JP2022095396A - ビールテイスト飲料およびその製造方法 - Google Patents

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  • Distillation Of Fermentation Liquor, Processing Of Alcohols, Vinegar And Beer (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、キサンチンを適度に減らしつつも香味バランスに優れる、新規のビールテイスト飲料を提供することに関する。また、中味液と吸着剤との接触時間を容易に調整でき、濾過時のフィルター目詰まりのリスクも少ないビールテイスト飲料の製造方法を提供することに関する。【解決手段】キサンチン含有量が0.2~2.6ppmであり、酢酸イソアミルとキサンチンの合計含有量(ppm)に対する酢酸イソアミル含有量(ppm)の質量比(酢酸イソアミル/(酢酸イソアミル+キサンチン))が0.32~0.85であるビールテイスト飲料。【選択図】なし

Description

本発明は、ビールテイスト飲料およびその製造方法に関する。
ビールテイスト飲料には原料の麦芽に由来するプリン体が含まれている。近年痛風予防を目的とした健康志向の高まりから、プリン体含有量の低いビールテイスト飲料が望まれており、活性炭や白土を用いたプリン体吸着剤によりプリン体含有量の低いビールテイスト飲料を製造する試みがなされている(特許文献1、2)。
特開2003-169658号公報 特開2004-321004号公報
しかしながら、特許文献1のような貯酒タンク内に吸着剤を添加する方法では、発酵液と吸着剤との接触時間を調整することは困難である。特に、大規模な貯酒タンクを用いる場合には、発酵液と吸着剤とが長時間接触することとなり、ビールテイスト飲料の呈味に影響を与えてしまう可能性がある。また、特許文献2のように配管において活性炭を添加した後、活性炭をプリコートしたフィルターで濾過すると、フィルターにこれらの吸着剤が付着して目詰まりの原因となる。
本発明は、キサンチンを適度に減らしつつも香味バランスに優れる、新規のビールテイスト飲料を提供することに関する。また、中味液と吸着剤との接触時間を容易に調整でき、濾過時のフィルター目詰まりのリスクも少ないビールテイスト飲料の製造方法を提供することに関する。
本発明は、下記[1]~[3]に関する。
[1]キサンチン含有量が0.2~2.6ppmであり、酢酸イソアミルとキサンチンの合計含有量(ppm)に対する酢酸イソアミル含有量(ppm)の質量比(酢酸イソアミル/(酢酸イソアミル+キサンチン))が0.32~0.85であるビールテイスト飲料。
[2]活性炭及び白土から選択される1種以上の吸着剤を中味液に添加し、添加した吸着剤を遠心分離機により除去する工程Aを有する、ビールテイスト飲料の製造方法。
[3][2]に記載の製造方法により得られるビールテイスト飲料。
本発明によれば、キサンチンを適度に減らしつつも香味バランスに優れる、新規のビールテイスト飲料を提供することができる。また、中味液と吸着剤との接触時間を容易に調整でき、濾過時のフィルター目詰まりのリスクも少ないビールテイスト飲料の製造方法を提供することができる。
工程Aの具体例を示す図である。 工程Aの具体例を示す図である。
後述する本発明の製造方法によれば、中味液と吸着剤との接触時間を容易に調整できることから、香味成分を残しつつもプリン体を適度に減らしたビールテイスト飲料を得ることができる。このようなビールテイスト飲料を種々検討したところ、酢酸イソアミルとキサンチンの合計含有量(ppm)に対する酢酸イソアミル含有量(ppm)の質量比(酢酸イソアミル/(酢酸イソアミル+キサンチン))が特定範囲内である場合に、香味バランスに優れることを新たに見出した。
本発明のビールテイスト飲料における酢酸イソアミルとキサンチンの合計含有量(ppm)に対する酢酸イソアミル含有量(ppm)の質量比(酢酸イソアミル/(酢酸イソアミル+キサンチン))は、発酵由来の香味を付与する観点から、好ましくは0.32以上、より好ましくは0.40以上、更に好ましくは0.50以上であり、また、香味バランスの観点から、好ましくは0.85以下であり、これらいずれの組み合わせによる範囲としてもよい。本明細書において、酢酸イソアミルの含有量は、BCOJビール分析法(財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会(分析委員会)編集1996年4月1日発行)の「8.22 低沸点香気成分」の方法にしたがい、FID検出器付きガスクロマトグラフを用いて測定する。
本発明のビールテイスト飲料におけるキサンチン含有量は、発酵由来の香味を有するとともに香味バランスの観点から、好ましくは0.2ppm以上、より好ましくは0.5ppm以上、更に好ましくは1.0ppm以上であり、また、プリン体を低減する観点から、好ましくは2.6ppm以下、より好ましくは2.4ppm以下、更に好ましくは2.2ppm以下であり、これらいずれの組み合わせによる範囲としてもよい。
本発明のビールテイスト飲料における酢酸イソアミル含有量は、発酵由来の香味を付与する観点から、好ましくは0.3ppm以上、より好ましくは0.5ppm以上、更に好ましくは0.8ppm以上であり、また、香味バランスの観点から、好ましくは5ppm以下、より好ましくは4ppm以下、更に好ましくは3ppm以下であり、これらいずれの組み合わせによる範囲としてもよい。
本発明のビールテイスト飲料は、香料を含有してもよいが、ビールらしい調和のとれた香りバランスの観点から、香料を含有しないものが好ましい。香料としては、各種の合成香料、天然香料、天然精油、植物エキスなどを挙げることができ、例えば、「特許庁公報、周知・慣用技術集(香料)第II部 食品香料,p88-131,平成12年1月14日発行」に記載されている天然精油、天然香料、合成香料などを挙げることができる。また、オリジナルエキス濃度(O.Ex)は、香りと味わいのバランスの観点から、好ましくは4~12w/w%、より好ましくは6~10w/w%である。
本発明の製造方法は、吸着剤を中味液に添加し、添加した吸着剤を遠心分離機により除去する工程(工程Aとも称する)を有する。従来はろ過フィルターにより吸着剤が除去されていたが、本発明の製造方法においては添加した吸着剤を遠心分離機で除去するため、吸着剤の添加位置から遠心分離機までの距離等を調整することで、接触時間を短時間から長時間まで自由に設定することができ、また、接触時間を細かく調整することができる。このように、本発明の製造方法では、中味液と吸着剤との接触時間を容易に調整することができるため、プリン体低減と、吸着剤による呈味への影響とのバランスを考慮した製造条件を容易に設計することができる。また、本発明の製造方法では、添加した吸着剤を遠心分離機により除去することから、濾過時のフィルター目詰まりのリスクも少ない。
工程Aにおける吸着剤としては、活性炭及び白土が挙げられ、プリン体の中でも酵母で資化されないキサンチンの除去効率の観点から、好ましくは白土である。白土としては、モンモリロナイトを主要成分とする粘土である酸性白土や、酸性白土を酸処理した活性白土が挙げられ、好ましくは活性白土である。工程Aにおける吸着剤は、2種以上を併用してもよい。なお、工程Aにおける吸着剤は、プリン体除去を目的とするものであるが、他成分の除去を目的とする合成樹脂などを併せて添加することもできる。
工程Aにおける中味液とは、ビールテイスト飲料の製造工程においてプリン体除去の対象となる液体を指す。従って、中味液は工程により異なり、例えば、糖化液、麦汁、もろみ、発酵液、ビールテイスト飲料、その他ビールテイスト飲料を構成する原料の懸濁液などが挙げられる。このうち、キサンチン除去効率の観点から、発酵、熟成後の発酵液であることが好ましい。
工程Aにおける吸着剤は、ビールテイスト飲料の製造工程において中味液を移送するために設けられた任意の配管や配管途中に設けたタンクにおいて添加することができる。吸着剤の添加方法は特に限定されないが、例えば、配管に添加用の投入口を設けて添加することができるし、タンクに設けた添加用の投入口から添加することができる。吸着剤は、そのまま添加してもよいし、脱気水などの媒体に溶解させたものを添加してもよい。吸着剤の添加量は、中味液のプリン体量に応じて調整すればよく特に限定されるものではない。また、吸着剤は、連続的又は断続的に添加することができるが、中味液の流量に対して吸着剤が一定の濃度となるように連続的に添加(比例添加)することが好ましい。比例添加の場合における、吸着剤の添加量(中味液と接触時の吸着剤の濃度)は以下の式1で算出する。
添加量(ppm)=単位時間当たりの吸着剤の添加量(g/h)/(添加位置における中味液の流量(HL/h)×100)・・・・(式1)
中味液に対する吸着剤の添加量としては、例えば、50~5000ppm、200~5000ppm、300~3000ppm、300~2000ppm、300~1500ppmとすることができる。
工程Aにおいて、遠心分離機による除去は、中味液と吸着剤との接触時間を容易に調整でき、連続的に中味液から吸着剤を除去でき、かつ、濾過時のフィルター目詰まりのリスクや破損を少なくする観点から、工業スケールでよく利用されるディスク型遠心分離機を用いて連続的に行うことができる。ディスクが積み重なって成るボールと呼ばれる構造の半径、単位時間当たりの回転数、また処理する液体の流量などを検討することで適切な分離条件を設定し、中味液から吸着剤を分離除去できる。ボールの半径が大きいほど、単位時間あたりの回転数が多いほど、分離しやすくなる。
工程Aにおいて、中味液と吸着剤との接触時間は任意に設定することができ、例えば、5~180分、10~90分、10~60分、10~40分などとすることができる。ここで、工程Aにおける接触時間は、吸着剤を配管で添加する場合には以下の式2により算出する。従って、接触時間は、吸着剤の添加位置から遠心分離機までの距離や、中味液の流速により調整することができる。
接触時間(s)=吸着剤の添加位置から遠心分離機までの距離(m)/中味液の流速(m/s)・・・・(式2)
また、吸着剤の添加位置から遠心分離機までの間に、中間タンクを設けることにより接触時間を調整する場合や、タンクで吸着剤を添加する場合における中味液と吸着剤との接触時間は、上記式により求めた接触時間に、タンクにおける接触時間を加算する。タンクにおける接触時間は、以下の式3により算出する。
タンクにおける接触時間(s)=タンク貯めこみ量(L)/タンクへの中味液の流量(L/s)・・・・(式3)
本明細書において「ビールテイスト飲料」とは、ビール様の風味をもつ炭酸飲料をいう。つまり、本明細書のビールテイスト飲料は、特に断わりがない場合、ビール風味の炭酸飲料を全て包含し、アルコールを含有するビールテイスト飲料及びノンアルコールビールテイスト飲料が挙げられる。このときのアルコールとはエタノールを指し、脂肪族アルコールは含まれない。アルコールを含有するビールテイスト飲料におけるエタノール含量としては、容量比で1%~10%が好ましいが、特に限定されるものではない。さらに、ビールテイスト飲料に含まれるアルコール分の由来としては、醗酵、非醗酵に限定されるものではない。また、ノンアルコールビールテイスト飲料とは、アルコール度数が1%未満のビールテイスト飲料であり、好ましくは、アルコールを実質的に含まない。ここで、アルコールを実質的に含まない態様の飲料は、検出できない程度の極微量のアルコールを含有する飲料を除くものではない。アルコール度数が四捨五入により0.0%となる飲料、中でも、アルコール度数が四捨五入により0.00%となる飲料は、ノンアルコールビールテイスト飲料に包含される。
本明細書においてアルコール度数は、飲料中のアルコール分の含有量(v/v%)を意味し、公知のいずれの方法によっても測定することができるが、例えば、振動式密度計によって測定することができる。具体的には、飲料から濾過又は超音波によって炭酸ガスを抜いた試料を調製し、そして、その試料を直火蒸留し、得られた留液の15℃における密度を測定し、国税庁所定分析法(平19国税庁訓令第6号、平成19年6月22日改訂)の付表である「第2表 アルコール分と密度(15℃)及び比重(15/15℃)換算表」を用いて換算して求めることができる。アルコール度が1.0%未満の低濃度の場合は、市販のアルコール測定装置や、ガスクロマトグラフィーを用いても良い。
本明細書においてプリン体とは、プリン骨格を持つ化合物の総称を指す。アデニン、グアニン、キサンチン、ヒポキサンチンのプリン体塩基に加えて、アデノシン、グアノシン等のようなプリンヌクレオシド、アデニル酸、グアニル酸などのようなプリンヌクレオチドもプリン体に含まれる。本明細書において、プリン体の含有量は、過塩素酸による加水分解後に液体クロマトグラフィー質量分析装置(LC-MS/MS)で測定する(「酒類中のプリン体の微量分析のご案内」日本食品分析センターhttp://www.jfrl.or.jp/item/nutrition/post-31.html)。
次に、中味液が、発酵、熟成後の発酵液である場合を例にして、工程Aの具体的な態様について説明する。図1では、中味液を貯酒タンク1から濾過膜2に移送させる間に工程A行っており、吸着剤溶解タンク3において吸着剤を脱気水に溶解させた吸着剤含有液を調製し、吸着剤含有液を配管4において添加し、添加した吸着剤を遠心分離機5により除去される。ここで、図2に示すように、吸着剤含有液の添加から遠心分離機5までの間に中間タンク6を設けて中味液と吸着剤との接触時間を調整することもできる。また、図示しないが、貯酒タンク1から濾過膜2までの間に、バッファータンクなどを任意に設けてもよい。
本発明の製造方法において、工程Aは、図1、2で例示した態様の他、ビールテイスト飲料の製造工程における任意の工程において行うことができるが、キサンチン除去効率の観点から、発酵工程以降に行うことが好ましい。また、工程Aは、複数回行ってもよい。
本発明の製造方法の態様としては、アルコールを含有するビールテイスト飲料及びノンアルコールビールテイスト飲料の製造方法が挙げられるが、工程Aを有する以外は一般的なビールテイスト飲料の製造方法と同様である。以下に、ビールテイスト飲料の製造態様を例示する。ビールテイスト飲料の製造態様としては麦芽を原料として使用するものとしないものとがあり、以下のように製造することができる。
麦芽を原料として使用して製造されるアルコールを含有するビールテイスト飲料は、まず、麦芽等の麦の他、必要に応じて他の穀物、でんぷん、糖類、苦味料、又は着色料などの原料及び水を含む混合物に、必要に応じてアミラーゼなどの酵素を添加し、糊化、糖化を行なわせ、濾過し、糖化液とする。必要に応じてホップや苦味料などを糖化液に加えて煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパク質などの固形分を取り除く。この糖化液の代替として、麦芽エキスに温水を加えたものにホップを加えて煮沸してもよい。ホップは煮沸開始から煮沸終了前のどの段階で混合してもよい。糖化工程、煮沸工程、固形分除去工程などにおける条件は、知られている条件を用いればよい。醗酵・貯酒工程などにおける条件は、知られている条件を用いればよい。得られた醗酵液を濾過し、得られた濾過液に必要に応じて炭酸ガスを加える。その後、容器に充填し殺菌工程を経て目的のビールテイスト飲料を得る。なお、アルコール成分として、さらに、穀物に由来するスピリッツを添加してもよい。スピリッツとは、麦、米、そば、とうもろこし等の穀物を原料として、酵母を用いて発酵させた後、更に蒸留して得られる酒類を意味する。スピリッツの原材料である穀物としては麦が好ましい。前記各工程において工程Aは充填までのどの工程で行ってもよいが、キサンチン除去効率の観点から、発酵終了以降において行うことが好ましい。
麦芽を原料として使用せずに製造されるアルコールを含有するビールテイスト飲料は、炭素源を含有する液糖、麦又は麦芽以外のアミノ酸含有材料としての窒素源、ホップ、色素等を、温水と共に混合し、液糖溶液とする。該液糖溶液は、煮沸する。原料としてホップを用いる場合、ホップは煮沸開始前ではなく、煮沸中に、該液糖溶液に混合してもよい。この糖化液の代替として、麦芽以外の原料を用いたエキスに温水を加えたものにホップを加えて煮沸してもよい。ホップは煮沸開始から煮沸終了前のどの段階で混合してもよい。醗酵・貯酒工程などにおける条件は、知られている条件を用いればよい。得られた醗酵液を濾過し、得られた濾過液に必要に応じて炭酸ガスを加える。その後、容器に充填し殺菌工程を経て目的のビールテイスト飲料を得る。なお、アルコール成分として、さらに、穀物に由来するスピリッツを添加してもよい。前記各工程において工程Aは充填までのどの工程で行ってもよいが、キサンチン除去効率の観点から、発酵終了以降において行うことが好ましい。
非醗酵かつアルコールを含有するビールテイスト飲料は、麦芽を使用する、しないに限らず、原料用アルコールなどを加えることにより最終製品のアルコール分を調整したものでもよい。原料用アルコールの添加は、糖化工程から充填工程までのどの工程で行ってもよい。なお、アルコール成分として、さらに、穀物に由来するスピリッツを添加してもよい。前記各工程において工程Aは充填までのどの工程で行ってもよいが、キサンチン除去効率の観点から、煮沸終了以降において行うことが好ましい。
麦芽を原料として使用して製造されるノンアルコールビールテイスト飲料は、まず、麦芽等の麦の他、必要に応じて他の穀物、でんぷん、糖類、苦味料、又は着色料などの原料及び水を含む混合物に、必要に応じてアミラーゼなどの酵素を添加し、糊化、糖化を行なわせ、濾過し、糖化液とする。必要に応じてホップや苦味料などを糖化液に加えて煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパク質などの固形分を取り除く。この糖化液の代替として、麦芽エキスに温水を加えたものにホップを加えて煮沸してもよい。ホップは煮沸開始から煮沸終了前のどの段階で混合してもよい。糖化工程、煮沸工程、固形分除去工程などにおける条件は、知られている条件を用いればよい。煮沸後、得られた麦汁を濾過し、得られた濾過液に必要に応じて炭酸ガスを加える。その後、容器に充填し殺菌工程を経て目的のノンアルコールビールテイスト飲料を得る。前記各工程において工程Aは充填までのどの工程で行ってもよいが、キサンチン除去効率の観点から、煮沸終了以降において行うことが好ましい。
麦芽を原料として使用しないノンアルコールビールテイスト飲料を製造する場合には、まず、炭素源を含有する液糖、麦又は麦芽以外のアミノ酸含有材料としての窒素源、ホップ、色素等を、温水と共に混合し、液糖溶液とする。該液糖溶液は、煮沸する。原料としてホップを用いる場合、ホップは煮沸開始前ではなく、煮沸中に、該液糖溶液に混合してもよい。煮沸後の液糖溶液に対して、必要に応じて炭酸ガスを加える。その後、容器に充填し殺菌工程を経て目的のノンアルコールビールテイスト飲料を得る。前記各工程において工程Aは充填までのどの工程で行ってもよいが、キサンチン除去効率の観点から、煮沸終了以降において行うことが好ましい。
本発明の製造方法においては、酒感を付与する観点から、脂肪族アルコールを添加してもよい。脂肪族アルコールとしては、公知のものであれば特に制限されないが、炭素数4~5の脂肪族アルコールが好ましい。本発明の製造方法において、好ましい脂肪族アルコールとしては、炭素数4のものとして、2-メチル-1-プロパノール、1-ブタノール等が、炭素数5のものとして、3-メチル-1-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール等が挙げられる。これらは1種又は2種以上の組み合せで用いることができる。炭素数4~5の脂肪族アルコールの含有量は好ましくは0.0002~0.0007質量%であり、より好ましくは0.0003~0.0006質量%である。本明細書において、脂肪族アルコールの含有量は、ヘッドスペースガスクロマトグラフ法を用いて測定することができる。
(酸味料)
本発明の製造方法において使用される酸味料としては、クエン酸、乳酸、リン酸、及びリンゴ酸からなる群より選ばれる1種以上の酸を用いることが好ましい。また、本発明の製造方法においては、前記酸以外の酸として、コハク酸、酒石酸、フマル酸および氷酢酸等も用いることができる。これらは食品に添加することが認められているものであれば制限なく用いることができる。本発明の製造方法においては、まろやかな酸味を適切に付与する観点から乳酸と、やや刺激感のある酸味を適切に付与する観点からリン酸との組み合わせを用いることが好ましい。
酸味料の含有量は、本発明の製造方法で得られるビールテイスト飲料中、クエン酸換算で、ビールテイスト感の付与の観点から、200ppm以上が好ましく、550ppm以上がより好ましく、700ppm以上がさらに好ましく、また、酸味の観点から、15000ppm以下が好ましく、5500ppm以下がより好ましく、2000ppm以下がさらに好ましい。従って、本発明において、酸味料の含有量は、クエン酸換算で、200ppm~15000ppm、好ましくは550ppm~5500ppm、より好ましくは700ppm~1500ppmなどの好適範囲が挙げられる。なお、本明細書において、クエン酸換算量とは、クエン酸の酸味度を基準として各酸味料の酸味度から換算される量のことであり、例えば、乳酸100ppmに相当するクエン酸換算量は120ppm、リン酸100ppmに相当するクエン酸換算量は200ppm、リンゴ酸100ppmに相当するクエン酸換算量は125ppmとして換算する。
ビールテイスト飲料中の酸味料の含有量については、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等により分析して算出されたものを指す。
(ホップ)
本発明の製造方法においては、原料の一部にホップを用いることができる。香味がビールに類似する傾向にあることから、原料の一部にホップを用いることが望ましい。ホップを使用する際には、ビール等の製造に使用される通常のペレットホップ、粉末ホップ、ホップエキスを、所望の香味に応じて適宜選択して使用することができる。また、イソ化ホップ、還元ホップなどのホップ加工品を用いてもよい。本発明の製造方法に使用されるホップには、これらのものが包含される。また、ホップの添加量は特に限定されないが、典型的には、飲料全量に対して0.0001~1質量%程度である。
(その他の原料)
本発明の製造方法においては、任意に、その他の原料を用いてもよい。例えば、甘味料(高甘味度甘味料を含む)、苦味料、香料、酵母エキス、カラメル色素などの着色料、大豆サポニンやキラヤサポニン等の植物抽出サポニン系物質、コーンや大豆などの植物タンパク質およびペプチド含有物、乳清などの動物タンパク質、食物繊維やアミノ酸などの調味料、アスコルビン酸等の酸化防止剤を、本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて用いることができる。
本発明の製造方法で得られるビールテイスト飲料のpHは、飲料の風味を良好にする観点から、好ましくは3.0~5.0であり、より好ましくは3.0~4.5であり、更に好ましくは3.0~4.0である。
本発明の製造方法で得られるビールテイスト飲料におけるプリン体や香味成分の含有量については特に限定されないが、プリン体含有量は、好ましくは50ppm以下、より好ましくは20ppm以下、更に好ましくは10ppm以下、更に好ましくは5ppm以下であり、下限値としては、例えば、0ppm以上、0.2ppm以上、0.5ppm以上とすることができ、これらいずれの組み合わせによる範囲としてもよい。
(容器詰飲料)
本発明の製造方法で得られるビールテイスト飲料は、容器詰めとすることができる。容器の形態は何ら制限されず、ビン、缶、樽、またはペットボトル等の密封容器に充填して、容器入り飲料とすることができる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
麦汁の調製
調製例1
麦芽とホップ、水、糖類、食物繊維を混合して麦汁を得た。
ビールテイスト飲料の調製
参考例1
調製例1で得られた麦汁に酵母を加えて10日間発酵させた。酵母を取り除いた後、濾過を行い、ビールテイスト飲料を得た。
水準1~9
調製例1で得られた麦汁に酵母を加えて10日間発酵させた。酵母を取り除いた後、表1に記載の吸着剤を表1に記載の濃度となるように中味液に対して比例添加し、表1に記載の時間接触させた後に遠心分離機で吸着剤を除去した。遠心分離機から出てくる中味液を濾過し、ビールテイスト飲料を得た。なお、設定したプロセスでは、吸着剤の添加位置から遠心分離機の間の配管の長さが非常に短く、配管長さでの接触時間の調整が困難であったため、いずれの水準においても、吸着剤の添加位置と遠心分離機との間に中間タンク(500L)を設定し、中間タンクへの中味液の流量を3KL/hr(10min)、0.75KL/hr(40min)、0.33KL/hr(90min)、又は0.17KL/hr(180min)とすることで接触時間を調整した。配管中での接触時間は無視できる程度として、接触時間には加算しなかった。
参考例1、水準1~9で得られたビールテイスト飲料中のキサンチン及び酢酸イソアミルについて、上記方法により分析を行った。結果を表1に示す。
Figure 2022095396000001
水準1~9では、本発明の製造方法を用いることで中味液と吸着剤との接触時間を容易に調整でき、濾過時に目詰まりすることもなかった。また、表1より、接触時間を180分とした水準9では、酢酸イソアミルの残存量が少なくなってしまったが、接触時間を10~90分とした水準1~8ではキサンチンを適度に除去しつつも、酢酸イソアミルの残存量を多くできたことが分かる。特に、吸着剤として白土を用いた水準1、2、5~8では、酢酸イソアミルとキサンチンの合計含有量(ppm)に対する酢酸イソアミル含有量(ppm)の質量比(酢酸イソアミル/(酢酸イソアミル+キサンチン))が高く、香味バランスに優れるものであった。
添加試験
酢酸イソアミルとキサンチンの合計含有量(ppm)に対する酢酸イソアミル含有量(ppm)の質量比(酢酸イソアミル/(酢酸イソアミル+キサンチン))と香味バランスとの関係について、以下の添加試験により確認した。いずれも△以上の評価であれば、製品として使用し得ると判断することができる。
ビールテイスト飲料の調製
参考例2
調製例1で得られた麦汁に酵母を加えて10日間発酵させた。貯酒タンク内に吸着剤として活性炭3000ppmを添加し、中味液に吸着剤を10日間接触させた後、遠心処理、濾過処理を行い、ビールテイスト飲料を得た。
水準10~14
参考例2で得られたビールテイスト飲料に、表2に記載した濃度となるように酢酸イソアミルを添加して各サンプルを調製した。
上記で調製したサンプルを用いて、よく訓練された5名のパネルにより、発酵由来の香り及び香りのバランスについての官能評価を実施した。結果を表2に示す。
<発酵由来の香りの評価基準>
発酵由来の香りの有無について、5点満点で評価した。「とても感じる」を5点、「感じる」を4点、「やや感じる」を3点、「わずかに感じる」を2点、「感じない」を1点として、評価点の平均点を算出し、平均点に応じて下記基準に従って評価を行った。
×:平均値1.0以上~2.0未満
△:平均値2.0以上~3.0未満
○:平均値3.0以上~4.0未満
◎:平均値4.0以上~5.0以下
<香りのバランスの評価基準>
また、発酵由来の香りだけでなく、麦芽やホップの香りとのバランスの中でビールテイスト飲料として調和のとれた好ましい香りかどうかの評価も行った。「このうえなく好ましい」を5点、「とても好ましい」を4点、「好ましい」を3点、「やや好ましい」を2点、「好ましくない」を1点、評価点の平均点を算出し、平均点に応じて下記基準に従って評価を行った。
×:平均値1.0以上~2.0未満
△:平均値2.0以上~3.0未満
○:平均値3.0以上~4.0未満
◎:平均値4.0以上~5.0以下
Figure 2022095396000002
表2より、酢酸イソアミルとキサンチンの合計含有量(ppm)に対する酢酸イソアミル含有量(ppm)の質量比(酢酸イソアミル/(酢酸イソアミル+キサンチン))が参考例2よりも高い水準10~13では、いずれも発酵由来の香りを感じることができ且つ香りのバランスにも優れるものであった。一方、水準14では、発酵由来の香りが強すぎて香りのバランスが好ましくないものであった。以上より、ビールテイスト飲料における香りのバランスの観点から、当該質量比が適度に高い0.32~0.85の範囲内であるのが好ましいといえる。
本発明によれば、中味液と吸着剤との接触時間を容易に調整でき、濾過時のフィルター目詰まりのリスクも少ないビールテイスト飲料の製造方法を提供できる。

Claims (8)

  1. キサンチン含有量が0.2~2.6ppmであり、酢酸イソアミルとキサンチンの合計含有量(ppm)に対する酢酸イソアミル含有量(ppm)の質量比(酢酸イソアミル/(酢酸イソアミル+キサンチン))が0.32~0.85であるビールテイスト飲料。
  2. 香料を含有しない、請求項2に記載のビールテイスト飲料。
  3. 活性炭及び白土から選択される1種以上の吸着剤を中味液に添加し、添加した吸着剤を遠心分離機により除去する工程Aを有する、ビールテイスト飲料の製造方法。
  4. 前記工程Aにおいて、中味液に対して吸着剤を50~5000ppmとなるように添加する、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記工程Aにおける中味液と吸着剤との接触時間が5~180分である、請求項3又は4に記載の製造方法。
  6. 前記中味液が発酵、熟成後の発酵液である、請求項3~5いずれかに記載の製造方法。
  7. 前記工程Aにおける吸着剤の添加は、貯酒タンクから濾過フィルターまでの間で行われる、請求項3~6いずれかに記載の製造方法。
  8. 請求項3~7いずれかに記載の製造方法により得られる、ビールテイスト飲料。
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JP2022141901A (ja) * 2021-02-22 2022-09-29 株式会社三洋物産 遊技機

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