JP3942232B2 - ゲル状固体電解質および電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水系電池、特にリチウムイオン電池、を形成するに適したゲル状固体電解質ならびに該固体電解質を含む非水系電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
容積あるいは重量当りのエネルギー密度が大で、電池容量も大きく、繰り返し充放電性の良い二次電池として汎用されるリチウムイオン電池は、一般にリチウム複合酸化物を正極活物質とし、導電性炭素質材料を負極とし、これら両極間に微多孔性膜からなるセパレータを配置し、これら要素をリチウム塩を含む非水電解液に浸漬した形態となっており、非水電解液を含むこれら要素は、必要個所に電気絶縁性のパッキングを配置して、金属缶などの導電性密閉容器中に封入された構造を有する。
【0003】
このような現在汎用されているリチウムイオン電池は、特性的には優れるものの、電池内部においては比較的束縛の少ない状態で存在する非水電解液の外部への漏洩を確実に防止するための容器構造が複雑化し、またそれでも落下あるいは異常内圧の上昇等の非常時には、非水電解液の外部への漏洩が避け難いという問題点がある。
【0004】
これに対し、汎用リチウムイオン電池の透液性のセパレータの位置に、内部により確実な形態で非水電解液を含浸保持した高分子マトリクスからなるゲル状の固体電解質を配置し、密閉容器の必要性をなくし、あるいは軽減したタイプのリチウムイオン電池(ゲル状リチウムイオン電池)も提案されている(米国特許第5,296,318号明細書、特開平9−22727号公報等)。
【0005】
上記ゲル状固体電解質形成用の高分子マトリクスとしては、従来、フッ素系樹脂が多く用いられ、特に結晶性と非晶性とのバランスの良いビニリデンフロライドとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体が特に好ましい例として挙げられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、汎用リチウムイオン電池に比べて、このようにして開発されたゲル状固体電解質を用いるリチウムイオン電池は、未だ充分な特性を発揮するものとはいい難い。その主要な要因は、電解質の特性を直接的に支配するイオン伝導度に関して、開発されたゲル状固体電解質が従来の非水電解液に比べて小さいという点にある。
【0007】
本発明の主要な目的は、イオン伝導度をはじめとする諸特性の改善されたゲル状固体電解質を提供すること、特にそれを高分子マトリクスの改良により達成することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、上記固体電解質を含む特性の改善された非水系電池を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らの研究によれば、上述の目的の達成のためには、スルホン化したポリフッ化ビニリデン系樹脂をゲル状固体電解質の高分子マトリクスとして用いることが極めて有効であることが見出された。
【0010】
本発明においては、スルホン化したポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる固体電解質形成用高分子マトリクスを用いる。導入されたスルホン酸基は、更にリチウム塩化することも望ましい。
【0011】
すなわち、本発明のゲル状固体電解質は、フッ化ビニリデンの単独重合体、またはフッ化ビニリデン重合単位を30モル%以上の割合で含むフッ化ビニリデンとフッ化ビニル、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびフルオロアルキルビニルエーテルからなる群より選ばれた含フッ素モノマーとの共重合体、をスルホン化したフッ化ビニリデン系樹脂からなる高分子マトリクスと、該高分子マトリクスに含浸された非水電解液とからなるものである。
【0012】
本発明のスルホン化されたポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる高分子マトリクス中に非水電解液を含浸させてなる高分子マトリクスは、従来のフッ素系樹脂からなる高分子マトリクス中に非水電解液を含浸させてなる高分子マトリクスに比べて著しく改善されたイオン伝導度を示す(後記実施例、比較例参照)。この理由は、必ずしも明らかではないが、従来の高分子マトリクス材料であるフッ素系樹脂が、共有結合性の強い結合のみから本質的に形成されていたのに対し、ポリフッ化ビニリデン系樹脂中に導入されたスルホン酸基が大きなイオン解離性を示し、リチウムイオン伝導におけるホッピング障壁を低くするためと考えられる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の固体電解質形成用高分子マトリクスは、フッ化ビニリデンの単独重合体またはフッ化ビニリデンとフッ化ビニル、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびフルオロアルキルビニルエーテルからなる群れより選ばれた含フッ素モノマーとの共重合体(フッ化ビニリデン重合単位が30モル%以上)からなるポリフッ化ビニリデン系樹脂をスルホン化することにより得られるものである。原料としてのポリフッ化ビニリデン系樹脂は、高分子マトリクスとしての使用に鑑み、比較的高分子量であることが好ましく、より具体的には、固有粘度(本書においては、樹脂4gを1リットルのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させた溶液の30℃における対数粘度、を意味する)が、0.5〜10.0、特に0.8〜7.0の範囲内のものが好ましい。
【0014】
ポリフッ化ビニリデン系樹脂のスルホン化は、溶媒中に溶解または分散させた状態で既知のスルホン化剤と反応させることにより行うことができる。スルホン化剤としては、例えばクロロスルホン酸、発煙硫酸、あるいは三酸化イオウ−トリエチルホスフェート錯体などを用いることができる。
【0015】
溶媒を用いる場合は、スルホン化剤と反応しにくい溶媒であることが望ましい。このような溶媒として、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタンなどの溶媒が適当である。
【0016】
溶媒中に分散させて、スルホン化する場合、原料ポリフッ化ビニリデン系樹脂としては、好ましくは乳化重合あるいは懸濁重合により形成した重量平均粒径が0.5〜1000μm程度の粉体状であることが好ましい。なお必要に応じて、膜状に成形後にスルホン化処理を施すことも可能である。
【0017】
スルホン化は例えば10〜150℃の温度で行うことができる。反応時間は、導入するスルホン酸基の量に応じて適宜調整することができる。工業的には数時間から10時間以内が好ましい。スルホン酸基導入の確認はFTーIRにて行うことが可能である。すなわちスルホン化されたポリフッ化ビニリデン系樹脂を、溶解可能な溶媒(例えばN−メチル−2−ピロリドン)に溶解したものをガラス板上にキャストし、130℃、2時間真空乾燥して得られる膜のFT−IRを測定することによって、未変性のものと比べて1180cm-1吸収の出現および976、795、764、615cm-1吸収の消失で確認される。
【0018】
スルホン化されたポリフッ化ビニリデン系樹脂は、イオン交換水でよく洗浄後、必要に応じて塩基性リチウム塩を含む水溶液中でイオン交換させ、スルホン酸リチウム塩として使用することも可能である。以後、スルホン化物およびスルホン酸リチウム塩化物を、包括的に変性ポリフッ化ビニリデン系樹脂と称する。
【0019】
前記変性ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、単独もしくは他の高分子マトリクス形成用樹脂との混合物として使用することが可能である。特にスルホン酸基の導入量が増えるに従い、電解液への溶解性が増大する傾向にあるために全マトリクス樹脂の50重量%以下の範囲で他の樹脂を混合したポリマーブレンドあるいはポリマーアロイを形成することも好ましい。このような他の樹脂の例としては、未変性のポリフッ化ビニリデン系樹脂に加えて、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレートなどの従来から高分子固体電解質として用いられている重合体やそのオリゴマー等が挙げられる。
【0020】
上記高分子マトリクスとともに本発明の固体電解質を形成する非水電解液としては、例えばリチウム塩などの電解質を、非水系溶媒(有機溶媒)100重量部に対し、5〜30重量部の割合で溶解したものを用いることができる。
【0021】
ここで電解質としては、LiPF6 、LiAsF6 、LiClO4 、LiBF4 、LiCH3 SO3 、LiCF3 SO3 、LiN(CF3 OSO2 )2 、LiCl、LiBr、LiC(CF3 OSO2 )3 、LiN(CF3 SO2 )2 、LiC(CF3 SO2 )3 等がある。また、電解質の有機溶媒としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、およびこれらの混合溶媒などが用いられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0022】
本発明の固体電解質は、上記変性ポリフッ化ビニリデン系樹脂(あるいは他の樹脂との混合物)と、非水電解液とから、例えば以下のようにして形成される。まず、前記のように電解質を有機溶媒に溶解して非水電解液を形成する。次に変性ポリフッ化ビニリデン系樹脂を、有機溶媒に溶解した溶液を調製し、別記非水電解液と均一に混合する。更に前記の揮発性の有機溶媒を揮発させる工程を経てフィルム状の高分子固体電解質を得る。このとき用いる揮発性の有機溶媒としては、比較的低い温度で高い蒸気圧を有し揮発しやすく且つ変性フッ化ビニリデン系重合体をよく溶解するものが好ましく、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、1,3−ジオキソラン、シクロヘキサノンが用いられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0023】
また、電解質を溶解する有機溶媒としてよく用いられるプロピレンカーボネートなどはその有機溶媒そのものが変性ポリフッ化ビニリデン系樹脂の溶媒として用いることが可能であるので、揮発性の有機溶媒を用いることなく高分子固体電解質を構成することも可能である。この場合は、予め電解質を有機溶媒で溶解した溶液の中に電解質を加えてさらに溶解することも可能であるし、電解質と変性ポリフッ化ビニリデン系樹脂を同時に有機溶媒で溶解することも可能である。電解質と重合体とを溶解させた溶液を室温に冷やしてゲル化させフィルム状の高分子固体電解質からなる膜構造物を得る。
【0024】
また特開平9−22727号に記載されているように、前記変性ポリフッ化ビニリデン系樹脂を、前記のようなポリフッ化ビニリデン系樹脂に対する溶解能を示す揮発性有機溶媒および必要に応じ更に該有機溶媒と混和性を有するが該ポリフッ化ビニリデン系樹脂に対して溶解性を有さない水、アルコール等の溶媒との混合液を形成し、該混合液からこれら揮発性溶媒を蒸発させて、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の微細な開放気孔を含むシート状マトリクスを一旦形成し、必要に応じて後述のようにして架橋した後、これを別途形成した非水電解液に浸漬して非水電解液を含浸させることにより形成することもできる。
【0025】
本発明の非水系電池の基本構造は、図1に断面図を示すように、上記のようにして一般的にはシート状に形成された固体電解質1を一対の正極2(2a:集電基体、2b:正極合剤層)および負極3(3a:集電基体、3b:負極合剤層)間に挾持された形態で配置することにより得られる。
【0026】
リチウムイオン電池としての構成を例にとった場合、シート状固体電解質1は、厚さ2〜1000μm、特に10〜200μm程度であることが好ましく、変性ポリフッ化ビニリデン系樹脂を主成分とするマトリクス樹脂100重量部に対して、10〜1000重量部、特に100〜500重量部の割合で非水電解液を含浸させたものが好ましく用いられる。
【0027】
スルホン酸基の導入量が増大すると、溶解性の増大、従って電解液による膨潤性の増大、によるサイクル特性の劣化を避けるために、形成された固体電解質1を架橋処理することが望ましい。架橋処理法としてはγ線や電子線などの放射線照射の方法が好適に用いられる。このときの放射線量としては、例えば10kGy〜500kGy程度が好適である。また、この放射線架橋の効果を増大するために、予め、マトリックス樹脂溶液中に、上記変性ポリフッ化ビニリデン系樹脂(あるいは必要に応じて混合される他の樹脂)に加えて、例えば樹脂分の0.1〜30重量%に相当する多官能性を有する架橋剤を添加することも好適に用いられる。この架橋剤としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレ−ト、トリアクリルフォルマール、ジアリルモノプロパギルシアヌレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートなどが好適に用いられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。架橋処理法としては放射線照射に留まらず、他の架橋方法、例えば熱架橋が可能なアミン基含有化合物、シアヌレート基含有化合物等を添加して熱架橋させる熱架橋法等も好適に用いられる。
【0028】
正極2および負極3は、鉄、ステンレス綱、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン等の金属箔あるいは金属網等からなり、厚さが5〜100μm、小規模の場合には例えば5〜20μmとなるような集電基体2a、3aの例えば一面に、例えば厚さが10〜1000μmの正極合剤層2b、負極合剤層3bを形成することにより得られる。
【0029】
正極合剤層2bおよび負極合剤層3bは、例えば0.1〜20重量部の上述に変性または未変性ポリフッ化ビニリデン系樹脂の有機溶媒中溶液に、粉末電極材料(正極または負極活物質および必要に応じて加えられる導電助剤、その他の助剤)100重量部を分散させて得られた電極合剤スラリーの塗布、乾燥により得られる。
【0030】
リチウムイオン二次電池用の活物質としては、正極の場合は、一般式LiMY2 (Mは、Co、Ni、Fe、Mn、Cr、V等の遷移金属の少なくとも一種:YはO、S等のカルコゲン元素)で表わされる複合金属カルコゲン化合物、特にLiNix Co1-x O2 (0≦x≦1)をはじめとする複合金属酸化物やLiMn2 O4 などのスピネル構造をとる複合金属酸化物が好ましい。負極の場合は、黒鉛、活性炭、あるいはフェノール樹脂やピッチ等を焼成炭化したもの等の粉末状炭素質材料に加えて、金属酸化物系のGeO、GeO2 、SnO、SnO2 、PbO、PbO2 など、あるいはこれらの複合金属酸化物(例えば特開平7−249409号公報に開示されるもの)等が用いられる。
【0031】
電池における導電助剤は、LiCoO2 等の電子伝導性の小さい活物質を使用する場合に、電極合剤層の導電性を向上する目的で添加するもので、カーボンブラック、黒鉛微粉末あるいは繊維等の炭素質物質やニッケル、アルミニウム等の金属微粉末あるいは、繊維が使用される。活物質として導電性の大きい物質を用いる場合はこれらの導電材は使用する必要がない。
【0032】
このようにして得られた図1に示す構造の積層シート状電池体は、必要に応じて、捲回し、折返し等により更に積層して、容積当りの電極面積を増大させ、更には比較的簡単な容器に収容して取出電極を形成する等の処理により、例えば、角形、円筒形、コイン形、ペーパ形等の全体構造を有する非水系電池が形成される。
【0033】
【実施例】
以下、実施例、比較例により本発明を更に具体的に説明する。
【0034】
(実施例1)
内容積1リットルのセパラブルフラスコ中で、固有粘度3.1のフッ化ビニリデン重合体100gをクロロホルム400mlに分散させ、撹拌しながらクロロスルホン酸100mlを滴下した後、クロロホルムの還流温度(約61℃)まで昇温し4時間反応させた。次に反応液を水中に注ぎ、固形物を濾別し、水洗・乾燥を経て、変性ポリフッ化ビニリデン樹脂を得た。
【0035】
得られた変性フッ化ビニリデン系重合体15gをテトラヒドロフラン90gに溶解させ、第一の溶液を調製した。次にLiPF6 2gをプロピレンカーボネート10ml中に溶解させた第二の溶液を調製した。この第一の溶液と第二の溶液を混合してよく撹拌した後、ガラス板上にキャストし、テトラヒドロフランを揮発させるために50℃に加温して1時間静置し、その後真空乾燥した。なお、以上の作業は電解質が水分などにより分解することがないように露点が−70℃以下の窒素気流下で行った。得られた厚さ約150μmのゲル状の固体電解質膜Aを秤量したところ使用したテトラヒドロフランに見合った重量減少が確認された。
【0036】
(実施例2)
実施例1で変性フッ化ビニリデン系重合体を溶解する際に架橋剤としてトリアリルイソシアヌレート1.5gを添加した以外は、参考例1と同様の方法により固体電解質膜を得た。これにガンマ線50kGyを照射して架橋を行わせて固体電解質膜Bを得た。
【0037】
(比較例1)
固有粘度1.1のフッ化ビニリデン重合体(呉羽化学工業製KF#1100)を実施例1の変性フッ化ビニリデン系重合体に代えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、固体電解質膜Cを得た。
【0038】
(比較例2)
ヘキサフルオロプロピレンモノマーとフッ化ビニリデンモノマーを12:88で共重合させて得られた重合体(呉羽化学工業製KF#2300)を実施例1の変性フッ化ビニリデン系重合体に代えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、固体電解質膜Dを得た。
[イオン伝導度の測定]
露点が−70℃の窒素気流下で実施例1、2および比較例1、2で得た厚さがそれぞれ約150μmの固体電解質膜をポンチで打ち抜き円盤状のフィルムを得た。これを二枚のSUS電極で挾み2016型(直径20mm×厚み1.6mm)のコイン電池の中に収納した後、大気中に取り出した。このコイン型電池を用いていわゆるCole−Cole−Plot法により固体電解質膜の抵抗値を求めた。即ち、コイン型電池の両極に周波数0.5mHzから500kHzで出力電圧5mVの交流電圧を印加したときの電流を測定して、その複素インピーダンスを求めた。次に各周波数で得られた複素インピーダンスを複素平面上にプロットし、実軸との交点を求め、交点の示す値を固体電解質膜の抵抗値とした。この測定の原理はSUS電極がリチウムイオンと合金を作らず電荷移動反応を行わないので、複素インピーダンスの複素平面上の軌跡は実軸に垂直な半無限直線となるからである。得られた抵抗値を測定した固体電解質の厚みと面積で補正することにより、比抵抗値が得られ、その逆数をもってイオン伝導度とした。この様にして室温25℃での各固体電解質膜のイオン伝導度を求めたところ下表1の結果が得られた。
【0039】
【表1】
【0040】
(実施例3)
正極にLiCoO2 100重量部と固有粘度1.3のフッ化ビニリデン重合体3重量部とからなる電極と、負極にピッチ系多孔質炭素材料(呉羽化学工業製「カーボトロンP」)42重量部と上記と同じフッ化ビニリデン重合体からなる電極を用い、両極を実施例1の電解液(第二の溶液)で濡らして含浸させたのち、実施例2で得た高分子固体電解質を挟んで2016型コイン電池を作製した。室温で4.2Vの定電位充電を行った後、その放電容量を測定したところ4.5mAhであった。
【0041】
上記表1の結果は、本発明のスルホン化されたポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる高分子マトリクスを用いた固体電解質(実施例1および2)が、従来のフッ素系樹脂(フッ化ビニリデン重合体(比較例1)およびフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(比較例2)からなる高分子マトリクスを用いた固体電解質に対し、著しく増大したイオン伝導度を与えることを示す。
【0042】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、スルホン化したポリフッ化ビニリデン系樹脂を高分子マトリクスとして用い非水電解液を含浸したゲル状固体電解質を形成することにより、著しいイオン伝導度の増大が得られ、良好な特性のゲル状リチウムイオン電池をはじめとする非水系電池の形成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の非水系電池の基本的積層構造を示す厚さ方向断面図。
【符号の説明】
1 シート状固体電解質
2 正極
2a 導電性基体
2b 正極合剤層
3a 導電性基体
3b 負極合剤層
Claims (3)
- フッ化ビニリデンの単独重合体、またはフッ化ビニリデン重合単位を30モル%以上の割合で含むフッ化ビニリデンとフッ化ビニル、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびフルオロアルキルビニルエーテルからなる群より選ばれた含フッ素モノマーとの共重合体、をスルホン化したフッ化ビニリデン系樹脂からなる高分子マトリクスと、該高分子マトリクスに含浸された非水電解液とからなるゲル状固体電解質。
- 高分子マトリクスが架橋されている請求項1に記載の固体電解質。
- シート状固体電解質を正極と負極との間に挾持してなり、該シート状固体電解質が請求項1または2に記載の固体電解質からなる非水系電池。
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