JP4163295B2 - ゲル状固体電解質型電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ化ビニリデン系共重合体により形成されたゲル型固体電解質を含む非水系電池、特にリチウムイオン電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年電子技術の発展はめざましく、各種の機器が小型軽量化されてきている。この電子機器の小型軽量化と相まって、その電源となる電池の小型軽量化の要望も非常に大きくなってきている。少ない容積及び重量でより大きなエネルギーを得るためには電池一本当たりの電圧が高いことが必要となり、この見地から最近リチウムまたはリチウムイオンを吸蔵可能な炭素質材料を負極活物質とし、正極活物質として例えばリチウムコバルト酸化物を使用した電池が注目されている。
【0003】
しかしながら、水系の電解液を用いるとリチウムまたはリチウムイオンを吸蔵した炭素質材料やリチウムアルミニウム合金に接すると容易に分解されてしまうため、電解液としてはリチウム塩を有機溶媒に溶解した非水系の電解液が用いられている。この非水系電解液の電解質としては、LiPF6 、LiAsF6 、LiClO4 、LiBF4 、LiCH3 SO3 、LiCF3 SO3 、LiN(CF3 SO2 )2 、LiC(CF3 SO2 )3 、LiCl、LiBr等がある。また、電解質の有機溶媒としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、などの高誘電率を有し電解質をよく溶解する溶媒と、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、などの低沸点溶媒との混合溶媒が主として用いられる。高誘電率を有する溶媒の沸点は一般に約200℃以上と高く、常温での蒸気圧も低いが、低粘度溶媒の方は一般に沸点は約100℃付近のものが多く、常温での蒸気圧も高い。
【0004】
一方このような有機電解液が注入された非水系二次電池が高温にさらされて内部の電解液の蒸気圧が非常に大きくなったり、また過充電されて電解液の分解ガスが発生したりすると、電池内部の圧力が増大し爆発するかも知れない危険な状態になることが予測される。そのため、現在市販されている非水系二次電池には高くなりすぎた圧力を、電池そのものが爆発する前に解放するために破裂板が装着されている。この破裂板が作動すれば着火しやすい有機電解液の蒸気が電池外部に漏れ出すことになる。このような漏液の他の原因としては、缶体とキャップ部のパッキンの経時変化による劣化や、電池が不用意な取り扱われ方をしておきるパッキン部の変形などが予想される。よって非水系電解質を用いた電池には、万一非水系電解液が電池外部に漏れるとその電解液の高い蒸気圧ゆえ容易に着火し火災を招く潜在的な危険性が存在する。
【0005】
これまでリチウムを用いた非水系二次電池は、主として携帯電話やパーソナルコンピュータ、ビデオカムコーダなどの家庭で用いられる小型電子機器の電源として用いられてきた。この間、通常の使用環境下では市場での火災の事故発生は皆無であり、二次電池の安全性についても一般の理解が得られてきた。そこで、これまでの安全性に関する実績をもとに、最近になって電気自動車用や、夜間電力を有効利用するためのロードレヴェリング用の大型電源としての開発が本格化してきている。電池が大型化すると、万一火災が生じたときの危険性は、小型電池の時とは比較にならない。そこでこのような大型の二次電池に対しては、従来以上にその安全対策は重要になってくる。
【0006】
本発明者らは、このような二次電池の安全性に関する問題が、有機溶媒、特に低温での蒸気圧の高い低粘度溶媒の使用に起因すること、また万一電池のパッキン部が不良になると有機電解液が容易に流れ出す構造であることに着目し、その改善を考えた。即ち、既に1970年代から開発されている高分子であるポリエチレンオキサイドと、高誘電率溶媒であるプロピレンカーボネートで構成された、ゲル状の物質中にLiClO4 やLiPF6 等のリチウムの電解質を分散させることにより得られたものをはじめとする高分子固体電解質が、大型電池の安全上必須であると判断した。しかしながらこれまで各種の高分子固体電解質の開発が伝えられ、実際それらを用いた一次電池も市販されているものの、二次電池として用いられて数百回を超えるサイクル特性が得られたものはない。その原因の一つは固体電解質に用いられる高分子マトリクス物質がリチウム金属やリチウムを吸蔵する負極との界面で還元されてしまい、リチウムイオンの伝導性の悪い不動態膜が生長してしまうためであると考えられる。また今一つの原因は、従来の有機溶媒を用いた電解液に比し、高分子固体電解質のリチウムイオンの伝導度が低いために電池の内部抵抗が高くなり、電極活物質の本来の容量を利用しようとすると過充電や過放電が生じ、電極活物質を短時間に劣化させるためであると考えられる。
【0007】
ところでフッ化ビニリデン重合体は、現在非水系電解液を用いた小型のリチウムイオン二次電池の電極活物質を結着するバインダーとして積極的に利用されている。それはテトラフルオロエチレン重合体がリチウムにより容易に還元されてしまうような負極電極上での還元性雰囲気でも、このフッ化ビニリデン重合体は全く還元されず、殆どの有機電解液が酸化されてしまうような正極上での酸化性雰囲気でも全く酸化されず、広い電位窓に亙って電気化学的に安定であるからである。
【0008】
またフッ化ビニリデンのモノマーは、二個の水素が電子のドナーとなり、二個のフッ素が電子のアクセプターとなるので、モノマー単位で高い分極を有しており、電解質などの極性を有する物質をよくその内部に溶解させる媒体となるからである。
【0009】
さらに特公昭54−044220号公報で明らかにされているように、ガラス転移点の低い高分子中では、有機色素分子のような巨大分子でも室温で高分子中を高速に伝搬することが知られている。フッ化ビニリデン重合体は、そのガラス転移点が−45℃と低く、室温はガラス転移点から50℃以上も高いのでその非晶部の分子運動は十分に活発で、その内部に包含した電解質を高速に伝搬させる能力があると考えられる。
【0010】
以上の理由で、活物質を包みながらも、活物質内部へのリチウムイオンの伝搬を阻害しないと言う相矛盾する特性を備えなければならないバインダーとして、フッ化ビニリデン重合体が広く使用されているものと考えられる。
【0011】
そこで高分子固体電解質の基本的な骨格構造としてフッ化ビニリデン重合体を用いることが当然予測されるが、これについては既に1980年代初頭に、日本においてフッ化ビニリデン重合体を用いた高分子固体電解質が既に報告されている(Tsuchida,E.et al.Electrochimica Acta.28(5),591−595(1983))。
【0012】
しかしながらフッ化ビニリデン重合体は、約50%結晶化した結晶性高分子であり、結晶部の高分子の分子運動性は極端に悪いため、結晶部のイオン伝導性は非常に低いと思われる。そこで1990年代になると、米国特許第5296318号公報に開示されている如く、フッ化ビニリデンと6フッ化プロピレンとの結晶性を低下させた共重合体を用いた高分子固体電解質が報告されている。この特許公報に開示されている8wt%以上の6フッ化プロピレンを共重合したフッ化ビニリデン系共重合体は、6フッ化プロピレン中の3フッ化メチル基が立体障害となるため、その結晶化度が大変低い。よってフッ化ビニリデンの単独重合体を用いたものに比較し、高いイオン伝導性が得られているものと考えられる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このフッ化ビニリデンと6フッ化プロピレンとの共重合体を用いた高分子固体電解質にも大きな実用上の欠点があることが明らかとなってきた。即ち、有機溶媒と混合されたゲルを二次電池用材料として用いられたとき、銅箔(負極用)やアルミニウム箔(正極用)に代表される集電基体とゲルとの接着性が乏しいため、活物質等の粉末電極材料を含むゲル層の剥離に伴う電池組立工程における歩留まりが悪化したり、さらには電池を長期間使用しているとその放電容量が経時的に低下する場合があり、実用上問題であった。
【0014】
電解液で膨潤したゲル電解質の金属箔のような平滑な面への接着性を考えた場合、どうしてもゲルに含まれる電解液がゲルと集電基体間の化学的作用を妨害し、現状の共重合体では接着性が低下する。一方エッチング等により、集電基体表面に凹凸をつけ、アンカー効果によりゲルを物理的に接着させようというアイデアもあるが、集電基体の表面処理に手間を要し、期待されるほどの効果が必ずしも得られない。
【0015】
本発明の主要な目的は、非水系電解液に膨潤された状態で適度のイオン伝導度を有し且つ集電基体との接着性および粉末電極材料の保持性に優れたフッ化ビニリデン系共重合体を高分子固体電解質形成用高分子マトリクスならびに正極および/または負極形成用結着剤として含む非水系電池を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らの研究によれば、適度にフッ化ビニリデン含量を低減して非晶質部分を増大させ且つ適当な極性基を共重合により導入したフッ化ビニリデン系共重合体を用いることが、上述の目的の達成のためには極めて有効であることが見出された。
【0018】
すなわち、本発明は、リチウムを吸蔵放出する粉末正極材料および該粉末正極材料を結着・保持する結着剤からなる正極層と、同じくリチウムを吸蔵放出する粉末負極材料および該粉末負極材料を結着・保持する結着剤からなる負極層との間に高分子固体電解質層を配置し、前記正極層、高分子固体電解質層および負極層にそれぞれ非水系電解液を含浸してなるゲル状固体電解質型電池において;前記固体電解質層を形成する高分子マトリクスならびに正極層および負極層の少なくとも一方の結着剤が、それぞれ、フッ化ビニリデン単量体を50〜97モル%含み、不飽和二塩基酸のモノエステルまたはエポキシ基を含有するビニル単量体を0.1〜5モル%含み、更にモノフッ化エチレン、3フッ化エチレン、3フッ化モノフッ化エチレンおよび6フッ化プロピレンからなる群より選択された含フッ素単量体を前記フッ化ビニリデンと不飽和二塩基酸のモノエステルまたはエポキシ基を含有するビニル単量体との合計量が100モル%となる割合で含むフッ化ビニリデン系共重合体からなることを特徴とするゲル状固体電解質型電池を提供するものである。
【0019】
改善された集電基体との接着性ならびに粉末電極材料の保持性は、酸またはエポキシ基からなる極性基の導入と、フッ化ビニリデン含量の低下による非晶質部分の増大に伴うゴム特性により生じたものと解される。
【0022】
上記高分子固体電解質は、化学的にあるいは物理的に、架橋された状態で上記フッ化ビニリデン系共重合体を有することが好ましい。
【0024】
本発明のゲル状固体電解質型電池における、上記したフッ化ビニリデン系共重合体からなる高分子マトリックスに非水系電解液を含浸し、粉末電極材料を実質的に含まない高分子固体電解質層は、一対の正極と負極の間に配置された際に、電解液とセパレータの役割を兼ね備えたものとなる。
【0025】
また上記高分子固体電解質に正極または負極の粉末電極材料を分散含有させた高分子固体電解質層は、それぞれ正極層または負極層を形成する。
【0026】
そして、それぞれ集電基体に接着された正極および負極層としての高分子固体電解質層間にセパレータとしての機能を有する高分子固体電解質層を挾持させることにより本発明の非水系電池が形成される。正極層および負極層を構成する高分子固体電解質層とセパレータの機能も有する高分子固体電解質層は、いずれもゲル同士であるため、互いに良好な接着性を示し、簡単に剥離しない積層構造を与える。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の固体電解質形成用フッ化ビニリデン系共重合体は、フッ化ビニリデン単量体を50モル%以上、97モル%以下含み、かつ不飽和二塩基酸のモノエステルまたはエポキシ基を含有するビニル単量体を0.1モル%以上、5モル%以下含むフッ化ビニリデン系共重合体である。不飽和二塩基酸のモノエステルとしては、炭素数5〜8のものが好ましく、例えばマレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノエチルエステル等を挙げることができ、特にマレイン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステルが好ましい。エポキシ基を含有するビニル単量体としては、アリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル等を挙げることができる。中でもアリルグリシジルエーテルが好ましい。
【0029】
フッ化ビニリデンの優れた耐酸化還元特性を保持するためには、該共重合体中に含まれるフッ化ビニリデン重合単位は多い程良く、少なくとも50モル%以上とする必要がある。また、得られた固体電解質のイオン伝導度を高くするためには、該共重合体中に含まれるフッ化ビニリデン単量体以外の単量体が多い程良く、フッ化ビニリデン単量体は最大でも97モル%以下とする必要がある。さらに不飽和二塩基酸のモノエステルまたはエポキシ基を含有するビニル単量体の含量は、接着性を付与するために上記共重合体中に0.1モル%以上、5モル%以下でなければならない。5モル%を越えると共重合性が悪くなり、重合時間が極端に長くなり実用的でない。
【0030】
本発明のフッ化ビニリデン系共重合体は、上記フッ化ビニリデンと、不飽和二塩基酸のモノエステルまたはエポキシ基を含有するビニル単量体と、に加えてモノフッ化エチレン、3フッ化エチレン、4フッ化エチレン、3フッ化モノ塩化エチレンおよび6フッ化プロピレンからなる群より選ばれたフッ化ビニリデンとの共重合性の良い含フッ素単量体を含めた共重合体とすることにより、非水系電解液に対する溶解性を過度に増大させることなく、より効果的に結晶性を低下させ、非晶部を増大させて、イオン伝導性を増大する。
【0031】
耐熱性を良好とするために上記フッ化ビニリデン系共重合体は比較的高分子量であることが望ましく、より具体的には固有粘度(本願においては、樹脂4gを1リットルのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させた溶液の30℃における対数粘度、を意味する)が、0.5〜10.0dl/g、特に0.8〜7.0dl/gの範囲のものが好ましい。
【0032】
前記フッ化ビニリデン系共重合体は、単独もしくは他の高分子マトリックス形成用樹脂との混合物として使用することが可能であるが、少なくとも高分子マトリックスの50重量%以上を占めることが望ましい。他の樹脂の例としては、フッ化ビニリデン単独重合体や、前記フッ化ビニリデン系共重合体とは異なる単量体との共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレートなどの従来から高分子固体電解質として用いられている重合体やそのオリゴマー等が挙げられる。
【0033】
上記高分子マトリックスとともに本発明の固体電解質を形成する非水系電解液としては、例えばリチウム塩などの電解質を、非水系溶媒(有機溶媒)100重量部に対し、5〜30重量部の割合で溶解したものを用いることができる。
【0034】
ここで電解質としては、LiPF6 、LiAsF6 、LiClO4 、LiBF4 、LiCl、LiBr、LiCH3 SO3 、LiCF3 SO3 、LiN(CF3 OSO2 )2 、LiC(CF3 OSO2 )3 、LiN(CF3 SO2 )2 、LiC(CF3 SO2 )3 、等がある。また、電解質の有機溶媒としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、及びこれらの混合溶媒などが用いられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0035】
本発明の非水系電池の基本構造は、図1に断面図を示すように、一般的にはシート状に形成された固体電解質1を、同様の固体電解質を含む一対の正極2(2a:集電基体、2a:正極合剤層)及び同様の固体電解質を含む負極3(3a:集電基体、3b:負極合剤層)間に挾持された形態で配置することにより得られる。
【0036】
すなわち、本発明の固体電解質は、電極活物質と非水系電解液を保持する正極合剤層2bおよび負極合剤層3bの構造体、さらにはその両極層間に挾持されるゲル層1を構成するために使用される。正極合剤層2bおよび負極合剤層3bは、例えば以下のようにして形成される。まず、上記フッ化ビニリデン系共重合体(あるいは他の樹脂との混合物)を有機溶媒、粉末電極材料とともに混合してスラリーとし、集電基体2aまたは3aに塗布する。次に、有機溶媒を乾燥・除去して得られた電極体を電解液に浸漬し、電解液を含浸させることにより正極2または負極3が得られる。ここで用いる有機溶媒とは、好ましくは極性のものであり、例えばN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラメチルウレア、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、などが挙げられる。これら有機溶媒は単独でまたは二種以上混合して用いられ、これら有機溶媒100重量部当たり、上記共重合体を0.1〜30重量部、特に1〜25重量部、の割合で使用することが好ましい。電極構造体の電解液への含浸時間は数時間あれば十分であり、それ以上長くても効果は変わらない。
【0037】
正極2−負極3間に挾持されるゲル層1は上記フッ化ビニリデン系共重合体(あるいは他の樹脂との混合物)と、非水系電解液とから、例えば以下のようにして形成される。まず、前記のように電解質を有機溶媒に溶解して非水電解液を形成する。次にフッ化ビニリデン系樹脂を、揮発性の有機溶媒に溶解した溶液を調製し、上記非水電解液と均一に混合する。更に前記揮発性の有機溶媒を揮発させる工程を経てフィルム状の高分子固体電解質を得る。このとき用いる揮発性の有機溶媒としては、比較的低い温度で高い蒸気圧を有し揮発しやすく且つフッ化ビニリデン系共重合体をよく溶解するものが好ましい。テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、1,3−ジオキソラン、シクロヘキサノン、等が用いられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0038】
また、電解質を溶解する有機溶媒としてよく用いられるプロピレンカーボネートなどはそれ自身がフッ化ビニリデン系共重合体の溶媒として用いることが可能であるので、揮発性の有機溶媒を用いることなく高分子固体電解質を構成することが可能である。この場合は、予めフッ化ビニリデン系共重合体を有機溶媒で溶解した溶液の中に電解質を加えて更に溶解することも可能であるし、フッ化ビニリデン系共重合体と電解質を同時に有機溶媒で溶解することも可能である。フッ化ビニリデン系共重合体と電解質を溶解させた溶液を室温に冷やしてゲル化させフィルム状の高分子固体電解質からなる膜構造物1を得る。
【0039】
更に、フッ化ビニリデン系共重合体をフィルム化してから電解液を含浸して高分子固体電解質を得ることも可能である。少量生産のためのフィルム化する手段としては、先に示したテトラヒドロフランなどの有機溶媒で本フッ化ビニリデン系共重合体を溶解し、その溶液をガラス板などの上にキャストして溶媒を蒸発させる溶媒キャスト法が好適に利用される。また大量生産のためのフィルム化手段としては、インフレイション法やTダイ押し出し法、カレンダー法等の通常のフィルム化手段が好適に利用される。このフィルム化するときに架橋剤を同時に添加してフィルム化時に、放射線を照射したり加温したりして架橋反応を促進させることも好適に行える。尚、架橋後に電解液を含浸する方が、架橋時に電解液が無い分余計な副反応が抑えられ架橋効率は一般に増大する。
【0040】
リチウムイオン電池としての構成を例に取った場合、固体電解質ゲル層1は、厚さ0.002〜1.000mm、特に0.010〜0.200mm程度であることが好ましく、フッ化ビニリデン系共重合体100重量部に対して、10〜1000重量部、特に100〜500重量部の割合で非水電解液を含浸させたものが好ましく用いられる。
【0041】
また正極2および負極3は、鉄、ステンレス綱、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン等の金属箔あるいは金属網等からなり、厚さが0.005〜100mm、小規模の場合には例えば0.005〜0.020mmとなるような集電基体2a、3aの例えば一面に、例えば厚さが0.010〜1.000mmの正極合剤層2b、負極合剤層3bを形成し、更に電解液を含浸することにより得られる。
【0042】
正極合剤層2bおよび負極合剤層3bは、上述したフッ化ビニリデン系共重合体と電解液を揮発性の有機溶媒に溶解した溶液、例えば100重量部に対し、粉末電極材料(正極または負極活物質及び必要に応じて加えられる導電助剤、その他の助剤)1〜20重量部を分散させて得られた電極合剤スラリーを塗布乾燥により得られる。
【0043】
リチウムイオン二次電池用の活物質としては、正極の場合は、一般式LiMY2 (Mは、Co、Ni、Fe、Mn、Cr、V等の遷移金属の少なくとも一種:YはO、S等のカルコゲン元素)で表わされる複合金属カルコゲン化合物、特にLiNix Co1-x O2 (0≦x≦1)をはじめとする複合金属酸化物やLiMn2 O4 などのスピネル構造をとる複合金属酸化物が好ましい。
【0044】
負極の活物質としては、黒鉛、活性炭、あるいはフェノール樹脂やピッチ等を焼成炭化したもの、さらには椰子殻活性炭等の炭素質物質に加えて、金属酸化物系のGeO、GeO2 、SnO、SnO2 、PbO、PbO2 、SiO、SiO2 等、或いはこれらの複合金属酸化物等が用いられる。
【0045】
さらに層1、2bおよび3bの高分子固体電解質の少なくとも一を構成するフッ化ビニリデン系共重合体を、積極的に架橋することは、該共重合体の非水系電解液への溶解を抑制し、適度に膨潤したゲル状態を維持するのに効果がある。その結果、電池としてより高温での使用が可能となり、電池の耐熱性を向上するのに役立つものである。この架橋法としてはポリアミン類や、ポリオール類や、不飽和結合を有する重合性架橋剤とラジカル発生剤を添加して行なう化学的手段と、電子線照射やガンマー線照射などの物理的手段とが好適に用いられる。3フッ化モノ塩化エチレンの塩素の部分はアミンなどのアルカリ物質により容易に脱塩素を起こすため、架橋の促進のためには好適な共重合体を与える。また、該化学的架橋法においてカーボンブラック、黒鉛、シリカゲル、フロリジル、等の粉体を添加することにより、架橋速度が極端に速められることが見出されている。架橋は、得られる高分子固体電解質が、80℃以上、好ましくは、100℃以上の温度に耐える形状保持性を有し、また電解液を含浸したゲル状固体電解質として80℃以上、好ましくは100℃以上の温度で溶解しない耐熱性を有する程度に行うことが好ましい。
【0046】
なお、該共重合体の架橋は該共重合体の乾燥フィルムまたは電解液を含むフィルム、該共重合体の有機溶媒溶液、あるいは該共重合体と電極活物質を含む合材、のいずれの状態においても行なうことができる。
【0047】
また正極層2bおよび負極層3bの形成に際し、共重合体に電解液を含浸してゲル化する工程は、活物質と導電助剤を含む電極層を形成するとき同時に行ってもよいし、電極層を形成してから電解液を含浸してもよい。
【0048】
化学的架橋に用いられるポリアミン類としては、ジブチルアミン、ピペリジン、ジエチルシクロヘキシルアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、N,N′−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサジアミン、4,4′−ビス(アミノシクロヘキシル)メタカルバメート、等が好適に用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
ポリオール類としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ヒドロキノン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン、等が好適に用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
不飽和結合を有する重合性架橋剤としてはジビニルベンゼン、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチルグリコール、ジメタクリル酸プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、2−ヒドロキシ1,3−ジメタクリロキシプロパン、ビスフェノール系ジメタクリレート、ビスフェノール系ジアクリレート、環状脂肪族ジアクリレート、ジアクリル化イソシアヌレート、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、トリアクリルホルマール、トリアクリルイソシアヌネート、トリアリルシアヌネート、脂肪族トリアクリレート、テトラメタクリル酸ペンタエリスリトール、テトラアクリル酸ペンタエリスリトール、脂肪族テトラアクリレート、等が好適に用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
ラジカル発生剤としては、各種の有機過酸化物が使用可能であり、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類、ベンゾイルパーオキシドなどのジアシルパーオキシド類、2,5−ジメチル−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のパーオキシケタール類、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート類、等が好適に用いられが、これらに限定されるものではない。
【0052】
また上記のポリアミン類や、ポリオール類や、不飽和結合を有する重合性架橋剤とラジカル発生剤に加えて加硫促進剤として、フッ化ビニリデンの脱フッ酸反応を促進するが、それ自身は付加しにくい性質の化合物が用いられる。加硫促進剤の例としてはR4 P+ X- 、R4 N+ X- で示される有機フォスフォニウム塩、第4級アンモニウム塩などが用いられる。
【0053】
本発明の高分子固体電解質は正極或いは負極の活物質のバインダーとしても用いられるが、この場合は電子伝導性をもたせるために導電助剤としてカーボンブラック、黒鉛微粉末あるいは繊維等の炭素質物質やニッケル、アルミニウム等の金属微粉末あるいは、繊維が添加される。この導電助剤を受酸剤(加硫反応時に発生するフッ酸などの酸性物質の受容体)として用いることも可能であり、黒鉛微粉末よりカーボンブラックの方がゲル化の進行が速い原因は、カーボンブラックが受酸剤として働いていると推定される。従来、受酸剤として用いられてきた酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化カルシウム、酸化珪素、酸化錫、等は電池内部でリチウムイオンをトラップすることが考えられ、電池性能に悪影響を与える可能性があるので使用に適さない。カーボンブラックの添加量はフッ化ビニリデン系共重合体の0.1〜50重量%が適当である。
【0054】
前記高分子固体電解質を架橋するその他の方法としては、電子線やガンマー線を照射して架橋構造を導入する手段が好適に用いられる。このときの放射線量としては10〜500kGy程度が好適である。また、この放射線架橋の効果を増大するために、予め、高分子固体電解質の中に先に挙げた不飽和結合を有する重合性架橋剤を添加することも好適に用いられる。
【0055】
上記のようにして得られた図1に示す構造の積層シート状電池体は、必要に応じて、捲回し、折り返し等により更に積層して、容積当たりの電極面積を増大させ、更には比較的簡単な容器に収容して取り出し電極を形成する等の処理により、例えば、角形、円筒型、コイン型、ペーパー型等の全体構造を有する非水系電池が形成される。
【0056】
【実施例】
以下、図面、実施例および比較例により本発明を更に具体的に説明する。
(フッ化ビニリデン系共重合体の調製)
(実施例1)
内容量2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1036g、メチルセルロース0.80g、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート3.6g、フロン225cb3.6g、マレイン酸モノメチルエステル8.0g、フッ化ビニリデン372g及び6フッ化プロピレン28gを仕込み、28℃で86時間懸濁重合を行った。重合完了後、重合体スラリーを脱水、水洗後80℃で20時間乾燥して重合体粉末を得た。重合率は、80重量%で、得られた重合体の固有粘度は1.24dl/gであった。
【0057】
(実施例2)
内容量2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1036g、メチルセルロース0.80g、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート3.6g、フロン225cb3.6g、アリルグリシジルエーテル4.0g、フッ化ビニリデン372g及び3フッ化モノ塩化エチレン4.0gを仕込み、重合開始させて2時間後から3フッ化モノ塩化エチレン24gを1.0g、1時間ごとに分割添加して、25℃で60時間懸濁重合を行った。重合完了後、重合体スラリーを脱水、水洗後80℃で20時間乾燥して重合体粉末を得た。重合率は、75重量%で、得られた重合体の固有粘度は1.03dl/gであった。
【0058】
(比較例1)
内容量2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1176g、メチルセルロース0.3g、ジノルマルプロピルパーオキシジカーボネート3.3g、フッ化ビニリデン552g及び6フッ化プロピレン48gを仕込み、28℃で16.5時間懸濁重合を行った。重合完了後、重合体スラリーを脱水、水洗後80℃で20時間乾燥して重合体粉末を得た。重合率は、80重量%で、得られた重合体の固有粘度は1.41dl/gであった。
【0059】
(実施例3)
内容量2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1036g、メチルセルロース0.80g、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート2.8g、フロン225cb2.8g、ヘキサフルオロプロピレン104g、マレイン酸モノメチルエステル4.0g、フッ化ビニリデン296gを仕込み、28℃で64.5時間懸濁重合を行った。重合完了後、重合体スラリーを脱水、水洗後80℃で20時間乾燥して重合体粉末を得た。重合率は、80重量%で、得られた重合体の固有粘度は1.13dl/gであった。
【0060】
(実施例4)
内容量2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1036g、メチルセルロース0.80g、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート3.6g、フロン225cb3.6g、ヘキサフルオロプロピレン64g、マレイン酸モノメチルエステル4.0g、フッ化ビニリデン336gを仕込み、28℃で54.5時間懸濁重合を行った。重合完了後、重合体スラリーを脱水、水洗後80℃で20時間乾燥して重合体粉末を得た。重合率は、80重量%で、得られた重合体の固有粘度は1.13dl/gであった。
【0061】
(比較例2)
内容量2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1040g、メチルセルロース0.80g、酢酸エチル2.5g、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート4g、マレイン酸モノメチルエステル4.0g、フッ化ビニリデン396gを仕込み、28℃で47時間懸濁重合を行った。重合完了後、重合体スラリーを脱水、水洗後80℃で20時間乾燥して重合体粉末を得た。重合率は、80重量%で、得られた重合体の固有粘度は1.13dl/gであった。
【0062】
実施例1、3、4及び比較例2で得られたフッ化ビニリデン系共重合体のFT−IRチャートをそれぞれ図2〜5として添付する。同じくフッ化ビニリデン単独重合体(クレハ「KFポリマー#1100」)のFT−IRチャートである図6との対比において、波数1750cm−1近傍に導入されたカルボキシル基中のC=0伸縮運動に対応する吸収ピークが明らかである。当該ピークと、3025cm−1または2983cm−1のCH伸縮運動に対応する吸収ピークとの対比により、おおよそのカルボン酸含量が算定される。
【0063】
(高分子固体電解質膜の作製)
上記実施例ならびに比較例で得られたそれぞれのフッ化ビニリデン系共重合体15gをテトラヒドロフラン90gに溶解させ、第一の溶液を調製した。次にLiPF6 1.5gをプロピレンカーボネート10ml中に溶解させた第二の溶液を調製した。この第一の溶液と第二の溶液を混合してよく撹拌した後、ガラス板上にキャストし、テトラヒドロフランを揮発させるために室温で1時間静置した。なお、以上の作業は電解質が水分などにより分解されないように露点が−70℃以下の窒素気流下で行った。得られた厚さ約80μmのゲル状の固体電解質膜を秤量したところ使用したテトラヒドロフランに見合った重量減少が確認された。
【0064】
(化学架橋高分子固体電解質膜の作成:実施例1A〜3A)
実施例1〜3で得られたそれぞれのフッ化ビニリデン系共重合体10gをテトラヒドロフラン90gに溶解させ、そこに架橋剤としてヘキサメチレンジアミン1.5g、加速剤としてジエチルアミン0.6gを添加し、第一の溶液を調製した。次にLiPF6 4.5gをプロピレンカーボネート30ml中に溶解させた第二の溶液を調製した。この第一の溶液と第二の溶液を室温で混合して1時間よく撹拌した後、ガラス板上にキャストし、テトラヒドロフランを揮発させるために50℃で12時間静置した。得られた厚さ約80μmのゲル状の固体電解質膜を秤量したところ使用したテトラヒドロフランに見合った重量減少が確認された。
【0065】
(物理架橋高分子固体電解質膜の作成:実施例1B〜3B)
実施例1〜3で得られたそれぞれのフッ化ビニリデン系共重合体10gをテトラヒドロフラン90gに溶解させ、そこに架橋剤としてトリアリルイソシアヌレート1.0gを添加し、第一の溶液を調製した。次にLiPF6 6gをプロピレンカーボネート30ml中に溶解させた第二の溶液を調製した。この第一の溶液をガラス板上にキャストし、テトラヒドロフランを揮発させるために室温で1時間静置した。得られた厚さ約30μmのキャスト膜を秤量したところ使用したテトラヒドロフランに見合った重量減少が確認された。このキャスト膜にガンマー線を50kGyの線量で照射して架橋を行わせた。次にこの架橋されたキャスト膜を第二の溶液に浸漬して80℃で2時間保持し電解液を含浸した厚さ約100μmのゲル状固体電解質膜を得た。
【0066】
(負極構造体の作製)
上記実施例1〜4及び比較例で得られたそれぞれのフッ化ビニリデン系共重合体10gをピッチ系多孔質炭素材料(呉羽化学工業製「カーボトロンP」)90gおよびN−メチル−2−ピロリドン90gと混合した。得られたスラリーを厚さ0.010mmの銅箔上に塗布し、130℃で乾燥させ、N−メチル−2−ピロリドンを蒸発除去し、乾燥電極を得た。次にLiPF6 1.5gをプロピレンカーボネート10ml中に溶解させた溶液(電解液)に乾燥電極を室温で3時間浸漬した後に、溶液から取り出し、負極構造体を作製した。
【0067】
(化学架橋負極構造体の作製:実施例1A〜2A)
上記実施例1〜2で得られたそれぞれのフッ化ビニリデン系共重合体10g、ピッチ系多孔質炭素材料(呉羽化学工業製「カーボトロンP」)80g、及び導電助剤であるカーボンブラック(三菱化学製)5gをジエチレングリコールジメチルエーテル100gに溶解させ、そこに架橋剤としてヘキサメチレンジアミン1.0gを添加し混合して、第一のスラリー状溶液を調製した。次にLiPF6 4.5gをプロピレンカーボネート30ml中に溶解させた第二の溶液を調製した。この第一の溶液と第二の溶液を混合して室温で1時間よく撹拌したところ溶液粘度の上昇が観察され、ゲル化が急速に進行していることがうかがわれた。粘度の上昇したスラリー状溶液を厚さ0.010mmの銅箔上に塗布し、120℃で乾燥させ、ジエチレングリコールジメチルエーテルを蒸発除去し、乾燥電極を得た。次にLiPF6 1.5gをプロピレンカーボネート10ml中に溶解させた溶液(電解液)に乾燥電極を室温で4時間浸漬した後に、溶液から取り出し、負極構造体を作製した。
【0068】
(物理架橋負極構造体の作製:実施例1B〜2B)
上記実施例1〜2で得られたそれぞれのフッ化ビニリデン系共重合体10g、トリアリルイソシアヌレート1.0g、ピッチ系多孔質炭素材料(呉羽化学工業製「カーボトロンP」)90gおよびN−メチル−2−ピロリドン90gとを混合した。得られたスラリーを厚さ0.010mmの銅箔上に塗布し、100℃で乾燥させ、N−メチル−2−ピロリドンを蒸発除去し、乾燥電極を得た。次にこの乾燥電極にガンマー線を50kGyの線量で照射して架橋を行わせた後、100℃で2時間真空乾燥を行った。次にLiPF6 1.5gをプロピレンカーボネート10ml中に溶解させた溶液(電解液)に、架橋した乾燥電極を室温で4時間浸漬した後に、溶液から取り出し、負極構造体を作製した。
【0069】
(正極構造体の作製)
上記実施例1〜2及び比較例で得られたそれぞれのフッ化ビニリデン系共重合体7重量部をLiCoO2 85重量部、導電性カーボンブラック8重量部およびN−メチル−2−ピロリドン60重量部と混合した。得られたスラリーを厚さ0.010mmのアルミ箔上に塗布し、130℃で乾燥させ、N−メチル−2−ピロリドンを蒸発除去し、乾燥電極を得た。次にLiPF6 1.5gをプロピレンカーボネート10ml中に溶解させた溶液(電解液)に乾燥電極を室温で3時間浸漬した後に、溶液から取り出し、正極構造体を作製した。
[評価]
上記で得られた高分子固体電解質膜および正・負極構造体について、以下の評価を行った。
【0070】
<目視観察>
上記各例で得られた正・負極構造体を観察したところ、マレイン酸モノメチルエステルを含まない比較例1以外のフッ化ビニリデン系共重合体を使用した構造体においては、電極合剤層がアルミ箔または銅箔に強く接着しており、活物質の剥離が見られなかったのに対し、比較例1で得たフッ化ビニリデン系共重合体を使用した構造体においては、アルミ箔または銅箔から活物質が容易に剥離し、電極構造体として使用できないものであった。
【0071】
<負極剥離強度>
なお、電解液に浸漬する前の実施例1〜4および比較例の乾燥負極構造体における電極活物質の集電基体からの剥離強度を、JIS K6854に準拠して180゜の剥離試験により測定したところ、下表1の結果が得られた。これは各電極においてフッ化ビニリデン系共重合体をバインダーとして使用した時の接着力を示すものである。
【0072】
<イオン伝導度の測定>
露点が−70℃の窒素気流下で前記の各ゲル状固体電解質膜をポンチで打ち抜き、円盤状のフィルムを得た。これを二枚のSUS電極ではさみ2016型(直径20mm×厚み1.6mm)のコイン型電池の中に収納した後、大気中に取り出した。このコイン型電池を用いていわゆるCole−Cole−Plot法により固体電解質の抵抗値を求めた。即ち、コイン型電池の両極に周波数0.5mHzから500kHzで出力電圧5mVの交流電圧を印加したときの電流を測定して、その複素インピーダンスを求めた。次に各周波数で得られた複素インピーダンスを複素平面上にプロットし、実軸との交点を求め、交点の示す値を固体電解質膜の抵抗値とした。この測定の原理はSUS電極がリチウムイオンと合金を作らず電荷移動反応を行わないので、複素インピーダンスの複素平面上の軌跡は実軸に垂直な半無限直線となるからである。得られた抵抗値を測定した固体電解質の厚みと面積で補正することにより、比抵抗値が得られ、その逆数を持ってイオン伝導度とした。この様にして室温25℃での各固体電解質膜のイオン伝導度を求めたところ下表1の結果が得られた。
【0073】
<形状保持温度>
上記各例でそれぞれ得られたゲル状高分子固体電解質膜を、それぞれ、20×30mmの矩形試験片として細分化したのち、各例の試験片を20〜100℃の範囲で10℃間隔で保持した小型密閉容器に入れ、それぞれ1時間保持した後に取り出し、室温まで冷却して、その形状の変化を目視で観察した。そして、各試験片についてその形状変化が認められない保持温度をもって、形状保持温度とした。結果を表1に記す。
【0074】
【表1】
【0075】
表1によれば、電解液を含まない状態での乾燥負極剥離強度として、不飽和二塩基酸モノエステルであるマレイン酸モノメチルエステルを含まない比較例1の負極剥離強度に比べて、これを含む実施例1〜4では高い負極の剥離強度が得られている。また、同じマレイン酸モノメチルエステルを含む系においても、ヘキサフルオロプロピレンあるいは3フッ化モノ塩化エチレンを含むことによりフッ化ビニリデン含量を低下させた実施例1〜3の負極剥離強度(29〜31g/mm)はフッ化ビニリデン含量の高い比較例2のそれ(15g/mm)に比べて高いことがわかる。これはフッ化ビニリデン含量の低下に伴うゴム特性の増大に起因するものと解される。
【0076】
更に表1によれば、実施例1〜3のフッ化ビニリデン系共重合体を架橋することにより得られた実施例1A、1B等のゲル状高分子固体電解質膜は、形状保持温度で代表される耐熱性が著しく向上するとともに、おそらくはゴム性の増大により、イオン伝導度も向上している。
【0077】
(電池の作製と評価)
上記実施例1および2、対応する実施例1A、1B、2A、2Bならびに比較例1で作製した正極・負極の電極構造体間に同実施例および比較例で得られた高分子固体電解質膜を挾みこみ、電池を作製した。25℃または60℃の温度において、3mAの定電流で4.2Vまで充電後、1.5時間定電圧で充電を継続し、その後3mAの定電流で2.5Vまで放電する充放電サイクルを30回繰り返し、30回目の容量保持率を測定した。結果を下表2中に示す。
【0078】
【表2】
【0079】
上表2を見れば本発明による高分子固体電解質膜は、従来のフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(比較例1)からなる高分子固体電解質膜に比べて、おそらくは集電基体等との接着性の改善および架橋により改善された耐熱性を通じて安定した特性を有する電池を与えていることがわかる。
【0080】
【発明の効果】
上述したように、不飽和二塩基酸モノエステルまたはエポキシ基を有するビニル単量体とを共重合させたフッ化ビニリデン含量が50〜97モル%のフッ化ビニリデン系共重合体を高分子マトリックスとして用いてなる高分子固体電解質により、非水系電池の正極層、負極層および中間ゲル層からなる積層構造を形成することにより、改善された集電基体との密着性、粉末電極材料の保持機能ならびにイオン伝導性の向上を通じて、非水系電池の特性向上が得られる。特に架橋したフッ化ビニリデン系共重合体を用いることにより、著しい耐熱性の向上が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の非水系電池の基本的積層構造を示す厚さ方向断面図。
【図2】実施例1で得られたフッ化ビニリデン系共重合体のFT−IRチャート。
【図3】実施例3で得られたフッ化ビニリデン系共重合体のFT−IRチャート。
【図4】実施例4で得られたフッ化ビニリデン系共重合体のFT−IRチャート。
【図5】比較例2で得られたフッ化ビニリデン系共重合体のFT−IRチャート。
【図6】市販のフッ化ビニリデン単独重合体のFT−IRチャート。
【符号の説明】
1 シート状固体電解質
2 正極
2a 導電性基体
2b 正極合剤層
3a 導電性基体
3b 負極合剤層
Claims (5)
- リチウムを吸蔵放出する粉末正極材料および該粉末正極材料を結着・保持する結着剤からなる正極層と、同じくリチウムを吸蔵放出する粉末負極材料および該粉末負極材料を結着・保持する結着剤からなる負極層との間に高分子固体電解質層を配置し、前記正極層、高分子固体電解質層および負極層にそれぞれ非水系電解液を含浸してなるゲル状固体電解質型電池において;前記固体電解質層を形成する高分子マトリクスならびに正極層および負極層の少なくとも一方の結着剤が、それぞれ、フッ化ビニリデン単量体を50〜97モル%含み、不飽和二塩基酸のモノエステルまたはエポキシ基を含有するビニル単量体を0.1〜5モル%含み、更にモノフッ化エチレン、3フッ化エチレン、3フッ化モノフッ化エチレンおよび6フッ化プロピレンからなる群より選択された含フッ素単量体を前記フッ化ビニリデンと不飽和二塩基酸のモノエステルまたはエポキシ基を含有するビニル単量体との合計量が100モル%となる割合で含むフッ化ビニリデン系共重合体からなることを特徴とするゲル状固体電解質型電池。
- 粉末正極材料および粉末負極材料の少なくとも一方がカーボンブラックからなる導電助剤を含む請求項1のゲル状固体電解質型電池。
- 該固体電解質形成用高分子マトリックスを構成するフッ化ビニリデン系共重合体が架橋されている請求項1または2のゲル状固体電解質型電池。
- フッ化ビニリデン系共重合体が(イ)ポリアミン類、(ロ)ポリオール類または(ハ)不飽和結合を有する重合性架橋剤から選ばれた架橋剤とラジカル発生剤との組み合わせ、のいずれかの存在下に架橋されてなる請求項3のゲル状固体電解質型電池。
- フッ化ビニリデン系共重合体が電子線またはガンマー線の照射により架橋されてなる請求項3のゲル状固体電解質型電池。
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