JP3407507B2 - ポリマー電解質・リチウム電池 - Google Patents

ポリマー電解質・リチウム電池

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JP3407507B2 JP28831395A JP28831395A JP3407507B2 JP 3407507 B2 JP3407507 B2 JP 3407507B2 JP 28831395 A JP28831395 A JP 28831395A JP 28831395 A JP28831395 A JP 28831395A JP 3407507 B2 JP3407507 B2 JP 3407507B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリマー電解質を用
いたリチウム電池の、とくにその電極に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリマー材料は軽量や形状柔軟性、薄膜
形成可能などの特徴を有するため、これを電池構成材と
して導入した次世代新型電池の開発が推進されている。
通常のリチウム二次電池に使用される電解液の代わり
に、ポリマー電解質を用いたリチウム・ポリマー二次電
池もその1つである。
【0003】電解液系のリチウム二次電池では、充電時
に活性なデンドライト状リチウムが負極上に析出しやす
く、内部ショートによる電池の発熱・発火が起こるとい
う安全性に関する問題を抱えている。しかし、ポリマー
電解質を用いたリチウム電池では、ポリマー電解質の固
体としての性質によりデンドライト状リチウムの生成が
抑制される傾向にある。よって、内部ショートによる発
熱・発火が起こらない高信頼性の電池が期待される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】通常の有機電解液電池
の場合、活物質、導電剤および結着剤からなる正極構成
材料の混合合剤を塗着または加圧成型したものを正極と
して使用しているため、集電体と活物質の電気的接触は
言うまでもなく、粒子間も密着して電子伝導路を確保
し、正極内部での電子伝導に基づくインピーダンスは小
さい。また、その正極内部に微細に形成された隙間に電
解液が浸透し、活物質との十分な電気化学的界面も形成
することができ、良好なイオン伝導路も確保している。
【0005】しかしながら、ポリマー電解質電池では、
有機電解液電池とは異なり正極構成材料の混合物中にあ
らかじめ電解質成分も含ませた状態で正極を一般に作製
するため、粒子間に電解質が介在しやすく、粒子間の電
気的接触がとりにくい。そのためインピーダンスは前記
の正極に比べて大きく、電池作動時の電圧降下の要因と
なっている。インピーダンスの低減には導電剤の増加が
必要だが、加えるとその分正極中の活物質量が減少し、
結果として正極容量の低下を招きやすい。
【0006】またポリマー電解質電池のポリマー電解質
を含んだ複合正極中に後から結着剤をいれることは非常
に困難であり、充放電による正極の体積変化に基ずく粒
子間接触または活物質と集電体との接触機会の損失を防
ぐことが難しい。
【0007】本発明はこのような課題を解決するもので
あり、低インピーダンスで高容量の新規のポリマー電解
質・リチウム電池を提案することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明では導電剤粒子表面に予めフッ素樹脂結着
剤を分散・付着させた導電性結着剤、活物質粒子、モノ
マー、重合開始剤とからなる合剤層を芯材上に塗布した
後、前記モノマーを重合させてポリマー電解質とした電
極を備えたポリマー電解質・リチウム電池とした。
【0009】導電性結着剤として使用する結着性フッ素
樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフ
ルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、
ポリフッ化ビニリデンなどがあり、導電剤としてはアセ
チレンブラック、ファーネスブラック、または黒鉛など
がある。
【0010】
【発明の実施の形態】従来のポリマー電解質・リチウム
電池に用いる電極は、活物質、導電剤とポリマー電解質
とを単に混合させているものが多く、有機電解液電池に
比べて電極内の粒子間接触による電子導電性が悪く、結
果的に大きな正極容量が得られなかった。しかしなが
ら、本発明では導電剤粒子表面に予めフッ素樹脂結着剤
を分散・付着させた導電性結着剤、活物質粒子、モノマ
ー、重合開始剤とからなる合剤層を芯材上に塗布した
後、前記モノマーを重合させてポリマー電解質とした電
極とするため、正極合剤と集電体のみならず活物質粒子
相互間の密着性も向上し、導電剤粒子を過剰に加えるま
でもなく良好な電子導電性を確保できるために充放電サ
イクルにともなう正極の体積変化にも充分対応でき、容
量劣化も防ぐことができる。
【0011】またポリマー電解質を含んだ複合正極を作
製する際、従来粒子間の接着の役割を担っていた電解質
成分も導電性結着剤導入にともない、混合重量を減少さ
せることが可能であるため、従来のように電極中に過剰
に存在する電解質によるIR損を減少させることができ
る。したがって、正極の電極内の活物質の充填量を大き
くすることも可能であるため電池の容量密度を向上する
ことができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面とともに説明す
る。
【0013】[実施例1]図1に本発明のリチウム・ポ
リマー二次電池の発電部の縦断面図を示す。図において
1はポリマー電解質の複合正極であり、2はポリマー電
解質である。ポリマー電解質の複合正極は以下の方法で
作製した。まず、活物質となるV613+a(0≦a≦
0.16)粒子100重量部とアセチレンブラック導電
剤1重量部を用意しメカノフュージョンシステムを用い
てV613+a粒子の表面にアセチレンブラック導電剤粒
子を機械的エネルギーにより打ち込み、固定化した。
【0014】この表面修飾した活物質100重量部と活
物質に対して3重量部の導電性結着剤を混合、混練した
あと熱硬化性モノマー6重量部と熱重合開始剤1重量部
と非水電解液24重量部からなる液体を注入する。この
ペースト状正極合剤をアルミニウム箔上に塗布し、80
℃で1時間加熱処理することにより前記モノマーが重合
硬化して、ポリマー電解質を複合した正極シートが得ら
れる。
【0015】ここでは、熱硬化性モノマーにポリエチレ
ングリコールジアクリレート、熱重合開始剤にアゾビス
イソブチロニトリル、非水電解液にはプロピレンカーボ
ネートとエチレンカーボネートが50:50の等体積混
合溶媒に溶質としてLiPF 6を1モル/リットル溶解
したものを使用した。また、導電性結着剤にはポリテト
ラフルオロエチレンとアセチレンブラックが重量比で3
0:70のものを使用した。これは渡辺らによってJ.
Electroanal.Chem,195(198
5)81−93に示された方法、つまりポリテトラフル
オロエチレンの分散液とアセチレンブラックの懸濁液を
コロイドミルで混ぜ、不活性ガス中、280℃で加熱す
ることによって得られたものである。
【0016】図1で3はポリマー電解質層であり、紫外
線硬化性モノマーと光重合開始剤と非水電解液からなる
液体に紫外線を照射して得たゲル状ポリマー電解質であ
る。ここで、紫外線硬化性モノマーと非水電解液と光重
合開始剤の重量比は、20:80:0.1である。ここ
では、紫外線硬化性モノマーにポリエチレンオキシドジ
アクリレート、光重合開始剤にベンジルジメチルケター
ルを用いた。電解液としては前記のようにプロピレンカ
ーボネートとエチレンカーボネートの50:50の等体
積混合溶媒に溶質としてLiPF6を1モル/リットル
溶解した非水電解液を使用した。
【0017】ポリマー電解質層3と金属リチウム負極4
との接合方法は以下の通りである。まず、紫外線硬化性
モノマー:非水電解液:光重合開始剤=20:80:
0.1の重量比の前記液体を負極金属リチウムの上に5
0μmの厚さに塗布し、次に、これに最大出力波長36
5nmの紫外線を不活性雰囲気下で3分間照射する。こ
のとき、前記モノマーが重合硬化して、非水電解液を含
有したポリマー電解質層であるゲル状の電解質3が負極
金属リチウム4上に得られる。
【0018】このゲル状電解質をのせた金属リチウムと
上記のポリマー電解質複合正極を接合積層し、リチウム
・ポリマー二次電池を構成した。
【0019】[実施例2](実施例1)と同様に表面修
飾を行ったV613+a粒子を用い、導電性結着剤として
ポリテトラフルオロエチレン−ファーネスブラックを用
いて(実施例1)と同様の方法で電池を作製した。また
ポリテトラフルオロエチレンとケッチェンブラックは5
0:50の重量比のものを用いた。
【0020】[比較例1]活物質としてV613+a粒子
100重量部と導電剤としてアセチレンブラック1重量
部を混合し、メカノフュージョンシステムにより機械的
エネルギーによって、活物質粒子表面に打ち込み、固定
した。この表面修飾された活物質100重量部と導電剤
としてアセチレンブラックを前記活物質に対し3重量部
混合し、さらにこの合剤に熱硬化性モノマーと電解液を
注入したあと、この正極合剤をアルミ箔上に塗布し、8
0℃で1時間熱処理することでポリマー電解質を含んだ
正極を作製した。その他の構成は(実施例1)と同様に
した。
【0021】ついで、実施例1、2および比較例で得ら
れた電池について、その放電容量とサイクル寿命および
インピーダンスを表1に示す。
【0022】
【表1】 本発明の電池実施例1、2は正極中の導電剤として導電
性結着剤を用いたため、活物質と集電体および活物質粒
子間の接触が改善され、インピーダンス値が小さくなり
電池の放電容量が向上した。また充放電による正極の体
積変化に起因する容量劣化も防ぐことができ、結果的に
サイクル寿命も向上した。
【0023】一方、比較例1では導電剤の全量は実施例
1、2よりも多く本来特性が向上するはずであるが、導
電性結着剤を使用しなかったため上記に述べた理由によ
りインピーダンスが大きくなり放電容量が減少し、また
活物質粒子間の接触性の確保が低下してサイクル寿命も
小さくなったと考えられる。
【0024】なお、本実施例では正極活物質にV6
13+a(0≦a≦0.16)を用いたが、これ以外にリチ
ウム電池に通常用いられる正極活物質であるLixMn
2やLiNiO2、LiMn24などであってもよい。
また、電解液の溶質にはLiPF6を用いたが、Li
CF3SO3やLiClO4、LiN(CF3SO22、L
iAsF6、LiBF4などの他のリチウム塩であっても
よい。
【0025】また、リチウム電池用負極には金属リチウ
ムを用いたが、これ以外にリチウムを含む化合物、例え
ばLiAl合金やCxLiなどであってもよい。
【0026】また、本発明の処方は正極のみならず負極
に適用してもよい。本実施例では導電性結着剤の樹脂と
してポリテトラフルオロエチレンを用いたが、テトラフ
ルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体や
ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド共重合
体などの他の樹脂であってもよい。
【0027】また、ポリマー電解質複合正極の構成要素
として導電性結着剤を用いた場合にはさらにアセチレン
ブラック、ファーネスブラックなどの導電剤を加えても
よい。
【0028】
【発明の効果】以上のように本発明の電池では導電剤粒
子表面にフッ素樹脂結着剤を分散付着させた導電性結着
剤、活物質粒子、モノマー、重合開始剤とからなる合剤
層を芯材上に塗布した後、前記モノマーを重合させてポ
リマー電解質とした電極を用いることにより正極活物質
と集電体間および活物質粒子間の接触が改善され、電子
導電性を向上するとともに、活物質の充填量も増えるこ
とにより電池容量が向上する。また充放電に伴う正極の
体積変化による粒子間の電気的接触の緩和も制御するこ
とが可能であるためサイクル特性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリマー電解質・リチウム電池発電部
の断面図
【符号の説明】
1 ポリマー電解質複合正極 2 ポリマー電解質 3 ポリマー電解質層 4 金属リチウム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江田 信夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−114419(JP,A) 特開 平6−103979(JP,A) 特開 平9−115550(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/02 - 4/62

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電剤粒子表面にフッ素樹脂結着剤を分
    散付着させた導電性結着剤、活物質粒子、モノマー、重
    合開始剤とからなる合剤層を芯材上に塗布した後、前記
    モノマーを重合させてポリマー電解質とした電極を備え
    たポリマー電解質・リチウム電池。
  2. 【請求項2】前記導電性結着剤はポリテトラフルオロエ
    チレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロ
    ピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンおよびビニリデ
    ンフルオライド共重合体からなる群から選ばれた少なく
    とも1つの樹脂を導電剤に分散付着させた請求項1記載
    のポリマー電解質・リチウム二次電池。
  3. 【請求項3】前記導電性結着剤はアセチレンブラック、
    ファーネスブラック、および黒鉛からなる群から選ばれ
    た少なくとも1つの導電剤にフッ素樹脂結着剤を分散付
    着させた請求項1記載のポリマー電解質・リチウム二次
    電池。
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