JP5719741B2 - 低糖発酵乳の製造方法 - Google Patents

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本発明は、乳糖等の糖の含量が低減された発酵乳(低糖発酵乳)の製造方法に関する。
発酵乳は、様々な生理的作用が知られている乳酸菌等のプロバイオティクスを含む食品として、注目されている。
近年では、脂肪の摂取を抑えるために、発酵乳中の脂肪分を低減乃至は実質的に除去した低脂肪タイプ又は無脂肪タイプのものなど、消費者の幅広いニーズに応える様々な製品が開発されている。
ところで、発酵乳の原料となる乳や脱脂乳等に含まれる糖質のほとんどは乳糖である。乳糖を含む乳製品を摂取した場合には、乳糖は消化管内においてβ−D−ガラクトシダーゼ(ラクターゼ)の作用によって、グルコースとガラクトースに分解されて吸収される。しかしながら、消化管内のラクターゼの働きが弱い人においては、摂取した乳糖が分解されず、腹痛、軟便、下痢等の症状を引き起こす。この症状は、低ラクターゼ症、又は乳糖不耐症と呼ばれている。
従来、低ラクターゼ症、又は乳糖不耐症の人に対しても重大な症状を引き起こすことなく食することができる乳製品、又はそのような乳製品を製造する方法が開発されている。
特許文献1には、原料乳の乳糖を含む膜透過液から部分的またはほぼ完全に乳糖を除去した乳糖除去透過液を膜濃縮液に還流することにより得られ、脂肪を除く固形量基準で乳糖含量が53重量%以下であることを特徴とする低乳糖乳製品が記載されている。
特許文献2には、ラクトースを含まない乳製品を製造するための方法として、a)ミルクを限外ろ過すること、b)限外ろ過で得られるUF濾液をナノろ過すること、c)逆浸透により、ステップb)で得られるNF濾液を濃縮すること、d)ステップc)で得られるRO保持液を、UF保持液に添加される塩として使用すること、が記載されている。
特許文献3には、1)無脂乳固形分(SNF)と乳脂肪分(Fat)を調製した調整乳を冷却する、2)上記1)の調整乳に乳糖分解酵素を添加して酵素処理する、3)上記2)を加熱均質化し、殺菌して酵素を失活する、工程を含むラクトース含量と無脂乳固形分含量が特定の範囲に調整された牛乳風味を有する乳飲料が記載されている。
発酵乳の製造に関しては、特許文献4に、活性の至適pHが中性領域であり且つ酸性領域で失活するラクターゼを用いて、該発酵の前および/または途中において乳糖の分解を行い、発酵の進行に伴うpH降下でラクターゼを失活させることを特徴とする、乳糖含有量の少ない発酵乳の製造方法が記載されている。
また、特許文献5には、特許文献4に記載の方法において、発酵工程の前に、原料乳を脱酸素処理することが記載されている。
他方、特許文献6には、高粘度で濃厚感のある、食感が滑らかで、後味の良い発酵乳を製造することを目的として、発酵乳の製造の際に、カード形成後、膜処理することを特徴とするソフトタイプの発酵乳の製造方法が開示されている。
特開平6−303900号公報 国際公開第2003/094623号パンフレット 国際公開第2010/035729号パンフレット 特開平9−84520号公報 国際公開第2010/098086号パンフレット 特開2005−318855号公報
乳糖等の糖の含量を低減させた、いわゆる低糖発酵乳を製造するために、例えば、特許文献1〜3に記載されるような膜濃縮や乳糖の酵素分解の技術を用いて乳糖を低減、乃至は除去した原料を用い、発酵乳を製造することが考えられる。しかしながら、このような原料を用いた場合には、得られる製品には必要な酸味が不足し、かつカルシウムが有する独特の苦味(エグ味)が強くなり、良好な風味が得られない。
また、特許文献4や5に記載されるような発酵乳の製造方法により、低糖発酵乳を製造することは可能となったが、このような方法は、乳酸菌による発酵とラクターゼによる分解の厳密な制御を要したり、脱酸素の工程を要したりするものであり、必ずしも簡便な方法ではない。
このような状況において、低糖発酵乳を製造するための他の方法が模索されていた。
そこで、本発明は、従来とは異なる低糖発酵乳の製造方法を提供することを課題とする。具体的には、本発明は、特に、適度な酸味があり、苦味(エグ味)を感じさせない、良好な風味を有する低糖発酵乳を提供することを課題とする。
本発明において「低糖発酵乳」とは、乳糖等の糖の含量が、乳糖の除去を行う操作をすることなく調製された通常の発酵乳に対して低減されている発酵乳をいい、実質的に乳糖等の糖がほぼ除去されている発酵乳を含む概念(表記上の「無糖」の概念を含むもの)である。
本発明者は、発酵乳を製造する際の発酵乳原料である調乳液の乳糖含量を一定範囲に調整し、かつ蛋白質含量を一定以下として、発酵を行った後に、得られた発酵調乳液を濃縮する方法により、低糖発酵乳が製造できること、得られた発酵乳は、良好な酸味があり、苦味(エグ味)を感じさせない、良好な風味を有することを見出し、発明を完成させた。すなわち、本発明は以下のとおりである。
上記課題を解決するための本発明は、乳糖含量が0.7〜1.4質量%、蛋白質含量が3.9質量%以下である調乳液を発酵させて発酵調乳液を調製する工程、および調製した発酵調乳液を、無脂乳固形分が8質量%以上となるように濃縮する工程、を含む低糖発酵乳の製造方法、である。
このような製造方法によれば、乳糖含量が十分に低減された低糖発酵乳を容易に製造することができる。また、このような低糖発酵乳は良好な風味を有するものである。風味について、具体的には、良好な酸味を有し、苦味(エグ味)についても問題のない低糖発酵乳を製造することができる。
本発明において製造される低糖発酵乳の糖含量は、好ましくは0.5質量%以下である。このような低糖発酵乳は、例えば乳糖をほぼ含んでおらず、低ラクターゼ症、又は乳糖不耐症の人でも問題なく食することができる。また、糖の摂取を控えたい人にとっても有用である。
また、本発明において製造される低糖発酵乳のカルシウム含量は、好ましくは100gあたり100mg以下である。このような低糖発酵乳は、苦味(エグ味)がなく、極めて良好な風味を有する。
さらに本発明は、前記の製造方法によって製造される低糖発酵乳である。
また、本発明は、前記の低糖発酵乳を含有する低糖食品である。
本発明の低糖発酵乳の製造方法によれば、従来の発酵乳に比して、乳糖を含む糖が低減された低糖発酵乳を容易に製造することができる。特に、本発明の低糖発酵乳の製造方法によれば、適度な酸味があり、苦味(エグ味)を感じさせない、良好な風味を有する低糖発酵乳を製造することができる。
また、本発明の低糖発酵乳の製造方法によれば、従来の製造方法、すなわち乳糖を予め酵素分解する方法で発酵原料を調製する方法とは異なり、乳糖の分解によって得られる糖がほとんど生成されないので、いわゆる無糖タイプの発酵乳を容易に製造することができる。また、このような低糖発酵乳は、さまざまな食品原料と組み合わせることで、低糖或いは無糖タイプの低糖食品に加工することができる。
すなわち、低ラクターゼ症、乳糖不耐症の人のみならず、糖の摂取を控えたい人に対しても有用な製品を提供することが可能となる。また、消費者の嗜好性を考慮して甘味を調節することも容易となる。
本発明の低糖発酵乳の製造方法を示す概略図である。 実施例1の製造方法を示す工程図である。
図1は、本発明の低糖発酵乳の製造方法を示す概略図である。以下、本発明に用いられる原料や本発明における工程について詳しく説明する。
本明細書において、乳、乳製品に関する分類は、特に断らない限り、『乳及び乳製品の成分規格等に関する省令』(以下、「乳等省令」という。)に基づくものである。
本明細書において、「%」パーセントについての表示は、特に断らない限り、質量による表示である。
<調乳液>
本発明において、「調乳液」とは、成分が調整された液であって、本発明の製造方法において、乳酸菌による発酵の発酵乳原料に相当する。
調乳液に含まれる乳糖含量は、0.7〜1.4質量%が好ましく、0.8〜1.2質量%が特に好ましい。調乳液の乳糖含量をこの範囲としておくことで、乳酸菌による発酵を効率よく行うことができる。その結果、製造される発酵乳の糖含量を極めて低くすることができる。
また、前記調乳液において、蛋白質含量の上限は、3.9質量%、好ましくは3.6質量%である。蛋白質含量が3.9質量%以下の場合には、乳酸菌による発酵が効率よく進み、発酵乳に必要な酸味を得ることが容易となる。発酵乳に必要な酸味の目安としては、pHが5.0以下、好ましくはpHが4.2〜4.8程度である。蛋白質含量を上記のように調節することにより、通常の条件による発酵で、このpHを容易に達成できる。
また、蛋白質含量を上記のように調節することにより、苦味(エグ味)の問題も解決することができる。苦味(エグ味)の問題を引き起こさないカルシウム含量の目安としては、発酵乳100gあたり100mg以下である。
なお、前記調乳液は、発酵乳に必要なカードの形成の観点から、少なくとも蛋白質を含んでいなければならないことはいうまでもない。この観点から、調乳液に含まれる蛋白質含量の下限値は、好ましくは0.7質量%、さらに好ましくは1.0質量%である。
前記調乳液において、蛋白質と乳糖の含有比率は、質量比で好ましくは1:1〜6:1、さらに好ましくは1.2:1〜4.5:1である。蛋白質と乳糖の含有量をこのような比率とすることにより、乳酸菌による発酵を効率よく行うことができ、適度な酸味を有し、苦味(エグ味)についても問題のない低糖発酵乳を容易に製造することができる。
上述したように、乳糖含量と蛋白質含量が特定の範囲内にあれば、調乳液の残りの成分は、乳酸菌による発酵を妨げない限りにおいて任意に決定することができる。
調乳液における乳脂肪含量についても適宜調節することができるが、製造される低糖発酵乳において、乳の自然な風味を実現するためには、例えば、乳脂肪含量を0.3〜2.5質量%の範囲とすることが好ましい。
また、限外ろ過等の方法によって乳糖を除去する際に一緒に除去された灰分を調乳液に戻す等、従来知られている乳製品に対する加工処理を行ってもよい。
前記調乳液は、乳糖を一部、乃至は全部除去した原料を用いて製造することができる。例えば、乳糖を実質的に全部除去した乳原料に、乳糖を含む乳、脱脂濃縮乳、脱脂乳、クリーム等の乳製品、或いはこれらを任意に組み合わせて添加し、蛋白質含量と乳糖含量が上記の範囲となるように水等で希釈する方法が挙げられる。また、乳糖を実質的に全部除去した乳原料に、乳糖や蛋白質を添加して、これらの含量を調節し、蛋白質含量と乳糖含量が上記の範囲となるように水等で希釈する方法も挙げられる。また、乳糖を一部除去した脱脂濃縮乳を、蛋白質含量と乳糖含量が上記の範囲となるように水等で希釈する方法が挙げられる。
調乳液の調製方法の一形態を以下に示す。
まず、脱脂乳を原料とし、限外ろ過(UF)法等の膜分離法等により、低分子の乳糖を高分子の蛋白質や脂質と分離することで、原料から乳糖を実質的に全部除去した濃縮液を得る。このような濃縮液に、例えば、脱脂濃縮乳、クリーム及び水を添加し、乳糖含量及び蛋白質含量を調節する。
乳糖含量、乳脂肪含量、その他乳成分の含量は、乳等省令の「乳等の成分規格の試験法」に記載の各定量方法によって測定することができる。
蛋白質含量については、改良デュマ法によって測定することができる。
このようにして得られた調乳液は、発酵乳を製造する際に通常に行われる、均質化、殺菌、冷却等の各工程を経た後に、発酵工程に供される。
<発酵工程>
本発明では、上記調乳液に、乳酸菌を添加し、調乳液を発酵させて発酵調乳液を得る。本発明で用いられる乳酸菌としては、通常の発酵乳の製造に用いられるものを特段の制限なく用いることができる。例えば、ラクトコッカス(Lactococcus)属菌として、ラクトコッカス・ラクティス(L. lactis)、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・ラクティス(L. lactis subsp. lactis)、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・ラクティス・バイオバラエティ・ジアセチラクティス(L. lactis subsp. lactis biovar. diacetylactis)、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス(L. lactis subsp. cremoris)などの菌株が、ラクトバチルス(Lactobacillus)属菌として、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ラクティス(L. delbrueckii subsp. lactis)、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス(L. delbrueckii subsp. bulgaricus)(ラクトバチルス・ブルガリカス)、ラクトバチルス・ロイテリ(L. reuteri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(L. helveticus)などの菌株が、ストレプトコッカス(Streptococcus)属菌として、ストレプトコッカス・サリバリウス・サブスピーシーズ・サーモフィルス(S. salivarius subsp. thermophilus)(ストレプトコッカス・サーモフィラス)などの菌株が用いられる。
乳酸菌の添加量は、通常の範囲で適宜調節することができる。例えば、調乳液における菌濃度が、少なくとも1×105CFU/g程度、好ましくは少なくとも1×107CFU/g程度となるような量を添加することが好ましい。
また、乳酸菌に加えて、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属菌を用いることもできる。例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガム(B. longum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B. breve)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(B. bifidum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(B. infantis)などの菌株を用いることができる。
調乳液への菌の添加方法は特に制限されず、菌末の状態で添加することも、カルチャー(培養物)の状態で添加することもできる。
培養温度(発酵温度)は、乳酸菌が効率よく増殖する範囲であればよく、通常30〜50℃程度、好ましくは35〜43℃程度である。発酵は、乳酸菌が十分に増殖するまで行えばよく、通常、調乳液のpHが5.0以下になるまで、好ましくは、調乳液のpHが4.8以下になるまで、さらに好ましくは、調乳液のpHが4.2〜4.8程度になるまで行えばよい。発酵時間としては、35〜43℃程度の培養温度の場合、3〜10時間程度、好ましくは3〜6時間程度が目安となる。
このようにして得られた発酵調乳液は、通常の発酵乳を製造する際と同様に、必要に応じてカード破砕、均質化等の工程を経て、次の濃縮工程に供される。
<濃縮工程>
発酵工程の後、得られた発酵調乳液は、無脂乳固形分が8質量%以上となるように、蛋白質等の無脂乳固形分が濃縮される。この無脂乳固形分の条件は、乳等省令における「発酵乳」の成分規格に相当する。
濃縮は、限外ろ過(UF)法等の膜分離法により、主に水分を除去することにより行うことができる。
また、ろ過布を用いて、ホエーを除去する方法によって濃縮を行うことも可能である。
無脂乳固形分は、乳等省令の「乳等の成分規格の試験法」に記載の定量方法によって測定することができ、本発明においては、特に蛋白質含量、炭水化物含量、および灰分量の総和によって算出することができる。
また、濃縮倍率の目安としては、2〜8倍程度、好ましくは2〜4倍程度が挙げられる。
本発明の低糖発酵乳の製造方法においては、発酵工程の前の調乳液に対して、或いは濃縮工程の後の発酵乳に対して、任意の成分を添加してもよい。
上記の方法により得られた低糖発酵乳(本発明の発酵乳)は、乳糖を特に低減しない通常の方法で製造した発酵乳に比して、乳糖を含む糖の含量が低減されたものとなる。具体的には、糖含量が0.5質量%以下という、実質的にほぼ含有されていない無糖発酵乳とすることができる。
すなわち、乳糖の分解産物であるガラクトース及びグルコースを含む、糖類の合計含量を、0.5質量%以下とすることが好ましく、本発明の方法によればこのような無糖発酵乳を容易に製造することができる。
また、乳糖含量と蛋白質含量を特定の範囲に調節する上記の方法により得られた低糖発酵乳は、従来の乳糖を低減させた乳製品をそのまま発酵させた場合に比して、適度な酸味を有するものとなる。具体的には、pHを4.2〜4.8程度とすることができる。
また、上記の方法により得られた低糖発酵乳は、従来の乳糖を低減させた乳製品をそのまま発酵させた場合に比して、カルシウム含量が、低減したものとなる。具体的には、カルシウム含量を発酵乳100gあたり100mg以下とすることができる。
カルシウム含量は、試料を硝酸により湿式分解し、これをICP−MS法により測定することができる。
本発明によって製造された低糖発酵乳は、これを原料として使用して、低糖発酵乳を含有する低糖食品や、健康食品、機能性食品等を製造することが可能である。
例えば、1)アロエの生原料や、アロエの水煮原料に高甘味度甘味料、安定剤、酸味料、香料、ミネラル粉末などを加えて風味を調整したアロエプレザーブと、本発明の低糖発酵乳とを、プレザーブ30%、低糖発酵乳70%の割合で混合し、無糖アロエヨーグルトを製造することができる。
また、2)ナタデココ水煮原料に高甘味度甘味料、安定剤、酸味料、香料、ミネラル粉末などを加えて風味を調整したナタデココプレザーブと、低糖発酵乳とを、プレザーブ30%、低糖発酵乳70%の割合で混合し、無糖ナタデココヨーグルトを製造することができる。
また、3)ゲル化剤、寒天、こんにゃく粉などに高甘味度甘味料、酸味料、香料、色素などを加えて風味、色調を調整したゼリーと、本発明の低糖発酵乳とを、ゼリー25%、低糖発酵乳75%の割合で混合し、ゼリー入り無糖ヨーグルトを作ることができる。
さらに、前記1)〜3)の低糖食品を凍結させて、低糖(又は無糖)フローズンヨーグルトを製造することができる。
また、前記1)、2)に記載されるプレザーブをカップに充填し、プレザーブ層の上層に本発明の低糖発酵乳を積層して充填することにより、2層(多層)の無糖ヨーグルトを製造することができる。
上記のように製造された低糖発酵乳、低糖食品等は、80〜500ml容程度、好ましくは80〜250ml容程度の容器に充填し、密閉する。また、容器入りの製品は、通常10℃以下、好ましくは5℃以下で保存する。
[実施例1]
実施例1の製造方法について、図2に工程図を示す。なお、以降の実施例においても、各組成物の組成を除き、各工程は、図2を参照できる。
10リットルの脱脂乳(水分90.7%、脂肪0.1%、蛋白質3.5%、乳糖4.9%、灰分0.8%)を分画分子量10,000ダルトンの膜(旭化成ケミカルズ社製、膜面積0.12m2)を用いて平均透過流束31リットル/m2/hで限外ろ過(UF)処理(ダイアフィルトレーション)(20℃〜40℃)をし、UF濃縮液1.8リットル(水分78.8%、脂肪0.4%、蛋白質19.3%、乳糖0%、灰分1.5%)を得た。また、UF透過液は16.2リットル(水分96.8%、脂肪0%、蛋白質0.1%、乳糖2.8%、灰分0.3%)採取された。なお、ダイアフィルトレーションに用いる水の量は8リットルとした。
UF濃縮液292.5g、脱脂濃縮乳216g、クリーム72g、水3919.05gを混合し、発酵前の調乳液を調製した(水分96.15%、脂肪0.77%、蛋白質1.87%、乳糖0.97%、灰分0.24%)。調乳液を70℃まで昇温させた後、混合液を均質機にかけた。均質処理後90℃まで昇温させ、90℃で10分間保持した後、40℃まで冷却した。この混合液にスターターカルチャー(クリスチャンハンセン社製、ラクトバチルス・ブルガリカスおよびストレプトコッカス・サーモフィラスの混合物)を0.01重量%接種して5分間撹拌した。その後40℃で発酵させ、pHが4.55になった時点で発酵を終了させた。発酵終了後すぐに撹拌してカードを崩し、UF膜を用いて限外ろ過処理をして透過液3375gを除いた後、無糖発酵乳1125gを得た。
この無糖発酵乳に含まれる乳糖濃度を測定したところ、0.2質量%であった。更に、乳糖と、乳糖の分解産物であるガラクトース及びグルコースとの合計含量は、0.49質量%であった。
この無糖発酵乳に含まれるカルシウム濃度を測定したところ、51mg/100gであった。
[実施例2]
UF濃縮液は、実施例1と同様のものを使用した。
UF濃縮液711g、脱脂濃縮乳207g、クリーム144g、水3437.55gを混合し、発酵前の調乳液を調製した(水分93.44%、脂肪1.54%、蛋白質3.67%、乳糖0.97%、灰分0.38%)。調乳液を70℃まで昇温させた後、混合液を均質機にかけた。均質処理後90℃まで昇温させ、90℃で10分間保持した後、40℃まで冷却した。この混合液にスターターカルチャー(クリスチャンハンセン社製)を0.01重量%接種して5分間撹拌した。その後40℃で発酵させ、pHが4.60になった時点で発酵を終了させた。発酵終了後すぐに撹拌してカードを崩し、UF膜を用いて限外ろ過処理をして透過液2250gを除いた後、無糖発酵乳2250gを得た。
この無糖発酵乳に含まれる乳糖濃度を測定したところ、0.04質量%であった。更に、乳糖と、乳糖の分解産物であるガラクトース及びグルコースとの合計含量は、0.40質量%であった。
この無糖発酵乳に含まれるカルシウム濃度を測定したところ、92mg/100gであった。
[実施例3]
UF濃縮液は、実施例1と同様のものを使用した。
UF濃縮液740.25g、脱脂濃縮乳193.5g、クリーム144g、水3421.8gを混合し、発酵前の調乳液を調製した(水分93.40%、脂肪1.54%、蛋白質3.76%、乳糖0.92%、灰分0.38%)。調乳液を70℃まで昇温させた後、混合液を均質機にかけた。均質処理後90℃まで昇温させ、90℃で10分間保持した後、40℃まで冷却した。この混合液にスターターカルチャー(クリスチャンハンセン社製)を0.01重量%接種して5分間撹拌した。その後40℃で発酵させ、pHが4.78になった時点で発酵を終了させた。発酵終了後すぐに撹拌してカードを崩し、UF膜を用いて限外ろ過処理をして透過液2250gを除いた後、無糖発酵乳2250gを得た。
この無糖発酵乳に含まれる乳糖濃度を測定したところ、0.01質量%であった。更に、乳糖と、乳糖の分解産物であるガラクトース及びグルコースとの合計含量は、0.40質量%であった。
この無糖発酵乳に含まれるカルシウム濃度を測定したところ、94mg/100gであった。
[比較例1]
UF濃縮液は、実施例1と同様のものを使用した。
UF濃縮液783.0g、脱脂濃縮乳198.0g、クリーム153.0g、水3365.55gを混合し、発酵前の調乳液を調製した(水分91.67%、脂肪1.63%、蛋白質3.96%、乳糖0.94%、灰分0.40%)。調乳液を70℃まで昇温させた後、混合液を均質機にかけた。均質処理後90℃まで昇温させ、90℃で10分間保持した後、40℃まで冷却した。この混合液にスターターカルチャー(クリスチャンハンセン社製)を0.01重量%接種して5分間撹拌した。その後40℃で発酵させ、pHが4.86になった時点で発酵を終了させた。発酵終了後すぐに撹拌してカードを崩し、UF膜を用いて限外ろ過処理をして透過液2132gを除いた後、無糖発酵乳2368gを得た。
この無糖発酵乳に含まれる糖濃度を測定したところ、0.45質量%であった。
この無糖発酵乳に含まれるカルシウム濃度を測定したところ、102mg/100gであった。
[比較例2]
UF濃縮液は、実施例1と同様のものを使用した。
UF濃縮液984.6g、脱脂濃縮乳200.25g、クリーム192.6g、水3122.1gを混合し、発酵前の調乳液を調製した(水分91.67%、脂肪2.05%、蛋白質4.84%、乳糖0.97%、灰分0.47%)。調乳液を70℃まで昇温させた後、混合液を均質機にかけた。均質処理後90℃まで昇温させ、90℃で10分間保持した後、40℃まで冷却した。この混合液にスターターカルチャー(クリスチャンハンセン社製)を0.01重量%接種して5分間撹拌した。その後40℃で発酵させ、pHが4.97になった時点で発酵を終了させた。発酵終了後すぐに撹拌してカードを崩し、UF膜を用いて限外ろ過処理をして透過液1500gを除いた後、無糖発酵乳3000gを得た。
この無糖発酵乳に含まれる糖濃度を測定したところ、0.41質量%であった。
この無糖発酵乳に含まれるカルシウム濃度を測定したところ、126mg/100gであった。
[比較例3]
UF濃縮液は、実施例1と同様のものを使用した。
UF濃縮液1507.5g、脱脂濃縮乳186.75g、クリーム290.25g、水2515.05gを混合し、発酵前の調乳液を調整した(水分88.23%、脂肪3.08%、蛋白質7.08%、乳糖0.97%、灰分0.64%)。調乳液を70℃まで昇温させた後、混合液を均質機にかけた。均質処理後90℃まで昇温させ、90℃で10分間保持した後、40℃まで冷却した。この混合液にスターターカルチャー(クリスチャンハンセン社製)を0.01重量%接種して5分間撹拌した。その後40℃で発酵させ、pHが5.14になった時点で発酵を終了させた。発酵終了後すぐに撹拌してカードを崩し、無糖発酵乳4500gを得た。
この無糖発酵乳に含まれる糖濃度を測定したところ、0.42質量%であった。
この無糖発酵乳に含まれるカルシウム濃度を測定したところ、178mg/100gであった。
[評価]
10人のよく訓練されたパネラーにより、次の評価基準により実施例1〜3、比較例1〜3で得られた無糖発酵乳の風味を官能的に試験した。各試料の無糖発酵乳を最低30g食し、その風味(おいしさ、酸味の好み)について下記基準で5段階の点数をつけ、評価点の平均点を算出した。結果を表1に示す。
(評価基準)
おいしさ : おいしくない←1・2・3・4・5→おいしい
酸味の好み: 嫌い ←1・2・3・4・5→好き
総合評価 : ○:総合的に良好、×:総合的に不良
Figure 0005719741
評価の結果、実施例1〜3の無糖発酵乳については、3.7〜4.5の平均点であり、酸味やおいしさについて好ましい評価となった。一方、比較例1〜3の無糖発酵乳については、1.9〜2.8の平均点であり、酸味やおいしさについて好ましくない評価となった。
以下に、調乳液の蛋白質含量及び発酵時間、並びに製造された発酵乳のpH及びカルシウム含量をまとめた。この表から、発酵に用いる調乳液の蛋白質含量が3.9質量%以下の場合に、製造される低糖発酵乳において、通常の発酵時間でpHを4.2〜4.8程度まで適度に下げることができ、カルシウム含量を100mg/100g以下とすることができることが分かった。そして、上記の官能評価の結果と併せてみると、このようなpHとカルシウム含量の低糖発酵乳は、良好な風味を有することが分かった。
以上より、乳糖含量を0.7〜1.4質量%程度に低減し、蛋白質含量を3.9質量%以下とした調乳液を発酵させた後、これを濃縮する方法により発酵乳を製造することで、良好な風味を有する低糖発酵乳を製造することができることが分かった。
Figure 0005719741
本発明は、低ラクターゼ症、乳糖不耐症の人が食するのに有用な発酵乳を提供するのに利用できる。また、糖の摂取を控えたい人に対しても有用な発酵乳や健康食品等を提供するのにも利用できる。

Claims (4)

  1. 乳糖含量が0.7〜1.4質量%、蛋白質含量が3.9質量%以下である調乳液を発酵させてpHが4.55〜4.8である発酵調乳液を調製する発酵工程、および
    調製した発酵調乳液を、無脂乳固形分が8質量%以上となるように濃縮する濃縮工程、
    を含む糖含量が0.5質量%以下である発酵乳の製造方法。
  2. 記発酵乳のカルシウム含量が、酵乳100gあたり100mg以下である、請求項1に記載の発酵乳の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載された方法により製造され、無脂乳固形分が8質量%以上であり、糖含量が0.5質量%以下である発酵乳。
  4. 請求項に記載の発酵乳を含有する、低糖食品。
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