JP3328311B2 - 多板クラッチ - Google Patents

多板クラッチ

Info

Publication number
JP3328311B2
JP3328311B2 JP05002792A JP5002792A JP3328311B2 JP 3328311 B2 JP3328311 B2 JP 3328311B2 JP 05002792 A JP05002792 A JP 05002792A JP 5002792 A JP5002792 A JP 5002792A JP 3328311 B2 JP3328311 B2 JP 3328311B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
clutch
spring
plate
torque
center
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP05002792A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0571554A (ja
Inventor
育雄 小池
鈴木  誠
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP05002792A priority Critical patent/JP3328311B2/ja
Publication of JPH0571554A publication Critical patent/JPH0571554A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3328311B2 publication Critical patent/JP3328311B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16DCOUPLINGS FOR TRANSMITTING ROTATION; CLUTCHES; BRAKES
    • F16D13/00Friction clutches
    • F16D13/22Friction clutches with axially-movable clutching members
    • F16D13/38Friction clutches with axially-movable clutching members with flat clutching surfaces, e.g. discs
    • F16D13/52Clutches with multiple lamellae ; Clutches in which three or more axially moveable members are fixed alternately to the shafts to be coupled and are pressed from one side towards an axially-located member
    • F16D13/54Clutches with multiple lamellae ; Clutches in which three or more axially moveable members are fixed alternately to the shafts to be coupled and are pressed from one side towards an axially-located member with means for increasing the effective force between the actuating sleeve or equivalent member and the pressure member
    • F16D13/56Clutches with multiple lamellae ; Clutches in which three or more axially moveable members are fixed alternately to the shafts to be coupled and are pressed from one side towards an axially-located member with means for increasing the effective force between the actuating sleeve or equivalent member and the pressure member in which the clutching pressure is produced by springs only
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16DCOUPLINGS FOR TRANSMITTING ROTATION; CLUTCHES; BRAKES
    • F16D13/00Friction clutches
    • F16D13/22Friction clutches with axially-movable clutching members
    • F16D13/38Friction clutches with axially-movable clutching members with flat clutching surfaces, e.g. discs
    • F16D13/52Clutches with multiple lamellae ; Clutches in which three or more axially moveable members are fixed alternately to the shafts to be coupled and are pressed from one side towards an axially-located member
    • F16D13/54Clutches with multiple lamellae ; Clutches in which three or more axially moveable members are fixed alternately to the shafts to be coupled and are pressed from one side towards an axially-located member with means for increasing the effective force between the actuating sleeve or equivalent member and the pressure member
    • F16D13/56Clutches with multiple lamellae ; Clutches in which three or more axially moveable members are fixed alternately to the shafts to be coupled and are pressed from one side towards an axially-located member with means for increasing the effective force between the actuating sleeve or equivalent member and the pressure member in which the clutching pressure is produced by springs only
    • F16D2013/565Clutches with multiple lamellae ; Clutches in which three or more axially moveable members are fixed alternately to the shafts to be coupled and are pressed from one side towards an axially-located member with means for increasing the effective force between the actuating sleeve or equivalent member and the pressure member in which the clutching pressure is produced by springs only with means for releasing the clutch pressure in case of back torque

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の減速時に、主軸
(伝達軸)とエンジンとの間で生じる反トルクを減少さ
せる多板クラッチに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、高速回転型の出力特性を有する
自動二輪車では、例えばエンジンをクランク軸及び1次
減速機を介してクラッチに接続することにより、減速比
を大きくしている。しかし、減速比を大きくした場合に
は、走行している自動二輪車を減速した場合などに、反
トルク(減速時にエンジン回転とホイールの回転とがず
れることにより生じるトルク)が大きくなり、エンジン
に負荷がかかることになる。そこで、自動二輪車の多板
クラッチには、反トルクによるエンジンへの負荷を低減
する機構が設けられている。
【0003】従来、上記機構を有する多板クラッチとし
ては、例えば、特開昭61−96222のように、減速
時の反トルク入力時に、反トルクにより駆動するカム機
構により、プレッシャープレートをクラッチ接続解除方
向に押圧してクラッチ容量を下げて、摩擦板どうしを滑
らせてエンジンとホイールとの間に生じた回転のずれを
吸収するものがあった。
【0004】すなわち、上記多板クラッチは、該多板ク
ラッチに反トルクが入力した際に、複数のクラッチスプ
リングによりクラッチ接続方向に押圧されたプレッシャ
ープレートをクラッチスプリングの付勢力に抗してクラ
ッチ接続解除方向に押圧するものである。
【0005】また、エンジンへの負荷を低減する別の機
構として、特開昭61−294219のように、反トル
ク入力時に、反トルクにより駆動するカム機構により、
クラッチスプリングを支持するクラッチプリングボルト
を、プレッシャープレートに対するクラッチスプリング
の付勢力を弱める方向に移動させて、クラッチ容量を下
げて、摩擦板どうしを滑らせてエンジンとホイールとの
間に生じた回転のずれを吸収するものがあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
多板クラッチのうちの前者の多板クラッチでは、クラッ
チ容量を下げて摩擦板どうしを滑らすために、クラッチ
装置の中では、比較的大きくて重いプレッシャープレー
トを移動させる必要があり、さらに、上記多板クラッチ
においては、クラッチハブをメインハブとサブハブとに
分割し、このサブハブをカム機構により移動させてプレ
ッシャープレートを移動させるようにしている。
【0007】以上のことから、反トルクに対応して、サ
ブハブ及びプレッシャープレートを移動させてクラッチ
容量を下げようとした場合に、サブハブ及びプレッシャ
ープレートが、その比較的大きな慣性力により、瞬間的
な反トルクに追従して急に移動することができない。従
って、上記多板クラッチは、瞬間的な反トルクに対応す
ることができない。すなわち、反トルクが瞬間的に多板
クラッチに入力された場合に、クラッチ容量を瞬時に下
げて、摩擦板どうしをスリップさせることができず、反
トルク入力初期に、エンジンに負荷がかかる可能性があ
る。
【0008】また、上記従来の多板クラッチの後者は、
反トルクが入力していない状態の時に、クラッチスプリ
ングの付勢力を一定に保つようにクラッチスプリングの
位置を規制するのにクラッチスプリングの付勢力に抗し
てクラッチスプリングボルトを付勢するスラストワッシ
ャ(皿ばね)を用いている。すなわち、クラッチスプリ
ングボルトは、クラッチスプリングよりもかなり大きな
付勢力を有する皿ばねにより付勢された状態になってい
る。
【0009】そして、上記単板クラッチにおいては、反
トルク入力時にクラッチスプリングの一端を規制するク
ラッチスプリングボルトをクラッチスプリングを延ばす
方向に移動することによりクラッチスプリングのプレッ
シャープレートにかかる付勢力を低減する方式なので、
クラッチスプリングの付勢力を摩擦板どうしがスリップ
するまで、低減させるために、クラッチスプリングボル
トの移動量を大きく取る必要がある。
【0010】従って、上記多板クラッチでは、反トルク
入力時に、摩擦板どうしをスリップさせるのに、皿ばね
の付勢力に抗してクラッチスプリングボルトを大きく移
動させる必要があるので、摩擦板どうしをスリップさせ
るのに、比較的大きな力により、皿ばねを大きく収縮さ
せる必要がある。すなわち、上記多板クラッチにおいて
は、摩擦板をスリップさせるのに大きな反トルクを必要
とし、反トルクが小さい場合には、摩擦板をスリップさ
せることができず、エンジンに反トルクによる負荷がか
かる可能性がある。
【0011】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、瞬間的な反トルクや小さな反トルクにも追従し
て、反トルクによりエンジンへの負荷を低減することが
できる多板クラッチを提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
は、摩擦駆動板を伝達軸長手方向に摺動可能に備えたク
ラッチアウターと、上記摩擦駆動板と交互に配される摩
擦被動板を同じく伝達軸長手方向に摺動可能に備えたク
ラッチセンターと、上記各摩擦駆動板及び摩擦被動板を
押しつけてクラッチ接続を行なうための伝達軸長手方向
に移動可能なプレッシャープレートと、このプレッシャ
ープレートをクラッチ接続方向に付勢する複数のクラッ
チスプリングと、上記プレッシャープレートをクラッチ
接続解除方向に移動させるクラッチ解除機構とを具備し
てなる多板クラッチにおいて、上記伝達軸に相対回動不
能で且つ反トルク入力時に上記クラッチセンターに対し
て反トルク方向に相対回転可能なセンタボスと、上記複
数のクラッチスプリングの少なくとも一部のクラッチス
プリングの一端部に連繋するリフタロッドとを備え、上
記センタボスが反トルクを受け回転した際に、上記セン
タボスの外周側縁に設けられたカム面に上記リフタロッ
ドが乗り上げることにより、リフタロッドに連繋するク
ラッチスプリングの一端部をクラッチ接続解除方向に移
動させるカム機構のばね休止手段が設けられていること
を特徴とする。
【0013】また、請求項2に記載の発明は、摩擦駆動
板を伝達軸長手方向に摺動可能に備えたクラッチアウタ
ーと、上記摩擦駆動板と交互に配される摩擦被動板を同
じく伝達軸長手方向に摺動可能に備えたクラッチセンタ
ーと、上記各摩擦駆動板及び摩擦被動板を押しつけてク
ラッチ接続を行なうための伝達軸長手方向に移動可能な
プレッシャープレートと、このプレッシャープレートを
クラッチ接続方向に付勢する複数のクラッチスプリング
と、上記プレッシャープレートをクラッチ接続解除方向
に移動させるクラッチ解除機構とを具備してなる多板ク
ラッチにおいて、上記伝達軸に相対回動不能で且つ反ト
ルク入力時に上記クラッチセンターに対して反トルク方
向に相対回転可能なセンタボスと、上記クラッチセンタ
ーに対して相対回転不能で且つ上記複数のクラッチスプ
リングの少なくとも一部のクラッチスプリングの一端部
に連繋する一つのスプリングリフト部とを備え、上記セ
ンタボスが反トルクを受け回転した際に、上記スプリン
グリフト部のカム部と上記センタボスのフランジ部に設
けられた球面状凹部に挟持されたカム用ボールに上記ス
プリングリフト部が乗り上げることにより、スプリング
リフト部に連繋するクラッチスプリングの一端部をクラ
ッチ接続解除方向に移動させるカム機構のばね休止手段
が設けられていることを特徴とする。
【0014】
【作用】上記構成によれば、ばね休止手段により、上記
クラッチスプリングのプレッシャープレートをクラッチ
接続方向に付勢する一端部を、反トルク入力時にクラッ
チ接続解除方向に移動させることによって、該クラッチ
スプリングがプレッシャープレートを押圧できなくな
る。すなわち、本発明の多板クラッチにおいては、クラ
ッチスプリングの一端部が、プレッシャープレートを押
圧できないように僅かに移動するだけでよく、比較的質
量が大きいために慣性力が大きいプレッシャープレート
を移動する必要がない。また、本発明の多板クラッチに
おいては、クラッチスプリングのプレッシャープレート
を付勢する一端部をプレッシャープレートから僅かに離
すことにより、反トルク入力時に摩擦板を滑らすことが
できる。すなわち、クラッチスプリングを僅かに収縮さ
せるだけであり、摩擦板を滑らすのに大きな力を必要と
しない。すなわち、入力された反トルクを利用して摩擦
板を滑らせようとした場合に、小さな反トルクでも摩擦
板を滑らすことが可能となる。
【0015】従って、クラッチ容量が減少し、減速時の
エンジンの回転とホイールの回転のずれは、クラッチの
摩擦板のすべりにより一部が吸収される。また、本発明
の多板クラッチは、ばね休止手段が反トルクに基づいて
作動するカム機構を備えており、反トルクに対して機械
的にダイレクトに作動するため、応答遅れがない。しか
も、前記カム機構は、請求項1の発明の多板クラッチで
はセンタボスに設けられたカム面とリフタロッドにより
構成され、請求項2の発明の多板クラッチではスプリン
グリフト部のカム部とセンタボスに設けられた球面状凹
部とカム用ボールにより構成されているので、構造が簡
便で、部品点数が少なく、組み付け性も容易で、コスト
面でも有利である。また、本発明の多板クラッチでは、
クラッチアッセンブリ内でバネ休止手段を完結すること
ができるので、伝達軸方向の全幅を小さくすることがで
き、多板クラッチを小型にできる。特に、請求項2の発
の多板クラッチでは、カム機構にボールが介在するの
でよりスムーズな作動を実現できる。
【0016】また、複数のクラッチスプリングのうちの
一部にばね休止手段を設けることにより、ばね休止手段
が作動した際のクラッチ容量の減少量が、クラッチスプ
リング全体に対するばね休止手段の設けられたクラッチ
スプリングの数で、決められることになり、反トルク入
力時のクラッチ容量の減少量を容易に決めることができ
る。
【0017】
【実施例】以下本発明の第1実施例を、図面を参照して
説明する。図1ないし図3(A),(B)は、本実施例
の多板クラッチAを示すものであり、この第1実施例の
多板クラッチAは、自動二輪車等の車両に使用され、変
速機主軸(伝達軸)1と同軸心に配置されると共に、エ
ンジンのクランクギア(図示略)と主軸1とを断続自在
に接続するものである。
【0018】そして、この第1実施例の多板クラッチA
は、摩擦駆動板(クラッチディスク)2a…を主軸1長
手方向に摺動可能に備えたクラッチアウター3と、上記
摩擦駆動板2a…と交互に配される摩擦被動板(クラッ
チプレート)2b…を同じく主軸1長手方向に摺動可能
に備えたクラッチセンター4と、上記各摩擦板2(クラ
ッチディスク2a及びクラッチプレート2b)を押しつ
けてクラッチ接続を行なうための主軸長手方向に移動可
能なプレッシャープレート5と、このプレッシャープレ
ート5をクラッチ接続方向に付勢する複数のクラッチス
プリング(コイルスプリング)6…(図1及び図2に一
つだけ図示)と、上記プレッシャープレート5をクラッ
チ接続解除方向に移動させるクラッチ解除機構7と、複
数のクラッチスプリング6…のうちの全数もしくは一部
のクラッチスプリング6…に設けられたばね休止手段8
(図1に一つだけ図示)とを主体として構成されるもの
である。
【0019】上記クラッチアウター3は、有底筒状に形
成され、その底部が、クランクギアと歯合されかつ主軸
1にローラー軸受9aを介して回動自在に外挿される駆
動ギア9に、複数のリベット9b…(図1及び図2に一
つだけ図示)により結合されている。そして、クラッチ
アウター3の内周面には、軸方向に延びる割溝3aが内
周方向に間隔を隔てて複数本(図1及び図2に一本だけ
図示)設けられている。この割溝3aには、略ドーナツ
状のクラッチディスク2aの外周に割溝3aに対応して
設けられた突起部2cが、割溝3aに沿って摺動可能に
係合されている。
【0020】上記クラッチセンター4は、略円筒状に形
成され、後述するセンターボス10を介して、主軸1の
先端部に該主軸1と略一体的に回転可能に外挿されてい
る。そして、その外周面には、軸方向に延びる割溝4a
が外周方向に間隔を隔てて複数本(図1及び図2に一本
だけ図示)設けられている。この割溝4aには、略ドー
ナツ状のクラッチプレート2bの内周に割溝に対応して
設けられた突起部2dが割溝4aに沿って摺動可能に係
合されている。そして、上記クラッチプレート2bは、
各クラッチディスク2aの間に配置されている。また、
クラッチセンター4の後端部外周には、外周に沿って径
方向に延出するフランジ部4bが設けられ、このフラン
ジ部4bが、最も後端側のクラッチディスク2aに対向
してクラッチディスク2a及びクラッチプレート2bを
後端側から支持するようになっている。
【0021】上記プレッシャープレート5は、略円盤状
で、その外周側縁部5aが最も先端側に配置されたクラ
ッチディスク2aに対向して、クラッチアウター3の開
口部分を塞ぐように設けられている。そして、プレッシ
ャープレート5は、複数本のクラッチスプリング6…に
より主軸長手方向に沿ってクラッチセンター4のフラン
ジ部4bに向かって付勢され、それによりフランジ部4
bとプレッシャープレート5との間にクラッチディスク
2aとクラッチプレート2bとを圧接している。
【0022】上記クラッチ解除機構7は、プレッシャー
プレート5の中心部に嵌着されたレリーズ軸受5bと、
該レリーズ軸受5bに先端を当接させたレリーズロッド
7aとからなる。そして、レリーズロッド7aは、主軸
1と同一軸心に配置されると共に、主軸1の内周孔1a
を貫通し、適宜の伝達機構を介して例えばクラッチレバ
ー(図示略)に連動連結している。
【0023】次に、上記ばね休止手段8…及び該ばね休
止手段8が設けられたクラッチスプリング6…の設置構
造について詳細に説明する。このばね休止手段8…は、
多板クラッチAに反トルクが入力した際に、プレッシャ
ープレート5をクラッチセンター4のフランジ部4bに
付勢するクラッチスプリング6…を無効にするものであ
る。
【0024】このばね休止手段8…の設けられたクラッ
チスプリング6…は、これらクラッチスプリング6…の
数に対応して、プレッシャープレート5の同一半径上に
設けられたスプリング配置孔5cの中に配置されてい
る。また、プレッシャープレート5のスプリング配置孔
5cの周縁部には、駆動ギア9側面に主軸1長手方向に
沿って突出する案内筒部5dが設けられている。そし
て、この案内筒部5dには、筒状のスプリングホルダー
11が、案内筒部5d内周面に沿って主軸1長手方向に
摺動自在に挿入されている。
【0025】該スプリングホルダー11は、クラッチス
プリング6のプレッシャープレート5をクラッチ接続方
向に押圧する一端を受けるように、該スプリングホルダ
ー11の駆動ギア9側の一方の端縁部11aが、スプリ
ングホルダー11の内周側に径方向に沿ってせばまるよ
うに形成されている。そして、スプリングホルダーの他
方の端縁部11bは、プレッシャープレート5のスプリ
ング配置孔5c周縁部に、プレッシャープレート5の外
面側から掛止されるように、スプリングホルダー11の
外周側に径方向に沿ってに広がるように形成されてい
る。
【0026】また、案内筒部5d内には、クラッチセン
ター4のプレッシャープレート5に対向する側面から延
出する筒状の第1の延出部4cがスプリングホルダー1
1とクラッチスプリング6の中心部とを貫通して設けら
れている。そして、第1の延出部4cの先端には、ボル
ト4dによりばね受座4eが締結されており、このばね
受座4eとスプリングホルダー11の一方の端縁11a
との間にクラッチスプリング6が縮設されている。
【0027】また、上記第1の延出部4cの内側には、
リフターロッド12が第1の延出部4cの内周面にそっ
て主軸1長手方向に沿って摺動自在に挿入されている。
なお、図1においては、リフターロッド12をその中心
線cにおいて分割し、後述する2つの状態に分けて図示
している。
【0028】該リフターロッド12は、その前部が、第
1の延出部4c内部に摺動可能に挿入される円柱状のロ
ッド部12aとされている。該ロッド部12aの後端に
は、一側面をロッド部12a後端に一体に接合されると
共にロッド部12aと同軸心でかつロッド部12aより
半径の大きい円盤状の円盤部12bが設けられている。
円盤部12bの他側面側には、略半球状に突出する突出
部12cが一体に設けられている。また、円盤部12b
の一側面の周縁部には、嵌合孔12eが設けられてい
る。そして、この嵌合孔12eに複数の押圧ピン12d
…が、ロッド部12aと平行に延出した状態に嵌合され
ている。そして、該押圧ピン12dの先端は、クラッチ
センター4を貫通して、クラッチスプリング6により駆
動ギア9側に付勢されたスプリングホルダー11の後端
部に当接している。
【0029】従って、リフトロッド12は、スプリング
ホルダー11と後述するセンターボス10のフランジ部
10aの間に介在し、後述するカム機構14によりスプ
リングホルダー11をリフトさせる機能を有する。但し
正トルク回転時に、リフターロッド12は、フランジ部
10aとスプリングホルダー11との間でクリアランス
を有しクラッチ容量の低下のない状態となっている。
【0030】次に主軸1とクラッチセンター4との接合
構造について説明する。主軸1の先端部外周には、略円
筒状のセンターボス10がスプライン嵌合されるととも
に、ナット10cにより主軸1長手方向に移動不可能に
固定されている。該センターボス10は、略円筒状に形
成され、その後端部に外周に沿って径方向に延出するフ
ランジ部10aが設けられている。そして、このセンタ
ーボス10は、その外周のフランジ部10aより前端側
に、クラッチセンター4の中心孔4fが回動自在に嵌合
されている。また、センターボス10のフランジ部10
aとクラッチセンター4とは、反トルク負荷回転方向に
所定角度だけ回転するドグクラッチ(図示略)で接合さ
れており、複数のカットスプリング13により所定のト
ルクで正トルク回転方向に負荷されていて、反トルクに
よりクラッチセンターが所定角回転した後、反トルクが
解除された場合、ただちに、元の位置に戻すためのトル
クを発生させる。
【0031】そして、センターボス10のフランジ部1
0aの上記リフターロッド12後端が当接する部分に
は、図1の中心線cにおける要部断面拡大図である図3
(A)及び図3(B)に示すようにカム機構14が設け
られている。該カム機構14は、センターボス10のフ
ランジ部10aの外周側縁に設けられたカム斜面10d
とリフターロッド12の後端面の略半球状の突出部12
cとから構成されている。
【0032】上記カム斜面10dは、回転方向(矢印
s)に行くに従いプレッシャープレート5側に向かう方
向(矢印p)に傾斜して形成されている。一方、リフタ
ーロッド12の後端には、前述したように半球状に突出
した突出部12cが設けられている。
【0033】そして、前述したセンターボス10に対し
てクラッチセンター4が互いに左右逆に回転可能な所定
角度とは、フランジ部10aのカム斜面に対してクラッ
チセンター4の第1の延出部4cに摺動自在に挿入され
たリフターロッド12が図3(A)に示す位置から図3
(B)に示す位置まで移動できる角度である。
【0034】上記構成において、スプリングホルダー1
1と、リフターロッド12と、カム機構14等とがクラ
ッチスプリング6に設けられたばね休止手段8を構成し
ている。そして、このばね休止手段8が多板クラッチA
に設けられた複数のクラッチスプリング6…のうちの全
数もしくは一部のクラッチスプリング6…に設けられて
いる。
【0035】次に、ばね休止手段8の設けられていない
他方のクラッチスプリング6の配置構造について説明す
る。他方のクラッチスプリング6は、図2に示すよう
に、これらクラッチスプリング6の数に対応してプレッ
シャープレート5に設けられた筒状凹部15内に配置さ
れている。そして、該凹部15内には、クラッチセンタ
ー4のプレッシャープレート5に対向する側面から延出
する筒状の第2の延出部16が凹部15の底部とクラッ
チスプリング6の中心部とを貫通して設けられている。
【0036】そして、第2の延出部16の先端には、ボ
ルト4dによりばね受座4eが締結されており、このば
ね受座4eと凹部15の底部との間にクラッチスプリン
グ6が縮設されている。
【0037】次に、この第1実施例の多板クラッチAの
作用について説明する。まず多板クラッチA全体の接続
及び接続解除について簡単に説明する。クラッチ接続時
においては、クラッチディスク2a及びクラッチプレー
ト2bは、クラッチスプリング6の付勢力によりプレッ
シャープレート5とクラッチセンター4のフランジ部4
bの間に圧接されている。
【0038】クラッチ接続解除の場合には、クラッチレ
バーの操作によりレリースロッド7aを主軸1長手方向
に沿ってプレッシャープレート5側に移動させ、それに
よりレリース軸受け5bと共にプレッシャープレート5
をクラッチスプリング6に抗して接続解除方向(図中左
方)に移動させる。プレッシャープレート5の移動によ
り、プレッシャープレート5とフランジ部4bとの間の
クラッチディスク2aとクラッチプレート2bの圧接状
態は解除され、クラッチ接続を解除される。
【0039】次に、クラッチスプリング6の休止手段の
作用について説明する。車両が増速走行時あるいは通常
走行時には、クラッチセンター4からセンターボス10
に対して回転方向前方側にトルクがかかりドグクラッチ
を介してセンターボス10が回転する。そして、この際
には、センターボス10のカム斜面10dと、リフター
ロッド12の突出部の位置関係は、図3(A)に示す状
態になっている。
【0040】車両が減速走行時あるいは、車両停止に至
る間の状態においては、主軸1側が慣性で回転しようと
しているのに対して駆動ギア9側にエンジン制動がかか
っており、クラッチセンター4側のリフターロッド12
に対してセンターボス10のカム斜面10dが、第3図
(B)の矢印rに示すように、回転方向sの反対方向に
トルクがかかり、カム斜面10dが矢印r方向に移動
し、リフターロッド12の後端面がカム斜面10dに乗
り上げて、リフターロッド12は矢印pで示されるプレ
ッシャープレート5方向に移動するようになっている。
【0041】そして、リフターロッド12の先端は、ス
プリングホルダー11の後端に当接しているので、スプ
リングホルダー11は、図1のリフターロッド12及び
スプリングホルダー11を中心線cで上下に半分に分け
た図1の下側の状態から上側の状態に押圧される。そし
て、スプリングホルダー11の他方の端縁部11bは、
プレッシャープレート5のスプリング配置孔5c周縁に
掛止されてプレッシャープレート5を押圧している状態
から、他方の端縁部11bがスプリング配置孔5c周縁
から離れて、クラッチスプリング6の付勢力を伝達しな
い状態になっている。すなわち、ばね休止手段8が、ク
ラッチスプリング6のプレッシャープレート5をクラッ
チ接続方向に付勢する一端を、反トルク入力時に付勢力
に抗してクラッチ接続解除方向に移動させた状態とな
る。
【0042】そして、ばね休止手段8をクラッチスプリ
ング6の全数に適用した場合には、カットスプリング1
3により設定された所定のトルクよりも大きな反トルク
が入力された場合、センターボス10に対しクラッチセ
ンター4が回転を生じ、ばね休止手段8がカム機構14
によりリフトしクラッチスプリング6の付勢力に抗して
クラッチ接続解除方向に移動させる。その為クラッチ容
量が低下し、クラッチに滑りが生じるが、この時のクラ
ッチ容量は、クラッチスプリング6の付勢力に抗してク
ラッチ接続解除方向に移動させるのに必要なトルクとバ
ランスしたものとなる。
【0043】この時、接続解除手段が大がかりなもの
で、慣性力が大きな場合、瞬間的な反トルク入力時で
は、接続解除手段を移動させる為に必要な力が大きくな
り、結果、クラッチに滑りが生ずるトルクも大きなもの
となる。よって、特開昭61−96222のように接続
解除手段が、クラッチハブ及びプレッシャープレートを
介して行なわれた場合、慣性力が大きく瞬間的なトルク
入力に対しては十分なクラッチ容量低下が得られなかっ
た。
【0044】そもそも、実機において過大な反トルクが
発生するのは、瞬間的なトルク変動が生じる場合である
ので、特開昭61−96222の構造では十分にその機
能を発揮するに至らなかった。これに対して本考案で
は、小型の解除手段を設け、さらに、プレッシャープレ
ートを押さずスプリングの一端を直接押すと言う最小限
の移動物としている為、瞬間的な反トルクに対しても十
分なクラッチ容量低下が得られるメリットがある。
【0045】また、同様に、クラッチスプリングの付勢
力が大きければそれに抗してクラッチを解除させる為の
力も大きくなるので、クラッチスプリングと逆方向の付
勢力を必要とする機構では、必ずその分の反トルク時の
クラッチ容量が上昇することとなる。これに対し、本考
案では、クラッチスプリング付勢力に対向するスプリン
グは全くなく、カットスプリング13は反トルクと直列
に挿入されている為、そのセット荷重がクラッチすべり
トルク以下であれば、反トルク時のクラッチ容量を上昇
させる事はなく、逆に前記構造に対し瞬間的な反トルク
時のクラッチ容量の小型化にも寄与できるものである。
【0046】以上のように本発明によれば、従来のもの
より反トルク時のクラッチ容量を小さくでき、また、瞬
間的な反トルクに対しても十分その機能を発揮できる構
造となっている。また、ばね休止手段8を一部のクラッ
チスプリング6に適用した場合には、上述のばね休止手
段8を全数に適用した場合と同様の効果を奏すると共
に、ばね休止手段8が設けられていないクラッチスプリ
ング6の付勢力は、そのまま残ることになるので、反ト
ルク時のクラッチ容量を段階的に調整できる効果があ
る。そのクラッチ容量Qは、以下に示す式でおおよそ表
わすことができる。 ばね休止手段8をクラッチスプリング6の全数に適用しな かった場合の反トルク時容量 ;Q1 ばね休止手段8をクラッチスプリング6の全数に適用した 場合の反トルク時容量 ;Q2 ばね休止手段8を適用したクラッチスプリング6の本数 ;A ばね休止手段8を適用されていないクラッチスプリング6 の本数 ;B Q=(Q1−Q2)B/(A+B)+Q2
【0047】以上のように、第1実施例の反トルク減少
装置によれば、反トルクが入力して、リフターロッド1
2がカム斜面10dに乗り上げ始める僅かな時間で、休
止手段8の設けられたクラッチスプリング6が、プレッ
シャープレート5を押圧できなくなり、クラッチ容量が
上記クラッチスプリング6分だけ減少する。従って、こ
の第1実施例の多板クラッチAは、反トルクの入力時
に、迅速に反応して一気にばね休止手段8の設けられた
クラッチスプリング6の付勢力分だけクラッチ容量を減
少するので、瞬間的な反トルクや小さな反トルクにも追
従することができ、主軸1側に必要以上の制動力が伝達
されるのを防止しするとともにこれら反トルクによるエ
ンジンへの負荷を低減することができる。
【0048】また、微小な反トルクが入力した場合に
は、カットスプリング13がダンパーとなって、反トル
クによりクラッチセンター4に対してセンターボス10
が逆回転方向に回転しようとする力を吸収してばね休止
手段8が働くのを抑えて、プレシャープレート5やばね
休止手段8ががたつくのを防止している。
【0049】なお、本発明の多板クラッチAは、上記第
1実施例に限られるものではなく、各部材の形状、寸
法、材質等の具体的構成要件は、実施に当たり適宜変更
可能である。例えば、クラッチスプリング6をコイルス
プリングではなく、板ばねとし、該板ばねのプレッシャ
ープレート5をクラッチ接続方向に押圧する一端を、リ
フターロッド12によりクラッチ接続解除方向に移動さ
せるものとしてもよい。また、カム機構部にボールまた
はローラーを挿入しても良い。
【0050】
【0051】次に、図4ないし図7に示す本発明の第2
実施例について説明する。この第2実施例の多板クラッ
チBのばね休止手段20は、前記第1実施例の多板クラ
ッチAのばね休止手段8が、各クラッチスプリング6…
ごとに配置されたリフターロッド12…により、クラッ
チスプリング6の一端部を押し上げるのに対して、図4
等に示すように、一つのリング状のスプリングリフト部
21により、各クラッチスプリング6…の一端部を押し
上げるようにしたものである。なお、第2の実施例の多
板クラッチBの前記第1の実施例と同様の構成要素につ
いては、同一の符号を付けてその説明を省略する。
【0052】前記スプリングリフト部21は、図5及び
図6に示すよに、リング状に形成されたもので、その中
心部には、円形の穴21aが形成され、その外周部に
は、クラッチスプリング6後端に配置されたリング22
を押圧するリフト部21bと、スプリングリフト部21
をプレッシャープレート5に向かって移動させるための
カム部21cとが形成されている。
【0053】前記スプリングリフト部21の穴21a
は、図4に示すように、スプリングリフト部21をセン
ターボス10に外挿するためのものである。そして、ス
プリングリフト部21は、センターボス10のフランジ
部10aの前面と、クラッチセンター4の後面との間に
前後動自在に配置されるようになっている。そして、ス
プリングリフト部21は、センターボス10に対して、
クラッチセンター4と一体に回動自在となっている。な
お、クラッチセンター4は、上述のように、センターボ
ス10に対する回転をドククラッチにより規制されてい
る。
【0054】前記リフト部21bは、リング状のスプリ
ングリフト部21に対して、直角に立設されており、そ
の先端部21d、21dが二股に分割された形状となっ
ている。そして、これら先端部21d、21dが、該先
端部21d、21dに対応してクラッチセンター4に設
けられた貫通孔4gに挿入されている。そして、これら
先端部21d、21dの先端がクラッチスプリング6の
後端に配置されたリング22に近接するようになってい
る。
【0055】なお、プレッシャープレート5の筒所凹部
15aの底部は、前記第1実施例の筒状凹部15の底部
と異なり、図4に示すように多板クラッチBの中心側が
切り欠かれた構成となっており、前記先端部21dが、
筒状凹部15aの底部に遮られることなく、前記リング
22に当接できるようになっている。そして、スプリン
グリフト部21は、クラッチセンター4の貫通孔4gに
挿入されることで、クラッチセンター4と一体に回転す
るようになっている。
【0056】そして、図7に示すように、スプリングク
ラフト部21の左右に隣合う二つのリフト部21bの隣
合う先端部21d、21dが前記リング22の左右後面
に近接するようになっている。なお、図5においては、
クラッチスプリング6とスプリングリフト部21の関係
を示すためにクラッチセンター4等を省略して図示し
た。
【0057】前記カム部21cは、前記リフト部21b
と互い違いに、すなわち、リフト部21b同士の間から
スプリングリフト部21の外周側に延出して形成され、
その先端部の向かって左側(図7中)の部分が上側に凸
となるように湾曲した湾曲部21eが形成されている。
また、カム部21cの先端部の向かって右側(図7中)
は、センターボス10のフランジ部10aの前面と平行
かつスプリングリフト部21の中央部分と面一な平面を
構成する平面部21fとなっている。
【0058】そして、このスプリングリフト部21は、
カム機構14aにより、その先端部21dが、リング2
2を介してプレッシャープレート5の筒状凹部15aの
底部をクラッチ入り側(図7中下方)に付勢しているク
ラッチスプリング6の一端部をクラッチ切り側(図7中
上方)に押圧し、筒状凹部15aの底部にかかるクラッ
チスプリング6の付勢力をカットするようになってい
る。
【0059】前記カム機構14aは、センターボス10
のフランジ部10aの前面側に設けられた球面状凹部2
3と、該凹部23に転動自在に配置されたカム用ボール
24と、スプリングリフト部21のカム部21cとから
構成されるものである。
【0060】前記ボール24は、前記凹部23内に配置
された状態で、センターボス10のフランジ部10aの
前面とスプリングリフト部21のカム部21cの後面と
に挟持された状態になっている。そして、多板クラッチ
Bに反トルクが入力していない状態で、図7に示すよう
に、スプリングリフト部21は、そのカム部21cの湾
曲部21eの下にボール21が配置される位置となって
いる。そして、スプリングリフト部21は、多板クラッ
チBに反トルクが入力された場合に、センターボス10
に対して、クラッチセンター4と共に、矢印S’方向に
回転し、カム部21cの平面部21fが、ボール24の
上に乗り上げた状態になり、矢印P’方向に移動するよ
うになっている。従って、スプリングリフト部21のリ
フト部21cがクラッチスプリング6の後端をリング2
2を介して、図7中上方に押し上げるようになってい
る。
【0061】前記第2の実施例の多板クラッチBは、上
記第1の実施例の多板クラッチAと同様に作用し、か
つ、多板クラッチAと同様の効果を奏すると共に、さら
に、第1の実施例の多板クラッチAよりも簡単な構成
で、反トルクによりエンジンに負荷がかかるのを防止す
ることができる。
【0062】なお、第2の実施例において、スプリング
リフト部21は、5本のクラッチスプリング6に対応す
るようになっていたが、クラッチスプリング6の本数は
特に限定されるものではない。また、第2の実施例にお
いてスプリングリフト部21は、全てのクラッチスプリ
ング6を休止するようになっているが、一部のリフト部
21bの先端部21dをなくすことにより、多板クラッ
チBに配置されたクラッチスプリング6のうちの一部の
クラッチスプリング6だけを休止するようにしてもよ
い。
【0063】(実験例1)以下に、図8を参照して、第
1の実施例の多板クラッチAを用いて行なった実験例1
について説明する。この実験例1は、第1の実施例の多
板クラッチAを備えた自動二輪車(本発明装着車)と一
般のスタンダード(STD)なクラッチを備えた自動二
輪車(本発明非装着車)とを、舗装路面上において、オ
ンロード用タイヤ装着により、ホッピングさせ、カウン
ターシャフト(C/S)発生トルクを実装収録したもの
である。
【0064】実験条件は、変速機を2ndにした状態
で、エンジンの回転数を5000rpmにし、この状態
で、クラッチを切り、変速機をLowにし、エンジンの
回転数が2000rpmになったところで、クラッチを
接続した。また、多板クラッチAは、クラッチスプリン
グ6を6本有するものを使用した。また、多板クラッチ
Aのカム機構14のカム斜面10dの角度を22度とし
た。
【0065】実験結果は、図8のグラフに示すように、
本実施例の多板クラッチAにおいては、STDクラッチ
に比較して、ホッピングした際のC/S発生トルクの波
形のピークが低く、また、その収束時間が短い。さら
に、発生トルクの低下により、加速側へのピークがな
く、加速側への揺り返しの大幅な減少が見られる。
【0066】(実験例2)以下に図9及び図10に示す
グラフを参照して、実験例2を説明する。この実験例2
は、排気量が250mlで、クラッチスプリング6を6
本有する上記第1の実施例の多板クラッチAを備えた自
動二輪車(図7のグラフ)と、排気量が125mlで、
クラッチスプリングを5本有する上記第1の実施例の多
板クラッチAを備えた自動二輪車(図8のグラフ)とに
おいて、スプリング休止手段8を設けたクラッチスプリ
ング6の本数を変更して、スプリング休止手段8を作動
させた際のクラッチ容量を測定したものである。
【0067】なお、上記2台の自動二輪車においては、
カム機構14のカム斜面10dの角度を22度とし、セ
ンターボス10とクラッチセンター4とをつなぐカット
スプリング13の本数を3本とした。
【0068】図9及び図10のグラフに示すように、実
際にスプリング休止手段8が作動した際のクラッチ容量
は、前記式Q=(Q1−Q2)B/(A+B)+Q2に
よって示された値と略等しくなる。すなわち、スプリン
グ休止手段8を設けるクラッチスプリング6の本数を変
更することにより、反トルク時のクラッチ容量を希望す
る容量に段階的に変更することが可能となる。
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば次
のような優れた効果を奏することができる。 a、プレッシャープレートを付勢する複数のクラッチス
プリングのうちの全数または一部のクラッチスプリング
にばね休止手段が設けられ、かつばね休止手段がプレッ
シャープレートを直接押圧するものではなく、クラッチ
スプリングの付勢力を無効にするものなので、付勢力解
除手段の慣性力が小さく、また、クラッチスプリングに
対向するスプリングの付勢力がないので、瞬間的な反ト
ルクや小さな反トルクに対応でき、反トルクによるエン
ジンへの負荷の低減及び伝達軸への必要以上の制動力の
伝達の防止をすることができる。
【0069】また、ばね休止手段が反トルクに基づいて
作動するカム機構を備えており、反トルクに対してばね
休止手段が機械的にダイレクトに作動するため、応答遅
れがない。しかも、前記カム機構は、請求項1の発明の
多板クラッチではセンタボスに設けられたカム面とリフ
タロッドにより構成され、請求項2の発明の多板クラッ
チではスプリングリフト部のカム部とセンタボスに設け
られた球面状凹部とカム用ボールにより構成されている
ので、構造が簡便で、部品点数少なく、組み付け性も
容易で、コスト面でも有利である。また、クラッチアッ
センブリ内でバネ休止手段を完結することができるの
で、伝達軸方向の全幅を小さくすることができ、多板ク
ラッチを小型にできる。特に、請求項2に記載の多板ク
ラッチでは、カム機構にボールが介在するので、よりス
ムーズな作動を実現できる。b、また、ばね休止手段を
一部のスプリングのみに適用することにより反トルク時
のクラッチ容量を変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】上記第1の実施例の多板クラッチを示す縦断面
図である。
【図2】上記多板クラッチを示す縦断面図である。
【図3】 (A)上記多板クラッチのカム機構を示す図1の中心線
cにおける要部断面図である。 (B)上記カム機構を示す図1の中心線cにおける要部
断面図である。
【図4】上記第2の実施例の多板クラッチを示す縦断面
図である。
【図5】上記多板クラッチのスプリングリフト部を示す
平面図である。
【図6】上記スプリングリフト部を示す図5のVI−VI矢
視断面図である。
【図7】上記多板クラッチにおけるスプリングリフト部
とクラッチスプリングとの関係を説明するための斜視図
である。
【図8】上記実施例の実験例1を説明するためのグラフ
である。
【図9】上記実施例の実験例2を説明するためのグラフ
である。
【図10】上記実験例2を説明するためのグラフであ
る。
【符号の説明】
1 主軸(伝達軸) 2 摩擦板 2a クラッチディスク 2b クラッチプレート 3 クラッチアウター 4 クラッチセンター 5 プレッシャープレート 6 クラッチスプリング 7 クラッチ解除機構 8 ばね休止手段 20 ばね休止手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−186037(JP,A) 特開 昭61−96222(JP,A) 特開 昭61−294249(JP,A) 実開 昭61−13032(JP,U) 特公 昭42−20935(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16D 11/00 - 23/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 摩擦駆動板を伝達軸長手方向に摺動可能
    に備えたクラッチアウターと、上記摩擦駆動板と交互に
    配される摩擦被動板を同じく伝達軸長手方向に摺動可能
    に備えたクラッチセンターと、上記各摩擦駆動板及び摩
    擦被動板を押しつけてクラッチ接続を行なうための伝達
    軸長手方向に移動可能なプレッシャープレートと、この
    プレッシャープレートをクラッチ接続方向に付勢する複
    数のクラッチスプリングと、上記プレッシャープレート
    をクラッチ接続解除方向に移動させるクラッチ解除機構
    とを具備してなる多板クラッチにおいて、上記伝達軸に
    相対回動不能で且つ反トルク入力時に上記クラッチセン
    ターに対して反トルク方向に相対回転可能なセンタボス
    と、上記複数のクラッチスプリングの少なくとも一部の
    クラッチスプリングの一端部に連繋するリフタロッドと
    を備え、上記センタボスが反トルクを受け回転した際
    に、上記センタボスの外周側縁に設けられたカム面に上
    記リフタロッドが乗り上げることにより、リフタロッド
    に連繋するクラッチスプリングの一端部をクラッチ接続
    解除方向に移動させるカム機構のばね休止手段が設けら
    れていることを特徴とする多板クラッチ。
  2. 【請求項2】 摩擦駆動板を伝達軸長手方向に摺動可能
    に備えたクラッチアウターと、上記摩擦駆動板と交互に
    配される摩擦被動板を同じく伝達軸長手方向に摺動可能
    に備えたクラッチセンターと、上記各摩擦駆動板及び摩
    擦被動板を押しつけてクラッチ接続を行なうための伝達
    軸長手方向に移動可能なプレッシャープレートと、この
    プレッシャープレートをクラッチ接続方向に付勢する複
    数のクラッチスプリングと、上記プレッシャープレート
    をクラッチ接続解除方向に移動させるクラッチ解除機構
    とを具備してなる多板クラッチにおいて、上記伝達軸に
    相対回動不能で且つ反トルク入力時に上記クラッチセン
    ターに対して反トルク方向に相対回転可能なセンタボス
    と、上記クラッチセンターに対して相対回転不能で且つ
    上記複数のクラッチスプリングの少なくとも一部のクラ
    ッチスプリングの一端部に連繋する一つのスプリングリ
    フト部とを備え、上記センタボスが反トルクを受け回転
    した際に、上記スプリングリフト部のカム部と上記セン
    タボスのフランジ部に設けられた球面状凹部に挟持され
    たカム用ボールに上記スプリングリフト部が乗り上げる
    ことにより、スプリングリフト部に連繋するクラッチス
    プリングの一端部をクラッチ接続解除方向に移動させる
    カム機構のばね休止手段が設けられていることを特徴と
    る多板クラッチ。
JP05002792A 1991-03-20 1992-03-06 多板クラッチ Expired - Fee Related JP3328311B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05002792A JP3328311B2 (ja) 1991-03-20 1992-03-06 多板クラッチ

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3-82036 1991-03-20
JP8203691 1991-03-20
JP05002792A JP3328311B2 (ja) 1991-03-20 1992-03-06 多板クラッチ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0571554A JPH0571554A (ja) 1993-03-23
JP3328311B2 true JP3328311B2 (ja) 2002-09-24

Family

ID=26390469

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP05002792A Expired - Fee Related JP3328311B2 (ja) 1991-03-20 1992-03-06 多板クラッチ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3328311B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2530348A1 (en) * 2010-01-27 2012-12-05 Kabushiki Kaisha F.C.C. Power transmission device
EP2781781A4 (en) * 2011-11-17 2016-08-17 Fcc Kk CLUTCH DEVICE

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11325219A (ja) * 1998-05-15 1999-11-26 Tochigi Fuji Ind Co Ltd クラッチ操作機構および該機構を備える動力伝達装置
JP2002089585A (ja) * 2000-09-19 2002-03-27 Nsk Warner Kk 湿式摩擦係合装置
JP2002250367A (ja) 2001-02-22 2002-09-06 Exedy Corp 多板クラッチ装置
JP4641645B2 (ja) * 2001-04-05 2011-03-02 本田技研工業株式会社 切り換えクラッチ
JP4423123B2 (ja) * 2004-06-29 2010-03-03 本田技研工業株式会社 車両用クラッチ装置
JP5149973B2 (ja) * 2011-02-07 2013-02-20 株式会社エクセディ トルク伝達装置
WO2016024557A1 (ja) * 2014-08-12 2016-02-18 株式会社エフ・シ-・シ- 動力伝達装置
JP6894792B2 (ja) * 2017-07-27 2021-06-30 株式会社エフ・シー・シー 動力伝達装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2530348A1 (en) * 2010-01-27 2012-12-05 Kabushiki Kaisha F.C.C. Power transmission device
EP2530348A4 (en) * 2010-01-27 2014-05-21 Fcc Kk POWER TRANSMISSION DEVICE
EP2781781A4 (en) * 2011-11-17 2016-08-17 Fcc Kk CLUTCH DEVICE

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0571554A (ja) 1993-03-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3378097B2 (ja) 摩擦クラッチ
JPH0573928B2 (ja)
JP3328311B2 (ja) 多板クラッチ
CA1193988A (en) Brake with torque limiting coupling
JP3378100B2 (ja) クラッチ構造
JP3699303B2 (ja) 摩擦クラッチ
JPS629028A (ja) 車両用クラツチ装置
WO2020116508A1 (ja) 動力伝達装置
JPH0212294B2 (ja)
JP2000055086A (ja) クラッチ装置のバックトルクリミッタ機構
JPH0674814B2 (ja) 摩擦クラッチ
JP3907372B2 (ja) クラッチ装置
JP4176168B2 (ja) 遠心クラッチ
JPS61149618A (ja) 多板摩擦クラツチ
JP3245292B2 (ja) クラッチプレート
JPH0135938Y2 (ja)
JP3304620B2 (ja) クラッチ操作機構
JPH0765628B2 (ja) 摩擦クラツチ
JP2813937B2 (ja) 連結装置
JPH0232894Y2 (ja)
JP3614544B2 (ja) 車両用動力伝達装置
JPH11159547A (ja) 車両用自動遠心クラッチ装置
JP3223207B2 (ja) 連結装置
JPH04316724A (ja) 多板遠心クラッチ
JP3227279B2 (ja) クラッチ装置

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20010206

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20020604

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees