JP7486718B2 - 摩擦締結装置 - Google Patents
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Description
本発明の摩擦締結装置は、外側動力伝達部材の周面に、容易に挿入開口を形成することができるクラッチ装置に、好適に適用することができる。
図1は、本発明の実施形態による摩擦締結装置を内蔵したトランスミッション(自動変速機)の斜視図である。
筐体2は、トランスミッション1の外郭を構成しており、断続装置8および変速装置6を収容するとともに出力軸4を回転可能に支持している。
断続装置8(いわゆるトルクコンバータ)は、駆動源Eに連結されており、駆動源Eが出力する回転動力を必要に応じてトランスミッション1に入力するように構成されている。
図2は、本発明の実施形態による摩擦締結装置の断面図である。図3は、本発明の実施形態による摩擦締結装置の分解斜視図である。図4は、本発明の実施形態による摩擦締結装置において、ドラムを規制部材が挿入されている部分で、軸線に直交する方向に切断した断面図である。
また、ピストン20の張出部20bは、本体部20aの一端から半径方向外方に延びるように形成された円板状の部分であり、ハブ14の端面を越えてプレート収容室内に延びている。
また、ピストン20の押付部20dは、円筒部20cの先端に設けられたフランジ状の部分であり、円筒部20cの外周に設けられ、大径摩擦プレートと平行に延びている。摩擦締結装置10を締結させる際は、ピストン20がカバー部材22から離れる方向に(図2における左方向に)移動され、これにより、押付部20dが大径摩擦プレート16aを押圧して、各摩擦プレートをカバー部材22から離れる方向に移動させる。また、後述するように、最もピストン20に近い位置に配置されている大径摩擦プレート16aは、押付部20dの先端に取り付けられており、ピストン20の移動と共に軸線A方向に、カバー部材22に近づく方向に移動される。
図4は、規制部材が挿入されている部分で、ドラム12を軸線に直交する方向に切断した断面図である。図5は、ドラム12に規制部材が挿入されている状態を示す斜視図である。
上述したように、ピストン20に最も近接した位置に配置された大径摩擦プレート16aは、ピストン20に固定されており、ピストン20の移動と共に軸線方向に移動されるように構成されている。以下では、大径摩擦プレート16aのピストンに対する固定構造を説明する。
図6及び図7に示すように、スプライン溝12eは、その底面の一部が切り欠かれており、この切欠部12fは、ドラム12のピストン側の端部から軸線方向に延びている。この切欠部12fの内側に連結部材34が配置され、大径摩擦プレート16aがピストン20に固定される。また、大径摩擦プレート16b~16eに夫々形成されたスプライン歯は、短スプライン歯17cとされているため、連結部材34と短スプライン歯17cの干渉が回避される。
環状部34aは、細長い金属薄板から構成され、ピストン20の円筒部20cの周囲に巻き付けられることにより、連結部材34をピストン20に固定するように構成されている。また、円筒部20cの先端には、フランジ状の押付部20dが設けられているため、円筒部20cの外周に巻き付けられた環状部34aが押付部20dと係合し、環状部34aが大径摩擦プレートの方にずれるのが防止される。
まず、ドラム12内にハブ14が回転可能に配置された状態とする。次に、スナップリング13(図2)を縮径させた状態でドラム12内に挿入し、スナップリング13がドラム12のリング溝12cと整合した位置で、スナップリング13を拡径させる。これにより、スナップリング13がリング溝12cの中に嵌入される。次いで、端部大径摩擦プレートである大径摩擦プレート16eを、ドラム12のカバー部材22側の端部から挿入する。大径摩擦プレート16eは、ドラム12内周面の各スプライン溝12aとスプライン歯17が係合した状態で、カバー部材22側の端部から軸線A方向に摺動し、スナップリング13と当接する位置まで挿入される。
図8は、本実施形態の摩擦締結装置10の締結状態と非締結状態を示す断面図である。図9は、ハブの回転数に対する、面間距離、面間圧力、及びそれによって生じる引き摺りトルクの関係をシミュレーションにより求めたグラフの一例である。図10は、従来の湿式の摩擦締結装置における、非締結状態の大径摩擦プレート及び小径摩擦プレートの分布を模式的に示す図である。図11は、本実施形態の摩擦締結装置10における、非締結状態の大径摩擦プレート及び小径摩擦プレートの分布を模式的に示す図である。図12は、大径摩擦プレートと小径摩擦プレートの間の面間距離と、これらの摩擦プレートの間の圧力の関係を示すシミュレーション結果の一例である。図13は、本実施形態の摩擦締結装置10において、ハブ14の回転数に対する、面間距離、面間圧力、及びそれによって生じる引き摺りトルクの関係をシミュレーションにより求めたグラフの一例である。
2 筐体
4 出力軸
6 変速装置
8 断続装置
10 摩擦締結装置
12 ドラム(外側動力伝達部材)
12a スプライン溝
12b 排油孔
12c リング溝
12d 挿入開口
12e スプライン溝
12f 切欠部
13 スナップリング
14 ハブ(内側動力伝達部材)
14a スプライン溝
14b 給油孔
16a 大径摩擦プレート(ピストン側大径摩擦プレート)
16b~16d 大径摩擦プレート
16e 大径摩擦プレート(端部大径摩擦プレート)
17 スプライン歯
17a スプライン歯
17b 短スプライン歯
17c 短スプライン歯
18a~18d 小径摩擦プレート
19 スプライン歯
20 ピストン
20a 本体部
20b 張出部
20c 円筒部
20d 押付部
20e 隔壁部
22 カバー部材
22a 凸部
24 潤滑装置
24a 油導入路
24b 返油路
26 スプリング
28 シール部材
30 油圧室
32 規制部材
33 半円弧部材(円弧状の部材)
33a リブ
33b ネジ
34 連結部材
34a 環状部
34b 係合部
34c 凸部
Claims (6)
- 外側動力伝達部材と内側動力伝達部材の間の締結、非締結を切り替える湿式の摩擦締結装置であって、
筒状に形成された外側動力伝達部材と、
この外側動力伝達部材の内側に、上記外側動力伝達部材に対して回転可能に配置された内側動力伝達部材と、
上記外側動力伝達部材の内側に、上記外側動力伝達部材の軸線方向に摺動可能に配置されると共に、外周縁が上記外側動力伝達部材の内周面と係合して、上記外側動力伝達部材に対する回転が阻止されている複数の大径摩擦プレートと、
上記内側動力伝達部材の外周に、上記内側動力伝達部材の軸線方向に摺動可能に配置されると共に、内周縁が上記内側動力伝達部材の外周面と係合して、上記内側動力伝達部材に対する回転が阻止されており、上記複数の大径摩擦プレートの各々の間に配置された小径摩擦プレートと、
上記外側動力伝達部材の内側に、上記外側動力伝達部材の軸線方向に移動可能に配置され、上記大径摩擦プレート及び上記小径摩擦プレートを軸線方向に移動させて、上記外側動力伝達部材と上記内側動力伝達部材を締結状態にするピストンと、を有し、
上記外側動力伝達部材の周面には挿入開口が設けられ、この挿入開口を介して規制部材を上記外側動力伝達部材の内側に突出させることにより、上記ピストンから最も離れた位置に配置された端部大径摩擦プレートに上記規制部材を上記ピストン側から係合させ、上記端部大径摩擦プレートの上記ピストン側への移動を規制し、
上記外側動力伝達部材と上記大径摩擦プレートは、上記外側動力伝達部材の内周面に設けられたスプライン溝と、上記大径摩擦プレートの外周に設けられたスプライン歯により係合するように構成され、上記規制部材は、上記端部大径摩擦プレートに設けられたスプライン歯と係合するように配置され、上記端部大径摩擦プレートに隣接して配置された大径摩擦プレートは、上記規制部材に対応した位置のスプライン歯が欠かれていることを特徴とする摩擦締結装置。 - さらに、上記外側動力伝達部材の外周を一周するように取り付けられるリング状部材を有し、上記規制部材は、上記外側動力伝達部材の半径方向内方に突出するように、上記リング状部材に形成されている請求項1記載の摩擦締結装置。
- 上記リング状部材は、複数の円弧状の部材を連結することにより構成され、上記各円弧状の部材の両端部には、上記外側動力伝達部材の軸線方向に延びるリブが形成され、これらのリブ同士が、上記外側動力伝達部材の円周方向に向けられたネジで締結されることにより、上記各円弧状の部材が互いに連結されている請求項2記載の摩擦締結装置。
- 上記複数の大径摩擦プレートのうちの、上記ピストンの最も近くに配置された大径摩擦プレートは、上記ピストンの移動と共に軸線方向に移動されるように、上記ピストンに固定されている請求項1乃至3の何れか1項に記載の摩擦締結装置。
- 上記摩擦締結装置は、上記外側動力伝達部材と上記内側動力伝達部材の間で回転動力を伝達するクラッチ装置として使用される請求項1乃至4の何れか1項に記載の摩擦締結装置。
- 請求項1乃至5の何れか1項に記載の摩擦締結装置を製造する摩擦締結装置の製造方法であって、
上記外側動力伝達部材の中に上記大径摩擦プレート及び上記小径摩擦プレートを配置する工程と、
この工程の後で、上記ピストンを上記外側動力伝達部材の中に組み付ける工程と、
を有することを特徴とする摩擦締結装置の製造方法。
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