JP3227729B2 - 樹脂組成物成形品の製造方法 - Google Patents
樹脂組成物成形品の製造方法Info
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Description
品、自動車部品、機械部品などとして有用な機械物性、
耐熱性および成形性に優れた液晶性樹脂と熱可塑性樹脂
とからなる樹脂組成物成形品の製造方法に関するもので
ある。
求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマー
が数多く開発されているが、中でも分子鎖の平行な配列
を特徴とする光学異方性の液晶性樹脂が優れた流動性と
機械物性を有する点で注目されている。しかしながら、
分子鎖配向方向と垂直な方向では成形収縮率や機械物性
が異なり、さらに価格が高いなどの理由で用途が制限さ
れているのが現状である。一方、多くの熱可塑性樹脂は
液晶性樹脂と比較して、機械物性および耐熱性も必ずし
も十分でないことが知られている。
に、液晶性樹脂と熱可塑性樹脂のブレンドが注目されて
いる(たとえば、特開昭57−25354号公報)。さ
らにブレンド物の機械物性向上のため、液晶性樹脂の液
晶開始温度より10℃以上低い融点を有する熱可塑性樹
脂とを液晶開始温度以上でブレンドし、液晶開始温度以
下で成形することにより、ブレンド時の液晶性樹脂の配
向状態を維持し、スキン−コア構造を改良する方法が提
案されている(特開平3−24911号公報)。しかし
ながら、この方法では液晶性樹脂の配向は十分でなく、
大きな物性向上はみられない。
解決し、機械物性、耐熱性および成形性に優れた樹脂組
成物成形品の製造方法の提供を課題とする。
(A)異方性溶融相を形成する液晶性樹脂1〜50重量
%と(B)該液晶性樹脂(A)の液晶開始温度よりも低
い温度で溶融成形加工することのできる1種以上の熱可
塑性樹脂99〜50重量%を配合してなる樹脂組成物か
らなる成形品を製造するに際し、前記液晶性樹脂(A)
と熱可塑性樹脂(B)とを押出機により前記液晶性樹脂
(A)の液晶開始温度以上の温度で溶融ブレンドし、前
記押出機の口金から溶融吐出された溶融ブレンド物のガ
ットを、伸張倍率6倍以上で伸張させた後ペレタイズす
ることにより、前記樹脂組成物からなるペレットとし、
次いで前記ペレットを前記液晶性樹脂(A)の液晶開始
温度以下の温度で成形することにより、前記液晶性樹脂
(A)が平均アスペクト比5以上の分散粒子となって、
前記熱可塑性樹脂(B)のマトリックス中に分散してい
る成形品を得ることを特徴とする樹脂組成物成形品の製
造方法を提供するものである。
いて詳述する。
方性溶融相を形成することができる樹脂である。例え
ば、p−ヒドロキシ安息香酸/ポリエチレンテレフタレ
ート系液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸/6
−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸系液晶ポリエステル、p
−ヒドロキシ安息香酸/4,4’−ジヒドロキシビフェ
ニル/テレフタル酸/イソフタル酸系液晶ポリエステル
等が挙げられるが、中でも下記構造単位(I)、(I
I)、(IV)または(I)、(II)、(III)、
(IV)からなる液晶ポリエステルが好ましい。
式中Xは水素原子または塩素原子を示し、構造単位(I
I)および(III)の合計と構造単位(IV)は実質
的に等モルである。)上記構造単位(I)はp−ヒドロ
キシ安息香酸から生成したポリエステルの構造単位であ
り、構造単位(II)は4,4’−ジヒドロキシビフェ
ニル、3,3’、5,5’−テトラメチル−4,4’−
ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチル
ハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2,6−ジ
ヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
および4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルから
選ばれた芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単
位を、構造単位(III)はエチレングリコールから生
成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸、
イソフタル酸、4,4’−ジフェニルカルボン酸、2,
6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキ
シ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス
(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボ
ン酸およびジフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれ
た芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示
す。これらのうち特に構造単位(III)を含む場合
は、R1が
%以上を、R2が
%以上を占めるものが特に好ましい。上記構造単位
(I)、(II)、(III)および(IV)の共重合
量は任意である。しかし、流動性の点から次の共重合量
であることが好ましい。すなわち、上記構造単位(II
I)を含む場合は、耐熱性および機械特性の点から上記
構造単位(I)および(II)の合計は構造単位
(I)、(II)および(III)の合計に対して60
から95モル%が好ましく、82〜92モル%がより好
ましい。また、構造単位(III)は構造単位(I)、
(II)および(III)の合計に対して40〜5モル
%が好ましく、18〜8モル%がより好ましい。また、
構造単位(I)と(II)のモル比[(I)/(I
I)]は流動性と機械物性のバランスの点から好ましく
は75/25〜95/5であり、より好ましくは78/
22〜93/7である。また、構造単位(IV)は構造
単位(II)および(III)の合計と実質的に等モル
である。
場合は、流動性の点から上記構造単位(I)は構造単位
(I)および(II)の合計に対して40〜90モル%
であることが好ましく、60〜88モル%であることが
特に好ましく、構造単位(IV)は構造単位(II)と
実質的に等モルである。
重合する際には、上記構造単位(I)〜(IV)を構成
する成分以外に3,3’−ジフェニルジカルボン酸、
2,2’−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカル
ボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデ
カンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロ
テレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロロハイド
ロキノン、メチルハイドロキノン、4,4’−ジヒドロ
キシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフ
ェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェ
ノン等の芳香族ジオール、1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、
1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオールおよびm
−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸
などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフ
ェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の目的を損
なわない程度の量を共重合してもよい。
法は特に制限がなく、公知のポリエステルの縮重合法に
準じて製造できる。例えば、好ましく用いることができ
る液晶ポリエステルのうち、上記構造単位(III)を
含まない場合は(1)〜(4)、構造単位(III)を
含む場合は(5)の製造法が好ましい。
4’−ジアセトキシビフェニル、パラアセトキシベンゼ
ンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物とテ
レフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸縮重合
反応によって製造する方法。
4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの
芳香族ジヒドロキシ化合物、テレフタル酸などの芳香族
ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水
酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって製造
する方法。
エステルおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハ
イドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とテレフ
タル酸などの芳香族ジカルボン酸のジフェニルエステル
から脱フェノール重縮合反応により製造する方法。
フタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニ
ルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエス
テルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハ
イドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、
脱フェノール重縮合反応により製造する方法。
ポリエステルポリマー、オリゴマーまたはビス(β−ヒ
ドロキシエチル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン
酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で
(1)または(2)の方法により製造する方法。
第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウム、三酸
化アンチモン、酢酸ナトリウムなどの金属化合物および
マグネシウムなどが代表的であり、特に脱フェノール重
縮合の際に有効である。
ンタフルオロフェノール中で対数粘度を測定することが
可能なものであり、その際には0.1g/dlの濃度で
60℃で測定した値が0.5以上であることが好まし
く、特に上記構造単位(III)を含まない場合は、
2.0〜10.0dl/gが好ましい。
の溶融粘度は10から20,000ポイズが好ましく、
特に20〜10,000ポイズがより好ましい。なお、
この溶融粘度は融点(Tm)+10℃の条件で、いずれ
もせん断速度1,000/秒の条件下で高圧式毛管粘度
計により測定した値である。
おいて、重合を完了したポリマーを室温から20℃/分
の昇温条件で測定した際に観察される吸熱ピーク温度
(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保
持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し
た後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観察さ
れる吸熱ピーク温度(Tm2)を指す。また、液晶開始
温度は、偏光顕微鏡の試料台に乗せて、昇温加熱し、せ
ん断応力下で乳白光を発する温度である。
しい具体例は、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボ
ネート、ポリアリーレンオキシド、ポリアリーレンサル
ファイド、ポリエーテルイミド、ポリオキシメチレン、
ポリスチレンなどが挙げられる。これらの中でも、ポリ
エステル、ポリカーボネートがより好ましい。また、こ
の熱可塑性樹脂は1種でも良いし、2種以上であっても
よい。以下、個々の樹脂について具体的に示す。
であり、かつ芳香環を重合体の連鎖単位に有するポリエ
ステルで、芳香族ジカルボン酸(あるいはそのエステル
形成性誘導体)とジオール(あるいはそのエステル形成
性誘導体)を主成分とする縮合反応により得られる重合
体ないしは共重合体である。ここでいうジカルボン酸と
しては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,
6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカ
ルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p
−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボ
ン酸、4,4’−ビフェニルカルボン酸、4,4’−ジ
フェニルエーテルカルボン酸、1,2−ビス(p−カル
ボキシフェノキシ)エタン、あるいはそのエステル形成
性誘導体などが挙げられる。なお、30モル%以下であ
ればアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン
ジオン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,
4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキ
サンジカルボン酸などの脂環族カルボン酸で置換しても
よい。また、ジオール成分としては炭素数2〜10まで
の脂肪族ジオールすなわちエチレングリコール、プロピ
レングリコール、ブチレングリコール、1,5−ペンタ
ングリコール、デカメチレングリコール、3−メチル−
1,3−プロペンジオール、ネオペンチルグリコール、
シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール
などが挙げられるが、これらに限定されるわけではな
い。好ましいポリエステルの具体例としては、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,
4’−ジカルボキシレート、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレン
テレフタレートなどおよびポリエチレンテレフタレート
/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート/セバケー
ト、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシ
レート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレ
フタレート/イソフタレートなどの共重合ポリエステル
が挙げられる。これらのなかで特に好ましいポリエステ
ルとしてはポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン
テレフタレート、およびポリ−1,4−シクロヘキサン
ジメチレンテレフタレートが挙げられる。
ω- ラクタムから得られるポリアミド、またはジアミン
やm-キシレンジアミンとアジピン酸、セバシン酸、ドデ
カンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタ
ル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸から得られる単
独または共重合体、さらには混合重合体などである。好
ましいポリアミドとしてはナイロン6、ナイロン11、ナ
イロン12、ナイロン46、ナイロン66などのホモポリアミ
ド、およびアジピン酸/テレフタル酸/ヘキサメチレン
ジアミン、アジピン酸/1,4-シクロヘキサンジカルボン
酸/ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸/1,3-シクロ
ヘキサンジカルボン酸/ヘキサメチレンジアミン、テレ
フタル酸/イソフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/パ
ラアミノシクロヘキシルメタンなどの共重合ポリアミド
が挙げられる。
ドロキシフェニル)、ビス(3,5−ジアルキル−4−
ヒドロキシフェニル)またはビス(3,5−ジハロ−4
−ヒドロキシフェニル)置換を有する炭化水素誘導体を
ベースとするポリカーボネートが好ましく、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノー
ルA)をベースとするポリカーボネートが特に好まし
い。
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、
2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチル
フェノール共重合体、2,6−ジメチルフェノール/
2,3,6−トリエチルフェノール共重合体などが挙げ
られる。ポリアリーレンオキシドには、ポリスチレン、
耐衝撃ポリスチレンなどのスチレン系樹脂を添加するこ
とができる。
黄が結合したものである。好ましいポリアリーレンスル
フィドとしてはポリパラフェニレンスルフィドが挙げら
れ、これは部分的に分岐していても良い。
るにあたり、従来から公知のポリエステルの重合触媒、
耐熱剤、耐候剤、帯電防止剤、染料、着色剤、結晶核
剤、難燃剤などの添加剤や、タルク、クレー、雲母、メ
タケイ酸カルシウム、ケイ砂、ガラスビーズ、ガラスフ
レーク、チタン酸カリウイスカー、石コウ繊維などの無
機充填剤、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維など
の補強剤、ポリエステルおよびポリアミド以外の熱可塑
性ポリマーなどを添加することも可能である。
(B)を混合する方法としては、各種の方法が適用可能
である。溶融混合する装置としては混合ロール、バンバ
リーミキサー、ニーダー、押出機などが挙げられるが、
なかでも押出機が好ましい。この押出機としては単軸、
または二軸以上のスクリューを有するものいずれも使用
可能であるが、特に二軸押出機を使用するのが好まし
い。混練温度は液晶性樹脂(A)の液晶開始温度より高
い温度で行なうことが好ましく、液晶性樹脂(A)の融
点以上で行なうことがより好ましい。
しては、溶融ブレンドした溶融ブレンド物を伸張させる
ことが必須の条件である。ここで、溶融ブレンド物を伸
張させる方法としては、種々の方法が考えられるが、ロ
ーラーによる巻取またはカッターの引取りによる伸張が
好ましい。特に、押出機から押出された溶融ブレンド物
のガットをそのままローラーにより伸張させる方法が好
ましい。ここでガットの供給速度に対するローラーによ
る巻取速度またはカッターによる引取り速度の比を伸張
倍率として定義すると、この値を4以上とすることが必
要であり、6以上とすることがより好ましい。伸張倍率
が上記範囲内の場合に液晶相が十分に配向し、大きな物
性向上効果が期待できる。
液晶性樹脂(A)の分散状態は、走査型または透過型電
子顕微鏡により観察することができる。たとえば、液晶
性樹脂(A)の伸張方向と平行に伸張ガットを切削し、
走査型電子顕微鏡で観察して繊維状配向した液晶性樹脂
(A)の各粒子のアスペクト比を測定し、平均値を算出
することにより、平均アスペクト比を求めることができ
る。この方法により観察した溶融ブレンド物中の液晶性
樹脂(A)の分散粒子の平均アスペクト比は5以上であ
り、より好ましくは10以上、さらに好ましくは30以
上である。この値が5より小さい場合には大きな物性改
良効果はみられない。
ては、射出成形、押出成形、ブロー成形などの通常の方
法が適用可能であるが、特に射出成形が好ましい。成形
温度は液晶性樹脂(A)の液晶開始温度以下の温度であ
り、この温度で成形した場合には、伸張後の液晶性樹脂
(A)の分散状態が好適に維持され、成形品内部と表層
部とで分散状態がほとんど変らず、物性向上効果を発揮
する樹脂組成物成形品が得られる。
明するが、これらの例は本発明の適応範囲を限定するも
のではない。なお、実施例中の部は重量部を表す。
ドロキシビフェニル210重量部、2,6−ジアセトキ
シナフタレン274重量部、テレフタル酸374重量部
および無水酢酸1010重量部を攪拌翼、留出管を備え
た反応容器に仕込み、次の条件で脱酢酸重縮合を行なっ
た。
℃で5時間、250〜330℃で1.5時間反応させた
後、310℃、1.5時間で0.5mmHgに減圧し、
さらに1.0時間反応させ、重縮合を完結させたとこ
ろ、ほぼ理論量の酢酸が留出し、下記の理論構造式を有
する液晶ポリエステルを得た。
63℃、対数粘度(0.1g/dlの濃度でペンタフル
オロフェノール中、60℃で測定)は4.88dl/g
であり、292℃、せん断速度1000/秒での溶融粘
度は910ポイズであった。
ヒドロキシビフェニル186重量部、無水酢酸1066
重量部、テレフタル酸166重量部および固有粘度が約
0.6dl/gのポリエチレンテレフタレート336重
量部を攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、次の
反応条件で脱酢酸重縮合を行なった。
℃で1.5時間反応させた後、290℃、2時間で0.
5mmHgに減圧し、さらに1.0時間反応させ、重縮
合を完結させたところ、ほぼ理論量の酢酸が留出し、下
記の理論構造式を有する液晶ポリエステルを得た。
75℃、対数粘度(0.1g/dlの濃度でペンタフル
オロフェノール中、60℃で測定)は1.62dl/g
であり、304℃、せん断速度1000/秒での溶融粘
度は710ポイズであった。
リブチレンテレフタレート(PBT、固有粘度1.20
dl/g)をそれぞれ所定量秤取し、ドライブレンドし
た。270〜300℃に設定した30mmφ二軸押出機で
溶融押出した。押出後の溶融ブレンド物をローラーによ
り種々の巻取速度で伸張させ、液晶性樹脂の分散状態を
制御した。なお、ガットの供給速度に対する巻取速度を
伸張倍率とした。巻取りガットを伸張方向に平行に切削
し、中央部を走査型電子顕微鏡で観察することにより液
晶性樹脂分散粒子の平均アスペクト比を求めた。表1
に、伸張倍率と平均アスペクト比を示す。このガットを
ペレット化し、乾燥後シリンダー温度240℃、金型温
度120℃に設定した射出成形機で、1/8”厚×1/
2”幅×5”長のテストピースおよび1/8”厚のAS
TM No.1ダンベルを成形した。曲げ強度は1/
8”厚×1/2”幅×5”長のテストピースを用い、東
洋ボールドウィン社製テンシロンUTM−200でひず
み速度1mm/分、スパン間距離50mmの条件で測定
を行なった。さらに、ASTM D638に従ってAS
TM No.1ダンベルの引張強度の測定を行なった。
表1にこれらの試験結果を示す。また、成形試験片中央
部を流れ方向に切除し、液晶成樹脂の平均アスペクト比
を求めた。この値は、押出ガットのアスペクト比とほぼ
等しき成形前後で変化はみられなかった。
液晶性樹脂(A)の平均アスペクト比を5以上とした場
合には、3以下とした場合よりも引張強度および曲げ強
度ともに向上した成形品が得られることがわかる。
(B)熱可塑性樹脂80部を秤取し、ドライブレンドし
た。270〜320℃に設定した30mmφ二軸押出機で
溶融押出しした。押出後の溶融ブレンド物をローラーに
より種々の巻取速度で伸張させ、液晶性樹脂の分散状態
を制御した。なお、ガットの供給速度に対する巻取速度
を伸張倍率とした。巻取りガットを伸張方向に平行に切
削し、中央部を走査型電子顕微鏡で観察することにより
液晶性樹脂分散粒子の平均アスペクト比を求めた。ま
た、ガットをペレット化し、乾燥後、実施例1〜6と同
様の試験片を成形し、引張強度と曲げ強度を測定した。
さらに、成形試験片中央部を流れ方向に切削し、液晶性
樹脂の平均アスペクト比を求めたが、押出ガットと成形
試験片ではほぼ等しい値となった。
液晶性樹脂(A)の平均アスペクト比を5以上とした場
合には、2以下とした場合よりも引張強度および曲げ強
度ともに向上した成形品が得られることがわかる。
よれば、機械物性、耐熱性および成形性に優れ、電気お
よび電子機器部品、自動車部品などの用途において幅広
く使用可能な樹脂組成物成形品が得られる。
Claims (4)
- 【請求項1】(A)異方性溶融相を形成する液晶性樹脂
1〜50重量%と (B)該液晶性樹脂(A)の液晶開始温度よりも低い温
度で溶融成形加工することのできる1種以上の熱可塑性
樹脂99〜50重量%を配合してなる樹脂組成物からな
る成形品を製造するに際し、 前記液晶性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)とを押出機
により前記液晶性樹脂(A)の液晶開始温度以上の温度
で溶融ブレンドし、前記押出機の口金から溶融吐出され
た溶融ブレンド物のガットを、伸張倍率6倍以上で伸張
させた後ペレタイズすることにより、前記樹脂組成物か
らなるペレットとし、 次いで前記ペレットを前記液晶性樹脂(A)の液晶開始
温度以下の温度で成形することにより、 前記液晶性樹脂(A)が平均アスペクト比5以上の分散
粒子となって、前記熱可塑性樹脂(B)のマトリックス
中に分散している成形品を得ることを特徴とする樹脂組
成物成形品の製造方法 。 - 【請求項2】前記異方性溶融相を形成する液晶性樹脂
(A)が下記構造単位(I)、(II)、(IV)また
は(I)、(II)、(III)、(IV)からなるか
らなる液晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする
請求項1記載の樹脂組成物成形品の製造方法。 【化1】 (ただし、式中R1 は 【化2】 から選ばれた一種以上の基を示し、R2 は 【化3】 から選ばれた一種以上の基を示す。また、式中Xは水素
原子または塩素原子を示し、構造単位(II)および
(III)の合計と構造単位(IV)は実質的に等モル
である。) - 【請求項3】前記熱可塑性樹脂(B)がポリエステルお
よびポリカーボネートのいずれかであることを特徴とす
る請求項1または2記載の樹脂組成物成形品の製造方
法。 - 【請求項4】前記樹脂組成物成形品が射出成形品である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の樹
脂組成物成形品の製造方法。
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