JP2002250367A - 多板クラッチ装置 - Google Patents

多板クラッチ装置

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JP2002250367A
JP2002250367A JP2001045951A JP2001045951A JP2002250367A JP 2002250367 A JP2002250367 A JP 2002250367A JP 2001045951 A JP2001045951 A JP 2001045951A JP 2001045951 A JP2001045951 A JP 2001045951A JP 2002250367 A JP2002250367 A JP 2002250367A
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plate
piston
return spring
clutch device
teeth
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Masahiro Okubo
正博 大窪
Koji Yoneyama
弘司 米山
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Exedy Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多板クラッチ装置において省スペース化を図
る。 【解決手段】 ブレーキ装置7において、ミッションケ
ース21の内周面部31には複数の歯35が円周方向に
並んで形成されている。複数の第1ブレーキプレート2
4は、内周面部31の複数の歯35に係合する係合歯4
1,42を有し、内周面部31に対して相対回転不能に
かつ軸方向に移動可能となっている。複数の第2ブレー
キプレート25は、複数の第1ブレーキプレート24に
対して軸方向に交互に配置されている。ピストン22は
プレート24,25を互いに押し付けるための部材であ
る。リターンスプリング28は、内周面部31の歯35
間の深溝37内に配置され、最もピストン側に配置され
た最ピストン側第1プレート29をピストン22側に付
勢する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多板クラッチ装
置、特に、ピストンを戻すためのリターンスプリングを
有する多板クラッチ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両の自動変速機に用いられブ
レーキとしても機能する多板式クラッチ装置は、軸方向
に交互に並んだ複数の第1及び第2プレートと、油圧に
よって駆動され両プレートを互いに押し付けるためのピ
ストンとを備えている。多板クラッチ装置は、さらに、
ピストンを戻すことでクラッチを解除するリターンスプ
リングも備えている。
【0003】リターンスプリングとしては、例えば複数
のコイルスプリングが用いられている。コイルスプリン
グは円周方向に複数配置され、一端がリティーニングプ
レートによって支持され、他端がピストンに当接してい
る。リティーニングプレートは、壁面に軸方向の抜け止
めをされたスナップリングによってピストンからの荷重
を受けるようになっている。したがって、油圧が作用し
ていない状態でピストンはリターンスプリングから荷重
によって戻され、クラッチの連結が解除される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上に述べたリターン
スプリングの構造では、リティーニングプレート及びス
ナップリングを設けているため、部品点数が増え、コス
ト高・重量アップにつながる。さらには、リターンスプ
リング等を配置するために、軸方向に一定のスペースを
確保しなければならず、多板クラッチ装置の軸方向寸法
が大きくなる。
【0005】本発明の課題は、多板クラッチ装置におい
て省スペース化を図ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の多板ク
ラッチは、第1部材と、第2部材と、複数の第1プレー
トと、複数の第2プレートと、ピストンと、リターンス
プリングとを備えている。第1部材には複数の歯が円周
方向に並んで形成されている。第2部材は第1部材に半
径方向に対向して配置されている。複数の第1プレート
は、第1部材の複数の歯に係合する係合歯を有し、第1
部材に対して相対回転不能にかつ軸方向に移動可能とな
っている。複数の第2プレートは、複数の第1プレート
に対して軸方向に交互に配置され、第2部材に相対回転
不能にかつ軸方向に移動可能に係合する。ピストンは、
第1プレートと第2プレートを互いに押し付けるための
部材である。リターンスプリングは、第1部材の歯間の
溝内に配置され、最もピストン側に配置された最ピスト
ン側第1プレートをピストン側に付勢する。
【0007】この多板クラッチ装置では、ピストンが第
1プレートと第2プレートを互いに押し付けると、クラ
ッチが連結される。ピストンへの荷重が解除されると、
リターンスプリングから最ピストン側第1プレートを介
してピストンに作用する付勢力によって、ピストンは第
1及び第2プレートから離れる。この結果、多板クラッ
チ装置の連結が解除される。
【0008】リターンスプリングが第1部材の歯間の溝
内に配置されているため、従来におけるリターンスプリ
ングのスペースを省略できる。請求項2に記載の多板ク
ラッチ装置では、請求項1において、リターンスプリン
グは薄板ばねからなる。
【0009】この多板クラッチ装置では、薄板ばねを用
いることで省スペース化が可能となっている。ここでい
う薄板ばねとは、薄い板材を成形してばね作用を得るば
ねをいう。さらに詳細には、薄板ばねとは、板厚1mm
程度までの薄板をプレス加工によって任意の形状に成形
し、ばね作用を持たせたものである。
【0010】請求項3に記載の多板クラッチ装置では、
請求項2において、リターンスプリングは、最ピストン
側第1プレートの係合歯と、最もピストンから離れる側
の最反対側第1プレートの係合歯との間に配置されてい
る。
【0011】この多板クラッチ装置では、リターンスプ
リングは第1プレートによって支持されているため、リ
ターンスプリングを支持するための特別な部材が不要に
なる。
【0012】請求項4に記載の多板クラッチ装置では、
請求項1〜3のいずれかにおいて、リターンスプリング
は一端が最ピストン側第1プレートに係止されている。
この多板クラッチ装置では、リターンスプリングは最ピ
ストン側第1プレートによって位置決めされている。
【0013】請求項5に記載の多板クラッチ装置では、
請求項4において、リターンスプリングは一端が最ピス
トン側第1プレートの係合歯に脱落不能に係止されてい
る。この多板クラッチ装置では、リターンスプリングは
最ピストン側第1プレートとともにサブアッセンブリー
を構成し、取り扱いが便利になっている。
【0014】請求項6に記載の多板クラッチ装置では、
請求項5において、最ピストン側第1プレートの係合歯
にはスリットが係止され、リターンスプリングは最ピス
トン側第1プレートの係合歯のスリットに係止された爪
部を有している。
【0015】請求項7に記載の多板クラッチ装置では、
請求項3〜6のいずれかにおいて、リターンスプリング
は最ピストン側第1プレートの係合歯の軸方向面に当接
する平坦部を有する。
【0016】この多板クラッチ装置では、最ピストン側
第1プレートの姿勢が安定する。請求項8に記載の多板
クラッチ装置では、請求項3〜7のいずれかにおいて、
リターンスプリングは最反対側第1プレートの係合歯に
接触する屈曲曲部を有している。
【0017】この多板クラッチ装置では、クラッチ連結
時にリターンスプリングが軸方向にスムーズにたわむこ
とができる。請求項9に記載の多板クラッチ装置では、
請求項8において、リターンスプリングは最反対側第1
プレートの係合歯によって半径方向への移動が制限され
る突起を有している。1.第1実施形態(図1〜3) (1)構成 本発明の一実施形態を採用した無段変速機用正逆転装置
1を図1に示す。
【0018】正逆転装置1は、エンジンから動力が入力
されるトルクコンバータとベルト式無段変速機との間に
配置されている。正逆転装置1は、トルクコンバータか
ら延びるシャフトである入力軸2からの回転を無段変速
機から延びるシャフトである出力軸3に出力する機能を
有しており、さらに車両を後退させるためにトルクコン
バータからの回転駆動方向を逆転するための機構であ
る。なお、図1のO−Oが正逆転装置1の回転軸であ
る。
【0019】正逆転装置1は、前後進切換装置4と、前
後進切換装置4によって動力の伝達経路が切り換えられ
る遊星歯車装置5とを備えている。前後進切換装置4
は、トルクコンバータからの動力が入力される前進用油
圧クラッチ装置6と、遊星歯車装置5の制御を行う後進
用油圧ブレーキ装置7とを有している。
【0020】遊星歯車装置5はダブルピニオン遊星ギア
タイプである。遊星歯車装置5は、サンギア12と、そ
れに同心に配置されたリングギア13と、両ギア12,
13に噛み合う複数の(6個の)プラネタリギア14
と、プラネタリギア14を軸支するための遊星キャリア
15とを備えている。
【0021】前進用油圧クラッチ装置6は、入力軸2と
遊星キャリア15を互いに連結及び解除するための装置
である。後進用油圧ブレーキ装置7は、リングギア13
をミッションケース21に固定及び解除するためのクラ
ッチ装置である。ブレーキ装置7は、図2に示すよう
に、ピストン22と、このピストン22によって互いに
圧接される複数の第1及び第2ブレーキプレート24,
25を有するブレーキ部23(クラッチ部)とを有して
いる。
【0022】ブレーキ部23は、ミッションケース21
の一部である内周面部31(第1部材)とリングギア1
3(第2部材)との間に配置されている。ブレーキ部2
3は複数の第1ブレーキプレート24及び第2ブレーキ
プレート25を有しており、両ブレーキプレート24,
25は軸方向に交互に配置されている。第1及び第2ブ
レーキプレート24,25は、それぞれ環状のプレート
部材であり、第1ブレーキプレート24の外周部には内
周面部31の歯35に係合する複数の係合歯41が形成
され、第2ブレーキプレート25の内周部にはリングギ
ア13の外歯13aに係合する複数の係合歯が形成され
ている。また、第2ブレーキプレート25の両側面には
摩擦部材が貼られている。ここでいう係合歯とは、環状
プレートの内周縁又は外周縁から半径方向内方又は外方
に突出する複数のの突起をいう。
【0023】このような構成により、第1ブレーキプレ
ート24はミッションケース21に対して軸方向に移動
自在でかつ相対回転不能であり、第2ブレーキプレート
25はリングギア13に対して軸方向に移動自在でかつ
相対回転不能である。
【0024】なお、複数の第1ブレーキプレート24の
最もピストン22と反対側(図2において右側)のもの
は、ピストン22からの荷重を受けとめるエンドプレー
トとして機能している。以後このプレートをエンドプレ
ート30とする。エンドプレート30は他の第1ブレー
キプレート24より厚みが大きくなっている。エンドプ
レート30のさらに外側には、軸方向の移動を規制する
ためのスナップリング27が内周面部31に設けられて
いる。
【0025】内周面部31の歯35は円周方向に並んで
形成され、各々が軸方向に所定の長さを有している。各
歯35の円周方向間は溝36となっている。各溝36に
は各第1ブレーキプレート24の係合歯41が挿入され
ており、円周方向端同士が当接している。なお、溝36
と係合歯の41半径方向間にはわずかな隙間が確保され
ている。
【0026】溝36において円周方向複数個所(4〜1
0箇所)は、他の溝より半径方向に深い深溝37になっ
ている。また、エンドプレート30の係合歯41の中で
深溝37に係合しているものは、他の係合歯より半径方
向外方に長い係合歯42となっている。また、また、最
ピストン側第1プレート29の係合歯41の中で深溝3
7に係合しているものは、他の係合歯より半径方向外方
に長い係合歯43となっている。以上をまとめると、各
深溝37において、軸方向中間3枚のプレート24の係
合歯41と深溝37の半径方向間には大きな隙間が確保
されており、その大きな隙間において軸方向両側のプレ
ート29,30の係合歯42,43が軸方向に対向して
いる。
【0027】リターンスプリング28は、各深溝37内
に配置されたばね部材である。リターンスプリング28
はクラッチ連結時にピストン22に対してブレーキ部2
3から離れるように付勢力を与え、ピストン22への油
圧が解除されるとピストン22を移動させるための部材
である。リターンスプリング28は、エンドプレート3
0と最ピストン側第1プレート29との軸方向間に配置
され、両部材間で軸方向にたわむようになっている。よ
り詳細には、リターンスプリング28は、深溝37内に
おいて、軸方向中間の3枚の第1プレート24の係合歯
と深溝37との半径方向間で、かつ、エンドプレート3
0の係合歯42と最ピストン側第1プレート29の係合
歯43の軸方向間に配置されている。
【0028】リターンスプリング28は薄板ばねからな
る。リターンスプリング28は軸方向に細長く延びる形
状であり、主面が半径方向両側を向いている。リターン
スプリング28は本体28aを有している。本体28a
は最ピストン側第1プレート29側の部分がエンドプレ
ート30側の部分より円周方向の幅が大きくなってお
り、その円周方向両端は深溝37の円周方向両端に当接
している。本体28a全体は半径方向外側に向かって凸
になるように滑らかに湾曲している。本体28aの縦断
面形状は楕円又は半円形状であるが、U字又はV字形状
であってもよい。本体28aの最ピストン側第1プレー
ト29側の端部には、平坦部28bと係合爪28cが形
成されている。平坦部28bは本体28aから半径方向
内側に延びており、最ピストン側第1プレート29の係
合歯43の軸方向面に当接している。平坦部28bによ
って、最ピストン側第1プレート29の姿勢が安定す
る。また、係合爪28cは、平坦部28bの半径方向両
側に形成された部分であり、軸方向に延び、係合歯43
のスリット43aに挿入されている。この状態で、リタ
ーンスプリング28は最ピストン側第1プレート29に
対して円周方向及び半径方向に移動不能となっている。
係合爪28cの先端は、さらに、かしめによって曲げら
され、係合歯43の軸方向反対側面に当接している。こ
の結果、リターンスプリング28は最ピストン側第1プ
レート29に対して軸方向にも移動不能になっている。
このように、最ピストン側第1プレート29には円周方
向に並んだ複数のリターンスプリング28が固定されて
おり、全体で1つのサブアッセンブリーを構成してい
る。このため、複数のリターンスプリング28の取り扱
いが容易になり、また複数のリターンスプリング28を
深溝37内に挿入する組み付け作業が容易になる。
【0029】リターンスプリング28のエンドプレート
30側端部は、半径方向内側に屈曲するように曲げられ
ており、エンドプレート30の軸方向面に当接する屈曲
部28dを有している。
【0030】リターンスプリングとして薄板ばねを用い
ることで省スペース化が可能となっている。ここでいう
薄板ばねとは、薄い板材を成形してばね作用を得るばね
をいう。さらに詳細には、薄板ばねとは、板厚1mm程
度までの薄板をプレス加工によって任意の形状に成形
し、ばね作用を持たせたものである。なお、薄板ばねに
おいては、板厚、板幅、湾曲率等によってバネ荷重が設
定される。
【0031】ピストン22は、ブレーキ部23とミッシ
ョンケース21の側壁部32との間に設けられている。
ピストン22は、ほぼリング状の部材であり、外周部に
はミッションケース21の外周壁内周面33に摺接する
シールリングが設けられ、内周部にはミッションケース
21の内周壁外周面34に摺接するシールリングが設け
られている。ピストン22は板金製の部材であり、外周
側に軸方向に延びる筒状部が形成されている。筒状部の
先端面と最ピストン側第1プレート29の外周部分に当
接可能である。
【0032】このようにして、ピストン22とミッショ
ンケース21の側壁部32との間にはシリンダー室45
が形成されている。 (2)動作 最初に正逆転装置1全体の動作について説明する。
【0033】<ニュートラル時>ニュートラル状態で
は、前進用油圧クラッチ装置6及び後進用油圧ブレーキ
装置7は作動していない。したがって、前進用油圧クラ
ッチ装置6に入力された動力は遊星歯車装置5に伝達さ
れない。また遊星キャリア15の回転が制動されること
もない。この状態では、トルクコンバータからの動力は
ベルト式無段変速機に伝達されない。
【0034】<前進時>前進時には、前進用油圧クラッ
チ装置6に作動油が供給され、前進用油圧クラッチ装置
6がオン(クラッチ接合)となる。すなわち、遊星キャ
リア15が入力軸2と一体回転するようになる。一方、
後進用油圧ブレーキ装置7には作動油は供給されず、し
たがって遊星歯車装置5のリングギア13は自由に回転
し得る状態になっている。
【0035】ここでは、トルクコンバータからの動力
は、クラッチ装置6及び遊星キャリア15を介して出力
軸3に伝達され、ベルト式無段変速機に出力される。こ
のとき、ベルト式無段変速機はトルクコンバータと同じ
方向に回転する。
【0036】なお、この場合は、遊星歯車装置5の各歯
車12,13,14は一体となって同期して回転するこ
とになり、トルクコンバータからの回転が増減速される
ことなく、そのまま変速機3に伝達される。
【0037】<後進時>後進時には、前進用油圧クラッ
チ装置6がオフされるとともに、後進用油圧ブレーキ装
置7が作動する(ブレーキオン)。これにより、遊星歯
車装置5のリングギア13の回転が禁止される。
【0038】この状態では、トルクコンバータからの動
力は、サンギア12からダブルプラネタリギア14及び
遊星キャリア15に伝達され、さらにベルト式無段変速
機の出力軸3に伝達される。このとき、リングギア13
が油圧ブレーキ装置7によって回転を禁止されているの
で、遊星キャリア15の回転はサンギア12の回転と逆
になり、したがって出力軸2の回転は前進時とは逆方向
になる。
【0039】<ブレーキ装置の動作>次に、ブレーキ装
置7における動作について詳細に説明する。ピストン2
2は、シリンダー室45に作動油を供給することによっ
て軸方向に移動し、第1及び第2ブレーキプレート2
4,25を互いに押し付ける。このとき、ピストン22
はリターンスプリング28のバネ荷重以上の力で最ピス
トン側第1プレート29を押していることになる。リタ
ーンスプリング28は、軸方向に圧縮され、より詳細に
は半径方向外側により凸となるように湾曲する。また、
リターンスプリング28は屈曲部28dによってスムー
ズに曲がり、座屈等の不具合は生じにくい。この状態
で、リターンスプリング28は、最ピストン側第1プレ
ート29及びピストン22に対してブレーキ部23から
離れる方向にリターン荷重を与えている。なお、ピスト
ン22は、第1及び第2ブレーキプレート24,25が
互いに当接するまで移動する。この移動代は、第2ブレ
ーキプレート24の枚数により異なるが、1mm前後で
ある。
【0040】シリンダー室45への油圧供給が解除され
ると、ピストン22のへの荷重が無くなる。すると、最
ピストン側第1プレート29が、リターンスプリング2
8に付勢されてブレーキ部23から離れ、さらにピスト
ン22を押していく。この結果、プレート24,25は
互いに離れ、クラッチ連結が解除される。 (3)効果 以上に述べたように、リターンスプリング28を内周面
部31の深溝37内に配置したため、従来のリティーニ
ングプレートとスナップリング、さらにはスナップリン
グ用溝が省略されている。また、従来リターンスプリン
グが占めていたスペースが不要になる。
【0041】軽量・コンパクト化 コンパクト化によってトランスミッションの設計が楽に
なる。また、リターンスプリングのスペースが省略さ
れ、ハウジングを含めトランスミッションがコンパクト
になり、全体が軽量化される。
【0042】低コスト スナップリング及びリティーニングプレート部品が不要
となるため、コストダウンになる。さらに、軽量化によ
ってもコストダウンとなる。2.第2実施形態(図9〜図14) 第2実施形態では、第1実施形態と基本的な構造は同じ
であるため、異なる点のみを説明する。
【0043】リターンスプリング38の本体38aは中
間部分が軸方向にストレートに延びる矩形形状であり、
両端はそこから円周方向両側に広がっている。リターン
スプリング38の軸方向両端部分の円周方向両端は深溝
37の円周方向両端に当接している。
【0044】リターンスプリング38のエンドプレート
55側端はエンドプレート55に係止され、半径方向、
特に半径方向内側への移動が制限されている。より具体
的には、リターンスプリング38の一端は屈曲部38d
の円周方向中間部には軸方向に延びる突起38fが形成
されている。一方、図9に示すように、エンドプレート
55の係合歯55aの半径方向外側端には半径方向外方
に開いた切り欠き55bを有している。リターンスプリ
ング38の突起38fは切り欠き55bに係止されて、
半径方向内側に移動が規制されている。この結果、リタ
ーンスプリング38のエンドプレート側端の位置決めが
なされ、リターンスプリング38の半径方向内側への移
動や飛び出しが防止される。
【0045】リターンスプリング38の最ピストン側第
1プレート54側の端部には、平坦部38bが形成さ
れ、さらにその中間部分には軸方向に延びる突起38c
が形成されている。一方、図11に示すように、最ピス
トン側第1プレート54の係合歯54aには、スリット
54bが形成されている。突起38cはスリット54b
内を延びさらに軸方向に突出している。さらに、突起3
8cには切り起こされたスプリングバック部38eが形
成されている。スプリングバック部38eは係合歯54
aのピストン側面に当接し、突起38cの抜けを防止し
ている。このようにして、リターンスプリング38は最
ピストン側第1プレート54に固定されてサブアッセン
ブリーを構成している。この結果、両部材の取り扱いや
組立が容易になる。特に、組立の際には、あらかじめ複
数のリターンスプリングが固定された最ピストン側第1
プレートをミッションケースに組みつけるだけでよく、
複数のリターンスプリングを1つずつ溝内に配置させる
必要がなくなる。
【0046】なお、リターンスプリング38を最ピスト
ン側第1プレート54に固定する際には、突起38cを
スリット54b内に通していく。このときスプリングバ
ック部38eはスリット54b内で変形し、平坦部38
bが係合歯54aの軸方向面に接触した位置でスリット
54bから飛び出して係合歯54aの軸方向反対側面に
当接する。3.第3実施形態(図15) この実施形態では基本的な構造は前記第1実施形態と同
様である。ただし、ピストン22と最ピストン側第1プ
レート29との間にはディッシュ・プレート又は皿ばね
26が配置されている。皿ばね26はピストン連結時の
ショックを吸収するためのダンパー用ばね部材である。
皿ばね26は、環状の円板部材からなり、円錐形状にな
っている。皿ばね26は、内周縁が最ピストン側第1プ
レート29に支持され、外周縁がピストン22の押圧部
に支持されている。
【0047】図15はクラッチの連結解除状態を示して
おり、ピストン22は、リターンスプリング28によっ
て、最ピストン側第1プレート29と皿ばね26を介し
てエンドプレート30の反対側に戻されていてる。この
状態で、皿ばね26はリターンスプリング28のバネ荷
重分たわんでいる。
【0048】ピストン22は、シリンダー室45に作動
油を供給することによって軸方向に移動し、第1及び第
2ブレーキプレート24,25を互いに押し付ける。こ
のとき、ピストン22はリターンスプリング28のバネ
荷重以上の力で皿ばね26を介して最ピストン側第1プ
レート29を押していることになる。
【0049】ピストン22は、第1及び第2ブレーキプ
レート24,25が互いに当接するまで移動する。各プ
レート24,25が接触すると、次にピストン22は皿
ばね26が平坦になるまでエンドプレート30側に移動
する。この状態で、ブレーキ部23に作用する荷重は、
皿ばね26のバネ荷重からリターンスプリング28のバ
ネ荷重を引いた荷重となる。このときのピストン22の
移動ストロークは、皿ばね26のたわみ分だけ第1実施
形態に比べて大きくなるが、リターンスプリング28の
移動ストロークは第1実施形態の場合と同じである。し
たがって、リターンスプリング28の移動ストロークを
第1実施形態と同様に微小の一定状態を維持できる。な
ぜなら、リターンスプリング28は、ピストン22を直
接付勢するのでなく、皿ばね26のブレーキ部23側に
配置された最ピストン側第1プレート29を付勢してい
るからである。なお、従来の構造では、リターンスプリ
ングのストローク量が多くなるため、リターンスプリン
グに十分な性能をもたすことが難しかった。
【0050】なお、一般的に皿ばね26のバネ荷重はリ
ターンスプリング28のバネ荷重より大きく設定される
ことになり、したがってリターンスプリング28が皿ば
ね26を押した状態でも皿ばね26のショック吸収性能
に大きな影響を与えない。4.第4実施形態(図16) 図16に示すリターンスプリング61は、基本的な構造
は第1実施形態のリターンスプリング28(図8)と同
様であるが、2つの爪部61cの先端には戻り防止用返
り61eが形成されている。返り61eは円周方向内側
すなわち互いに向き合う側に延びている。
【0051】爪部61cは、スリット43aに挿入する
際に円周方向外側に広がるが、平坦部61bが係合歯に
当接すると同時に円周方向内側に戻り、返り61eは係
合歯の軸方向反対側面に当接する。5.第5実施形態(図17) 図17に示すリターンスプリング62は、基本的な構造
は第2実施形態のリターンスプリング38(図14)と
同様であるが、突起62cは半径方向に2分割され、各
分割部分の先端には戻り防止用返り62eがそれぞれ形
成されている。返り62eは円周方向外側すなわち互い
の反対側に延びている。
【0052】爪部62cの各分割部分は、爪部62cを
スリット54bに挿入する際に円周方向内側に縮まる
が、平坦部62bが係合歯に当接すると同時に円周方向
外側に戻り、返り62eが係合歯の軸方向反対側面に当
接する。
【0053】本発明は、いかなる形式の多板クラッチに
も採用できるため、前記実施形態に限定されない。ただ
し、ブレーキ装置に用いられる場合にはリターンスプリ
ングに遠心力が作用しないため、遠心力による不具合を
防止するための特別な構造が不要になる。特に、ブレー
キ装置では、リターンスプリングによるバネ荷重は50
kg前後であり、特に高い精度は必要とされない。
【0054】
【発明の効果】本発明に係る多板クラッチ装置では、リ
ターンスプリングが第1部材の歯間の溝内に配置されて
いるため、従来におけるリターンスプリングのスペース
を省略できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態が採用された無段変速機の
正逆転装置。
【図2】ブレーキ装置の縦断面概略図。
【図3】図2のIII矢視図。
【図4】最ピストン側第1プレートの係合歯部分の平面
図。
【図5】最ピストン側第1プレートと複数のリターンス
プリングの組合せからなるサブアッセンブリーの縦断面
図。
【図6】リターンスプリングの側面図。
【図7】図6のVII矢視図。
【図8】図6のVIII矢視図。
【図9】第2実施形態におけるエンドプレートの係合歯
部分の平面図。
【図10】第2実施形態におけるサブアッセンブリーと
エンドプレートの縦断面図。
【図11】第2実施形態における最ピストン側第1プレ
ートの係合歯部分の平面図。
【図12】第2実施形態におけるリターンスプリングの
縦断面図。
【図13】図12のXIII矢視図。
【図14】図12のXIV矢視図。
【図15】第3実施形態におけるブレーキ装置の縦断面
概略図。
【図16】第4実施形態におけるリターンスプリングの
正面図。
【図17】第5実施形態におけるリターンスプリングの
正面図。
【符号の説明】
7 油圧ブレーキ装置 13 リングギア 21 ミッションケース 22 ピストン 24 第1ブレーキプレート 25 第2ブレーキプレート 28 リターンスプリング 29 最ピストン側第1プレート 30 バックプレート 31 内周面部 37 深溝

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の歯が円周方向に並んで形成された第
    1部材と、 前記第1部材に半径方向に対向して配置された第2部材
    と、 前記第1部材の複数の歯に係合する係合歯を有し、前記
    第1部材に対して相対回転不能にかつ軸方向に移動可能
    となっている複数の第1プレートと、 前記複数の第1プレートに対して軸方向に交互に配置さ
    れ、前記第2部材に相対回転不能にかつ軸方向に移動可
    能に係合する複数の第2プレートと、 前記第1プレートと前記第2プレートを互いに押し付け
    るためのピストンと、 前記第1部材の前記歯間の溝内に配置され、最も前記ピ
    ストン側に配置された最ピストン側第1プレートを前記
    ピストン側に付勢するリターンスプリングと、を備えた
    多板クラッチ装置。
  2. 【請求項2】前記リターンスプリングは薄板ばねからな
    る、請求項1に記載の多板クラッチ装置。
  3. 【請求項3】前記リターンスプリングは、前記最ピスト
    ン側第1プレートの係合歯と、最も前記ピストンから離
    れる側の最反対側第1プレートの係合歯との間に配置さ
    れている、請求項2に記載の多板クラッチ装置。
  4. 【請求項4】前記リターンスプリングは一端が前記最ピ
    ストン側第1プレートの前記係合歯に係止されている、
    請求項1〜3のいずれかに記載の多板クラッチ装置。
  5. 【請求項5】前記リターンスプリングは前記一端が前記
    最ピストン側第1プレートの前記係合歯に脱落不能に係
    止されている、請求項4に記載の多板クラッチ装置。
  6. 【請求項6】前記最ピストン側第1プレートの前記係合
    歯にはスリットが係止され、前記リターンスプリングは
    前記最ピストン側第1プレートの前記係合前記スリット
    に係止された爪部を有している、請求項4又は5に記載
    の多板クラッチ装置。
  7. 【請求項7】前記リターンスプリングは前記最ピストン
    側第1プレートの前記係合歯の軸方向面に当接する平坦
    部を有する、請求項3〜6のいずれかに記載の多板クラ
    ッチ装置。
  8. 【請求項8】前記リターンスプリングは前記最反対側第
    1プレートの前記係合歯に接触する屈曲部を有してい
    る、請求項3〜7のいずれかに記載の多板クラッチ装
    置。
  9. 【請求項9】前記リターンスプリングは前記最反対側第
    1プレートの前記係合歯によって半径方向への移動が制
    限される突起を有している、請求項8に記載の多板クラ
    ッチ装置。
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