるドラム式洗濯機について図
面を参照して説明する。 【００１４】図１は本実施例１のドラム式洗濯機の全体
構成を示す側面縦断面図、図２はこのドラム式洗濯機の
正面透視図である。機枠１の内部には 周面略円筒形状
の外槽２が４本のバネ３及び４本のダンパ４により揺動
自在に保持されている。この外槽２の内部には、洗濯物
を収容するための周面略円筒形状のドラム５が主軸８に
より軸支されている。機枠１の前面には、ドラム５の前
面の衣類投入開口５ａを開閉するためのドア７が設けら
れており、このドア７を開いて洗濯物をドラム５内に投
入するようになっている。ドラム５の周壁には多数の通
水孔６が穿孔されており、洗浄や濯ぎ時に外槽２内に供
給された水はこの通水孔６を通してドラム５内へと流入
し、遠心脱水時にドラム５内で洗濯物から吐き出された
水はこの通水孔６を通して外槽２側へ飛散する。また、
ドラム５の内周壁面には洗濯物を掻き上げるためのバッ
フル９が適宜の位置（この例では、周方向に約１２０°
角度間隔を保った位置）に取り付けられている。 【００１５】主軸８は外槽２に装着された軸受１０によ
って回転自在に支承され、主軸８の後方先端には大径の
主プーリ１１が取り付けられている。外槽２の底面には
モータ１２が取り付けられ、このモータ１２の回転軸に
はモータプーリ１３が取着されており、このモータプー
リ１３の回転動力はＶベルト１４を介して主プーリ１１
に伝達される。機枠１の背面に設けられた給水管接続部
１５には外部の給水栓に至る給水管（図示しない）が連
結され、該給水管を介して供給される水は、給水バルブ
１６を通って、外槽２の背面に設けられた注水口から外
槽２内へと放出される。また、外槽２の底部には排水管
１７が接続されており、排水管１７の途中に設けられた
排水ポンプ１８が作動すると、外槽２内に貯留されてい
る水は排水管１７を通して外部へと排出される。 【００１６】回転センサ１９は、主プーリ１１を挟んで
外槽２側に設置された発光部と機枠１側に設置された受
光部とから構成される。発光部と受光部との間に位置す
る主プーリ１１のリング体には円周上に１箇所の開口が
設けられており、発光部から放出された光はドラム５が
１回転する間に１回だけ上記開口を通過して受光部に到
達する。受光部は、この受光信号を基にしてドラム５の
回転に同期した回転パルス信号を生成する。なお、回転
センサ１９の構成はドラム５の回転位置を検知できさえ
すればこれに限るものではなく、例えば磁気センサを用
いてドラム５の回転位置を検知するものであってもよ
い。 【００１７】本発明に係るドラム式洗濯機の特徴の一つ
は、ドラム５を内装した外槽２が起立する方向に傾けて
配置されていることである。すなわち、図１に示すよう
に、ドラム５の中心軸線Ｃが水平線Ｈに対して予め定め
る角度θだけ傾くように外槽２が取り付けられている。
このような配置とするのは次のような理由に依る。 【００１８】図１１は、ドラム５が略水平に軸支されて
いる従来の一般的なドラム式洗濯機において、ドラム５
内で洗濯物の偏在により偏心荷重が生じている状態を示
す模式図である。従来、ドラム５におけるバランス調整
というのは、図１１（ａ）又は（ｂ）において左方向か
ら見た状態での主軸８の周りの洗濯物の分布、つまり図
１１（ｃ）に示すような洗濯物の分布に起因する偏心量
Ｗを小さくすることを意味していた。しかしながら、同
じ偏心量Ｗという偏心荷重があるとしても、軸方向にみ
てドラム５のいずれの位置に洗濯物が分布しているかに
よって、ドラム５の前部に偏心荷重が存在する場合（図
１１（ａ）のケース）と、ドラム５の後部に偏心荷重が
存在する場合（図１１（ｂ）のケース）とがあり得る。
勿論、その中間に偏心荷重が存在する場合もあり得る
が、ここでは両極端のみを想定する。 【００１９】このドラム式洗濯機のようにドラム５が主
軸８を受ける軸受１０で支持されている場合、軸受１０
を挟んでドラム５側にはより大きな荷重が掛かる。ドラ
ム５に偏心荷重が存在する場合、軸受１０からの離間距
離Ｌが大きくなるほど、ドラム５を首振り振動させる力
は大きくなる。この力は主軸８を屈曲させようとする力
となって軸受１０に掛かるから、図１１（ａ）のケース
では図１１（ｂ）のケースよりも軸受１０に大きな力が
作用する。軸受１０はベアリング等を含んで構成されて
いるが、このような大きな力を受けると破損し易くな
り、破損しないまでも寿命が短くなる等の問題が生じ
る。更にまた、外槽２がバネやダンパ等の弾性体で揺動
自在に保持されている場合、軸受１０を介して受ける力
が大きいとそれだけ外槽２の揺動も大きくなり、振動や
騒音の原因となる。このようなことから、単に偏心量Ｗ
を小さくするのみならず、同一偏心量であるならば極
力、図１１（ｂ）に示すようにドラム５の後部に偏心荷
重が生じるようにすることが望ましい。 【００２０】図１１に示したような従来のドラム式洗濯
機では、ドラム５は略水平に配置されているため、軸方
向における洗濯物の分散を制御することはできない。そ
れに対し、本実施例１のドラム式洗濯機では、ドラム５
が後方下側に傾斜しているので、ドラム５内の洗濯物
は、重力によりドラム５後部側に移動し易くなってい
る。図３は、本実施例１のドラム式洗濯機における遠心
脱水時の洗濯物の分布状態を示す模式図である。ドラム
５内に収容されている洗濯物を適度に撹拌するようにド
ラム５を回転させると、図３（ａ）に示すように、ドラ
ム５内において洗濯物は後方側に移動する。その結果、
偏心荷重が存在しているとしても、図３（ｂ）に示すよ
うに、ドラム５後部にあって軸周りに偏在している洗濯
物による偏心荷重となり、その位置はドラム５後部、つ
まり軸受１０に近い位置となる。このように、このドラ
ム式洗濯機の構成によれば、非常に高い確率でもって、
偏心荷重を上述したように望ましい位置であるドラム５
後部に生じさせることができる。 【００２１】図４は本実施例１によるドラム式洗濯機の
電気系構成を示すブロック図である。全体の制御を司る
制御部２０は、洗浄、濯ぎ、脱水といった各洗濯行程を
遂行するための運転プログラムが予め格納されたメモリ
を備える。この制御部２０には、操作部３１、表示部３
２、負荷駆動部３３、インバータ制御部３４、モータ電
流検出部３５が接続されている。操作部３１は機枠１の
前面に設けられた操作パネルを含み、使用者による操作
に応じた入力信号を制御部２０へ与える。表示部３２は
同様に機枠１の前面に設けられた表示パネルを含み、操
作に対応した情報や運転状況などに関連する情報を制御
部２０から受け取って表示する。 【００２２】制御部２０は、機能的に回転速度制御部２
１、偏心荷重判定部２２を含んでいる。回転速度制御部
２１は回転速度指示信号をインバータ制御部３４に送出
し、インバータ制御部３４はこの指示信号をＰＷＭ信号
に変換して、このＰＷＭ信号に応じた駆動電圧をモータ
１２に印加する。これによりモータ１２は所望の回転速
度で且つ所望の方向（右又は左）に回転し、ドラム５は
予め定められた減速比で減速されて回転する。モータ電
流検出部３５は、インバータ制御部３４からモータ１２
に供給される駆動電流のうちのトルク電流成分を検出す
る。洗濯物が遠心力によってドラム５の内周壁面に張り
付くような（つまり均衡回転速度以上の）回転速度でも
ってドラム５が回転しているときに、ドラム５の周方向
に洗濯物が偏在していると、ドラム５が１回転する間に
負荷トルクが変動する。したがって、モータ電流のトル
ク電流成分は、ドラム５が１回転する期間内で洗濯物の
偏在に起因する偏心荷重に応じて変動する。 【００２３】図５は、回転センサ１９により得られる回
転パルス信号（図５中の回転マーカ）と偏心荷重による
トルク電流成分の変動との一例を示す波形図である。ト
ルク電流成分の最大ピークＶｍａｘはドラム５の１回転
期間内において負荷トルクが最大になるときに出現す
る。通常、負荷トルクは偏心荷重の原因である洗濯物を
重力に抗してドラム５の上方に持ち上げようとするとき
に最大となるから、偏心荷重がドラム５の最低位置を通
過してから略真横に達するまでの回転位置範囲内に在る
ときに最大ピークＶｍａｘが出現する。逆に、トルク電
流成分の最小ピークＶｍｉｎは、偏心荷重がドラム５の
最高位置を通過してから略真横に達するまでの回転位置
範囲内に在るときに出現する。このようなトルク電流成
分の変動振幅、つまり最大ピーク値と最小ピーク値の差
α（＝Ｖｍａｘ−Ｖｍｉｎ）は、偏心荷重の大きさ（つ
まり偏心量）を反映している。そこで、偏心量とトルク
電流成分の変動振幅αとの関係を予め調べておき、それ
に基づいて判定基準を定めておけば、後述のように偏心
量の大小関係の判定を変動振幅の判定をもって行うこと
ができる。 【００２４】図４において、偏心荷重判定部２２は、モ
ータ電流検出部３５から図５に示すような波形を受け取
るとともに、回転センサ１９から回転パルス信号を受け
取り、上述したような処理を行うことによって偏心量が
所定値以下であるか否かを判定する。 【００２５】次いで、この実施例１のドラム式洗濯機に
おいて、洗浄運転や濯ぎ運転のあとに実行される脱水行
程時（いわゆる中間脱水及び最終脱水を含む）の制御動
作に関して詳述する。図６は脱水行程の立上げ動作時の
制御を示すフローチャートである。 【００２６】脱水行程が開始されると、まず、制御部２
０は負荷駆動部３３を介して排水ポンプ１８を作動さ
せ、排水を開始する（ステップＳ１１）。そのあと、回
転速度制御部２１はインバータ制御部３４を介してモー
タ１２を駆動し、バランス調整運転として、ドラム５内
の全ての洗濯物に作用する遠心力と重力とが釣り合う均
衡回転速度（この例では均衡回転速度は９０ｒｐｍとす
る）よりもやや低い範囲の回転速度でもってドラム５を
回転させる（ステップＳ１２）。ここでは、例えば６０
〜８５ｒｐｍの回転速度の範囲で回転速度を変動させる
ものとする。 【００２７】このときの回転速度は均衡回転速度よりも
低いが、ドラム５の内周壁面に密着している洗濯物（つ
まり外周側に存在する洗濯物）にはより大きな遠心力が
作用するので、それら洗濯物はドラム５の内周壁面に張
り付いてドラム５の回転に伴って回転し、一方、内側に
位置する洗濯物は張り付くことなく、ドラム５の回転に
伴って途中まで持ち上げられそのあと落下する、という
動作を繰り返す。このような撹拌の過程で、上述したよ
うに洗濯物は全体的にドラム５の傾斜下方つまり後部側
へと片寄り、しかも周方向に適度に分散する。 【００２８】所定時間、バランス調整運転を行ったあ
と、偏心量の判定を実行する（ステップＳ１３）。すな
わち、回転速度制御部２１はインバータ制御部３４を介
して、ドラム５の回転速度を均衡回転速度よりもやや大
きな回転速度、例えば１００ｒｐｍまで上昇させ、その
回転速度を維持する（ステップＳ１４）。このとき、ド
ラム５内の全ての洗濯物は遠心力によりドラム５の内周
壁面側に張り付き、ドラム５と一体に回転する。この状
態において、偏心荷重判定部２２は、前述のようにモー
タ電流検出部３５にて検出されたトルク電流成分に基づ
いて、そのときに生じている偏心荷重の大きさ、つまり
偏心量が所定値以下であるか否かを判定する（ステップ
Ｓ１５）。 【００２９】本実施例のドラム式洗濯機では、上述した
ようにドラム５内の洗濯物はドラム５の後部に片寄るの
で、軸周りの洗濯物の偏在に起因する偏心荷重があった
としても、その位置は図３（ｂ）に示したようにドラム
５の後部である確率がかなり高い。したがって、偏心荷
重と軸受１０との離間距離が短く、偏心量が或る程度大
きかったとしても軸受１０に掛かる負荷が相対的に小さ
くてすむとともに、外槽２やドラム５の振動も相対的に
小さくてすむ。 【００３０】ここでは判定基準を４ｋｇとしており、上
記ステップＳ１５では偏心量が４ｋｇ以下であるか否か
を判定し、４ｋｇ以下である場合には、ドラム５の回転
速度を３５０ｒｐｍまで急加速する（ステップＳ１
６）。この洗濯機では、外槽２自体が有する固有の共振
点に相当する回転速度（共振回転速度）は約２５０ｒｐ
ｍである。この共振回転速度では外槽２は大きく振動す
るが、上記制御では、ドラム５を急加速することにより
共振回転速度を迅速に通過するので、ドラム５や外槽２
が共振作用で大きく振動することを回避できる。そのあ
と、５秒間経過するまで待機し（ステップＳ１７）、更
に脱水回転速度である８００ｒｐｍまで上昇させる（ス
テップＳ１８）。そして、その回転速度を維持して脱水
を完了させる。 【００３１】一方、ステップＳ１５にて偏心量が４ｋｇ
を越えていると判定された場合には、このままドラム５
の回転速度を上昇させると異常な振動や騒音が発生する
可能性が高いものと判断する。そこで、上記偏心量の判
定回数が３回目であるか否かを判定し（ステップＳ１
９）、３回に達していなければステップＳ１２へと戻っ
て脱水の立ち上げ処理をやり直す。すなわち、ドラム５
の回転速度を一旦、均衡回転速度よりも低い回転速度ま
で落とすことにより、ドラム５の内周壁面に張り付いて
いる洗濯物を剥離させ、洗濯物の再配置を促す。また、
ステップＳ１９にて判定回数が３回目である場合には、
脱水立ち上げに異常があると判断し、表示部３２に対し
てエラー表示（必要に応じてブザー等の音による注意喚
起を行ってもよい）を行わせ（ステップＳ２０）、その
あと運転停止の処理を行う（ステップＳ２１）。 【００３２】このようにして本実施例１によるドラム式
洗濯機によれば、ドラム５の軸周りの洗濯物の偏在によ
り偏心荷重があるとしても、その位置はドラム５の軸方
向において軸受１０に近い位置であるため、振動や軸受
１０に対する負荷が相対的に小さくてすみ、例えば上記
ステップＳ１５における判定基準を大きくすることがで
きる。つまり、偏心量の許容範囲が広がるので、バラン
ス調整運転を再試行する確率が小さくなり、脱水所要時
間の短縮化につながる。また、脱水が行えずにエラーと
なる確率も小さくなる。 【００３３】〔実施例２〕次に、本発明の他の実施例
（以下「実施例２」という）であるドラム式洗濯機を説
明する。この実施例２のドラム式洗濯機では、機械的な
構造は上記実施例１と同様であるので説明を省略する。
図７は実施例２によるドラム式洗濯機の電気系構成を示
すブロック図である。基本的な構成は実施例１と同一で
あり、相違するのは制御部２０に減速位置指示部２３を
含むことである。そこで、まず、この減速位置指示部２
３の機能を説明する。 【００３４】図５に関連して説明したように、ドラム５
に偏心荷重が存在すると、モータ電流のトルク電流成分
はドラム５の略１回転を周期とする変動を生じ、その変
動において最大ピークはドラム５の１回転期間内におい
て負荷トルクが最大になるタイミングで発生する。通
常、負荷トルクは偏心荷重を重力に抗してドラム５の上
部に持ち上げようとするときに最大となる。したがっ
て、殆どの場合、偏心荷重がドラム５内の最低位置を通
過してから略真横に達するまでの回転位置範囲内に存在
するときに、トルク電流成分の最大ピークが出現する。
ドラム５の軸周りにできるだけ均等に洗濯物を分散させ
るには、偏心荷重の原因となっている積み重なった洗濯
物の一部をばらけて落下させることが有効である。そこ
で、減速位置指示部２３はトルク電流成分の変動信号か
ら最大ピークを検出し、その検出時点から所定の時間だ
け遅いタイミングでパルス信号を生成する。この所定時
間を適宜に設定することにより、偏心荷重がドラム５内
の上部に達した時点でパルス信号を発生させることがで
きる。このパルス信号が減速指示信号であり、回転速度
制御部２１はこの減速指示信号を受けると、一時的にド
ラム５の回転速度を落とすように制御を行う。 【００３５】本実施例２によるドラム式洗濯機では、脱
水行程時の基本的な制御は実施例１の説明で用いた図６
と同様であるが、このフローチャート中のステップＳ１
２のバランス調整運転の内容が相違している。図８は、
実施例２のドラム式洗濯機におけるバランス調整運転の
制御フローチャートを示す。以下、図８に沿って、更に
は図９及び図１０を参照して、このドラム式洗濯機にお
けるバランス調整運転を説明する。図９はドラム５内で
の周方向における洗濯物の分布状況を示す模式図、図１
０はドラム５内での軸方向における洗濯物の分布状況を
示す模式図である。 【００３６】回転速度制御部２１はインバータ制御部３
４を介してモータ１２を駆動し、ドラム５の回転速度が
均衡回転速度よりも僅かに高い程度の回転速度（例えば
１００ｒｐｍ）に維持されるようにする（ステップＳ１
２１）。ドラム５が１００ｒｐｍで回転すると、全ての
洗濯物は遠心力によりドラム５内周壁面に押し付けられ
た状態で回転する（図９（ａ）参照）。このとき、ドラ
ム５の軸周りに洗濯物が不均一に分散していると偏心荷
重が存在し、その偏心荷重の位置に応じてトルク電流成
分が変動する。この偏心荷重がドラム５の真横を通過し
て更に上に持ち上げられつつあるときに（つまり偏心荷
重がドラム５の上部にあるときに）、減速位置指示部２
３から減速指示信号が回転速度制御部２１に入力される
（ステップＳ１２２）。この信号が入力されると、ドラ
ム５の回転速度がごく一時的に低下するように、回転速
度制御部２１は所定回転速度（例えば６０ｒｐｍ）にて
ドラム５が回転するような回転速度指示信号を所定の減
速時間の間だけ出力する（ステップＳ１２３）。 【００３７】このような急激な減速は、ドラム５の内周
壁面に押し付けられた状態で回転する洗濯物に作用して
いる遠心力を一時的に重力よりも小さくすることを目的
としている。すなわち、積み重なっている洗濯物がドラ
ム５の上部に到達するタイミングでドラム５を減速させ
ると、その洗濯物が重力により落下して分散する（図９
（ｂ）参照）。ドラム５内の各洗濯物に作用する遠心力
は回転軸からの距離に比例するから、回転軸の近くに位
置している洗濯物ほど作用する遠心力が小さい。このた
め、全ての洗濯物に作用する遠心力が重力に勝っている
状態からドラム５を減速すると、重なり合っている洗濯
物のうちの回転軸に近い位置にある洗濯物が先に落下す
る。したがって、所定回転速度及び減速時間を適切に設
定して適当な減速を行なうことにより、ドラム５の内周
壁面側の洗濯物をその面に張り付いたまま回転させる一
方、回転軸側にある洗濯物のみを落下させ分散すること
ができる。 【００３８】上述のような短時間の減速の後、ドラム５
の回転速度は速やかに１００ｒｐｍに戻される（ステッ
プＳ１２４）。このときには、先に偏心荷重の原因とな
っていた洗濯物が適度に分散することによって、偏心量
は減速前よりも小さくなっている（図９（ｃ）参照）。 【００３９】本実施例２のドラム式洗濯機では、或る洗
濯物がドラム５と一体にその底部から上部に向かって回
転するときには、その洗濯物の軌跡は図１０中に矢印Ｕ
で示すようになる。それに対し、この洗濯物がドラム５
の上部に達したときに、遠心力が重力よりも小さくなっ
て自然落下すると、その洗濯物の落下軌跡は矢印Ｄに示
すようになる。つまり、この洗濯物はドラム５の後部側
に距離ｍだけ移動した位置に落下することになる。この
ように、このドラム式洗濯機の構成によれば、上述した
ような減速による落下毎に洗濯物はドラム５後部側に移
動してゆくから、軸周りのバランス調整が不充分であっ
て偏心荷重が残っていたとしても、その偏心荷重はかな
り高い確率でドラム５後部に位置する。 【００４０】このように実施例２のドラム式洗濯機によ
れば、偏心荷重の原因となっている洗濯物を狙って洗濯
物の分散を行うことができるので、実施例１のドラム式
洗濯機よりも偏心荷重が小さくなる確率が高く、より確
実に振動を抑制することができるとともに脱水所要時間
も短縮することができる。 【００４１】なお、上記実施例は一例であって、本発明
の趣旨の範囲で適宜変形や修正を行えることは明らかで
ある。例えば、上記実施例は、外槽２をバネ３及びダン
パ４により揺動自在に懸垂支持した構造であるが、下方
に設けたバネの上に外槽２を取り付けて揺動自在の構造
としてもよい。また、外槽２が揺動しないように機枠１
に対して固定した構造でもよい。また、上記実施例は何
れも水を使用したドラム式洗濯機について述べたが、石
油系溶剤等を使用するドライクリーナに本発明を適用で
きることは当業者であれば容易に想到する。
に回転駆動されるドラムを有するドラム式洗濯機に関
し、更に詳しくは、該ドラムを内装する外槽が弾性体に
より揺動可能に保持された構造を有するドラム式洗濯機
に関する。なお、ここで「脱水」とは、石油系溶剤等を
用いた洗濯における「脱液」も含めることとする。 【０００２】 【従来の技術】ドラム式洗濯機は、濡れた洗濯物が収容
された円筒籠状のドラムを水平軸を中心に高速回転させ
て、洗濯物に含まれる水を周囲に飛散して除去する構成
を有している。このような遠心脱水の際の大きな問題点
の１つは、洗濯物がドラム内周壁に不均等に分散してい
る状態でドラムを高速回転させると、回転軸周りの質量
分布のアンバランスによって異常振動や異常騒音が発生
することである。 【０００３】上述したような問題に対し、ドラムの周方
向にバランスよく洗濯物を分散させることにより偏心荷
重を軽減する方法や、ドラムの一部に重量固定又は重量
可変式の重錘を設け、その重錘と洗濯物との釣合によっ
て偏心荷重を軽減する方法など、脱水立ち上げ時のバラ
ンス調整に関する種々の提案がなされている。これら従
来のドラム式洗濯機によれば、洗濯物をドラム周方向に
適度に分散又は集中させて、ドラム全体の偏心荷重が所
定範囲内に収まるようにした上でドラムの回転速度を遠
心脱水を行うための速度まで上昇させることができる。 【０００４】 【発明が解決しようとする課題】ところが、これら従来
のバランス調整方法のいずれにおいても、ドラムの周方
向つまり回転軸周りのバランスは考慮されているもの
の、回転軸の延伸方向つまり円筒形状のドラムの奥行方
向のバランスは考慮されていない。ドラム式洗濯機で
は、ドラムはその後部端面に固定された回転軸によって
略水平に片持支持されており、その回転軸はベアリング
等から成る軸受により回転自在に支持されている。その
ため、周方向にみれば同一の偏心荷重であっても、軸方
向（上記奥行方向）にみてドラム前部に偏心荷重が存在
する場合には、ドラム後部に偏心荷重が存在する場合に
比べて軸受から偏心荷重までの距離が長くなり、ドラム
を高速回転させたときに軸受に掛かる負荷がそれだけ大
きくなる。また、ドラムを内装した外槽をバネ等の弾性
体で懸垂して振動吸収を図った構造である場合には、偏
心荷重が軸受から離れた位置に存在するほど外槽の揺動
も大きくなることがわかった。 【０００５】本発明はこのような課題を解決するために
成されたものであり、その目的とするところは、ドラム
の周方向でみた偏心荷重の大きさのみならず、ドラムの
軸方向の偏心荷重の位置をも考慮して、ドラムを高速で
回転させる際の振動や騒音の発生を軽減することができ
るドラム式洗濯機を提供することにある。 【０００６】 【課題を解決するための手段、発明の実施の形態、及び
効果】上記課題を解決するために成された本発明に係る
ドラム式洗濯機は、外槽に設けた軸受により軸体を回転
自在に支承し、該軸体の一端に略円筒形状の周面を有す
るドラムを取着して成り、前記軸体を介して該ドラムを
その中心軸線を中心に高速回転させることによって該ド
ラム内に収容されている洗濯物を遠心脱水するドラム式
洗濯機において、周面略円筒形状の前記ドラムは、その
中心軸線が前記軸体との取着部側に向かって下傾斜する
ように配設され、且つ、脱水の立ち上げ時には、前記ド
ラム内の洗濯物に作用する遠心力が重力と釣り合うよう
な均衡回転速度よりもやや高い回転速度でもって該ドラ
ムを回転させ、該ドラムと一体に回転する偏心荷重がド
ラムの上部に達したときにドラムの内周壁面側の洗濯物
をその面に張り付いたまま回転させる一方、軸体側の洗
濯物のみを前記取着部側に落下させるように、一時的に
前記均衡回転速度よりも低い回転速度までドラムの回転
速度を落とすような回転制御を行うことを特徴としてい
る。 【０００７】本発明に係るドラム式洗濯機の構成によれ
ば、ドラムが上記取着部側（通常は後端面側）に向かっ
て下傾斜するように傾けて配置されているから、例えば
ドラムを回転することによりドラム内で洗濯物を撹拌す
ると、洗濯物は傾斜に沿って徐々に移動し、結果的に後
端面側に片寄る。したがって、このような状態でドラム
の回転速度を、洗濯物に作用する遠心力が重力に釣り合
うような回転速度（以下「均衡回転速度」という）以上
に上昇させると、ドラムの周方向に洗濯物が偏在してい
て偏心荷重が存在する場合であっても、ドラムの軸方向
にみるとその偏心荷重の位置は上記取着部側である可能
性が非常に高くなる。そのため、この偏心荷重と軸受と
の距離が相対的に近く、ドラムが高速回転する際に軸受
に掛かる負荷が相対的に小さくてすみ、軸受の破損や劣
化を軽減することができる。また、ドラムを高速回転さ
せる際のドラムや外槽の振動も抑制することができる。 【０００８】また、本発明に係るドラム式洗濯機では、
前記ドラム内での中心軸線周りの洗濯物の偏在に起因す
る偏心荷重の大きき又はそれに応じた指標値を取得する
偏心荷重検知手段を備える構成とすることが好ましい。
この偏心荷重検知手段の一実施形態としては、ドラムが
所定の回転速度で回転している状態で、該ドラムを回転
駆動するモータに流れる電流のトルク電流成分に基づい
て偏心荷重を検知する構成とすることができる。すなわ
ち、ドラムの軸周りにアンバランスがあると、ドラムが
１回転する期間内で負荷トルクが変動するから、これに
伴いトルク電流成分が変動する。この変動は偏心荷重の
大きさやドラム周方向での位置に対応しているから、こ
れにより偏心荷重の大きさつまり偏心量を求めることが
できる。 【０００９】上記偏心荷重検知手段を備えていれば、そ
れにより得られた偏心荷重の大きさ又はそれに応じた指
標値を所定値と比較することにより、それ以上に回転速
度を上昇させて遠心脱水を行うことの可否を判定する構
成とすることができる。この構成によれば、遠心脱水時
に振動が所定許容範囲内に収まると想定し得る場合にの
み回転速度の上昇を許可することができるので、遠心脱
水時の振動を確実に抑制することができる。 【００１０】また、本発明に係るドラム式洗濯機では、
上述したように偏心荷重が存在しても軸受に近い位置で
あるため、偏心荷重が軸受から遠い位置に存在する場合
よりも、遠心脱水を許可する際の基準である上記所定値
を大きくすることができる。つまり、偏心量の許容範囲
が実質的に広がるため、従来、かなりの時間を費やして
いた洗濯物のバランス調整に要する時間が短縮化でき
る。 【００１１】また、本発明に係るドラム式洗濯機におい
て脱水の立ち上げ時に洗濯物のバランス調整を行う場
合、単に、均衡回転速度よりもやや低い回転速度でもっ
てドラムを回転させるようにしてもよいが、該均衡回転
速度よりもやや高い回転速度でもってドラムを回転さ
せ、ドラムと一体に回転する偏心荷重がドラムの上部に
達したときに一時的に均衡回転速度よりも低い回転速度
までドラムの回転速度を落とすような回転制御を行う構
成とすることが望ましい。 【００１２】この構成によれば、偏心荷重の原因となっ
ている洗濯物のかたまりの一部が減速により落下するの
で、偏心荷重を効果的に小さくすることができる。ま
た、ドラムが傾斜しているため、上記落下により洗濯物
は軸受に近付く方向に移動することになり、偏心荷重を
上記取着部側へ片寄らせるのにも有効である。 【００１３】 【実施例】〔実施例１〕以下、本発明の一実施例（以下
「実施例１」という）であるドラム式洗濯機について図
面を参照して説明する。 【００１４】図１は本実施例１のドラム式洗濯機の全体
構成を示す側面縦断面図、図２はこのドラム式洗濯機の
正面透視図である。機枠１の内部には 周面略円筒形状
の外槽２が４本のバネ３及び４本のダンパ４により揺動
自在に保持されている。この外槽２の内部には、洗濯物
を収容するための周面略円筒形状のドラム５が主軸８に
より軸支されている。機枠１の前面には、ドラム５の前
面の衣類投入開口５ａを開閉するためのドア７が設けら
れており、このドア７を開いて洗濯物をドラム５内に投
入するようになっている。ドラム５の周壁には多数の通
水孔６が穿孔されており、洗浄や濯ぎ時に外槽２内に供
給された水はこの通水孔６を通してドラム５内へと流入
し、遠心脱水時にドラム５内で洗濯物から吐き出された
水はこの通水孔６を通して外槽２側へ飛散する。また、
ドラム５の内周壁面には洗濯物を掻き上げるためのバッ
フル９が適宜の位置（この例では、周方向に約１２０°
角度間隔を保った位置）に取り付けられている。 【００１５】主軸８は外槽２に装着された軸受１０によ
って回転自在に支承され、主軸８の後方先端には大径の
主プーリ１１が取り付けられている。外槽２の底面には
モータ１２が取り付けられ、このモータ１２の回転軸に
はモータプーリ１３が取着されており、このモータプー
リ１３の回転動力はＶベルト１４を介して主プーリ１１
に伝達される。機枠１の背面に設けられた給水管接続部
１５には外部の給水栓に至る給水管（図示しない）が連
結され、該給水管を介して供給される水は、給水バルブ
１６を通って、外槽２の背面に設けられた注水口から外
槽２内へと放出される。また、外槽２の底部には排水管
１７が接続されており、排水管１７の途中に設けられた
排水ポンプ１８が作動すると、外槽２内に貯留されてい
る水は排水管１７を通して外部へと排出される。 【００１６】回転センサ１９は、主プーリ１１を挟んで
外槽２側に設置された発光部と機枠１側に設置された受
光部とから構成される。発光部と受光部との間に位置す
る主プーリ１１のリング体には円周上に１箇所の開口が
設けられており、発光部から放出された光はドラム５が
１回転する間に１回だけ上記開口を通過して受光部に到
達する。受光部は、この受光信号を基にしてドラム５の
回転に同期した回転パルス信号を生成する。なお、回転
センサ１９の構成はドラム５の回転位置を検知できさえ
すればこれに限るものではなく、例えば磁気センサを用
いてドラム５の回転位置を検知するものであってもよ
い。 【００１７】本発明に係るドラム式洗濯機の特徴の一つ
は、ドラム５を内装した外槽２が起立する方向に傾けて
配置されていることである。すなわち、図１に示すよう
に、ドラム５の中心軸線Ｃが水平線Ｈに対して予め定め
る角度θだけ傾くように外槽２が取り付けられている。
このような配置とするのは次のような理由に依る。 【００１８】図１１は、ドラム５が略水平に軸支されて
いる従来の一般的なドラム式洗濯機において、ドラム５
内で洗濯物の偏在により偏心荷重が生じている状態を示
す模式図である。従来、ドラム５におけるバランス調整
というのは、図１１（ａ）又は（ｂ）において左方向か
ら見た状態での主軸８の周りの洗濯物の分布、つまり図
１１（ｃ）に示すような洗濯物の分布に起因する偏心量
Ｗを小さくすることを意味していた。しかしながら、同
じ偏心量Ｗという偏心荷重があるとしても、軸方向にみ
てドラム５のいずれの位置に洗濯物が分布しているかに
よって、ドラム５の前部に偏心荷重が存在する場合（図
１１（ａ）のケース）と、ドラム５の後部に偏心荷重が
存在する場合（図１１（ｂ）のケース）とがあり得る。
勿論、その中間に偏心荷重が存在する場合もあり得る
が、ここでは両極端のみを想定する。 【００１９】このドラム式洗濯機のようにドラム５が主
軸８を受ける軸受１０で支持されている場合、軸受１０
を挟んでドラム５側にはより大きな荷重が掛かる。ドラ
ム５に偏心荷重が存在する場合、軸受１０からの離間距
離Ｌが大きくなるほど、ドラム５を首振り振動させる力
は大きくなる。この力は主軸８を屈曲させようとする力
となって軸受１０に掛かるから、図１１（ａ）のケース
では図１１（ｂ）のケースよりも軸受１０に大きな力が
作用する。軸受１０はベアリング等を含んで構成されて
いるが、このような大きな力を受けると破損し易くな
り、破損しないまでも寿命が短くなる等の問題が生じ
る。更にまた、外槽２がバネやダンパ等の弾性体で揺動
自在に保持されている場合、軸受１０を介して受ける力
が大きいとそれだけ外槽２の揺動も大きくなり、振動や
騒音の原因となる。このようなことから、単に偏心量Ｗ
を小さくするのみならず、同一偏心量であるならば極
力、図１１（ｂ）に示すようにドラム５の後部に偏心荷
重が生じるようにすることが望ましい。 【００２０】図１１に示したような従来のドラム式洗濯
機では、ドラム５は略水平に配置されているため、軸方
向における洗濯物の分散を制御することはできない。そ
れに対し、本実施例１のドラム式洗濯機では、ドラム５
が後方下側に傾斜しているので、ドラム５内の洗濯物
は、重力によりドラム５後部側に移動し易くなってい
る。図３は、本実施例１のドラム式洗濯機における遠心
脱水時の洗濯物の分布状態を示す模式図である。ドラム
５内に収容されている洗濯物を適度に撹拌するようにド
ラム５を回転させると、図３（ａ）に示すように、ドラ
ム５内において洗濯物は後方側に移動する。その結果、
偏心荷重が存在しているとしても、図３（ｂ）に示すよ
うに、ドラム５後部にあって軸周りに偏在している洗濯
物による偏心荷重となり、その位置はドラム５後部、つ
まり軸受１０に近い位置となる。このように、このドラ
ム式洗濯機の構成によれば、非常に高い確率でもって、
偏心荷重を上述したように望ましい位置であるドラム５
後部に生じさせることができる。 【００２１】図４は本実施例１によるドラム式洗濯機の
電気系構成を示すブロック図である。全体の制御を司る
制御部２０は、洗浄、濯ぎ、脱水といった各洗濯行程を
遂行するための運転プログラムが予め格納されたメモリ
を備える。この制御部２０には、操作部３１、表示部３
２、負荷駆動部３３、インバータ制御部３４、モータ電
流検出部３５が接続されている。操作部３１は機枠１の
前面に設けられた操作パネルを含み、使用者による操作
に応じた入力信号を制御部２０へ与える。表示部３２は
同様に機枠１の前面に設けられた表示パネルを含み、操
作に対応した情報や運転状況などに関連する情報を制御
部２０から受け取って表示する。 【００２２】制御部２０は、機能的に回転速度制御部２
１、偏心荷重判定部２２を含んでいる。回転速度制御部
２１は回転速度指示信号をインバータ制御部３４に送出
し、インバータ制御部３４はこの指示信号をＰＷＭ信号
に変換して、このＰＷＭ信号に応じた駆動電圧をモータ
１２に印加する。これによりモータ１２は所望の回転速
度で且つ所望の方向（右又は左）に回転し、ドラム５は
予め定められた減速比で減速されて回転する。モータ電
流検出部３５は、インバータ制御部３４からモータ１２
に供給される駆動電流のうちのトルク電流成分を検出す
る。洗濯物が遠心力によってドラム５の内周壁面に張り
付くような（つまり均衡回転速度以上の）回転速度でも
ってドラム５が回転しているときに、ドラム５の周方向
に洗濯物が偏在していると、ドラム５が１回転する間に
負荷トルクが変動する。したがって、モータ電流のトル
ク電流成分は、ドラム５が１回転する期間内で洗濯物の
偏在に起因する偏心荷重に応じて変動する。 【００２３】図５は、回転センサ１９により得られる回
転パルス信号（図５中の回転マーカ）と偏心荷重による
トルク電流成分の変動との一例を示す波形図である。ト
ルク電流成分の最大ピークＶｍａｘはドラム５の１回転
期間内において負荷トルクが最大になるときに出現す
る。通常、負荷トルクは偏心荷重の原因である洗濯物を
重力に抗してドラム５の上方に持ち上げようとするとき
に最大となるから、偏心荷重がドラム５の最低位置を通
過してから略真横に達するまでの回転位置範囲内に在る
ときに最大ピークＶｍａｘが出現する。逆に、トルク電
流成分の最小ピークＶｍｉｎは、偏心荷重がドラム５の
最高位置を通過してから略真横に達するまでの回転位置
範囲内に在るときに出現する。このようなトルク電流成
分の変動振幅、つまり最大ピーク値と最小ピーク値の差
α（＝Ｖｍａｘ−Ｖｍｉｎ）は、偏心荷重の大きさ（つ
まり偏心量）を反映している。そこで、偏心量とトルク
電流成分の変動振幅αとの関係を予め調べておき、それ
に基づいて判定基準を定めておけば、後述のように偏心
量の大小関係の判定を変動振幅の判定をもって行うこと
ができる。 【００２４】図４において、偏心荷重判定部２２は、モ
ータ電流検出部３５から図５に示すような波形を受け取
るとともに、回転センサ１９から回転パルス信号を受け
取り、上述したような処理を行うことによって偏心量が
所定値以下であるか否かを判定する。 【００２５】次いで、この実施例１のドラム式洗濯機に
おいて、洗浄運転や濯ぎ運転のあとに実行される脱水行
程時（いわゆる中間脱水及び最終脱水を含む）の制御動
作に関して詳述する。図６は脱水行程の立上げ動作時の
制御を示すフローチャートである。 【００２６】脱水行程が開始されると、まず、制御部２
０は負荷駆動部３３を介して排水ポンプ１８を作動さ
せ、排水を開始する（ステップＳ１１）。そのあと、回
転速度制御部２１はインバータ制御部３４を介してモー
タ１２を駆動し、バランス調整運転として、ドラム５内
の全ての洗濯物に作用する遠心力と重力とが釣り合う均
衡回転速度（この例では均衡回転速度は９０ｒｐｍとす
る）よりもやや低い範囲の回転速度でもってドラム５を
回転させる（ステップＳ１２）。ここでは、例えば６０
〜８５ｒｐｍの回転速度の範囲で回転速度を変動させる
ものとする。 【００２７】このときの回転速度は均衡回転速度よりも
低いが、ドラム５の内周壁面に密着している洗濯物（つ
まり外周側に存在する洗濯物）にはより大きな遠心力が
作用するので、それら洗濯物はドラム５の内周壁面に張
り付いてドラム５の回転に伴って回転し、一方、内側に
位置する洗濯物は張り付くことなく、ドラム５の回転に
伴って途中まで持ち上げられそのあと落下する、という
動作を繰り返す。このような撹拌の過程で、上述したよ
うに洗濯物は全体的にドラム５の傾斜下方つまり後部側
へと片寄り、しかも周方向に適度に分散する。 【００２８】所定時間、バランス調整運転を行ったあ
と、偏心量の判定を実行する（ステップＳ１３）。すな
わち、回転速度制御部２１はインバータ制御部３４を介
して、ドラム５の回転速度を均衡回転速度よりもやや大
きな回転速度、例えば１００ｒｐｍまで上昇させ、その
回転速度を維持する（ステップＳ１４）。このとき、ド
ラム５内の全ての洗濯物は遠心力によりドラム５の内周
壁面側に張り付き、ドラム５と一体に回転する。この状
態において、偏心荷重判定部２２は、前述のようにモー
タ電流検出部３５にて検出されたトルク電流成分に基づ
いて、そのときに生じている偏心荷重の大きさ、つまり
偏心量が所定値以下であるか否かを判定する（ステップ
Ｓ１５）。 【００２９】本実施例のドラム式洗濯機では、上述した
ようにドラム５内の洗濯物はドラム５の後部に片寄るの
で、軸周りの洗濯物の偏在に起因する偏心荷重があった
としても、その位置は図３（ｂ）に示したようにドラム
５の後部である確率がかなり高い。したがって、偏心荷
重と軸受１０との離間距離が短く、偏心量が或る程度大
きかったとしても軸受１０に掛かる負荷が相対的に小さ
くてすむとともに、外槽２やドラム５の振動も相対的に
小さくてすむ。 【００３０】ここでは判定基準を４ｋｇとしており、上
記ステップＳ１５では偏心量が４ｋｇ以下であるか否か
を判定し、４ｋｇ以下である場合には、ドラム５の回転
速度を３５０ｒｐｍまで急加速する（ステップＳ１
６）。この洗濯機では、外槽２自体が有する固有の共振
点に相当する回転速度（共振回転速度）は約２５０ｒｐ
ｍである。この共振回転速度では外槽２は大きく振動す
るが、上記制御では、ドラム５を急加速することにより
共振回転速度を迅速に通過するので、ドラム５や外槽２
が共振作用で大きく振動することを回避できる。そのあ
と、５秒間経過するまで待機し（ステップＳ１７）、更
に脱水回転速度である８００ｒｐｍまで上昇させる（ス
テップＳ１８）。そして、その回転速度を維持して脱水
を完了させる。 【００３１】一方、ステップＳ１５にて偏心量が４ｋｇ
を越えていると判定された場合には、このままドラム５
の回転速度を上昇させると異常な振動や騒音が発生する
可能性が高いものと判断する。そこで、上記偏心量の判
定回数が３回目であるか否かを判定し（ステップＳ１
９）、３回に達していなければステップＳ１２へと戻っ
て脱水の立ち上げ処理をやり直す。すなわち、ドラム５
の回転速度を一旦、均衡回転速度よりも低い回転速度ま
で落とすことにより、ドラム５の内周壁面に張り付いて
いる洗濯物を剥離させ、洗濯物の再配置を促す。また、
ステップＳ１９にて判定回数が３回目である場合には、
脱水立ち上げに異常があると判断し、表示部３２に対し
てエラー表示（必要に応じてブザー等の音による注意喚
起を行ってもよい）を行わせ（ステップＳ２０）、その
あと運転停止の処理を行う（ステップＳ２１）。 【００３２】このようにして本実施例１によるドラム式
洗濯機によれば、ドラム５の軸周りの洗濯物の偏在によ
り偏心荷重があるとしても、その位置はドラム５の軸方
向において軸受１０に近い位置であるため、振動や軸受
１０に対する負荷が相対的に小さくてすみ、例えば上記
ステップＳ１５における判定基準を大きくすることがで
きる。つまり、偏心量の許容範囲が広がるので、バラン
ス調整運転を再試行する確率が小さくなり、脱水所要時
間の短縮化につながる。また、脱水が行えずにエラーと
なる確率も小さくなる。 【００３３】〔実施例２〕次に、本発明の他の実施例
（以下「実施例２」という）であるドラム式洗濯機を説
明する。この実施例２のドラム式洗濯機では、機械的な
構造は上記実施例１と同様であるので説明を省略する。
図７は実施例２によるドラム式洗濯機の電気系構成を示
すブロック図である。基本的な構成は実施例１と同一で
あり、相違するのは制御部２０に減速位置指示部２３を
含むことである。そこで、まず、この減速位置指示部２
３の機能を説明する。 【００３４】図５に関連して説明したように、ドラム５
に偏心荷重が存在すると、モータ電流のトルク電流成分
はドラム５の略１回転を周期とする変動を生じ、その変
動において最大ピークはドラム５の１回転期間内におい
て負荷トルクが最大になるタイミングで発生する。通
常、負荷トルクは偏心荷重を重力に抗してドラム５の上
部に持ち上げようとするときに最大となる。したがっ
て、殆どの場合、偏心荷重がドラム５内の最低位置を通
過してから略真横に達するまでの回転位置範囲内に存在
するときに、トルク電流成分の最大ピークが出現する。
ドラム５の軸周りにできるだけ均等に洗濯物を分散させ
るには、偏心荷重の原因となっている積み重なった洗濯
物の一部をばらけて落下させることが有効である。そこ
で、減速位置指示部２３はトルク電流成分の変動信号か
ら最大ピークを検出し、その検出時点から所定の時間だ
け遅いタイミングでパルス信号を生成する。この所定時
間を適宜に設定することにより、偏心荷重がドラム５内
の上部に達した時点でパルス信号を発生させることがで
きる。このパルス信号が減速指示信号であり、回転速度
制御部２１はこの減速指示信号を受けると、一時的にド
ラム５の回転速度を落とすように制御を行う。 【００３５】本実施例２によるドラム式洗濯機では、脱
水行程時の基本的な制御は実施例１の説明で用いた図６
と同様であるが、このフローチャート中のステップＳ１
２のバランス調整運転の内容が相違している。図８は、
実施例２のドラム式洗濯機におけるバランス調整運転の
制御フローチャートを示す。以下、図８に沿って、更に
は図９及び図１０を参照して、このドラム式洗濯機にお
けるバランス調整運転を説明する。図９はドラム５内で
の周方向における洗濯物の分布状況を示す模式図、図１
０はドラム５内での軸方向における洗濯物の分布状況を
示す模式図である。 【００３６】回転速度制御部２１はインバータ制御部３
４を介してモータ１２を駆動し、ドラム５の回転速度が
均衡回転速度よりも僅かに高い程度の回転速度（例えば
１００ｒｐｍ）に維持されるようにする（ステップＳ１
２１）。ドラム５が１００ｒｐｍで回転すると、全ての
洗濯物は遠心力によりドラム５内周壁面に押し付けられ
た状態で回転する（図９（ａ）参照）。このとき、ドラ
ム５の軸周りに洗濯物が不均一に分散していると偏心荷
重が存在し、その偏心荷重の位置に応じてトルク電流成
分が変動する。この偏心荷重がドラム５の真横を通過し
て更に上に持ち上げられつつあるときに（つまり偏心荷
重がドラム５の上部にあるときに）、減速位置指示部２
３から減速指示信号が回転速度制御部２１に入力される
（ステップＳ１２２）。この信号が入力されると、ドラ
ム５の回転速度がごく一時的に低下するように、回転速
度制御部２１は所定回転速度（例えば６０ｒｐｍ）にて
ドラム５が回転するような回転速度指示信号を所定の減
速時間の間だけ出力する（ステップＳ１２３）。 【００３７】このような急激な減速は、ドラム５の内周
壁面に押し付けられた状態で回転する洗濯物に作用して
いる遠心力を一時的に重力よりも小さくすることを目的
としている。すなわち、積み重なっている洗濯物がドラ
ム５の上部に到達するタイミングでドラム５を減速させ
ると、その洗濯物が重力により落下して分散する（図９
（ｂ）参照）。ドラム５内の各洗濯物に作用する遠心力
は回転軸からの距離に比例するから、回転軸の近くに位
置している洗濯物ほど作用する遠心力が小さい。このた
め、全ての洗濯物に作用する遠心力が重力に勝っている
状態からドラム５を減速すると、重なり合っている洗濯
物のうちの回転軸に近い位置にある洗濯物が先に落下す
る。したがって、所定回転速度及び減速時間を適切に設
定して適当な減速を行なうことにより、ドラム５の内周
壁面側の洗濯物をその面に張り付いたまま回転させる一
方、回転軸側にある洗濯物のみを落下させ分散すること
ができる。 【００３８】上述のような短時間の減速の後、ドラム５
の回転速度は速やかに１００ｒｐｍに戻される（ステッ
プＳ１２４）。このときには、先に偏心荷重の原因とな
っていた洗濯物が適度に分散することによって、偏心量
は減速前よりも小さくなっている（図９（ｃ）参照）。 【００３９】本実施例２のドラム式洗濯機では、或る洗
濯物がドラム５と一体にその底部から上部に向かって回
転するときには、その洗濯物の軌跡は図１０中に矢印Ｕ
で示すようになる。それに対し、この洗濯物がドラム５
の上部に達したときに、遠心力が重力よりも小さくなっ
て自然落下すると、その洗濯物の落下軌跡は矢印Ｄに示
すようになる。つまり、この洗濯物はドラム５の後部側
に距離ｍだけ移動した位置に落下することになる。この
ように、このドラム式洗濯機の構成によれば、上述した
ような減速による落下毎に洗濯物はドラム５後部側に移
動してゆくから、軸周りのバランス調整が不充分であっ
て偏心荷重が残っていたとしても、その偏心荷重はかな
り高い確率でドラム５後部に位置する。 【００４０】このように実施例２のドラム式洗濯機によ
れば、偏心荷重の原因となっている洗濯物を狙って洗濯
物の分散を行うことができるので、実施例１のドラム式
洗濯機よりも偏心荷重が小さくなる確率が高く、より確
実に振動を抑制することができるとともに脱水所要時間
も短縮することができる。 【００４１】なお、上記実施例は一例であって、本発明
の趣旨の範囲で適宜変形や修正を行えることは明らかで
ある。例えば、上記実施例は、外槽２をバネ３及びダン
パ４により揺動自在に懸垂支持した構造であるが、下方
に設けたバネの上に外槽２を取り付けて揺動自在の構造
としてもよい。また、外槽２が揺動しないように機枠１
に対して固定した構造でもよい。また、上記実施例は何
れも水を使用したドラム式洗濯機について述べたが、石
油系溶剤等を使用するドライクリーナに本発明を適用で
きることは当業者であれば容易に想到する。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の一実施例である実施例１によるドラ
ム式洗濯機の側面縦断面図。 【図２】 実施例１のドラム式洗濯機の正面透視図。 【図３】 実施例１のドラム式洗濯機における遠心脱水
時の洗濯物の分布状態を示す模式図。 【図４】 実施例１のドラム式洗濯機の電気系構成を示
すブロック図。 【図５】 実施例１のドラム式洗濯機において回転セン
サにより得られる回転パルス信号と偏心荷重によるトル
ク電流成分の変動との一例を示す波形図。 【図６】 実施例１のドラム式洗濯機における脱水行程
の立ち上げ動作時の制御を示すフローチャート。 【図７】 本発明の他の実施例である実施例２によるド
ラム式洗濯機の電気系構成を示すブロック図。 【図８】 実施例２のドラム式洗濯機における脱水行程
のバランス調整運転の制御フローチャート。 【図９】 実施例２のドラム式洗濯機においてドラム内
の周方向での洗濯物の分布状況を示す模式図。 【図１０】 実施例２のドラム式洗濯機においてドラム
内の軸方向での洗濯物の分布状況を示す模式図。 【図１１】 従来の一般的なドラム式洗濯機において偏
心荷重が生じている状態の例を示す模式図。 【符号の説明】 １…機枠 ２…外槽 ３…バネ ４…ダンパ ５…ドラム ５ａ…衣類投入開口 ７…ドア ８…主軸 １０…軸受 １１…主プーリ １２…モータ １３…モータプーリ １４…Ｖベルト １５…給水管接続部 １６…給水バルブ １７…排水管 １８…排水ポンプ １９…回転センサ ２０…制御部 ２１…回転速度制御部 ２２…偏心荷重判定部 ２３…減速位置指示部 ３３…負荷駆動部 ３４…インバータ制御部 ３５…モータ電流検出部
ム式洗濯機の側面縦断面図。 【図２】 実施例１のドラム式洗濯機の正面透視図。 【図３】 実施例１のドラム式洗濯機における遠心脱水
時の洗濯物の分布状態を示す模式図。 【図４】 実施例１のドラム式洗濯機の電気系構成を示
すブロック図。 【図５】 実施例１のドラム式洗濯機において回転セン
サにより得られる回転パルス信号と偏心荷重によるトル
ク電流成分の変動との一例を示す波形図。 【図６】 実施例１のドラム式洗濯機における脱水行程
の立ち上げ動作時の制御を示すフローチャート。 【図７】 本発明の他の実施例である実施例２によるド
ラム式洗濯機の電気系構成を示すブロック図。 【図８】 実施例２のドラム式洗濯機における脱水行程
のバランス調整運転の制御フローチャート。 【図９】 実施例２のドラム式洗濯機においてドラム内
の周方向での洗濯物の分布状況を示す模式図。 【図１０】 実施例２のドラム式洗濯機においてドラム
内の軸方向での洗濯物の分布状況を示す模式図。 【図１１】 従来の一般的なドラム式洗濯機において偏
心荷重が生じている状態の例を示す模式図。 【符号の説明】 １…機枠 ２…外槽 ３…バネ ４…ダンパ ５…ドラム ５ａ…衣類投入開口 ７…ドア ８…主軸 １０…軸受 １１…主プーリ １２…モータ １３…モータプーリ １４…Ｖベルト １５…給水管接続部 １６…給水バルブ １７…排水管 １８…排水ポンプ １９…回転センサ ２０…制御部 ２１…回転速度制御部 ２２…偏心荷重判定部 ２３…減速位置指示部 ３３…負荷駆動部 ３４…インバータ制御部 ３５…モータ電流検出部
─────────────────────────────────────────────────────
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(56)参考文献 特開 平３−86197（ＪＰ，Ａ)
特開 平５−293289（ＪＰ，Ａ)
特開 昭64−32893（ＪＰ，Ａ)
特開 平11−216296（ＪＰ，Ａ)
(58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名)
D06F 33/02
D06F 37/04
D06F 37/22
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 外槽に設けた軸受により軸体を回転自在
に支承し、該軸体の一端に略円筒形状の周面を有するド
ラムを取着して成り、前記軸体を介して該ドラムをその
中心軸線を中心に高速回転させることによって該ドラム
内に収容されている洗濯物を遠心脱水するドラム式洗濯
機において、周面略円筒形状の前記ドラムは、その中心
軸線が前記軸体との取着部側に向かって下傾斜するよう
に配設され、且つ、脱水の立ち上げ時には、前記ドラム
内の洗濯物に作用する遠心力が重力と釣り合うような均
衡回転速度よりもやや高い回転速度でもって該ドラムを
回転させ、該ドラムと一体に回転する偏心荷重がドラム
の上部に達したときにドラムの内周壁面側の洗濯物をそ
の面に張り付いたまま回転させる一方、軸体側の洗濯物
のみを前記取着部側に落下させるように、一時的に前記
均衡回転速度よりも低い回転速度までドラムの回転速度
を落とすような回転制御を行うことを特徴とするドラム
式洗濯機。
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