JP2009249416A - 液晶ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

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義行 福原
Yutaka Maeda
豊 前田
Toru Fujiki
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Abstract

【課題】従来の液晶ポリエステル樹脂組成物に比して、極めて優れた薄肉加工性を示す液晶ポリエステル樹脂組成物、当該液晶ポリエステル樹脂組成物を用いてなる成形体を提供する。
【解決手段】液晶ポリエステル樹脂と、異形比が1.2以上である非円形の断面形状を有し、数平均繊維長が0.5mm以下である異形断面ガラス繊維とを含有する液晶ポリエステル樹脂組成物の提供。当該異形断面ガラス繊維の断面形状は、楕円状、長円状又は繭形状であることが好ましい。かかる液晶ポリエステル樹脂組成物は溶融成形によって薄肉部を有するような成形体を容易に成形可能であり、かかる成形は極めて薄肉加工性に優れるので、今後益々小型化が進む電気・電子部品に特に好適である。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶ポリエステル樹脂と異形断面ガラス繊維とを含む液晶ポリエステル樹脂組成物に関する。
溶融時に液晶性を発現する液晶ポリエステル樹脂は、耐熱性及び加工性に優れることから精密成形が可能な成形用材料として、電気・電子分野をはじめとして、さまざまな分野で使用されている。特に電気・電子部品においては、より薄く、より小型化された部品が求められており、より一層の薄肉加工性が要求されている。一方、液晶ポリエステル樹脂を用いてなる成形体においては、低反り性や機械強度を向上させる観点から、充填剤を成形体中に含有させることが広範に行われている。しかしながら、使用する充填剤によっては低反り性等を改善しようとすると、成形時の薄肉加工性が悪化する場合があった。
電気・電子部品の製造用の液晶ポリエステル樹脂組成物に関し、例えば、特許文献1には、液晶ポリエステル樹脂と、断面形状が楕円状又は繭形状の異形構造ガラス繊維と板状充填剤とを所定量配合させてなる樹脂組成物が提案され、該組成物が優れた低反り性を維持しつつ、良好な成形加工性を示すことが開示されている。
特開2003−268252号公報(特許請求の範囲,段落0002)
しかしながら、前記特許文献1で提案されているような樹脂組成物においても、形状寸法が極めて小さいような成形体を成形しようとすると、その薄肉加工性は十分といえるものではなかった。
そこで本発明の目的は、従来の液晶ポリエステル樹脂組成物よりも、より一層優れた薄肉加工性を発現し得る液晶ポリエステル樹脂組成物を提供することにある。また、該液晶ポリエステル樹脂組成物を用いてなる成形体を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、下記<1>を提供するものである。
<1>液晶ポリエステル樹脂と、
異形比が1.2以上である非円形の断面形状を有し、数平均繊維長が0.5mm以下である異形断面ガラス繊維とを、
含有する液晶ポリエステル樹脂組成物。
さらに本発明は、<1>に係る好適な実施形態として、下記の<2>〜<4>を提供し、これらいずれかの液晶ポリエステル樹脂組成物を用いてなる、下記<5>を提供する。
<2>前記液晶ポリエステル樹脂100重量部に対し、前記異形断面ガラス繊維が10〜200重量部である、<1>の液晶ポリエステル樹脂組成物。
<3>前記異形断面ガラス繊維において、断面形状の異形比が6以下であるである、<1>又は<2>の液晶ポリエステル樹脂組成物。
<4>前記異形断面ガラス繊維が、集束材を使用していないガラス繊維である、<1>〜<3>のいずれかの液晶ポリエステル樹脂組成物。
<5><1>〜<4>のいずれかの液晶ポリエステル樹脂組成物を用いてなる成形体。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、従来の液晶ポリエステル樹脂組成物に比して、極めて優れた薄肉加工性を示すものである。したがって、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、今後益々小型化が進む電気・電子部品を容易に成形することが可能であり、産業上極めて有用である。
以下、必要に応じて図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。
<異形断面ガラス繊維>
本発明で用いる異形断面ガラス繊維は、数平均繊維長が0.5mm以下であり、その断面形状が、異形比が1.2以上の非円形であることを特徴とする。この異形比が2以上の断面形状の異形断面ガラス繊維であると、さらに好ましい。この異形断面ガラス繊維に係る非円形の断面形状とは、典型的には、楕円状、長円状又は繭形状から選ばれる断面形状である。そして異形比とは、最大径の長さと最小径の長さとの比(最大径の長さ/最小径の長さ)で求められるものである。なお、径の長さとは、断面形状の外周に外接する外接線において、互いに平行となる2つの外接線を引いたとき、この2つの外接線間の最短距離から求められる距離をいう。
本発明に適用する異形断面ガラス繊維は、珪酸塩を主成分とするガラスを繊維状に加工処理したものであり、一般用アルカリガラス(Aガラス)、化学用耐酸ガラス(Cガラス)、低密度ガラス(Dガラス)、ホウケイ酸ガラス(Eガラス)等のいずれかの材質からなるものでもよい。これらの材質の中でも、得られる成形体が高い強度を有するという点でEガラスが好ましい。したがって、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物においては、Eガラスからなる異形断面ガラス繊維を用いることが好ましい。
ここで、異形断面ガラス繊維の典型的な断面形状である、楕円状、長円状又は繭形状の断面形状について説明する。
楕円状とは、長方形に内接しうる楕円や菱形に外接しうる楕円のような本質的な楕円に加え、卵形状を含む概念である。
このような楕円状の異形比について説明する。楕円外周に任意の1点を取り、この1点に外接する外接線を引く。そして、この外接線と平行となるもう1つの外接線を引く。これら2つの外接線の最短距離を径とし、この径の中で、最大の長さを最大径の長さ、最小のものを最小径の長さとしたとき、最大径の長さ/最小径の長さが異形比となる。
図1は、楕円状の断面形状を模式的に表す断面図である。かかる形状では、図1のように、最大径の長さd10及び最小径の長さd11が得られ、この比(d10/d11)から異形比が求められる。
図2は、長円状の断面を模式的に表す断面図である。かかる形状においては、最大径の長さd20と最小径の長さd21は、図2のように定義され、この比(d20/d21)から異形比が求められる。
繭形状とは、真円又は楕円の周部が部分的に円内部に屈曲するような外周を呈する形状を意味する。図3は、典型的な繭形状の断面形状を模式的に表す断面図である。かかる繭形状においても、前記の楕円状の場合と同様にして、最大径及び最小径を求め、異形比を算出することができる。図3のような形状である場合、最大径の長さd30と最小径の長さd31は、図3のように定義され、この比(d30/d31)から異形比が求められる。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、例えば前記特許文献1に記載されているような従来の液晶ポリエステル樹脂組成物よりも優れた成形加工性、特に優れた薄肉加工性を発現する。定かではないが、本発明者らは下記のような仮説を提案できる。異形断面ガラス繊維は、液晶ポリエステル樹脂と一緒になって、溶融成形して成形体を得るとき、異形断面ガラス繊維自体の会合等が十分抑制されることにより、溶融樹脂中でガラス繊維がより分散されやすくなる。そして、異形断面ガラス繊維の数平均繊維長が0.5mm以下であると、溶融樹脂中のガラス繊維の分散性が一層良好になる。そうすると、より少ない異形断面ガラス繊維添加量で良好な機械強度の成形体を得ることができる。結果として、使用するガラス繊維量の使用量が低減できることに繋がり、液晶ポリエステル樹脂自身の配向性が良好に発現して、より薄肉加工性が優れたものとなると推定される。
このような断面形状の異形比は大であるほど、溶融樹脂中の異形断面ガラス繊維の会合を抑制できるものであるが、異形断面ガラス繊維の製造上の容易さを勘案すると、断面形状の異形比は6以下であることが好ましい。
このような非円形の断面形状を有する異形断面ガラス繊維は、例えば、特開昭61−174141号公報又は特開昭61−219731号公報に記載された、非円形形状を有するノズルから溶融ガラスを紡出する方法により製造される。
また、日東坊(株)から異形断面ガラス繊維(繊維長:3mm)を入手することも可能であり、このような市販の異形断面ガラス繊維を、数平均繊維長が0.5mm以下になるように裁断することで、製造することができる。
本発明に適用する異形断面ガラス繊維の数平均繊維長は0.5mm以下であり、0.3mm以下であると好ましく、0.2mm以下であるとさらに好ましい。この数平均繊維長は、ガラス繊維を水と混合して分散させた後、ビデオマイクロスコープ(VH8000:キーエンス製)で観察し、取り込んだ画像を解析して求められた値である。なお、当該数平均繊維長の下限は、異形断面ガラス繊維の取扱の容易さによって定められるものであり、0.05mm以上であると好ましく、0.08mm以上であるとさらに好ましい。
このような異形断面ガラス繊維は、上述の溶融ガラスから製造する方法や、市販の異形断面ガラス繊維を裁断するようにして得ることができる。
本発明に適用する異形断面ガラス繊維は、通常ガラス繊維の取扱性を向上させるために使用されるような集束剤(例えば、シランカップリング剤、チタン系カップリング剤、エポキシ樹脂に代表される熱硬化性樹脂等の表面処理剤)で表面処理されていないことが好ましい。このような集束剤は、異形断面ガラス繊維の取扱を容易にできる反面、集束剤で処理された異形断面ガラス繊維を用いてなる液晶ポリエステル樹脂組成物は、その射出成形の際に、集束剤が熱によって劣化や分解を生じて、得られる成形体に悪影響を及ぼすことがある。集束剤の劣化や分解によって生じたガス(分解ガス)が成形体中に包埋されることがあるため、このような成形体を電気・電子部品に使用すると種々の問題を引き起こすおそれがあり、例えばハンダ付け工程でのガス発生による発泡などが典型的である。かかる不都合を良好に回避するためにも、本発明に適用する異形断面ガラス繊維は、集束剤による表面処理が行われていないものが好適である。ただし、集束剤が、その劣化や分解が生じない程度の使用量であるか、集束剤が分解しないようにして成形可能であり、且つ得られる成形体が発泡等を引き起こすような加熱処理を施さないものである場合、集束剤を用いて表面処理を施した異形断面ガラス繊維を用いてもよい。
<液晶ポリエステル樹脂>
本発明で使用される液晶ポリエステル樹脂は、光学的異方性の溶融体を400℃以下の温度で形成し得るポリエステル樹脂であり、エステル基の一部がアミド基に置き換わったようなポリエステルアミド樹脂も含む概念である。当該液晶ポリエステル樹脂の典型的なものとしては、
(1)1種又は2種以上の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合して得られる液晶ポリエステル樹脂
(2)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせを重合して得られる液晶ポリエステル樹脂
(3)芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジオールの組み合わせを重合して得られる液晶ポリエステル樹脂
(4)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させて得られる液晶ポリエステル樹脂
等が挙げられる。
なお、前記の芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール又は芳香族ヒドロキシカルボン酸の代わりに、それらのエステル形成性誘導体が使用されることもある。
液晶ポリエステル樹脂の構造単位としては下記のものを例示することができる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位:
Figure 2009249416

これらの構造単位は、その芳香環に結合する水素原子の一部が、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位:
Figure 2009249416

これらの構造単位は、その芳香環に結合する水素原子の一部が、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
芳香族ジオールに由来する構造単位:
Figure 2009249416
Figure 2009249416
これらの構造単位は、その芳香環に結合する水素原子の一部が、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
前記の構造単位における置換基について簡単に説明する。アルキル基としては、メチル、エチル、ブチル又はヘキシルのような炭素数1〜6程度の、直鎖、分岐、脂環のアルキル基が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるものである。
耐熱性、機械的特性、加工性のバランスから特に好ましい液晶ポリエステル樹脂は、前記(A1)で表される構造単位を、全構造単位の合計に対して少なくとも30モル%含むものである。具体的には、構造単位の組み合わせが下記(a)〜(f)のものが挙げられる。
(a):(A1)、(B1)及び(C1)の組合せ、又は(A1)、(B1)、(B2)及び(C1)の組合せからなる液晶ポリエステル樹脂
(b):(A1)及び(A2)からなる液晶ポリエステル樹脂
(c):(a)の構造単位の組み合わせにおいて、(A1)の一部を(A2)で置きかえた液晶ポリエステル樹脂
(d):(a)の構造単位の組み合わせにおいて、(B1)の一部を(B3)で置きかえた液晶ポリエステル樹脂
(e):(a)の構造単位の組み合わせにおいて、(C1)の一部を(C3)で置きかえた液晶ポリエステル樹脂
(f):(b)の構造単位の組み合わせに、(B1)と(C2)の構造単位を加えた液晶ポリエステル樹脂
本発明で用いる液晶ポリエステル樹脂の製造方法は、各種公知の方法を採用することができる。例えば、上記(a)、(b)の液晶ポリエステル樹脂の製造については、特公昭47−47870号公報、特公昭63−3888号公報等に記載されている。また、特開2002−146003号公報に記載されているような、窒素原子を2原子以上含む複素環状有機塩基化合物(例えば、1-メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール等)の存在下で、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシカルボン酸のフェノール性水酸基を脂肪酸無水物(例えば、無水酢酸等)でアシル化してアシル化物を得、次いで該アシル化物のアシル基と、芳香族ジカルボン酸及びアシル化された芳香族ヒドロキシカルボン酸のカルボキシル基とが、エステル交換を行なうようにして重合を行って、液晶ポリエステル樹脂を製造するといった製造方法も好適な態様である。また、このようにして重合を行って比較的低分子量の液晶ポリエステル樹脂を得た後、この低分子量の液晶ポリエステル樹脂に関し固相重合を行って高分子量化してもよい。このように固相重合を行うと、高分子量の液晶ポリエステル樹脂を製造することが可能であり、後述する好適な流動開始温度を示す液晶ポリエステル樹脂を得ることが容易となる。
前記の例示の中でも、本発明に適用する液晶ポリエステル樹脂としては、前記の構造単位で表して、(A1)、(C1)、(B1)及び/又は(B2)からなる液晶ポリエステル樹脂、すなわち、パラヒドロキシ安息香酸由来の構造単位[(A1)]と、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位[(C1)]と、テレフタル酸由来の構造単位[(B1)]及び/又はイソフタル酸由来の構造単位[(B2)]とを、有する液晶ポリエステル樹脂が好ましい。この場合、(C1)/(A1)のモル比率が0.2以上1.0以下であり、[(B1)+(B2)]/(C1)のモル比率が0.9以上1.1以下であり、(B2)/(B1)のモル比率が0より大きく1以下であるものが、より好ましい。
また、該液晶ポリエステル樹脂は、流動開始温度が270〜400℃であることが好ましく、280〜380℃であることがより好ましい。液晶ポリエステル樹脂の流動開始温度が、この範囲である場合、液晶ポリエステル樹脂自体の耐熱性が十分に発現され、成形時に液晶ポリエステル樹脂の熱分解が生じるおそれもなく、成形がより容易になるので好ましい。流動開始温度が、この範囲である液晶ポリエステル樹脂は、前記固相重合を用いる液晶ポリエステル樹脂の製造によって容易に得ることができる。なお、流動開始温度とは、内径1mm、長さ10mmのノズルを持つ毛細管レオメータを用い、9.8MPa(100kg/cm2)の荷重下において、4℃/分の昇温速度で加熱溶融体をノズルから押し出すときに、溶融粘度が4800Pa・s(48,000ポイズ)を示す温度を意味するものであり、当技術分野で周知の液晶ポリエステル樹脂の分子量を表す指標である(小出直之編、「液晶性ポリマー合成・成形・応用−」、95〜105頁、シーエムシー、1987年6月5日発行を参照、本発明においては、流動開始温度を測定する装置として、(株)島津製作所製の流動特性評価装置「フローテスターCFT−500D」を用いる)。
<液晶ポリエステル樹脂組成物>
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物において、異形断面ガラス繊維の使用量は、液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して5〜150重量部の範囲であるのが好ましく、より好ましくは15〜100重量部であり、さらに好ましくは20〜80重量部であり、特に好ましくは40〜70重量部である。異形断面ガラス繊維の使用量が、この範囲であると、液晶ポリエステル樹脂組成物を溶融押出成形してペレット状に組成物を調製する際、押出成形機のスクリュウへの噛み込み性が良好となり、ペレット加工時の可塑化が十分に安定となることから好ましい。さらには、このようにペレット状の液晶ポリエステル樹脂組成物を用いて成形体を得ると、得られる成形体は、より高度の機械強度を有し、外観も良好になるといった利点がある。
なお、上述のように異形断面ガラス繊維として、集束剤で表面処理されてなるものを使用する場合も、液晶ポリエステル樹脂組成物中の液晶ポリエステル樹脂と異形断面ガラス繊維の量比が前記の範囲であることが好ましい。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物を得るための配合手段としては、液晶ポリエステル樹脂と、異形断面ガラス繊維とを公知の方法で混合すればよい。また、液晶ポリエステル樹脂と、異形断面ガラス繊維とに加え、必要に応じ異形断面ガラス繊維以外の無機充填剤や添加剤などを用いることもできる。このような無機充填剤としては、シリカアルミナ繊維、ウォラストナイト、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、酸化チタンウィスカー等の繊維状あるいは針状の補強剤;炭酸カルシウム、ドロマイト、タルク、マイカ、クレイ、ガラスビーズなどの無機充填剤等が挙げられ、これらの無機充填剤は二種以上を混合して使用してもよい。
添加剤としては、染料、顔料などの着色剤;酸化防止剤;熱安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;界面活性剤;離型安定剤などが挙げられる。
また、少量であれば、液晶ポリエステル樹脂以外の熱可塑性樹脂を含有していてもよい。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテルおよびその変性物、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミドが挙げられる。
このような、無機充填剤、添加剤等を用いるときには、液晶ポリエステル樹脂の成形加工性を著しく損なわない範囲で、また、得られる成形体の必要とする特性を損なわない範囲で決定される。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物を製造するには、ペレット状に押出成形する方法が特に好ましく、ヘンシェルミキサー、タンブラー等を用いて混合した後、押出機を用いて溶融混練するといった溶融混練法が特に好ましい。該溶融混練法としては、全ての原材料を一括して混合した後で押出機へフィードしてもかまわないし、必要に応じて、異形断面ガラス繊維や、必要に応じて用いられる無機充填剤又は添加剤を、液晶ポリエステル樹脂を主体とする原材料とは別にフィードしてもかまわない。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物を用いてなる成形体は、公知の方法で成形することができるが、特に薄肉部を有するような成形体を成形する上で射出成形法が好ましい。
本発明の成形体は、コネクター、ソケット、リレー部品、コイルボビン、光ピックアップ、発振子、プリント配線板、コンピュータ関連部品等の電気・電子部品、特に比較的形状が複雑な電気・電子部品に特に好適に用いることができる。
なお、当該成形体は電気・電子部品以外にも、ICトレー、ウエハーキャリヤー等の半導体製造プロセス関連部品;VTR、テレビ、アイロン、エアコン、ステレオ、掃除機、冷蔵庫、炊飯器、照明器具等の家庭電気製品部品;ランプリフレクター、ランプホルダー等の照明器具部品;CDやDVDのプレーヤー、レーザーディスク(登録商標)プレーヤー、スピーカー等の音響製品部品;光ケーブル用フェルール、電話機部品、ファクシミリ部品、モデム等の通信機器部品;分離爪、ヒータホルダー等の複写機関連部品;インペラー、ファン、歯車、ギヤ、軸受け、モーター部品及びケース等の機械部品;自動車用機構部品、エンジン部品、エンジンルーム内部品、電装部品、内装部品等の自動車部品;マイクロ波調理用鍋、耐熱食器等の調理用器具;床材、壁材などの断熱、防音用材料、梁、柱などの支持材料、屋根材、等の建築資材または土木建築用材料;航空機部品、宇宙機部品、原子炉などの放射線施設部材、海洋施設部材、洗浄用治具、光学機器部品、バルブ類、パイプ類、ノズル類、フィルター類、膜、医療用機器部品及び医療用材料、センサー類部品、サニタリー備品、スポーツ用品、レジャー用品等にも使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、実施例中の薄肉流動長は以下の方法により測定した。
(1)ハンダ耐熱性:射出成形機(日精樹脂工業(株) PS40E5ASE)を用いてシリンダー温度350℃、金型温度130℃、射出速度75mm/秒でJIS K7113(1/2)号ダンベル試験片(厚さ1.2mm)を成形した。その後、得られた成型品を用い、所定の温度に加熱したハンダ浴に試験片を60秒浸漬し、取り出し後の試験片に膨れや変化がないかどうか外観状の変化を目視で観察した。ハンダ浴の温度を200℃から5℃ずつ昇温しながら試験を行い、膨れが確認されない最大の温度を耐ハンダ発泡温度とした。
(2)薄肉流動長:図4に示す薄肉流動長金型(0.3mmt)を用い、射出成形機(日精樹脂工業(株) PS10E1ASE)にてシリンダー温度330℃、350℃、370℃金型温度130℃、射出速度60%で成形した。取り出した成形品の、4個のキャビティー部の長さを測定し、5個の成形品の測定値をもって薄肉流動長とした。
製造例1
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、パラヒドロキシ安息香酸 994.5g(7.2モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル 446.9g(2.4モル)、テレフタル酸 299.0g(1.8モル)、イソフタル酸 99.7g(0.6モル)及び無水酢酸1347.6g(13.2モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、1−メチルイミダゾールを0.18g添加し、窒素ガス気流下で30分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して30分間還流させ、パラヒドロキシ安息香酸及び4,4'−ジヒドロキシビフェニルのフェノール性水酸基をアシル化した(アシル化工程)。その後、1−メチルイミダゾールを2.4g添加した後、留出する副生酢酸、未反応の無水酢酸を留去しながら2時間50分かけて320℃まで昇温した(重合工程)。トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた固形分は室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から295℃まで5時間かけて昇温し、295℃で3時間保持し、固相で重合反応を進め液晶ポリエステル樹脂(LCP1)を得た。LCP1の流動開始温度は327℃であった。
実施例1〜3、比較例1〜2
表1に示す重量組成比で、LCP1及び充填剤を配合した後、2軸押出機(池貝鉄工(株)PCM−30)を用いて、シリンダー温度340℃で造粒し、液晶ポリエステル樹脂組成物をペレット状で得た。得られた液晶ポリエステル樹脂組成物を成形し、前記した方法でハンダ耐熱性(耐ハンダ発泡温度)及び薄肉流動長を測定した。結果を表1に示す。なお、使用した充填剤は下記のとおりである。

円形断面ガラス繊維:日東紡(株)製PF70E001(数平均繊維長:70μm)
異形断面ガラス繊維:日東紡(株)CSG 3PA−820(カット長3mm)
(カット長3mmの異形断面ガラス繊維の断面形状は長円状
であり、アミノシラン系シランカップリング剤で表面処理
を行ったものである。)
異形断面ガラス繊維:日東紡(株)製(数平均繊維長:100、300、500μm)
(数平均繊維長:100、300、500μmの異形断面
ガラス繊維は、いずれも集束剤による表面処理を行って
いないものである。また、断面形状は長円状であり、
その異形比は4である。)
Figure 2009249416
異形断面ガラス繊維おいて、楕円状の断面形状を模式的に表す図である。 異形断面ガラス繊維おいて、長円状の断面形状を模式的に表す図である。 異形断面ガラス繊維おいて、繭型状の断面形状を模式的に表す図である。 実施例、比較例の薄肉流動長測定で使用した薄肉流動長測定用の金型を示す図である。

Claims (5)

  1. 液晶ポリエステル樹脂と、
    異形比が1.2以上である非円形の断面形状を有し、数平均繊維長が0.5mm以下である異形断面ガラス繊維とを、
    含有する液晶ポリエステル樹脂組成物。
  2. 前記液晶ポリエステル樹脂100重量部に対し、前記異形断面ガラス繊維が10〜200重量部である、請求項1に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
  3. 前記異形断面ガラス繊維において、断面形状の異形比が6以下であるである、請求項1又は2に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
  4. 前記異形断面ガラス繊維が、集束材を使用していないガラス繊維である、請求項1〜3のいずれか記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物を用いてなる成形体。
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