JP6730012B2 - 発酵乳の苦味のマスキング方法、発酵乳およびその製造方法 - Google Patents

発酵乳の苦味のマスキング方法、発酵乳およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は蛋白質濃度が高い発酵乳の苦味のマスキング方法、発酵乳、および発酵乳の製造方法に関する。
発酵乳は、牛乳等の獣乳を原料とし、該原料を含む調乳液に乳酸菌や酵母等の発酵菌を添加して発酵させたものである。
調乳液として、水、脱脂粉乳、乳脂肪および安定剤等の混合物を用いて発酵乳を製造することは従来から行われており、該調乳液の固形分濃度や脂肪含量を、一般的な牛乳よりも高くまたは低く調整することも知られている(例えば、非特許文献1)。
「Tamime and Robinson’s Yoghurt Science and technology Third edition」 A.Y.Tamime, R.K.Robinson著、2007年発行、p.381
乳蛋白質は栄養価が高く、蛋白質含有量を高めた発酵乳は摂取しやすい高栄養食品として期待できる。
本発明者等の知見によれば、調乳液における蛋白質濃度を高くすると、発酵乳に苦味が感じられるようになるという問題がある。すなわち、蛋白質濃度が高く、かつ美味しい発酵乳を製造することは容易ではない。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、蛋白質濃度が高く、風味も良好な発酵乳が得られる、発酵乳の苦味のマスキング方法を提供する。
また本発明は蛋白質濃度が高く、風味も良好な発酵乳およびその製造方法を提供する。
本発明は、以下の[1]〜[4]を要旨とする。
[1] 蛋白質の含有量が6.5〜13質量%、乳糖の含有量が8〜20質量%である調乳液を発酵させた発酵乳の苦味のマスキング方法であって、前記発酵の開始前または発酵の途中で前記調乳液に乳糖分解酵素を添加して、発酵乳における、乳糖の含有量を0.1〜4.5質量%、グルコースの含有量を1〜4質量%、ガラクトースの含有量を1〜4質量%、乳糖とグルコースとガラクトースの合計を5〜20質量%、かつグルコース/ガラクトースの質量比を0.5〜2とする、発酵乳の苦味のマスキング方法。
[2] 蛋白質の含有量が6.5〜13質量%、乳糖の含有量が8〜20質量%である調乳液を発酵させるとともに、前記発酵の開始前または発酵の途中で乳糖分解酵素を添加して、乳糖の含有量が0.1〜4.5質量%、グルコースの含有量が1〜4質量%、ガラクトースの含有量が1〜4質量%、乳糖とグルコースとガラクトースの合計が5〜20質量%、かつグルコース/ガラクトースの質量比が0.5〜2である発酵乳を得る、発酵乳の製造方法。
[3] 前記発酵の開始前かつ前記乳糖分解酵素の添加前に、前記調乳液を80〜95℃、5秒〜1分の条件で加熱処理する、[2]に記載の発酵乳の製造方法。
[4] 蛋白質の含有量が6.5〜13質量%、乳糖の含有量が0.1〜4.5質量%、グルコースの含有量が1〜4質量%、ガラクトースの含有量が1〜4質量%、乳糖とグルコースとガラクトースの合計が5〜20質量%、かつグルコース/ガラクトースの質量比が0.5〜2である発酵乳。
本発明によれば、蛋白質濃度が高く、苦味が抑えられた良好な風味を有する発酵乳が得られる。
<調乳液>
調乳液は、これに乳酸菌または酵母を含む発酵菌を作用させて発酵させるものであり、乳原料および必要に応じて水を含む。また調乳液には乳糖分解酵素が添加される。
[乳原料]
乳原料は乳由来の原料であり、発酵乳の製造において用いられる公知の乳原料を用いることができる。例えば生乳、牛乳、水牛乳、やぎ乳、羊乳、馬乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳、クリーム、バター、乳清蛋白質濃縮物(WPC)、乳清蛋白質分離物(WPI)、乳蛋白質濃縮物(MPC)、ミセラカゼインアイソレート(MCI)、ミルクプロテインアイソレート(MPI)等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<発酵>
発酵乳は、乳原料を用いて調製した調乳液を、乳酸菌または酵母を含む発酵菌を作用させて発酵させたものである。
発酵菌は、発酵乳の製造において公知の乳酸菌、ビフィズス菌、または酵母を使用できる。発酵菌は2種以上組み合せて使用することができる。
発酵菌として乳酸菌スターターを用いることが好ましい。例えば、ラクトバチルス・ブルガリクス(L.bulgaricus)、ラクトコッカス・ラクチス(L.lactis)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(S.thermophilus)等のヨーグルト製造に通常用いられている乳酸菌スターターの1種または2種以上を用いることが好ましい。乳酸菌スターターを用いる場合、ビフィズス菌スターター、例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガム(B.longum)等を併用してもよい。これらのスターターは市販品から入手可能である。
[乳糖分解酵素]
乳糖分解酵素(ラクターゼ)は、乳糖(ラクトース)をグルコースとガラクトースに分解する酵素である。市販品から入手可能である。
本発明で用いる乳糖分解酵素は、発酵工程における調乳液の温度で活性を有するものが好ましい。また調乳液の発酵が進んでpHが低下することにより、乳糖分解酵素が失活するものが好ましい。
例えば、至適pHが5〜7、至適温度が25〜50℃の範囲内である乳糖分解酵素が好ましい。より好ましい至適pHは5.5〜6.5である。より好ましい至適温度は30〜45℃である。
[その他の成分]
調乳液には、乳原料、水、および乳糖分解酵素以外のその他の成分を添加してもよい。
その他の成分として、例えば、ショ糖、オリゴ糖等の糖類、植物性脂肪、安定剤、香料、甘味料等の発酵乳の製造において添加される公知の成分を、例えば本発明に影響を及ぼさない範囲で、適宜、含有させることができる。
安定剤としては、例えば寒天、ゼラチン、ペクチン等が挙げられる。
甘味料としては、例えばスクラロース、エリスリトール等が挙げられる。
なお、香料や甘味料は、本発明による発酵乳の苦味のマスキング効果に影響を及ぼさない範囲で調乳液に添加できるものであり、また、苦味がマスキングされた発酵乳に対して、香料や甘味料の本来の効果が十分に発揮されるように、新たな風味を有する発酵乳を提供するために必要な量を添加することも可能である。
[各成分の含有量]
調乳液における蛋白質の含有量は6.5〜13質量%であり、7〜12.5質量%が好ましく、7.5〜12質量%がより好ましい。一般的な発酵乳における蛋白質の含有量が3〜5質量%程度であるのに比べて、本発明における調乳液の蛋白質含有量は高い。調乳液における蛋白質の含有量が上記範囲の下限値以上であると、調乳液に乳糖分解酵素を添加することによる、苦味のマスキング効果が充分に得られる。上記範囲の上限値を超えると発酵乳の風味が著しく損なわれやすい。
調乳液における乳糖の含有量は8〜20質量%であり、9〜17質量%が好ましく、10〜14質量%がより好ましい。一般的な発酵乳の調乳液における乳糖の含有量が5〜8質量%程度であるのに比べて、本発明における調乳液の乳糖含有量は高い。調乳液における乳糖の含有量が上記範囲の下限値以上であると、調乳液に乳糖分解酵素を添加することによる、苦味のマスキング効果が充分に得られる。上記範囲の上限値を超えると発酵乳の風味が著しく損なわれやすい。
本明細書において、調乳液または発酵乳の全質量から水分の質量を差し引いた値を固形分の質量とする。また固形分から脂肪、蛋白量および灰分の合計質量を差し引いた残りを炭水化物の質量とする。無脂乳固形分は乳由来の固形分から乳脂肪を差し引いた値である。
調乳液における固形分の含有量は20〜39質量%が好ましく、22〜37質量%がより好ましい。固形分が上記範囲の上限値を超えると発酵乳の製造が困難になるおそれがある。また上記の範囲内であると、蛋白質および乳糖以外の成分のバランスが良く、風味が良好な発酵乳が得られやすい。
調乳液における無脂乳固形分の含有量は16〜30質量%が好ましく、17〜29質量%がより好ましく、18〜28質量%がさらに好ましい。無脂乳固形分の含有量が上記の範囲内であると、蛋白質および乳糖以外の成分のバランスが良く、風味が良好な発酵乳が得られやすい。
調乳液における脂肪の含有量は特に限定されないが0.3〜3質量%が好ましく、0.5〜2.5質量%がより好ましく、1〜2質量%が特に好ましい。
調乳液における炭水化物の含有量は特に限定されないが10〜28質量%が好ましく、11〜25質量%がより好ましく、13〜21質量%が特に好ましい。
調乳液にショ糖を含有させる場合、その含有量は調乳液に対して2〜8質量%が好ましく、2.5〜7.5質量%がより好ましく、3〜7質量%が特に好ましい。ショ糖の含有量が上記範囲内であると添加効果が充分に得られ、かつ甘味が強すぎず良好な風味が得られやすい。
<発酵乳の製造方法・苦味のマスキング方法>
まず調乳液を調製し、該調乳液に発酵菌を添加して発酵を行う(発酵工程)。また発酵の開始前または発酵の途中で、調乳液に乳糖分解酵素を添加する。
発酵の開始時は、調乳液に発酵菌が添加された時点とする。発酵菌を添加する時点における調乳液の温度は発酵が進む温度であることが好ましい。例えば、添加する発酵菌の生育に好適な温度(以下、発酵温度ともいう。)が好ましい。発酵菌が添加された調乳液の温度は、発酵温度に維持されることが好ましい。
具体的には乳原料、および必要に応じた水、その他の成分等を混合し、好ましくは均質化処理を行って調乳液を調製する。均質化処理は常法により行うことができる。
調乳液は、発酵の開始前かつ乳糖分解酵素の添加前、すなわち乳糖分解酵素および発酵菌を添加する前に殺菌等を目的として加熱処理することが好ましい。加熱処理は、例えば、プレート式殺菌機、チューブラー式殺菌機、直接加熱式殺菌機、ジャケット付きタンク等の加熱殺菌装置を用いて行うことができる。
加熱条件は、80〜95℃で5秒〜3分の範囲で行うことが可能であり、80〜95℃で5秒〜1分が好ましい。加熱温度を95℃以下にすることにより、発酵乳に適度な硬度や粘度を付与することができる。加熱時間を1分以下とすることにより蛋白質の熱変性が良好に抑えられる。
加熱処理後、発酵温度にまで冷却することが好ましい。または加熱後の調乳液をすぐに発酵させず、一旦タンク等に保存する場合は、加熱後10℃以下に冷却することが好ましい。
次いで、加熱処理された調乳液に発酵菌を添加し(発酵開始)、所定の発酵温度に保持して発酵させ、発酵乳を得る。発酵によりカードが形成される。発酵菌を添加する前に、予め調乳液の温度を所定の発酵温度に調整しておくことが好ましい。
発酵菌として、上記に例示した乳酸菌スターターを用いる場合の発酵温度は37〜45℃が好ましい。
乳酸菌による発酵においては酸が生成されるため、発酵が開始された後の調乳液のpHは経時的に低下する。発酵工程における到達pHは、組織がなめらかで良好なカードが形成されやすい点で4.6〜4.8が好ましい。発酵工程における調乳液のpHは、発酵菌の種類、添加量および発酵時間によって調整できる。
pHが目標の値に達したら、10℃以下に冷却して発酵乳を得る。冷却することにより、発酵菌の活性が低下し発酵が抑えられる。10℃以下に冷却された時点を発酵工程の終了時とする。
また加熱処理された調乳液に、発酵の開始前または発酵の途中で乳糖分解酵素を添加して、調乳液中の乳糖を分解する。好ましくは、発酵菌を添加する前に乳糖分解酵素を添加する。また発酵菌の添加後に乳糖分解酵素を添加する場合は、調乳液のpHが乳糖分解酵素の至適pH以上である間に、乳糖分解酵素を添加することが好ましい。
乳糖分解酵素の添加量によって、乳糖分解率を制御することができる。具体的には、発酵乳における乳糖の含有量が0.1〜4.5質量%、グルコースの含有量が1〜4質量%、ガラクトースの含有量が1〜4質量%、乳糖とグルコースとガラクトースの合計が5〜20質量%、かつグルコース/ガラクトースの質量比が0.5〜2となるように、乳糖の分解を行う。
発酵乳における、乳糖の含有量は0.2〜4質量%が好ましく、0.3〜3.5質量%がより好ましい。グルコースの含有量は1〜3.8質量%が好ましく、1〜3.5質量%がより好ましい。ガラクトースの含有量は1〜3.8質量%が好ましく、1〜3.5質量%がより好ましい。乳糖とグルコースとガラクトースの合計は5〜17質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。グルコース/ガラクトースの質量比は0.6〜1.7が好ましく、0.7〜1.5がより好ましい。
乳糖、グルコースおよびガラクトースの含有量のバランスが上記の範囲内であると、発酵乳の苦味のマスキング効果が充分に得られやすい。
乳糖分解酵素の添加量は、例えば、調乳液(乳糖分解酵素を含む)に対して0.01〜0.5質量%の範囲内が好ましく、0.05〜0.3質量%がより好ましい。
<発酵乳>
こうして蛋白質濃度が高い調乳液を発酵させた発酵乳が得られる。調乳液と発酵乳の無脂乳固形分の含有量は同じである。また調乳液と発酵乳の蛋白質の含有量は同じである。
例えばタンク内で発酵を行い、タンク内に形成されたカードを、撹拌しながら冷却し、または冷却後に撹拌して破砕すると撹拌型発酵乳が得られる。
あるいは、乳糖分解酵素および発酵菌が添加された調乳液を、製品容器に充填し、容器内で発酵させ、そのまま冷却すると静置型発酵乳が得られる。
さらに、得られた発酵乳を用い、これに果肉等の固形物を加えて発酵乳製品を製造してもよい。
後述の実施例に示されるように、蛋白質濃度が高い調乳液に乳糖分解酵素および発酵菌を添加して発酵させることにより、香料等の他のマスキング剤を添加しなくても、発酵乳の苦味をマスキングして、おいしさを向上させることができる。かかる効果は蛋白質濃度が高い発酵乳において顕著に得られる。
すなわち、蛋白質濃度が高い発酵乳の苦味を効果的にマスキングして、風味が良好な発酵乳を得ることができる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において、含有割合を表す「%」は特に断りのない限り「質量%」である。
<測定方法>
本明細書において、固形分、蛋白質、脂肪、炭水化物、乳糖、ショ糖、グルコース、ガラクトースの各含有量は、以下の測定方法により得られる値である。無脂乳固形分は固形分から脂肪分を差し引いた値である。
[固形分]
固形分(%)=100−水分(%)にて求める。
[水分]
水分は混砂乾燥法を用いて定量する。具体的には、試料を一定条件で恒量となるまで乾燥し、乾燥物質量を求め算出した乾燥減量を水分量とする。
具体的には、以下の手順である。
(1)アルミニウム製秤量管に精製硅砂25gとガラス棒を入れ、乾燥機で恒量になるまで乾燥し、デシケーターに移し30分間室温で放冷し秤量する。
(2)秤量管を傾け、硅砂を一方に寄せ、試料を精秤し、机上に秤量管を写し、温湯5mlを加えガラス棒で試料を硅砂とよく撹拌均一に分散させる。
(3)沸騰した水浴上で撹拌しながら、ほとんどの水分を蒸発させる、サラサラになった所で99±1℃の乾燥機に3時間入れ、デシケーターで30分間放冷し秤量する。
乾燥、冷却、秤量を恒量になるまで繰り返し行い、以下の計算式により水分を算出する。
(水分量計算式)水分(%)=乾燥減量(g)/試料採取量(g)×100
[蛋白質]
蛋白量は、分析機器SUMIGRAPH NC−220F(住化分析センター社製)を用い、デュマ法(酸素循環燃焼方式)によって測定する。測定条件は下記のとおりである。
電気炉温度:反応炉870℃、還元炉:600℃
酸素パージ:0.2±0.02L/min
カラム温度:70±5℃
検出器:検出器温度:100℃、CURRENT:160mA
キャリアーガス:カラム温度70±5℃の時にヘリウム流量80±5mL/min
構成基準物質:Aspartic acid
測定試料量:500±100mg
基準物質量:500±100mg
[脂肪]
脂肪はレーゼゴットリーブ法を用いて測定する。具体的には、マジョニア管に試料3gを採取し、水7ml、フェノールフタレイン1滴、アンモニア水2mlを加えて軽く振とうする。その後、エタノール10ml、エチルエーテル25ml、石油エーテル25mlを加え、各液を添加する毎に栓をして2、3回振とうする。マジョニア管を遠心分離した後に溶媒層をディッシュに移し、溶媒を揮発させる。この残留物が脂肪であるので、当該残留物を秤量する。
[灰分]
恒量となったるつぼに試料を秤取し、電熱器上で蓋を少しずらして炭化、灰白化させる。電気炉は最初100〜150℃、次に150〜200℃、300〜400℃と徐々に温度を上げ、表面に炭素が残留する程度になれば550℃で6時間加熱し、室温まで下げたのちに重量を測定し、以下の計算式で算出した。
灰分(%)=(灰化後の重量−るつぼ重量)/(試料重量−るつぼ重量)×100
[炭水化物]
炭水化物(%)=100−(脂肪+蛋白量+水分+灰分)にて算出した。
[ショ糖、乳糖、グルコース、ガラクトース]
ショ糖、乳糖、グルコース、ガラクトース等の各糖類は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定する。測定条件は下記のとおりである。
カラム:Shodex SUGAR KS−801
カラム温度:70℃
移動相:水
流量:0.8ml/min
検出器:示差屈折計
<原料>
以下の原料を用いた。
脱脂粉乳:森永乳業社製、脂肪1.0%、蛋白質34.0%、無脂乳固形分95.2%。
クリーム:森永乳業社製、脂肪45%、蛋白質1.6%、無脂乳固形分4.5%。
ショ糖:北海道糖業社製。
乳糖分解酵素:合同酒精社製、GODO−YNL(製品名)、至適pH約6.5、至適温度約45℃、酵素活性:50,000U/g以上(カタログ値)。
乳酸菌スターター:クリスチャン・ハンセン社製。ラクトバチルス・ブルガリクス(L.bulgaricus)とストレプトコッカス・サーモフィラス(S.thermophilus)の混合培養物。
[例1]
表1に示す配合で脱脂粉乳、クリーム、および水(常温)を混合し、65℃に加温して溶解した後、15MPaの圧力で均質化した。得られた溶液を85℃で1分間加熱処理し、40℃に冷却した後に乳糖分解酵素を添加して調乳液とした。調乳液における各成分の含有量を表2に示す(以下、同様)。
得られた調乳液に乳酸菌スターターを添加し、紙カップに100gずつ充填した。これを40℃でpH4.6になるまで発酵させてカードを形成させた後、10℃に冷却して目的の発酵乳(静置型発酵乳)を得た。乳糖分解酵素と乳酸菌スターターとはほぼ同時に添加した。
得られた発酵乳における各成分の含有量、およびグルコース/ガラクトースの質量比を表3に示す(以下、同様)。
[例2]
表1に示す通りに配合を変更したほかは、例1と同様にして発酵乳を製造した。
例2は乳糖分解酵素を添加しなかった比較例である。
[例3、4]
表1に示す通りに配合を変更し、加熱殺菌条件を90℃で10分間に変更したほかは、例1と同様にして発酵乳を製造した。
例3は、調乳液および発酵乳の蛋白質の含有量を例1よりも低くし、一般的な発酵乳の範囲内である約3質量%とした比較例である。
例4は、例3と同様に調乳液および発酵乳の蛋白質の含有量を低くし、かつ乳糖分解酵素を添加しなかった比較例である。
<官能評価>
[例1、2]
例1、2で得られた発酵乳を、訓練されたパネラー6名で試食し、おいしさ、苦味についてそれぞれ評価した。評価方法は、例2で得られた発酵乳を5点とする10段階の相対評価とした。例1についての6名の平均値を表3に示す。
おいしさ:0点(おいしくない)〜10点(おいしい)。
苦味:0点(苦くない)〜10点(苦い)。
[例3、4]
例3、4で得られた発酵乳についても同様に、例4で得られた発酵乳を5点とする10段階の相対評価とした。例3についての6名の平均値を表3に示す。
Figure 0006730012
Figure 0006730012
Figure 0006730012
表3の結果より、乳糖分解酵素を添加しなかった例2に比べて、乳糖分解酵素を添加した例1は苦味が低下し、おいしさの評価が向上した。
一方、調乳液および発酵乳の蛋白質の含有量が低い例3は、例1に比べて乳糖分解酵素の添加による苦味の低下が少なく、おいしさの評価が、乳糖分解酵素を添加しなかった例4と同等であった。
[例5]
表4に示す配合で脱脂粉乳、クリーム、ショ糖および水(常温)を混合し、65℃に加温して溶解した後、15MPaの圧力で均質化した。得られた溶液を85℃で1分間加熱殺菌し、40℃に冷却した後に乳糖分解酵素を添加して調乳液とした。調乳液における各成分の含有量を表5に示す(以下、同様)。
得られた調乳液に乳酸菌スターターを添加し、40℃でpH4.6になるまで発酵させてカードを形成させた。乳糖分解酵素と乳酸菌スターターとはほぼ同時に添加した。
得られた発酵物を撹拌してカードを粉砕し、10℃に冷却して目的の発酵乳(撹拌型発酵乳)を得た。得られた発酵乳における各成分の含有量、およびグルコース/ガラクトースの質量比を表6に示す(以下、同様)。
[例6〜8]
表4に示す通りに配合を変更したほかは、例5と同様にして発酵乳を製造した。
例6、7は乳糖分解酵素の添加量を変更した実施例である。
例8は乳糖分解酵素を添加しなかった比較例である。
<官能評価>
[例5〜8]
例5〜8で得られた発酵乳を、訓練されたパネラー8名で試食し、それぞれの発酵乳について、おいしさを0点(おいしくない)〜10点(おいしい)の10段階で評価した。8名の平均値を表6に示す。
Figure 0006730012
Figure 0006730012
Figure 0006730012
表6の結果より、調乳液の100質量部に対して乳糖分解酵素を0.005質量部以上添加した添加した例5〜7において良好な乳糖分解率が得られ、グルコースおよびガラクトースの含有量がそれぞれ1質量%以上となった。また例5〜7において良好な風味が得られた。
例5〜8についての官能評価の結果より、乳糖分解酵素を添加して乳糖を分解すると高蛋白発酵乳の風味が向上することが確認された。

Claims (4)

  1. 蛋白質の含有量が6.5〜13質量%、乳糖の含有量が8〜20質量%である調乳液(但し、液中の蛋白質が、甘性ホエイ粉、ホエイタンパク濃縮物、ホエイタンパク分離物、及び脱塩ホエイ粉から選ばれる1種以上に由来する蛋白質のみであるホエイタンパク質水溶液を除く。)を発酵させた発酵乳の苦味のマスキング方法であって、
    前記発酵の開始前または発酵の途中で前記調乳液に乳糖分解酵素を添加して、発酵乳における、乳糖の含有量を0.1〜4.5質量%、グルコースの含有量を1〜4質量%、ガラクトースの含有量を1〜4質量%、乳糖とグルコースとガラクトースの合計を5〜20質量%、かつグルコース/ガラクトースの質量比を0.5〜2とする、発酵乳の苦味のマスキング方法。
  2. 蛋白質の含有量が6.5〜13質量%、乳糖の含有量が8〜20質量%である調乳液(但し、液中の蛋白質が、甘性ホエイ粉、ホエイタンパク濃縮物、ホエイタンパク分離物、及び脱塩ホエイ粉から選ばれる1種以上に由来する蛋白質のみであるホエイタンパク質水溶液を除く。)を発酵させるとともに、前記発酵の開始前または発酵の途中で乳糖分解酵素を添加して、乳糖の含有量が0.1〜4.5質量%、グルコースの含有量が1〜4質量%、ガラクトースの含有量が1〜4質量%、乳糖とグルコースとガラクトースの合計が5〜20質量%、かつグルコース/ガラクトースの質量比が0.5〜2である発酵乳を得る、発酵乳の製造方法。
  3. 前記発酵の開始前かつ前記乳糖分解酵素の添加前に、前記調乳液を80〜95℃、5秒〜1分の条件で加熱処理する、請求項2に記載の発酵乳の製造方法。
  4. 蛋白質の含有量が6.5〜13質量%、乳糖の含有量が0.1〜4.5質量%、グルコースの含有量が1〜4質量%、ガラクトースの含有量が1〜4質量%、乳糖とグルコースとガラクトースの合計が5〜20質量%、かつグルコース/ガラクトースの質量比が0.5〜2である発酵乳(但し、液中の蛋白質が、甘性ホエイ粉、ホエイタンパク濃縮物、ホエイタンパク分離物、及び脱塩ホエイ粉から選ばれる1種以上に由来する蛋白質のみであるホエイタンパク質水溶液の発酵物を除く。)
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