JP3389377B2 - 乳糖含有量の少ない発酵乳の製造方法 - Google Patents

乳糖含有量の少ない発酵乳の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乳糖含有量の少な
い発酵乳の製造方法に関するものである。さらに詳しく
は本発明は、活性の至適pHが中性領域であり且つ酸性
領域で失活するラクターゼを用いて、該発酵の前および
/または途中において乳糖の分解を行い、発酵の進行に
伴うpH降下でラクターゼを失活させることを特徴とす
る、乳糖含有量の少ない発酵乳の製造方法に関するもの
である。乳製品には本来的に乳糖が含有されており、例
えば牛乳には、通常4.5%の乳糖が含有されている。
このため、乳糖不耐症体質者が乳糖含有量の多い乳製品
を摂取した場合、乳糖が原因で腹痛、下痢、腹部の膨張
感といった症状が起こることがある。そのため、乳を乳
酸あるいは酵母発酵させて乳糖をある程度分解した発酵
乳を摂取することは、乳糖不耐症体質者にとって上記の
症状を軽減するのに有効であると考えられる。しかしな
がら、乳をそのまま乳酸菌あるいは酵母発酵させた場
合、分解される乳糖量は20%程度と低いため、乳糖不
耐症体質者によっては上記の症状を軽減することも不可
能な場合もある。そこで、乳糖分解率を高めるため別途
ラクターゼ処理で乳糖分解を行い、乳糖不耐症体質者に
も容易に摂取出来る発酵乳を製造することがなされてい
る。
【0002】
【従来の技術】従来の乳糖分解した発酵乳の製造方法
は、殺菌前の乳にラクターゼを添加して乳糖の分解を
行なった後、乳の加熱殺菌と同時にラクターゼを失活さ
せてから乳を発酵させる方法(特開平5−501197
号公報)、殺菌乳にラクターゼを添加して乳糖の分解
を行なった後、加熱処理によってラクターゼを失活させ
てから乳を発酵させる方法、固定化したラクターゼで
乳中の乳糖を分解した後、乳を発酵させる方法(特開昭
46−105593号公報、特開昭59−162833
号公報)、予め乳糖分解もしくは乳糖除去した原材料
を殺菌乳に用いて発酵させる方法等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記した従来の方法
で、殺菌前の乳にラクターゼを添加する方法は、従来
の発酵時間以外に乳糖分解に要する時間が必要で作業効
率が悪く、さらには、殺菌前の乳をある時間保持するた
め雑菌汚染の可能性も考えられる。殺菌乳にラクター
ゼを添加して乳糖の分解を行なった後、加熱処理によっ
てラクターゼを失活させる方法も、やはり発酵時間以外
に乳糖分解に要する時間と2回の加熱処理に要する時間
が必要で作業効率が悪く、さらには経済的にも望ましく
ない。また、ラクターゼの失活が十分でない場合は、製
品流通時などにラクターゼが乳糖をさらに分解し、その
結果生ずるブドウ糖、ガラクトース等により製品の風味
が変化するおそれがある。固定化したラクターゼを用
いる方法は、固定化したラクターゼの活性維持及び無菌
化等のメンテナンスが煩瑣で、経済的に問題がある。
予め乳糖分解もしくは乳糖除去した原材料を殺菌乳に用
いる方法は、従来の原材料に比べて価格が高く経済的に
望ましくない。本発明等は、上記の課題を解決するため
鋭意研究を進めた結果、ラクターゼ失活のために特別の
加熱工程を経ることなく、発酵によりpHが低下するこ
とによりラクターゼを失活させることにより、雑菌汚染
の防止はもちろんのこと、作業効率面、経済面で優れ、
糖分解率のコントロールが容易な方法を見いだし、本発
明に至ったものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、乳糖
を含有する乳を乳酸菌あるいは酵母により発酵させる発
酵乳の製造方法において、活性の至適pHが中性領域で
あり且つ酸性領域で失活するラクターゼを用いて、該発
酵の前および/または途中において乳糖の分解を行い、
発酵の進行に伴うpH降下でラクターゼを失活させるこ
とを特徴とする、乳糖含有量の少ない発酵乳の製造方法
を提供することにより、前記の課題を解決するものであ
る。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明は発酵乳原料中の乳糖をラ
クターゼを使用して分解する方法で、活性の至適pHが
中性領域で且つ酸性領域で失活するラクターゼを殺菌乳
に添加することで乳糖を分解し、ラクターゼの失活処理
を乳の乳酸あるいは酵母発酵によるpH降下を利用して
行うことを特徴とするものである。そして、この方法は
従来の発酵工程にラクターゼ添加を追加するだけである
ため、わざわざ乳糖の分解のみに費やす時間を設けたり
ラクターゼの失活に加熱処理工程を追加することがない
ため作業効率面、経済面で優れており、且つ乳糖分解率
の設定をラクターゼの添加時期及び添加量で容易にコン
トロール出来、且つ風味が優れている発酵乳である。ま
た、乳糖を分解することで発酵乳の甘味が増強され、甘
味素材の使用量低減化を図れることから経済的な効果も
期待される。
【0006】(使用するラクターゼ)本発明において使
用されるラクターゼは、細菌あるいは酵母由来のもの
で、活性の至適pH6.3〜7.5、至適温度30〜50
℃であり、かつ失活pH6.0〜4.0の特性を持つもの
が使用される。これらに適するラクターゼとしては、Kl
uyveromyces Lactis、Kluyveromyces Fragilis、Asperg
illus niger、およびAspergillus oryzae 由来のラクタ
ーゼ等があるが、最も好ましくは Kluyveromyces Lacti
s、Kluyveromyces Fragilis 由来のラクターゼである。
【0007】(ラクターゼ添加の時期)乳の発酵におい
てラクターゼを添加する時期には、大別して次の態様が
考えられる。 発酵に用いるスターターと同時に殺菌乳にラクターゼ
を添加して乳糖分解と乳の発酵を平行して行う方法、
予め殺菌乳にラクターゼを添加し、ある程度乳糖を分解
させた後にスターターを添加して乳を発酵させる方法、
スターターを添加して、ある程度乳を発酵させた後に
ラクターゼを添加する方法の3通りがある。いずれの方
法も、ラクターゼの失活を乳の発酵によるpH降下で行
うことを特徴とするものである。このように、ラクター
ゼによる乳糖分解と乳酸発酵を平行して行うことで、ラ
クターゼの加熱失活工程が不要となり、作業効率の向上
が図れる。
【0008】
【作用】殺菌乳にスターターと活性の至適pHが中性領
域で且つ酸性領域で失活するラクターゼを添加すると、
乳糖分解及び乳の発酵は経時的に進行する。乳酸あるい
は酵母発酵が進行するとpHが徐々に降下するため、ラ
クターゼが失活してラクターゼによる乳糖分解は停止す
る。この現象を利用して乳糖分解を行えば、ラクターゼ
とシードの添加順序あるいはラクターゼ添加量を調整す
ることで目標とする乳糖分解率の設定が容易に出来る。
通常の発酵のみによる発酵乳における乳糖分解率は、約
30%であるが、本発明の方法によれば、任意の分解率
を達成することができる。すなわち、pH降下が速いシ
ードを用いた場合は予めラクターゼを添加してある程度
乳糖分解させてから乳を発酵させる、もしくはラクター
ゼ添加量を多くする等か考えられ、逆にpH降下が遅い
シードを用いた場合は予めシードを添加してある程度発
酵させてからラクターゼを添加する、もしくはラクター
ゼ添加量を少なくする等が考えられ、いずれの方法も目
標とする乳糖分解率の設定が容易に出来ることになる。
また、乳糖を分解した発酵乳は甘味が増強されるため、
甘味素材を添加する製品においてはその使用量を低減化
出来る。
【0009】
【試験例】
試験例 以下に試験例を示して本発明を詳述する。 (1) 試験例−1 この試験は、添加するラクターゼの
力価を調べるために行なった。 〔酵素利用ハンドブック((株)地人書館)参照〕 原理 ラクターゼをONPG(o-Nitrophenyl-D-galactopyann
oside)に作用させ、ONP(o-Nitrophenol)とガラク
トースに分解し、生じたONPを測定する。 単位の力価 ラクターゼがONPGにpH6.5、30℃で作用する
時、1分間に反応溶液中に1μmlのONPを生成するラ
クターゼ量を1単位とする。
【0010】 試薬 1) 0.1M pH6.5リン酸緩衝液(10-4MのMn
Cl2を含む):リン酸1ナトリウム溶液にリン酸2ナ
トリウム溶液を加えてpH6.5に調整する。 塩化マンガン溶液 :塩化マンガン4水和物1.9
79gを水に溶かし100mlとする リン酸1ナトリウム溶液:リン酸1ナトリウム2水和物
15.601gを水に溶かし、塩化マンガン溶液1mlを
加えて1リットルとする。 リン酸2ナトリウム溶液:リン酸2ナトリウム12水和
物35.814gを水に溶かし、塩化マンガン溶液1ml
を加えて1リットルとする。 2) 0.02M pH6.5リン酸緩衝液(10-4MのM
nCl2を含む):リン酸1ナトリウム溶液にリン酸2
ナトリウム溶液を加えてpH6.5に調整する。 リン酸1ナトリウム溶液:リン酸1ナトリウム2水和物
15.601gを水に溶かし、塩化マンガン溶液1mlを
加えて1lとする。 リン酸2ナトリウム溶液:リン酸2ナトリウム12水和
物35.814gを水に溶かし、塩化マンガン溶液1ml
を加えて1lとする。 3) 1M炭酸ナトリウム溶液:炭酸ナトリウム(無水)
10.599gを水に溶かして100mlとする。 4) ONPG溶液:ONPG0.172gに0.1Mリン
酸緩衝液を70ml加え、沸騰水浴中で加温して溶解す
る。これを常温まで冷却し、0.1Mリン酸緩衝液で1
00mlとする。
【0011】 試料の調製 ラクターゼ(Kluyveromyces Lactis から抽出:ナガセ
生化学工業(株)を0.02Mリン酸緩衝液(pH6.
5)で0.1〜0.2/mlの濃度に希釈する。 ONP検量線の作成 0.1Mリン酸緩衝液:3.5ml、0.02Mリン酸緩衝
液:0.5ml、1M炭酸ナトリウム溶液1.0mlの混合溶
液でONPを溶解し、0.1,0.2,0.3,0.4μml
の濃度になる様に希釈し、それぞれの溶液について、波
長(420nm)の吸光度を測定して検量線を作成す
る。吸光度1.000に対するONP濃度(fμmol/m
l)を求める。
【0012】 測定方法 1) 試料液 試験管にONPG溶液を3.5ml採取し、30℃の恒温
水槽で3分間保温した後、予め30℃に保温したラクタ
ーゼ溶液0.5mlを加え直ちに振り混ぜる。この液を3
0℃で正確に10分間反応させた後、1M炭酸ナトリウ
ム溶液1mlを加えて振り混ぜ、直ちに氷水中で冷却して
反応を停止させる。 2) ブランク 試験管にONPG溶液を3.5ml採取し、1M炭酸ナト
リウム溶液1mlを加えて振り混ぜ、更にラクターゼ溶液
0.5mlを加えて振り混ぜ、直ちに氷水中で冷却する。
【0013】3) 計算方法 下記の計算式から算出する。 力価(U/ml)=(AS−AB)×f×5×1/10×D
×2 AS:試料液の吸光度 AB:ブランクの吸光度 f :吸光度1.000に対するONP濃度(μmol/m
l) D :ラクターゼの希釈倍率
【0014】(2) 試験例−2 この試験は、添加する
ラクターゼの特性を調べるために行なった。 1) pHと乳糖分解率(pHとラクターゼの失活) UHT加熱処理(120℃、3秒)して34℃に保持し
た殺菌乳(脱脂粉乳溶解、乳固形分23%、乳糖含有率
12.2%)を50%クエン酸溶液でpHを調整し、2
倍希釈して0.45μのフィルターを通した酵母(Kluyv
eromyces Lactis)由来のラクターゼ(力価10000
U/ml(前記試験例−1の測定法による結果))1.5
U/殺菌乳1ml添加した。そして、0、24時間後の糖
組成をHPLCで測定し、乳糖分解率を算出した。結果
は表1に示すように、活性の至適pHは6.5であり、
pH5.5以下で失活することが判った。そして、この
ラクターゼ特性は中性領域の殺菌乳で活性が高く、発酵
によるpH降下で失活することが判った。
【0015】
【表1】 表1 pHと乳糖分解率 pH 5.5 6.0 6.5 7.0 8.0 分解率(%) 0 82 100 75 32
【0016】2) 反応温度と乳糖分解率 UHT加熱処理(120℃、3秒)したpH6.4の殺
菌乳(脱脂粉乳溶解、乳固形分23%)に2倍希釈して
0.45μのフィルターを通した酵母(Kluyveromyces L
actis)由来のラクターゼ(力価10000U/ml)0.
5U/殺菌乳1ml添加した。そして、0、24時間後の
糖組成をHPLCで測定し、乳糖分解率を算出した。結
果を表2に示すように、活性の至適温度が40℃であ
り、それを境界にして上下限界とも乳糖分解率が低下す
ることが判った。このラクターゼ特性は発酵温度である
30〜40℃の範囲では活性が高いことが判った。
【0017】
【表2】 表2 反応温度と乳糖分解率 温度(℃) 20 30 35 40 45 50 分解率(%) 45 65 83 100 78 20
【0018】3) 発酵乳におけるラクターゼ添加量と乳
糖分解率 UHT加熱処理(120℃、3秒)した殺菌乳(脱脂粉
乳溶解、乳固形分23%)に2倍希釈して0.45μの
フィルターを通した酵母(Kluyveromyces Lactis)由来
のラクターゼ(力価10000U/ml)を0.5〜2.0
U/殺菌乳1ml及び2種類の混合スターター(Str.ther
mophlus, L.casei)0.25%(v/v)を添加した。
そして、発酵乳がpH4.4に到達した後の糖組成をH
PLCで測定し、乳糖分解率を算出した。結果を表3に
示すように、ラクターゼ添加量を多くするに従い乳糖分
解率は高くなる。このラクターゼ特性は乳糖分解率の設
定をコントロールする場合に重要な示唆を与える。
【0019】
【表3】 表3 ラクターゼ添加量と乳糖分解率 添加量(U) 0.5 0.7 0.9 1.1 1.3 1.5 1.9 分解率(%) 44 52 61 66 69 72 77
【0020】
【実施例】以下に実施例を示して本発明を詳述するが、
本発明は以下の実施例に限定されるものではない。 (1) 実施例−1 UHT加熱処理(120℃、3秒)した殺菌乳(脱脂粉
乳溶解、乳固形分25%、400l)を34℃に保持
し、0.45μのフィルターを通した酵母(Kluyveromyc
es Lactis)由来のラクターゼ(至適pH6.5、至適温
度40℃、失活pH5.5、力価10000U/ml)1.
5U/殺菌乳1ml及び2種類の乳酸菌(Str.thermophil
us, L.casei)0.25%(v/v)を同時に添加し、乳
糖分解処理及び発酵を行なった。そして、この実験から
下記の表4に示したpH及び乳糖分解率の経時変化を得
た。この結果から、発酵乳に含まれる乳糖は約70%分
解された。一方、比較のために、ラクターゼを添加しな
いで同様の発酵を行ったところ、表4の対照試験に示す
ように乳糖の分解率は29%でしかなかった。
【0021】
【表4】
【0022】(2) 実施例−2 加熱処理(100℃、5分)した殺菌乳(脱脂粉乳溶
解、乳固形分25%、400l)を34℃に保持し、こ
の殺菌乳に0.45μのフィルターを通した酵母(Kluyv
eromyces Lactis)由来のラクターゼ(至適pH6.5、
至適温度40℃、失活pH5.4、力価10000U/m
l)を1.5U/殺菌乳1ml添加して2時間反応させてあ
る程度乳糖を分解した後、2種類の乳酸菌(Str.thermo
philus,L.casei)0.25%(v/v)を添加し、乳糖
分解処理及び発酵を行なった。そして、この実験から下
記の表5に示したpH及び乳糖分解率の経時変化を得
た。この結果から、発酵乳に含まれる乳糖は約80%分
解された。
【0023】
【表5】
【0024】(3) 実施例−3(酵母併用の実施例) 加熱処理(100℃、5分)した殺菌乳(脱脂粉乳溶
解、乳固形分15%、400l)を30℃に保持し、こ
の殺菌乳に0.45μのフィルターを通した酵母(Kluyv
eromyces Lactis)由来のラクターゼ(至適pH6.5、
至適温度40℃、失活pH5.5、力価10000U/m
l)を1.5U/殺菌乳1ml、乳酸菌(Str. lactis)を
0.5%(w/w)添加し、乳糖分解処理及び発酵を行
なった。殺菌乳のpHが4.35に到達した後に予め殺
菌(100℃、5分)した砂糖溶液(40%)を100
リットルおよびシロップ溶液(果汁30%、ペクチン
0.6%)を250リットル添加して合計1000リッ
トルとした。そして、30℃に保持したこの原料に酵母
(Saccharomyces unisporus)を0.2%(w/w)添加
して酵母培養を行った。この結果、発酵乳原料に含有さ
れていた乳糖は、約70%分解された。
【0025】(4) 実施例−4 上記、実験例−1で製造したラクターゼ処理発酵乳とラ
クターゼを添加せずに製造した発酵乳を、無脂乳固形分
8%まで希釈して製品を製造し、ラクターゼを添加せず
に製造した発酵乳に砂糖を添加してラクターゼ処理発酵
乳と同等の風味になる砂糖の量を調べ、ラクターゼ処理
によって増加する甘味を確認した。その結果、ラクター
ゼ処理をした製品は、ラクターゼ無添加製品1リットル
に対して砂糖を4g添加したものに匹敵する甘味になる
ことが分かった。
【0026】(5) 実施例−5 上記、実験例−1で製造したラクターゼ処理発酵乳とラ
クターゼを添加せずに製造した発酵乳をそれぞれ用い
て、表6、表7の処方で製品を製造し、風味及び理化学
性状(酸度、菌数)を比較した。
【0027】
【表6】
【0028】
【表7】
【0029】
【表8】
【0030】その結果、風味及び理化学性状で乳糖分解
処理した製品としない製品の間で差がなかった。
【0031】
【発明の効果】本発明は上記のように構成したので、殺
菌乳にラクターゼとスターターを同時に添加、あるいは
スターター添加の前後にラクターゼを添加して乳糖を分
解した発酵乳は、ラクターゼの失活を乳の発酵によるp
H降下で行えることから、製造面で雑菌汚染の防止はも
ちろんのこと、作業効率面、経済面で優れており、且
つ、ラクターゼの添加時期及び添加量の調整で乳糖分解
率の設定を容易にコントロールすることができる。ま
た、ラクターゼ処理を行なった発酵乳は、甘味が増強す
るため風味調整として添加する甘味素材の使用量低減化
を図れることから、経済的に優れた発酵乳の製造方法を
提供する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 太江田 美香 東京都港区東新橋1丁目1番19号 株式 会社ヤクルト本社内 (72)発明者 久間 嘉晴 東京都港区東新橋1丁目1番19号 株式 会社ヤクルト本社内 (56)参考文献 特開 昭59−162833(JP,A) 特開 平5−344841(JP,A) 特開 平2−303450(JP,A) 特表 平5−501197(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23C 9/00 - 9/16

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳糖を含有する乳を乳酸菌あるいは酵母
    により発酵させる発酵乳の製造方法において、活性の至
    適pHが中性領域であり且つ酸性領域で失活するラクタ
    ーゼを用いて、該発酵の前および/または途中において
    乳糖の分解を行い、発酵の進行に伴うpH降下でラクタ
    ーゼを失活させることを特徴とする、乳糖含有量の少な
    い発酵乳の製造方法。
  2. 【請求項2】 pH6.0〜4.0の範囲で失活するラク
    ターゼを使用する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 ラクターゼとして、Kluyveromyces Lact
    is または Kluyveromyces Fragilis 由来のラクターゼ
    を使用する請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 発酵乳がpH4.0以下である、請求項
    1ないし3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項に記載
    の方法により製造された発酵乳。
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