JP3306988B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP3306988B2
JP3306988B2 JP09338693A JP9338693A JP3306988B2 JP 3306988 B2 JP3306988 B2 JP 3306988B2 JP 09338693 A JP09338693 A JP 09338693A JP 9338693 A JP9338693 A JP 9338693A JP 3306988 B2 JP3306988 B2 JP 3306988B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁性層又はバックコー
ト層に用いられる結合剤に改良が施された磁気記録媒体
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】いわゆる塗布型の磁気記録媒体において
は、強磁性粉末や結合剤,分散剤,潤滑剤等を有機溶剤
に分散混練してなる磁性塗料をポリエステルフィルム等
の非磁性支持体上に塗布することによって磁性層が形成
されている。
【0003】このような塗布型磁気記録媒体において使
用される結合剤としては、磁気記録媒体に良好な電磁変
換特性を付与でき、耐摩耗性,耐熱性に優れるとともに
耐久性を付与するためにガラス転移点が低いことが要求
され、たとえば、ニトロセルロース−ウレタン樹脂,ポ
リ塩化ビニル−ウレタン樹脂等が実用化されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来使用さ
れている結合剤は、近年の磁気記録分野における高密度
記録化への対応性、あるいは環境保護の点から見て不適
当であり、新規な結合剤の開発が望まれるようになって
きている。
【0005】すなわち、磁気記録の分野においては、年
々、高密度記録化が進行しており、このような塗布型磁
気記録媒体においても、高密度記録化に応えるべく、使
用する磁性粉末の微細化が進められている。ところが、
磁性粉末は、微細化すると結合剤中に分散し難くなり、
たとえば、このように微粒子化した磁性粉末を、上記ニ
トロセルロース−ウレタン樹脂を結合剤として分散させ
ようとすると、該ニトロセルロース−ウレタン樹脂では
粘度が高過ぎ、磁性層内に均一に分散させることができ
ない。このため、記録再生特性が劣化したり、走行に際
して磁性粉末がヘッドやドラムの付着し、十分な耐久性
が得られないといった不都合が生じてしまう。
【0006】一方、上記ポリ塩化ビニル−ポリウレタン
樹脂は、ある程度の分散性を有し、上記微粒子磁性粉末
を均一に分散させる上では適当である。しかし、分子内
に高い割合で導入されている塩素が酸性雨、ダイオキシ
ン等の原因となるため、地球環境保護の点から好ましく
なく、その使用量が規制されつつある。
【0007】この他、ポリエステルポリウレタン樹脂も
結合剤として使用されているが、この樹脂単独では耐久
性、走行性に問題が生じる可能性が高い。
【0008】さらに、本発明者等は、ポリビニルアセト
アセタール樹脂が磁性粉末を分散させる効果や耐摩耗性
に優れていることを見い出し研究を重ねたが、この樹脂
は水酸基を多く有するため接着性や耐水性に問題があ
り、これを結合剤に用いた磁気テープは長期保存すると
他層と粘着してしまい、実用化には至らなかった。
【0009】また、バックコート層に用いる結合剤につ
いても、従来より磁性層を構成する結合剤と同様の材料
が用いられてきたので、上述したような種々の問題を同
様に抱えており、近年益々厳しくなるバックコート層の
平滑性と耐久性への要求に十分に応えられるものではな
かった。
【0010】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、環境を汚染することな
く、磁性粉末の微粒子を磁性層中に均一に分散させるこ
とができ、さらに耐久性にも優れた結合剤材料を見い出
し、これを用いて磁性層を構成し、優れた特性を有する
磁気記録媒体を提供することを目的とする。また、上述
したような結合剤を用いてバックコート層を構成するこ
とによって、耐久性や保存性に優れた磁気記録媒体を提
供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明者らが多くの種類の樹脂を網羅して、その
分散性及び廃棄した場合の環境への影響について検討し
た結果、所定の分子骨格を有するポリビニルアセタール
樹脂が分散性に優れるとともに環境保護の点からも問題
が無く、高密度記録媒体の結合剤として好適であること
を見い出すに至った。
【0012】即ち、本願第1の発明は、非磁性支持体上
に強磁性粉末と結合剤とを主体とする磁性塗料が塗布さ
れてなる磁気記録媒体において、上記結合剤が、化3に
示される一般式を有するポリビニルアセタール樹脂より
なることを特徴とするものである。
【0013】
【化3】
【0014】また、本願第2の発明は、非磁性支持体上
に磁性層とバックコート層が形成されてなる磁気記録媒
体において、上記バックコート層を構成する結合剤が、
化4に示される一般式を有するポリビニルアセタール樹
脂よりなることを特徴とするものである。
【0015】
【化4】
【0016】本発明が適用される磁気記録媒体は、磁性
粉末と結合剤とを主体とする磁性塗料を非磁性支持体表
面に塗布することにより磁性塗膜が形成されるいわゆる
塗布型の磁気記録媒体であり、これを構成する非磁性支
持体や磁性塗膜に含有させる磁性粉末は従来公知のもの
がいずれも使用可能で、何等限定されるものではない。
【0017】例示するならば、非磁性支持体としては、
ポリエステル類、ポリオレフィン類、セルロース誘導
体、ビニル系樹脂、ポリイミド類、ポリアミド類、ポリ
カーボネート等に代表される高分子支持体や、アルミニ
ウム合金、チタン合金等からなる金属基板、ガラス基板
等である。その形状も何等限定されるものではなく、テ
ープ状、シート状、ドラム状等如何なる形態であっても
よい。さらに、この非磁性支持体にはその表面性をコン
トロールするために、微細な凹凸が形成されるような表
面処理が施されたものであってもよい。
【0018】磁性粉末としては、γ−Fe2 3 、コバ
ルト被着γ−Fe2 3 等の強磁性酸化鉄系粒子、強磁
性二酸化クロム系粒子、Fe、Co、Ni等の金属やこ
れらを含んだ合金からなる強磁性金属系粒子、六角板状
の六方晶フェライト微粒子等が例示される。なお、上記
磁性粉末として、比表面積が大きな磁性粉末を使用すれ
ば、高密度記録を行う上で有利である。
【0019】そして、本願第1の発明においては、比表
面積が大きな微粒子磁性粉末を均一に磁性層内に分散さ
せて良好な磁気特性を及び耐久性を獲得するために、さ
らには磁気記録媒体を廃棄した場合の環境への影響を考
慮して、磁性層を構成する結合剤として所定の分子骨格
を有するポリビニルアセタール樹脂を使用する。ポリビ
ニルアセタール樹脂は、磁気記録媒体に良好な電磁変換
特性を付与できるとともに耐摩耗性,耐熱性にも優れる
ものであるが、このうち特に所定の分子骨格を有するポ
リビニルアセタール樹脂は、分散性,硬度,溶解性が結
合剤として極めて好適である。
【0020】すなわち、上記ポリビニルアセタール樹脂
は、化3に示す化学構造を有するものであり、高分散性
を獲得し、硬度,相溶性を適正なものとするために、各
モノマー成分の構成比(モル%)k,l1 ,l2 ,m,
nが、k+l1+l 2 +m+n=100,5≦k≦1
5,70≦l1 +l2 ≦85,l1 :l2 =1:1〜
9:1,m≦3とされている。
【0021】kの増減は、他の樹脂との溶解性,耐久
性,軟化性等に影響を与え、例えば、kが5モル%未満
であると分散性や硬化剤との反応性が悪く、この結合剤
を用いた磁気記録媒体は十分な耐久性が確保できない。
逆に、kが15モル%より多いと耐水性に劣り、これを
用いて作成された磁気記録媒体には長期保存により張り
付きが起こってしまう。
【0022】また、l1+l2が70モル%未満である
と、結合剤として硬さが不足するため磁気記録媒体の耐
久性を十分確保できず、l1+l2が85モル%を越える
ものは合成が困難であり、実際上入手できない。さら
に、l1:l2=1:1よりl1が少ないと、樹脂の硬さ
が不足して磁気記録媒体の耐久性を劣化させるが、
1:l2=9:1よりl1が多いと、ポリエチレンテレ
フタレート等の非磁性支持体との接着性が悪くなるため
結合剤として不向きとなる。さらにmは、他の樹脂との
相溶性,耐水性等の点から3モル%以下とされる。
【0023】化3において、置換基Rは炭化水素基であ
り、例えば炭素数4〜10のアルキル基,芳香族炭化水
素等である。なお、上記ポリビニルアセタール樹脂の重
合度は200〜500のものが使用可能であり、特に重
合度250〜400のものが好ましい。
【0024】また、本願第2の発明においては、バック
コート層を構成する結合剤として所定の分子骨格を有す
るポリビニルアセタール樹脂を使用する。ポリビニルア
セタール樹脂は、耐摩耗性,耐熱性にも優れるものであ
るが、このうち特に所定の分子骨格を有するポリビニル
アセタール樹脂は、分散性,硬度,溶解性が結合剤とし
て極めて好適である。
【0025】すなわち、上記ポリビニルアセタール樹脂
は、化4に示す化学構造を有するものであり、高分散性
を獲得し、硬度,相溶性を適正なものとするために、各
モノマー成分の構成比(モル%)p,q1 ,q2 ,r,
sが、p+q1 +q2 +r+s=100,10≦p≦2
0,70≦q1 +q2 ≦85,q1 :q2 =1:1〜
9:1,r≦3とされている。
【0026】pが10モル%未満であると分散性や硬化
剤との反応性が悪く、バックコート層の耐久性が十分に
確保できず、20モル%より多いと耐水性に劣り、長期
保存により張り付きが起こってしまう。また、q1 +q
2 が70モル%未満であると、結合剤としては硬さが不
足し、lが85モル%を越えるものは合成が困難であ
り、実際上入手できない。
【0027】さらに、q1:q2=1:1よりq1が小さ
いと、硬さが不足するためバックコート層の耐久性を十
分に確保できず、逆に、q1:q2=9:1よりq1が大
きいと、ポリエチレンテレフタレート等の非磁性支持体
との接着性が悪くなるため結合剤として不向きである。
さらにmは、他の樹脂との相溶性,耐水性等の点から3
モル%以下とされる。
【0028】また、化4中、置換基R’は炭化水素基を
表しているが、例えば炭素数4〜10のアルキル基や芳
香族炭化水素等である。なお、上記ポリビニルアセター
ル樹脂の重合度は200〜500のものが使用可能であ
り、特に重合度250〜400のものが好ましい。
【0029】上述した本願第1の発明で用いられるポリ
ビニルアセタール樹脂と本願第2の発明で用いられるポ
リビニルアセタール樹脂とは、モノマーの構成比が若干
異なる以外は同様な構造のもので、従来公知の方法、つ
まり、ポリビニルアルコールをアルデヒドによってアセ
タール化することで得られる。
【0030】しかし、上述のようにして合成されたポリ
ビニルアセタール樹脂においては、ビニルアルコールの
構成比(化3におけるk,化4におけるp)が約25%
を占めており、結合剤として用いるには耐水性に劣るも
のである。そこで、本発明においては、片末端のイソシ
アネートを上記ビニルアルコールの水酸基と反応させ、
化3におけるn,化4におけるsなる構成比を有するモ
ノマー成分を形成することにより水酸基を減らし、所望
のポリビニルアセタール樹脂としている。
【0031】なお、上述のポリビニルアセタール樹脂
は、単独で結合剤として使用してもよいが、塗布型磁気
記録媒体の結合剤として一般に用いられる結合剤、例え
ばポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリロ
ニトリル−ブタジエン共重合体,エポキシ系樹脂、ポリ
エステル系樹脂等と併用するようにしても差し支えな
い。また、特に、併用する樹脂としてガラス転移点Tg
が70°以下の樹脂を使用すれば、結合剤に柔軟性が付
加され、耐久性の向上が得られることとなる。
【0032】また、本発明の磁気記録媒体において磁性
塗膜には、前記磁性粉末、樹脂結合剤の他、添加剤とし
て分散剤、研磨剤、帯電防止剤、防錆剤等が加えられて
もよく、さらに、磁性層表面、非磁性支持体上の磁性層
を形成しなかった面にそれぞれ潤滑剤,防錆剤等よりな
るトップコート層やバックコート層をそれぞれ設けるよ
うにしてもよい。なお、本願第2の発明においては、磁
性層が金属磁性薄膜であってもよい。
【0033】
【作用】本発明の磁気記録媒体は、磁性層を構成する結
合剤として、又はバックコート層を構成する結合剤とし
て所定の分子骨格を有するポリビニルアセタール樹脂を
使用している。ポリビニルアセタール樹脂は、所定の分
子骨格とされることにより、硬度,溶解性等の特性が結
合剤として適正なものとなり、比表面積の大きな微粒子
に対しても高い分散性を持って分散させることができる
ようになる。
【0034】したがって、このようなポリビニルアセタ
ール樹脂を磁性層に使用した磁気記録媒体は、磁性層中
に微粒子磁性粉末が均一に分散するので、高密度記録を
行った場合でも良好な磁気特性が得られ、高出力が発揮
される。また、走行に際して磁性粉末がヘッドやドラム
等に付着することがなく高い耐久性を有する。さらに、
樹脂中の水酸基の量が制限されているため耐水性にも優
れ、長期保存にも張り付き等を起こすことがない。しか
も、ポリビニルアセタール樹脂は分子内に有害成分の原
因となる元素を有していないので、環境保護の点でも優
れている。
【0035】同様に、所定の分子骨格を有するポリビニ
ルアセタール樹脂をバックコート層に使用することによ
って、耐久性に優れた磁気記録媒体とすることが可能と
なる。
【0036】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない
ことは言うまでもない。
【0037】実験1 先ず、ポリビニルアセタール樹脂を磁性層の結合剤とし
て用いて磁気記録媒体を作成した。
【0038】 磁性塗料の組成物 強磁性粉末 Fe粉末(比表面積54m2/g,pH8)100重量部 結合剤 ポリビニルアセタール樹脂 (組成の詳細は後述するとおり) 10重量部 ポリエステル系ポリウレタン樹脂 (Tg50℃,−SO3 Na基含有) 10重量部 カーボン(平均粒径75nm) 5重量部 アルミナ粉末(平均粒径300nm) 5重量部 潤滑剤 ステアリン酸 2重量部 ステアリン酸ブチル 2重量部 溶剤 メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン 100/100/41重量部 硬化剤(日本ポリウレタン社製,商品名 コロネートL) 4重量部
【0039】 バックコート用塗料の組成物 カーボン(平均粒径14nm) 100重量部 結合剤 ポリウレタン 50重量部 フェノキシ樹脂 25重量部 潤滑剤 ステアリン酸 1重量部 ステアリン酸ブチル 1重量部 溶剤 メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン 300/300/100重量部
【0040】先ず、上記の磁性塗料の組成物を用意し、
このうち、強磁性粉末,結合剤,カーボン,アルミナ粉
末と、溶剤の12重量%とをニーダに投入して混練を行
った。次にこの混練物と潤滑剤を残りの溶剤中に投入し
てディスパー付き撹拌機で撹拌し、続いてサンドミルを
用いて分散させ、フィルター処理後上記硬化剤を添加し
た。これを14μm厚のポリエチレンテレフタレートよ
りなるベースフィルム上に5μm厚で塗布した。その
後、磁場配向処理を行い、乾燥させて巻き取り、カレン
ダー処理を施し70℃で硬化処理を行った。
【0041】一方、上記バックコート用塗料の組成物
は、先ずカーボンと結合剤を溶剤の70重量%とともに
ニーダで混練し、この混練物と潤滑剤を残りの溶剤に溶
解させてサンドミルで分散させた。そして、フィルター
処理後硬化剤を添加し上記ベースフィルム上の磁性層が
形成された面とは反対側の面に2μm厚で塗布し、その
後、硬化処理して1/2インチ幅に裁断し、サンプルテ
ープを作成した。
【0042】上述のサンプルテープに結合剤として用い
られたポリビニルアセタール樹脂は化3に示される一般
式を有するものであるが、化3中Rで示される炭化水素
基はベンゼン環とし、各モノマーの構成比k,l1 ,l
2 ,m,nは表1のように変化させたサンプル1〜14
を用いた。
【0043】
【表1】
【0044】そして、上記ポリビニルアセタール樹脂サ
ンプル1〜14を使用して作成された実施例1〜9、比
較例1〜5のサンプルテープについて、静磁気特性と長
期保存性を調べた。静磁気特性としては、残留磁束密度
Br及び角形比Rsを振動試料型磁力計(VSM)によ
り測定した。また、スチル特性は、長時間スチルが測定
出来るように改造したVTRを用いて出力が初期から1
0dB減衰するまでの時間として求めた。
【0045】さらに、長期保存性は、サンプルテープを
リールに巻取り、60℃,相対湿度90%の恒温槽中に
30日間放置した後乾燥し、テープを解いたとき、テー
プ同士が粘着することなく保存前と同様に引き出すこと
ができれば○とし、20g以下の荷重をかけて引き出せ
るなら△、引き出すために20g以上の荷重を必要とす
る或いは磁性層やバックコート層に剥離が見られるなら
×として評価した。
【0046】これらの測定及び観察結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】表2より、l1 がl2 に対して少ないポリ
ビニルアセタール樹脂を用いたサンプルテープ(比較例
1)や、l1 がl2 に対して多すぎるポリビニルアセタ
ール樹脂を用いたサンプルテープ(比較例2)は、スチ
ル特性及び長期保存性に劣っていることがわかる。ま
た、アセタール化されたモノマー全体の構成比(l1
2 )が少ないと、作成されたサンプルテープ(比較例
3)の残留磁束密度Br及び角形比Rsが劣化すること
がわかる。
【0049】さらに、kが多すぎる或いは少なすぎるポ
リビニルアセタール樹脂を用いると、サンプルテープ
(比較例4,5)の長期保存性を劣化させることになる
ことがわかる。特にkが少なすぎると、磁性粉末の分散
性が悪くなるため磁性層の耐久性が劣化してしまってい
ることがわかる。
【0050】実験2 次に、ポリビニルアセタール樹脂をバックコート層の結
合剤として用いて磁気記録媒体を作成し、その効果を調
べることにする。
【0051】下記に示す磁性塗料、バックコート用塗料
の組成物を用意した。 磁性塗料の組成物 強磁性粉末 Fe粉末(比表面積54m2/g,pH8)100重量部 結合剤 ポリ塩化ビニル樹脂 (−SO3 K基含有) 10重量部 ポリエステル系ポリウレタン樹脂 (−SO3 Na基含有) 10重量部 カーボン(平均粒径75nm) 5重量部 アルミナ粉末(平均粒径300nm) 5重量部 潤滑剤 ステアリン酸 2重量部 ステアリン酸ブチル 2重量部 溶剤 メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン 100/100/41重量部 硬化剤(日本ポリウレタン社製,商品名 コロネートL) 4重量部
【0052】 バックコート用塗料の組成物 カーボン(平均粒径14nm) 100重量部 結合剤 ポリビニルアセタール樹脂 (組成の詳細は後述するとおり) 75重量部 潤滑剤 ステアリン酸 1重量部 ステアリン酸ブチル 1重量部 溶剤 メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン 300/300/100重量部
【0053】そして、上記磁性塗料組成物を実験1で行
ったのと同様にして混合分散させ、14μm厚のポリエ
チレンテレフタレートよりなるベースフィルム上に5μ
m厚に塗布した。その後、磁場配向処理を行い、乾燥さ
せて巻き取りし、カレンダー処理を施し70℃で硬化処
理して磁性層を形成した。
【0054】一方、上記バックコート用塗料組成物も、
実験1で行ったのと同様にして混合分散させて、上記ベ
ースフィルム上の磁性層が形成された面とは反対側の面
に2μm厚で塗布し、その後、硬化処理して1/2イン
チ幅に裁断し、サンプルテープを作成した。
【0055】上述のサンプルテープに結合剤として用い
られたポリビニルアセタール樹脂は、化4に示される一
般式を有するものであるが、化4中R’で示される炭化
水素基はベンゼン環とし、各モノマーの構成比p,
1 ,q2 ,r,sは表3に示されるように変化させた
サンプル15〜28を用いた。
【0056】
【表3】
【0057】そして、上記ポリビニルアセタール樹脂サ
ンプル15〜28をそれぞれ使用して作成された実施例
10〜18、比較例6〜10のサンプルテープについ
て、光沢度、耐久性、長期保存性を調べた。光沢度(グ
ロス)は、光沢度計で入射角45゜で測定した。また、
耐久性は、1/2インチVTRに対して1000回走行
させた後、バックコートを観察し、わずかに走行傷があ
る程度ならば○、表面が鏡面化しているなら△、大きな
傷があるなら×として評価した。
【0058】さらに、長期保存性は、実験1で行ったの
と同様にして評価し、これらの測定及び観察結果を表4
に示す。
【0059】
【表4】
【0060】表4より明らかなように、q1 がq2 に対
して少ないポリビニルアセタール樹脂は、カーボンを十
分に分散させることができないため、これを用いて作成
されたサンプルテープ(比較例6)は、光沢度,長期保
存性及び耐久性の全てに劣るものとなっていることがわ
かる。逆にq1 がq2 に対して多すぎても、作成された
サンプルテープ(比較例7)の長期保存性が劣化してし
まう。
【0061】また、アセタール化されたモノマー全体の
構成比(q1 +q2 )が少ないと、作成されたサンプル
テープ(比較例8)の長期保存性が劣化することがわか
る。さらに、比較例9のようにpが多すぎるポリビニル
アセタール樹脂を用いると、サンプルテープの長期保存
性を劣化させることがわかる。逆に比較例10のように
pが少なすぎると、カーボンの分散性が悪くなるためバ
ックコート層の光沢度及び耐久性が劣化してしまってい
ることがわかる。
【0062】以上の結果より、磁性層を構成する結合剤
としては、化3に示すように、モノマー成分の構成比
(モル%)k,l1 ,l2 ,m,nが、k+l1+l 2
+m+n=100,5≦k≦15,70≦l1 +l2
85,l1 :l2 =1:1〜9:1,m≦3とされたポ
リビニルアセタール樹脂を用いることが好ましく、ま
た、バックコート層を構成する結合剤としては、化4に
示すように、各モノマー成分の構成比(モル%)p,q
1 ,q2 ,r,sが、p+q1 +q2 +r+s=10
0,10≦p≦20,70≦q1 +q2 ≦85,q1
2 =1:1〜9:1,r≦3とされたポリビニルアセ
タール樹脂を用いることが好ましいことがわかる。
【0063】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、所定
構造を有するポリビニルアセタール樹脂は、分散性、耐
摩耗性に優れているうえ、非磁性支持体との接着性や耐
水性にも優れた結合剤材料であるので、これを磁性層に
用いることによって、磁気特性や耐久性に優れた磁気記
録媒体を提供することができる。また、バックコート層
を構成する結合剤として用いることによって、耐久性や
長期保存性に優れた磁気記録媒体を提供することができ
る。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−81652(JP,A) 特開 平6−151555(JP,A) 特開 平6−96437(JP,A) 特開 平6−96438(JP,A) 特開 昭62−159150(JP,A) 特開 平2−58064(JP,A) 特開 平5−128486(JP,A) 特開 平5−287233(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/68 G11B 5/72

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤と
    を主体とする磁性塗料が塗布されてなる磁気記録媒体に
    おいて、 上記結合剤が、化1に示される一般式を有するポリビニ
    ルアセタール樹脂よりなることを特徴とする磁気記録媒
    体。 【化1】
  2. 【請求項2】 非磁性支持体の一方の面に磁性層が、他
    方の面にバックコート層が形成されてなる磁気記録媒体
    において、 上記バックコート層を構成する結合剤が、化2に示され
    る一般式を有するポリビニルアセタール樹脂よりなるこ
    とを特徴とする磁気記録媒体。 【化2】
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