JP2001152014A - ポリエーテルイミド樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

ポリエーテルイミド樹脂組成物およびその成形品

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polyetherimide resin
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liquid crystal
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Noriyuki Arai
規之 新井
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】成形時の流動性に優れ、得られる成形品が必要
な耐薬品性、耐熱性、機械物性を備える、ポリエーテル
イミド樹脂組成物およびその成形品を提供すること。 【解決手段】ポリエーテルイミド樹脂100重量部に対
して、液晶ポリエステル樹脂5〜50重量部を含有する
ことを特徴とするポリエーテルイミド樹脂組成物及びそ
の成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエーテルイミ
ド樹脂組成物およびその成形品に関するものである。詳
しくは、液晶ポリエステル樹脂を含有するポリエーテル
イミド樹脂組成物およびその成形品に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエーテルイミド樹脂は、その優れた
耐薬品性、耐熱性、機械物性から電気・電子部品材料用
途をはじめ幅広い分野に使用されているが、成形時の流
動性が低いという欠点を有しているため、薄肉部や複雑
な形状を有する精密成形品の材料として用いる場合、金
型の成形品部分に樹脂が完全充填せず、満足な成形品が
得られないことがある。従来、ポリエーテルサルホン樹
脂等の他の熱可塑性樹脂については、その流動性を改善
させた組成物が種々報告されているが(例えば、特開昭
56−115357号公報、特開昭58−98362号
公報等)、ポリエーテルイミド樹脂の流動性を改善させ
た組成物については、報告されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、成形
時の流動性に優れ、得られる成形品が必要な耐薬品性、
耐熱性、機械物性を備える、ポリエーテルイミド樹脂組
成物およびその成形品を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、液晶ポリエステル樹脂を特定量含有するポリエ
ーテルイミド樹脂組成物が上記目的に適うことを見いだ
し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
(1).ポリエーテルイミド樹脂100重量部に対し
て、液晶ポリエステル樹脂5〜50重量部を含有するポ
リエーテルイミド樹脂組成物に係るものである。また、
本発明は、(2).上記(1)のポリエーテルイミド樹
脂組成物を用いてなる成形品に係るものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるポリエーテルイミド樹脂は、通常、下記
構造単位を有するものである。
【化2】 [式中、R1は、
【化3】 から選ばれる一種以上の基を表し、R2は、
【化4】 から選ばれる一種以上の基を表す。] ポリエーテルイミド樹脂の調製方法としては、例えば、
特表昭59−500867号公報等に記載の方法が挙げ
られる。
【0006】本発明で用いる液晶ポリエステル樹脂は、
通常、一般にサーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれる
ポリエステルであり、400℃以下の温度で異方性溶融
体を形成するものが好ましい。例えば、 ・芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールと芳香族ヒドロ
キシカルボン酸との組み合わせからなるもの、 ・異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸からなるもの、 ・芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせ
からなるもの、 ・ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルに芳
香族ヒドロキシカルボン酸を反応させたもの、などが挙
げられる。なお、これらの芳香族ジカルボン酸、芳香族
ジオールおよび芳香族ヒドロキシカルボン酸の代わり
に、それらのエステル形成性誘導体が使用されることも
ある。
【0007】本発明で用いる液晶ポリエステル樹脂の下
記に定義される流動温度は、耐ブロッキング性、耐熱性
の観点から、通常250℃以上、好ましくは270℃以
上、さらに好ましくは275℃以上であり、また、流動
性の観点から、通常370℃以下、好ましくは340℃
以下、さらに好ましくは300℃以下である。 流動温度:内径1mm、長さ10mmのノズルを持つ毛
細管レオメーターを用い、100kg/cm2の荷重下
において4℃/分の昇温速度で加熱溶融体を押し出すと
きに溶融粘度が4800Pa・sを示す温度。
【0008】本発明で用いる液晶ポリエステル樹脂の構
造単位としては、例えば、下記のものが挙げられる。 芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位:
【化5】
【0009】芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位:
【化6】
【0010】芳香族ジオールに由来する構造単位:
【化7】
【0011】
【化8】
【0012】上記構造単位の組み合わせとしては、該組
成物における加工性、流動性、耐熱性の面から ・(A1)、(B1)、(B2)、(C1) ・(A1)、(B1)、(B2)、(C2) ・(A1)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)が好
ましく、構造単位のモル比率としては、[(C1)+
(C2)]/(A1)は0.2〜1.0、[(B1)+
(B2)]/[(C1)+(C2)]は0.9〜1.1、
(B1)/(B2)は1〜30であるのが好ましい。
【0013】本発明で用いる液晶ポリエステル樹脂の調
製方法としては、公知の方法を採用することができ、例
えば、特公昭47−47870号公報、特公昭63−3
888号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0014】液晶ポリエステル樹脂の使用量は、ポリエ
ーテルイミド樹脂100重量部に対して、流動性の観点
から、通常5重量部以上、好ましくは10重量部以上で
あり、また、成形収縮率の低異方性、ウェルド強度の観
点から、通常50重量部以下、好ましくは25重量部以
下である。
【0015】本発明のポリエーテルイミド樹脂組成物に
は、必要に応じて、機械物性を向上させる等の目的で、
無機充填材を含有させてもよい。無機充填材としては、
例えば、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、ウォラスト
ナイト、チタン酸カリウムウィスカーなどの繊維状ある
いは針状の補強材、炭酸カルシウム、ドロマイト、タル
ク、マイカ、クレイ、ガラスビーズなどが挙げられ、そ
の一種以上を用いることができる。中でもガラス繊維が
好ましい。無機充填材の使用量は、ポリエーテルイミド
樹脂100重量部に対して、補強効果の観点から、通常
5重量部以上、好ましくは10重量部以上であり、ま
た、成形性の観点から、通常100重量部以下、好まし
くは70重量部以下である。
【0016】また、本発明のポリエーテルイミド樹脂組
成物には、必要に応じて、例えば、ポリアミド、液晶ポ
リエステル以外のポリエステル、ポリフェニレンスルフ
ィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフ
ェニレンエーテルおよびその変性物、ポリエーテルサル
ホン、等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、エポキシ樹
脂、ポリイミド樹脂、等の熱硬化性樹脂;等の樹脂を一
種以上含有させてもよい。
【0017】さらに、本発明のポリエーテルイミド樹脂
組成物には、必要に応じて、染料、顔料などの着色剤、
酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界
面活性剤などの通常の添加剤を一種以上含有させてもよ
い。
【0018】本発明のポリエーテルイミド樹脂組成物を
得るための原料成分の配合手段としては、ポリエーテル
イミド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、必要に応じて無機
充填剤等を、ヘンシェルミキサー、タンブラー等を用い
て混合した後、押出機を用いて溶融混練することが一般
的である。
【0019】本発明のポリエーテルイミド樹脂組成物
は、通常の方法により、様々な部品、部材に成形するこ
とができる。成形方法としては、射出成形法、圧縮成形
法、押出し成形法、中空成形法、等が挙げられるが、射
出成形法が好ましい。成形品としては、例えば、コネク
ター、ソケット、リレー部品、コイルボビン、光ピック
アップ、発振子、プリント配線板、コンピュータ関連部
品、等の電気・電子部品;ICトレー、ウエハーキャリ
ヤー、等の半導体製造プロセス関連部品;VTR、テレ
ビ、アイロン、エアコン、ステレオ、掃除機、冷蔵庫、
炊飯器、照明器具、等の家庭電気製品部品;ランプリフ
レクター、ランプホルダー、等の照明器具部品;コンパ
クトディスク、レーザーディスク、スピーカー、等の音
響製品部品;光ケーブル用フェルール、電話機部品、フ
ァクシミリ部品、モデム、等の通信機器部品;分離爪、
ヒータホルダー、等の複写機関連部品;インペラー、フ
ァン、歯車、ギヤ、軸受け、モーター部品及びケース、
等の機械部品;自動車用機構部品、エンジン部品、エン
ジンルーム内部品、電装部品、内装部品、等の自動車部
品;マイクロ波調理用鍋、耐熱食器、等の調理用器具;
床材、壁材などの断熱、防音用材料、梁、柱などの支持
材料、屋根材、等の建築資材または土木建築用材料;航
空機部品、宇宙機部品、原子炉などの放射線施設部材、
海洋施設部材、洗浄用治具、光学機器部品、バルブ類、
パイプ類、ノズル類、フィルター類、膜、医療用機器部
品及び医療用材料、センサー類部品、サニタリー備品、
スポーツ用品、レジャー用品、が挙げられる。
【0020】中でも、IC用ソケット、特にバーンイン
ソケットは、ピングリッドアレイ(PGA)、ボールグ
リッドアレイ(BGA)等、ICの多ピン化に伴う形状
の薄肉化、複雑化が進んでおり、その製造に用いる樹脂
組成物には、成形時の流動性と共に、洗浄時の耐薬品
性、テスト条件下での耐熱性、IC挿入時の負荷に耐え
得る機械物性、等が要求される。従って、成形時の流動
性に優れ、得られる成形品が必要な耐薬品性、耐熱性、
機械物性を備える本発明の芳香族ポリサルホン樹脂組成
物は、IC用ソケット、特にIC用バーンインソケット
の成形材料に好適に用いられる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。 実施例1〜4、比較例1〜3 以下の各成分を表1に示す組成(重量部)でヘンシェル
ミキサーを用いて混合後、二軸押出機(池貝鉄工(株)
製PCM−30型)を用いて、シリンダー温度360℃
で造粒し、樹脂組成物のペレットを得た。・ポリエーテ
ルイミド樹脂:下記構造単位を有するポリエーテルイミ
ド樹脂[特表昭59−500867号公報に記載の方法
に準じて合成]。
【化9】 ・ポリエーテルサルホン樹脂[住友化学工業(株)製、
商品名:住化エクセルPES4100P]。 ・液晶ポリエステル樹脂−1:前記構造単位(A1)、
(B1)、(B2)、(C1)を有し、(A1):
(B1):(B2):(C1)のモル比が60:12:
8:20で、流動温度(前記定義)が287℃の液晶ポ
リエステル樹脂。 ・液晶ポリエステル樹脂−2:前記構造単位(A1)、
(B1)、(B2)、(C1)を有し、(A1):
(B1):(B2):(C1)のモル比が60:15:
5:20で、流動温度(前記定義)が327℃の液晶ポ
リエステル樹脂。 ・液晶ポリエステル樹脂−3:前記構造単位(A1)、
(B1)、(B2)、(C1)を有し、(A1):
(B1):(B2):(C1)のモル比が60:18:
2:20で、流動温度(前記定義)が360℃の液晶ポ
リエステル樹脂。 ・ガラス繊維:直径10μm、3mmチョップドガラス
繊維[旭ファイバーガラス(株)製、商品名:CS03
JAPx−1]。得られたペレットについて、下記の方
法で物性評価を行った。結果を表1に示す。 ・スパイラルフロー:射出成形機[住友重機工業(株)
製、ネオマットN110/45]、ダイレクトゲート式
の8mm幅、1mm厚のスパイラルフロー測定金型を用
い、射出速度45mm/s、射出圧力1400kg/c
2、加熱筒温度360℃、金型温度150℃の条件で
流動長を測定した。 ・耐ストレスクラック性:第1図に示す様なUL94
3mm厚の試験片を成形し、第2図に示す様な装置を用
い、ウェルド部に200kg/cm2の応力をかけた状
態にて、洗浄剤[花王(株)製、商品名:クリンスルー
750H)]を滴下し、クラックが発生する時間を測定
した。なお、20分を過ぎてもクラックが発生しない場
合は、クラック無しと判断した。 ・荷重たわみ温度:長さ127mm、幅12.7mm、
厚さ6.4mmの試験片を用い、ASTM D648に
準拠し18.6kg/cm2の荷重で測定した。 ・曲げ強度、弾性率:長さ127mm、幅12.7m
m、厚さ6.4mmの試験片を用い、ASTM D79
0に準拠して測定した。 ・引張り強度、伸び率:ASTM4号ダンベルを用い、
ASTM D256に準拠して測定した。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】本発明のポリエーテルイミド樹脂組成物
は、成形時の流動性に優れ、必要な耐薬品性、耐熱性、
機械物性を備えることから、電子・電気部品の材料等と
して好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の耐ストレスクラック性の評価に用いた
試験片の説明図である。
【図2】実施例で耐ストレスクラック性の評価の説明図
である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA48 AA60 AA83 AB28 AD01 AH03 AH07 AH12 AH13 AH16 AH17 BB05 BC07 4J002 CF162 CM041 DE186 DE236 DJ006 DJ036 DJ046 DJ056 DL006 FA046 FA066 FA086 FD010 GB01 GC00 GL00 GM00 GN00 GP00 GQ00 GQ05 GR00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエーテルイミド樹脂100重量部に対
    して、液晶ポリエステル樹脂5〜50重量部を含有する
    ことを特徴とするポリエーテルイミド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】液晶ポリエステル樹脂の下記に定義される
    流動温度が250〜370℃である請求項1記載のポリ
    エーテルイミド樹脂組成物。流動温度:内径1mm、長
    さ10mmのノズルを持つ毛細管レオメーターを用い、
    100kg/cm2の荷重下において4℃/分の昇温速
    度で加熱溶融体を押し出すときに溶融粘度が4800P
    a・sを示す温度。
  3. 【請求項3】液晶ポリエステル樹脂が、下記の構造単位
    (A1)、(B1)、(B2)および(C1)を有するも
    の、(A1)、(B1)、(B2)および(C2)を有する
    もの、ならびに(A1)、(B1)、(B2)、(C1)お
    よび(C2)を有するものから選ばれた一種以上であ
    り、[(C1)+(C2)]/(A1)のモル比率が0.
    2〜1.0、[(B1)+(B2)]/[(C1)+
    (C2)]のモル比率が0.9〜1.1、(B1)/(B
    2)のモル比率が1〜30である請求項1または2に記
    載のポリエーテルイミド樹脂組成物。 【化1】
  4. 【請求項4】ポリエーテルイミド樹脂100重量部に対
    して、さらに無機充填材5〜100重量部を含有する請
    求項1〜3のいずれかに記載のポリエーテルイミド樹脂
    組成物。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載のポリエー
    テルイミド樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成
    形品。
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