JP4802406B2 - 液晶ポリエステル樹脂混合物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ポリエステル樹脂混合物、該液晶ポリエステル樹脂混合物を用いて得られる成形体および該液晶ポリエステル樹脂成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ポリエステル樹脂は、一般に溶融液晶型(サーモトロピック液晶)ポリマーと呼ばれるものであり、溶融流動性が極めて優れており、また300℃以上の耐熱性を有することから、その成形体は、電子部品をはじめ、OA部品、AV部品、耐熱容器等の用途に使用されている。
該成形体を得る方法としては、射出成形が一般的である。射出成形においては、射出ユニットにおける計量工程にかかる時間(可塑化時間)が一定で安定していること、その可塑化時間が金型ユニットにおける冷却工程にかかる時間(冷却時間)以内であることが必要である。しかしながら、液晶ポリエステル樹脂では、可塑化時間が一定せず不安定になるため、冷却時間内に可塑化が終了しない場合があり、一定サイクルで成形を行うことが難しく、生産性が低下すると同時に成形品の品質にも悪影響を与えるという問題があった。
【0003】
このような問題を解決する手段として、例えば、特開平5−125259号公報には、サーモトロピック液晶ポリマーに対して、高級脂肪酸金属塩および高級脂肪酸を配合することが開示されている。
また、特開平5−125258号公報には、サーモトロピック液晶ポリマー粒子に高級脂肪酸金属塩からなる粒子混合物を配合することが開示されている。
さらに、特開平9−143347号公報には液晶ポリエステル樹脂に高級脂肪酸エステルを混合することが開示されている。
しかしながら、いずれの場合も、耐熱性の高い液晶ポリマーに対して、融点が低く高温下で分解を伴い易い化合物を併用しているために、これらの化合物の分解によって発生するガスによる成形体の表面外観の悪化や、可塑化時間が一定せず不安定になるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、安定した可塑化時間を有するため、一定サイクルで成形を行うことができ、かつ機械特性および熱安定性が優れた成形体を製造し得る液晶ポリエステル樹脂混合物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記したような問題がない液晶ポリエステル樹脂混合物を見出すべく鋭意検討を重ねた結果、液晶ポリエステル樹脂組成物に、特定の脂肪酸アミドを特定量配合してなる液晶ポリエステル樹脂混合物が、安定した可塑化時間を有しているため、一定サイクルで成形を行うことができ、しかも機械特性および熱安定性が優れた成形体を製造し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、液晶ポリエステル100重量部と充填剤0〜150重量部を含有してなる液晶ポリエステル樹脂組成物100重量部に対して、
R1-CO-NH2
(ただし、R1は、炭素数10〜30の飽和または不飽和炭化水素を表す)
で表される脂肪酸アミド 0.001〜5重量部を、該樹脂または該樹脂組成物の流動温度未満の温度で混合してなることを特徴とする液晶ポリエステル樹脂混合物を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で使用される液晶ポリエステルは、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルであり、例えば、
(1)1種または2種以上の芳香族ヒドロキシカルボン酸からなるもの、
(2)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせからなるもの、
(3)芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールの組み合わせからなるもの、
(4)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させたもの、
などが挙げられ、400℃以下の温度で異方性溶融体を形成するものである。なお、これらの芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオールの代わりに、それらのエステル形成性誘導体を使用したものでもよい。
カルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、カルボキシル基が、酸塩化物、酸無水物などの反応活性が高く、ポリエステルを生成する反応を促進するような誘導体となっているもの、カルボキシル基が、アルコール類やエチレングリコールなどとエステルを形成しており、エステル交換反応によりポリエステルを生成するような誘導体となっているものなどが挙げられる。
またフェノール性水酸基のエステル形成性誘導体としては、例えば、フェノール性水酸基が、カルボン酸類とエステルを形成しており、エステル交換反応によりポリエステルを生成するような誘導体となっているものが挙げられる。
また、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールは、エステル形成性を阻害しない程度であれば、メチル基、エチル基などのアルキル基、ハロゲン原子、アリール基などで置換されていてもよい。
【0008】
該液晶ポリエステルの繰り返し構造単位としては下記のものを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0009】
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
Figure 0004802406
上記の繰り返し構造単位は、ハロゲン原子またはアルキル基で置換されていてもよい。
【0010】
芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
Figure 0004802406
上記の繰り返し構造単位は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。
【0011】
芳香族ジオールに由来する繰り返し構造単位:
Figure 0004802406
Figure 0004802406
上記の繰り返し構造単位は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。
【0012】
上記の芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールに由来する繰り返し構造単位中、アルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましい。
【0013】
耐熱性、機械的特性、加工性のバランスから液晶ポリエステルは、前記(A1)で表される繰り返し構造単位を少なくとも30モル%含むことが好ましい。
繰り返し構造単位の好ましい組み合わせとしては、例えば、下記(a)〜(f)が挙げられる。
(a):(A1)、(B1)、(C1)、または、(A1)、(B1)と(B2)の混合物、(C1)。
(b):(A1)、(A2)。
(c):(a)の構造単位の組み合わせのものにおいて、(A1)の一部を(A2)で置きかえたもの。
(d):(a)の構造単位の組み合わせのものにおいて、(B1)の一部を(B3)で置きかえたもの。
(e):(a)の構造単位の組み合わせのものにおいて、(C1)の一部を(C3)で置きかえたもの。
(f):(b)の構造単位の組み合わせのものに、(B1)と(C2)の構造単位を加えたもの。
【0014】
本発明で使用する液晶ポリエステルは、公知の方法により製造することができる。例えば、上記(a)、(b)の液晶ポリエステルについては、特公昭47−47870号公報、特公昭63−3888号公報等に記載の方法により製造できる。
【0015】
本発明においては、液晶ポリエステルに必要に応じて充填材を添加してもよい。充填材を添加する場合は、液晶ポリエステル100重量部に対して充填材を150重量部以下、好ましくは10〜100重量部添加する。充填材の配合割合が150重量部を超えると、組成物の溶融粘度が高くなり、造粒性および成形性が低下する。
【0016】
本発明で用いられる充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、チタン酸繊維、アスベストなどの無機繊維、炭酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、石英砂、けい砂、ワラストナイト、ドロマイト、各種金属粉末、カーボンブラック、グラファイト、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、焼石膏などの粉末、炭化けい素、アルミナ、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、ボロンナイトライトや窒化けい素等の球状あるいは板状の粒子からなる粉末またはウイスカー、木粉、やし殻粉、くるみ粉、パルプ粉等の木質粉などが用いられる。
【0017】
液晶ポリエステルと充填材とを混合する手段は特に限定されない。例えば、液晶ポリエステルと充填材、必要に応じて離型改良剤、着色剤等を、ヘンシェルミキサー、タンブラー等を用いて混合した後、押出機を用いて溶融混錬する方法などが挙げられる。
本発明に用いられる液晶ポリエステル樹脂組成物は、脂肪酸アミドとの混合を容易にするため、ペレット状、チップ状あるいは粉末状であることが好ましい。
【0018】
本発明で用いられる脂肪酸アミドは、R-CO-NH2で表され、Rは炭素数10〜30の飽和または不飽和炭化水素を表す。脂肪酸の炭素鎖は、直鎖状であっても枝状であってもよい。
該脂肪酸アミドとしては、例えば、デカン酸アミド(C10)、ラウリル酸アミド(C12)、ミリスチン酸アミド(C14)、パルミチン酸アミド(C15)、ヘプタデカン酸アミド(C16)、ステアリン酸アミド(C18)、リノール酸アミド(C18)、リノレイン酸アミド(C18)、オレイン酸アミド(C18)、エライジン酸アミド(C18)、エイコサン酸アミド(C20)、ベヘニン酸アミド(C21)、エルカ酸アミド(C22)などが挙げられる。
【0019】
本発明に用いられる脂肪酸アミドの融点は、30℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましい。融点が30℃未満の脂肪酸アミドを用いると、成形前に液晶ポリエステル樹脂混合物を予備乾燥した時に、該脂肪酸アミドの一部が揮発し、目的とする成形加工時の安定化効果が低減される傾向がある。
本発明に用いられる脂肪酸アミドは液晶ポリエステル樹脂組成物との混合を容易にし、かつ成形時の分散を効果的にするために、平均粒径100μm以下の粉末状であることが好ましく、平均粒径50μm以下の粉末状であることがより好ましい。
【0020】
該脂肪酸アミドの配合量は、液晶ポリエステル100重量部、または液晶ポリエステルおよび充填材の合計100重量部に対して、0.001〜5重量部であり、好ましくは0.005〜0.5重量部であり、より好ましくは0.01〜0.1重量部である。
脂肪酸アミドの配合量が5重合部を超える場合は、成形加工時に該脂肪酸アミド自身の分解に起因するガスが発生し、成形品にふくれが生じ易くなるとともに該成形品からの発生ガスにより成形体の表面外観が悪化する。また、脂肪酸アミドの配合量が0.001重量部未満の場合は、目的とする成形加工時の可塑化時間の安定化効果が不十分となる。
【0021】
本発明の液晶ポリエステル樹脂混合物には、本発明の目的を損なわない範囲で、高級脂肪酸金属塩、リン化合物、フッ素樹脂などの外部滑剤効果を有するものを脂肪酸アミドとともに混合してもよい。
また、本発明の目的を損なわない範囲で、染料、顔料等の着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤などの通常の添加剤を添加してもよい。
さらに、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂を添加してもよい。
【0022】
本発明の液晶ポリエステル樹脂混合物は、液晶ポリエステルと脂肪酸アミドとを該液晶ポリエステルの流動温度以下で混合する、または液晶ポリエステルと充填材を含有してなる液晶ポリエステル樹脂組成物と脂肪酸アミドとを該液晶ポリエステル樹脂組成物の流動温度以下で混合することにより得ることができる。なお、流動温度以下で混合する限りにおいては、混合方法は特に限定されない。例えば、液晶ポリエステル樹脂組成物の粒子と脂肪酸アミド粉末とを固体状態のまま室温あるいは加温雰囲気中、ヘンシェルミキサー、タンブラー等を用いて混合する方法などが挙げられる。
ここで、流動温度とは、4℃/分の昇温速度で加熱された樹脂を荷重100Kgf/cm2のもとで、内径1mm、長さ10mmのノズルから押し出すときに、溶融粘度が48000ポイズを示す温度を意味する。
【0023】
本発明の樹脂混合物は、可塑化時間が安定しているため、射出成形、押出成形(フィルム成形、インフレーション成形含む)、射出圧縮成形などのシリンダー内で一定量の樹脂ペレットをスクリュウを用いて加熱溶融して計量する構造の装置を用いる成形方法に好適に使用することができる。
例えば、射出成形においては、射出ユニットにおける計量工程にかかる時間(可塑化時間)が一定で安定しているので、溶融状態が安定化し、ショートショットやバリなどの不良現象が発生しない成形条件を容易に見出すことができる。
【0024】
本発明の樹脂混合物は、例えば、コネクター、ソケット、リレー部品、コイルボビン、光ピックアップ、発振子、プリント配線板、 コンピュータ関連部品等の電気・電子部品;ICトレー、ウエハーキャリヤー等の半導体製造プロセス関連部品;VTR、テレビ、アイロン、エアコン、ステレオ、掃除機、冷蔵庫、炊飯器、照明器具等の家庭電気製品部品;ランプリフレクター、ランプホルダー等の照明器具部品;コンパクトディスク、レーザーディスク、スピーカー等の音響製品部品;光ケーブル用フェルール、電話機部品、ファクシミリ部品、モデム等の通信機器部品;分離爪、ヒータホルダー等の複写機、印刷機関連部品;インペラー、ファン歯車、ギヤ、軸受け、モーター部品及びケース等の機械部品;自動車用機構部品、エンジン部品、エンジンルーム内部品、電装部品、内装部品等の自動車部品、マイクロ波調理用鍋、耐熱食器等の調理用器具;床材、壁材などの断熱、防音用材料、梁、柱などの支持材料、屋根材等の建築資材、または土木建築用材料;航空機、宇宙機、宇宙機器用部品;原子炉等の放射線施設部材、海洋施設部材、洗浄用治具、光学機器部品、バルブ類、パイプ類、ノズル類、フィルター類、膜、医療用機器部品及び医療用材料、センサー類部品、サニタリー備品、スポーツ用品、レジャー用品などの原料として好適に用いられる。
【0025】
また、本発明の樹脂混合物から加工されたフィルム状、またシート状材料はまたそれらから加工された材料は工業的に有用な材料であり、表示装置用部品、電気絶縁用フィルム、フレクシブル回路基板用フィルム、包装用フィルム、記録媒体用フィルム等の用途に用いられる。
本発明の樹脂混合物は押出し成形性に優れるため、樹脂成形品、金属部品の被覆材として有用であり、配管被覆、電線被覆などさまざまな分野の被覆に用いることができる。
本発明の樹脂混合物から加工された連続繊維、短繊維、パルプ等の繊維状材料、及びそれらから加工された材料は工業的に有用な材料であり、衣料、耐熱断熱材、FRP用補強材、ゴム補強材、ロープ、ケーブル、不織布等の用途に用いることができる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて説明するが、本発明が実施例により限定されるものではないことは言うまでない。
【0027】
なお、実施例中の各種物性の測定および試験は次の方法で行った。
(1)射出成形時の可塑化時間:
ASTM4号試験片を成形し、その連続50ショットの平均可塑化時間、およびその標準偏差を算出した。
(2)引張特性
ASTM4号引張ダンベルを成形し、ASTM D638に準拠して測定した。
【0028】
(3)成形品から発生する低沸点ガスの相対量:
JIS1(1/2)号ダンベル(厚み0.8mm)を成形し、得られた成形品を長さ5mm、幅5mm、厚み0.8mmのチップに切削した。このチップ4gを精秤し、蒸留水で洗浄後、真空乾燥した25ccのバイアル瓶に入れ、ポリテトラフルオロエチレンからなるパッキングでシール後、120℃に設定した熱風乾燥機の中で20時間加熱し、成形品からガスを発生させた。このバイアル瓶を(株)島津製作所製ヘッドスペースガスクロマトグラフ(GC−15A/HSS−3A)に装着し、120℃に保ちながら、充填剤としてHR−1701(信和化学工業(株)製)を用いた50m×φ0.25mmのカラムに注入し、注入と同時にカラム温度を40℃で5分間保持し、10℃/分で280℃まで昇温し、その後5分間保持させ、スタートから34分までのガスの総量をディテクターで検出した。ディテクターとしてはFID型を用い、キャリヤーガスにはヘリウムを用いた。このガスの相対量は各種ガスの総面積で表され、この値で成形品から発生するガスの相対量を比較した。この値が大きいほど成形品からの低沸点ガスの発生が多いことを表す。
また34分までに検出されるガスはガスクロマトグラフィー質量分析から、発生ガスは、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、酢酸、フェノール類であることを確認した。
【0029】
実施例1〜4、実施例(参考)、比較例1〜4
繰り返し構造単位が前記のA1、B1、B2、C1からなり、A1:B1:B2:C1のモル比が60:15:5:20であり、上記で定義された流動温度が324℃である液晶ポリエステルとミルドガラスファイバー(セントラルガラス(株)製EFH75−01)を重量比で60:40となるようにヘンシェルミキサーで混合後、二軸押出機(池貝鉄工(株)製PCM−30型)を用いてシリンダー温度340℃で造粒し、液晶ポリエステル樹脂組成物を得た。得られた液晶ポリエステル樹脂組成物はいずれのものも平均粒径2mm、長さ2.5mmの円柱状であった。得られた液晶ポリエステル樹脂組成物100重量部に対し、可塑化時間の安定性の改良を目的として表1記載の化合物を、表1記載の重量部添加して、タンブラーを用いて室温で混合し、液晶ポリエステル樹脂混合物を得た。
これらの液晶ポリエステル樹脂混合物を150℃で3時間乾燥後、射出成形機(日精樹脂工業(株)製PS40E5ASE)を用いて、シリンダー温度350℃、金型温度130℃でJIS4号ダンベル(厚み2.5mm)を成形し、連続50ショットの可塑化時間を測定し、その安定性を評価した。また、得られた成形品から引張物性を評価し、JIS1(1/2)ダンベルを成形し得られたダンベル片から発生ガス量を測定した。
同様にして、脂肪酸アミドを無添加の液晶ポリエステル樹脂組成物(比較例1)についても、可塑化時間の安定性、引張物性、発生ガス量を測定した。
【0030】
特定の脂肪酸アミドの特定量を液晶ポリエステル樹脂組成物と混合したものは、その他の系に比べ、可塑化時間自身が短縮され、かつ安定的に可塑化されているとともに、優れた機械物性を有し、成形品からの発生ガスも低いレベルであることがわかる。
なお、表1において可塑化時間の安定性の改良のための脂肪酸アミドとしては以下の市販品を乳鉢ですりつぶし、200メッシュ以下として用いた。
エルカ酸アミド: ライオンアクゾ社製 商品名:アーモスリップE
オレイン酸アミド: ライオンアクゾ社製 商品名:アーモスリップCP
ステアリン酸アミド: 花王(株)製 商品名:脂肪酸アマイドS
ステアリン酸カルシウム:キシダ化学製
【0031】
【表1】
Figure 0004802406
* 成形品発泡
【0032】
【発明の効果】
本発明の液晶ポリエステル樹脂混合物を用いることにより、安定した可塑化時間を有しているため、一定サイクルで成形を行うことができ、かつ機械特性および熱安定性が優れた成形体を製造することが可能となる。

Claims (4)

  1. 液晶ポリエステル樹脂100重量部と充填材0〜150重量部を含有してなる液晶ポリエステル樹脂又はその組成物100重量部に対して、
    1−CO−NH2
    (ただし、R1は、炭素数10〜30の不飽和炭化水素を表す)
    で表される脂肪酸アミド0.001〜5重量部を、該樹脂又はその組成物の流動温度未満の温度で混合してなることを特徴とする液晶ポリエステル樹脂混合物。
  2. 液晶ポリエステル樹脂が、下記A1式で表される繰り返し構造単位を少なくとも30モル%含む樹脂である請求項1記載の液晶ポリエステル樹脂混合物。
    Figure 0004802406
  3. 請求項1または2記載の液晶ポリエステル樹脂混合物を、加熱溶融して計量する構造を有する装置を用いて成形して得られることを特徴とする液晶ポリエステル樹脂成形体。
  4. 請求項1または2記載の液晶ポリエステル樹脂混合物を、加熱溶融して計量する構造を有する装置を用いて成形することを特徴とする液晶ポリエステル樹脂成形体の製造方法。
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