JP2001279066A - 液晶ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

液晶ポリエステル樹脂組成物

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JP2001279066A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】力学的強度、および耐熱性に優れるという液晶
ポリエステルの特徴を維持し、かつ漆黒度に優れる液晶
ポリエステル樹脂組成物、およびそれを用いた成形体を
提供する 【解決手段】(1)下記の方法で求めた流動開始温度が
260℃〜400℃である液晶ポリエステル100重量
部に対して、平均粒子径が5〜20nmであり、かつD
BP吸収量が60〜200cm3/100gであるカー
ボンブラック0.1〜10重量部と、繊維状および/ま
たは板状の無機充填材を0〜180重量部を配合してな
る液晶ポリエステル樹脂組成物。流動開始温度:4℃/
分の昇温速度で加熱された樹脂を荷重100Kgf/c
2(9.81MPa)のもとで、内径1mm、長さ1
0mmのノズルから押出したときに、溶融粘度が480
00ポイズを示す温度。 (2)上記(1)の液晶ポリエステル樹脂組成物を用い
てなる成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形品の表面外観
の漆黒度に優れる液晶ポリエステル樹脂組成物、および
それを用いた成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶ポリエステルは、分子が剛直なため
溶融状態でも絡み合いを起こさず液晶状態を有するポリ
ドメインを形成し、成形時の剪断により分子鎖が流れ方
向に著しく配向する挙動を示し、一般に溶融液晶型(サ
ーモトロピック液晶)ポリマーと呼ばれている。液晶ポ
リエステルは、この特異な挙動のため溶融流動性がきわ
めて優れ、分子構造によっては高い荷重たわみ温度、連
続使用温度を有し、260℃以上の溶融ハンダに浸漬し
ても変形や発泡が生じない。このため液晶ポリエステル
に、ガラス繊維に代表される繊維状補強材やタルクに代
表される無機充填材などを充填した樹脂組成物は、薄肉
部あるいは複雑な形状の電気・電子部品に好適な材料と
なり、たとえばリレー部品、コイルボビン、コネクタ
ー、ボリューム部品、コンミテーターやセパレーターな
どのモーター部品、あるいはコイル、水晶振動子、IC
チップなどの素子等の封止などに使用されている。しか
しながら、成形品表面に形成される配向層の微妙な反射
率の違いから、一般のエンプラのように均一な色目にす
ることが難しく、とくに黒色の場合、配向層間の乱反射
により色調が白みを帯び、灰色がかって見えてしまい、
漆黒度が向上しない問題があった。このため、液晶ポリ
エステルを外観部品に使用する場合、とくに黒色の場合
は、他の部材との漆黒度が異なるという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の問題
点を解決して、力学的強度、および耐熱性に優れるとい
う液晶ポリエステルの特徴を維持し、かつ漆黒度に優れ
る液晶ポリエステル樹脂組成物、およびそれを用いた成
形体を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決するために鋭意検討した結果、特定の流動開始
温度の液晶ポリエステルに特定の粒子径、かつDBP吸
収量をもつカーボンブラックを配合することにより、上
記目的を達成し得ることを見出し本発明に至った。すな
わち、本発明は、(1)下記の方法で求めた流動開始温
度が260℃〜400℃である液晶ポリエステル100
重量部に対して、平均粒子径が5〜20nmであり、か
つDBP吸収量が60〜200cm3/100gである
カーボンブラック0.1〜10重量部と、繊維状および
/または板状の無機充填材を0〜180重量部を配合し
てなる液晶ポリエステル樹脂組成物に係るものである。
流動開始温度:4℃/分の昇温速度で加熱された樹脂を
荷重100Kgf/cm2(9.81MPa)のもと
で、内径1mm、長さ10mmのノズルから押出したと
きに、溶融粘度が48000ポイズを示す温度。また本
発明は、(2)上記(1)の液晶ポリエステル樹脂組成
物を用いてなる成形体に係るものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で使用される液晶ポリエス
テルは、前記の方法で求められる流動温度が260〜4
00℃である液晶ポリエステルである。流動温度が26
0℃未満である場合、電気・電子部品として使用する際
の耐熱性、特にハンダ耐熱性が不十分となり好ましくな
い。また、流動温度が400℃より大きい場合、加工温
度が高くなるため成形加工が困難となり良好な成形品を
得ることができなくなるため好ましくない。
【0006】本発明で使用される液晶ポリエステルは、
サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステル
であり、(1)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールと
芳香族ヒドロキシカルボン酸との組み合わせからなるも
の、(2)異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸からなる
もの、(3)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの
組み合わせからなるもの、(4)ポリエチレンテレフタ
レートなどのポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン
酸を反応させたもの、等が挙げられ、400℃以下の温
度で異方性溶融体を形成するものである。なお、これら
の芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオールおよび芳香族ヒ
ドロキシカルボン酸の代わりにそれらのエステル形成性
誘導体が使用されることもある。
【0007】カルボン酸のエステル形成性誘導体として
は、例えば、カルボキシル基が酸塩化物、酸無水物など
の反応活性が高くポリエステルを生成する反応を促進す
るような誘導体となっているもの、カルボキシル基がア
ルコール類やエチレングリコールなどとのエステルであ
って、エステル交換反応によりポリエステルを生成する
ような誘導体となっているものが挙げられる。また、水
酸基のエステル形成性誘導体としては、例えば、水酸基
がカルボン酸類とのエステルであって、エステル交換反
応によりポリエステルを生成するような誘導体となって
いるものを例示することができる。
【0008】また、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオー
ルおよび芳香族ヒドロキシカルボン酸は、エステル形成
性を阻害しないかぎりにおいて、ハロゲン元素、メチル
基やエチル基、アリル基などの官能基で置換されていて
もよい。。
【0009】該液晶ポリエステルの繰り返し構造単位と
しては、下記のものを例示することができるが、これら
に限定されるものではない。芳香族ヒドロキシカルボン
酸に由来する繰り返し構造単位:
【0010】
【化2】 (式中、X1はハロゲン原子またはアルキル基を示
す。)芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し構造単
位:
【化3】 (式中、X2はハロゲン原子、アルキル基またはアリー
ル基を示す。)
【0011】芳香族ジオールに由来する繰り返し構造単
位:
【化4】 (式中、 X3はハロゲン原子、アルキル基またはアリー
ル基、 X4は水素原子、ハロゲン原子またはアルキル基
を示す。)
【化5】
【0012】耐熱性、機械的特性、加工性のバランスか
ら特に好ましい液晶ポリエステルは、前記A1式で表さ
れる繰り返し構造単位を少なくとも30モル%含むもの
である。具体的には繰り返し構造単位の組み合わせが下
式(a)〜(f)のものが好ましい。 (a):(A1)、(B1)または(B1)と(B2)の混
合物、(C1) (b):(A1)、(A2) (c):(a)の構造単位の組み合わせのものにおい
て、(A1)の一部を(A2)で置き換えたもの (d):(a)の構造単位の組み合わせのものにおい
て、(B1)の一部を(B3)で置き換えたもの (e):(a)の構造単位の組み合わせのものにおい
て、(C1)の一部を(C3)で置き換えたもの (f):(b)の構造単位の組み合わせのものに
(B1)と(C2)の構造単位を加えたもの 基本的な構造となる(a)、(b)の液晶ポリエステル
については、それぞれ、例えば、特公昭47ー4787
0号公報、特公昭63ー3888号公報等に記載されて
いる。
【0013】本発明で用いられるカーボンブラックは、
平均粒子径が5〜20nmであり、かつDBP吸収量が
60〜200cm3/100gである。中でも平均粒径が
10〜20nmであり、かつDBP吸収量が60〜17
0cm3/100gであるものが好ましい。平均粒子径
が20nmを越えるものは、十分な漆黒度を示さないた
め好ましくない。また、平均粒子径が5nm未満のもの
は、漆黒度を付与する能力は優れるものの一般に入手す
ることが困難である。なお、本発明において、平均粒子
径は、電子顕微鏡でカーボンブラック凝集体を観察し、
輪郭を有して分離できない成分の大きさを測定し算術平
均したものをいい、カーボンブラック協会発行のCarbon
Black年鑑No.48(1998) p.114等に記載されている。ま
た本発明においてDBP吸収量とは、カーボンブラック
粒子同士が融着した状態(アグリゲート)の発達度合
い、いわゆる「ストラクチャー」を評価する手段の一つ
で、カーボンブラック100gあたりのDBP(Di−
butyl phthalate)の吸収量をもって、
ストラクチャーを定量化する方法でJIS K6217-1997など
に記載されている。DBP吸収量が60cm3/100
g未満の場合、ストラクチャーの発達が不足し、漆黒度
を付与する能力が低いため、好ましくない。また、DB
P吸収量が200cm3/100gより大きい場合、ス
トラクチャーが発達しすぎるため、樹脂の溶融粘度が上
昇し、流動性が低下するため好ましくない。また、カー
ボンブラックの供給形態としては、粉末状、あるいは粒
状のものがあるが、使用時の作業性を考慮していずれの
形態でも使用することが可能である。
【0014】本発明で用いるカーボンブラックの例とし
ては、着色用カーボンブラックの一般呼称であるMCF
(Medium Colour Furnace)以上
の黒色度を有するもの(HCF: High Colo
ur Furnace、HCC: High Colo
ur Channnel)であることが好ましく、トー
カブラック#8500、#7400、#7350、#7
100(東海カーボン製)、#2600、#980、#
960(三菱化学製)、Color Black FW
200、FW2、S170、Printex 90、8
0(デグサ社製)、Raven 7000、5750、
3500(コロンビヤン・ケミカルス社製)、Mona
rch 1400、1300、900、800、Bla
ck Pearls 1400、1300、900、8
00、Vulcan P(キャボット社製)などがあげ
られるが、これらに限定されるものではない。
【0015】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物にお
いては、繊維状および/または板状の無機充填材を配合
することができる。配合割合は、液晶ポリエステル10
0重量部に対し、0〜180重量部であり、好ましくは
0〜150重量部である。繊維状、および/または板状
の無機充填材の配合割合が180重量部よりも多い場合
は、成形品の外観が悪くなるため好ましくない。液晶ポ
リエステルの異方性を低減して、より品質の安定した
(射出)成形体を作るためには、配合割合は、10〜1
80重量部であることがより好ましく、20〜150重
量部であることがさらに好ましく、30〜120重量部
であることが特に好ましい。また、フィルムまたは繊維
に使用する場合には、配合割合は、0〜100重量部で
あることがより好ましく、0〜50重量部であることが
さらに好ましく、0重量部であることが特に好ましい。
【0016】本発明で用いられる繊維状の無機充填材と
しては、平均繊維径が0.1〜20μmであるものが好
ましく、0.1〜15μmであるものがさらに好まし
い。平均繊維径が0.1μm未満である場合、電気・電
子部品として使用する際の耐熱性、特にハンダ耐熱性が
不十分となる場合がある。また、平均繊維径が20μm
より大きい場合、成形品の外観が悪くなる場合がある。
また、平均繊維長は1〜300μmであることが好まし
く、10〜300μmであることがさらに好ましい。平
均繊維長が1μm未満である場合、電気・電子部品とし
て使用する際の耐熱性、特にハンダ耐熱性が不十分とな
る場合がある。また、平均繊維長が300μmより大き
い場合、成形品の外観が悪くなる場合がある。なお、平
均繊維径、繊維長は樹脂ペレットをオーブン中500
℃、5時間で強熱灰化して繊維状の無機充填材を取り出
し、光学顕微鏡で測定したもの(500本)を算術平均
して求めることができる。この例としては、ガラス繊
維、チタン酸カリウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウ
ィスカ、針状酸化チタン、シリカアルミナ繊維、アルミ
ナ繊維などが挙げられるがこれらに限定されるものでは
ない。
【0017】本発明で用いられる板状の無機充填材は、
化学結合によって平面層状の結晶構造を持ち、各層間は
弱いファンデルワールス力で結合しているため、へき開
が生じやすく、粉砕時に粒子が板状になる無機物であ
る。本発明で使用される板状の無機充填材の平均粒径
は、好ましくは、1〜20μm、より好ましくは5〜2
0μmのものである。この例としては、タルク、マイカ
などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
平均粒径が1μm以下の場合、電気・電子部品として使
用する際の耐熱性、特にハンダ耐熱性が不十分となる場
合がある。また、平均粒径が20μmより大きい場合、
成形品の外観が悪くなる場合がある。
【0018】これらのうち、ガラス繊維、チタン酸カリ
ウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、タルクで
あることが好ましい。これらは、単独で、または1種以
上を同時に用いることができる。
【0019】なお、本発明で用いられる液晶ポリエステ
ル樹脂組成物に対して、本発明の目的を損なわない範囲
でガラスビーズ、グラファイト、ウォラストナイト、ド
ロマイトなどの無機充填材;フッ素樹脂、金属石鹸類な
どの離型改良剤;染料、顔料などの着色剤;酸化防止
剤;熱安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;界面活性剤
などの通常の添加剤を1種以上添加することができる。
また、たとえば高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級
脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤等の外部
滑剤効果を有するものを1種以上添加することも可能で
ある。また、少量の熱可塑性樹脂、たとえば、ポリアミ
ド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエ
ーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエー
テル及びその変性物、ポリスルフォン、ポリエーテルス
ルフォン、ポリエーテルイミド等や、少量の熱硬化性樹
脂、たとえば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイ
ミド樹脂等の、1種または2種以上を添加することもで
きる。本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物を得るため
の原料成分の配合手段は特に限定されない。液晶ポリエ
ステル、およびカーボンブラック、必要に応じてガラス
繊維、タルク、ホウ酸アルミニウムウィスカーなどの補
強材や無機充填材、離型改良剤、熱安定剤などの各成分
を各々別々に溶融混合機に供給するか、またはこれらの
原料成分を乳鉢、ヘンシェルミキサー、ボールミル、リ
ボンブレンダーなどを利用して予備混合してから溶融混
合機に供給することもできる。
【0020】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、
コネクター、ソケット、リレー部品、コイルボビン、光
ピックアップ、発振子、プリント配線板、 コンピュー
タ関連部品、等の電気・電子部品;ICトレー、ウエハ
ーキャリヤー、等の半導体製造プロセス関連部品;VT
R、テレビ、アイロン、エアコン、ステレオ、掃除機、
冷蔵庫、炊飯器、照明器具、等の家庭電気製品部品;ラ
ンプリフレクター、ランプホルダー等照明器具部品;コ
ンパクトディスク、レーザーディスク(登録商標)、ス
ピーカー、等の音響製品部品;光ケーブル用フェルー
ル、電話機部品、ファクシミリ部品、モデム等の通信機
器部品;分離爪、ヒータホルダー、等の複写機、印刷機
関連部品;インペラー、ファン歯車、ギヤ、軸受け、モ
ーター部品及びケース、等の機械部品;自動車用機構部
品、エンジン部品、エンジンルーム内部品、電装部品、
内装部品等の自動車部品、マイクロ波調理用鍋、耐熱食
器、等の調理用器具;床材、壁材などの断熱、防音用材
料、梁、柱などの支持材料、屋根材等の建築資材、また
は土木建築用材料;航空機、宇宙機、宇宙機器用部品;
原子炉等の放射線施設部材、海洋施設部材、洗浄用治
具、光学機器部品、バルブ類、パイプ類、ノズル類、フ
ィルター類、膜、医療用機器部品及び医療用材料、セン
サー類部品、サニタリー備品、スポーツ用品、レジャー
用品等の用途に用いることができる。また、本発明の樹
脂組成物から加工されたフィルム状、またシート状材料
はまたそれらから加工された材料は工業的に有用な材料
であり、表示装置用部品、電気絶縁用フィルム、フレク
シブル回路基板用フィルム、包装用フィルム、記録媒体
用フィルム、等の用途に用いることができる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。なお、実施例中の物性
は次の方法で測定した。 (1)流動開始温度 島津製作所製の高化式フローテスターCFT−500型
で測定した。すなわち、4℃/分の昇温速度で加熱され
た樹脂を荷重9.81MPaのもとで、内径1mm、長
さ10mmのノズルから押出したときに、溶融粘度が4
8000ポイズを示す温度を測定し、これを流動開始温
度とした。 (2)引張物性 射出成形機を用いてASTM4号引張ダンベルを作成
し、これを用いてASTM D638に準拠して測定し
た。 (3)荷重たわみ温度(TDUL) 射出成形機を用いて長さ127mm、幅6.4mm、厚
さ12.7mmの棒状試験片を作成し、これを用いてA
STM D648に準拠し、荷重1.82MPa、昇温
速度2℃/minで測定した。 (4)漆黒度 射出成形機を用いて一片が64mm、厚さ3mmの平板
試験片を作成し、外観を目視で評価した。○、△、×の
意味は以下の通りである。 ○:熟練した観察者5人全員が黒色と認めたもの △:熟練した観察者5人のうち、少なくとも1人が青
味、および/もしくは赤味を帯びていると認めたもの ×:熟練した観察者5人のうち、少なくとも1人が白
味、すなわち明度が高いと認めたもの
【0022】実施例1、2 前述の方法で定義された流動温度が324℃の液晶ポリ
エステルと、粒子径が16nm、DBP吸収量が69c
3/100gであるカーボンブラック(三菱化学
(株)製、商品名#960)と、ガラス繊維(セントラ
ル硝子(株)製、商品名EFH75−01)とを表1に
示す組成でヘンシェルミキサー(登録商標)で混合後、
二軸押し出し機(池貝鉄工(株)製PCM−30型)を
用いて、シリンダー温度340℃で造粒し、樹脂組成物
を得た。これらの樹脂組成物を120℃で3時間乾燥
後、射出成形機(日精樹脂工業(株)製PS40E5A
SE型)を用いて、シリンダー温度350℃、金型温度
130℃でASTM4号引張ダンベル、棒状試験片、平
板試験片を成形した。これらの試験片を用い、引張物性
と荷重たわみ温度の測定、および漆黒度の評価を行っ
た。結果を表1に示す。表1から明らかなように、これ
らの組成物は、良好な機械的特性、耐熱性を示すうえ、
漆黒度に優れていた。
【0023】比較例1、2 カーボンブラックを粒子径が24nm、DBP吸収量が
53cm3/100gであるもの(三菱化学(株)製、
商品名#45)に変更するほかは、実施例1と同様にし
て測定を行った。結果を表1に示す。このカーボンブラ
ックでは、機械的特性、耐熱性は良好であるものの、漆
黒度が低く、カーボンブラックの添加量を増やしても漆
黒度が十分に向上しないことがわかる。
【0024】実施例3,4 カーボンブラックを粒子径が16nm、DBP吸収量が
66cm3/100gであるもの(実施例3、三菱化学
(株)製、商品名#980)、および粒子径が13n
m、DBP吸収量が77cm3/100gであるもの
(実施例3、三菱化学(株)製、商品名#2600)に
変更するほかは、実施例1と同様にして測定を行った。
結果を表1に示す。表1から明らかなように、これらの
組成物は、良好な機械的特性、耐熱性を示すうえ、漆黒
度に優れていた。
【0025】実施例5 液晶ポリエステルを流動開始温度が314℃のものに変
更するほかは実施例1と同様にして測定を行った。結果
を表1に示す。表1から明らかなように、これらの組成
物は、良好な機械的特性、耐熱性を示すうえ、漆黒度に
優れていた。
【0026】比較例3 カーボンブラックを粒子径が16nm、DBP吸収量が
56cm3/100gであるもの(三菱化学(株)製、
商品名#900)に変更するほかは、実施例1と同様に
して測定を行った。結果を表1に示す。このカーボンブ
ラックでは、機械的特性、耐熱性は良好であるものの、
漆黒度が低く、カーボンブラックの添加量を増やしても
漆黒度が十分に向上しないことがわかる。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物を
用いた成形体は、力学的強度、および耐熱性に優れると
いう液晶ポリエステルの特徴を維持し、かつ漆黒度に優
れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 7/06 C08K 7/06 7/14 7/14 Fターム(参考) 4F071 AA43 AA83 AA88 AB03 AB28 AB30 AD01 AD06 AE09 AE17 AF12 AF34 AH04 AH07 AH12 AH16 AH17 BC01 BC07 4J002 CF121 CF141 CF181 DA017 DA036 DE187 DJ047 DJ057 DK007 DL007 FA017 FA047 FA067 FD010 FD017 FD096 GG02 GM00 GN00 GQ00 GQ01 GS02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の方法で求めた流動開始温度が260
    ℃〜400℃である液晶ポリエステル100重量部に対
    して、平均粒子径が5〜20nmであり、かつDBP吸
    収量が60〜200cm3/100gであるカーボンブ
    ラック0.1〜10重量部と、繊維状および/または板
    状の無機充填材を0〜180重量部を配合してなること
    を特徴とする液晶ポリエステル樹脂組成物。流動開始温
    度:4℃/分の昇温速度で加熱された樹脂を荷重100
    Kgf/cm2(9.81MPa)のもとで、内径1m
    m、長さ10mmのノズルから押出したときに、溶融粘
    度が48000ポイズを示す温度。
  2. 【請求項2】繊維状および/または板状の無機充填材
    が、ガラス繊維、炭素繊維、マイカおよびタルクからな
    る群から選ばれる少なくとも1種のものであることを特
    徴とする請求項1記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】液晶ポリエステルが下記A1式で表される
    繰り返し構造単位を少なくとも30モル%含むものであ
    ることを特徴とする請求項1または2記載の液晶ポリエ
    ステル樹脂組成物。 【化1】
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の液晶ポリ
    エステル樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形
    体。
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