JP7048340B2 - 発酵乳の製造方法、及び発酵効率低下抑制方法 - Google Patents
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Description
(I-1)下記の工程を有する発酵乳の製造方法:
(1)乳糖含有量が1.5質量%以下の原料乳に乳酸菌を接種する工程、及び
(2)前記原料乳を発酵する工程。
(I-2)乳酸菌を接種する原料乳の温度が10℃以下である、(I-1)記載の製造方法。
(I-3)前記原料乳が乳糖分解酵素処理によって乳糖含有量が1.5質量%以下になるように調製されたものである(I-1)または(I-2)に記載する製造方法。
(I-4)(1)工程の前に、下記の工程を有する(I-1)又は(I-2)に記載する製造方法。
(0)乳糖分解酵素を用いて乳糖含有原料乳の乳糖含有量が1.5質量%以下になるように処理する工程。
(I-5)(I-1)~(I-4)のいずれかに記載する方法によって製造された発酵乳。
(II-1)10℃以下の原料乳に乳酸菌を接種して発酵させる工程を有する発酵乳の製造方法において、前記原料乳として乳糖含有量が1.5質量%以下の原料乳を用いることを特徴とする、乳酸菌の活力低下抑制方法。
(II-2)前記「乳糖含有量が1.5質量%以下の原料乳」が乳糖分解酵素処理によって乳糖含有量が1.5質量%以下になるように調製されたものである、(II-1)に記載する乳酸菌の活力低下抑制方法。
(III-1)10℃以下の原料乳に乳酸菌を接種して発酵させる工程を有する発酵乳の製造方法において、前記原料乳として乳糖含有量が1.5質量%以下の原料乳を用いることを特徴とする、発酵効率低下抑制方法。
(III-2)前記「乳糖含有量が1.5質量%以下の原料乳」が乳糖分解酵素処理によって乳糖含有量が1.5質量%以下になるように調製されたものである、(III-1)に記載する発酵効率低下抑制方法。
(III-3)10℃以下の原料乳に乳酸菌を接種して発酵させる工程を有する発酵乳の製造方法において、前記原料乳として乳糖含有量が1.5質量%より高い原料乳を用いた場合に要する発酵時間よりも、発酵時間が短くなることを特徴とする(III-1)または(III-2)に記載する発酵効率低下抑制方法。
なお、発酵効率低下抑制方法は、「発酵時間延長抑制方法」または「乳酸菌(スターター)の活力低下抑制方法」と言い換えることができる。
本発明の発酵乳の製造方法は、乳糖含有量が1.5質量%以下の原料乳に乳酸菌(スターター)を接種して、発酵させる工程を有する。
本発明において「発酵乳」とは、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)で定義される「発酵乳」、「乳製品乳酸菌飲料」、および「乳酸菌飲料」を包含し、ヨーグルトなども含まれる。例えば、発酵乳は、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳および加工乳などの乳またはこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を、乳酸菌または酵母で発酵させ、糊状または液状にしたものまたはこれらを凍結したものをいい、これらにはハードヨーグルト、ソフトヨーグルト(糊状発酵乳)またはドリンクヨーグルト(液状発酵乳)が含まれる。
「原料乳」は、ヨーグルトなどの発酵乳の原料となるもので、ヨーグルトミックスや発酵乳ミックスなどともよばれる。本発明では、公知の原料乳を適宜用いることができる。原料乳には、殺菌前のものも、殺菌後のものも含まれる。
本発明で使用される乳糖分解酵素は、制限されないものの、活性の至適pHが中性領域であり、かつ酸性領域で失活する酵素であって、活性状態において、乳糖を分解できるものが好ましい。このような乳糖分解酵素としては、細菌または酵母由来のものが挙げられ、例えば、制限されないものの、活性の至適pH6.3~7.5、至適温度30~50℃、かつ失活pH6~4の特性を有する乳糖分解酵素が例示される。また、乳糖分解酵素としては、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)由来の乳糖分解酵素、クルイベロマイセスフラギリス(Kluyveromyces fragilis)由来の乳糖分解酵素、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来の乳糖分解酵素、およびアスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)由来の乳糖分解酵素があるが、好ましくはクルイベロミセス・ラクチス由来、及びクルイベロマイセスフラギリス由来の乳糖分解酵素である。なお、クルイベロミセス・ラクチス由来の乳糖分解酵素は、クルイベロミセス・ラクチスそのもののほか、クルイベロミセス・ラクチスから派生した乳糖分解酵素が含まれる。なお、乳糖分解酵素は、商業的に入手できるものを使用することもでき、市販の乳糖分解酵素としては、制限されないものの、ラクターゼF(天野エンザイム社製)、ラクトレスL-3(大和化成社製)、およびラクトレスL-10(大和化成社製)、及びGODO-YNL(合同酒精社製)等を例示することができる。
乳酸菌(スターター)として、スターターとして公知の乳酸菌を適宜用いることができる。好ましい乳酸菌として、ラクトバチルス・ブルガリカス(L.bulgaricus)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(S.thermophilus)、ラクトバチルス・ラクティス(L.lactis)、ラクトバチルス・ガッセリ(L.gasseri)またはビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の他、発酵乳の製造に一般的に用いられる乳酸菌や酵母の中から1種または2種以上を用いることができる。
発酵温度などの発酵条件は、原料乳(発酵乳ミックス)に添加された乳酸菌(スターター)の種類や、調製する発酵乳の種類や風味などを考慮して適宜調整することができる。具体的な例として、発酵室内の温度(発酵温度)を30~50℃程度に維持する方法を例示することができる。この範囲の温度であれば、一般的に乳酸菌が活動しやすいので、効果的に発酵を進めることができる。このときの発酵温度として、より好ましくは38~45℃程度、さらに好ましくは40~44℃程度である。
本発明は、前述するように、あらかじめ乳糖含量が1.5質量%以下に低減されてなる原料乳(発酵乳ミックス)を用いて、前述する発酵工程を行うことで実施することができるが、発酵工程前に、乳糖を含む原料乳に対して乳糖分解処理を行って、乳糖含量が1.5質量%以下に低減されてなる原料乳(発酵乳ミックス)を調製する工程(乳糖分解処理工程)を有する方法であってもよい。
前述する本発明の製造方法が発酵乳を短時間に効率よく製造できる理由として、発酵前の低温原料乳中の乳糖含有量を1.5質量%以下とすることで、乳糖含有量が1.5質量%より多い、好ましくは5質量%程度の低温原料乳に接種する場合に生じる乳酸菌スターターの活力低下が抑制されることを挙げることができる。言い換えると、乳糖含有量が1.5質量%より多い低温原料乳、好ましくは5質量%程度の低温原料乳に乳酸菌スターターを接種した場合に生じる乳酸菌スターターの活力低下が、本発明の製造方法によれば、乳糖含有量が1.5質量%以下の低温原料乳に乳酸菌スターターを接種することで改善(抑制)することができる。
前述する乳酸菌スターターの活力低下は発酵効率の低下に繋がる。このため、本発明によれば、前述するように、発酵前の乳糖含有量が1.5質量%より多い、好ましくは5質量%程度の低温原料乳に乳酸菌スターターを接種する場合に生じる発酵効率の低下が、発酵前の低温原料乳中の乳糖含有量を1.5質量%以下とすることで、抑制することができる。言い換えると、乳糖含有量が1.5質量%より多い低温原料乳、好ましくは5質量%程度の低温原料乳に乳酸菌スターターを接種した場合と比較して、乳糖含有量が1.5質量%以下の低温原料乳に乳酸菌スターターを接種することで、発酵効率を改善(抑制)することができる。
脱脂粉乳(脂肪分1%、タンパク質34%、乳糖54%、灰分8%、無脂乳固形分96%)80g、水道水720gを混合して原料乳(乳糖含量:5.4%、無脂乳固形分9.6%)を調製した。この原料乳を40℃に温度調整し、全ての原材料が溶解したことを確認した後に、乳糖分解酵素(ラクターゼ)(商品名:GODO-YNL、合同酒精株式会社製)を0.1%添加し、原料乳中の乳糖分解率が100%となった後、つまり原料乳中の乳糖含有量が0%になった後に、原料乳を95℃で5分間加熱殺菌し、次いで10℃以下に冷却し、原料乳(発酵乳ミックス)とした。
最初に、乳糖分解酵素が添加される前(乳糖分解前)の原料乳における固形分あたりの乳糖含有量を計測する。乳糖含有量は、H. Mikamiらの文献(「Post-Column Fluorometric Detection of Reducing Sugars in High Performance Liquid Chromatography Using Arginine」,BUNSEKI KAGAKU、Vol.32, pp.E207-E210, 1983、公益社団法人日本分析化学会発行)の記載に基づいて計測することができる。次に、乳糖が分解された原料乳におけるグルコース濃度から、原料乳における固形分あたりのグルコース含有量を計測する。当該グルコース含有量は、例えば、メディセーフミニ(テルモ株式会社製)を用いて計測することができる。
乳糖分解率(%)=[(グルコース含有量×2)/乳糖含有量]×100
脱脂粉乳(脂肪分1%、タンパク質34%、乳糖54%、灰分8%、無脂乳固形分96%)80g、水道水720gを混合して原料乳(乳糖含量:5.4%、無脂乳固形分9.6%)を調製した。この原料乳を40℃に温度調整し、全ての原材料が溶解したことを確認した後に、95℃で5分間加熱殺菌し、次いで冷却し、原料乳(発酵乳ミックス)とした。
前述する実験例(実施・対照例、実施例1及び2)及び比較実験例(比較・対照例、比較例1及び2)のセットヨーグルトにおいて、乳酸酸度が0.75%に到達するまでの発酵時間を測定した結果を表3、及び図1に示す。
Claims (8)
- 下記の工程を有する発酵乳の製造方法:
(1)乳糖含有量が1.5質量%以下、及び温度が15℃以下の低温原料乳に乳酸菌を接種する工程、及び
(2)前記原料乳を発酵する工程。 - 前記低温原料乳の温度が10℃以下である、請求項1記載の製造方法。
- 前記低温原料乳が乳糖分解酵素処理によって乳糖含有量が1.5質量%以下になるように調製されたものである請求項1または2に記載する製造方法。
- 工程(1)の前に、下記の工程を有する請求項1又は2に記載する製造方法。
(0)乳糖分解酵素を用いて乳糖含有原料乳の乳糖含有量が1.5質量%以下になるように処理する工程。 - 10℃以下の低温原料乳に乳酸菌を接種して発酵させる工程を有する発酵乳の製造方法において、前記低温原料乳として乳糖含有量が1.5質量%以下の原料乳を用いることを特徴とする、乳酸菌の活力低下抑制方法。
- 前記「乳糖含有量が1.5質量%以下の原料乳」が乳糖分解酵素処理によって乳糖含有量が1.5質量%以下になるように調製されたものである、請求項5に記載する乳酸菌の活力低下抑制方法。
- 10℃以下の低温原料乳に乳酸菌を接種して発酵させる工程を有する発酵乳の製造方法において、前記低温原料乳として乳糖含有量が1.5質量%以下の原料乳を用いることを特徴とする、発酵効率低下抑制方法。
- 前記「乳糖含有量が1.5質量%以下の原料乳」が乳糖分解酵素処理によって乳糖含有量が1.5質量%以下になるように調製されたものである、請求項7に記載する発酵効率低下抑制方法。
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