JP3255962B2 - 脂質を除去処理したビール製造用麦芽、該麦芽を用いたビール及び該ビールの製造方法 - Google Patents

脂質を除去処理したビール製造用麦芽、該麦芽を用いたビール及び該ビールの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、脂質を除去処理したビ
ール製造用麦芽、該麦芽を用いたビール及び該ビールの
製造方法に関するものである。さらに詳しくは、亜臨界
状態または超臨界状態の二酸化炭素により脂質を抽出除
去したビール製造用麦芽、該麦芽を原料の麦芽に含むこ
とを特徴とするビール及び該ビールの製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】ビール及
びビール製造工程において、脂質の存在がさまざまな影
響を与えることは良く知られるところである。例えば、
不飽和脂肪酸は酵母による香味成分であるエステル成分
の合成を阻害し、リノレン酸等の酸化物はビールに劣化
臭を与え、香味安定性を損なう。又、脂質は消泡作用が
あるため、ビールの泡立ち、泡の付着性、泡の安定性を
悪くする。
【0003】これらの脂質の多くは、主原料である麦芽
由来であり、麦芽中及びビール製造工程中において、脂
肪酸、トリグリセリド等の中性脂質、糖脂質、りん脂質
などの複合脂質や澱粉粒との結合脂質等の種々の形態を
とって存在している。しかしながら全ての脂質が悪影響
を与えるわけではなく、脂質の各形態のバランスが微妙
にビール及びビール製造工程に影響を与えており、どの
ようなバランスにすべきかは未だ明らかにはなっていな
かった。また、脂質を除去するにしても、どの程度まで
除去するのが好ましいのかについても明らかではなかっ
た。
【0004】脂質による酒類製造に対する悪影響を除く
ために、従来よりこれらの脂質を原料より除去すること
を目的とし、(1)原料穀物より脂質を多く含む胚芽の
除去(精白)、(2)原料穀物からのエタノール抽出に
よる除去、(3)脂質分解酵素による原料穀物の前処理
(特公昭48−22478号公報、特開昭62−550
69号公報)あるいは製造工程中での脂質分解酵素の添
加(特公昭59−21594号公報)、(4)分離・濾
過方法による除去といった方法などが試みられていた。
【0005】しかしながら、これらの方法においては、
いずれも種々の問題点を有しているのが実情である。例
えば、精白においては精白歩合を高めれば非常に原料費
がかさみ又、原料穀物の胚中心部にも脂質が多いため精
白度をあげても脂質の除去が十分ではないと言ったよう
な欠点があった。
【0006】エタノール抽出による除去の場合は、原料
穀物に対し高濃度のエタノールを長時間接触させるた
め、又このエタノール除去のために高温で加熱する必要
があるため、原料穀物中の酵素群に対するダメージが大
きく、新たに酵素を補填するといったような工程を加え
なければならなくなるという問題がある。
【0007】脂質分解酵素を利用する方法では、酵素分
解により生成された物質による悪影響が大きくなるた
め、分解生成物の除去を行わなければ、かえって悪影響
を多くするだけであった。これらの分解生成物の除去方
法は、各種酒類の製造方法に適したものがあるわけでは
なく、非常に工数のかかる煩雑なものであった。例え
ば、リパーゼを使用した場合は遊離脂肪酸が多くなる
が、これらの遊離脂肪酸が多く存在すると、濾過性を悪
くし、また酒類の香味成分であるエステルの合成阻害を
起こすため、この遊離脂肪酸を除去する工程が必要とな
る。
【0008】分離・濾過方法による除去方法には、麦粕
及び不溶物を濾層として濾過するロイター方法、織布や
綿を用いるマッシュフィルター法、遠心機を利用する遠
心分離等があり、前者になる程、濾過分離に要する時間
が長くなるが、脂質の除去率は良くなる。
【0009】脂質の除去率が一番高いロイター法は、一
度濾過した濾液のかなりの部分を元に戻して、しっかり
とした濾層を形成して、この濾層で濾過する方法である
が、マッシュフィルター法などに比べて1.5〜2倍の
時間を要するのみでなく、濾層の形成を人為的にコント
ロールするのが非常に困難である。マッシュフィルター
法の場合には濾液の最初の部分では脂質の除去率が非常
に悪いし、また遠心分離の場合には濾層のない固液分離
のため脂質の除去率は非常に悪い。いずれの方法にせ
よ、脂質を充分に除去できるものではなく、さらに除去
効率が非常に悪く、時間を要し、コストがかかり、人為
的に制御できないという問題点があった。
【0010】尚、これらの方法のうち、ビール製造に対
し試みられているのは分離・濾過方法の選択による方法
であったが、これは前記のような事由により有効な方法
であるとはいえないのが実情である。
【0011】一方、最近では物質より脂質を除去する方
法として、亜臨界状態又は超臨界状態の二酸化炭素によ
る抽出方法が種々試みられている。例えば、USP39
39281号公報には、澱粉含有植物からの二酸化炭素
抽出による脂肪抽出、除去方法が、特開昭60−188
053号公報には、醸造米原料からの二酸化炭素抽出に
よる処理方法が記載されている。しかしながら、今まで
にビール製造用の麦芽にこれらの方法が適用された報告
はみられていない。また、特にビール製造用の麦芽にこ
の方法を適用するためには、麦芽中の酵素群にダメージ
を与えないように行う必要があり、また前述のように麦
芽由来の脂質のバランスをどのようなものにするのか、
あるいは総脂質量をどの程度にするのかといった点につ
いては明らかではなく解明すべき課題として残されてい
たのが実情である。
【0012】従って、本発明の目的は、ビール及びビー
ルの製造工程において悪影響を与える脂質選択的かつ
効率的に除去され、かつその麦芽中の酵素に影響を与え
ない方法により得たビール製造に適した麦芽、該麦芽を
用いたビール、及び麦汁の濾過性が良く、ビールの香味
安定性が良く、かつ泡持ち、泡の付着性の良い該ビール
の製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意検討した。その結果、亜臨界状態
または超臨界状態の二酸化炭素により、麦芽中の脂質を
抽出除去処理した麦芽は、酵素群の活性が実質的に損な
われておらず、通常のビール製造に使用される麦芽と同
様に使用することが出来、かつ、麦汁のてりが良く、濾
過が早くなり、濾過効率がよくなること、さらにこれを
原料として得られるビールは、泡持ち、泡の付着性がよ
く、味はすっきりクリーンであり、香味安定性が良いも
のとなることを見出し、本発明に至った。
【0014】即ち、本発明の要旨は、 〔1〕ビールの原料の麦芽に、亜臨界状態または超臨界
状態の二酸化炭素により脂質を除去処理した麦芽を含
み、ビール製造の原料である全麦芽中の総脂質量の残存
率が20〜80%であることを特徴とするビールの製造
方法、並びに 〔〕亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素により
脂質を除去処理して得られる麦芽であって、該麦芽中の
総脂質量の残存率が0〜80%であり、かつ該麦芽中の
酵素群の活性が実質的に損なわれていないビール製造用
麦芽に関するものである。
【0015】本発明において、脂質を除去処理した麦芽
とは、麦芽中の脂質を選択的に除去する方法により処理
された麦芽をいう。そのような除去処理の方法として
は、ビールおよびビールの製造工程において悪影響を与
える脂質を有効に除去し、かつ麦芽中の酵素には影響を
与えないような効果をもたらす方法であればよく、亜臨
界状態または超臨界状態の二酸化炭素を抽剤として用い
る方法が挙げられる。
【0016】本発明において、抽剤として用いる亜臨界
状態又は超臨界状態の二酸化炭素は、不燃性、無害、低
廉でありしかも臨界温度が31.3℃、臨界圧力が7
2.9気圧であって、取扱いが容易であるうえに、液体
に近い密度とガス体に近い大きな拡散係数を有し、この
特性のゆえに種々の化合物を速やかに且つ大量に収率よ
く抽出できる。しかも、僅かな圧力、温度の変化によっ
て、抽剤との分離も容易であるうえ、二酸化炭素特有の
利点として、静菌ないし殺菌効果までが期待できるので
人体に無害であるだけではなく衛生的である等、特に食
品、医薬品への利用に適し、本発明で適用される麦芽に
も好ましく用いられる。
【0017】本発明において、脂質の抽出除去処理は麦
芽の持つ酵素活性を失わない温和な温度および圧力条件
下に行われる。抽出塔内の亜臨界状態または超臨界状態
の二酸化炭素の温度は通常25〜65℃、好ましくは2
5〜60℃、圧力は通常60〜400kg/cm2 、好まし
くは100〜350kg/cm2 の範囲に保って抽出するこ
とが必要である。温度および圧力がそれぞれの下限値よ
りも低すぎると、効率的な脂質の抽出が行われず、また
それぞれの上限値よりも高いとそれに見合った効果が得
られないばかりか、装置費がかさみ経済的でない。
【0018】本発明において脂質の除去処理に供される
麦芽は、通常ビール製造に使用されるものなら何でも良
く、特に限定されるものではない。また、本発明におい
て亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素を抽剤とし
て用いる場合、麦芽の粉砕粒度は脂質の抽出効率に影響
する。メジアン粒径の小さい程、脂質の抽出効率は上が
るが、小さすぎると抽剤流通時の抵抗が大きくなるとい
う問題がある。またメジアン粒径が大きいと抽剤流通時
の抵抗は小さくなるが、脂質の抽出効率が低下する。従
って、ビール製造に使用されることを考慮すれば、本発
明において用いられる粉砕麦芽のメジアン粒径は5〜2
000μmであり、好ましくは30〜1200μmであ
る。
【0019】また、本発明において亜臨界状態または超
臨界状態の二酸化炭素を抽剤として用いる場合、二酸化
炭素中にエントレーナーとしてエタノールを添加し、抽
出除去処理を行うと、更に抽出効率が良くなる。この方
法によると、エントレーナーを用いない通常の抽出方法
による場合と比較して、特にリン脂質の抽出効率が良く
なる。エタノールの添加量は、麦芽の酵素群に実質的に
ダメージを与えない程度であるのが好ましく、通常二酸
化炭素に対し、1重量%〜25重量%であり、好ましく
は3重量%〜20重量%である。このような方法によ
り、麦芽に含まれた脂質は除去されるが、本発明におけ
る脂質除去率は、麦芽中の総脂質量に対して通常20〜
100%、実用的観点からみれば20〜95%である。
換言すれば、得られた本発明の麦芽における総脂質量の
残存率は、0〜80%程度、実用的観点からみれば5〜
80%である。
【0020】本発明において亜臨界状態または超臨界状
態の二酸化炭素を抽剤として用いる場合、用いる装置と
しては特に限定されるものではなく、通常一般的に抽出
に使用される公知の装置を使用することができる。ま
た、エントレーナーとしてエタノールを添加する場合も
同様に公知の方法により添加される。
【0021】本発明で用いられるビールの原料の麦芽
は、このような本発明の脂質の除去処理により得られる
麦芽を含むものである。即ち、ビールの原料としての麦
芽は、脂質の除去処理された麦芽のみからなるものでも
よく、未処理の麦芽と除去処理された麦芽とを混合した
ものでもよい。
【0022】また、本発明においてビールの製造原料と
して用いる全麦芽中の総脂質量の残存率とは次のように
して求めたものをいう。即ち、本発明において原料とし
て用いる麦芽は前記のように脂質の除去処理された麦芽
のみからなるものあるいは、通常の麦芽(脂質の除去処
理のされていない麦芽)と脂質の除去処理された麦芽を
混合したもののいずれであってもよいが、ビールの製造
原料の全麦芽の中に存在する総脂質量を、通常の麦芽の
みをビールの製造原料に用いた場合に全麦芽中に存在す
る総脂質量を100とした場合の相対的な比率として求
めたものをいう。この残存率としては、通常20〜80
%であるのが好ましく、より好ましくは30〜70%で
ある。20%より低いと発酵期間が長くなるという問題
点があり、80%より多いと本発明による効果は得られ
ない。
【0023】このようにして本発明により亜臨界状態ま
たは超臨界状態の二酸化炭素により、脂質を抽出除去処
理した麦芽については、麦芽中の酵素群はほとんど影響
を受けておらず、その活性は実質的に損なわれていな
い。従って通常のビール製造に使用される麦芽と同様に
使用することができる。さらに、本発明の方法により得
られる麦芽を用いてビールを製造すると、麦汁のてりが
良く、濾過が早くなり、濾過効率がよくなる。又、得ら
れるビールは、泡持ち、泡の付着性がよく、味はすっき
りクリーンであり、香味安定性が良いものとなる。
【0024】
【実施例】以下に本発明を実施例、比較例によって更に
詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何
等制限されるものではない。
【0025】実施例1 内液100リットルの抽出槽を用いて、麦芽からの脂
質の抽出除去処理を行った。一般にビール製造に用いら
れる麦芽を粉砕したもの47kg(メジアン粒径1013
μm)を抽出槽に充填し、超臨界状態の二酸化炭素を用
いて抽出槽圧力200〜250kg/cm2 、抽出槽温度5
0〜55℃、分離槽圧力50kg/cm2 、分離槽温度40
℃の条件で麦芽中の脂質抽出除去を行った。約3時間二
酸化炭素を流通した後、抽出槽において脂質を除去した
麦芽を得た。
【0026】使用した麦芽及び二酸化炭素により脂質を
抽出除去した麦芽の脂質を測定し、表1の結果を得た。
尚、脂質の測定方法は、マックモレイ、モリソンらによ
る方法(MacMurray 、 Morrisonn著、Journal of the S
cience of Food and Agriculture 21巻、520 頁 (197
0))により行った。麦芽の脂質量及びその重量は乾燥重
量に基づくものである。
【0027】原料としての麦芽は、脂質の抽出除去処理
により得られた麦芽45kgのみを用いて、通常のビール
製造方法に基づき、ビールを製造した。また、その原料
を用いたビールの製造工程を観察し、麦汁濾過時間、麦
汁のり及び発酵期間について、その結果を表2に示
す。又製造したビールの泡の評価及び官能評価を行い、
結果を表3に示す。尚、官能評価は、泡の安定性、泡の
付着性、味(クリーンさ)、後味(爽快感)及び香味の
安定性について、官能検査の訓練を受けたビール製造技
術者5名で行った。なお、泡の付着性は、熊田順一著、
化学と生物、13巻、504頁(1975)による方法
で行った。
【0028】また、味(クリーンさ)及び後味(爽快
感)は、以下の5段階評価による。 1───非常にクリーンな味ではない。非常に爽快感が
ない。 2───クリーンな味ではない。爽快感がない。 3───普通 4───クリーンな味である。爽快感がある。 5───非常にクリーンな味である。非常に爽快感があ
る。
【0029】香味の安定性は、製造したビールを40℃
で5日間保存後に、官能評価を以下の5段階評価で行っ
た。 1───非常に劣化している。 2───劣化している。 3───普通 4───新鮮である。 5───非常に新鮮である。
【0030】実施例2 内液100リットルの抽出槽を用いて、麦芽からの脂
質の抽出除去処理を行った。一般にビール製造に用いら
れる麦芽を粉砕したもの41kg(メジアン粒径413μ
m)を抽出槽に充填し、超臨界状態の二酸化炭素を用い
て抽出槽圧力150〜200kg/cm2 、抽出槽温度40
〜50℃、分離槽圧力50kg/cm2 、分離槽温度40℃
の条件で麦芽の脂質抽出除去を行った。尚、二酸化炭素
中にエントレーナーとして、エタノール濃度15重量%
使用した。
【0031】約3時間二酸化炭素を流通した後、抽出槽
において脂質を除去した麦芽を得た。使用した麦芽及び
二酸化炭素により脂質を抽出除去した麦芽の脂質を実施
例1と同様に測定し、表1の結果を得た。
【0032】原料としての麦芽は、脂質の抽出除去処理
により得られた麦芽22.5kg(50重量%)及び未処
理の麦芽22.5kg(50重量%)を用いて、通常のビ
ール製造方法に基づき、ビールを製造した。また、これ
らの原料を用いたビールの製造工程を実施例1と同様に
観察し、その結果を表2に示す。又製造したビールの泡
の評価及び官能評価を実施例1と同様に行い、結果を表
3に示す。
【0033】実施例3 内液100リットルの抽出槽を用いて、麦芽からの脂
質の抽出除去処理を行った。一般にビール製造に用いら
れる麦芽を粉砕したもの47kg(メジアン粒径1013
μm)を抽出槽に充填し、超臨界状態の二酸化炭素を用
いて抽出槽圧力200〜250kg/cm2 、抽出槽温度5
0〜55℃、分離槽圧力50kg/cm2 、分離槽温度40
℃の条件で麦芽の脂質抽出除去を行った。尚、二酸化炭
素中にエントレーナーとして、エタノール濃度5重量%
使用した。
【0034】約3時間二酸化炭素を流通した後、抽出槽
において脂質を除去した麦芽を得た。使用した麦芽及び
二酸化炭素により脂質を抽出除去した麦芽の脂質を実施
例1と同様に測定し、表1の結果を得た。
【0035】原料としての麦芽は、脂質の抽出除去処理
により得られた麦芽45kgのみを用いて、通常のビール
製造方法に基づき、ビールを製造した。また、その原料
を用いたビールの製造工程を実施例1と同様に観察し、
その結果を表2に示す。又製造したビールの泡の評価及
び官能評価を実施例1と同様に行い、結果を表3に示
す。
【0036】実施例4 内液100リットルの抽出槽を用いて、麦芽からの脂
質の抽出除去処理を行った。一般にビール製造に用いら
れる麦芽を粉砕したもの37kg(メジアン粒径181μ
m)を抽出槽に充填し、超臨界状態の二酸化炭素を用い
て抽出槽圧力200kg/cm2 、抽出槽温度35〜45
℃、分離槽圧力50kg/cm2 、分離槽温度40℃の条件
で麦芽の脂質抽出除去を行った。尚、二酸化炭素中にエ
ントレーナーとして、エタノール濃度15重量%使用し
た。
【0037】約2.5時間二酸化炭素を流通した後、抽
出槽において脂質を除去した麦芽を得た。使用した麦芽
及び二酸化炭素により脂質を抽出除去した麦芽の脂質を
実施例1と同様に測定し、表1の結果を得た。
【0038】原料としての麦芽は、脂質の抽出除去処理
により得られた麦芽29.25kg(65重量%)及び未
処理の麦芽15.75kg(35重量%)を用いて、通常
のビール製造方法に基づき、ビールを製造した。また、
これらの原料を用いたビールの製造工程を実施例1と同
様に観察し、その結果を表2に示す。又製造したビール
の泡の評価及び官能評価を実施例1と同様に行い、結果
を表3に示す。
【0039】実施例5 原料としての麦芽は、実施例4と同様の方法で脂質の抽
出除去処理により得られた麦芽38.5kg(85.6重
量%)及び実施例4で使用した未処理の麦芽6.5kg
(14.4重量%)を用いて、通常のビール製造方法に
基づき、ビールを製造した。その原料を用いたビールの
製造工程を実施例1と同様に観察し、その結果を表2に
示す。又製造したビールの泡の評価及び官能評価を実施
例1と同様に行い、結果を表3に示す。
【0040】比較例1 原料としての麦芽は、実施例1で使用した未処理の麦芽
45kgのみを用いて、通常のビール製造方法に基づき、
ビールを製造した。そのビールの製造工程を実施例1と
同様に観察し、その結果を表2に示す。又製造したビー
ルの泡の評価及び官能評価を実施例1と同様に行い、結
果を表3に示す。
【0041】比較例2 原料としての麦芽は、実施例1と同様の方法で脂質の抽
出除去処理により得られた麦芽22.5kg(50重量
%)及び実施例1で使用した未処理の麦芽22.5kg
(50重量%)を用いて、通常のビール製造方法に基づ
き、ビールを製造した。そのビールの製造工程を実施例
1と同様に観察し、その結果を表2に示す。又製造した
ビールの泡の評価及び官能評価を実施例1と同様に行
い、結果を表3に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【発明の効果】本発明のビールの製造用麦芽及び該麦芽
を原料の麦芽に含むことを特徴とするビールの製造方法
によると、亜臨界状態又は超臨界状態の二酸化炭素によ
り、脂質を抽出除去した麦芽は、酵素群の活性が実質的
に損なわれておらず、通常のビール製造に使用される麦
芽と同様に使用することが出来、なおかつ、ビールの製
造においては麦汁のてりが良く、濾過が早くなり、濾過
効率がよくなる。又、得られたビールは、泡持ち、泡の
付着性がよく、味はすっきりクリーンであり、香味安定
性が良いものとなる。
フロントページの続き (72)発明者 浜谷 和弘 大阪市中央区北浜4丁目7番28号 住友 精化株式会社大阪本社内 (56)参考文献 特開 昭60−188053(JP,A) 特開 昭62−36177(JP,A) J.Inst.Brew.,87,p. 242−243,1981 J.Inst.Brew.,91,p. 313−317,1985 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12C 1/00 - 13/10 C12G 1/00 - 3/14 JICST/JAFIC(JOIS)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビールの原料の麦芽に、亜臨界状態また
    は超臨界状態の二酸化炭素により脂質を除去処理した麦
    芽を含み、ビール製造の原料である全麦芽中の総脂質量
    の残存率が20〜80%であることを特徴とするビール
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭
    素が、温度25〜65℃、圧力60〜400kg/cm2
    あることを特徴とする請求項1記載のビールの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭
    素中に、エントレーナーとしてエタノールを添加してい
    ることを特徴とする請求項1または2記載のビールの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 原料の麦芽が亜臨界状態または超臨界状
    態の二酸化炭素により脂質を除去処理した麦芽のみより
    なる請求項1〜3いずれか記載のビールの製造方法。
  5. 【請求項5】 原料の麦芽が亜臨界状態または超臨界状
    態の二酸化炭素により脂質を除去処理した麦芽および未
    処理の麦芽を混合したものである請求項1〜3いずれか
    記載のビールの製造方法。
  6. 【請求項6】 亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭
    素により脂質を除去処理して得られる麦芽であって、該
    麦芽中の総脂質量の残存率が0〜80%であり、かつ該
    麦芽中の酵素群の活性が実質的に損なわれていないビー
    ル製造用麦芽。
  7. 【請求項7】 亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭
    が、温度25〜65℃、圧力60〜400kg/cm 2
    あることを特徴とする請求項6記載のビール製造用麦
    芽。
  8. 【請求項8】 亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭
    中に、エントレーナーとしてエタノールを添加してい
    ることを特徴とする請求項6または7記載のビール製造
    用麦芽。
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