JP2004079327A - 非水二次電池および非水二次電池用正極とその製造方法 - Google Patents

非水二次電池および非水二次電池用正極とその製造方法 Download PDF

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大桃 義智
Shoji Nishihara
西原 昭二
Hideki Tsubata
津幡 英樹
Fumihiko Kishi
岸 文彦
Ichiji Miyata
宮田 一司
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Abstract

【課題】正極合剤層の結着剤を改良することにより、高容量で充放電特性にすぐれた非水二次電池を提供することを目的とする。
【解決手段】正極、負極および電解質を有する非水二次電池において、上記の正極として、正極集電体に正極活物質、導電助剤および結着剤を含有する正極合剤層を設けた構成の正極であって、かつ上記の正極合剤層が、結着剤として重量平均分子量の異なる少なくとも2種のポリフッ化ビニリデンを含有し、かつ水銀圧入法による直径0.1〜3μmの気孔の比表面積が1m/g以上であるものを用いたことを特徴とする非水二次電池。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水二次電池に関し、さらに詳しくは、高容量で充放電特性にすぐれた非水二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の小型化、携帯電話の普及に伴い、高エネルギー密度を有する二次電池への要求がますます高まっている。現在、この要求に応える高容量の二次電池には、正極活物質としてLix CoO2 を用い、負極活物質として炭素系材料を用いたリチウムイオン二次電池が商品化されている。
【0003】
このリチウムイオン二次電池は、平均駆動電圧が3.6Vと高く、従来のニッケル−カドミウム電池やニッケル水素電池の平均駆動電圧の約3倍である。また、負極活物質として炭素系材料を用い、充放電に関与するモビリティーが軽金属であるリチウムであることから、軽量化も期待できる。近年、携帯電話などの長時間連続使用・機能追加による消費電力の増加に対して、リチウムイオン二次電池の一層の高容量化が望まれている。
【0004】
リチウムイオン二次電池は、従来のリチウム金属を負極とする非水二次電池とは異なり、活物質を結着剤などとともに溶液中に分散させた合剤ペーストとし、この合剤ペーストを用いて、正極集電体、負極集電体ともに集電体の両面に塗布し乾燥して、活物質を含有する塗膜からなる合剤層を形成し、これをさらに圧縮成形することにより、帯状の正負極を作製する。
これらの帯状の電極はセパレータを介して渦巻状に巻回して電極体を形成し、電池缶に挿入して、電池が構成されている。
【0005】
リチウムイオン二次電池の高容量化に対する要求は、既述のように強く、次世代の携帯電話、PDAでは一層の高容量化が期待される。
活物質としてLiCoO2 などのリチウム複合酸化物を用いた正極では、体積当たりの高容量化、つまり正極合剤層の密度×活物質含量(重量比)を向上させる必要がある。しかし、プレス圧を高くして密度の向上をはかると、合剤層中に十分な細孔が確保されず、電解液の浸透が抑制されて、大電流での充放電時に容量が低下したり、サイクル特性が悪化する。他方、結着剤含量を低減して、活物質含量(重量比)の向上をはかると、つぎのような問題がある。
【0006】
結着剤は、高い電気化学的耐性、つまり、広い電位窓を有し、かつ非水電解液に対する耐溶解性や物理的あるいは化学的な接着力を有することが要求される。具体的には、熱可塑性樹脂、ゴム弾性を有するポリマーなどの1種またはこれらの混合物として用いられる。より具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどが用いられる。中でも、ポリフッ化ビニリデンは、広い電位窓を有し、かつ非水電解液に対する耐溶解性や集電体との密着性にすぐれるため、上記電極の結着剤として適した材料のひとつである。
【0007】
しかし、従来より使用される重量平均分子量10万〜40万のポリフッ化ビニリデンの場合、その含量の低減に伴い、集電体との接着強度が低下し、とくに、電極の圧縮成形時や巻回時に合剤層の割れや脱落などが生じる。
そこで、より高分子量(重量平均分子量:50万)のポリフッ化ビニリデンを用い、集電体との接着強度を向上させる手法が検討されている(特開2000−260475)。これは、より高分子量の結着剤を用いることで、活物質表面との接触面積を大きくし、接着強度を増大させるものである。
【0008】
しかしながら、ポリフッ化ビニリデンは、通常、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶媒にあらかじめ溶解して用いられるが、ポリフッ化ビニリデンの分子量が大きくなるに伴い、その溶液の粘度が増大し、活物質や導電助剤を均一に分散することが困難となる。多量の有機溶媒を添加して低粘度化することにより分散自体は可能となるが、この場合、固形分濃度が低下して活物質や導電助剤の分散安定性が悪くなり、再凝集や乾燥時の合剤成分の偏りが生じて、塗膜中の細孔の比表面積が低下する。その結果、電解液と活物質の接触面積が減少し、大電流放電特性やサイクル特性を悪化させることになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来技術では、正極合剤層の体積あたりの活物質量が多く、かつ細孔の比表面積が大きい正極は容易には得られず、そのため、高容量で充放電特性にすぐれた非水二次電池を得ることは難しかった。
本発明は、上記事情に鑑み、正極合剤層の結着剤を改良して、高容量で充放電特性にすぐれた非水二次電池を得ることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、正極合剤層の結着剤として、重量平均分子量の異なる少なくとも2種のポリフッ化ビニリデン、とくに重量平均分子量10万以上50万未満の低分子量ポリフッ化ビニリデンと重量平均分子量50万以上150万未満の高分子量ポリフッ化ビニリデンとを使用することにより、正極合剤層の細孔の比表面積を保持した状態で、活物質含量を向上できるものであることを見い出した。
【0011】
高分子量のポリフッ化ビニリデンによると、少ない結着剤量で十分な接着強度が得られ、結着剤量そのものを低減でき、この低減分を活物質や導電助剤に割り当てることができる。活物質に割り当てると、活物質含量(重量比)が増えて、体積当たりの活物質量が増加する。しかも、密度1.78g/cm3 のポリフッ化ビニリデンが密度5g/cm3 の活物質に置き換えられるため、正極合剤層の真密度が増加し、細孔量を保持した状態での電極の高密度化が可能となる。つまり、活物質含量(重量比)の向上と電極密度の向上との2つの効果により、体積当たりの活物質量の向上、換言すれば、容量の向上が可能となる。
【0012】
一方、高分子量のポリフッ化ビニリデンだけでは、既述のとおり、塗膜を構成する合剤成分の凝集や偏りが生じ、正極合剤層中の細孔径が増加し細孔量が保持されても、細孔の比表面積が減少する。このため、電解液と活物質の接触面積が減少し、大電流放電特性やサイクル特性が低下する。
しかるに、高分子量のポリフッ化ビニリデンとともに、低分子量のポリフッ化ビニリデンを使用し、最初に、この低分子量のポリフッ化ビニリデン中に正極活物質や導電助剤を混合分散させ、ついで、高分子量のポリフッ化ビニリデンを加えて混合分散させることにより、上記の問題が解消され、均一で細孔の比表面積の十分に大きい正極合剤層を形成することができる。
【0013】
これを要するに、本発明者らは、高分子量のポリフッ化ビニリデンが接着強度の向上に寄与し、低分子量のポリフッ化ビニリデンが活物質などの分散に適していることを利用して、この両成分を正極合剤層の結着剤として併用することで、正極合剤層の体積あたりの活物質量が多く、かつ細孔の比表面積が大きい正極を得ることに成功したものであり、これにより高容量で充放電特性にすぐれた非水二次電池が得られることを見い出したものである。
【0014】
本発明は、以上の知見をもとにして、完成されたものである。
すなわち、本発明は、正極集電体に正極活物質、導電助剤および結着剤を含有する正極合剤層を設けてなる非水二次電池用正極において、上記の正極合剤層は、結着剤として重量平均分子量の異なる少なくとも2種のポリフッ化ビニリデンを含有し、かつ水銀圧入法による直径0.1〜3μmの気孔の比表面積(以下、細孔比表面積という)が1m/g以上であることを特徴とする非水二次電池用正極に係るものであり、とくに上記の細孔比表面積が1.5m/g以上である上記構成の非水二次電池正極を提供できるものである。
【0015】
また、本発明は、重量平均分子量の異なる少なくとも2種のポリフッ化ビニリデンが、重量平均分子量10万以上50万未満の低分子量ポリフッ化ビニリデンと、重量平均分子量50万以上150万未満の高分子量ポリフッ化ビニリデンとからなる上記構成の非水二次電池正極、上記の低分子量ポリフッ化ビニリデンと高分子量ポリフッ化ビニリデンとの重量比が5:95〜80:20、両者の合計量が正極合剤層全体の0.5〜5重量%である上記構成の非水二次電池用正極、また上記両者の重量比が10:90〜70:30、両者の合計量が正極合剤層全体の1〜3重量%である上記構成の非水二次電池用正極、正極活物質がリチウムコバルト酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムニッケル酸化物の中から選ばれた少なくとも1種であり、その量が正極合剤層全体の95重量%以上である上記構成の非水二次電池用正極、正極合剤層の密度が3.2g/cm3 以上である上記構成の非水二次電池用正極、正極合剤層の密度が3.4g/cm3 以上である上記構成の非水二次電池用正極を提供できるものである。
【0016】
さらに、本発明は、結着剤として、重量平均分子量の異なる少なくとも2種のポリフッ化ビニリデンを使用し、最初に、相対的に低分子量のポリフッ化ビニリデンを有機溶媒に溶解させた溶液中に正極活物質と導電助剤を加えて混合分散し、つぎに、相対的に高分子量のポリフッ化ビニリデンを有機溶媒に溶解させた溶液を上記の混合分散液に加えてさらに混合分散して、正極合剤ペーストを調製し、このペーストを正極集電体に塗布し乾燥したのち、圧縮成形することにより、上記各構成の非水二次電池用正極を製造することを特徴とする非水二次電池用正極の製造方法に係るものである。
【0017】
また、本発明は、正極、負極および電解質を有する非水二次電池において、上記の正極は、上記した各構成の非水二次電池用正極からなることを特徴とする非水二次電池に係るものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の非水二次電池用正極において、結着剤としては、重量平均分子量の異なる少なくとも2種のポリフッ化ビニリデンが用いられる。通常は、相対的に低分子量のポリフッ化ビニリデンとして、重量平均分子量10万以上50万未満、好ましくは15万以上45万以下の低分子量ポリフッ化ビニリデンと、相対的に高分子量のポリフッ化ビニリデンとして、重量平均分子量50万以上150万未満、好ましくは60万以上100万以下の高分子量ポリフッ化ビニリデンが用いられる。ここで、上記した低分子量ポリフッ化ビニリデンと高分子量ポリフッ化ビニリデンとの重量比(固形分)としては、5:95〜80:20、好ましくは10:90〜70:30であるのがよい。
【0019】
本明細書において、重量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用いて、以下の方法で測定される値を意味する。
80℃に保持したPolymer Laboratories社製のPlgel Mixed Bカラムに、LiClの0.03M;N−メチル−2−ピロリドン溶液を流量1ml/分で流し、そこへポリフッ化ビニリデンの0.4重量%N−メチル−2−ピロリドン溶液を0.1ml注入し、流出時間と流出量を測定する。また、分子量既知の数種のポリスチレンを用い、同様の測定を行い、これより検量線を作成して、ポリフッ化ビニリデンの重量平均分子量を求める。装置は、Waters社製のAlliance 2690を使用した。
【0020】
本発明において、上記の低分子量および高分子量のポリフッ化ビニリデンは、通常は、それぞれをあらかじめ溶媒に溶解させた個別の溶液として用いられる。溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミドなどが用いられ、とくにN−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
溶液の濃度は、N−メチル−2−ピロリドンでは2〜15重量%、とくに5〜12重量%とするのがよい。ポリフッ化ビニリデンの分子量が大きくなるにしたがい、溶液粘度が高くなるため、濃度の低い溶液とするのがよい。
溶液の粘度は、5Pas(25℃)以下であるのがよい。なお、低粘度とするため、5重量%以下にまで希釈すると、正極合剤ペーストの調製時に固形分濃度が低くなるなどの弊害がある。また、高分子量のポリフッ化ビニリデンは、15℃以下の低温で塗料調製に用いると、固形分が析出する場合があり、20〜50℃、とくに25〜40℃で用いるのがよい。
【0021】
本発明においては、最初に、上記した低分子量のポリフッ化ビニリデンを有機溶媒に溶解させた溶液中に、正極活物質とともに鱗片状黒鉛やカーボンブラックなどの導電助剤を加えて混合分散し、つぎに、上記した高分子量のポリフッ化ビニリデンを有機溶媒に溶解させた溶液を、上記の混合分散液に加えてさらに混合分散することにより、正極合剤ペーストを調製する。
【0022】
正極活物質としては、たとえば、LiCoO2 などのリチウムコバルト酸化物、LiMn2 4 などのリチウムマンガン酸化物、LiNiO2 などのリチウムニッケル酸化物、二酸化マンガン、五酸化バナジウム、クロム酸化物などの金属酸化物またはこれらを基本構造とする複合酸化物(たとえば、異種金属添加品)、二硫化チタン、二硫化モリブデンなどの金属硫化物などが単独でまたは2種以上の混合物として、あるいはそれらの固溶体として用いられる。
【0023】
これらの中でも、リチウムコバルト酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムニッケル酸化物の中から選ばれた少なくとも1種を使用するのが、好ましい。とくにLiCoO2 、LiMn2 4 、LiNiO2 などの充電時の開路電圧がLi基準で4V以上を示すリチウム複合酸化物を正極活物質として使用すると、高エネルギー密度が得られるので、好ましい。真密度のとくに高いLiCoO2 を使用すると、本発明における細孔量保持の効果が容易に得られ、結果として、正極のさらなる高密度化が可能となるため、最も好ましい。
【0024】
このように調製される正極合剤ペーストは、固形分が50〜80重量%、好ましくは60〜75重量%であるのがよい。また、この固形分中(つまり、最終的に形成される正極合剤層全体中)、活物質の含量が90重量%以上、好ましくは95重量%以上であり、導電助剤の含量が1〜8重量%、好ましくは2〜5重量%であり、さらに結着剤としてのポリフッ化ビニリデンの含量が0.5〜5重量%、好ましくは1〜3重量%であるのがよい。また、粘度が1〜10Pas(25℃)、とくに3〜8Pas(25℃)であるのが望ましい。
【0025】
本発明においては、このように調製される正極合剤ペーストを、正極集電体の片面または両面に塗布し、乾燥したのち、圧縮成形することにより、正極集電体に正極活物質、導電助剤および結着剤を含有する正極合剤層を設けてなる非水二次電池用正極を製造する。ここで、正極集電体には、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、銅、ニッケルなどの金属の箔、エキスバンドメタル、網などが用いられるが、とくにアルミニウム箔が好ましい。正極集電体の厚さとしては、5〜60μm、とくに8〜40μmであるのが好ましい。正極集電体に正極合剤ペーストを塗布する際には、押出しコーター、リバースローラー、ドクターブレードなどをはじめ、各種の塗布方法を採用することができる。
【0026】
このように製造される本発明の非水二次電池用正極において、正極集電体上に形成される正極合剤層の厚さとしては、片面あたり、30〜300μm、とくに50〜150μmであるのが好ましい。また、この正極合剤層の密度としては、たとえば、正極活物質としてLiCoO2 などのリチウムコバルト酸化物を使用したものでは、高容量化の観点から、3.2g/cm3 以上であるのが好ましく、とくに3.4g/cm3 以上であるのが好ましい。
さらに、この正極合剤層の気孔率としては、20〜40体積%であるのが望ましい。気孔率が20体積%未満では、電解液の浸透が悪くなり、容量の低下やサイクル特性が悪化するなどの問題があり、40体積%を超えると、上記した正極密度が得られず、高容量化の観点より、好ましくない。
【0027】
本発明において、このような正極合剤層は、水銀圧入法による細孔比表面積、つまり直径0.1〜3μmの気孔の比表面積が1m/g以上となる、とくに好ましくは1.5m/g以上となることを特徴としている。細孔の最頻径は1μm以下となることが好ましく、とくに0.5μm以下となることが好ましい。
本発明では,正極合剤層が上記の細孔比表面積を有していることにより、単に気孔量が多いだけでなく、正極活物質と電解液との接触を十分に確保させることが可能となり、これにより非水二次電池としてのサイクル寿命や大電流放電特性などを向上させることができる。
【0028】
本発明の非水二次電池は、上記構成の非水二次電池用正極を使用し、この正極とともに、負極および電解質を有するものである。
負極に用いる材料は、リチウムイオンをドープ、脱ドープできるものであればよく、このような物質を負極活物質という。この負極活物質は、とくに限定はないが、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭などの炭素材料、Si、Sn、Inなどの合金またはLiに近い低電圧で充放電できるSi、Sn、Inなどの酸化物などを用いることができる。
【0029】
負極活物質として炭素材料を用いる場合、この炭素材料は、以下のような特性を持つものであるのが好ましい。まず、その(002)面の面間距離(d002 )は、3.5Å以下であるのが好ましく、より好ましくは3.45Å以下、さらに好ましくは3.4Å以下である。つぎに、c軸方向の結晶子の大きさ(Lc)は、30Å以上が好ましく、より好ましくは80Å以上、さらに好ましくは250Å以上である。また、平均粒径は8〜20μm、とくに10〜15μmであるのが好ましく、純度は99.9重量%以上であるのがよい。
【0030】
負極は、上記の負極活物質と結着剤と必要により導電助剤とを溶媒中に適宜の順に溶解分散させて、負極合剤ペーストを調製し、これを負極集電体に塗布し、乾燥したのち、圧縮成形することにより、作製される。
結着剤には、通常、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレンなどが用いられる。また、負極活物質として天然黒鉛材料を用いるときは、下記の理由で、カルボキシル基含有ポリマーとエポキシ基を2個以上有する化合物を使用するのが望ましく、これらと上記通常の結着剤と併用してもよい。
【0031】
負極材料についても高容量化に対する要求が強く、放電容量が350mAh/g以上である天然黒鉛材料を用いたリチウムイオン二次電池への関心が高まっている。天然黒鉛材料は、人造黒鉛材料に比べ、負極集電体や黒鉛間の相互作用が弱く、サイクル特性が悪くなる。しかし、結着剤として、カルボキシル基含有ポリマーとエポキシ基を2個以上有する化合物を使用し、負極集電体に塗布し加熱乾燥する際に、カルボキシル基とエポキシ基とを反応させて3次元架橋した塗膜からなる負極合剤層を形成すると、上記特性が向上する。
【0032】
カルボキシル基含有ポリマーとしては、フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、アリル樹脂、ブタジエン樹脂などの熱可塑性樹脂、ゴム弾性を有するポリマーなどが1種またはこれらの混合物として用いられる。その中でも、フッ素系樹脂がとくに好ましく用いられる。カルボキシル基の含有量としては、架橋密度の点より、ポリマー中、0.1〜80モル%、とくに0.5〜30モル%であるのが好ましい。また、このポリマーの数平均分子量は、ポリマーの種類によって異なるが、通常1万〜100万、とくに10万〜50万であるのが好ましい。
【0033】
エポキシ基を2個以上、好ましくは4個以上有する化合物としては、グリシジルアミン、グリシシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルアミン、環式脂肪族化合物(シクロヘキセンオキサイド基、トリシクロデセンオキサイド基、シクロペンテンオキサイド基などを有する化合物)などが挙げられる。これらの中でも、室温で安定に存在し、加熱乾燥時にのみカルボキシル基と反応するという点で、グリシジルアミンが最も好ましい。
このようなグリシジルアミンの市販品には、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(三菱ガス化学社製の「TETRAD−X」)、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学社製の「TETRAD−C」)などが挙げられる。
【0034】
カルボキシル基含有ポリマーとエポキシ基を2個以上有する化合物との混合比率としては、カルボキシル基に対するエポキシ基の当量比で0.2〜20当量比、とくに1〜10当量比となるようにするのがよい。0.2当量比以上とすることにより、カルボキシル基とエポキシ基の反応が進み、架橋体としたときに充放電時における負極合剤層と負極集電体との間の電気的接合が向上し、電池容量の劣化をさらに低減できる。また、20当量比以下とすることにより、電解液への溶出を抑制して、電池容量の低下をより改善することができる。
【0035】
負極合剤ペーストの溶媒には、上記結着剤を溶解しうるものとして、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなどが単独でまたは2種以上混合して用いられる。負極集電体には、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、銅、ニッケルなどの金属の箔、エキスバンドメタル、網などが用いられ、とくに銅箔が好ましい。負極集電体の厚さとしては、5〜60μm、とくに8〜40μmであるのが好ましい。
負極集電体に負極合剤ペーストを塗布する際には、押出しコーター、リバースローラー、ドクターブレードなどをはじめ、各種の塗布方法を採用できる。このように負極集電体に設けられる負極合剤層の厚さは、片面あたり、30〜300μm、とくに50〜150μmであるのが好ましい。
【0036】
電池の作製に際し、負極にリード体が設けられる。リード体は、負極に対し抵抗溶接、超音波溶接などにより、負極集電体の露出部分に溶接される。リード体の断面積は、大電流が流れた場合の抵抗を低減し発熱量を低減するため、0.1〜1.0mm2 、とくに0.3〜0.7mm2 であるのがよい。リード体の材質は、ニッケルが一般的であるが、銅、チタン、ステンレス鋼などでもよい。
【0037】
本発明において、電解質には、通常、液状電解質(以下、これを「電解液」という)が用いられる。この電解液には、有機溶媒に溶質を溶解させた有機溶媒系の非水電解液が用いられる。有機溶媒は、とくに限定されないが、鎖状エステルを主溶媒としたものが望ましい。鎖状エステルには、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、酢酸エチル、プロピオン酸メチルなどの鎖状のCOO−結合を有する有機溶媒が用いられる。鎖状エステルを主溶媒とするとは、鎖状エステルが有機溶媒全体の50体積%より多い体積を占めることを意味し、とくに好ましくは65体積%以上、より好ましくは70体積%以上、さらに好ましくは75体積%以上を占めるのがよい。
【0038】
また、有機溶媒としては、上記の鎖状エステルのみで構成するよりも、電池容量の向上をはかるために、上記の鎖状エステルに誘電率の高いエステル(誘電率30以上のエステル)を混合して用いるのが望ましい。このような誘電率の高いエステルの使用割合は、有機溶媒全体の10体積%以上であるのが好ましく、とくに好ましくは20体積%以上であるのがよい。
【0039】
上記の誘電率の高いエステルとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールサルファイトなどが挙げられ、とくにエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状構造のものが好ましく、とりわけ環状のカーボネートが好ましく、具体的にはエチレンカーボネートが最も好ましい。
【0040】
さらに、有機溶媒としては、上記の誘電率の高いエステルのほか、必要によりその他の有機溶媒を使用してもよい。具体的には、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルーテトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどが用いられ、その他、アミン系またはイミド系有機溶媒や、含イオウ系または含フツ素系有機溶媒なども使用できる。
【0041】
非水電解液において、有機溶媒に溶解させる溶質としては、LiClO4 、LiPF6 、LiBF4 、LiAsF6 、LiSbF6 、LiCF3 SO3 、LiC4 9 SO3 、LiCF3 CO2 、Li2 2 4 (SO3 2 、LiN(CF3 SO2 2 、LiC(CF3 SO2 3 、LiCn 2n+1SO3 (n≧2)などが単独でまたは2種以上混合して用いられる。これらの中でも、LiPF6 やLiC4 9 SO3 などが、充放電特性が良好なため、好ましい。電解液中の溶質の濃度は、とくに限定されないが、通常、0.3〜1.7モル/リットル、とくに0.4〜1.5モル/リットルであるのが望ましい。
【0042】
本発明において、電解質としては、上記電解液のほかに、団体状またはゲル状の電解質を用いることもできる。このような電解質としては、無機固体電解質のほか、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドまたはこれらの誘導体などを主剤にした有機団体電解質などが用いられる。
【0043】
本発明の非水二次電池は、たとえば、正極と負極とを両者間にセパレータを介して重ね合わせ、これを渦巻状、楕円状、長円形状などに巻回した構造の電極体や、上記重ね合わせた積層構造の電極体を、ニッケルメッキを施した鉄やステンレス鋼製またはアルミニウムやアルミニウム合金製の電池ケース、あるいは金属ラミネートフィルム内に挿入し、これにさらに電解液を注入するなどして電解質を装填し、最後に、封口する工程を経て、作製される。この電池には、通常は、電池内部に発生したガスをある一定圧力まで上昇した段階で電池外部に排出し、電池の高圧下での破裂を防止する防爆機構が取り入れられる。
【0044】
上記のセパレータとしては、強度が十分でしかも電解液を多く保持できるものが好ましく、そのような観点から、厚さが10〜50μmで、開孔率が30〜70%の微孔性フィルムや不織布などが好ましく用いられる。微孔性フィルム材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体などが挙げられ、不織布材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。
【0045】
【実施例】
つぎに、実施例を記載して、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味するものとする。
【0046】
実施例1
<正極の作製>
正極活物質であるLiCoO2 の96部、導電助剤である黒鉛およびカーボンブラックの2部を、ミキサーを用いて均一に混合し、さらに結着剤として、あらかじめN−メチル−2−ピロリドンに溶解させたポリフッ化ビニリデン(重量平均分子量31万)を0.1部(固形分換算)加えて、混合した。その後、あらかじめN−メチル−2−ピロリドンに溶解させたポリフッ化ビニリデン(重量平均分子量71万)を1.9部(固形分換算)加えて、混合し、正極合剤ペーストを調製した。このペーストの固形分濃度は64重量%であった。
【0047】
この正極合剤ペーストを、100メッシュの網を通過させて大きなものを取り除き、厚さが15μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に均一に塗布し、乾燥したのち、圧縮成形して、密度が3.4g/cm3 の正極合剤層を形成した。切断後、アルミニウム製のリード体を溶接し、帯状の正極を作製した。
【0048】
<負極の作製>
負極活物質としての黒鉛系炭素材料95部を、あらかじめN−メチル−2−ピロリドンに溶解させたポリフッ化ビニリデン5部(固形分換算)と混合して、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを、厚さが10μmの銅箔からなる負極集電体の両面に均一に塗布し、乾燥したのち、圧縮成形して、密度が1.6g/cm3 の負極合剤層を形成した。切断後、ニッケル製のリード体を溶接し、帯状の負極を作製した。
【0049】
<電解液の調製>
メチルエチルカーボネートとエチレンカーボネートとを体積比2:1で混合した混合溶媒に、電解質としてLiPF6 を1.2モル/リットル溶解させて、電解液を調製した。
【0050】
<非水二次電池の作製>
上記の正極と負極とを、それぞれの乾燥処理後、両極間に厚さが25μmの微孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータを介して、重ね合わせ、渦巻状に巻回して、巻回構造の電極体とした。これを袋状のアルミラミネートフィルム内に挿入し、上記の電解液を注入したのち、真空封止を行い、その状態で一晩室温放置し、正極、負極およびセパレータに電解液を十分に含浸させて、非水二次電池を作製した。
【0051】
実施例2
正極の作製にあたり、結着剤として、ポリフッ化ビニリデン(重量平均分子量31万)0.2部と、ポリフッ化ビニリデン(重量平均分子量71万)1.8部とを、使用した以外は、実施例1と同様にして、正極を作製した。なお、正極合剤ペーストの固形分濃度は64重量%であった。この正極を用いて、実施例1と同様にして、非水二次電池を作製した。
【0052】
実施例3
正極の作製にあたり、結着剤として、ポリフッ化ビニリデン(重量平均分子量31万)1部と、ポリフッ化ビニリデン(重量平均分子量71万)1部とを、使用した以外は、実施例1と同様にして、正極を作製した。なお、正極合剤ペーストの固形分濃度は67重量%であった。この正極を用いて、実施例1と同様にして、非水二次電池を作製した。
【0053】
実施例4
正極の作製にあたり、結着剤として、ポリフッ化ビニリデン(重量平均分子量31万)1.4部と、ポリフッ化ビニリデン(重量平均分子量71万)0.6部とを、使用した以外は、実施例1と同様にして、正極を作製した。なお、正極合剤ペーストの固形分濃度は69重量%であった。この正極を用いて、実施例1と同様にして、非水二次電池を作製した。
【0054】
実施例5
正極の作製にあたり、結着剤として、ポリフッ化ビニリデン(重量平均分子量31万)1.6部と、ポリフッ化ビニリデン(重量平均分子量71万)0.4部とを、使用した以外は、実施例1と同様にして、正極を作製した。なお、正極合剤ペーストの固形分濃度は70重量%であった。この正極を用いて、実施例1と同様にして、非水二次電池を作製した。
【0055】
実施例6
正極活物質であるLiCoO2 の97部、導電助剤である黒鉛およびカーボンブラックの2部を、ミキサーを用いて均一に混合し、さらに結着剤として、あらかじめN−メチル−2−ピロリドンに溶解させたポリフッ化ビニリデン(重量平均分子量31万)を0.5部(固形分換算)加えて、混合した。その後、あらかじめN−メチル−2−ピロリドンに溶解させたポリフッ化ビニリデン(重量平均分子量125万)を0.5部(固形分換算)加えて、混合し、正極合剤ペーストを調製した。このペーストの固形分濃度は66重量%であった。
このペーストを用いて、実施例1と同様にして、正極を作製した。また、この正極を用いて、実施例1と同様にして、非水二次電池を作製した。
【0056】
比較例1
正極活物質であるLiCoO2 の94部、導電助剤である黒鉛およびカーボンブラックの2部を、ミキサーを用いて均一に混合し、さらに結着剤として、あらかじめN−メチル−2−ピロリドンに溶解させたポリフッ化ビニリデン(重量平均分子量31万)を4部(固形分換算)加えて、混合し、正極合剤ペーストを調製した。このペーストの固形分濃度は67重量%であった。
このペーストを用いて、実施例1と同様にして、正極を作製した。また、この正極を用いて、実施例1と同様にして、非水二次電池を作製した。
【0057】
比較例2
正極活物質であるLiCoO2 の96部、導電助剤である黒鉛およびカーボンブラックの2部を、ミキサーを用いて均一に混合し、さらに結着剤として、あらかじめN−メチル−2−ピロリドンに溶解させたポリフッ化ビニリデン(重量平均分子量31万)を2部(固形分換算)加えて、混合し、正極合剤ペーストを調製した。このペーストの固形分濃度は70重量%であった。
このペーストを用い、実施例1と同様にして、正極を作製してみた。しかし、圧縮成形時に正極合剤層が正極集電体から剥離したため、正極を作製できなかった。このため、非水二次電池の作製もできなかった。
【0058】
比較例3
正極活物質であるLiCoO2 の96部、導電助剤である黒鉛およびカーボンブラックの2部を、ミキサーを用いて均一に混合し、さらに結着剤として、あらかじめN−メチル−2−ピロリドンに溶解させたポリフッ化ビニリデン(重量平均分子量71万)を2部(固形分換算)加えて、混合し、正極合剤ペーストを調製した。このペーストの固形分濃度は64重量%であった。
このペーストを用いて、実施例1と同様にして、正極を作製した。また、この正極を用いて、実施例1と同様にして、非水二次電池を作製した。
【0059】
比較例4
正極活物質であるLiCoO2 の97部、導電助剤である黒鉛およびカーボンブラックの2部を、ミキサーを用いて均一に混合し、さらに結着剤として、あらかじめN−メチル−2−ピロリドンに溶解させたポリフッ化ビニリデン(重量平均分子量125万)を1部(固形分換算)加えて、混合し、正極合剤ペーストを調製した。このペーストの固形分濃度は63重量%であった。
このペーストを用いて、実施例1と同様にして、正極を作製した。また、この正極を用いて、実施例1と同様にして、非水二次電池を作製した。
【0060】
上記の実施例1〜6および比較例1,3,4の各非水二次電池の正極に関し、正極合剤層の細孔比表面積(水銀圧入法による直径0.1〜3μmの気孔の比表面積)を調べた。この結果を、正極合剤層の結着剤である2種のポリフッ化ビニリデン(▲1▼,▲2▼)の重量平均分子量とその重量比、ならびに正極活物質/結着剤の重量組成とともに、表1に、まとめて示した。
【0061】
Figure 2004079327
【0062】
つぎに、上記の実施例1〜6および比較例1,3,4の各非水二次電池について、下記の方法により、大電流放電特性および充放電を繰り返した際の電池容量を測定した。これらの結果を、表2に示した。
【0063】
<大電流放電比の測定>
充電を、1C(1時間率)の電流制限回路を設けて、4.2Vの定電圧で2時間行い、放電を、電池の電極間電圧が3Vに低下するまで、0.2Cおよび2Cの定電流で行った。その放電容量の比(2C/0.2C)を求め、これを大電流放電比とした。
【0064】
<電池容量の測定>
充電を、1Cの電流制限回路を設けて、4.2Vの定電圧で2時間行い、放電を、電池の電極間電圧が3Vに低下するまで、1Cの定電流で行った。比較例1の充放電における1サイクル目の放電容量を100%とし、実施例1〜6および比較例3,4については、その相対値として求めた。また、100サイクル目の放電容量についても、上記と同様に、比較例1の充放電における1サイクル目の放電容量を100%とした相対値を求めた。
【0065】
Figure 2004079327
【0066】
上記の表1および表2の結果から明らかなように、正極合剤層の結着剤として重量平均分子量31万および71万の2種のポリフッ化ビニリデンを使用した実施例1〜5の非水二次電池、その中でも、とくに実施例2〜4の非水二次電池は、これらの結着剤を単独で使用した比較例1,3の非水二次電池に比べて、正極合剤層の細孔比表面積が大きく、すぐれた大電流放電特性を示しており、しかも100サイクル目の放電容量が高く、充放電サイクルを重ねても電池容量の減少が少ない高容量の電池であることがわかる。
【0067】
また、正極合剤層の結着剤として重量平均分子量125万のポリフッ化ビニリデンだけを使用して作製した比較例4の非水二次電池は、比較例1,3の非水二次電池と比べて、合剤成分の分散性が悪く、細孔比表面積がさらに小さくなり、大電流放電特性およびサイクル特性に劣ったものとなるが、上記高分子量のポリフッ化ビニリデンとともに、重量平均分子量31万のポリフッ化ビニリデンを併用し、この低分子量のポリフッ化ビニリデン中にあらかじめ活物質などを分散させて作製した実施例6の非水二次電池は、比較例4の上記欠点を克服でき、すぐれた充放電特性を有する高容量の電池となることがわかる。
【0068】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、結着剤として重量平均分子量の異なる2種のポリフッ化ビニリデンを使用し、相対的に低分子量のポリフッ化ビニリデンを溶解させた溶液中に活物質や導電助剤などを混合分散させ、これに相対的に高分子量のポリフッ化ビニリデンを溶解させた溶液を加えて混合分散させて、正極合剤ペーストを調製するという手法を採用したことにより、細孔比表面積が大きく、高活物質量、高密度で大電流放電特性およびサイクル特性にすぐれた、つまり高容量でかつ充放電特性にすぐれた非水二次電池を提供することができる。

Claims (10)

  1. 正極集電体に正極活物質、導電助剤および結着剤を含有する正極合剤層を設けてなる非水二次電池用正極において、上記の正極合剤層は、結着剤として重量平均分子量の異なる少なくとも2種のポリフッ化ビニリデンを含有し、かつ水銀圧入法による直径0.1〜3μmの気孔の比表面積が1m/g以上であることを特徴とする非水二次電池用正極。
  2. 正極合剤層は、水銀圧入法による直径0.1〜3μmの気孔の比表面積が1.5m/g以上である請求項1に記載の非水二次電池正極。
  3. 重量平均分子量の異なる少なくとも2種のポリフッ化ビニリデンは、重量平均分子量10万以上50万未満の低分子量ポリフッ化ビニリデンと、重量平均分子量50万以上150万未満の高分子量ポリフッ化ビニリデンとからなる請求項1または2に記載の非水二次電池正極。
  4. 低分子量ポリフッ化ビニリデンと高分子量ポリフッ化ビニリデンとの重量比が5:95〜80:20、両者の合計量が正極合剤層全体の0.5〜5重量%である請求項3に記載の非水二次電池用正極。
  5. 低分子量ポリフッ化ビニリデンと高分子量ポリフッ化ビニリデンとの重量比が10:90〜70:30、両者の合計量が正極合剤層全体の1〜3重量%である請求項3に記載の非水二次電池用正極。
  6. 正極活物質は、リチウムコバルト酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムニッケル酸化物の中から選ばれた少なくとも1種であり、その量が正極合剤層全体の95重量%以上である請求項1〜5のいずれかに記載の非水二次電池用正極。
  7. 正極合剤層は、密度が3.2g/cm3 以上である請求項1〜6のいずれかに記載の非水二次電池用正極。
  8. 正極合剤層は、密度が3.4g/cm3 以上である請求項1〜6のいずれかに記載の非水二次電池用正極。
  9. 結着剤として、重量平均分子量の異なる少なくとも2種のポリフッ化ビニリデンを使用し、最初に、相対的に低分子量のポリフッ化ビニリデンを有機溶媒に溶解させた溶液中に正極活物質と導電助剤を加えて混合分散し、つぎに、相対的に高分子量のポリフッ化ビニリデンを有機溶媒に溶解させた溶液を上記の混合分散液に加えてさらに混合分散して、正極合剤ペーストを調製し、このペーストを正極集電体に塗布し乾燥したのち、圧縮成形することにより、請求項1〜8のいずれかに記載の非水二次電池用正極を製造することを特徴とする非水二次電池用正極の製造方法。
  10. 正極、負極および電解質を有する非水二次電池において、上記の正極は、請求項1〜8のいずれかに記載の非水二次電池用正極からなることを特徴とする非水二次電池。
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