JP3400056B2 - リチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池

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JP3400056B2 JP34794793A JP34794793A JP3400056B2 JP 3400056 B2 JP3400056 B2 JP 3400056B2 JP 34794793 A JP34794793 A JP 34794793A JP 34794793 A JP34794793 A JP 34794793A JP 3400056 B2 JP3400056 B2 JP 3400056B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リチウム二次電池に関
する。
【0002】
【従来の技術】携帯用電子機器などを駆動するための電
源として、経済性や省資源の目的から二次電池が使用さ
れ、近年、その用途は急速に拡大している。また、電子
機器の小型化、高性能化にともない、用いられる電池
は、小型、軽量でかつ高容量であることが求められてい
る。一方、二次電池としては、従来より鉛電池やニッケ
ルカドミウム電池などが利用されてきたが。近年、高エ
ネルギー密度の非水系リチウム二次電池が提案ないし実
用化されている。
【0003】しかしながら、非水電解質を用いたリチウ
ム二次電池はイオン伝導媒体として非水溶媒を用いるた
め、水溶液を用いた従来の二次電池と比較して、電解質
のイオン伝導速度が小さく、電流密度が小さいという問
題点がある。
【0004】この様な問題点を改善するために、電極の
表面積を大きくし、電解質との接触面積を大きくする等
の方法が提案されている。すなわち、薄い金属箔等の集
電体上に活物質と高分子化合物バインダーを含む電極塗
料を塗設して薄層の電極層を形成し、それらをセパレー
タなどを介して積層または渦巻状に巻くなどの方法が行
われている。例えば、特開昭63−121260号公報
には、非水電解液を用い、正極としてLiCoO2 およ
び/またはLiNiO2 を用い、負極としてカーボンを
用いたリチウム二次電池が記載されている。このような
電極は、微粒子状の電極活物質を高分子化合物を主体と
したバインダーで結着し電極層を形成している。
【0005】しかし、金属箔などの集電体上に電極層を
形成する場合、多数回充放電を繰り返すと、集電体と電
極層の界面の密着性が悪化し、電極の放電容量が低下す
るために、サイクル寿命が十分ではなく、また集電体よ
り脱落した電極層の微粉が短絡の原因となる等の問題が
ある。
【0006】これらの原因の一つとして、充放電におけ
るLiイオンのドープ、脱ドープによる活物質の膨張・
収縮により、電極層と集電体界面、活物質と導電材料の
界面、活物質とバインダー樹脂の界面などの欠陥の発生
が考えられる。また、バインダーとして用いられる高分
子化合物の充放電における酸化・還元よる分解、もしく
は高分子化合物の非水電解液による膨潤または溶解など
による、集電体と電極層界面の密着性の悪化、高分子化
合物の膨潤による導電材のネットワークの破壊などによ
る電極層の導電性の低下などの問題も生じる。
【0007】以上のような原因により、充放電を繰り返
したとき、電池の容量が低下し、電池の寿命が短くなる
という問題が生じる。
【0008】
【本発明が解決しようとする課題】本発明の主たる目的
は、組み立て工程において、正極材料や負極材料の脱落
が防げ、また充放電を繰り返したときの容量低下の少な
いリチウム二次電池を提供することである。
【0009】本発明の他の目的は、電流密度および容量
を大きくした状態で充放電を繰り返した時の容量低下が
少く寿命の長い、信頼性に優れた二次電池を提供するこ
とにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(11)の本発明により達成される。 (1) 炭素を負極材料に用い、リチウムイオンがイン
ターカレートまたはドープ可能な層状化合物または炭素
を正極材料に用いるリチウム2次電池であって、負極材
料および/または正極材料が、架橋高分子を含むバイン
ダにより集電体表面に接着されており、前記架橋高分子
が、フッ素を含有し、ポリアミン、ポリオール、パーオ
キサイドまたはトリアジンジチオールで架橋されたもの
であるか、あるいは前記架橋高分子が、シラン化合物を
グラフト化したポリフッ化ビニリデンを水で架橋したも
のであるリチウム二次電池。 (2) 前記架橋高分子は、架橋前の高分子を有機溶媒
に溶解させ、この溶液に電極材料の粉末を分散させて調
整した組成物を集電体上に塗布したのち、乾燥し、架橋
して得られたものである上記(1)のリチウム二次電
池。 (3) 前記炭素が平均粒子径1〜30μm のグラファ
イトである上記(1)または(2)のリチウム二次電
池。 (4) 電解質の溶媒としてエチレンカーボネートを主
成分とした混合溶媒を用いる上記(1)〜(3)のいず
れかのリチウム二次電池。 (5) リチウム含有電解質を含む非水電解質を備えた
二次電池において、負極および/または正極を構成する
電極層が、集電体上に、活物質と、放射線照射により硬
化が可能なフッ素系高分子化合物を含む高分子化合物バ
インダとを含有する組成物を塗設して形成され、かつ放
射線硬化処理を施されたものであることを特徴とするリ
チウム二次電池。 (6) 前記フッ素系高分子化合物の含有量が、前記高
分子化合物バインダにおける高分子化合物総量の50重
量%以上である上記(5)のリチウム二次電池。 (7) 前記フッ素系高分子化合物は、その分子末端あ
るいは分子側鎖に放射線硬化性基が導入され、その放射
線硬化性が助長された上記(5)または(6)のリチウ
ム二次電池。 (8) 前記電極層を形成する組成物が、放射線硬化性
不飽和二重結合を有する基を2単位以上有する放射線硬
化性化合物を含む上記(5)〜(7)のいずれかのリチ
ウム二次電池。 (9) 前記不飽和二重結合を有する基が下記化1で示
されるアリル基であることを特徴とする上記(8)のリ
チウム二次電池。
【0011】
【化3】
【0012】(10) 前記不飽和二重結合を有する基
が下記化2で示されるアクリロイル基である上記(8)
のリチウム二次電池。
【0013】
【化4】
【0014】(11) 前記放射線硬化性化合物の含有
量が高分子化合物総量100重量部に対して0.1〜5
0重量部である上記(7)〜(10)のリチウム二次電
池。
【0015】
【作用および効果】本発明では、リチウム二次電池の正
極や負極の活物質として用いられる炭素粉末や層状化合
物粉末の塗膜を集電体表面に固定するために、上記した
架橋高分子を含むバインダを用いる。このため、活物質
粉末の塗膜の接着性が良好となって電池組立工程におけ
る活物質の脱落を防ぐことができ、高容量のリチウム二
次電池が得られる。また、前記架橋高分子は電解液に用
いる非水溶媒に溶解しない。炭素を活物質として用いる
リチウム二次電池において、電解液の溶媒としてエチレ
ンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒を
用いると電池容量が著しく向上するが、リチウム二次電
池に用いられている従来のバインダは上記混合溶媒に溶
解するため、充放電を繰り返したときに活物質が集電体
表面から脱落して充放電サイクル寿命が短くなってしま
う。しかし、本発明で用いる上記架橋高分子は上記混合
溶媒に溶解しないため、充放電サイクル寿命の良好なリ
チウム二次電池が実現する。
【0016】ところで、特開平3−222258号公報
にはリチウム二次電池の改良に関する発明が開示されて
いる。この発明のリチウム二次電池は、正極活物質とし
て硫化鉄を用い、負極活物質としてリチウム板を用いる
リチウム硫化鉄電池である。この発明では、ヘキサフル
オロプロピレンとフッ化ビニリデンの共重合体からなる
フッ素ゴムを水に分散させたものをバインダとして硫化
鉄粉末を正極の集電体に塗布しており、集電体からの硫
化鉄の剥離を防ぐことを効果としている。
【0017】この発明で用いているフッ素系ゴムは本発
明で用いるバインダの1種であるが、リチウム硫化鉄電
池と本発明のリチウム二次電池とは動作原理が全く異な
り、正極材料および負極材料のいずれもが異なる。本発
明のリチウム二次電池では、集電体への接着が極めて難
しい炭素粉末や層状化合物粉末に特に好適なバインダと
して、上記架橋高分子を選択している。また、同公報に
は充放電サイクル寿命に関しては一切開示されておら
ず、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの
混合溶媒を用いる旨の記載もない。
【0018】実際、本発明らが、活物質としてグラファ
イトを用いた外は、特開平3−222258号公報の記
載にほば従い電極を作製したところ、電極材料の接着力
が極めて弱く、容易に脱落してしまった。
【0019】また、本発明では、電子線照射により硬化
が可能なフッ素系高分子化合物を含むバインダを用い、
放射線硬化処理を行なう場合には、薄層の均質な電極層
を形成でき、充放電におけるバインダーの劣化を防止す
ることが可能となった。
【0020】さらに、放射線硬化性官能基を2単位以上
有する化合物を含むことにより集電体との密着性および
充放電時のバインダーの化学的な安定性を大幅に改善す
ることができる。
【0021】そのため、本発明の二次電池は放電容量を
向上でき、かつ充放電を繰り返した時の容量低下が小さ
く、充放電サイクル寿命を大幅に向上できる。
【0022】従って、本発明の二次電池は電流密度を大
きくしても、大容量かつ充放電を繰り返したときの電池
寿命が長い、信頼性の優れたリチウム二次電池とするこ
とができる。
【0023】なお、本発明のように、電子線照射により
硬化が可能なフッ素系高分子化合物を含むバインダを用
い、放射線硬化処理を行なう場合には、正極および負極
の活物質を極めて広い範囲の材料の中から選択でき、し
かも電池としての特性が良好である。
【0024】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0025】本発明によるリチウム二次電池は、大別す
ると、炭素を負極材料に用い、リチウムイオンがインタ
ーカレートまたはドープ可能な層状化合物または炭素を
正極材料に用い、負極材料および/または正極材料が、
架橋高分子を含むバインダにより集電体表面に接着され
て形成された第1の態様によるリチウム二次電池と、負
極および/または正極を構成する電極層が、集電体上
に、活物質と、放射線照射により硬化が可能なフッ素系
高分子化合物を含む高分子化合物バインダとを含有した
組成物を塗設して形成され、かつ放射線硬化処理を施さ
れて形成される第2の態様によるリチウム二次電池に分
けられる。以下、第1および第2の態様によるリチウム
二次電池の構成をそれぞれに沿って説明する。
【0026】第1の態様によるリチウム二次電池 本発明のリチウム二次電池は、炭素を活物質として負極
材料に用い、リチウムイオンがインターカレートまたは
ドープ可能な層状化合物または炭素を活物質として正極
材料に用いる。
【0027】活物質として用いる炭素は、例えば、天然
あるいは人造のグラファイト、樹脂焼成炭素材料、カー
ボンブラック、メソフェーズカーボンブラック、樹脂焼
成炭素材料、気相成長炭素繊維、炭素繊維などから適宜
選択すればよく、例えば、特公昭62−23433号公
報、特開平3−137010号公報などに記載のものが
挙げられる。これらは粉末として用いられる。これらの
うち好ましいものは、グラファイトであり、その平均粒
子径は1〜30μm 、特に5〜25μm であることが好
ましい。平均粒子径が小さすぎると、充放電サイクル寿
命が短くなり、また、容量のばらつき(個体差)が大き
くなる傾向にある。平均粒子径が大きすぎると、容量の
ばらつきが著しく大きくなり、平均容量が小さくなって
しまう。平均粒子径が大きい場合に容量のばらつきが生
じるのは、グラファイトと集電体との接触やグラファイ
ト同士の接触にばらつきが生じるためと考えられる。
【0028】リチウムイオンがインターカレートまたは
ドープ可能な層状化合物としては、リチウムを含む複合
酸化物が好ましく、例えば、LiCoO2 、LiMnO
2 、LiNiO2 などが挙げられる。層状化合物の粉末
の平均粒子径は1〜40μm程度であることが好まし
い。
【0029】なお、正極材料に炭素を用いた場合、正極
では充放電に伴なって電解質の陰イオン(ClO4 -
BF4 - 、PF6 - など)が出入りし、正極材料に上記
層状化合物を用いた場合、充放電に伴なってリチウムイ
オンが出入りする。
【0030】本発明では、上記負極材料および/または
正極材料、好ましくは両材料を、架橋高分子を含むバイ
ンダにより集電体表面に接着させる。
【0031】前記架橋高分子としては、フッ素を含有す
るものが好ましく、特に、架橋剤としては、ヘキサメチ
レンジアミンカルバメート、N,N′−ジシンナミリデ
ン−1,6ヘキサンジアミン、4,4′−メチレン−ビ
ス−(シクロヘキシルアミン)カルバメート等のポリア
ミンや、ビスフェノールAF〔2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン〕、ビスフェ
ノールA〔2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン〕等のポリオールや、2,5−ジメチル−2,5
−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン、1,3−ビス−
(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン等の
パーオキサイド、そしてパーオキサイドの架橋助剤とし
てトリアリルイソシアヌレート;6−ジブチルアミル−
1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール等のトリ
アジンジチオールを用いて架橋されたもの等が好まし
い。例えば、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共
重合体、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン−4フ
ッ化エチレン共重合体、4フッ化エチレン−プロピレン
共重合体、4フッ化エチレン−プロピレン−フッ化ビニ
リデン共重合体、パーフルオロ系フッ素ゴムなどのフッ
素ゴムの少なくとも1種を前記架橋剤により架橋したも
のが好ましい。架橋剤の添加量は、架橋される化合物1
00重量部に対し、通常、0.5〜10重量部、好まし
くは1〜5重量部程度である。
【0032】上記架橋剤のうちでは、電池の充放電サイ
クル特性が特に向上するポリオール類が特に好ましい。
【0033】また、シラン化合物をグラフト化したポリ
フッ化ビニリデンを水で架橋して用いてもよい。シラン
架橋ポリフッ化ビニリデンについては、例えば特開平2
−115234号公報に記載されている。
【0034】上記架橋高分子のうち特に好ましいもの
は、ゴム系の架橋高分子である。ゴム系の架橋高分子を
用いることにより内部抵抗を小さくすることができ、特
に重負荷時の性能が向上する。内部抵抗の低下は、活物
質粒子の形状異方性およびその配向に起因すると考えら
れる。活物質として用いる炭素、特にグラファイトは、
層状構造をもつ偏平状粒子である。偏平状粒子をアプリ
ケーターなどにより集電体表面に塗布した場合、粒子は
その層面が集電体の面内に配向する傾向を示す。ポリフ
ッ化ビニリデンはラメラ構造をもつため、これをバイン
ダとして用いると前記配向が助長される。リチウム2次
電池では、リチウムが炭素の層間からイオンとして放出
されることにより放電するが、炭素粒子の層面が集電体
表面とほぼ平行となっていると、リチウムイオンが層間
から電解液中に拡散することが妨げられて、内部抵抗が
増加する。一方、ゴム系バインダは塗布後もランダムな
構造をとるため、塗布後の炭素粒子はほぼ無配向状態と
なり、内部抵抗の増加が抑えられる。
【0035】本発明では、上記のゴム系等の架橋高分子
は、架橋前の高分子を溶媒に溶解させ、この溶液に電極
物質を分散させて調整した組成物を集電体上に塗布した
のち、乾燥し、架橋して得られたものであることが好ま
しい。上記のように高分子を溶解することのできる溶媒
としては、例えば、N−メチルピロリドン、アセトン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラ
ヒドロフランなどを用いることができる。このように架
橋前の高分子を溶媒に溶解させたものを使用する場合に
は、架橋前の高分子を水に分散させたものを使用する場
合に比べて、電極材料の集電体に対しての接着性が極め
て優れている。
【0036】なお、架橋高分子は2種以上の混合物とし
て用いてもよい。また、バインダには、前記架橋高分子
の他に、ポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリ
カーボネート(PC)等の他の高分子化合物が含まれて
いてもよいが、これらはバインダ全体の25体積%程度
以下の含有量とすることが好ましい。
【0037】バインダ原料の添加量は、電極材料100
重量部に対し3〜13重量部程度とすることが好まし
い。バインダ原料が少なすぎると接着性が不十分とな
り、バインダ原料が多すぎると電池容量が不十分とな
る。
【0038】電解液は、リチウム含有電解質を非水溶媒
に溶解して調製する。リチウム含有電解質としては、例
えば、LiClO4 、LiBF4 、LiPF6 等から適
宜選択すればよい。非水溶媒としては、例えば、エーテ
ル類、ケトン類、カーボネート類等、特開昭63−12
1260号公報などに例示される有機溶媒から選択する
ことができるが、本発明では特にカーボネート類を用い
ることが好ましい。カーボネート類のうちでは、特にエ
チレンカーボネートを主成分とし他の溶媒を1種類以上
添加した混合溶媒を用いることが好ましい。これらの混
合比率はエチレンカーボネート:他の溶媒−30〜7
0:70〜30(体積比)とすることが好ましい。この
理由としてエチレンカーボネートの凝固点が36.4℃
と高く常温では固化しているため、エチレンカーボネー
ト単独では電池の電解液としては使用できず、凝固点の
低い他の溶媒を1種類以上添加し凝固点を低くするため
である。他の溶媒としてはエチレンカーボネートの凝固
点を低くするものであれば何でもよい。例えばジエチル
カーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカー
ボネート、1,2−ジメトキシエタン、メチルエチルカ
ーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−パレロラクト
ン、γ−オクタノイックラクトン、1,2−ジエトキシ
エタン、1,2−エトキシメトキシエタン、1,2−ジ
ブトキシエタン、1,3−ジオキソラナン、テトラヒド
ロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、4,4−ジ
メチル−1,3−ジオキサン、ブチレンカーボネートな
どが挙げられる。活物質として炭素を用い、かつ前記混
合溶媒を用いることにより、電池容量が著しく向上す
る。そして、活物質のバインダとして架橋高分子を用い
ない場合には、前記混合溶媒によりバインダが溶解する
ため、充放電の繰り返しにより電池容量が急激に減少し
てしまうが、上記した架橋高分子のバインダを用いるこ
とにより充放電サイクル寿命が著しく向上する。
【0039】第2の態様によるリチウム二次電池 第2の態様のリチウム二次電池は、高分子化合物バイン
ダが、放射線照射により硬化可能なフッ素系高分子化合
物を含み、かつ放射線硬化処理を施されるものであるこ
とが望ましい。この場合には、負極の活物質等の材料を
上記の第1の態様のリチウム二次電池のように限定する
必要なく、幅広い材料の中から選択でき、電池の自由な
設計を行なうことができる。そして、前記架橋剤を用い
たときよりも優れた充放電サイクル特性を示す。
【0040】上記電極層のバインダが含有するフッ素系
高分子化合物としては、分子内にフッ素原子を含むもの
であれば良く、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、
変性ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロ
プロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロ
プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフ
ルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリトリフル
オロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重
合体、フルオロエチレン−炭化水素系ビニルエーテル共
重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−
クロロトリフルオロエチレン共重合帯、ポリフッ化ビニ
ル、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体、含フッ素(メタ)アクリ
レート樹脂、2−フルオロアクリレート樹脂、含フッ素
エポキシ樹脂、含フッ素エポキシ(メタ)アクリレート
樹脂、含フッ素ポリエーテル樹脂、含フッ素ポリイミド
樹脂、含フッ素ポリエステル樹脂、含フッ素ポリアミド
樹脂、含フッ素ポリカーボネート樹脂、含フッ素ポリホ
ルマール樹脂、含フッ素ポリケトン樹脂、含フッ素ポリ
アゾメチン樹脂、含フッ素ポリアゾール樹脂、含フッ素
ポリアリロキシシラン樹脂などの樹脂類;フッ化ビニリ
デン−ヘキサフルオロプロピレンフッ素ゴム、フッ化ビ
ニリデン−テトラフルオロエチレンフッ素ゴム、テトラ
フルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテ
ルフッ素ゴム、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチ
レン−ヘキサフルオロプロピレンフッ素ゴム、フッ化ビ
ニリデン−テトラフルオロエチレン−パーフルオロアル
キルビニルエーテルフッ素ゴム、テトラフルオロエチレ
ン−パーフルオロアルキルビニルエーテルフッ素ゴム、
プロピレン−テトラフルオロエチレンフッ素ゴム、フル
オロシリコーンゴム、含フッ素フォスファゼンゴム、フ
ッ素系熱可塑性ゴム、軟質フッ素樹脂などのエラストマ
ー類などの単独または混合物をあげることができるが、
必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0041】上記のフッ素系高分子化合物は、それ自体
放射線硬化性を持つが、その放射線硬化性を増長するた
めに、必要に応じて分子末端、あるいは分子側鎖に放射
線硬化性基を導入するなどの変性を行ったものでもよ
い。フッ素系高分子化合物に導入される放射線硬化性基
はアリル基、アクリロイル基などの不飽和二重結合を1
分子あたり2〜10,000個程度含むものが好まし
い。
【0042】上記フッ素系高分子化合物の分子量には制
限はないが、重量平均分子量Mw:5,000〜10
0,000,000程度が好ましい。分子量が5000
未満では電極層の強度が低下し、充放電における電極層
の膨張・収縮による集電体との界面の剥離や活物質の電
極層からの脱落を防止できない。分子量が100,00
0,000をこえると薄層の電極層を塗設するのが困難
となる。
【0043】前記電極組成物にバインダとして含まれる
高分子化合物には、前記フッ素系高分子化合物のほか
に、ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリ
カーボネート、エポキシ樹脂などの高分子化合物や、分
子末端、あるいは分子側鎖に放射線硬化性基を導入する
などの変性を行った高分子化合物が含まれてもよい。
【0044】フッ素系高分子化合物の含有量には特に制
限はないが、バインダとして用いられる高分子化合物総
量の50重量%以上を含有することが好ましい。50重
量%未満では充放電時の化学的安定性が不十分となり、
電池の充放電容量、サイクル寿命が悪化する。
【0045】また、全高分子化合物の活物質100重量
部に対する含有量は3〜30重量部程度とすることが好
ましい。3重量部未満では、電極層の機械的強度が低下
し、充放電を繰り返すと集電体との界面の剥離や活物質
の脱落を防止することができなくなり、電池の充放電容
量が低下する。30重量部をこえると、電極層の導電性
が悪化し、かつ電極層の空隙の減少により電解液との接
触面積が低下し、電池の容量、および電流密度が低下す
る。
【0046】上記バインダは、通常粉末状のバインダ材
料を溶媒を用いて、溶解あるいは分散した状態で使用さ
れるが、溶媒を用いずに粉末のまま使用される場合もあ
る。用いる溶剤は特に限定されず、水、メチルエチルケ
トン、シクロヘキサノン、イソホロン、N−メチルピロ
リドン、N,Nジメチルホルムアミド、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、トルエン等の各種溶剤を目的に応じて
選択すれば良い。
【0047】前記電極組成物には、放射線硬化性不飽和
二重結合を有する基を2単位以上、特に2〜12単位有
する放射線硬化性化合物を含有するのが好ましい。この
とき、きわめて良好な充放電サイクル特性を得ることが
できる。この放射線硬化性不飽和二重結合を有する基
は、化5で表されるアリル基、または化6で表されるア
クリロイル基であることが好ましい。
【0048】
【化5】
【0049】
【化6】
【0050】本発明で用いられる上記放射線硬化性化合
物としては、例えば、ジアリルセバケート、ジアリルフ
タレート、トリメリット酸トリアリル、トリメジン酸ト
リアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシ
アヌレート等の含アリル基化合物;エチレングリコール
ジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレー
ト、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチ
レングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコ
ールジアクリレート、1,3ブチレングリコールジアク
リレート、1,4ブタンジオールジアクリレート、1,
5ペンタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリ
コールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペン
チルグリコールエステルジアクリレート、1,6ヘキサ
ンジオールアクリレート、トリプロピレングリコールジ
アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、トリメチロールプロパン・アルキレンオキサイド付
加物のトリアクリレート、グリセリン・アルキレノキサ
イド付加物のトリアクリレート、ペンタエリスリトール
トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリ
レート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ビスフェ
ノールA、アルキレンオキサイド付加物のジアクリレー
ト、トリスアクリロキシエチルホスフェート、ビスアク
リロイロキシエチル・ヒドロキシエチルイソシアヌレー
ト、トリスアクリロイロキシエチルイソシアヌレート、
オリゴエステルアクリレート、エポキシアクリレート、
ウレタンアクリレート等のアクリレート化合物;エチレ
ングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコール
ジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリ
レート、ポリエチレングリコールジメタクルレート、ト
リプロピレングリコールジメタクリレート1,3ブチレ
ングリコールジメタクリレート、1,4ブタジレンオー
ルジメタクリレート、1,5ペンタジオールジメタクリ
レート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ヒ
ドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ
メタクリレート、1,6ヘキサンジオールメタクリレー
ト、トリプロピレングリコールジメタクリレート、トリ
メチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロー
ルプロパン・アルキレンオキサイド付加物のトリメタク
リレート、グリセリン・アルキレノサイド付加物のトリ
メタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレ
ート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジ
ペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタ
エリスリトールヘキサメタクリレート、ビスフェノール
A・アルキレンオキサイド付加物のジメタクリレート、
トリスメタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタク
リロイロキシエチルヒドロキシエチルイソシアヌレー
ト、トリスメタクリロイロキシエチルイソシアヌレー
ト、オリゴエステルメタクリレート、エポキシメタクリ
レート、ウレタンメタクリレート等のメタクリレート化
合物;エチレングリコールジ−2−フルオロアクリレー
ト、ジエチレングリコールジ−2−フルオロアクリレー
ト、トリエチレングリコールジ−2−フルオロアクリレ
ート、ポリエチレングリコールジ−2−フルオロアクリ
レート、トリプロプレングリコールジ−2−フルオロア
クリレート、1,3ブチレングリコールジ−2−フルオ
ロアクリレート、1,4ブタジエンジオールジ−2−フ
ルオロアクリレート、1,5ペンタジオールジ−2−フ
ルオロアクリレート、ネオペンチルグリコールジ−2−
フルオロアクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペン
チルグリコールエステルジ−2−フルオロアクリレー
ト、1,6ヘキサンジオール−2−フルオロアクリレー
ト、トリプロピレングリコールジ−2−フルオロアクリ
レートトリメチロールプロパントリ−2−フルオロアク
リレート、トリメチロールプロパン・アルキレンオキサ
イド付加物のトリ−2−フルオロアクリレート、グリセ
リン・アルキレンオキサイド付加物のトリ−2−フルオ
ロアクリレート、ペンタエリスリトールトリ−2−フル
オロアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ−2−
フルオロアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ
−2−フルオロアクリレート、ジペンタエリスリトール
ヘキサ−2−フルオロアクリレート、ビスフェノールA
・アルキレンオキサイド付加物のジ−2−フルオロアク
リレート、トリス−2−フルオロアクリロキシエチルホ
スフェート、ビス−2−フルオロアクリロイロキシエチ
ルヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリス−2−フ
ルオロアクリロイロキシエチルイソシアヌレート、オリ
ゴエステル−2−フルオロアクリレート、エポキシ−2
−フルオロアクリレート、ウレタン−2−フルオロアク
リレート等のフルオロアクリレート等の単独または混合
物が好適であるが、必ずしもこれらに限定されるもので
はない。
【0051】上記、放射線硬化性化合物の含有量は、高
分子化合物総量100重量部に対して0.1〜50重量
部、特に1〜20重量部が好ましい。0.1重量部未満
では、架橋密度が小さく、放電容量および充放電サイク
ル寿命の改善効果が十分ではない。50重量部をこえる
と電極層の機械的強度がかえって低下し、充放電サイク
ル寿命の改善効果が十分ではない。
【0052】電極層は、膜形成後に放射線硬化処理を施
される。硬化処理の方法は、公知の種々の方法に従えば
良い。
【0053】硬化処理に際して、紫外線を用いる場合、
上述したフッ素系樹脂および放射線硬化性化合物の中に
は、光重合増感剤が添加されることが好ましい。
【0054】この光重合増感剤としては、従来公知のも
のでよく、例えばベンゾインメチルエーテル、ベンゾイ
ンエチルエーテル、α−メチルベンゾイン等のベンゾイ
ン系、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ビスジアルキ
ルアミノベンゾフェノン等のケトン類、アセトラキノ
ン、フェナントラキノン等のキノン類、ベンジジルスル
フィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のスル
フィド類、等を挙げることができる。光重合増感剤の含
有量は、フッ素系樹脂100重量部に対して0.01〜
10重量部の範囲が好ましい。紫外線照射は、例えばキ
セノン放電管、水素放電管等の紫外線電球を用いればよ
い。
【0055】一方、硬化処理に電子線を用いる場合に
は、放射線特性としては、加速電圧100〜750K
V、好ましくは150〜300KVの放射線加速器を用
い、吸収線量を1〜100メガラッドのなるように照射
するのが好都合である。また、電子線照射時の雰囲気は
不活性ガス雰囲気、特に窒素雰囲気中であることが好ま
しい。
【0056】上記フッ素系樹脂および放射線硬化性化合
物の混合物には、受酸剤等の添加物を加えても良い。受
酸剤としては従来公知のものでよく、例えば酸化マグネ
シウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。受酸剤の含
有量はフッ素系樹脂100重量部に対して、1〜15重
量部程度の範囲が好ましい。
【0057】本発明の二次電池において、負極活物質
は、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレー
ション可能な炭素材料、導電性高分子材料またはリチウ
ム金属、リチウム合金を用れば良い。炭素系材料として
は、グラファイト、カーボンブラック、メソフェーズカ
ーボンブラック、樹脂焼成炭素材料、気層成長炭素繊
維、炭素繊維などから適宜選択すれば良く、例えば、特
公昭62−23433号、特開平3−137010号公
報などに記載のものを使用することができる。
【0058】導電性高分子材料は、例えばポリアセチレ
ン、ポリフェニレン、ポリアセンなどから選択すればよ
く、特開昭61−77275号公報記載のものなどを使
用することができる。
【0059】正極活物質は、特に限定されないが、リチ
ウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可
能な金属化合物、金属酸化物、金属硫化物、炭素材料ま
たは導電性高分子材料を用れば良く、例えばLiCoO
2 、LiNiO2 、LiMnO2 、Li2 Mn24
2 5 、TiS2 、MoS2 、FeS2 、ポリアセチ
レン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、
ポリアセンなどが挙げられ、特公昭61−53828
号、特公昭63−59507号公報などに記載のものが
挙げられる。
【0060】なお、正極活物質に金属酸化物や金属硫化
物等を用いる場合、導電剤として、アセチレンブラッ
ク、ケチェンブラック等のカーボンブラック類やグラフ
ァイト等の炭素材料を含有することが好ましい。
【0061】本発明の二次電池に使用される電解質に
は、リチウム含有電解質を含む非水電解質を用いること
が好ましい。リチウム含有電解質としては特に限定され
ないが、例えばLiPF6 、LiBF4 、LiCl
4 、LiAsF6 、LiCF3 SO3 等から適宜が選
択すれば良い。電解質を保持する媒体としては、有機溶
剤や高分子化合物、セラミックス材料などの非水溶媒が
使用される。
【0062】非水溶媒としては、特に限定されないが、
例えばジメチルスルホキシド、スルホラン、エチレンカ
ーボネイト、プロピレンカーボネイト、γ−ブチロラク
トン、γ−バレロラクトン、γ−オクタノイックラクト
ン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジメトキシエ
タン、1,2−ジブトキシエタン、1,3−ジオキソラ
ン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラ
ン、およびポリエーテル、ポリエステル、ポリイミンあ
るいはポリエーテルセグメントを含むポリメチロールシ
ロキサン、ポリフォスファゼン、メタクリル酸エステル
類等の単独または、それらの混合物から選択すれば良
い。
【0063】非水媒体に溶解される電解質の量には特に
制限はないが、0.1〜2Mol/l程度が好ましい。
【0064】電極の製造 本発明の二次電池用電極を製造するには常法に従って行
えばよく、活物質、バインダー高分子、架橋材、放射線
硬化性化合物および各種添加剤等を必要に応じて溶剤な
どとともに撹半機、ボールミル、スーパーサンドミル、
加圧ニーダー等の分散装置により混合分散して電極塗料
組成物を調製する。この塗料組成物の濃度や粘度は塗布
手段に応じて適宜決定すればよい。
【0065】このような電極塗料組成物は、帯状の集電
体に塗設される。塗設の方法には特に制限はなく、静電
塗装法、ディップコート法、スプレーコート法、ロール
コート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、ス
クリーン印刷法など公知の方法を用いれば良い。その
後、必要に応じて平板プレス、カレンダーロール等によ
る圧延処理を行う。
【0066】集電体の材質および形状については特に限
定されず、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、ステ
ンレス鋼等の金属や合金を箔状、穴開け箔状、メッシュ
状等にした帯状のものを用いれば良い。
【0067】集電体に塗料組成物を塗設し、必要に応じ
て乾燥した後、熱処理や水への浸漬等により塗膜中の高
分子を架橋し、または放射線照射により塗膜中の高分子
を硬化する。架橋または硬化後の塗膜厚さは、10〜5
00μm 程度とすることが好ましい。
【0068】本発明のリチウム二次電池の構造について
は特に限定されないが、通常、正極および負極と、必要
に応じて設けられるセパレータとから構成され、ペーパ
ー型電池、ボタン型電池、積層型電池、円筒型電池など
があげられる。
【0069】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0070】実施例1 <実施例1−1>バインダ原料溶液としてダイキン工業
製のフッ素樹脂ダイエルDPA−351を使用した。こ
れはフッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン−4フッ化
エチレン共重合体を溶媒に溶かしたもので、ポリアミン
で架橋することができる。容積250cm3 のポリエチレ
ン製のびんに、ダイエルDPA−351を4g (このう
ちの1g がバインダ原料である)、希釈剤としてN−メ
チルピロリドンを47.0g 、架橋剤(ポリアミン)溶
液を0.2g 、負極活物質としてロンザ社製人造グラフ
ァイトKS15(平均粒子径15μm )を16.3g お
よび分散用のメディアとして直径1mmのZrO2 を12
5cm3 投入した。バインダ原料とグラファイトとの重量
比は6:94となる。これを10時間分散させて電極塗
料とした。この電極塗料を、20mm角のチタン板に約1
30mg塗布した。また、この電極塗料を厚さ15μm 、
幅45mm、長さ150mmの銅箔にアプリケーターを用い
て塗布した。これらを120℃で2時間真空乾燥させ、
溶媒除去および架橋を行なった。チタン板にはリードと
してチタン線をスポット溶接し、電極とした。
【0071】この電極を作用極として用いて、下記のよ
うにして充放電試験を行なった。対極および参照極には
チタン線に接続したリチウム板を用い、電解液には、エ
チレンカーボネート:ジエチルカーボネート(体積比で
1:1)の混合溶媒に1Mの過塩素酸リチウムを溶解し
たものを用いた。そして、2mAの定電流で0から1ボル
トvsLi/Li+ の範囲で充放電を行なった。図1
に、充放電特性測定用セルの断面図を示す。1は100
cm3 のガラス製ビーカー、2はシリコン栓、3は作用
極、4は対極、5は参照極、8はルギン管、9は電解液
を示す。
【0072】また、銅箔に塗布したものに対して、接着
性試験としていわゆる基盤の目試験を行なった。具体的
には、西ドイツエリクセン社製マルチクロスカッター
(モデル295)を用いて、塗膜に縦、横それぞれ11
本ずつのカット線を入れ、形成された100個のマス目
中における塗膜の剥離比率を調べた。
【0073】充放電試験の結果は、2サイクル目の放電
容量が、グラファイトlグラムあたり336mAh/g と大
きく、また、下記式で表わされる容量劣化率が1.5%
と小さく、良好な電池特性を示した。 式 容量劣化率={(2サイクル目の放電容量)−(1
0サイクル目の放電容量)}×100/(2サイクル目
の放電容量) [%]
【0074】また、接着性試験においても、剥離したも
のが0個と良好な結果を示した。
【0075】<比較例1−1>実施例1と同様にダイキ
ン工業製のフッ素樹脂ダイエルDPA−351を使用し
たが、架橋剤は添加せずにそのままバインダ溶液として
用いた。250cm3 のポリエチレン製のびんにダイエル
DPA−351を4g (このうちの1g がバインダであ
る)、希釈剤としてN−メチルピロリドンを47.0g
、負極活物質としてロンザ社製人造グラファイトKS
15を16.3g および分散用のメディアとして直径1
mmのZrO2 を125cm3 投入した。これを10時間分
散させて電極塗料とした。この電極塗料を実施例1と同
様にチタン板と銅箔に塗布し充放電特性および接着性を
評価した。
【0076】この結果、2サイクル目の放電容量がグラ
ファイトlグラムあたり140mAh/g と小さく、容量劣
化率は39%と大きかった。接着性試験においても、剥
離したものが100個中50個と接着強度が弱かった。
【0077】<比較例1−2>フッ素ゴムを水に分散さ
せたダイキン工業製ダイエルラテックスGL−252を
バインダとして用いた。ダイエルラテックスGL−25
2のA液(フッ素ゴム50wt%含有)を3.92g、ダ
イエルラテックスGL−252のB液(架橋剤溶液)を
0.2g、負極活物質としてロンザ社製人造グラファイ
トKS15を30.6g 、これに適当な粘度となるよう
に水58.66gを加え、実施例1−1と同様にボール
ミルで分散させ、電極塗料を得た。フッ素ゴムとグラフ
ァイトとの重量比は6:94となる。これを銅箔に塗布
し、60℃で10分乾燥し、次いで150℃で30分加
熱して、フッ素ゴムを架橋させ、比較例1−2の電極を
得た。しかしながら、この比較例1−2の電極において
は、電極材料の接着力が極端に弱く、電極材料が銅箔か
ら容易に脱落した。碁盤の目試験は電極材料の接着力が
弱く、行なうことができなかった。
【0078】<実施例1−2>バインダ原料溶液として
実施例1−1と同様にダイキン工業製のフッ素樹脂ダイ
エルDPA−351を使用した。250cm3 のポリエチ
レン製のびんにダイエルDPA−351を6.58g
(このうちの1.7g がバインダ原料である)、希釈剤
としてN−メチルピロリドンを45.13g 、架橋剤
(ポリアミン)溶液を0.33g 、負極活物質としてロ
ンザ社製人造グラファイトKS15を15.43g およ
び分散用のメディアとして直径1mmのZrO2 を125
cm3 投入した。バインダ原料とグラファイトとの重量比
は10:90となる。これを10時間分散させて電極塗
料とし、以下は実施例1−1と同様の操作を行なった。
【0079】この結果、2サイクル目の放電容量がグラ
ファイトlグラムあたり321mAh/g と大きく、容量劣
化率は2.2%と小さく、良好な電池特性を示した。ま
た、接着性試験においても剥離したものはなく、良好な
接着性を示した。
【0080】<実施例1−3>バインダとしてシラン架
橋ポリフッ化ビニリデンを使用した。ポリフッ化ビニリ
デン(PVDF)はモンテカチーニ社のPVDF(品種
カイナー741)を使用した。このPVDF100重量
部に、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン10
重量部と2,5ジメチル−2,5ジ(ターシャルブチル
ペルオキシ)−ヘキシン−3を1重量部分散させ、バレ
ル温度210℃の2軸押し出し機に投入して、PVDF
にシラン化合物をグラフト化させた。
【0081】このシラングラフトPVDF1.71g を
50cm3 のN−メチルピロリドンに溶解し、これにロン
ザ社製グラファイトKS15を15.43g 投入して、
実施例1−1と同様の操作を行なった。
【0082】塗膜が形成されたチタン板と銅箔とを、ジ
ブチルスズジラウレートを10重量%懸濁させた水中に
浸漬し、80℃で15時間架橋処理した。架橋したもの
をアセトンで洗浄した後、乾燥し、評価を行なった。
【0083】この結果、2サイクル目の放電容量がグラ
ファイトlグラムあたり330mAh/g と大きく、容量劣
化率は2.0%と小さく、良好な電池特性を示した。接
着性試験においても剥離したものはなく、良好な接着性
を示した。
【0084】<比較例1−3>バインダとしてモンデカ
チーニ社のPVDF(品種カイナー741)をそのまま
使用した。このPVDF1.71g を50cm3 のN−メ
チルピロリドンに溶解し、これにロンザ社製グラファイ
トKS15を15.43g 投入して、実施例1−1と同
様の操作を行なった。
【0085】この結果、2サイクル目の放電容量がグラ
ファイトlグラムあたり320mAh/g と大きかったが、
容量劣化率が大きく10%に達した。接着性試験では、
100個すべてが剥離した。
【0086】<実施例1−4>バインダーとしてダイキ
ン工業製フッ素ゴムG−751を使用した。このフッ素
ゴムは生ゴムの中に既にポリオール系架橋剤2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン
(ビスフェノールAF)が練り込まれているものであ
る。実施例1−1と同様にポリエチレン製の瓶にN−メ
チルピロリドンを48.94g 取り、これにフッ素ゴム
G−751を1.33g 添加しフッ素ゴムを溶解させ
た。これにCa(OH)2 (近江化学製CALDIC−
2000)を0.08g 、MgO(協和化学製キョーワ
マグMA−150)を0.04g およびロンザ社製人造
グラファイトSFG25を22.66g 添加しボールミ
ルで分散させ電極塗布液を作製した。N−メチルピロリ
ドンを乾燥除去したあとの組成はグラファイト:フッ素
ゴム:Ca(OH)2 :MgO=94:5.5:0.
3:0.2(重量比)となる。電極塗布液を実施例1−
1と同様にチタン板および銅箔に塗布し評価した。充放
電試験の結果、2サイクル目の放電容量はグラファイト
lグラムあたり333mAh/g と大きく容量劣化率は1.
2%と小さかった。
【0087】<実施例1−5>炭酸リチウムと炭酸コバ
ルトとをリチウム:コバルト=1:1(モル比)となる
ように混合し、空気中において900℃で10時間焼成
してLiCoO2 を得た。
【0088】バインダ原料溶液にはダイキン工業製のフ
ッ素樹脂ダイエルDPA−351を使用した。250cm
3 のポリエチレン製のびんにダイエルDPA−351を
4g(このうちの1g がバインダ原料である)、希釈剤
としてN−メチルピロリドンを47.0g 、架橋剤(ポ
リアミン)溶液を0.2g 、正極活物質として前記Li
CoO2 を14.83g 、導電助剤としてロンザ社製人
造グラファイトKS15を0.83g および分散用のメ
ディアとして直径1mmのZrO2 を125cm3投入し
た。重量比は、LiCoO2 :グラファイト:バインダ
=89:5:6となる。これを10時間分散させて電極
塗料とした。この電極塗料を20mm角のチタン板に約1
30mg塗布した。また、この電極塗料を厚さ15μm 、
幅45mm、長さ150mmのアルミ箔にアプリケーターを
用い塗布した。これらを120℃で2時間、真空乾燥さ
せ、溶媒除去および架橋を行なった。チタン板にはリー
ドとしてチタン線をスポット溶接し、電極とした。
【0089】この電極を作用極として、実施例1−1と
同じ対極、参照電極および電解液を用い、2mAの定電流
で4.2から3.0ボルトvsLi/Li+ の範囲で充
放電を行なった。この結果、2サイクル目の放電容量が
LiCoO2 1グラムあたり110mAh/g と大きく、容
量劣化率が2.0%と小さく、良好な電池特性であっ
た。
【0090】また、上記と同様な接着性試験において
も、剥離したものは0個と良好な結果を示した。
【0091】<比較例1−4>バインダとしてモンデカ
チーニ社のPVDF(品種カイナー741)をそのまま
使用した。このPVDF1.00g を50cm3 のN−メ
チルピロリドンに溶解し、これに正極活物質としてLi
CoO2 を14.83g 、導電助剤としてロンザ社製グ
ラファイトKS15を0.83g および分散用のメディ
アとして直径1mmのZrO2 を125cm3 投入した。重
量比は、LiCoO2 :グラファイト:バインダ=8
9:5:6となる。以下、実施例1−4と同様の操作を
行なった。
【0092】充放電試験の結果は、2サイクル目の放電
容量がLiCoO2 lグラムあたり80mAh/g と小さ
く、容量劣化率は10・0%と大きく、良好な電池特性
は得られなかった。
【0093】また、接着性試験においても、剥離したも
のが100個と悪かった。
【0094】<実施例1−6>図2に示す構成の電池を
作製した。負極12には、実施例1−1で作製した電極
を長さ50mmに切断して用いた。負極の塗膜の厚さは9
0μm であった。正極13には実施例1−5で作製した
電極を長さ50mmに切断して用いた。正極の塗膜の厚さ
は70μm であった。負極および正極にそれぞれ外部端
子としてチタン線14を接続し、これらとポリエチレン
製のセパレータ15とを、電解液16(実施例1の電解
液と同じ)と共に電池ケース11中に封入して電池とし
た。この電池を10mAの定電流で充電し、4.2ボルト
に達したところで10mAの定電流で3.0ボルトになる
まで放電した。そして、この充放電サイクルを繰り返し
た。
【0095】この結果、2サイクル目および10サイク
ル目の放電容量が、共に50mAh/gで容量の劣化は認め
られなかった。
【0096】<比較例1−5>負極に比較例1−3で作
製した電極を用い、正極に比較例1−4で作製した電極
を用いて、実施例1−6と同様にして電池を組み立て
た。
【0097】この電池について、実施例1−6と同様な
充放電を繰り返したところ、2サイクル目の放電容量
が、45mAh/g と低くなっており、また、10サイクル
目の放電容量が、40mAh/g となり、容量劣化率が約1
1%にも達した。
【0098】実施例2 正極、および負極の電極試料を以下のようにして作成
し、充放電特性の評価を行った。
【0099】<実施例2−1〜2−4>炭酸コバルト2
00g、炭酸リチウム100gを良く混合、撹半したも
のを、セラッミック製ルツボに入れて、空気雰囲気下、
700℃で5時間加熱した。その後、乳鉢で粉砕処理を
行い正極活物質とした。得られた正極活物質は、X線回
折によりLiCoO2 であることを確認した。
【0100】次に、上記活物質を用いて電極塗料組成物
を作成した。電極塗料組成物の組成は下記の通りであ
る。
【0101】電極塗料組成物 活物質LiCoO2 100 重量部 アセチレンブラック 2 重量部 (HS100:電気化学工業社製) グラファイト 6 重量部 (KS44:ロンザ社製) バインダー樹脂 8 重量部 (表1に示した) 放射線硬化性化合物 1 重量部 (表1に示した) N−メチルピロリドン 180 重量部
【0102】上記組成物をボールミルにて10時間混
合、分散させ、電極塗料を調製した。このようにして得
られた電極塗料を厚み20μm のアルミミウム箔の両面
に、ドクターブレード法により塗布を行った後、熱風に
より乾燥を行った。その後カレンダーロールにより圧延
処理を行い、電極層の片面の膜厚が70μm となるよう
に塗設した。次に日新ハイボルテージ製エリアビーム型
電子線加速装置を使用して、加速電圧150KeV、電
極電流20mA、照射線量20Mradの条件下でN2
囲気下にて電子線を照射し硬化処理を行った。このよう
にして作成した試料を縦25mm、横20mmに切断し、上
端部を5mmの幅で電極層を除去して20mm角の電極層を
残した。電極層を除去した上端部にリードとしてチタン
線をスポット溶接し、電極A、B、C、D(表1参照)
とした。
【0103】
【表1】
【0104】これらの電極を作用極として用い、下記の
ようにして実施例2−1〜2−4の充放電特性測定用セ
ルを作製し、充放電試験を行った。その結果を表1に示
した。
【0105】対極および参照極にはチタン線に接続した
リチウム板を用い、電解液にはエチレンカーボネイト、
ジエチルカーボネイトの体積比1:1の混合溶媒に1M
の過塩素酸リチウムを溶解したものを用いた。そして、
4mAの定電流で3ボルトから4.2ボルトvsLi/L
+ の範囲で充放電を行った。
【0106】充放電特性測定用セルの構造は、実施例1
−1等で用いた図1に示した構造とした。
【0107】<実施例2−5>上記実施例2−1〜2−
3と同様にして正極活物質LiCoO2 を合成した。
【0108】次に、上記活物質を用いて電極塗料組成物
を作成した。電極塗料組成物の組成は下記の通りであ
る。
【0109】電極塗料組成物 活物質LiCoO2 100 重量部 アセチレンブラック 2 重量部 (HS100:電気化学工業社製) グラファイト 6 重量部 (KS44:ロンザ社製) バインダー樹脂 8 重量部 (表1に示した) N−メチルピロリドン 180 重量部
【0110】上記組成物を、放射線硬化処理条件を、加
速電圧150KeV、電極電流20mA、照射線量40M
radとした以外は実施例2−1〜2−4と同様の方法
で電極Eを作成し、上記と同様にして実施例2−5セル
を作製し電極の試験を行った。その結果を表1に示し
た。
【0111】<比較例2−1、2−2>放射線硬化処理
を行わないこと以外は実施例2−5と同様の方法で電極
F、Gを作成し、上記と同様にして比較例2−1および
2−2のセルを作製し電極の試験を行った。その結果を
表1に示した。
【0112】表1より、本発明の実施例の電極A、B、
C、D、Eを用いた実施例2−1〜2−5のセルは充放
電を繰り返した時の放電容量の低下が少ないことが分か
る。例えば、表1の20サイクルでの放電容量を比較す
ると、放射線硬化性化合物を含まないが、電子線を照射
した電極Eを用いた実施例2−5のセルは、電子線を照
射しない電極F、Gを用いた比較例2−1および2−2
のセルより放電容量が向上しており、更に放射線硬化性
化合物を含み、電子線を照射した電極A、B、C、Dを
用いた実施例2−1〜2−4のセルは電子線照射線量が
小さいにもかかわらず放電容量が大幅に向上しているこ
とが分かる。従って、本発明の二次電池では充放電サイ
クル寿命が改善されていることが分かる。
【0113】<実施例2−6〜2−9>活物質としてグ
ラファイトを用いて電極塗料組成物を作成した。電極塗
料組成物の組成は下記の通りである。
【0114】電極塗料組成物 活物質グラファイト 100 重量部 (KS44:ロンザ社製) バインダー樹脂 8 重量部 (表2に示した) 放射線硬化性化合物 1 重量部 (表2に示した) N−メチルピロリドン 180 重量部
【0115】上記組成物をボールミルにて10時間混
合、分散させ、電極塗料を調製した。このようにして得
られた電極塗料を厚み12μm の銅箔の両面に、ドクタ
ーブレード法により塗布を行った後、熱風乾燥を行い、
電極層の片面の膜厚が100μm となるように塗設し
た。次に日新ハイボルテージ製エリアビーム型電子線加
速装置を使用して、加速電圧150KeV、電極電流2
0mA、照射線量20Mradの条件下でN2 雰囲気下に
て電子線を照射し硬化処理を行った。このようにして作
成した試料を、縦25mm、横20mmに切断し、上端部を
5mmの幅で電極層を除去して20mm角の電極層を残し
た。電極層を除去した上端部にリードとしてチタン線を
スポット溶接し、電極H、I、J、K(表2)とした。
【0116】
【表2】
【0117】これらの電極を作用極として用い、実施例
2−6〜2−9のセルを作製し、下記のようにして充放
電を行った。セルの構造は上記と同様にした。
【0118】対極および参照極にはチタン線に接続した
リチウム板を用い、電解液にはエチレンカーボネイト、
ジエチルカーボネイトの体積比1:1の混合溶媒に1M
の過塩素酸リチウムを溶解したものを用いた。そして、
4mAの定電流で0ボルトから1ボルトvsLi/Li+
の範囲で充放電を行った。その結果を表2に示した。
【0119】<実施例2−10および2−11>実施例
2−6〜2−9と同様、活物質としてグラファイトを用
いて電極塗料組成物を作成した。電極塗料組成物の組成
は下記の通りである。
【0120】電極塗料組成物 活物質 グラファイト 100 重量部 (KS44:ロンザ社製) バインダー樹脂 8 重量部 (表2に示した) N−メチルピロリドン 180 重量部
【0121】上記組成物を用い、放射線硬化処理条件
を、加速電圧150KeV、電極電流20mA、照射線量
40Mradとした以外は実施例2−6〜2−9と同様
の方法で電極L、Mを作成し、実施例2−10および2
−11のセルを作製し、上記と同様にして電極の試験を
行った。その結果を表2に示した。
【0122】<比較例2−3、2−4>上記組成物を、
放射線硬化処理を行わないこと以外は実施例2−10、
2−11と同様の方法で電極N、Oを作成し、比較例2
−3、2−4のセルを作製し、電極の試験を行った。そ
の結果を表2に示した。
【0123】表2より、本発明の実施例の電極H、I、
J、Kを用いた実施例2−6、2−7、2−8、2−9
のセルは初期の放電容量が大きく、かつ充放電を繰り返
した時の放電容量の低下が少ないことが分かる。例え
ば、表2の1サイクルでの放電容量を比較すると、電極
H、I、J、Kを用いた実施例2−6、2−7、2−
8、2−9のセルは、電極N、Oを用いた比較例2−
3、2−4のセルより放電容量が向上していることが分
かる。さらに20サイクルでの放電容量を比較すると、
電極H、I、J、K、L、Mを用いた実施例2−6〜2
−11のセルは、電極N、Oを用いた比較例2−3およ
び2−4のセルと比較して、大幅に放電容量が向上して
いることが分かる。このように本発明の二次電池は充放
電容量、サイクル寿命ともに改善されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】充放電特性測定用セルの断面図である。
【図2】リチウム2次電池の構成例の断面図である。
【符号の説明】 1 ビーカー 2 シリコン栓 3 作用極 4 対極 5 参照極 8 ルギン管 9 電解液 11 電池ケース 12 負極 13 正極 14 チタン線(外部端子) 15 セパレータ 16 電解液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新井 均 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (72)発明者 籠谷 恒男 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (72)発明者 宮木 陽輔 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−169873(JP,A) 特開 平5−226005(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/02 H01M 4/62 H01M 10/40

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素を負極材料に用い、リチウムイオン
    がインターカレートまたはドープ可能な層状化合物また
    は炭素を正極材料に用いるリチウム2次電池であって、 負極材料および/または正極材料が、架橋高分子を含む
    バインダにより集電体表面に接着されており、 前記架橋高分子が、フッ素を含有し、ポリアミン、ポリ
    オール、パーオキサイドまたはトリアジンジチオールで
    架橋されたものであるか、あるいは前記架橋高分子が、
    シラン化合物をグラフト化したポリフッ化ビニリデンを
    水で架橋したものであるリチウム二次電池。
  2. 【請求項2】 前記架橋高分子は、架橋前の高分子を有
    機溶媒に溶解させ、この溶液に電極材料の粉末を分散さ
    せて調整した組成物を集電体上に塗布したのち、乾燥
    し、架橋して得られたものである請求項1のリチウム二
    次電池。
  3. 【請求項3】 前記炭素が平均粒子径1〜30μm のグ
    ラファイトである請求項1または2のリチウム二次電
    池。
  4. 【請求項4】 電解質の溶媒としてエチレンカーボネー
    トを主成分とした混合溶媒を用いる請求項1〜3のいず
    れかのリチウム二次電池。
  5. 【請求項5】 リチウム含有電解質を含む非水電解質を
    備えた二次電池において、 負極および/または正極を構成する電極層が、集電体上
    に、活物質と、放射線照射により硬化が可能なフッ素系
    高分子化合物を含む高分子化合物バインダとを含有する
    組成物を塗設して形成され、かつ放射線硬化処理を施さ
    れたものであることを特徴とするリチウム二次電池。
  6. 【請求項6】 前記フッ素系高分子化合物の含有量が、
    前記高分子化合物バインダにおける高分子化合物総量の
    50重量%以上である請求項5のリチウム二次電池。
  7. 【請求項7】 前記フッ素系高分子化合物は、その分子
    末端あるいは分子側鎖に放射線硬化性基が導入され、そ
    の放射線硬化性が助長された請求項5または6のリチウ
    ム二次電池。
  8. 【請求項8】 前記電極層を形成する組成物が、放射線
    硬化性不飽和二重結合を有する基を2単位以上有する放
    射線硬化性化合物を含む請求項5〜7のいずれかのリチ
    ウム二次電池。
  9. 【請求項9】 前記不飽和二重結合を有する基が下記化
    1で示されるアリル基であることを特徴とする請求項8
    のリチウム二次電池。 【化1】
  10. 【請求項10】 前記不飽和二重結合を有する基が下記
    化2で示されるアクリロイル基である請求項8のリチウ
    ム二次電池。 【化2】
  11. 【請求項11】 前記放射線硬化性化合物の含有量が高
    分子化合物総量100重量部に対して0.1〜50重量
    部である請求項7〜10のリチウム二次電池。
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