JP3223207B2 - 連結装置 - Google Patents

連結装置

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JP3223207B2
JP3223207B2 JP03848093A JP3848093A JP3223207B2 JP 3223207 B2 JP3223207 B2 JP 3223207B2 JP 03848093 A JP03848093 A JP 03848093A JP 3848093 A JP3848093 A JP 3848093A JP 3223207 B2 JP3223207 B2 JP 3223207B2
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    • F16DCOUPLINGS FOR TRANSMITTING ROTATION; CLUTCHES; BRAKES
    • F16D27/00Magnetically- or electrically- actuated clutches; Control or electric circuits therefor
    • F16D27/10Magnetically- or electrically- actuated clutches; Control or electric circuits therefor with an electromagnet not rotating with a clutching member, i.e. without collecting rings
    • F16D27/108Magnetically- or electrically- actuated clutches; Control or electric circuits therefor with an electromagnet not rotating with a clutching member, i.e. without collecting rings with axially movable clutching members
    • F16D27/112Magnetically- or electrically- actuated clutches; Control or electric circuits therefor with an electromagnet not rotating with a clutching member, i.e. without collecting rings with axially movable clutching members with flat friction surfaces, e.g. discs
    • F16D27/115Magnetically- or electrically- actuated clutches; Control or electric circuits therefor with an electromagnet not rotating with a clutching member, i.e. without collecting rings with axially movable clutching members with flat friction surfaces, e.g. discs with more than two discs, e.g. multiple lamellae

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アクチュエータにより
締結するパイロットクラッチと、パイロットクラッチの
締結力により作動するカム手段と、カム手段により駆動
されてに移動する押圧部材と、押圧部材の移動により締
結するメインクラッチとを備えてなり、前記カム手段
が、パイロットクラッチにより拘束される第1カムリン
グと、押圧部材に設けられた第2カムリングと、第1及
び第2カムリング間に介装されて両カムリングの相対回
転を推力に変換する回転体とから構成される連結装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、かかる連結装置として、特開平4
−107347号公報に記載されたものが知られてい
る。この連結装置は自動車のディファレンシャルにおけ
る差動制限機構に適用されたもので、パイロットクラッ
チの締結力でメインクラッチを締結することにより差動
制限機構を制御するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
連結装置は、パイロットクラッチの締結力をカム機構で
増大させてメインクラッチに伝達するとき、カム機構の
第1カムリングと第2カムリングとの相対回転角の上限
を規制する手段を持たないため、両カムリングの相対回
転角が過度に増加して押圧部材に大きなスラスト力が作
用し、メインクラッチがロックしてしまう可能性があっ
た。
【0004】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもの
で、カム機構が押圧部材に与えるスラスト力の上限を規
制してメインクラッチのロックを防止することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、アクチュエータにより締結するパイロッ
トクラッチと、パイロットクラッチの締結力により作動
するカム手段と、カム手段により駆動されて移動する押
圧部材と、押圧部材の移動により締結するメインクラッ
チとを備えてなり、前記カム手段が、パイロットクラッ
チにより拘束される第1カムリングと、押圧部材に設け
られた第2カムリングと、第1及び第2カムリング間に
介装されて両カムリングの相対回転を推力に変換する回
転体とから構成される連結装置において、カム手段が押
圧部材に与えるスラスト力の上限を規制してメインクラ
ッチのロックを防止するために第1カムリング及び第2
カムリング間の相対回転角の上限を規制する規制手段を
備えており、その規制手段は、第1カムリング側に形成
した第1の当接部と、第2カムリング側に形成した第2
の当接部とを有しており,それら当接部は,両カムリン
グの相対回転角が上限を越えて増加しようとするとき
に,その両当接部相互間に回転体を介さずに相互に当接
することで前記相対回転角の上限を規制することを第1
の特徴とする。
【0006】また本発明は前述の第1の特徴に加えて、
カム機構の第1カムリングに形成したセレーションに係
合するパイロットクラッチのクラッチディスクの突起の
数を、前記セレーションの溝数よりも少なくしたことを
第2の特徴とする。
【0007】また本発明は前述の第1の特徴に加えて、
カム機構の第1カムリングに形成したセレーションに係
合するパイロットクラッチのクラッチディスクの突起に
溝を形成したことを第3の特徴とする。
【0008】また本発明は、前述の第1〜第3の特徴に
加えて、一方の当接部が、回転体を支持するカム溝から
構成され、また他方の当接部が、該カム溝に係合する突
ら構成され、その突起が回転体の半径方向外側に配
設されたことを第4の特徴とする。
【0009】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明
する。
【0010】図1〜図10は本発明の一実施例を示すも
ので、図1はリヤディファレンシャルの縦断面図、図2
は図1の2−2線断面図、図3は図2の3−3線断面
図、図4は図1の要部拡大図、図5は図4の5−5線断
面図、図6は図4の6−6線断面図、図7は図6の7−
7線断面図、図8は図4の8−8線断面図、図9は図8
に対応する作用説明図、図10はカム機構の部分斜視図
である。
【0011】図1は差動制限機構を備えた自動車のリヤ
ディファレンシャルDを示すもので、そのデフケース1
は軸方向に4分割されて一体に結合された左ケーシング
2、中間ケーシング3、センターケーシング4及び右ケ
ーシング5から構成される。センターケーシング4に
は、車体前後方向に延びるプロペラシャフトの後端に設
けた駆動ベベルギヤ(図示せず)に噛合して駆動される
従動ベベルギヤ6が固着される。左ケーシング2には左
後輪に接続される左車軸7が回転自在に支持され、また
右ケーシング5には右後輪に接続される右車軸8が回転
自在に支持される。
【0012】図2を併せて参照すると明らかなように、
デフケース1の内部には、該デフケース1に入力された
駆動力を左車軸7及び右車軸8に伝達するとともに、両
車軸7,8間の回転数差を吸収するプラネタリギヤ式差
動装置Pが収納される。差動装置Pは、右車軸8にスプ
ライン結合されたプラネタリギヤキャリヤ9を備える。
プラネタリギヤキャリヤ9には、対をなすアウタプラネ
タリギヤ軸10及びインナプラネタリギヤ軸11が12
0°間隔で3対設けられる。
【0013】アウタプラネタリギヤ軸10…に支持した
アウタプラネタリギヤ12…は、センターケーシング4
の内周に形成したリングギヤ13に噛合するとともに、
インナプラネタリギヤ軸11…に支持したインナプラネ
タリギヤ14…に噛合する。また前記インナプラネタリ
ギヤ14…は、前記アウタプラネタリギヤ12…に加え
て、左車軸7にスプライン結合されたスリーブ15の右
端外周に形成したサンギヤ16にも噛合する。
【0014】次に、リングギヤ13を有するセンターケ
ーシング4とサンギヤ16を有するスリーブ15とを一
体に結合して差動制限力を発生するメインクラッチMc
の構造を説明する。
【0015】図4において、センターケーシング4の内
周に形成したセレーション17には複数枚のメインクラ
ッチアウタディスク18…が軸方向摺動自在に支持され
ており、これらのメインクラッチアウタディスク18…
に対して交互に重ね合わされた複数枚のメインクラッチ
インナディスク19…が、スリーブ15の外周に形成し
たセレーション20に軸方向摺動自在に支持される。右
端のメインクラッチアウタディスク18の右側に配設さ
れた環状のストッパプレート21は、外周を前記センタ
ーケーシング4のセレーション17に支持されており、
前記メインクラッチアウタディスク18…及びメインク
ラッチインナディスク19…と共に軸方向に摺動する。
ストッパプレート21の摺動可能範囲は、前記セレーシ
ョン17に係合する一対のCクリップ37,38によっ
て挟まれた範囲に規制される。一方、左端のメインクラ
ッチインナディスク19の左側には、後から詳述する環
状のプレッシャプレート22が配設される。
【0016】ストッパプレート21の右側面に形成した
係止段部211 とセンターケーシング4の内周に形成し
た係止段部41 との間には、皿バネ23が介装される。
皿バネ23はストッパプレート21を左方向、即ちメイ
ンクラッチアウタディスク18…とメインクラッチイン
ナディスク19…とを相互に接触させる方向に付勢し、
これによりメインクラッチMcに所定の初期締結力を発
生させる。
【0017】メインクラッチMcが前記初期締結力を発
生している状態で、ストッパプレート21の外周と前記
右側のCクリップ38との間にはストッパプレーと21
の右動を許容する間隙α1 が形成されており、またスト
ッパプレート21の外周と前記左側のCクリップ37と
の間にはストッパプレーと21の左動を許容する僅かな
間隙α2 が形成されている。ストッパプレーと21の右
動を許容する前記間隙α1 は、ストッパプレート21の
右側面とプラネタリギヤキャリヤ9の左側面との間隙よ
りも小さく形成されており、これにより、メインクラッ
チMcの締結時にストッパプレート21とプラネタリギ
ヤキャリヤ9との接触が回避される。
【0018】次に、前記メインクラッチMcに締結力を
発生させるためのパイロットクラッチPcの構造を説明
する。
【0019】図4において、中間ケーシング3の内周に
形成したセレーション24には複数枚のパイロットクラ
ッチアウタディスク25…が軸方向摺動自在に支持され
ており、これらのパイロットクラッチアウタディスク2
5…に対して交互に重ね合わされた複数枚のパイロット
クラッチインナディスク26…が、後から詳述する第1
カムリング27の外周に形成したセレーション28に軸
方向摺動自在に支持される。右端のパイロットクラッチ
アウタディスク25の右側には、左ケーシング2の右側
面と協働してパイロットクラッチアウタディスク25…
及びパイロットクラッチインナディスク26…を挟持す
べく、環状のアーマチュア29が軸方向摺動自在に支持
される。
【0020】一方、左ケーシング2の外周には2個のボ
ールベアリング30,30を介してソレノイド31が支
持される。ソレノイド31は図示せぬ制御装置からの指
令によって通電され、その磁力で前記アーマチュア29
を左方向に吸引することにより、パイロットクラッチア
ウタディスク25…及びパイロットクラッチインナディ
スク26…を相互に当接させてパイロットクラッチPc
を締結する。
【0021】図5を併せて参照すると明らかなように、
アーマチュア29の外周には複数(例えば2個又は4
個)のボール溝291 …が形成される。ボール溝291
…とそれに対向するセレーション24とにはボール36
…が係合しており、これにより、アーマチュア29は中
間ケーシング3に対して回り止めされ、且つ軸方向にス
ムーズに摺動することができる。またアーマチュア29
の右側への移動端はセレーション24に係合するCクリ
ップ32により規制されるが、このCクリップ32は前
記ボール36…の脱落防止部材としても機能する。この
とき、Cクリップ32の開放端321 の間隙βをボール
36…の直径よりも小さく形成することにより、前記開
放端321 からのボール36…の脱落が防止される。
【0022】アーマチュア29の外周をボール36…を
介してデフケース1側に係止したことにより、アーマチ
ュア29の内周を第1カムリング27側に係止した場合
に比べて該第1カムリング27の慣性モーメントを減少
させ、メインクラッチMcに不要な締結が発生すること
を防止できるとともに、パイロットクラッチPcの締結
時に該パイロットクラッチPcの負荷を軽減することが
でき、しかもアーマチュア29の振れを防止して回転を
安定させることができる。しかも、アーマチュア29と
デフケース1とが接触面積の小さいボール36…を介し
て接触しているので、アーマチュア29の軸方向の移動
がスムーズに行われるだけでなく、磁力線の漏れを防止
してソレノイド31の吸引力の低下を防止することがで
きる。
【0023】次に、前記パイロットクラッチPcの締結
力を増大させてメインクラッチMcに伝達するためのカ
ム機構Cの構造を説明する。
【0024】図3及び図4に示すように、カム機構Cは
第1カムリング27、第2カムリング33及び複数のボ
ール34…から構成される。第1カムリング27はスリ
ーブ15の外周に相対回転自在に支持されており、その
左端面はスラストベアリング35を介して左ケーシング
2の右端面に支持される。第2カムリング33はスリー
ブ15の外周に軸方向摺動自在にスプライン結合されて
おり、更にその外周に前記プレッシャプレート22が軸
方向摺動自在にスプライン結合される。
【0025】図8〜図10を併せて参照すると明らかな
ように、第1カムリング27の右端面と第2カムリング
33の左端面とにはそれぞれ6個のカム溝271 …,3
1…が形成されており、両カム溝271 …,331
間に前記ボール34…が挟持される。またプレッシャプ
レート22の中央部から左に延びるボス部先端には、先
端が尖った6個の突起221 …が突設されており、この
突起221 …は第1カムリング27の6個のカム溝27
1 …にそれぞれ係合する。第1カムリング27側にプレ
ッシャプレート22の突起221 …が係合するカム溝2
1 …を形成したことにより、第1カムリング27の慣
性モーメントの減少にも寄与することがきる。
【0026】而して、スリーブ15にスプライン結合さ
れた第2カムリング33と、該第2カムリング33にス
プライン結合されたプレッシャプレート22と、前記第
2カムリング33にボール34及びカム溝271 …,3
1 …を介して接続されるとともに、前記プレッシャプ
レート22に突起221 …及びカム溝271 …を介して
接続された第1カムリング27とは、スリーブ15と一
体に回転する。
【0027】図4、図6及び図7から明らかなように、
パイロットクラッチインナディスク26…を第1カムリ
ング27のセレーション28に結合するための突起26
1 …の数は、前記セレーション28の溝数よりも少なく
(例えば全部で8個)設定されており、しかも各突起2
1 …の基部両面に溝262 ,262 が形成されてい
る。従って、パイロットクラッチPcに過剰な負荷が加
わった場合に、前記突起261 …が溝262 ,262
部分から破断することにより、リヤディファレンシャル
D全体としての損傷を最小限に抑えてデフロックを防止
することができる。
【0028】パイロットクラッチインナディスク26…
の溝262 ,262 は、そこに保持される油によってパ
イロットクラッチPcの潤滑性向上に寄与しており、更
にパイロットクラッチインナディスク26…の突起26
1 …が係合しない第1カムリング27のセレーション溝
も、そこに保持される油によってパイロットクラッチP
cの潤滑性向上に寄与している。
【0029】図4から明らかなように、プレッシャプレ
ート22の内周右端部には、第2カムリング33の右端
に当接可能な段部222 が形成される。メインクラッチ
Mcが皿バネ23の付勢力による初期締結状態にあると
き、第2カムリング33と段部222 との間に僅かな間
隙α3 が形成される。
【0030】図9から明らかなように、第1カムリング
27と第2カムリング33との相対回転角の限界を規制
すべく、第2カムリング33と一体に回転するプレッシ
ャプレート22の突起221 …が当接可能な段部2
2 ,272 が、第1カムリング27のカム溝271
の両端に形成される。
【0031】次に、前述の構成を備えた本発明の実施例
の作用について説明する。
【0032】エンジンの駆動力が従動ベベルギヤ6を介
してデフケース1に伝達されたとき、左車軸7及び右車
軸8の負荷が均等であれば、デフケース1の回転はリン
グヤ13、アウタプラネタリギヤ12…、インナプラネ
タリギヤ14…、サンギヤ16及びスリーブ15を介し
て左車軸7に伝達されるとともに、アウタプラネタリギ
ヤ12…及びインナプラネタリギヤ14…からプラネタ
リギヤキャリヤ9を介して右車軸8に伝達され、両車軸
7,8を同速度で回転させる。一方、左車軸7及び右車
軸8の負荷に差が生じると、デフケース1の回転は両プ
ラネタリギヤ12…,14…の自転と公転とによるリン
グギヤ13及びサンギヤ16の相対回転により、左車軸
7及び右車軸8に差動分配される。
【0033】左車軸7及び右車軸8間の差動を規制すべ
くパイロットクラッチPcのソレノイド31に通電する
と、アーマチュア29がソレノイド31に吸引されて左
動し、パイロットクラッチアウタディスク25…及びパ
イロットクラッチインナディスク26…が相互に接触す
る。その結果、パイロットクラッチPcが締結され、カ
ム機構Cの第1カムリング27が中間ケーシング3即ち
デフケース1に拘束される。このとき、左車軸7にスプ
ライン結合されたスリーブ15とデフケース1との間に
少しでも回転差があれば、図9に示すように第1カムリ
ング27と第2カムリング33とが相対回転する。その
結果、第1カムリング27のカム溝27 1 …に押圧され
たボール34…が第2カムリング33のカム溝331
を押圧し、第2カムリング33がメインクラッチMcに
向けて右動する。
【0034】第2カムリング33が右動すると、該第2
カムリング33の右端に段部222を押圧されたプレッ
シャプレート22が右動する。その結果、メインクラッ
チMcのメインクラッチアウタディスク18…及びメイ
ンクラッチインナディスク19…が右方向に押圧され、
ストッパプレート21が皿バネ23に抗して右側のCク
リップ38に当接することにより相互に接触する。而し
て、センターケーシング4即ちデフケース1と、スリー
ブ15即ち左車軸7とが一体化されてプラネタリギヤ式
差動装置Pがロックされ、左車軸7及び右車軸8間の差
動が規制される。
【0035】上述のようにして、パイロットクラッチP
cの小さな締結力をカム機構Cで軸方向の大きなスラス
ト力に変換し、このスラスト力でプレッシャプレート2
2を作動させてメインクラッチMcに大きな締結力を発
生させることができる。
【0036】このとき、ストッパプレート21とCクリ
ップ38との間に形成した間隙α1の作用により、メイ
ンクラッチMcをスムーズに締結することができる。ま
た第2カムリング33とプレッシャプレート22との間
に形成した間隙α3 は、急激な車輪速の変化によって第
1カムリング27及び第2カムリング33が相対回転し
たときにカム機構Cの不感帯として作用し、メインクラ
ッチMcの急激な締結を防止することができる。
【0037】メインクラッチMcが皿バネ23の付勢力
による初期締結状態にあるとき、皿バネ23の付勢力は
ストッパプレート21、メインクラッチアウタディスク
18…、メインクラッチインナディスク19…、プレッ
シャプレート22、第1カムリング27及びスラストベ
アリング35を介して左ケーシング2に伝達される。こ
れによりメインクラッチMcに所定の締結力を発生させ
て差動制限を行い、例えば高速直線走行時に横風を受け
たような場合の走行安定性を向上させることが可能とな
る。上記横風に対する安定性向上を図るためにソレノイ
ド31に常時通電してメインクラッチMcに締結力を発
生させた場合には、ソレノイド31の鉄粉吸着や温度上
昇の問題が発生するが、皿バネ23によってメインクラ
ッチMcに締結力を発生させることにより上記問題を回
避することができる。また、皿バネ23の荷重をスラス
トベアリング35で受けることにより、左ケーシング2
の焼き付きが防止される。
【0038】図9に示すように、前記皿バネ23によっ
て付勢されたプレッシャプレート22の突起221 …が
第1カムリング27のカム溝271 …に当接することに
より、プレッシャプレート22と第1カムリング27と
が、即ち第2カムリング33と第1カムリング27とが
センタリング位置(図9の位置)に向けて付勢される。
その結果、パイロットクラッチPcが締結したときに、
第1カムリング27及び第2カムリング33の相対回転
方向に関わらず、常に一定の応答性でカム機構Cを作動
させることができる。また、第1カムリング27及び第
2カムリング33の相対回転角が許容値を越えて増加し
ようとすると、プレッシャプレート22の突起221
がカム溝271 …の両端に形成した段部272 ,272
の一方に当接して前記相対回転角の過度の増加を抑制
し、これによりメインクラッチMcの不要な締結による
プラネタリギヤ式差動装置Pのロックを防止することが
できる。更に、突起221 …はボール34…の半径方向
外側を覆う位置にあり、遠心力によるボール34…の飛
び出しを防止するように機能する。
【0039】尚、ストッパプレート21とCリング37
との間に形成した間隙α2 を所定の大きさに設定するこ
とにより、メインクラッチアウタディスク18…の摩擦
材が摩耗したときに皿バネ23の付勢力が両ディスク1
8…,19…に作用することを防止し、両ディスク18
…,19…の金属部分相互の接触を防止することができ
る。
【0040】図11及び図12は本発明の別実施例を示
すものである。
【0041】この実施例は、アーマチュア29の外周に
突設した複数の突起292 …が中間ケーシング3のセレ
ーション24に摺動自在に係合しており、これによりア
ーマチュア29に回り止めが施される。またアーマチュ
ア29の外周面は右側ほど直径が小さくなるように傾斜
しており、直径が最大となる左端面においてセレーショ
ン24の先端に摺接する。従って、ソレノイド31に対
向する側の面積を充分に確保して吸着力の低下を防止し
ながらセレーション24との間の摩擦力を減少させるこ
とができるとともに、アーマチュア29の戻りもスムー
ズになる。
【0042】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明は前記実施例に限定されるのもでなく、種々の設計変
更を行うことが可能である。
【0043】例えば、実施例におけるプラネタリギヤ式
差動装置Pに代えて、通常のベベルギヤ式差動装置を用
いることができる。また、本発明は実施例の差動制限機
構に限定されず、動力伝達装置の駆動側と従動側とを係
脱自在に連結する適宜の連結装置に適用することが可能
である。更に、実施例ではプレッシャプレート22と第
2カムリング33とを相対移動可能にスプライン結合し
ているが、両者を相対移動不能に結合しても良く、また
は両者を一部材で構成しても良い。
【0044】
【発明の効果】以上のように本発明の第1の特徴によれ
ば、カム手段が押圧部材に与えるスラスト力の上限を規
制してメインクラッチのロックを防止するために第1カ
ムリング及び第2カムリング間の相対回転角の上限を規
制する規制手段を備えており、その規制手段は、第1カ
ムリング側に形成した第1の当接部と、第2カムリング
側に形成した第2の当接部とを有しており,それら当接
部は,両カムリングの相対回転角が上限を越えて増加し
ようとするときに,その両当接部相互間に回転体を介さ
ずに相互に当接することで前記相対回転角の上限を規制
するようにしたので、両カムリングの相対回転角の過度
の増加を回避してメインクラッチのロックを防止するこ
とができる。
【0045】また本発明の第2の特徴によれば、カム機
構の第1カムリングに形成したセレーションに係合する
パイロットクラッチのクラッチディスクの突起の数を前
記セレーションの溝数よりも少なくしたことにより、パ
イロットクラッチに過剰な負荷が加わったときに前記突
起を破断させて損傷を最小限に抑えることができ、しか
も突起が係合しないセレーションの溝に保持される油に
よってパイロットクラッチの潤滑性を向上させることが
できる。
【0046】また本発明の第3の特徴によれば、カム機
構の第1カムリングに形成したセレーションに係合する
パイロットクラッチのクラッチディスクの突起に溝を形
成したことにより、パイロットクラッチに過剰な負荷が
加わったときに前記溝から突起を破断させて損傷を最小
限に抑えることができ、しかも突起の溝に保持される油
によってパイロットクラッチの潤滑性を向上させること
ができる。
【0047】また本発明の第4の特徴によれば、一方の
当接部が、回転体を支持するカム溝から構成され、また
他方の当接部が、該カム溝に係合する突起ら構成され
るので、カム溝を規制手段の一部に兼用できて構造簡素
化が図られる。しかも上記突起が回転体の半径方向外側
に配設されるので、該突起を利用して、遠心力による回
転体の飛び出しを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】リヤディファレンシャルの縦断面図
【図2】図1の2−2線断面図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】図1の要部拡大図
【図5】図4の5−5線断面図
【図6】図4の6−6線断面図
【図7】図6の7−7線断面図
【図8】図4の8−8線断面図
【図9】図8の対応する作用説明図
【図10】カム機構の部分斜視図
【図11】第2実施例に係る、前記図4に対応する部分
断面図
【図12】図11の12−12線断面図
【符号の説明】
22 プレッシャプレート(押圧部材) 221 突起(規制手段;第2の当接部) 26 パイロットクラッチインナディスク(クラ
ッチディスク) 261 突起 262 溝 27 第1カムリング 271 カム溝(規制手段;第1の当接部) 28 セレーション 31 ソレノイド(アクチュエータ) 33 第2カムリング 34 ボール(回転体) C カム機構(カム手段) Mc メインクラッチ Pc パイロットクラッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−92126(JP,A) 特開 平4−107347(JP,A) 特開 平4−151025(JP,A) 実開 平4−113356(JP,U) 実開 平3−112137(JP,U) 実開 平4−18748(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16D 27/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクチュエータ(31)により締結する
    パイロットクラッチ(Pc)と、パイロットクラッチ
    (Pc)の締結力により作動するカム手段(C)と、カ
    ム手段(C)により駆動されて移動する押圧部材(2
    2)と、押圧部材(22)の移動により締結するメイン
    クラッチ(Mc)とを備えてなり、前記カム手段(C)
    が、パイロットクラッチ(Pc)により拘束される第1
    カムリング(27)と、押圧部材(22)に設けられた
    第2カムリング(33)と、第1及び第2カムリング
    (27,33)間に介装されて両カムリング(27,3
    3)の相対回転を推力に変換する回転体(34)とから
    構成される連結装置において、カム手段(C)が押圧部材(22)に与えるスラスト力
    の上限を規制してメインクラッチ(Mc)のロックを防
    止するために 第1カムリング(27)及び第2カムリン
    グ(33)間の相対回転角の上限を規制する規制手段を
    備えており、 その規制手段は、第1カムリング(27)側に形成した
    第1の当接部(27 1 )と、第2カムリング(33)側
    に形成した第2の当接部(22 1 )とを有しており,そ
    れら当接部(27 1 ,22 1 )は,両カムリング(2
    7,33)の相対回転角が上限を越えて増加しようとす
    るときに,その両当接部(27 1 ,22 1 )相互間に回
    転体(34)を介さずに相互に当接することで前記相対
    回転角の上限を規制する ことを特徴とする連結装置。
  2. 【請求項2】 カム機構(C)の第1カムリング(2
    7)に形成したセレーション(28)に係合するパイロ
    ットクラッチ(Pc)のクラッチディスク(26)の突
    起(261 )の数を、前記セレーション(28)の溝数
    よりも少なくしたことを特徴とする、請求項1記載の連
    結装置。
  3. 【請求項3】 カム機構(C)の第1カムリング(2
    7)に形成したセレーション(28)に係合するパイロ
    ットクラッチ(Pc)のクラッチディスク(26)の突
    起(261 )に溝(262 )を形成したことを特徴とす
    る、請求項1記載の連結装置。
  4. 【請求項4】 一方の当接部が、回転体(34)を支持
    するカム溝(271から構成され、また他方の当接部
    が、該カム溝(271 )に係合する突起(221
    構成され、その突起(221 )が回転体(34)の半径
    方向外側に配設されたことを特徴とする、請求項1〜3
    の何れかに記載の連結装置。
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