JP3882475B2 - 芳香族ポリサルホン樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芳香族ポリサルホン樹脂組成物およびその成形品に関するものである。詳しくは、液晶ポリエステル樹脂を含有する芳香族ポリサルホン樹脂組成物およびその成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリサルホン樹脂は、その優れた耐熱性、機械物性から電気・電子部品材料用途をはじめ幅広い分野に使用されているが、近年、製品の小型・軽量化に伴う薄肉化により、流動性の向上が求められている。
芳香族ポリサルホン樹脂の流動性を向上し、ピングリッドアレイ(PGA)、ボールグリッドアレイ(BGA)に代表されるより多ピン化の進んだIC用のソケット、特にバーンインソケットにおいて良好な性能を発現せしめる方法としては、例えば、特定の芳香族ポリサルホンと特定の液晶ポリエステルを特定量配合する組成物を用いる方法が特開平11−181284号公報に開示されている。しかしながら、コンタクトピン間距離が狭いIC用のソケット、特にバーンインソケットにおいては、薄肉部分の最小肉厚が、例えば0.8mm以下と薄いため、該薄肉部分の剛性が十分でないと、ICをソケットに搭載するときにコンタンクトピンに発生する力に耐え切れず該薄肉部分が破損したり、大きく撓んでコンタクトピンの位置がずれ、ソケットの信頼性を損なうという問題があった。更にこの現象は、射出成形にて成形品を作成する際、樹脂の流動方向に対し直角の方向に位置する薄肉部分において顕著であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決して芳香族ポリサルホン樹脂が有する優れた機械物性、耐熱性に問題を与えることなく、芳香族ポリサルホン樹脂より成形時の流動性に優れる芳香族ポリサルホン樹脂組成物であって、成形品の薄肉部分、特に射出成形にて成形品を作成する際、樹脂の流動方向に対して直角方向に位置する薄肉部分において優れた剛性を有する芳香族ポリサルホン樹脂組成物およびその成形品を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の溶融粘度の芳香族ポリサルホン樹脂に特定の流動温度の液晶ポリエステル樹脂と、特定の平均繊維径を有するガラス繊維を特定量含有する樹脂組成物を用いることにより上記目的を達成できることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明は、下記〔1〕〜〔4〕に係るものである。
〔1〕340℃、せん断速度1000s-1で測定した溶融粘度が200〜1000Pa・s以下である芳香族ポリサルホン樹脂100重量部に対して、下記に定義される流動温度が250〜400℃である液晶ポリエステル樹脂5〜50重量部と、平均繊維径が2〜8μmであるガラス繊維5〜100重量部とを含有する芳香族ポリサルホン樹脂組成物。
流動温度:内径1mm、長さ10mmのノズルを持つ毛細管レオメーターを用い、100kg/cm2の荷重下において4℃/分の昇温速度で加熱溶融体を押し出すときに溶融粘度が4800Pa・sを示す温度。
〔2〕上記〔1〕の芳香族ポリサルホン樹脂組成物を用いてなる成形品。
〔3〕上記〔1〕の芳香族ポリサルホン樹脂組成物を成形してなるIC用ソケット。
〔4〕上記〔1〕の芳香族ポリサルホン樹脂組成物を成形してなるIC用バーンインソケット。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明において、芳香族ポリサルホン樹脂とは、アリーレン単位、エーテル結合およびサルホン結合の三者が必須の繰り返し構造単位であって、アリーレン単位がエーテルおよびサルホン結合とともに無秩序にまたは秩序正しく位置するポリアリーレン化合物である。
【0006】
本発明で用いる芳香族ポリサルホン樹脂は、340℃、せん断速度1000s-1で測定した溶融粘度が200〜1000Pa・sの芳香族ポリサルホン樹脂であり、好ましくは200〜700Pa・sであり、より好ましくは300〜500Pa・sである。芳香族ポリサルホン樹脂の溶融粘度が1000Pa・sを超えると樹脂組成物の成形時の流動性が良くないことがある。 また、溶融粘度が200Pa・s未満では、成形品の強度が低下することがある。
【0007】
本発明で用いる芳香族ポリサルホン樹脂の構造単位としては、下記一般式(I)、(II)、(III)のものを例示することができる。
【0008】
【化3】
Figure 0003882475
[式(I)中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜10のアルケニル基、フェニル基またはハロゲン原子を表し、pは0〜4の整数である。同一または異なる核上の各R1は相互に異なっていても良い。各pは相互に異なっていても良い。]
【0009】
【化4】
Figure 0003882475
[式(II)中、R1とpの定義は、式(I)における定義と同じである。]
【0010】
【化5】
Figure 0003882475
[式(III)中、R1とpの定義は、式(I)における定義と同じである。qは1〜3の整数である。]
【0011】
芳香族ポリサルホン樹脂が、上記構造単位(I)からなる場合、(I)中のpは0であることがより好ましく、中でも該構造単位を80モル%以上含むものであることがさらに好ましい。また、上記構造単位(I)および(II)からなる場合、(I)/(II)のモル比率は、通常0.5〜50、好ましくは0.5〜9.0、さらに好ましくは0.5〜4.0である。また、上記構造単位(I)および(III)からなる場合、(III)中のqは1または2であることが好ましく、(I)/(III)のモル比率は通常0.1〜20、好ましくは0.1〜9.0、さらに好ましくは0.5〜4.0である。
【0012】
中でも、上記構造単位(I)からなるものおよび上記構造単位(I)および(II)からなるものが好ましく、上記構造単位(I)からなるものがさらに好ましい。
【0013】
本発明で用いる芳香族ポリサルホン樹脂の製造方法としては、公知の方法を採用することができる。また、市販されている芳香族ポリサルホン樹脂の例としては、上記構造単位(I)からなるものとしては、住友化学工業株式会社の商品名スミカエクセルPES3600P、スミカエクセルPES4100Pなどが挙げられる。また、上記構造単位(I)および(II)からなるものとしては、AMOCO社の商品名 UDEL P−1700が挙げられる。また、その末端構造は、各々の樹脂の製法に従って決まるものであり、例えば、−Cl、−OH、−OR(Rはアルキル基)などが挙げられる。
【0014】
本発明において、液晶ポリエステル樹脂とは、一般にサーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルであり、400℃以下の温度で異方性溶融体を形成するものが好ましい。具体的には、例えば、
・芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボン酸との組み合わせからなるもの、
・異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸からなるもの、
・芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせからなるもの、
・ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させたもの、
などが挙げられる。なお、これらの芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオールおよび芳香族ヒドロキシカルボン酸の代わりに、それらのエステル形成性誘導体が使用されることもある。
【0015】
本発明で用いる液晶ポリエステル樹脂は、下記に定義される流動温度が250℃〜400℃、好ましくは250℃〜320℃のものである。
流動温度:内径1mm、長さ10mmのノズルを持つ毛細管レオメーターを用い、100kg/cm2の荷重下において4℃/分の昇温速度で加熱溶融体を押し出すときに溶融粘度が4800Pa・sを示す温度。
該流動温度が400℃を越える液晶ポリエステル樹脂を用いると、樹脂組成物の成形時の流動性が不足する場合があり、該流動温度が250℃未満の液晶ポリエステル樹脂を用いると、樹脂組成物のペレットのブロッキングを誘発したり、成形品の耐熱性が低下する場合がある。
【0016】
本発明で用いる液晶ポリエステル樹脂の構造単位としては、下記のものを例示することができる。
【0017】
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位:
【化6】
Figure 0003882475
【0018】
芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位:
【化7】
Figure 0003882475
【0019】
芳香族ジオールに由来する構造単位:
【化8】
Figure 0003882475
【0020】
【化9】
Figure 0003882475
なお、上のX1〜X4において、アルキルは炭素数1〜10のアルキル基を意味し、アリールは炭素数6〜20のアリール基を意味する。
【0021】
上記構造単位の組み合わせの中でも、該組成物における加工性、流動性、耐熱性の面から
・(A1)、(B1)、(B2)、(C1
・(A1)、(B1)、(B2)、(C2
・(A1)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2
が好ましく、構造単位のモル比率としては、[(C1)+(C2)]/(A1)は0.2〜1.0、[(B1)+(B2)]/[(C1)+(C2)]は0.9〜1.1、(B1)/(B2)は1〜30であるのが好ましい。
【0022】
本発明で用いる液晶ポリエステル樹脂の調製方法は、公知の方法を採用することができ、例えば、特公昭47−47870号公報、特公昭63−3888号公報等に記載されている。
【0023】
本発明の芳香族ポリサルホン樹脂組成物において、液晶ポリエステル樹脂の含有量は、芳香族ポリサルホン樹脂100重量部に対して、液晶ポリエステル樹脂5〜50重量部であり、好ましくは芳香族ポリサルホン樹脂100重量部に対して、液晶ポリエステル樹脂10〜25重量部である。5重量部未満では流動性の改善効果が乏しいことがあり、また、50重量部を越える場合は成形収縮率の異方性やウェルド強度が低下することがある。
【0024】
本発明に使用されるガラス繊維は珪酸塩を主成分とするガラスを繊維状に加工処理されたものを示す。ガラスの種類としては、一般用アルカリガラス(Aガラス)、化学用耐酸ガラス(Cガラス)、低密度ガラス(Dガラス)、ホウケイ酸ガラス(Eガラス)等があるが、本発明で用いられるものとしてはEガラスが好適である。ガラス繊維の製造は溶融状態(1300℃以上)のガラスを紡糸する方法が一般的である。
本発明に使用されるガラス繊維の平均繊維径は2〜8μmであり好ましくは5〜7μmである。平均繊維径が8μmを超えると微細部分まで充分ガラス繊維が充填出来ないことがあり、また、平均繊維径が2μm未満であるものは紡糸時の集束効果が不十分となり、その結果芳香族ポリサルホン樹脂との配合が困難となることがある。ガラス繊維の平均繊維径は、顕微鏡により観察して測定することができる。
ガラス繊維の数平均繊維長は25〜6000μmであることが好ましく、30〜3000μmであることがより好ましい。数平均繊維長が25μmより短いとガラス繊維による補強効果が低下する場合がある。また、繊維長が6000μmより長いと組成物の溶融造粒時にストランドの引き取り性が不安定となり、更に得られた組成物から成形された製品の表面状態が悪化する場合がある。
ガラス繊維の充填量は芳香族ポリサルホン樹脂100重量部に対して5〜100重量部であり、好ましくは10〜90重量部、より好ましくは30〜80重量部である。5重量部未満であると、補強効果が十分でないことがあり、100重量部を超えると成形性が悪くなることがある。
【0025】
本発明の芳香族ポリサルホン樹脂組成物においては、フッ素樹脂を含有させることもできる。これにより離型性も向上させることになり、さらなる精密成形においては、微細構造を有する成形品を破損、変形をまねくことなく、金型からの取り出しが容易になる。また、成形品とコンタクトピンとの摺動性も向上する。
【0026】
本発明で用いるフッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリトリクロロフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、等が挙げられ、その一種以上を用いることができる。中でも耐熱性の観点からポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
【0027】
フッ素樹脂の使用量は、芳香族ポリスルホン樹脂100重量部に対して、0.5〜30重量部が好ましく、より好ましくは0.8〜30重量部、さらに好ましくは1.0〜10重量部である。0.5重量部未満の場合、成形時の離型性の改善効果が乏しいことがあり、また、30重量部を越える場合、成形品の強度が低下することがあり、また経済性も低下する。
【0028】
また、本発明の芳香族ポリサルホン樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損じない範囲で、熱可塑性樹脂、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテルおよびその変性物、ポリエーテルイミド、等の一種以上を配合することができる。また、熱硬化性樹脂、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などの一種以上を含有しても良い。
【0029】
さらに、本発明の芳香族ポリサルホン樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損じない範囲で、染料、顔料などの着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤などの通常の添加剤を一種以上含有しても良い。
【0030】
本発明の芳香族ポリサルホン樹脂組成物を得るための原料成分の配合手段としては、芳香族ポリサルホン樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ガラス繊維等を、ヘンシェルミキサー、タンブラー等を用いて混合した後、押出機を用いて溶融混練することが一般的である。
【0031】
本発明の芳香族ポリサルホン樹脂組成物は、通常の方法により、様々な部品、部材に成形することができる。成形方法としては、射出成形法、圧縮成形法、押出し成形法、中空成形法、等が挙げられるが、射出成形法が好ましい。成形品としては、例えば、コネクター、ソケット、リレー部品、コイルボビン、光ピックアップ、発振子、プリント配線板、コンピュータ関連部品、等の電気・電子部品;ICトレー、ウエハーキャリヤー、等の半導体製造プロセス関連部品;VTR、テレビ、アイロン、エアコン、ステレオ、掃除機、冷蔵庫、炊飯器、照明器具、等の家庭電気製品部品;ランプリフレクター、ランプホルダー、等の照明器具部品;コンパクトディスク、レーザーディスク、スピーカー、等の音響製品部品;光ケーブル用フェルール、電話機部品、ファクシミリ部品、モデム、等の通信機器部品;分離爪、ヒータホルダー、等の複写機関連部品;インペラー、ファン、歯車、ギヤ、軸受け、モーター部品及びケース、等の機械部品;自動車用機構部品、エンジン部品、エンジンルーム内部品、電装部品、内装部品、等の自動車部品;マイクロ波調理用鍋、耐熱食器、等の調理用器具;床材、壁材などの断熱、防音用材料、梁、柱などの支持材料、屋根材、等の建築資材または土木建築用材料;航空機部品、宇宙機部品、原子炉などの放射線施設部材、海洋施設部材、洗浄用治具、光学機器部品、バルブ類、パイプ類、ノズル類、フィルター類、膜、医療用機器部品及び医療用材料、センサー類部品、サニタリー備品、スポーツ用品、レジャー用品、が挙げられる。
中でも、コネクターの一種であるIC用ソケット、特にバーンインソケットにおいては、ボールグリッドアレイ(BGA)、ピングリッドアレイ(PGA)に代表されるようなICの多ピン化に伴う形状の薄肉化が進んでおり、流動性に加え、IC搭載時の負荷に耐え得る機械物性や、テスト条件下での耐熱性等が要求される。従って、成形時の流動性に優れ、成形品が必要な機械物性、耐熱性を備える本発明の芳香族ポリサルホン樹脂組成物は、IC用ソケット、特にIC用バーンインソケットに好適に用いられる。
中でも、本発明の芳香族ポリサルホン樹脂組成物は最小肉厚が0.8mm以下、特に0.5mm以下であるような更なるファインピッチに対応した成形品、IC用ソケット、特にIC用バーンインソケットに好適に用いられる。本発明の組成物を用いることにより、薄肉部分、特に流動方向に対して直角方向に位置する薄肉部分にもガラス繊維を完全に充填せしめ、補強することができ、IC搭載時のコンタクトピンの位置ずれを防止し、信頼性の高い製品を提供できる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の物性測定は次の方法で行った。
・スパイラルフロー:射出成形機(住友重機工業(株)製、ネオマットN110/45)、ダイレクトゲート式の8mm幅、1mm厚のスパイラルフロー測定金型を用い、射出速度45mm/s、射出圧力1400kg/cm2、加熱筒温度360℃、金型温度150℃の条件で流動長を測定した。
・曲げ強度、曲げ弾性率:長さ127mm、幅12.7mm、厚さ6.4mmの試験片を用い、ASTM D790に準拠して測定した。
・引張り強度:ASTM4号ダンベルを用い、ASTM D638に準拠して測定した。
・荷重たわみ温度:長さ127mm、幅12.7mm、厚さ6.4mmの試験片を用い、ASTM D648に準拠し18.6kg/cm2の荷重で測定した。
【0033】
・薄肉部分曲げ試験:
試験片の作成:射出成形機(商品名:UH−1000日精樹脂工業(株)製)を用いて成形し、図1に示すICソケット模型を得た。
図1(a)はソケットの上面図を、図1(b)は側面図を示す。図1(a)の中央の四角形の内側は空洞であり、その他の小さい四角形の部分は網目構造を表す。この網目構造の部分の拡大を図2(a)に示す。図2(a)の大きな方の長方形の内側は段差付きの空洞であり、小さな方の長方形は、深さ2.5mmの窪みとなっている。図2(b)、(c)はこの切断面を表している。
該ICソケットを精密切断機(商品名:ISOMET、ビューラー社製)を用いて図2(a)中の斜線部分を切り出した。切出片の詳細を図3に示す。
図3(a)は切出片の上面図を、図3(b)は紙面下方向から見た図を示す。該切出片の図3(b)に示すところのt-u部分(底面より1mm)をさらに切断し、試験片とした(図2(c)(d))。
なお、図1、図2および図3中の数字は長さをあらわす(単位:mm)
【0034】
機械的強度の測定:該試験片を万能試験機(商品名:オートグラフ、島津製作所製)を用い、スパン間8mm、試験速度0.5mm/minにより曲げ試験を行い、該試験片の厚みを0.5mmとみなして計算し、成形品における薄肉部分の見かけ曲げ強度、見かけ曲げ弾性率を求めた。
【0035】
実施例1、2、比較例1
以下の各成分を表1に示す組成でヘンシェルミキサーを用いて混合後、二軸押出機(池貝鉄工(株)製PCM−30型)を用いて、シリンダー温度360℃で造粒し、樹脂組成物を得た。
・芳香族ポリサルホン樹脂:住友化学工業(株)製、商品名:スミカエクセルPES3600P(340℃、せん断速度1000s-1における溶融粘度:366Pa・s)
・液晶ポリエステル樹脂:前記構造単位(A1)、(B1)、(B2)、(C1)からなり、(A1):(B1):(B2):(C1)のモル比が60:12:8:20で、流動温度(前記定義)が287℃の液晶ポリエステル樹脂
・フッ素樹脂:三井フルオロカーボン(株)製、商品名:フルオンL169J。ガラス繊維:
平均繊維径 6μm
旭ファイバーガラス(株)製、商品名:CS03DE404
平均繊維径 10μm
旭ファイバーガラス(株)製、商品名:CS03JAPX−1
得られたペレットは上記の方法により物性評価を行った。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
Figure 0003882475
【0037】
【発明の効果】
本発明の芳香族ポリサルホン樹脂組成物は、芳香族ポリサルホン樹脂が有する優れた機械物性、耐熱性に問題を与えることなく、芳香族ポリサルホン樹脂より成形時の流動性に優れ、該組成物を用いることにより薄肉部分、特に射出成形にて成形品を作成する際、樹脂の流動方向に対して直角方向に位置する薄肉部分において優れた剛性を有する成形品を提供することができる。従って、本発明の芳香族ポリサルホン樹脂組成物は電子、電気部品等の成形品、中でもIC用ソケット、特にIC用バーンインソケットに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】薄肉部分の強度の測定に用いる試験片を作成するためのICソケット模型を示す図である。図中の数字は長さを表わす(単位:mm)。
【図2】薄肉部分の強度の測定に用いる試験片を作成するためのICソケット模型の詳細および断面を示す図である。図中の数字は長さを表わす(単位:mm)。
【図3】薄肉部分の強度の測定に用いる試験片を示す図である。図中の数字は長さを表わす(単位:mm)。

Claims (11)

  1. 340℃、せん断速度1000s-1で測定した溶融粘度が200〜1000Pa・sである芳香族ポリサルホン樹脂100重量部に対して、下記に定義される流動温度が250〜400℃である液晶ポリエステル樹脂5〜50重量部と、平均繊維径が2〜8μmであるガラス繊維5〜100重量部とを含有することを特徴とする芳香族ポリサルホン樹脂組成物。
    流動温度:内径1mm、長さ10mmのノズルを持つ毛細管レオメーターを用い、100kg/cm2の荷重下において4℃/分の昇温速度で加熱溶融体を押し出すときに溶融粘度が4800Pa・sを示す温度。
  2. 芳香族ポリサルホン樹脂の溶融粘度が300〜500Pa・sであり、液晶ポリエステル樹脂の流動温度が250〜320℃であることを特徴とする請求項1記載の芳香族ポリサルホン樹脂組成物。
  3. 芳香族ポリサルホン樹脂が下記の構造単位
    Figure 0003882475
    を含むことを特徴とする請求項1または2記載の芳香族ポリサルホン樹脂組成物。
  4. 芳香族ポリサルホン樹脂が請求項3記載の構造単位を80モル%以上含むものであることを特徴とする請求項3記載の芳香族ポリサルホン樹脂組成物。
  5. 液晶ポリエステル樹脂が、下記の構造単位(A1)、(B1)、(B2)および(C1)からなるもの、(A1)、(B1)、(B2)および(C2)からなるもの、ならびに(A1)、(B1)、(B2)、(C1)および(C2)からなるものから選ばれた一種以上であり、[(C1)+(C2)]/(A1)のモル比率が0.2〜1.0、[(B1)+(B2)]/[(C1)+(C2)]のモル比率が0.9〜1.1、(B1)/(B2)のモル比率が1〜30であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の芳香族ポリサルホン樹脂組成物。
    Figure 0003882475
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の芳香族ポリサルホン樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形品。
  7. 最小肉厚が0.8mm以下であることを特徴とする請求項6記載の成形品。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の芳香族ポリサルホン樹脂組成物を成形してなることを特徴とするIC用ソケット。
  9. 最小肉厚が0.8mm以下であることを特徴とする請求項8記載のIC用ソケット。
  10. 請求項1〜5のいずれかに記載の芳香族ポリサルホン樹脂組成物を成形してなることを特徴とするIC用バーンインソケット。
  11. 最小肉厚が0.8mm以下であることを特徴とする請求項10記載のIC用バーンインソケット。
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