JP4985574B2 - 摩擦係合装置 - Google Patents

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本発明は、摩擦係合装置に関し、特に、自動変速機における多板クラッチや多板ブレーキなどの摩擦係合装置に関する。
従来、自動変速機には、各変速段を選択的に作動させるために複数の摩擦係合装置、すなわち、多板クラッチや多板ブレーキが設けられている。従来の摩擦係合装置に関する種々の技術は、たとえば、特許文献1〜3に開示されている。
図16は、従来の摩擦係合装置の構成を示す断面模式図である。図16に示すように、摩擦係合装置としてのブレーキ1610は、摩擦係合板1030を構成するディスク1010およびプレート1020と、フランジ1040と、スナップリング1050と、ハウジング1060と、ハブ1070と、ピストン1080とを含んで構成される。
ハウジング1060は、中空円筒状に形成されている。ハブ1070は、ハウジング1060の内部にハウジング1060から離れて配置されている。プレート1020は、DR1方向(図16中の左右方向)に移動可能にハウジング1060に支持されている。他方、ディスク1010は、DR1方向に移動可能にハブ1070に支持されている。ピストン1080は、ディスク1010とプレート1020とをDR1方向に押圧して摩擦係合させる。フランジ1040は、DR1方向に移動可能であるようにハウジング1060に支持され、ピストン1080との間に摩擦係合板1030を挟持する。
ブレーキ1610を作動させる際は、ピストン1080により摩擦係合板1030をDR1方向に押圧し、ディスク1010とプレート1020とを摩擦係合させる。ピストン1080に作用する油圧が減じられると、ピストン1080は図示しないスプリングの弾性力により元の位置に戻される。これにより、ディスク1010およびプレート1020は元の位置に戻される。
スナップリング1050は、フランジ1040に隣接する位置に設けられ、摩擦係合板1030がピストン1080により押圧されたときのフランジ1040のDR1方向の移動を規制する。スナップリング1050は、ハウジング1060の内周面に設けられた環状溝1061に嵌合されている。ハウジング1060は、スナップリング1050に対向するバックアップ面1062を有する。
図17は、従来の摩擦係合装置を備える自動変速機の概略図である。図17には、図16に示す従来の摩擦係合装置を矢印XVII方向から見た図を示しており、ハウジング1060と、ハウジング1060の内部に設置されたスナップリング1050とが図示されている。ピストン1080は、紙面に対し垂直方向の奥側から手前側に向かって摩擦係合板1030を押圧する。中空円筒状に形成されたハウジング1060の内周面には、スプライン溝1063a〜1063kが形成されており、また係合凹部1064a〜1064cが形成されている。
プレート1020およびフランジ1040の外周部にはスプライン歯が形成されている。このスプライン歯がスプライン溝1063a〜1063kとスプライン嵌合することにより、プレート1020およびフランジ1040はDR1方向に移動可能にハウジング1060に支持されている。またフランジ1040の外周部には、係合凹部1064a〜1064cと係合する係合凸部が形成されている。
ハウジング1060の内部中央にはシャフト1250が設けられている。シャフト1250は、ハウジング1060に対し相対回転可能に設けられている。ディスク1010は、ハブ1070を介在させてシャフト1250に支持されている。
この自動変速機1001の周辺には、たとえばギヤなどの周辺干渉物1065a,1065bが存在している。ハウジング1060は、周辺干渉物1065a,1065bと対向する位置において、相対的に厚みが小さい薄肉部を有している。この薄肉部は、スプライン溝1063a〜1063kと同等の溝深さのスプライン溝を形成するために必要な厚みを有していない。そのため、薄肉部にはスプライン溝が形成されていない。
特開2003−49866号公報 特開2000−46071号公報 実開平6−80929号公報
図18は、従来の摩擦係合装置の摩擦係合板を展開した模式図である。図18に示すDR1方向は、図16にも示したハウジング1060の内周面が形成する円筒形状の軸方向を示す。またDR3方向は、上記軸方向と直交する円筒形状の周方向を示す。図18には、DR1方向に対向して配置された摩擦係合板1030(ディスク1010およびプレート1020)と、摩擦係合板1030を挟持するフランジ1040およびピストン1080と、フランジ1040の背面側のスナップリング1050とが図示されている。図18は、DR1方向に沿った摩擦係合板1030、フランジ1040、ピストン1080およびスナップリング1050の各断面を展開した図である。
図17を参照して説明したように、ハウジング1060は薄肉部を有しており、当該薄肉部にはスプライン溝が形成されていない。そのため、DR3方向における係合凹部1064aとスプライン溝1063kとの間、およびDR3方向におけるスプライン溝1063kと係合凹部1064cとの間において、ハウジング1060は、スナップリング1050に対向するバックアップ面1062を有している。一方、ハウジング1060にスプライン溝1063kおよび係合凹部1064a,1064cが形成されている箇所では、ハウジング1060は、スナップリング1050に対向するバックアップ面1062を有していない。
図18に示すように、ピストン1080が摩擦係合板1030をDR1方向に押圧したとき、スナップリング1050はピストン1080からの荷重を受けて変形する。具体的には、スナップリング1050は、スプライン溝1063kおよび係合凹部1064a,1064cの内側に突起するように変形する。かつ、この変形に伴って、スナップリング1050は、DR3方向における係合凹部1064aとスプライン溝1063kとの間、およびDR3方向におけるスプライン溝1063kと係合凹部1064cとの間において、ピストン1080側に突起するように変形する。その結果、スナップリング1050は、波の起伏するような形状に変形する。
このスナップリング1050の波状の変形に伴って、スナップリング1050と当接するフランジ1040も波状に変形する。このフランジ1040の変形に伴って、フランジ1040と当接するディスク1010も波状に変形する。摩擦係合板1030(ディスク1010およびプレート1020)の変形量は、ピストン1080側の摩擦係合板1030に対して、スナップリング1050側の摩擦係合板1030の方が大きくなっている。
プレート1020は、ハウジング1060に支持されている。一方ディスク1010は、ハブ1070を介在させて、ハウジング1060に対し相対回転可能に設けられたシャフト1250に支持されている。そのためディスク1010は、図18中の矢印に示すように、プレート1020に対してDR3方向に相対移動する。
このとき、図18中に示すDR3A位置とDR3B位置とでは、ディスク1010とプレート1020間に発生する面圧が異なる。DR3A位置では、ディスク1010とプレート1020間に相対的に高い面圧が発生し、ディスク1010とプレート1020間に発生する摩擦トルクが相対的に大きくなる。ピストン1080が摩擦係合板1030をDR1方向に押圧したとき、摩擦荷重が発生し、この摩擦荷重がディスク1010のプレート1020に対する相対移動を制限し、ディスク1010をプレート1020に対し停止させるように作用する。DR3A位置では、この摩擦荷重が相対的に大きく発生する。
一方DR3B位置では、ディスク1010とプレート1020間に相対的に低い面圧が発生し、ディスク1010とプレート1020間に発生する摩擦トルクが相対的に小さくなる。DR3B位置では、上記摩擦荷重が相対的に小さく発生する。つまり、ディスク1010がプレート1020に対してDR3方向に相対移動するとき、プレート1020およびフランジ1040が波状に変形していると、プレート1020とフランジ1040との摩擦係合面に発生する摩擦トルクが不均一になる。
また、ハウジング1060の薄肉部では、図16に示すように、スナップリング1050はハウジング1060の内周面に設けられた環状溝1061に嵌合され、ハウジング1060によって支持されている。一方、フランジ1040はハウジング1060の内周面よりも径方向内側に位置している。
摩擦係合板1030がピストン1080により押圧された状態では、図19に示すように、ピストン1080からDR1方向の荷重を受けたフランジ1040がスナップリング1050の内周側と接触し、スナップリング1050の径方向内側に力を加える。その結果、スナップリング1050が撓み、図19に示すように変形する場合がある。スナップリング1050が変形すると、ピストン1080が摩擦係合板1030を押圧するときに摩擦係合板1030が軸方向に対して傾斜するので、摩擦係合板1030同士が片当りする。その結果、摩擦係合板1030間の面圧が不均一となり変速性能が悪化する。なお図19は、従来のフランジとスナップリングとの位置関係の、ピストンにより押圧された状態での一例を示す断面模式図である。
このように、図16〜図19に示す従来の摩擦係合装置では、摩擦材最背面のフランジ1040とスプライン嵌合するスプライン溝1063a〜1063kによって、スナップリング1050に対向するバックアップ面1062が決定されていた。そのため、ピストン1080が摩擦係合板1030を押圧するときフランジ1040に微小な凹凸が発生して、この凹凸によりプレート1020とフランジ1040との摩擦係合面に発生する摩擦トルクが不均一になり、DR3A位置では止まり易く、DR3B位置では滑り易くなり、変速性能が悪化するという問題があった。また、ディスク1010とプレート1020間の面圧の高いDR3A位置では、焼けが発生し易く、摩擦係合装置の耐久性が悪化するという問題があった。
変速性能を改善するために、従来、摩擦材の摩擦係数特性の調整が行なわれてきた。しかし、摩擦係数特性を調整するためには、摩擦材の材料や配合を変化させ、より厳しく管理する必要があり、摩擦係合装置の原価上昇の要因となっていた。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、変速性能の悪化を容易に抑制できる摩擦係合装置を提供することである。
本発明に係る摩擦係合装置は、ハウジング部と、スナップリングとを備える。ハウジング部は、中空円筒状に形成されている。ハウジング部の内周面の周方向には、環状溝が形成されている。ハウジング部の内周面の軸方向には、第一スプライン溝および第二スプライン溝が形成されている。ハウジング部は、径方向の厚みが相対的に大きい厚肉部と、径方向の厚みが相対的に小さい薄肉部とを有する。スナップリングは、環状溝に嵌合されている。第一スプライン溝は、厚肉部に形成されており、環状溝よりも溝深さが大きく、環状溝を跨ぐように形成されており、第一スプライン溝と嵌合するハウジング側の摩擦係合要素の軸方向の移動を許容するとともに軸回りの回転を妨げる。第二スプライン溝は、薄肉部に形成されており、第一スプライン溝よりも溝深さが小さく、環状溝よりも溝深さが大きく、環状溝を跨ぐように形成されている。
上記摩擦係合装置において好ましくは、回転部材と、第一摩擦板と、第二摩擦板と、ピストン部材と、フランジ部材とをさらに備える。回転部材は、ハウジング部の内部にハウジング部から離れて配置され、ハウジング部に対し相対回転可能に設けられている。第一摩擦板は、平板状に形成されている。第一摩擦板は、ハウジング部の内周面の径方向に沿って延在する表面を有し、軸方向に移動可能であるようにハウジング部に支持されている。第二摩擦板は、平板状に形成されている。第二摩擦板は、第一摩擦板と対向して設置され、軸方向に移動可能であるように回転部材に支持されている。ピストン部材は、第一摩擦板および第二摩擦板を軸方向に押圧して摩擦係合させる。フランジ部材は、軸方向に移動可能であるようにハウジング部に支持されている。フランジ部材は、ピストン部材との間に第一摩擦板および第二摩擦板を挟持する。スナップリングは、ピストン部材が第一摩擦板および第二摩擦板を押圧するときフランジ部材と当接して、フランジ部材の軸方向の移動を妨げる。フランジ部材の外周部には、径方向外側へ突起する第一スプライン歯が形成されている。第一摩擦板の外周部には、径方向外側へ突起する第二スプライン歯が形成されている。第一スプライン歯および第二スプライン歯が第一スプライン溝にスプライン嵌合して、フランジ部材および第一摩擦板の軸方向の移動を許容するとともに、フランジ部材および第一摩擦板の軸回りの回転を妨げる。
好ましくは、フランジ部材の外周部には、第一スプライン歯および第二スプライン歯の歯たけよりも歯たけの小さい第三スプライン歯がさらに形成されている。第三スプライン歯は、第二スプライン溝とスプライン嵌合する。
好ましくは、第三スプライン歯の歯厚は、第一スプライン歯および第二スプライン歯の歯厚よりも小さい。
本発明の摩擦係合装置によると、ハウジング部には、摩擦係合要素が係合する第一スプライン溝に加えて、第二スプライン溝が環状溝を跨ぐように形成されている。そのため、スナップリングがハウジング部に押圧されたとき、スナップリングは第二スプライン溝の内側に突起するように変形することができるので、スナップリングが波状に変形する変形量を低減することができる。その結果、摩擦係合装置の摩擦トルクの均一性を向上させて、変速性能の悪化を容易に抑制することができる。
以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
なお、以下に説明する実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本発明にとって必ずしも必須のものではない。また、以下の実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、上記個数などは例示であり、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。
図1は、本発明の一実施の形態に係る摩擦係合装置が適用される自動変速機の構成を示すスケルトン図である。本実施の形態では、動力伝達装置としての自動変速機1が、車両に搭載される自動変速機である例を示している。図1に示すように、自動変速機1は、クランクシャフトに連結された入力軸110と出力軸120とを含むトルクコンバータ100と、遊星歯車機構である第1セット200,第2セット300と、出力ギヤ400と、ギヤケース500とを備える。また自動変速機1は、ギヤケース500に固定されたB1ブレーキ610、B2ブレーキ620およびB3ブレーキ630と、C1クラッチ710およびC2クラッチ720と、ワンウェイクラッチ730とを備える。
第1セット200は、シングルピニオン型の遊星歯車機構である。第1セット200は、サンギヤS(UD)210と、ピニオンギヤ220と、リングギヤR(UD)230と、キャリアC(UD)240とを含む。
サンギヤS(UD)210は、トルクコンバータ100の出力軸120に連結されている。ピニオンギヤ220は、キャリアC(UD)240に回転自在に支持されている。ピニオンギヤ220は、サンギヤS(UD)210およびリングギヤR(UD)230と係合している。
リングギヤR(UD)230は、B3ブレーキ630によりギヤケース500に固定される。キャリアC(UD)240は、B1ブレーキ610によりギヤケース500に固定される。
第2セット300は、ラビニヨ型の遊星歯車機構である。第2セット300は、サンギヤS(D)310と、ショートピニオンギヤ320と、キャリアC(1)321と、ロングピニオンギヤ330と、キャリアC(2)331と、サンギヤS(S)340と、リングギヤR(1)(R(2))350とを含む。
サンギヤS(D)310は、キャリアC(UD)240に連結されている。ショートピニオンギヤ320は、キャリアC(1)321に回転自在に支持されている。ショートピニオンギヤ320は、サンギヤS(D)310およびロングピニオンギヤ330と係合している。キャリアC(1)321は、出力ギヤ400に連結されている。
ロングピニオンギヤ330は、キャリアC(2)331に回転自在に支持されている。ロングピニオンギヤ330は、ショートピニオンギヤ320、サンギヤS(S)340およびリングギヤR(1)(R(2))350と係合している。キャリアC(2)331は、出力ギヤ400に連結されている。
サンギヤS(S)340は、C1クラッチ710によりトルクコンバータ100の出力軸120に連結される。リングギヤR(1)(R(2))350は、B2ブレーキ620により、ギヤケース500に固定され、C2クラッチ720によりトルクコンバータ100の出力軸120に連結される。また、リングギヤR(1)(R(2))350は、ワンウェイクラッチ730に連結されており、1速ギヤ段の駆動時に回転不能となる。
図2は、図1に示す自動変速機における、各変速ギヤ段と、各クラッチおよび各ブレーキの作動状態との関係を表した作動表である。図2において、「○」は係合を表している。「×」は解放を表している。「◎」はエンジンブレーキ時のみの係合を表している。「△」は駆動時のみの係合を表している。この作動表に示された組合わせで各ブレーキおよび各クラッチを作動させることにより、1速〜6速の前進ギヤ段と、後進ギヤ段が形成される。
図3は、摩擦係合装置の構成を示す断面模式図である。図3には、図1に示す自動変速機に含まれる、摩擦係合装置としてのB1ブレーキ610の構成を示している。図3に示すように、B1ブレーキ610は、ディスク10およびプレート20を含んで構成される摩擦係合板30と、フランジ40と、スナップリング50と、ハウジング60(外方部材)と、ハブ70(内方部材)と、ピストン80とを備える。
ハウジング部としてのハウジング60は、中空円筒状に形成されている。図3に示すDR1方向(図3中の左右方向)は、ハウジング60の内周面65が形成する円筒形状の軸方向を示す。図3に示すDR2方向(図3中の上下方向)は、ハウジング60の内周面65が形成する円筒形状の径方向を示す。回転部材としてのハブ70は、ハウジング60の内部に、ハウジング60の内周面65から離れて配置されている。
第一摩擦板としてのプレート20は、平板状に形成されている。プレート20の表面28および裏面29がDR2方向に沿って延在するように(典型的には、表面28および裏面29がDR2方向と平行となるように)、プレート20は設けられている。プレート20は、ハウジング60の内周面65の径方向に沿って延在する表面28および裏面29を有する。プレート20は、DR1方向に移動可能であるように、ハウジング60に支持されている。
第二摩擦板としてのディスク10は、平板状に形成されている。ディスク10の表面18および裏面19がDR2方向に沿って延在するように(典型的には、表面18および裏面19がDR2方向と平行となるように)、ディスク10は設けられている。ディスク10の裏面19は、プレート20の表面28と対向している。ディスク10は、プレート20と対向して設置されている。ディスク10は、DR1方向に移動可能であるように、ハブ70に支持されている。
ピストン部材としてのピストン80は、複数のディスク10とプレート20とをDR1方向に押圧して、それぞれ摩擦係合させる。フランジ部材としてのフランジ40は、DR1方向に移動可能であるようにハウジング60に支持され、ピストン80との間に摩擦係合板30(すなわち、ディスク10およびプレート20)を挟持する。ピストン80は油圧によってDR1方向へ移動する。つまり、B1ブレーキ610は、油圧式であって、常に油で潤滑した状態で使用される湿式の摩擦係合装置である。
スナップリング50は、フランジ40に隣接する位置のピストン80から離れる側(背面側)に設けられている。スナップリング50は、ハウジング60の内周面65の周方向に形成された環状溝66に嵌合されて、ハウジング60に支持されている。ハウジング60は、スナップリング50の背面側の面に対向するバックアップ面62を有する。ピストン80が摩擦係合板30を押圧するとき、スナップリング(止め具)50のフランジ40側の表面がフランジ40と当接し、反対側の表面がバックアップ面62と当接して、フランジ40のDR1方向の移動を妨げる。
B1ブレーキ610を作動させる際は、ピストン80に油圧を作用させて摩擦係合板30をDR1方向に押圧し、ディスク10とプレート20とを摩擦係合させる。ピストン80に作用する油圧が減じられると、ピストン80は図示しないスプリングの弾性力により元の位置に戻される。これにより、ディスク10およびプレート20は元の位置に戻される。
図4は、ディスクの形状を示す模式図である。図4に示すように、ディスク10は、平面形状が円環形状の平板である円環板部11を有する。金属製の円環板部11の両面には、それぞれ摩擦材12が、たとえば接着剤を用いて接着されるなどにより、周方向に張り合わされるように固定されている。円環板部11の径方向内側には、複数のスプライン歯13が形成されている。このスプライン歯13が、ハブ70の外周面に形成された図示しないスプライン溝とスプライン嵌合することにより、ディスク10は、DR1方向に移動可能であるようにハブ70に支持される。
図5は、プレートの形状を示す模式図である。図5に示すように、プレート20は、平面形状が円環形状の平板である円環板部21を有する。プレート20の外周部をなす円環板部21の外縁25には、円環形状の径方向外側へ突起するスプライン歯22a〜22k(以下、纏めてスプライン歯22と称する場合もある)が形成されている。このスプライン歯22a〜22kが、ハウジング60の内周面65に形成されたスプライン溝とスプライン嵌合することにより、プレート20は、DR1方向に移動可能であるようにハウジング60に支持される。
図6は、フランジの形状を示す模式図である。図6に示すように、フランジ40は、平面形状が円環形状の平板である円環板部41を有する。フランジ40の外周部をなす円環板部41の外縁45には、円環形状の径方向外側へ突起するスプライン歯42a〜42k(以下、纏めてスプライン歯42と称する場合もある)、係合凸部44a〜44c(以下、纏めて係合凸部44と称する場合もある)が形成されている。外縁45にはさらに、スプライン歯42a〜42kに対し相対的に小さな歯たけを有する、スプライン歯43a,43b(以下、纏めてスプライン歯43と称する場合もある)が形成されている。スプライン歯43a,43bの歯たけは、フランジ40に形成されたスプライン歯42およびプレート20に形成されたスプライン歯22の歯たけよりも小さい。
プレート20に形成されたスプライン歯22と、フランジ40に形成されたスプライン歯42とは、同位相に形成されている。つまり、スプライン歯22とスプライン歯42とは、周方向における同じ位置に形成されている。また、スプライン歯22,42は、歯たけおよび歯厚が等しくなるように、形成されている。つまり、スプライン歯22の円環板部21から径方向外側へ突出している寸法は、スプライン歯42の円環板部41から径方向外側へ突出している寸法と等しい。かつ、スプライン歯22の周方向の寸法は、スプライン歯42の周方向の寸法と等しい。
図7は、スナップリングの形状を示す模式図である。図7に示すように、スナップリング50は、リングプレート部51を有する。リングプレート部51の平面形状は略円環形状に形成されており、その円環形状の一部が切り取られて切欠き部52が形成されている。またリングプレート部51の外縁には、円環形状の径方向外側へ突起する突起部53が形成されている。スナップリング50がハウジング60の内周面65に形成された環状溝66に嵌合されるとき、ハウジング60の内周面65のスプライン溝に突起部53が係合するようにスナップリング50は配置され、これによりスナップリング50の周方向へのずれ移動が抑制される。
図8は、摩擦係合装置を備える自動変速機の概略図である。図8には、図3に示す摩擦係合装置を矢印VIII方向から見た図を示しており、ハウジング60と、ハウジング60の内部に設置されたスナップリング50とが図示されている。ピストン80は、紙面に垂直方向奥側から手前側へむかって、摩擦係合板30を押圧する。ハウジング60の内部中央にはシャフト250が設けられている。シャフト250は、ハウジング60に対し相対回転可能に設けられている。ディスク10は、ハブ70を介在させてシャフト250に支持されている。
中空円筒状に形成されたハウジング60の内周面65には、第一スプライン溝としてのスプライン溝63a〜63k(以下、纏めてスプライン溝63と称する場合もある)が形成されており、また係合凹部64a〜64c(以下、纏めて係合凹部64と称する場合もある)が形成されている。フランジ40に形成された第一スプライン歯としてのスプライン歯42a〜42k、およびプレート20に形成された第二スプライン歯としてのスプライン歯22a〜22kは、対応するスプライン溝63a〜63kとそれぞれスプライン嵌合する。フランジ40の係合凸部44a〜44cは、対応する係合凹部64a〜64cとそれぞれ係合する。
この自動変速機1の周辺には、たとえばギヤなどの周辺干渉物69a,69bが存在している。ハウジング60は、周辺干渉物69a,69bと対向する位置において径方向の厚みが小さくなっており、径方向の厚みが相対的に小さい薄肉部67を有している。またハウジング60は、スプライン溝63a〜63kが形成されている位置において、径方向の厚みが相対的に大きい厚肉部68を有している。スプライン溝63a〜63kは、厚肉部68に形成されている。
ハウジング60は、薄肉部67において、スプライン溝63a〜63kと同等の溝深さのスプライン溝を形成するために必要な厚みを有していない。そのため、ハウジング60の薄肉部67の内周面65には、スプライン溝63a〜63kよりも溝深さが小さい、第二スプライン溝としてのスプライン溝(小スプライン溝)61a,61b(以下、纏めてスプライン溝61と称する場合もある)が形成されている。スプライン溝61a,61bは、薄肉部67に形成されている。フランジ40に形成された第三スプライン歯としてのスプライン歯43a,43bは、スプライン溝61a,61bとそれぞれスプライン嵌合する。
突起部53がスプライン溝63aの内部にあるように、スナップリング50は配置されている。ハウジング60の内周面65の周方向にスナップリング50がずれようとすると、突起部53がスプライン溝63aの内面に突き当たり、これによりスナップリング50のずれ移動を妨げる構成となっている。
図9は、小スプライン溝(すなわちスプライン溝61a,61b)が形成されている断面における摩擦係合装置の断面模式図である。フランジ40の外周部にはスプライン歯43が形成されているために、スプライン溝61が形成されている断面では、スナップリング50の外縁(図9に示す上端)に対しフランジ40の外縁(図9に示す上端)は、ハウジング60の内周面65の径方向においてより外側(図9に示す上側)に至るまで延びている。つまり、図9に示すスプライン溝61が形成されている断面において、スナップリング50のピストン80側の面は、内周面65の径方向の全長に渡ってフランジ40と対向している。
図10は、小スプライン溝が形成されている付近のハウジングを拡大して示す斜視図である。図10には、ハウジング60の内周面65に形成されたスプライン溝61a,61b、スプライン溝63kに代表されるスプライン溝63および環状溝66の関係を図示している。図10中に示すDR1方向は図3にも示した内周面65の軸方向であり、DR3方向はDR1方向と直交する内周面65の周方向である。
図10に示すように、ハウジング60の内周面65の軸方向であるDR1方向に、スプライン溝63kおよびスプライン溝61a,61bが形成されている。スプライン溝63がDR1方向に延びているために、スプライン溝63と嵌合するスプライン歯22を有するプレート20、および、スプライン溝63と嵌合するスプライン歯42を有するフランジ40は、DR1方向への移動が許容されている。一方、プレート20またはフランジ40がDR3方向へハウジング60に対する相対回転移動しようとしたときには、スプライン歯22,42がスプライン溝63と突き当たって、回転が妨げられる構成となっている。
スプライン溝63kは、環状溝66よりも溝深さが大きく形成されている。スプライン溝63kは、環状溝66を跨ぐように形成されている。つまり、スプライン溝63kは、環状溝66に対して軸方向(DR1方向)手前側に延びるように形成されており、かつ、軸方向奥側に延びるようにも形成されている。
スプライン溝61a,61bは、環状溝66よりも溝深さが大きく形成されている。スプライン溝61a,61bは、環状溝66を跨ぐように形成されている。スプライン溝61a,61bは、環状溝66に対して軸方向(DR1方向)手前側に延びるように形成されており、かつ、軸方向奥側に延びるようにも形成されている。
このようにスプライン溝61、スプライン溝63および環状溝66が形成されているために、スナップリング50を環状溝66に嵌合させた状態でハウジング60を軸方向から視た場合において、スプライン溝が形成されている位置ではスナップリング50の外縁が現れている。一方、スプライン溝が形成されていない位置では、スナップリング50の外縁は環状溝66の内側にあって視認できない。
つまり、図8に示すように、スプライン溝63a〜63k、係合凹部64a〜64cおよびスプライン溝61a,61bの内部において、スナップリング50の外周形状が図示されている。一方、その他の位置では、スナップリング50の外周形状はハウジング60によって隠されており、図8に示されていない。
図11は、ハウジングの内部にスナップリングが設けられている軸方向位置における、ハウジングとスナップリングとの断面模式図である。図11は、図3および図9に示すXI−XI線に沿う断面図を示している。なお図3は、図11中に示すIII−III線に沿う摩擦係合装置の模式図であり、図9は、図11中に示すIX−IX線に沿う摩擦係合装置の模式図である。
図11には、ハウジング60の内周面65に環状溝66が形成されている断面での、スナップリング50とハウジング60との断面を示している。上述したように、スプライン溝61およびスプライン溝63の溝深さは、環状溝66の溝深さよりも大きい。そのため、図11に示す断面において、スプライン溝61a,61bおよびスプライン溝63a〜63kは、スナップリング50の外縁のさらに径方向外側に図示されている。
図11に示すように、スプライン溝61a,61bが形成されている位置において、スナップリング50の外縁は環状溝66に嵌合していない。スプライン溝61a,61bが形成されている位置において、スナップリング50はハウジング60の内周面65と接触しておらず、ハウジング60によってスナップリング50が直接支持されていない状態となっている。
図12は、ハウジングの内部にフランジが設けられている軸方向位置における、ハウジングとフランジとの断面模式図である。図12は、図3および図9に示すXII−XII線に沿う断面図を示している。なお図3は、図12中に示すIII−III線に沿う摩擦係合装置の模式図であり、図9は、図12中に示すIX−IX線に沿う摩擦係合装置の模式図である。
図6を参照して説明したように、フランジ40の外周部には、円環形状の径方向外側へ突起するスプライン歯42a〜42k、係合凸部44a〜44cおよびスプライン歯43a,43bが形成されている。一方、ハウジング60の内周面65には、スプライン溝63a〜63k、係合凹部64a〜64cおよびスプライン溝61a,61bが形成されている。図12は、スプライン歯42a〜42kがスプライン溝63a〜63kにスプライン嵌合し、係合凸部44a〜44cが係合凹部64a〜64cの内部に係合し、かつスプライン歯43a,43bがスプライン溝61a,61bにスプライン嵌合した状態を示している。つまり、スプライン歯42およびスプライン歯43は、ハウジング60の内周面65の径方向外側へ突起するように、フランジ40の外周部に形成されている。
スプライン溝(小スプライン溝)61a,61bにスプライン歯43a,43bが嵌合しているために、スプライン溝61a,61bが形成されている位置において、フランジ40はハウジング60の内周面65と当接し、ハウジング60によってフランジ40が支持されている状態となっている。
スプライン歯の形状について以下説明する。図13および図14は、フランジの外周部に形成されたスプライン歯の形状を示す概略斜視図である。図13はスプライン歯42の形状について示す図であり、図14はスプライン歯43の形状について示す図である。図13および図14を比較して、スプライン歯42の歯たけ(すなわち、スプライン歯42の歯底〜歯先間の距離)D1は、スプライン歯43の歯たけD2に対して大きい。つまり、D1>D2の関係を満たすように、スプライン歯42,43は形成される。
一方、スプライン歯42の歯厚(すなわち、フランジ40の周方向における各スプライン歯の長さ)T1は、スプライン歯43の歯厚T2に対して大きい。つまり、T1>T2の関係を満たすように、スプライン歯42,43は形成される。このように、スプライン溝61とスプライン嵌合するスプライン歯43は、スプライン溝63とスプライン嵌合するスプライン歯42に対して、相対的に小さい歯たけおよび歯厚を有するように形成されている。
プレート20およびフランジ40がディスク10と摩擦係合してディスク10のハウジング60に対する相対回転を停止させるとき、スプライン歯42の側面46がスプライン溝63の内側面と衝突することによって、フランジ40はハウジング60に対して回転しない構成とされている。またこのとき、プレート20に形成されたスプライン歯22の側面がスプライン歯63の内側面と衝突することによって、プレート20はハウジング60に対して回転しない構成とされている。スプライン歯22,42の歯たけは、プレート20およびフランジ40をハウジング60に衝突させて確実にディスク10の相対回転を止めるために必要な高さに設定されている。
このとき、スプライン歯43はスプライン歯22,42に対して歯たけが小さいため、ハウジング60にスプライン歯43が衝突するとスプライン歯43が磨耗する可能性がある。そこで、スプライン歯42の歯厚T2をスプライン歯22,42の歯厚T1よりも小さくすることによって、フランジ40がディスク10の回転力を受けて周方向に動くとき、ハウジング60と衝突する箇所をスプライン歯42とし、スプライン歯43はハウジング60に衝突しないようにすることができる。このようにすれば、歯たけが相対的に小さく磨耗しやすいスプライン歯43が磨耗することを抑制することができる。
次に、摩擦係合要素が摩擦係合するときのスナップリング50の挙動について説明する。図15は、摩擦係合装置の摩擦係合板を展開した模式図である。図15に示すDR1方向は、ハウジング60の内周面65が形成する円筒形状の軸方向を示す。またDR3方向は、上記軸方向と直交する円筒形状の周方向を示す。図15には、DR1方向に対向して配置された摩擦係合板30(ディスク10およびプレート20)と、摩擦係合板30を挟持するフランジ40およびピストン80と、フランジ40の背面側のスナップリング50とが図示されている。図15は、DR1方向に沿った摩擦係合板30、フランジ40、ピストン80およびスナップリング50の各断面を展開した図である。
摩擦係合板30、フランジ40およびスナップリング50は、いずれも摩擦力を利用して係合する要素であり、総称して摩擦係合要素と称する。ハウジング60に支持されたプレート20、フランジ40およびスナップリング50は、ハウジング60側(固定側)の摩擦係合要素である。一方ハブ70に支持されたディスク10は、ハブ70側(回転側)の摩擦係合要素である。
ハウジング60の薄肉部67には、スプライン溝61a,61bが形成されている。ハウジング60にスプライン溝63k、係合凹部64a,64cおよびスプライン溝61a,61bが形成されている箇所では、ハウジング60は、スナップリング50に対向するバックアップ面62を有していない。そのため、図18に示す従来の摩擦係合装置と比較して、バックアップ面62がDR3方向に延在する長さは、スプライン溝61a,61bが形成されている位置において小さくなっている。
ピストン80が摩擦係合板30をDR1方向に押圧したとき、スナップリング50はピストン80からの荷重を受けて変形する。具体的には、スナップリング50は、スプライン溝63k、係合凹部64a,64cおよびスプライン溝61a,61bの内側に突起するように変形する。かつ、この変形に伴って、スナップリング50は、ハウジング60のバックアップ面62と対向する位置において、ピストン80側に突起するように変形する。その結果、スナップリング50は、波の起伏するような凹凸形状に変形する。
このとき、バックアップ面62のDR3方向長さが小さくなっているために、スナップリング50の変形量は、図18に示す従来の例と比較して、大幅に低減されている。そのため、スナップリング50の変形に伴うフランジ40、ディスク10およびプレート20の変形量も、従来と比較して大きく低減されている。
波形状が小さくなる結果、ディスク10が図15中の矢印に示すようにプレート20に対してDR3方向に相対移動するとき、ディスク10とプレート20間に発生する面圧の均一性が向上されている。つまり、プレート20とフランジ40との摩擦係合面に発生する摩擦トルクが均一化する。したがって、摩擦トルク特性を安定させることができるので、変速性能を安定させることができ、かつ、耐久性を向上させることができる。
また、図9に示すように、スナップリング50のピストン80側の面は、内周面65の径方向の全長に渡ってフランジ40と対向している。そのため、摩擦係合板30がピストン80により押圧されたとき、フランジ40にスプライン歯43a,43bが形成されている位置において、スナップリング50は径方向の全長においてフランジ40と接触する。スナップリング50の径方向の全長でフランジ40を受けるため、スナップリング50に発生する反り量は低減される。スナップリング50の反りが小さいので、フランジ40に発生する反り量も小さくなる。その結果、摩擦係合板30とフランジ40、および摩擦係合板30同士は片当りせずに全面当りする。したがって、摩擦係合板30間の面圧の均一性をより向上させ、摩擦トルク特性をより安定させることができるので、より変速性能を安定させることができる。
以上説明したように、本実施の形態の摩擦係合装置としてのB1ブレーキ610は、中空円筒状のハウジング60と、スナップリング50とを備える。ハウジング60の内周面65の周方向(DR3方向)に沿って、環状溝66が形成されている。ハウジング60の内周面65の軸方向(DR1方向)に沿って、スプライン溝63およびスプライン溝61が形成されている。スナップリング50は、環状溝66に嵌合されている。スプライン溝63は、環状溝66よりも溝深さが大きく、環状溝66を跨ぐように形成されている。スプライン溝63は、スプライン溝63と嵌合するプレート20およびフランジ40のDR1方向の移動を許容するとともに、DR3方向の回転を妨げる。スプライン溝61は、環状溝66よりも溝深さが大きく、環状溝66を跨ぐように形成されている。
このようにすれば、スナップリング50がハウジング60に押圧されたとき、スナップリング50はスプライン溝61(61a,61b)の内側に突起するように変形することができる。その結果、スナップリング50が波状に変形する変形量を低減することができるので、B1ブレーキ610の摩擦トルクの均一性を向上させて、変速性能の悪化を容易に抑制することができる。
ハウジング60の内周面65にスプライン溝61を形成することで変速性能の悪化を抑制できるので、従来の摩擦係合装置に新たな部材を追加する必要はなく、また、新たな部材のためのスペースを必要とすることもない。さらに、ハウジング60がダイキャストにより成形される場合、鋳型の形状を変更することによりスプライン溝61を簡単に形成することができ、製造コストの上昇なく変速性能の悪化を抑制することができる。
スプライン溝61は、スプライン溝63よりも溝深さが小さく形成されている。このようにすれば、径方向の厚みが相対的に小さくスプライン溝63と同等の溝深さのスプライン溝を形成できないハウジング60の薄肉部67にも、スプライン溝61を形成することができる。したがって、ハウジング60が薄肉部67を有する場合でも、確実にスナップリング50が波状に変形する変形量を低減することができる。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の一実施の形態に係る摩擦係合装置が適用される自動変速機の構成を示すスケルトン図である。 図1に示す自動変速機における、各変速ギヤ段と、各クラッチおよび各ブレーキの作動状態との関係を表した作動表である。 摩擦係合装置の構成を示す断面模式図である。 ディスクの形状を示す模式図である。 プレートの形状を示す模式図である。 フランジの形状を示す模式図である。 スナップリングの形状を示す模式図である。 摩擦係合装置を備える自動変速機の概略図である。 小スプライン溝が形成されている断面における摩擦係合装置の断面模式図である。 小スプライン溝が形成されている付近のハウジングを拡大して示す斜視図である。 ハウジングの内部にスナップリングが設けられている軸方向位置における、ハウジングとスナップリングとの断面模式図である。 ハウジングの内部にフランジが設けられている軸方向位置における、ハウジングとフランジとの断面模式図である。 フランジの外周部に形成されたスプライン歯の形状を示す概略斜視図である。 フランジの外周部に形成された他のスプライン歯の形状を示す概略斜視図である。 摩擦係合装置の摩擦係合板を展開した模式図である。 従来の摩擦係合装置の構成を示す断面模式図である。 従来の摩擦係合装置を備える自動変速機の概略図である。 従来の摩擦係合装置の摩擦係合板を展開した模式図である。 従来のフランジとスナップリングとの位置関係の、ピストンにより押圧された状態での一例を示す断面模式図である。
符号の説明
1 自動変速機、10 ディスク、11,21,41 円環板部、12 摩擦材、13 スプライン歯、18,28 表面、19,29 裏面、20 プレート、22,22a〜22k,42,42a〜42k,43,43a,43b スプライン歯、25,45 外縁、30 摩擦係合板、40 フランジ、44,44a〜44c 係合凸部、46 側面、50 スナップリング、51 リングプレート部、52 切欠き部、53 突起部、60 ハウジング、61,61a,61b,63,63a〜63k スプライン溝、62 バックアップ面、64,64a〜64c 係合凹部、65 内周面、66 環状溝、67 薄肉部、68 厚肉部、69a,69b 周辺干渉物、70 ハブ、80ピストン、D1,D2 歯たけ、T1,T2 歯厚。

Claims (4)

  1. 内周面の周方向に環状溝が形成され、前記内周面の軸方向に第一スプライン溝および第二スプライン溝が形成されており、径方向の厚みが相対的に大きい厚肉部と、径方向の厚みが相対的に小さい薄肉部とを有する、中空円筒状のハウジング部と、
    前記環状溝に嵌合されたスナップリングとを備え、
    前記第一スプライン溝は、前記厚肉部に形成されており、前記環状溝よりも溝深さが大きく、前記環状溝を跨ぐように形成されており、前記第一スプライン溝と嵌合する前記ハウジング側の摩擦係合要素の前記軸方向の移動を許容するとともに前記軸回りの回転を妨げ、
    前記第二スプライン溝は、前記薄肉部に形成されており、前記第一スプライン溝よりも溝深さが小さく、前記環状溝よりも溝深さが大きく、前記環状溝を跨ぐように形成されている、摩擦係合装置。
  2. 前記ハウジング部の内部に前記ハウジング部から離れて配置され、前記ハウジング部に対し相対回転可能に設けられた回転部材と、
    前記内周面の径方向に沿って延在する表面を有し、前記軸方向に移動可能であるように前記ハウジング部に支持された、平板状の第一摩擦板と、
    前記第一摩擦板と対向して設置され、前記軸方向に移動可能であるように前記回転部材に支持された、平板状の第二摩擦板と、
    前記第一摩擦板および前記第二摩擦板を前記軸方向に押圧して摩擦係合させるピストン部材と、
    前記軸方向に移動可能であるように前記ハウジング部に支持され、前記ピストン部材との間に前記第一摩擦板および前記第二摩擦板を挟持するフランジ部材とをさらに備え、
    前記スナップリングは、前記ピストン部材が前記第一摩擦板および前記第二摩擦板を押圧するとき前記フランジ部材と当接して前記フランジ部材の前記軸方向の移動を妨げ、
    前記フランジ部材の外周部には、前記径方向外側へ突起する第一スプライン歯が形成されており、
    前記第一摩擦板の外周部には、前記径方向外側へ突起する第二スプライン歯が形成されており、
    前記第一スプライン歯および前記第二スプライン歯が前記第一スプライン溝にスプライン嵌合して、前記フランジ部材および前記第一摩擦板の前記軸方向の移動を許容するとともに、前記フランジ部材および前記第一摩擦板の前記軸回りの回転を妨げる、請求項1に記載の摩擦係合装置。
  3. 前記フランジ部材の外周部には、前記第一スプライン歯および前記第二スプライン歯の歯たけよりも歯たけの小さい第三スプライン歯がさらに形成されており、
    前記第三スプライン歯は前記第二スプライン溝とスプライン嵌合する、請求項に記載の摩擦係合装置。
  4. 前記第三スプライン歯の歯厚は、前記第一スプライン歯および前記第二スプライン歯の歯厚よりも小さい、請求項に記載の摩擦係合装置。
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