JP3289627B2 - メチルメタクリレート系重合体の製造法 - Google Patents

メチルメタクリレート系重合体の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はメチルメタクリレー
ト系重合体の製造方法に関する。更に詳しくは、メチル
メタクリレート系の塊状重合法または溶液重合法によっ
て得られるメチルメタクリレート系重合体組成物から未
反応単量体を含む揮発分を分離、回収するとともに、そ
の残存物からメルカプタン類を分離、回収し、これらを
重合原料の一部として再使用する、いわゆる単量体およ
び連鎖移動剤のリサイクル工程を含むメチルメタクリレ
ート系重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】メチルメタクリレート系単量体の重合方
法として、水性媒体を用いた回分式の懸濁重合法が一般
的に採用されてきたが、最近では、水性媒体に伴う排水
処理の問題や、生産性およびエネルギー面で優れた塊状
重合法または溶液重合法が採用されるようになってき
た。塊状重合方法としては、特公昭52-32665号公報、特
公昭59-21325号公報、特公昭59-21326号公報、特公平 1
-49295号公報、特公平 2-26642号公報、特開平3-111408
号公報等に幾多の提案がある。また、溶液重合方法とし
ては、特公昭55-7845 号公報、特開昭 58-132002号公
報、特開昭63-57613号公報等に提案されている。
【0003】これらの重合方法では、単量体類を全て重
合するのではなく、重合体の含有率が約30〜80重量
%であって、未反応の単量体および溶媒とからなる液状
の重合体組成物として重合系から取り出すのが一般的で
ある。また、特公昭54-42035号公報には200℃以下の
沸点をもつ不純物を一部再使用することが開示されてい
るが、連鎖移動剤として用いられているメルカプタン類
が未反応モノマーに比べて高沸化合物であるため、一般
的には、特開平3-111408号公報に記載のように回収され
ることなく、廃棄処分されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、液状重合
体組成物から単量体類を分離、回収した残存物中には、
連鎖移動剤であるメルカプタン類等の有効成分が含ま
れ、廃棄処分されている。単量体および連鎖移動剤の使
用量削減の観点から、この残存物中からメルカプタン類
等を分離・回収し、再度原料の連鎖移動剤として再使用
する必要が出てくる。しかし、連続して再使用を継続す
ると不純物が蓄積して、重合そのもの、および生成する
重合体の着色等の悪影響が生じる。そこで、本発明者
は、回収したメルカプタン類に含まれる不純物を効率よ
く除去、精製し、連続して長時間重合を継続しても、生
成する重合体の品質が良好なメチルメタアクリル系重合
体の製造方法について鋭意検討した結果、液状の重合体
組成物から揮発分を分離し、揮発分から未反応単量体類
を回収した後、その残存物をヒドラジン類と接触処理し
て、または残存物に水を添加して共沸蒸留して不純物を
除去した後、更に蒸留して有効成分であるメルカプタン
類を回収し、重合原料用の連鎖移動剤として再使用する
ことによって、連続して長時間重合を継続しても、生成
する重合体の品質が良好なメチルメタアクリル系重合体
が得られることを見出し、本発明に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は次のと
おりである。 (1)メチルメタクリレートを主成分とする単量体類を
重合開始剤および連鎖移動剤としてメルカプタン類の存
在下に塊状重合または溶液重合して未反応単量体を含む
液状の重合体組成物とし、該液状の重合体組成物から揮
発分を分離してメチルメタクリレート系重合体を製造す
る方法において、揮発分から未反応単量体類を蒸留回収
した後、その残存物をヒドラジン類と接触処理した後、
更に蒸留してメルカプタン類を回収し、重合原料用の連
鎖移動剤として再使用することを特徴とするメチルメタ
クリレート系重合体の製造法。 (2)メチルメタクリレートを主成分とする単量体類を
重合開始剤および連鎖移動剤としてメルカプタン類の存
在下に塊状重合または溶液重合して未反応単量体を含む
液状の重合体組成物とし、該液状の重合体組成物から揮
発分を分離してメチルメタクリレート系重合体を製造す
る方法において、揮発分から未反応単量体類を蒸留回収
した後、その残存物に水を加えて共沸蒸留して不純物を
除去した後、更に蒸留してメルカプタン類を回収し、重
合原料用の連鎖移動剤として再使用することを特徴とす
るメチルメタクリレート系重合体の製造法。 以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明におけるメチルメタクリレ
ートを主成分とする単量体類とは、メチルメタクリレー
ト単独、またはメチルメタクリレートおよびこれと共重
合可能な他のビニル単量体の混合物である。該メチルメ
タクリレートは、工業的に製造されているものであれば
いずれでも良く、アセトンシアンヒドリン法によるも
の、イソブチレンやターシャリーブタノールを接触酸化
してメタクリル酸とし、メタノールでエステル化する方
法などで得られるものである。
【0007】該共重合可能な他のビニル単量体として
は、例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピ
ル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ベンジル等のメ
タクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アク
リル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類;
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等
の不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸
等の酸無水物;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アク
リル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸モノグリセ
ロール、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリ
ル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸モノグリセロー
ル等のヒドロキシル基含有単量体;アクリルアミド、メ
タクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸ジメチル
アミノエチル等の窒素含有単量体;アリルグリシジルエ
ーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジ
ル等のエポキシ基含有単量体;スチレン、α−メチルス
チレン等のスチレン系単量体等が挙げられる。
【0008】本発明で用いられる重合開始剤としては、
一般的に用いられているものであれば特に制限されるも
のではない。具体的には、例えば、アゾビスイソブチロ
ニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビス
シクロヘキサンニトリル、1,1’−アゾビス(1−ア
セトキシ−1−フェニルエタン)、ジメチル−2,2’
−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス−4−
シアノバレリン酸などのアゾ化合物;ベンゾイルパーオ
キサイド、ラウロイルパーオキサイド、1,1−ビス
(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサン、アセチルパーオキサイド、カプリエルパー
オキサイド、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキサイ
ド、イソブチルパーオキサイド、アセチルシクロヘキシ
ルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシビ
パレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノ
エート、iso−プロピルパーオキシジカーボネート、
iso−ブチルパーオキシジカーボネート、sec−ブ
チルパーオキシジカーボネート、n−ブチルパーオキシ
ジカーボネート、2−エチルヘキシルパーオキシジカー
ボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パー
オキシジカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エ
チルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブ
チルパーオキシエチルヘキサノエート、1,1,2−ト
リメチルプロピルパーオキシ−2−エチルヘキサノエー
ト、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネー
ト、t−アミルパーオキシイソプロピルモノカーボネー
ト、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシイ
ソプロピルモノカーボネート、1,1,2−トリメチル
プロピルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、
1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシイソノ
ナエート、1,1,2−トリメチルプロピルパーオキシ
−イソノナエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート
などの過酸化物などが挙げられる。これらの重合開始剤
は、所定の重合温度に適した1種または2種以上が用い
られる。
【0009】重合開始剤の量は、単量体類に対して0.
0001〜1重量%である。この範囲より少ないと重合
速度がおそくなり、多いと生成重合体の熱安定性が悪く
なり好ましくない。好ましくは0.0001〜0.1重
量%である。
【0010】本発明における塊状重合は周知の方法、例
えば、特公昭52-32665号公報、特公昭59-21325号公報、
特公昭59-21326号公報、特公平 1-49295号公報、特公平
2-26642号公報、特開平3-111408号公報等で提案されて
いる方法によるものである。つまりメチルメタクリレー
トを主成分とする単量体類を重合して、未反応の単量体
類を含んだ液状の重合体組成物として取り出す方法であ
ればよく、ことさらに限定されない。
【0011】なお、生成する重合体の分子量を調整する
ため、周知の単官能、多官能の連鎖移動剤が使用され
る。例えば、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタ
ン、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、2
−エチルヘキシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン
等のアルキルメルカプタン:フェニルメルカプタン、チ
オクレゾール等の芳香族メルカプタン:エチレンチオグ
リコール等の炭素数18以下のメルカプタン類が挙げら
れる。これらは単体又は2種以上を組合わせて用いるこ
とができる。連鎖移動剤の使用量は、単量体類100重
量部に対して0.01〜3重量部、好ましくは0.05
〜1重量部であり、この範囲の使用量が重合体の機械的
性質を損わず、熱安定性を良好に保つので好ましい。
【0012】本発明における溶液重合も周知の方法、例
えば、特公昭44-7845 号公報、特開昭58-132002 号公
報、特開昭63-57613号公報等で提案されている方法によ
るものである。つまりメチルメタクリレートを主成分と
する単量体類を重合不活性溶媒の共存下で重合して、該
溶媒と未反応単量体類を含んだ液状の重合体組成物とし
て取り出す方法であればよく、ことさらに限定されな
い。
【0013】該液状の重合体組成物からメチルメタクリ
レート系重合体と単量体類や溶媒等からなる揮発分を分
離する方法は、周知の方法、例えば、特公昭51-29914号
公報、特公昭52-17555号公報、特公平1-53682 号公報、
特開昭62-89710号公報、特開平3-49925 号公報等に記載
の方法である。つまり該液状の重合体組成物を加熱し
て、円盤式またはスクリュー式の脱揮押出機によって揮
発分を蒸発させ、重合体から分離させる。
【0014】蒸発して分離回収した揮発分から、未反応
単量体を回収する方法は、周知の方法、例えば、特公昭
54-42035号公報、特開平6-228203号公報等で提案されて
いる方法である。つまり、該揮発分に含まれるダイマー
やオリゴマーの低重合度重合体やメルカプタン類等の連
鎖移動剤等の重質分を蒸留によって、残存物として除去
し、未反応単量体類を分離・精製する方法である。
【0015】未反応単量体類を回収した後の該残存物
を、ヒドラジン類と接触処理する。これらの重質分であ
る残存物の接触処理は、回収されたものを全量または、
その一部を連続的に、または間歇的に行う。その選択
は、生成する重合体の品質によって判断される。該ヒド
ラジン類は、沸点がメルカプタン類の沸点よりも高いも
のが好ましく、常圧の沸点が200℃以上のものが好ま
しい。該ヒドラジン類としては、ヒドラジン、フェニル
ヒドラジン等が挙げられる。
【0016】該残存物をヒドラジン類で接触処理するに
は、両者が十分に接触すれば良く、いわゆる液−液混合
する方法であればいかなる方法でもよい。例えば、攪拌
機付き容器内で混合する方法、多孔板や充填物を内蔵し
た塔内を通過させる方法が挙げられる。接触の温度は5
〜80℃程度、好ましくは、常温〜50℃である。接触
時間は5〜120分間程度である。該ヒドラジン類の量
は、該残存物1kg当り0.0001〜0.005kg
であるが、不純物の生成量によって決定されるべきもの
であり、処理温度、処理時間、ヒドラジン類の量等は、
特に限定されるべきものではない。
【0017】次に、ヒドラジン類で接触処理した残存物
からメルカプタン類を分離、回収する。この分離方法は
特に制限されるものではなく、一般的には単蒸留や段塔
や充填塔を用いた蒸留によって分離する。
【0018】また、ヒドラジン類との接触処理に代え
て、該残存物に水を加えて共沸蒸留して不純物を除いた
後、上記と同様に蒸留してメルカプタン類を分離しても
良い。
【0019】これらの方法によって、該残存物中に存在
するメルカプタン類の30〜100%を回収する。回収
したメルカプタン類は重合原料の連鎖移動剤として再使
用される。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、塊状重合法または溶液
重合法によって連続的にメチルメタクリレート系重合体
を製造する際、回収した未反応単量体およびメルカプタ
ン類の連鎖移動剤の再使用を長時間継続しても、原料由
来および重合反応由来の不純物の蓄積がなく、得られる
メチルメタクリレート系重合体の品質、および特性の良
好なものを製造することが可能である。
【0021】
【実施例】本発明を実施例によって具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、得られた重合体の評価方法は以下の通りである。 (1)メルトフローレート(MFR)の測定:宝工業
(株)製のメルトインデクサーを用いて、JIS−K7
210に基づいて230℃、荷重3.8kgの条件で求
めた。 (2)着色度の測定:Tダイ付き40mm押出機(田辺
プラスチック社製)にて、250℃の温度で平板押出を
行い、100℃前後の3本のポリシングロールを経由し
て3mm厚の押出板を得た。この押出板より縦横共に5
cmの板状試料を、JIS−K7103に準拠して、日
本電色工業社製SZ−Σ80分光式色差計を用い、黄色
度(YI)を測定した。 (3)耐候性:着色度の測定に用いたものと同一板状試
料をサンシャインウェザーメーター(スガ試験機(株)
製WE-SUN-HCA-1型)を用いて、ブラックパネル温度63
℃にて2000時間照射した後のYIの測定値をもって
耐候性の評価とした。
【0022】実施例1 実施例1で用いたプロセスのフローチャートを図1に示
す。主要装置の概略仕様は次の通りである。 ・単量体調合槽:20L、SUS304、パドル翼攪拌機付、
ジャケット付 ・触媒溶解槽:10L、SUS304、パドル翼攪拌機付、ジ
ャケット付 ・重合反応器:10L、SUS304、ヘルカルリボン翼攪拌
機付、ジャケット付 ・加熱器:内径16.7mm×長さ3m、ジャケット付 ・脱揮押出機:(株)日本製鋼所製の二軸押出機(TE
X−30)、異方向回転方式、スクリュー径30mm、
シリンダーの長さ1200mm、リアーベント1個、フ
ォアベント3個 ・単量体回収塔:内径100mm、長さ3m、SUS304、
3/8インチSUS 製ラシヒリング充填塔、濃縮部長さ
0.7m、回収部長さ0.3m ・ヒドラジン処理槽:3L、樹脂製、攪拌機付、ジャケ
ットなし ・メルカプタン類回収塔:内径30mm、長さ300m
m、ガラス製、ディクソンパッキン充填塔、回収部長さ
120mm ・共沸蒸留塔:内径30mm、長さ300mm、ガラス
製、充填なし
【0023】原料の単量体として、日本メタアクリルモ
ノマー(株)製のメチルメタクリレート(以下、MMA
と称す)と東亜合成(株)製のアクリル酸メチル(以
下、MAと称す)を使用した。重合開始剤としては、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサン(以下、CYと称す)と、連鎖
移動剤としてn−オクチルメルカプタン(以下、OMと
称す)を使用した。
【0024】触媒溶解槽にMMAを主に、MAが3.5
重量%、CY0.262%となるように仕込み、攪拌混
合し、CYを完全に溶解させ触媒液とした。なお、触媒
溶解槽内の温度は5℃になるようジャケットに冷媒を通
した。このように調合した触媒液をポンプにより、連続
して1.47kg/Hrで重合反応器へ供給した。
【0025】単量体調合槽にてMMA、MA及びOMの
濃度がそれぞれ96.3重量%、3.5重量%、0.1
37重量%となるように、新たなMMA、MA及びOM
の供給量と回収未反応単量体のリサイクル量及びその組
成とから調整した。なお、単量体調合槽内の温度を5℃
になるように攪拌しながらジャケットに冷媒を通し調整
した。このようにして調整した単量体混合液をポンプに
より、13.279kg/Hrで重合反応器へ供給し
た。
【0026】重合反応器の下部から上記触媒液及び単量
体混合液を供給し、平均滞留時間26分間、温度175
℃±2℃にて平均重合率56重量%まで重合し、得られ
た液状の重合体組成物を重合反応器上部から取り出し、
次に加熱器へ導いた。加熱器ではジャケットに熱媒を通
し、液状の重合体組成物を20kg/cm2G 、200
℃まで加熱した。次に脱揮押出機に導いた。
【0027】脱揮押出機の各ベントは減圧とし、シリン
ダーの温度は250℃程度として液状の重合体組成物を
処理して、未反応単量体を主成分とする揮発分はベント
から取り出し、次の単量体回収塔へ送った。重合体は溶
融状態で、ストランド状で押し出し、水冷後、細断して
ペレットとして平均8.26kg/Hrを得た。
【0028】脱揮押出機のリアベントから出た揮発分は
ガス状で単量体回収塔の回収部に供給し、脱揮押出機の
フォアベントから出る揮発分は冷却、濃縮させて液状と
し、単量体回収塔底部へ供給し、還流比1で連続蒸留し
た。単量体回収塔の塔頂からの留出液は、未反応単量体
類として単量体調合槽へリサイクルした。単量体回収塔
塔底から、メルカプタン類を含む残存物を平均112g
/Hrで抜き出した。なお、該単量体回収塔頂から重合
禁止剤としてハイドロキノンを0.5g/Hr程度、連
続的に供給した。
【0029】メルカプタン類を含む残存物は液状であ
り、この残存物をヒドラジン処理槽でヒドラジン類と接
触混合した後、メルカプタン類回収塔の塔頂に供給し、
連続蒸留した。メルカプタン類回収塔の塔頂からの留出
液は、回収連鎖移動剤として単量体調合槽へ供給した。
留出液組成は、OMが20%、MMAが50%、MMA
二量体が10%以下であった。なお、未反応OMのほぼ
100%を回収リサイクルさせることができた。メルカ
プタン類回収塔の塔底からは、ダイマーおよびヒドラジ
ン類と不純物との反応物を含む廃棄液を抜き出した。
【0030】上記の操作により得られた回収連鎖移動剤
を用いて、連続バルク重合のパイロットテストを行い、
得られた重合体を評価した。メルトフローレートは2.
8、着色度0.4、耐候性は0.9であり、フレッシュ
なOMのみを使用した場合と同じ値であった。
【0031】実施例2 実施例1において、ヒドラジンとの接触処理に代えて、
水を添加して共沸蒸留し、不純物を除去した以外は、実
施例1と同様に行った。すなわち、単量体回収塔塔底か
ら抜き出したメルカプタン類を含む残存物を、共沸蒸留
塔塔底に供給し、水を混合して連続蒸留した。水と共沸
する不純物を留出除去した後、メルカプタン類を含む残
存物を、メルカプタン類回収塔の塔頂に供給し、塔頂よ
りOMを回収した。連続バルク重合して得られた重合体
を評価した結果、メルトフローレートは2.7、着色度
は0.4、耐候性は0.9であった。
【0032】比較例1 実施例1において、単量体回収塔塔底からのメルカプタ
ン類を含む残存物を、ヒドラジンとの接触処理をせず
に、そのままメルカプタン類回収塔に供給した以外は実
施例1と同様に行った。連続バルク重合して得られた重
合体を評価した結果、メルトフローレートは2.7、着
色度は1.0、耐候性は2.1であり、生成する重合体
の品質、特に着色度に悪影響が生じた。また、この場
合、重合開始剤CYからの分解生成物である不純物が系
内に蓄積し、連鎖移動剤のリサイクルが不可能となっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1のプロセスのフローチャート
を示す図である。
【符号の説明】 原料メチルメタクリレート 原料アクリル酸メチル 連鎖移動剤 重合開始剤 重合体 廃棄液 抱水ヒドラジン a 液状の重合体組成物 b 揮発分 c 未反応単量体類 d リサイクル回収連鎖移動剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−87705(JP,A) 特開 平10−87737(JP,A) 特開 平10−87736(JP,A) 特開 平6−288203(JP,A) 特開 平8−104712(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 6/00 - 6/28 C08F 20/18

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メチルメタクリレートを主成分とする単量
    体類を重合開始剤および連鎖移動剤としてメルカプタン
    類の存在下に塊状重合または溶液重合して未反応単量体
    を含む液状の重合体組成物とし、該液状の重合体組成物
    から揮発分を分離してメチルメタクリレート系重合体を
    製造する方法において、揮発分から未反応単量体類を蒸
    留回収した後、その残存物をヒドラジン類と接触処理し
    た後、更に蒸留してメルカプタン類を回収し、重合原料
    用の連鎖移動剤として再使用することを特徴とするメチ
    ルメタクリレート系重合体の製造法。
  2. 【請求項2】メチルメタクリレートを主成分とする単量
    体類を重合開始剤および連鎖移動剤としてメルカプタン
    類の存在下に塊状重合または溶液重合して未反応単量体
    を含む液状の重合体組成物とし、該液状の重合体組成物
    から揮発分を分離してメチルメタクリレート系重合体を
    製造する方法において、揮発分から未反応単量体類を蒸
    留回収した後、その残存物に水を加えて共沸蒸留して不
    純物を除去した後、更に蒸留してメルカプタン類を回収
    し、重合原料用の連鎖移動剤として再使用することを特
    徴とするメチルメタクリレート系重合体の製造法。
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