JP2005074630A - 成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
ブリスターの発生が低減された成形体を与える、液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる成形体の製造方法を提供すること。
【解決手段】
雌雄一対の金型により形成されるキャビティを有し、液晶性ポリエステル樹脂組成物をキャビティに供給するためのゲートを備え、該組成物の供給方向に対し垂直方向のゲート断面の面積およびキャビティ断面の面積をそれぞれTa、Tbとしたとき、Tb/Ta>2との関係を満たす金型を用い、
液晶性ポリエステル樹脂の流動開始温度よりも30℃高い温度において、せん断速度を2.0×103sec.‐ 1としたときの溶融粘度が10〜50Pa・sである液晶性ポリエステル樹脂組成物を、
ゲート通過時のせん断速度が1.0×104sec.‐ 1以下でキャビティへ供給することを特徴とする成形体の製造方法。
【選択図】 なし
ブリスターの発生が低減された成形体を与える、液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる成形体の製造方法を提供すること。
【解決手段】
雌雄一対の金型により形成されるキャビティを有し、液晶性ポリエステル樹脂組成物をキャビティに供給するためのゲートを備え、該組成物の供給方向に対し垂直方向のゲート断面の面積およびキャビティ断面の面積をそれぞれTa、Tbとしたとき、Tb/Ta>2との関係を満たす金型を用い、
液晶性ポリエステル樹脂の流動開始温度よりも30℃高い温度において、せん断速度を2.0×103sec.‐ 1としたときの溶融粘度が10〜50Pa・sである液晶性ポリエステル樹脂組成物を、
ゲート通過時のせん断速度が1.0×104sec.‐ 1以下でキャビティへ供給することを特徴とする成形体の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金型を用いた射出成形による液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる成形体の製造方法は、プレス成形等による該成形体の製造方法に比べて単位時間当たりに生産できる成形体数が多いことから、多くの生産現場において採用されている。そして、この成形体はハンダリフロー等の高温処理が必要とされる電気・電子部品に使用されているが、該成形体表面にブリスターと呼ばれる細かな膨れが発生する場合があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ブリスターの発生が低減された成形体を与える、液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる成形体の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記した様な問題を解決し得る成形体の製造方法について鋭意検討した結果、液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる成形体を製造する際に、ある範囲の溶融粘度を有する該樹脂組成物を金型のゲートに充填する際のせん断速度を、1.0×104sec.‐ 1以下とすることにより、ブリスターの発生が低減された成形体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、
[1]雌雄一対の金型により形成されるキャビティを有し、液晶性ポリエステル樹脂組成物をキャビティに供給するためのゲートを備え、該組成物の供給方向に対し垂直方向のゲート断面の面積およびキャビティ断面の面積をそれぞれTa、Tbとしたとき、Tb/Ta≧2との関係を満たす金型を用い、
液晶性ポリエステル樹脂の流動開始温度よりも30℃高い温度において、せん断速度を2.0×103sec.‐ 1としたときの溶融粘度が10〜50Pa・sである液晶性ポリエステル樹脂組成物を、
ゲート通過時のせん断速度が1.0×104sec.‐ 1以下でキャビティへ供給することを特徴とする成形体の製造方法を提供するものであり、
[2]液晶ポリエステル樹脂組成物の供給方向のキャビティ断面が凸型形状部を含み、該凸型形状部の幅が不連続に変化する箇所を少なくとも一つ有し、該箇所をはさんだ、該組成物の供給方向に対し垂直方向のキャビティ断面の面積を液晶性ポリエステル樹脂組成物の供給方向の順にそれぞれTx、Tyとしたとき、Ty/Tx≧2の関係を満たす上記[1]に記載の成形体の製造方法を提供するものであり、
[3]ゲート通過時のせん断速度が、7.0×102sec.‐ 1〜1.0×104sec.‐ 1の範囲内であることを特徴とする上記[1]に記載の成形体の製造方法を提供するものであり、
[4]ゲートが、フィルムゲートまたはピンゲートのいずれかであることを特徴とする上記[1]に記載の成形体の製造方法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、金型を用いた液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる成形体の製造方法に関するものであるが、まず最初に本発明に使用する金型について説明する。
本発明に使用する金型は雌雄一対から構成されるものである。金型の構成を雌雄一対とすることにより、成形後、成形体を金型から取り出すことができる。この雌雄一対の金型により金型内部にキャビティが形成される。
また本発明に使用する金型は、ゲートを備えたものである。
ここでゲートとは、芳香族液晶性ポリエステル樹脂組成物を外部からキャビティへ導入するための空孔部分を意味するものである。本発明におけるゲートの具体的形状としては、例えば、フィルムゲート、ピンゲート等を挙げることができる。ゲートの形状はフィルムゲートであればさらに好ましい。
またキャビティとは、金型内部に設けられた、芳香族液晶性ポリエステル樹脂組成物を充填するための空孔を意味するものである。本発明におけるキャビティの形状は成形体を得るためのものであり、例えば、電気・電子部品等の成形体を形作るための形状を有するもの等が挙げられる。
【0007】
本発明に使用する金型は、芳香族液晶性ポリエステル樹脂組成物の供給方向に対して垂直方向のゲート断面の面積およびキャビティ断面の面積をそれぞれTa、Tbとしたとき、Tb/Ta≧2との関係を満たすことが必要である。
Tb/Taの値が2未満の場合には、本発明におけるブリスター低減効果が低くなる傾向がある。
【0008】
本発明に使用する金型における、芳香族液晶性ポリエステル樹脂組成物の供給方向のキャビティ断面の形状としては、例えば、凸型形状部を含み、かつ、該凸型形状部の幅が不連続に変化する箇所を少なくとも一つ有するものが好ましい。なお、上記の幅とは、芳香族液晶性ポリエステル樹脂組成物の供給方向に対して垂直方向の幅のことを意味する。
凸型形状部の幅が不連続に変化する、とは、該凸型形状部の外郭線が、鋭角、地直角または鈍角のいずれかの角度の折れ曲がり部を有することを意味する。この角度は通常は45〜135度の範囲であるが、80〜100度の範囲内であれば好ましく、85〜95度の範囲内であればより好ましい。
【0009】
芳香族液晶性ポリエステル樹脂組成物の供給方向に対し垂直方向のキャビティ断面の面積を、上記不連続に変化する箇所をはさんで、芳香族液晶性ポリエステル樹脂組成物の供給方向の順に、それぞれTx、Tyとしたとき、Ty/Tx≧2の関係を満たすことが好ましい。
Ty/Txの値が2未満の場合には、本発明におけるブリスター低減効果が低くなる傾向がある。
【0010】
本発明は、上記に説明した雌雄一対の金型を用いて液晶性ポリエステル樹脂組成物を成形する製造方法に関するものであるが、かかる製造方法としては、例えば、射出成形による製造方法が挙げられる。
液晶性ポリエステル樹脂組成物を成形する際には、ゲートから液晶性ポリエステル樹脂組成物をキャビティに供給する必要があるが、本発明においては、ゲート通過時における液晶性ポリエステル樹脂組成物のせん断速度が、1.0×104sec.‐ 1以下であり、かつ該樹脂組成物の溶融粘度が、10〜50Pa・sの範囲にあることが必要である。
せん断速度については、7.0×102sec.‐ 1〜1.0×104sec.‐ 1の範囲であれば好ましく、1.0×103sec.‐ 1〜1.0×104sec.‐ 1の範囲であればさらに好ましい。
せん断速度が1.0×104sec.‐ 1よりも大きい場合には、にすると成形体のブリスター発生が顕著となる。
【0011】
また液晶性ポリエステル樹脂組成物の溶融粘度については、該樹脂組成物に含まれる液晶性ポリエステル樹脂の流動開始温度より30℃高い温度において、せん断速度を2.0×103sec.‐ 1とした際の溶融粘度が、上記の通り10〜50Pa・sの範囲にあることが必要である。溶融粘度が10Pa・sより低い場合には、本発明により得られた成形体にブリスターが発生し易くなり、50Pa・sより高い場合には、成形が困難となる。
【0012】
液晶性ポリエステル樹脂組成物を成形する際の該樹脂組成物の温度は、通常は、液晶性ポリエステル樹脂組成物に含まれる液晶性ポリエステル樹脂の流動開始温度〜400℃の範囲である。
ここで流動開始温度とは、内径1mm、長さ10mmのノズルを持つ毛細管レオメータを用い、100kg/cm2の荷重下において、4℃/分の昇温速度で加熱溶融体をノズルから出すときに、溶融粘度が48,000ポイズを示す温度をいう。
【0013】
本発明で使用する上記の液晶性ポリエステル樹脂組成物は液晶性ポリエステル樹脂と充填材を含むものであるが、まず液晶性ポリエステル樹脂について説明する。
本発明で使用する液晶性ポリエステル樹脂はサーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれる、溶融状態で異方性を示すポリエステルである。
この様な液晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、
(イ)芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位からなるもの
(ロ)芳香族ジオールに由来する構造単位および芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位からなるもの
(ハ)芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位、芳香族ジオールに由来する構造単位および芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位からなるもの
等が挙げられ、400℃以下の温度で異方性溶融体を形成するものである。
なお、上記の芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオールの代わりにそれらのエステル形成性誘導体を使用してもよい。
【0014】
該液晶性ポリエステル樹脂の繰り返し構造単位としては、例えば、下記のものを例示することができる。
(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
【0015】
(2)芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
【0016】
(3)芳香族ジオールに由来する繰り返し構造単位:
【0017】
【0018】
上記の(1)〜(3)の繰り返し構造単位は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。
該アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、該アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましい。
【0019】
耐熱性、機械的特性、加工性のバランスから、前記A1式で表される繰り返し構造単位を少なくとも30モル%含む液晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
具体的には、この様な液晶性ポリエステル樹脂としては、下記(a)〜(f)等が挙げられる。
(a):前記(A1)、(B1)および(C1)からなる液晶性ポリエステル樹脂または、(A1)、(B1)、(B2)および(C1)からなる液晶性ポリエステル樹脂
(b):上記(A1)および(A2)からなる液晶性ポリエステル樹脂
(c):上記(a)において、(A1)の一部を(A2)で置き換えた液晶性ポリエステル樹脂
(d):上記(a)において、(B1)の一部を(B3)で置き換えた液晶性ポリエステル樹脂
(e):上記(a)において、(C1)の一部を(C3)で置き換えた液晶性ポリエステル樹脂
(f):上記(b)において、(B1)と(C1)の構造単位を加えた液晶性ポリエステル樹脂
【0020】
上記(a)、(b)等の液晶性ポリエステル樹脂の製造方法については、例えば、特公昭47−47870号公報、特公昭63−3888号公報等に記載されている。
また、本発明で用いる液晶性ポリエステル樹脂としては、それぞれ前記の構造単位(A1)、(C1)、(B1)および(B2)からなり、それぞれ(C1)/(A1)のモル比率が0.2以上1.0以下、[(B1)+(B2)]/(C1)のモル比率が0.9以上1.1以下、(B2)/(B1)のモル比率が0より大きく1以下であるものが好ましい。
【0021】
本発明に使用する液晶性ポリエステル樹脂は、流動開始温度が270℃〜400℃の範囲にあるものが好ましく、280〜380℃の範囲であればより好ましい。液晶性ポリエステル樹脂の流動開始温度が270℃未満である場合、耐熱性が不十分となる傾向がある。また、流動開始温度が400℃より大きい場合、液晶性ポリエステル樹脂の熱分解により成形加工が困難となり良好な成形体を得ることができなくなる傾向がある。
【0022】
本発明に使用する芳香族液晶性ポリエステル樹脂組成物は、上記の様な液晶性ポリエステル樹脂に充填材等を配合して溶融混練することにより得ることができる。
【0023】
液晶性ポリエステル樹脂に配合する充填材としては、例えば、繊維状充填材、板状充填材等を挙げることができる。繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、ホウ酸アルミニウムウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは、単独でも、2種類以上を同時に使用してもよい。繊維状の充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、ホウ酸アルミニウムウィスカ、チタン酸カリウムウィスカが好ましい。
【0024】
板状充填材としては、例えば、タルク、マイカ、カオリンクレー、ドロマイト等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。板状充填材は2種類以上を同時に使用してもよい。板状充填材としては、タルク、マイカが好ましい。
繊維状充填材、板状充填材等は併用することができる。
【0025】
なお、本発明で用いられる液晶性ポリエステル樹脂組成物に対して、本発明の目的を損なわない範囲でガラスビーズなどの充填材、フッ素樹脂、金属石鹸類などの離型改良剤、染料、顔料などの着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤等の添加剤を1種以上添加してもよい。また、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤等を1種以上添加してもよい。
【0026】
また、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテルおよびその変性物、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂等を添加してもよい。熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂は、1種以上を使用することができる。
【0027】
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物を得るための方法は特に限定されず、例えば、液晶性ポリエステル樹脂、繊維状および/または板状の無機充填材、必要に応じて上記の添加剤、樹脂類などの各成分を各々別々に溶融混合機に供給する方法、これらの原料成分を乳鉢、ヘンシェルミキサー、ボールミル、リボンブレンダーなどを利用して予備混合してから溶融混合機に供給する方法などを挙げることができる。
【0028】
上記の液晶性ポリエステル樹脂組成物を前記の条件に従い成形することによりブリスターの発生が低減された液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる成形体を得ることができる。
本発明の製造方法により得られる成形体としては、例えば、コネクター、ソケット、リレー部品、コイルボビン、光ピックアップ、発振子、プリント配線板、コンピュータ関連部品等の電気・電子部品;ICトレー、ウエハーキャリヤー等の半導体製造プロセス関連部品;VTR、テレビ、アイロン、エアコン、ステレオ、掃除機、冷蔵庫、炊飯器、照明器具、等の家庭電気製品部品;ランプリフレクター、ランプホルダー等の照明器具部品;コンパクトディスク、レーザーディスク、スピーカー等の音響製品部品;光ケーブル用フェルール、電話機部品、ファクシミリ部品、モデム等の通信機器部品;分離爪、ヒータホルダー、等の複写機・印刷機関連部品;インペラー、ファン歯車、ギヤ、軸受け、モーター部品及びケース等の機械部品;自動車用機構部品、エンジン部品、エンジンルーム内部品、電装部品、内装部品等の自動車部品;マイクロ波調理用鍋、耐熱食器、等の調理用器具;床材、壁材などの断熱、防音用材料、梁、柱などの支持材料、屋根材等の建築資材、または土木建築用材料;航空機、宇宙機、宇宙機器用部品;原子炉等の放射線施設部材、海洋施設部材、洗浄用治具、光学機器部品、バルブ類、パイプ類、ノズル類、フィルター類、膜、医療用機器部品及び医療用材料、センサー類部品、サニタリー備品、スポーツ用品、レジャー用品等を挙げることができる。
【0029】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明が実施例により限定されるものでないこと言うまでもない。
【0030】
【実施例】
(1)溶融粘度
内径0.5mm、長さ10mmのノズルを持つ毛細管レオメータ(東洋精機製作所製キャピログラフ)を用い、液晶性ポリエステル樹脂の流動開始温度より30℃高い温度に温度設定後、液晶性ポリエステル樹脂組成物を装置に充填し、せん断速度2.0×103sec.‐ 1における溶融粘度を測定した。
(2)はんだ耐熱試験
射出成形により得られたミニダンベル成形体をはんだ浴槽に60秒間浸漬させ、ブリスターが発生しない最高温度をはんだ耐熱温度とした。
(3)金型
フィルムゲート断面の縦横の長さはそれぞれが0.59mm、10mmであり、その断面の面積がTaである。また、キャビティ断面の縦横の長さはそれぞれが1.2mm、10mmであり、その断面の面積がTbである。そしてキャビティがミニダンベル(JIS K71131(1/2) 厚さ1.2mm)の成形用に設けられた金型を用いた。なお、ここでいう断面とは液晶性ポリエステル樹脂組成物の供給方向に対して垂直方向の断面をいう。
【0031】
実施例1
液晶性ポリエステル樹脂として、パラヒドロキシ安息香酸:4,4’−ジヒドロキシジフェニル:テレフタル酸:イソフタル酸のモル比が60:20:15:5であり、流動開始温度が328℃であるLCP1と、パラヒドロキシ安息香酸:4,4’−ジヒドロキシジフェニル:テレフタル酸:イソフタル酸のモル比が60:20:12:8であり、流動開始温度が290℃であるLCP2とを55/45wt%の比率で混合した樹脂100重量部に対し、チョップドガラス繊維部(旭ファイバーガラス株式会社製 CS03JAPx‐1)を34重量部、タルクを20重量部(日本タルク株式会社製 X−50)をヘンシェルミキサーにてブレンド後、2軸押出機(池貝鉄工株式会社 PCM−30)を用いて、シリンダー温度340℃で造粒し、液晶性ポリエステル樹脂組成物を得た。その後、得られた液晶性ポリエステル樹脂組成物を射出成形機(日精樹脂工業株式会社PS40E5ASE)を用いて樹脂温度350℃にてミニダンベル(JIS K71131(1/2) 幅、10mm、厚さ1.2mm)の射出成形を表1のとおり行い、はんだ耐熱試験を実施した。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる成形体の製造方法により、ブリスターの発生が低減された成形体を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金型を用いた射出成形による液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる成形体の製造方法は、プレス成形等による該成形体の製造方法に比べて単位時間当たりに生産できる成形体数が多いことから、多くの生産現場において採用されている。そして、この成形体はハンダリフロー等の高温処理が必要とされる電気・電子部品に使用されているが、該成形体表面にブリスターと呼ばれる細かな膨れが発生する場合があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ブリスターの発生が低減された成形体を与える、液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる成形体の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記した様な問題を解決し得る成形体の製造方法について鋭意検討した結果、液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる成形体を製造する際に、ある範囲の溶融粘度を有する該樹脂組成物を金型のゲートに充填する際のせん断速度を、1.0×104sec.‐ 1以下とすることにより、ブリスターの発生が低減された成形体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、
[1]雌雄一対の金型により形成されるキャビティを有し、液晶性ポリエステル樹脂組成物をキャビティに供給するためのゲートを備え、該組成物の供給方向に対し垂直方向のゲート断面の面積およびキャビティ断面の面積をそれぞれTa、Tbとしたとき、Tb/Ta≧2との関係を満たす金型を用い、
液晶性ポリエステル樹脂の流動開始温度よりも30℃高い温度において、せん断速度を2.0×103sec.‐ 1としたときの溶融粘度が10〜50Pa・sである液晶性ポリエステル樹脂組成物を、
ゲート通過時のせん断速度が1.0×104sec.‐ 1以下でキャビティへ供給することを特徴とする成形体の製造方法を提供するものであり、
[2]液晶ポリエステル樹脂組成物の供給方向のキャビティ断面が凸型形状部を含み、該凸型形状部の幅が不連続に変化する箇所を少なくとも一つ有し、該箇所をはさんだ、該組成物の供給方向に対し垂直方向のキャビティ断面の面積を液晶性ポリエステル樹脂組成物の供給方向の順にそれぞれTx、Tyとしたとき、Ty/Tx≧2の関係を満たす上記[1]に記載の成形体の製造方法を提供するものであり、
[3]ゲート通過時のせん断速度が、7.0×102sec.‐ 1〜1.0×104sec.‐ 1の範囲内であることを特徴とする上記[1]に記載の成形体の製造方法を提供するものであり、
[4]ゲートが、フィルムゲートまたはピンゲートのいずれかであることを特徴とする上記[1]に記載の成形体の製造方法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、金型を用いた液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる成形体の製造方法に関するものであるが、まず最初に本発明に使用する金型について説明する。
本発明に使用する金型は雌雄一対から構成されるものである。金型の構成を雌雄一対とすることにより、成形後、成形体を金型から取り出すことができる。この雌雄一対の金型により金型内部にキャビティが形成される。
また本発明に使用する金型は、ゲートを備えたものである。
ここでゲートとは、芳香族液晶性ポリエステル樹脂組成物を外部からキャビティへ導入するための空孔部分を意味するものである。本発明におけるゲートの具体的形状としては、例えば、フィルムゲート、ピンゲート等を挙げることができる。ゲートの形状はフィルムゲートであればさらに好ましい。
またキャビティとは、金型内部に設けられた、芳香族液晶性ポリエステル樹脂組成物を充填するための空孔を意味するものである。本発明におけるキャビティの形状は成形体を得るためのものであり、例えば、電気・電子部品等の成形体を形作るための形状を有するもの等が挙げられる。
【0007】
本発明に使用する金型は、芳香族液晶性ポリエステル樹脂組成物の供給方向に対して垂直方向のゲート断面の面積およびキャビティ断面の面積をそれぞれTa、Tbとしたとき、Tb/Ta≧2との関係を満たすことが必要である。
Tb/Taの値が2未満の場合には、本発明におけるブリスター低減効果が低くなる傾向がある。
【0008】
本発明に使用する金型における、芳香族液晶性ポリエステル樹脂組成物の供給方向のキャビティ断面の形状としては、例えば、凸型形状部を含み、かつ、該凸型形状部の幅が不連続に変化する箇所を少なくとも一つ有するものが好ましい。なお、上記の幅とは、芳香族液晶性ポリエステル樹脂組成物の供給方向に対して垂直方向の幅のことを意味する。
凸型形状部の幅が不連続に変化する、とは、該凸型形状部の外郭線が、鋭角、地直角または鈍角のいずれかの角度の折れ曲がり部を有することを意味する。この角度は通常は45〜135度の範囲であるが、80〜100度の範囲内であれば好ましく、85〜95度の範囲内であればより好ましい。
【0009】
芳香族液晶性ポリエステル樹脂組成物の供給方向に対し垂直方向のキャビティ断面の面積を、上記不連続に変化する箇所をはさんで、芳香族液晶性ポリエステル樹脂組成物の供給方向の順に、それぞれTx、Tyとしたとき、Ty/Tx≧2の関係を満たすことが好ましい。
Ty/Txの値が2未満の場合には、本発明におけるブリスター低減効果が低くなる傾向がある。
【0010】
本発明は、上記に説明した雌雄一対の金型を用いて液晶性ポリエステル樹脂組成物を成形する製造方法に関するものであるが、かかる製造方法としては、例えば、射出成形による製造方法が挙げられる。
液晶性ポリエステル樹脂組成物を成形する際には、ゲートから液晶性ポリエステル樹脂組成物をキャビティに供給する必要があるが、本発明においては、ゲート通過時における液晶性ポリエステル樹脂組成物のせん断速度が、1.0×104sec.‐ 1以下であり、かつ該樹脂組成物の溶融粘度が、10〜50Pa・sの範囲にあることが必要である。
せん断速度については、7.0×102sec.‐ 1〜1.0×104sec.‐ 1の範囲であれば好ましく、1.0×103sec.‐ 1〜1.0×104sec.‐ 1の範囲であればさらに好ましい。
せん断速度が1.0×104sec.‐ 1よりも大きい場合には、にすると成形体のブリスター発生が顕著となる。
【0011】
また液晶性ポリエステル樹脂組成物の溶融粘度については、該樹脂組成物に含まれる液晶性ポリエステル樹脂の流動開始温度より30℃高い温度において、せん断速度を2.0×103sec.‐ 1とした際の溶融粘度が、上記の通り10〜50Pa・sの範囲にあることが必要である。溶融粘度が10Pa・sより低い場合には、本発明により得られた成形体にブリスターが発生し易くなり、50Pa・sより高い場合には、成形が困難となる。
【0012】
液晶性ポリエステル樹脂組成物を成形する際の該樹脂組成物の温度は、通常は、液晶性ポリエステル樹脂組成物に含まれる液晶性ポリエステル樹脂の流動開始温度〜400℃の範囲である。
ここで流動開始温度とは、内径1mm、長さ10mmのノズルを持つ毛細管レオメータを用い、100kg/cm2の荷重下において、4℃/分の昇温速度で加熱溶融体をノズルから出すときに、溶融粘度が48,000ポイズを示す温度をいう。
【0013】
本発明で使用する上記の液晶性ポリエステル樹脂組成物は液晶性ポリエステル樹脂と充填材を含むものであるが、まず液晶性ポリエステル樹脂について説明する。
本発明で使用する液晶性ポリエステル樹脂はサーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれる、溶融状態で異方性を示すポリエステルである。
この様な液晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、
(イ)芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位からなるもの
(ロ)芳香族ジオールに由来する構造単位および芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位からなるもの
(ハ)芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位、芳香族ジオールに由来する構造単位および芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位からなるもの
等が挙げられ、400℃以下の温度で異方性溶融体を形成するものである。
なお、上記の芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオールの代わりにそれらのエステル形成性誘導体を使用してもよい。
【0014】
該液晶性ポリエステル樹脂の繰り返し構造単位としては、例えば、下記のものを例示することができる。
(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
【0015】
(2)芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
【0016】
(3)芳香族ジオールに由来する繰り返し構造単位:
【0017】
【0018】
上記の(1)〜(3)の繰り返し構造単位は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。
該アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、該アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましい。
【0019】
耐熱性、機械的特性、加工性のバランスから、前記A1式で表される繰り返し構造単位を少なくとも30モル%含む液晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
具体的には、この様な液晶性ポリエステル樹脂としては、下記(a)〜(f)等が挙げられる。
(a):前記(A1)、(B1)および(C1)からなる液晶性ポリエステル樹脂または、(A1)、(B1)、(B2)および(C1)からなる液晶性ポリエステル樹脂
(b):上記(A1)および(A2)からなる液晶性ポリエステル樹脂
(c):上記(a)において、(A1)の一部を(A2)で置き換えた液晶性ポリエステル樹脂
(d):上記(a)において、(B1)の一部を(B3)で置き換えた液晶性ポリエステル樹脂
(e):上記(a)において、(C1)の一部を(C3)で置き換えた液晶性ポリエステル樹脂
(f):上記(b)において、(B1)と(C1)の構造単位を加えた液晶性ポリエステル樹脂
【0020】
上記(a)、(b)等の液晶性ポリエステル樹脂の製造方法については、例えば、特公昭47−47870号公報、特公昭63−3888号公報等に記載されている。
また、本発明で用いる液晶性ポリエステル樹脂としては、それぞれ前記の構造単位(A1)、(C1)、(B1)および(B2)からなり、それぞれ(C1)/(A1)のモル比率が0.2以上1.0以下、[(B1)+(B2)]/(C1)のモル比率が0.9以上1.1以下、(B2)/(B1)のモル比率が0より大きく1以下であるものが好ましい。
【0021】
本発明に使用する液晶性ポリエステル樹脂は、流動開始温度が270℃〜400℃の範囲にあるものが好ましく、280〜380℃の範囲であればより好ましい。液晶性ポリエステル樹脂の流動開始温度が270℃未満である場合、耐熱性が不十分となる傾向がある。また、流動開始温度が400℃より大きい場合、液晶性ポリエステル樹脂の熱分解により成形加工が困難となり良好な成形体を得ることができなくなる傾向がある。
【0022】
本発明に使用する芳香族液晶性ポリエステル樹脂組成物は、上記の様な液晶性ポリエステル樹脂に充填材等を配合して溶融混練することにより得ることができる。
【0023】
液晶性ポリエステル樹脂に配合する充填材としては、例えば、繊維状充填材、板状充填材等を挙げることができる。繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、ホウ酸アルミニウムウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは、単独でも、2種類以上を同時に使用してもよい。繊維状の充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、ホウ酸アルミニウムウィスカ、チタン酸カリウムウィスカが好ましい。
【0024】
板状充填材としては、例えば、タルク、マイカ、カオリンクレー、ドロマイト等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。板状充填材は2種類以上を同時に使用してもよい。板状充填材としては、タルク、マイカが好ましい。
繊維状充填材、板状充填材等は併用することができる。
【0025】
なお、本発明で用いられる液晶性ポリエステル樹脂組成物に対して、本発明の目的を損なわない範囲でガラスビーズなどの充填材、フッ素樹脂、金属石鹸類などの離型改良剤、染料、顔料などの着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤等の添加剤を1種以上添加してもよい。また、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤等を1種以上添加してもよい。
【0026】
また、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテルおよびその変性物、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂等を添加してもよい。熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂は、1種以上を使用することができる。
【0027】
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物を得るための方法は特に限定されず、例えば、液晶性ポリエステル樹脂、繊維状および/または板状の無機充填材、必要に応じて上記の添加剤、樹脂類などの各成分を各々別々に溶融混合機に供給する方法、これらの原料成分を乳鉢、ヘンシェルミキサー、ボールミル、リボンブレンダーなどを利用して予備混合してから溶融混合機に供給する方法などを挙げることができる。
【0028】
上記の液晶性ポリエステル樹脂組成物を前記の条件に従い成形することによりブリスターの発生が低減された液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる成形体を得ることができる。
本発明の製造方法により得られる成形体としては、例えば、コネクター、ソケット、リレー部品、コイルボビン、光ピックアップ、発振子、プリント配線板、コンピュータ関連部品等の電気・電子部品;ICトレー、ウエハーキャリヤー等の半導体製造プロセス関連部品;VTR、テレビ、アイロン、エアコン、ステレオ、掃除機、冷蔵庫、炊飯器、照明器具、等の家庭電気製品部品;ランプリフレクター、ランプホルダー等の照明器具部品;コンパクトディスク、レーザーディスク、スピーカー等の音響製品部品;光ケーブル用フェルール、電話機部品、ファクシミリ部品、モデム等の通信機器部品;分離爪、ヒータホルダー、等の複写機・印刷機関連部品;インペラー、ファン歯車、ギヤ、軸受け、モーター部品及びケース等の機械部品;自動車用機構部品、エンジン部品、エンジンルーム内部品、電装部品、内装部品等の自動車部品;マイクロ波調理用鍋、耐熱食器、等の調理用器具;床材、壁材などの断熱、防音用材料、梁、柱などの支持材料、屋根材等の建築資材、または土木建築用材料;航空機、宇宙機、宇宙機器用部品;原子炉等の放射線施設部材、海洋施設部材、洗浄用治具、光学機器部品、バルブ類、パイプ類、ノズル類、フィルター類、膜、医療用機器部品及び医療用材料、センサー類部品、サニタリー備品、スポーツ用品、レジャー用品等を挙げることができる。
【0029】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明が実施例により限定されるものでないこと言うまでもない。
【0030】
【実施例】
(1)溶融粘度
内径0.5mm、長さ10mmのノズルを持つ毛細管レオメータ(東洋精機製作所製キャピログラフ)を用い、液晶性ポリエステル樹脂の流動開始温度より30℃高い温度に温度設定後、液晶性ポリエステル樹脂組成物を装置に充填し、せん断速度2.0×103sec.‐ 1における溶融粘度を測定した。
(2)はんだ耐熱試験
射出成形により得られたミニダンベル成形体をはんだ浴槽に60秒間浸漬させ、ブリスターが発生しない最高温度をはんだ耐熱温度とした。
(3)金型
フィルムゲート断面の縦横の長さはそれぞれが0.59mm、10mmであり、その断面の面積がTaである。また、キャビティ断面の縦横の長さはそれぞれが1.2mm、10mmであり、その断面の面積がTbである。そしてキャビティがミニダンベル(JIS K71131(1/2) 厚さ1.2mm)の成形用に設けられた金型を用いた。なお、ここでいう断面とは液晶性ポリエステル樹脂組成物の供給方向に対して垂直方向の断面をいう。
【0031】
実施例1
液晶性ポリエステル樹脂として、パラヒドロキシ安息香酸:4,4’−ジヒドロキシジフェニル:テレフタル酸:イソフタル酸のモル比が60:20:15:5であり、流動開始温度が328℃であるLCP1と、パラヒドロキシ安息香酸:4,4’−ジヒドロキシジフェニル:テレフタル酸:イソフタル酸のモル比が60:20:12:8であり、流動開始温度が290℃であるLCP2とを55/45wt%の比率で混合した樹脂100重量部に対し、チョップドガラス繊維部(旭ファイバーガラス株式会社製 CS03JAPx‐1)を34重量部、タルクを20重量部(日本タルク株式会社製 X−50)をヘンシェルミキサーにてブレンド後、2軸押出機(池貝鉄工株式会社 PCM−30)を用いて、シリンダー温度340℃で造粒し、液晶性ポリエステル樹脂組成物を得た。その後、得られた液晶性ポリエステル樹脂組成物を射出成形機(日精樹脂工業株式会社PS40E5ASE)を用いて樹脂温度350℃にてミニダンベル(JIS K71131(1/2) 幅、10mm、厚さ1.2mm)の射出成形を表1のとおり行い、はんだ耐熱試験を実施した。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる成形体の製造方法により、ブリスターの発生が低減された成形体を得ることができる。
Claims (4)
- 雌雄一対の金型により形成されるキャビティを有し、液晶性ポリエステル樹脂組成物をキャビティに供給するためのゲートを備え、該組成物の供給方向に対し垂直方向のゲート断面の面積およびキャビティ断面の面積をそれぞれTa、Tbとしたとき、Tb/Ta≧2との関係を満たす金型を用い、
液晶性ポリエステル樹脂の流動開始温度よりも30℃高い温度において、せん断速度を2.0×103sec.‐ 1としたときの溶融粘度が10〜50Pa・sである液晶性ポリエステル樹脂組成物を、
ゲート通過時のせん断速度が1.0×104sec.‐ 1以下でキャビティへ供給することを特徴とする成形体の製造方法。 - 液晶ポリエステル樹脂組成物の供給方向のキャビティ断面が凸型形状部を含み、該凸型形状部の幅が不連続に変化する箇所を少なくとも一つ有し、該箇所をはさんだ、該組成物の供給方向に対し垂直方向のキャビティ断面の面積を液晶性ポリエステル樹脂組成物の供給方向の順にそれぞれTx、Tyとしたとき、Ty/Tx≧2の関係を満たす請求項1に記載の成形体の製造方法。
- ゲート通過時のせん断速度が、7.0×102sec.‐ 1〜1.0×104sec.‐ 1の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の成形体の製造方法。
- ゲートが、フィルムゲートまたはピンゲートのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の成形体の製造方法。
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