JP2003321598A - 液晶性樹脂組成物、それからなる長尺成形品およびその製造方法 - Google Patents
液晶性樹脂組成物、それからなる長尺成形品およびその製造方法Info
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Abstract
液晶性樹脂組成物およびそれからなる長尺成形品を提供
する。 【解決手段】(A)異方性溶融相を形成する液晶性ポリ
エステルおよび液晶性ポリエステルアミドから選ばれた
1種以上の液晶性樹脂100重量部に対して、(B)数
平均粒子径10〜48μmの鱗片状充填材5〜100重
量部および(C)数平均長さが5〜75μmの繊維状充
填材5〜100重量部を含有してなる液晶性樹脂組成
物。
Description
一方で成形加工性および機械特性も損なうことがない液
晶性樹脂組成物、長尺成形品およびその製造方法に関す
るものである。
求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマが
数多く開発され、市場に供されているが、中でも分子鎖
の平行な配列を特徴とする光学異方性の液晶性ポリマが
優れた流動性、耐熱性、機械的性質を有する点で注目さ
れている。
例えばp−ヒドロキシ安息香酸にポリエチレンテレフタ
レートを共重合した液晶性ポリマ(特開昭49−723
93号公報)、p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキ
シ−2−ナフトエ酸を共重合した液晶性ポリマ(特開昭
54−77691号公報)、また、p−ヒドロキシ安息
香酸に4,4’−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル
酸、イソフタル酸を共重合した液晶性ポリマ(特公昭5
7−24407号公報)、6−ヒドロキシ−2−ナフト
エ酸、p−アミノフェノールとテレフタル酸から生成し
た液晶性ポリマ(特開昭57−172921号公報)、
p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフ
ェニルとテレフタル酸、p−アミノ安息香酸およびポリ
エチレンテレフタレートから生成した液晶性ポリマ(特
開昭64−33123号公報)などが開示されている。
び寸法異方性が大きいという欠点を有するが、例えば液
晶性ポリマに繊維状物を添加する方法(ラバーダイジェ
スト27巻、8号、7〜14頁、(1975))などに
より、異方性を緩和すると同時に機械的強度、耐熱性、
成形性および寸法安定性などが更に向上し、エンジニア
リングプラスチックとして自動車、電気・電子、精密機
械、事務機などの機能部品の構造体などに使用できるこ
とが知られている。
T製品が高性能化され使用される部品点数が多くなる一
方で、IT製品自体は薄く・小さくなる傾向にある。そ
のため、IT製品に使用される部品も性能を高めつつ、
サイズも小さくなり、したがって、薄く・長くなる傾向
が続いており、それらを成形する液晶性ポリマーにおい
ても従来以上に流動性が要求される傾向にある。そのた
め、ポリマーの溶融粘度を下げて良流動化を行う手法
(例えば、特開平1−284547号公報,特開平1−
197555号公報など)や、比較的粒径の小さいマイ
カを配合して良流動化する手法(例えば、特開平4−2
02558号公報など)がある。しかしながらこれらの
手法により流動性は改善されるものの、さらに薄肉、長
尺の成形品を成形するために射出成形温度を高くする
と、射出成形時にノズルからポリマが垂れ出したり(ド
ローリング現象)、型開きの際に製品の離型性がわるく
なる(糸引き現象)問題が生じる場合がある。
めに、溶融粘度を高める場合があるが、その場合流動性
が低下するため、薄肉部を有し、かつ長尺の成形品を成
形するには射出圧力を高めて成形する必要があり、その
場合製品にひずみが生じ、ソリが発生する問題がある。
の問題を解消するために、低ソリ性に優れ、一方で成形
加工性および機械特性も損なうことがない液晶性樹脂組
成物、およびそれからなる薄肉部を有する長尺成形品を
提供することを課題とする。
解決すべく鋭意検討した結果、液晶性樹脂に特定種類・
範囲の充填材を添加することで、成形加工性および機械
特性を維持しながら流動性、低ソリ性を飛躍的に改善す
ることが可能となり、薄肉部を有する長尺成形品用途に
特に好適に使用できることを見出し、ついに本発明を完
成するに到った。
および液晶性ポリエステルアミドから選ばれた1種以上
の液晶性樹脂100重量部に対して、(B)数平均粒子
径10〜48μmの鱗片状充填材5〜100重量部およ
び(C)数平均長さが5〜75μmの繊維状充填材5〜
100重量部を含有してなる液晶性樹脂組成物、 2.さらに融点が150℃以上の高級脂肪酸金属塩を含
有してなる前記1記載の液晶性樹脂組成物、 3.液晶性樹脂の融点+10℃の温度条件下で、ズリ速
度100/秒における溶融粘度d(100)と10,000/
秒における溶融粘度d(10000)との比[d(100)/d(10000)]
が3〜20である前記1または2の液晶性樹脂組成物、 4.前記1から3のいずれか記載の液晶性樹脂組成物を
成形してなり、最小厚みが50〜500μmである、薄
肉部を有する長尺成形品、および 5.前記1〜3のいずれか記載の液晶性樹脂組成物を長
尺成形品の短尺面の少なくとも一部に設置したゲートか
ら、長尺方向へ充填させることを特徴とする、前記4の
長尺成形品の製造方法である。
における異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルお
よび液晶性ポリエステルアミドとしては、芳香族オキシ
カルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボ
ニル単位、エチレンジオキシ単位などから選ばれた構造
単位からなる異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステ
ルが挙げられ、また、上記構造単位と芳香族イミノカル
ボニル単位、芳香族ジイミノ単位、芳香族イミノオキシ
単位などから選ばれた構造単位からなる異方性溶融相を
形成する液晶性ポリエステルアミドが挙げられる。
ルの例としては、好ましくは下記の(I)、(II)およ
び(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステル、
(I)、(II)、(III) および(IV)の構造単位からな
る液晶性ポリエステル、および、(I)、(III) および
(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステルなどが挙
げられる。
は、
式中Xは水素原子または塩素原子を示し、構造単位(I
I)および(III) の合計と構造単位(IV)は実質的に等
モルである。) 上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成
したポリエステルの構造単位であり、構造単位(II)は
4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,
5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニ
ル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェ
ニルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレ
ン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−
ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた一種以上
の芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、
構造単位(III )はエチレングリコールから生成した構
造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸、イソフタル
酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタ
ン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロ
ルフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および
4,4’ジフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれた
一種以上の芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を
各々示す。
ては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、p−アミノフ
ェノールとテレフタル酸から生成した液晶性ポリエステ
ルアミド、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒド
ロキシビフェニルとテレフタル酸、p−アミノ安息香酸
およびポリエチレンテレフタレートから生成した液晶性
ポリエステルアミド(特開昭64−33123号公報)
などが挙げられる。
ステルは、上記構造単位(I)、(II)および(IV)か
らなる共重合体、または、(I)、(II)、(III) およ
び(IV)からなる共重合体であり、上記構造単位
(I)、(II)、(III) および(IV)の共重合量は任意
である。しかし、流動性の点から次の共重合量であるこ
とが好ましい。
は、耐熱性、難燃性および機械的特性の点から上記構造
単位(I)および(II)の合計は、構造単位(I),
(II)および(III) の合計に対して60〜95モル%が
好ましく、75〜93モル%がより好ましい。また、構
造単位(III) は(I),(II)および(III) の合計に対
して40〜5モル%が好ましく、25〜7モル%がより
好ましい。また、構造単位(I)の(II)に対するモル
比[(I)/(II)]は耐熱性と流動性のバランスの点
から好ましくは75/25〜95/5であり、より好ま
しくは78/22〜93/7である。また、構造単位
(IV)は構造単位(II)および(III) の合計と実質的に
等モルである。
は流動性の点から上記構造単位(I)は(I)および
(II)の合計に対して40〜90モル%であることが好
ましく、60〜88モル%であることが特に好ましい。
構造単位(IV)は構造単位(II)と実質的に等モルであ
る。
晶性ポリエステルを重縮合する際には上記構造単位
(I)〜(IV)を構成する成分以外に3,3’−ジフェ
ニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸
などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカル
ボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカル
ボン酸、クロルハイドロキノン、メチルハイドロキノ
ン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−
ジヒドロキシベンゾフェノン等の芳香族ジオール、1,
4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオ
ペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、
脂環式ジオールおよびm−ヒドロキシ安息香酸、2,6
−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボ
ン酸などを本発明の目的を損なわない程度の少割合の範
囲でさらに共重合せしめることができる。 また、液晶
性ポリエステルアミドとしては、上記好ましい液晶性ポ
リエステルにさらにp−アミノフェノールおよび/また
はp−アミノ安息香酸を共重合したものも好ましく挙げ
ることができる。
法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法
に準じて製造できる。
ポリエステルの製造において、上記構造単位(III) を含
まない場合は(1)および(2)、構造単位(III) を含
む場合は(3)の製造方法が好ましく挙げられる。 (1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセ
トキシビフェニル、4,4’−ジアセトキシベンゼンな
どの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物とテレフ
タル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸重縮合反応
によって液晶性ポリエステルを製造する方法。 (2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒド
ロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒド
ロキシ化合物、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸
に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル
化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステ
ルを製造する方法。 (3)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル
のポリマ、オリゴマまたはビス(β−ヒドロキシエチ
ル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス(β
−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で(1)または
(2)の方法により液晶性ポリエステルを製造する方
法。
が、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウ
ムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグ
ネシウムなどの金属化合物を添加した方が好ましいとき
もある。
タフルオロフェノール中で対数粘度を測定することが可
能なものもあり、その際には0.1g/dlの濃度で6
0℃で測定した値で0.5dl/g以上が好ましく、特
に上記構造単位(III) を含む場合は1.0〜3.0dl
/gが好ましく、上記構造単位(III) を含まない場合は
2.0〜10.0dl/gが好ましい。
溶融粘度は1〜2,000Pa・sが好ましく、特に2〜
1,000Pa・sがより好ましい。
(Tm)+10℃の条件で、ズリ速度1,000/秒の
条件下で高化式フローテスターによって測定した値であ
る。
よりポリマを室温から20℃/分の昇温条件で測定した
際に観測される吸熱ピーク温度Tm1 の観測後、Tm1
+20℃の温度でまで昇温し、同温度で5分間保持した
後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、
再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸
熱ピーク温度を指す。
は、マイカ、ガラスフレーク、タルク、ワラステナイ
ト、グラファイトなどを挙げることができる。これらの
うちマイカが好ましい。
均粒子径は、組成物中で数平均粒子径が10〜48μm
であり、好ましくは20〜40μmである。該充填材の
粒子経が小さすぎると、成形加工時にノズルよりドロー
リング現象が起こり、連続成形ができなくなり、大きす
ぎると、ソリが大きくなり好ましくない。組成物中にお
ける(B)鱗片状充填材の数平均粒子径を上記範囲とす
るには、組成物を製造する際の溶融混練による破壊を考
慮して若干大きめの数平均粒子径を有する鱗片状充填材
を使用すればよい。本発明において、組成物中の(B)
鱗片状充填材の数平均粒子径は、組成物10gを空気中
で550℃、8時間加熱して樹脂成分を除去し、残存し
た鱗片状充填材の任意の500個の長径を測定したもの
から数平均粒子径を算出することにより決定できる。
性樹脂100重量部に対し、5〜100重量部用いら
れ、好ましくは5〜80重量部、より好ましくは10〜
60重量部用いられる。該充填材が少なすぎるとソリが
大きくなり、多すぎると成形加工性、機械特性が劣り好
ましくない。
は、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素
繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石こう繊維、
ウィスカ(例えばホウ酸アルミニウムウィスカ、チタン
酸カリウムウィスカ、石膏ウィスカなど)、金属繊維
(例えばステンレス繊維など)などの無機質繊維が挙げ
ることができる。
物中の数平均長さは5〜75μmであり、好ましくは1
0〜70μm、より好ましくは10〜60μmである。
該充填材長さが短すぎると、機械的強度に劣り好ましく
なく、長すぎると、ソリが大きくなり好ましくない。
mを越える長さを持つ繊維状充填材が全繊維状充填材に
対して20重量%以下であることが好ましく、10重量
%以下であることがより好ましい。300μmを越える
長さを持つ繊維状充填材が多すぎると、薄肉部を有する
長尺成形品の薄肉部位に繊維状充填材が詰まり、ショー
トショットになるばかりでなく、ソリを大きくする場合
もあり、好ましくない。
容易に数平均長さを制御することができ、押出温度が
(A)液晶性樹脂の融点よりも高くなるほど長くなり、
スクリュウ回転数が大きくなるほど短くなり、押出機へ
の供給量(または一般的には吐出量と呼ばれる)が大き
くなるほど長くなる傾向がある。この中でも液晶性樹脂
は他の樹脂と比べ溶融粘度が低いため、液晶性樹脂組成
物の製造にあたり、吐出量を制御して、繊維状充填材の
数平均長さを制御することがより好ましい。こうして、
繊維状充填材の数平均長さを制御するが、さらに数平均
長さや繊維長分布を上記範囲とするためには、原料とし
て(1)繊維を細かく切断した、いわゆるミルド繊維(ミ
ルドファイバーとも呼ばれる)、または(2)ウィスカを
用いるのが好ましい。本発明においては、ガラスミルド
繊維や、ホウ酸アルミニウムウィスカが特に好ましく用
いられ、ガラスミルド繊維が最も好ましい。
性樹脂100重量部に対し、5〜100重量部用いら
れ、好ましくは5〜80重量部、より好ましくは10〜
60重量部用いられる。該充填材が少なすぎると機械特
性が劣り、多すぎるとソリが大きくなり好ましくない。
肪酸金属塩を添加することで、成形加工性を向上せしめ
ることが可能である。なお、本発明において高級脂肪酸
とは、炭素数12以上の脂肪酸を意味し、炭素数16〜
22の脂肪酸が好ましい。また、本発明で用いる高級脂
肪酸としては150℃以上の融点を有するものが、得ら
れる液晶性樹脂組成物の成形加工性の点から好ましく、
200℃以上の融点を有するものがより好ましい。具体
的には、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸バリウム
が好ましく用いられる。
は、示差熱量測定により室温から20℃/分の昇温条件
で測定した際に観測される吸熱ピーク温度により測定す
ることができる。
性樹脂組成物の成形加工性、機械特性の点から、
(A)、(B)および(C)の合計100重量部に対
し、通常、1.0重量部以下で用いられ、好ましくは
0.5重量部以下、より好ましくは0.3重量部以下で
用いられる。下限については特に制限はないが、0.0
03重量部以上用いることが好ましい。
的を損なわない範囲で、シリカ、炭酸カルシウム、ガラ
スビーズ、二硫化モリブデン、酸化チタン、ポリリン酸
カルシウムなどの充填材を用いることができる。さらに
は、本発明の目的を損なわない程度の範囲で、酸化防止
剤および熱安定剤(たとえばヒンダードフェノール、ヒ
ドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体な
ど)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、サリシ
レート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど)、
離型剤(モンタン酸およびその塩、そのエステル、その
ハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド
およびポリエチレンワックスなど)、染料(たとえばニ
グロシンなど)および顔料(たとえば硫化カドミウム、
フタロシアニン、カーボンブラックなど)を含む着色
剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤などの通常
の添加剤や他の熱可塑性樹脂(フッ素樹脂など)を添加
して、所定の特性を付与することができる。
り製造することが好ましく、溶融混練には公知の方法を
用いることができる。例えば、バンバリーミキサー、ゴ
ムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを
用いることができる。これらのうち、本発明の液晶性樹
脂組成物は、繊維状充填材の数平均長さを制御する必要
があることから、押出機を用いることが好ましく、二軸
押出機を用いることがより好ましく、なかでも中間添加
口を有する二軸押出機を用いることが特に好ましい。溶
融混練方法は、原料供給口から(A)液晶性樹脂を二軸
押出機に供給し、(A)液晶性樹脂を溶融させ、該溶融
状態の(A)液晶性樹脂に中間添加口から(B)鱗片状
充填材と(C)繊維状充填材を供給し、吐出量を変え、
スクリュウ回転数かつ押出温度をコントロールして特定
範囲の数平均長さを有する繊維状充填材を得るようにす
るのが好ましい。ただし(D)高級脂肪酸金属塩は、
(A)液晶性樹脂やその他の添加剤とともに二軸押出機
中で溶融混練してもよいが、溶融混練押出後のペレット
にブレンド(例えばタンブラーミキサ、リボンブレンダ
など)するのが、成形加工性を飛躍的に向上させるには
より好ましい。
リ速度100/秒における溶融粘度d(100)と10,00
0/秒における溶融粘度d(10000)の比[d(100)/d(1000
0)]が3〜20であることが好ましく、特に3〜15の
範囲であることが好ましい。
(Tm)+10℃の条件で、長さ10mm、穴径0.5
mmのオリフィスを有する高化式フローテスターによっ
て測定したズリ速度100/秒および10,000/秒
における溶融粘度(Pa・s)とする。
ノズルからポリマが垂れ出したり(ドローリング現
象)、型開きの際に製品の離型性が悪くなる(糸引き現
象)傾向にあり、大きすぎると、ソリが大きくなる傾向
にある。かかる溶融粘度比を有する液晶性樹脂組成物
は、(B)鱗片状充填材と(C)繊維状充填材の合計量
を(A)液晶性樹脂100重量部に対して、150重量
部以下、より好ましくは100重量部以下とし、(B)
鱗片状充填材と(C)繊維状充填材の合計量に対する
(B)鱗片状充填材の比率が15重量%以上、より好ま
しくは20重量%以上とすることにより、得ることがで
きる。(B)鱗片状充填材の比率の上限としては70重
量%以下とすることが好ましい。
物は薄肉流動性に優れ、かつ機械特性も損なうことがな
いため、公知の成形法により各種成形品に成形される
が、その優れた薄肉流動性を活かして、射出成形するこ
とが好ましい。
れた薄肉流動性および機械特性を活かして、薄肉部を有
する長尺成形品に特に好ましく使用される。特に(B)
鱗片状充填材および(C)繊維状充填材のサイズを規定
したことにより、非常に薄肉部を有する成形品を得るこ
とができ、最小厚みが50〜500μm、好ましくは5
0〜300μm、より好ましくは50〜250μmの厚
みを有する成形品に成形する際により好ましく使用でき
る。
は、厚みが50〜500μmである部分を通過する、ゲ
ートから流動末端までの最大流動長さ(L)とした場合
に、その部位の最小厚み(t)に対するLの関係L/t
が10以上、好ましくは50以上、より好ましくは10
0以上を満たす部位を有する成形品である。L/tの上
限には特に制限はないが、800以下であることが好ま
しい。
リを低く抑えるためには、長尺成形品の短尺面の少なく
とも一部に設置したゲートから、長尺方向へ本発明の液
晶性樹脂組成物を充填させることが、成形品内の樹脂の
充填密度が均一となる点で好ましい。ゲート点数に制限
はないが、ウェルド部を最小にする観点から一成形品に
つき1点であることが好ましい。
ート、ファンゲートなど公知のものが可能であるが、成
形品内の充填密度を均一にするためには、ピンゲートが
好ましく、ゲート径も小さいものほど制御しやすく良
い。
は、IT関連機器の部品が挙げられ、特にFPCコネク
ター、カードコネクタ、コイル封止部品、表示装置のワ
ク・ハウジング、金属インサート部品などが好ましい。
時のフクレも少ないことから、リフロー工程に供される
成形品に極めて好適に使用できる。
る。
重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル126重量
部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6d
l/gのポリエチレンテレフタレート216重量部およ
び無水酢酸960重量部を、撹拌翼、留出管を備えた反
応容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら、室
温から150℃まで昇温しながら3時間反応させ、15
0℃から250℃まで2時間で昇温し、250℃から3
30℃まで1.5時間で昇温させた後、325℃、1.
5時間で6.5×10-3Paまで減圧し、さらに約0.
25時間撹拌を続け重縮合を行った。芳香族オキシカル
ボニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位7.5モ
ル当量、エチレンジオキシ単位12.5モル当量、芳香
族ジカルボン酸単位20モル当量からなる融点314
℃、溶融粘度25Pa・s(324℃、オリフィス0.
5mm直径×10mm、ズリ速度1,000/秒)の液
晶性樹脂を得た。
重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル168重量
部、テレフタル酸150重量部、固有粘度が約0.6d
l/gのポリエチレンテレフタレート173重量部およ
び無水酢酸1011重量部を、撹拌翼、留出管を備えた
反応容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら室
温から150℃まで昇温しながら3時間反応させ、15
0℃から250℃まで2時間で昇温し、250から33
5℃まで1.5時間で昇温させた後、335℃、1.5
時間で6.5×10-3Paまで減圧し、さらに約0.2
5時間撹拌を続け重縮合を行った。芳香族オキシカルボ
ニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位10モル当
量、エチレンジオキシ単位10モル当量、芳香族ジカル
ボン酸単位20モル当量からなる融点328℃、溶融粘
度18Pa・s(338℃、オリフィス0.5mm直径×
10mm、ズリ速度1,000/秒)の液晶性樹脂を得
た。
に従って、p−アセトキシ安息香酸921重量部と6−
アセトキシ−ナフトエ酸435重量部を、撹拌翼、留出
管を備えた反応容器に仕込み、重縮合を行った。p−ア
セトキシ安息香酸から生成した構造単位57モル当量お
よび6−アセトキシ−ナフトエ酸から生成した構造単位
22モル当量からなる融点283℃溶融粘度200Pa・
s(293℃,オリフィス0.5mm直径×10mm、
ズリ速度1,000/秒)の液晶性樹脂を得た。
リュウ回転数を250rpmに設定した、44mm直径
の中間添加口を有する2軸押出機(日本製鋼所製TEX
−44)を用いて、参考例1〜3で得た液晶性樹脂10
0重量部を原料供給口から添加して溶融状態とし、
(B)鱗片状充填材および(C)繊維状充填材を表1に
示す割合で中間添加口から供給して表1に示す押出条件
(吐出量)で溶融混練してペレットを得た。このペレッ
トに表1記載の(D)高級脂肪酸金属塩をタンブラーブ
レンダーにより混合した(実施例3、4および6)。こ
のペレットを用いて下記の各物性を評価した。また、こ
のペレット10gを空気中で550℃8時間加熱して樹
脂を除去し、光学式顕微鏡を用いて残存した鱗片状充填
材の任意の500個の長径を測定したものから数平均粒
子径を算出し、残存した繊維状充填材の任意の500個
を測定したものから数平均長さおよび300μmを越え
る長さを持つ繊維状充填材の割合を算出した。その結果
を表1に示す。
に関する、特性の測定方法を下記する。
出成形機(日精樹脂工業株式会社製)に供し、射出圧力
30MPaの条件で連続成形(充填時間0.4秒,成形
サイクル:射出時間/冷却時間/中間=1.0/5.0
/0.1秒,スクリュウ回転数145rpm,背圧0
%,サックバック1mm,金型温度90℃)を行い、円
筒形の成形品(外径25mm,内径24mm、高さ40
mm、ゲート径0.5mm)を成形した。連続成形が可
能な成形温度の最大値(最大成形温度)を(A)液晶性
樹脂の融点からの差(成形温度−融点)として求めた。
成形温度を高くするとノズル先端よりポリマが垂れ出し
たり(ドローリング現象)、型開きの際に、製品の離型
性が悪くなる現象(糸引き現象)が起こり、連続成形が
できなくなる。したがって、最大成形温度が高いものほ
ど、成形温度設定幅が広がり、成形性は良い。最大成形
温度が+10℃以上のものを「優れる」(◎)、0℃以
上のものを「良好」(○)、それよりも低いものを「劣
る」(×)とした。 ・計量時間:成形温度を液晶性樹脂の融点+10℃、背
圧5%、サックバック5mmにする以外は、前述と同じ
成形条件で行い、20ショットについて捨てショットを
実施後、続く20ショットの計量時間の算術平均値を求
めた。計量時間が5秒以下のものを「優れる」(◎)、
9秒以下のものを「良好」(○)、それよりも大きいも
のを「劣る」(×)とした。
D790(試験片厚み6.4mm、測定温度23℃)。曲
げ弾性率が12GPa以上のものを「優れる」(◎)、
10GPa以上のものを「良好」(○)、それよりも小
さいものを「劣る」(×)とした。
OTα−30i(ファナック株式会社製)に供し、射出
速度150mm/秒、充填時間0.1秒、成形温度は液
晶性樹脂の融点+15℃の条件で、図1aに示す端子間
ピッチが0.4mm、製品の最小肉厚部(隔壁部)が
0.2mm、外形寸法が幅3mm×高さ2mm×長さ3
0mm、平均肉厚が0.3mmのコネクタ型の長尺成形
品を連続成形を行った。
ピッチ間距離0.4mmで、0.2mmの最小肉厚部で
ある隔壁部2を有する箱形の長尺成形品1の片側の短尺
面2に設置したピンゲートG1(ゲート径0.3mm)
から樹脂を充填する。なお、実施例8においてはピンゲ
ートG1から樹脂を充填するかわりに、長尺方向中央部
位であるピンゲートG2(ゲート径0.3mm)から樹
脂を充填した。20ショットについて捨てショットを実
施後、続く20ショット分の製品のソリ量を測定した。
なお、長尺成形品の長尺方向の両端を直線で結んだ線を
基準とし、そこからの寸法差をソリ量とした。図1bは
上記長尺成形品においてソリ量の測定部位を示す概念図
であり、A−B面を基準面aとして、最大変形面bとの
差をソリ量とした。ソリ量が0.05mm以下のものを
「優れる」(◎)、0.10mm以下のものを「良好」
(○)、それよりも大きいものを「劣る」(×)とし
た。
雲母工業所社製マイカA−11) B2:平均粒子経が23μmのマイカ(山口雲母工業所
社製マイカA−21) B3:平均粒子経が34μmのマイカ(山口雲母工業所
社製マイカA−31) B4:平均粒子経が51μmのマイカ(山口雲母工業所
社製マイカA−61) C1:平均繊維長さが40μmのガラスミルド繊維(日
本電気硝子社製EPG40M) C2:平均繊維長さが100μmのガラスミルド繊維
(日本電気硝子社製EPG100M) C3:平均繊維長さが3mmのガラス繊維(日本電気硝
子社製ECS747GH) C4:ホウ酸アルミニウムウィスカ(四国化成工業社製
YS3A) D1:ステアリン酸リチウム(融点216℃)(勝田化
工社製) D2:ステアリン酸バリウム(融点225℃)(日東化
成工業社製) D3:ステアリン酸亜鉛(融点120℃)(片山化学工
業社製)。
物は、比較例の樹脂組成物と比較して、流動性、成形加
工性および機械特性を損なうことなく、低ソリ性に優れ
た組成物であることがわかる。
の有する優れた耐熱性、流動性、機械特性を損なうこと
なく低ソリ性が改良されるので、IT関連機器に使用さ
れる部品である、薄肉部を有する長尺成形品に好適であ
る。
成形品の斜視図であり、図1bは該長尺成形品のソリ量
の測定部位を示す概念図である。
Claims (5)
- 【請求項1】(A)異方性溶融相を形成する液晶性ポリ
エステルおよび液晶性ポリエステルアミドから選ばれた
1種以上の液晶性樹脂100重量部に対して、(B)数
平均粒子径10〜48μmの鱗片状充填材5〜100重
量部および(C)数平均長さが5〜75μmの繊維状充
填材5〜100重量部を含有してなる液晶性樹脂組成
物。 - 【請求項2】さらに融点が150℃以上の高級脂肪酸金
属塩を含有してなる請求項1記載の液晶性樹脂組成物。 - 【請求項3】液晶性樹脂の融点+10℃の温度条件下
で、ズリ速度100/秒における溶融粘度d(100)と1
0,000/秒における溶融粘度d(10000)との比[d(10
0)/d(10000)]が3〜20である請求項1または2に記
載の液晶性樹脂組成物。 - 【請求項4】請求項1から3のいずれか記載の液晶性樹
脂組成物を成形してなり、最小厚みが50〜500μm
である、薄肉部を有する長尺成形品。 - 【請求項5】請求項1〜3のいずれか記載の液晶性樹脂
組成物を長尺成形品の短尺面の少なくとも一部に設置し
たゲートから充填することを特徴とする、請求項4に記
載の長尺成形品の製造方法。
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