JP2002018841A - 液晶性樹脂ペレットの製造方法 - Google Patents
液晶性樹脂ペレットの製造方法Info
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Abstract
良好な液晶性樹脂ペレットの製造方法を提供する。 【解決手段】液晶性ポリマーを含有する液晶性樹脂を溶
融状態から紐状に押出し、冷却固化し、得られた紐状物
を切断して液晶性樹脂ペレットを製造する方法におい
て、該紐状物の切断時の温度が下記で定義される該液晶
性樹脂の流動開始温度より100℃乃至250℃低い液
晶性樹脂ペレットの製造方法。流動開始温度:内径1m
m、長さ10mmのノズルを有する毛細管型レオメータ
を用いて、9.81MPaの荷重下において、4℃/分
の昇温速度で加熱溶融物をノズルから押出すことで測定
される液晶性樹脂の溶融粘度が4,800Pa・Sを示
す温度。
Description
トの製造方法に関する。
する溶融液晶性ポリマー(以下液晶性ポリマーと呼
ぶ。)は、耐熱性が優れ、溶融時に流動性即ち加工性が
優れることから精密成形が可能な樹脂成形用材料として
電気電子分野をはじめとしてさまざまな分野で使用され
つつある。液晶性ポリマーにガラス繊維や炭素繊維に代
表される繊維状補強材や、シリカ、マイカ、クレー、ガ
ラスビーズ等の無機粉粒体等を充填した液晶性樹脂は、
薄肉部又は複雑な形状を有する電気・電子部品に好適な
材料となり、たとえばリレー部品、コイルボビン、コネ
クター、ボリューム部品、コンミテーターやセパレータ
ーなどのモーター部品、またはコイル、水晶振動子、I
Cチップなどの素子等の封止材などに使用されている。
高く、かつ溶融時の粘度が極めて低いため、例えば射出
成形に供するためのペレット状の液晶性樹脂を得るた
め、該液晶性樹脂を紐状に押出し、所望の長さに切断す
る工程において、形状が良好なペレットを安定的に製造
することが困難であった。具体的には、得られたペレッ
トの形状がいびつで不揃いであったり、切断面に髭状の
液晶性樹脂が付いたり、粉状のものが発生した。このよ
うなペレットを用いて射出成形を行おうとすると、ペレ
ットが成形機内部へ安定的にフィードされず成形工程上
大きな問題となった。
例えば、特開平8−192421号公報には、充填材を
含有しない液晶性ポリマーについて開示があるが、いま
だ安定的な製造には不十分であり、ガラス繊維やタルク
等の無機充填剤を含有した系への適用は難しかった。ま
た、特開平10−182839号公報、および同10−
180753号公報には、液晶性樹脂のコンパウンドの
製造方法が開示されているが、工業的にはいまだ十分な
ものではなかった。
の問題点を解決して、製造時の安定性に優れ、かつ作業
性、加工性が良好であり、形状が良好なペレットを得る
ことができる液晶性樹脂ペレットの製造方法を提供する
ことにある。
を解決するために鋭意検討した結果、液晶性樹脂を溶融
状態から紐状に押出し、続いて該紐状物(以下ストラン
ドと呼ぶことがある)を冷却固化し、該紐状物を切断し
て液晶性樹脂ペレットを製造するにあたり、該ストラン
ドの切断時の温度を特定の範囲内にすることで形状が良
好なペレットを安定的に製造できることを見出し、本発
明に至った。
含有する液晶性樹脂を溶融状態から紐状に押出し、冷却
固化し、得られた紐状物を切断して液晶性樹脂ペレット
を製造する方法において、該紐状物の切断時の温度が下
記で定義される該液晶性樹脂の流動開始温度より100
℃乃至250℃低い液晶性樹脂ペレットの製造方法に係
るものである。 流動開始温度:内径1mm、長さ10mmのノズルを有
する毛細管型レオメータを用いて、9.81MPaの荷
重下において、4℃/分の昇温速度で加熱溶融物をノズ
ルから押出すことで測定される液晶性樹脂の溶融粘度が
4,800Pa・Sを示す温度。さらに、本発明は、
(2)液晶性樹脂が液晶性ポリマー100重量部に対し
一種類または二種類以上の無機充填材を1乃至150重
量部含んでなる(1)記載の液晶性樹脂ペレットの製造
方法に係るものである。さらに、本発明は、(3)液晶
性ポリマーが、下記の式(A1)で表される繰り返し構
造単位を少なくとも全体の30モル%含む(1)または
(2)記載の液晶性樹脂ペレットの製造方法に係るもの
である。
本発明で使用される液晶性ポリマーとしては、液晶ポリ
エステル、液晶ポリエステルアミド、液晶ポリエステル
カーボネート、液晶ポリエステルエラストマーなどが挙
げられ、中でも液晶ポリエステル、液晶ポリエステルア
ミドなどが好ましく用いられる。該液晶ポリエステル
は、一般にサーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポ
リエステル類であり、(1)芳香族ジカルボン酸と芳香
族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボン酸との組み合わ
せからなるもの、(2)二種以上のの芳香族ヒドロキシ
カルボン酸からなるもの、(3)芳香族ジカルボン酸と
芳香族ジオールとの組み合わせよりなるもの、(4)ポ
リエチレンテレフタレートなどのポリエステルに芳香族
ヒドロキシカルボン酸を反応させたもの、等が挙げら
れ、400℃以下の温度で異方性溶融体を形成するもの
が成形加工の観点等から好ましいものである。なお、こ
れらの芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオールおよび芳香
族ヒドロキシカルボン酸の代わりに、それらのエステル
形成性誘導体が使用されることもある。
しては、下記のものを例示することができるが、これら
に限定されるものではない。
り返し構造単位: (式中、X1はハロゲン原子またはアルキル基を示
す。)
造単位: (式中、X2はハロゲン原子、アルキル基またはアリー
ル基を示す。)
ール基を示し、X4は、水素原子、ハロゲン原子または
アルキル基を示す)
ら特に好ましい液晶ポリエステルは、前記(A1)で表
される繰り返し構造単位を少なくとも30モル%含むも
のである。具体的には繰り返し構造単位の組み合わせが
下式(a)〜(f)のものが好ましい。 (a):(A1)、(B1)または(B1)と(B2)の混
合物、(C1)。 (b):(A1)、(A2)。 (c):(a)の構造単位の組み合わせのものにおい
て、(A1)の一部を(A2)で置きかえたもの。 (d):(a)の構造単位の組み合わせのものにおい
て、(B1)の一部を(B3)で置きかえたもの。 (e):(a)の構造単位の組み合わせのものにおい
て、(C1)の一部を(C2)で置きかえたもの。 (f):(b)の構造単位の組み合わせたものに
(B1)と(C1)の構造単位を加えたもの。 基本的な構造となる(a)、(b)の液晶ポリエステル
については、それぞれ、例えば特公昭47−47870
号公報、特公昭63−3888号公報等に記載されてい
る。
ス繊維、シリカアルミナ繊維、ウォラストナイト、炭素
繊維、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウ
ムウィスカー、酸化チタンウィスカー等の繊維状又は針
状の補強材;炭酸カルシウム、ドロマイト、タルク、マ
イカ、クレイ、ガラスビーズなどの無機粉粒体充填材が
挙げられ、その一種または二種以上を用いることができ
る。特に、本発明は、充填材としてガラス繊維および/
またはタルクを必須成分として含んでなる液晶性樹脂に
好適に用いられる。該無機充填材の含有量に特に限定は
ないが、液晶性ポリマー100重量部に対して1乃至1
50重量部の範囲が好適であり、さらに好ましくは1乃
至100重量部である。
本発明の目的を損なわない範囲で、染料、顔料などの着
色剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止
剤、界面活性剤などの通常の添加剤を一種以上添加する
ことができる。
は、少量の他の熱可塑性樹脂または少量の熱硬化性樹脂
の、一種または二種以上を添加することもできる。該熱
可塑性樹脂として、例えば、ポリアミド、ポリエステ
ル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、
ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテルおよびその
変性物、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポ
リエーテルイミド等が挙げられる。該熱硬化性樹脂とし
て、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミ
ド樹脂等が挙げられる。
おいては、樹脂、必要に応じて無機充填材、その他各種
充填材や添加材を、樹脂溶融状態で混練し、吐出口より
断面が円形の紐状に該混練物を押出すことが好ましい。
本発明の製造方法においては、公知の押出し機、好まし
くは溶融混練式押出し機により液晶性樹脂からなるスト
ランドを押出すことができる。該ストランドは、好まし
くは空冷および/または水冷により冷却固化させられな
がら引取られ、カッターにより所定の長さに切断され
る。切断に用いるカッターは、特に限定されないが、回
転歯と固定歯からなるカッターを用いることが一般的で
ある。
は、液晶性ポリマーを含有する液晶性樹脂を溶融状態か
ら紐状に押出し、冷却固化し、これを切断して液晶性樹
脂ペレットを製造する方法において、該紐状物の切断時
の温度が下記で定義される該液晶性樹脂の流動開始温度
より100℃乃至250℃低いことを特徴とする。流動
開始温度:内径1mm、長さ10mmのノズルを有する
毛細管型レオメータを用いて、9.81MPaの荷重下
において、4℃/分の昇温速度で加熱溶融物をノズルか
ら押出すことで測定される液晶性樹脂の溶融粘度が4,
800Pa・Sを示す温度。
出された液晶性樹脂の紐状物(ストランドを切断する時
の該ストランドの温度条件が重要であり、前記方法で定
義された液晶性樹脂の流動開始温度より100℃乃至2
50℃低い温度範囲内で切断される。さらに好ましくは
前記方法で定義された液晶性樹脂の流動開始温度より1
50℃乃至210℃低い温度範囲内で切断される。流動
開始温度より100℃未満低い温度範囲では、切断時に
ストランドが変形されて、吐出口の形と異なった断面を
有するペレットが得られる可能性が高くなる。例えば断
面が円形のストランドを押出しても、得られたペレット
の断面が偏平化する可能性が高い。このように偏平化さ
れたペレットが混入された場合は、その後の成形加工時
に問題が起こることがある。一方、切断時のストランド
の温度が流動開始温度より250℃以上低い場合は、ス
トランドが容易に切断できず工程上のトラブルを生じた
り、切断面にヒゲ状物が残ったり、ペレットの割れや破
損、切り屑による粉体の発生等の問題が生じたりする。
トは、様々な用途へ提供される。該ペレットの成形用途
としては特に限定はないが、例えば、コネクター、ソケ
ット、リレー部品、コイルボビン、光ピックアップ、発
振子、プリント配線板、コンピュータ関連部品、等の電
気・電子部品;ICトレー、ウエハーキャリヤー、等の
半導体製造プロセス関連部品;VTR、テレビ、アイロ
ン、掃除機、冷蔵庫、炊飯器、照明器具、等の家庭電気
製品部品;ランプリフレクター、ランプホルダー等の照
明器具部品;コンパクトディスク、レーザーディスク
(登録商標)、スピーカー、等の音響製品部品;光ケー
ブル用フェルール、電話機部品、ファクシミリ部品、等
の通信機器部品;分離爪、ヒータホルダー、等の複写機
関連部品;インペラー、ファン歯車、ギヤ、軸受け、モ
ーター部品およびケース、等の機械部品;自動車用機構
部品、エンジン部品、エンジンルーム内部品、電装部
品、内装部品等の自動車部品、マイクロ波調理用鍋、耐
熱食器、等の調理用器具または容器;床材、壁材などの
断熱、防音用材料、梁、柱などの支持材料、屋根材等の
建築資材、または土木建築用材料;自動車部品;航空
機、宇宙機、宇宙機器等の部品;原子炉等の放射線施設
部材、海洋施設部材、洗浄用治具、光学機器部品、バル
ブ類、パイプ類、ノズル類、フィルター類、膜、医療用
機器部品および医療用材料、センサー類部品、サニタリ
ー備品、スポーツ用品、レジャー用品などがある。
晶性樹脂ペレットから加工されたフィルム状、またはシ
ート状材料は工業的に有用な材料であり、表示装置用部
品、電気絶縁用フィルム、フレクシブル回路基板用フィ
ルム、包装用フィルム、記録媒体用フィルム、フィルタ
ー、膜等の用途に用いることができる。
晶性樹脂ペレットから加工された連続繊維、短繊維、パ
ルプ等の繊維状材料は、工業的に有用な材料であり、衣
料、耐熱断熱材、FRP用補強材、ゴム補強材、ロー
プ、ケーブル、不織布、等の用途に用いることができ
る。また、本発明の製造方法により得られた液晶性樹脂
ペレットは、塗料、コーティング用材料の原料に供する
ことができる。
れらに限定されるものではない。 実施例1〜4、比較例1〜4 以下の各成分を表1に示す組成、条件で、2軸押出機
(PCM30、池貝鉄工製、L/D25、一穴、ダイス
径 φ3mm)、水槽、ストランドカッター(田辺製、
固定刃と回転刃のクリアランス90μm)を用い、実施
例1、2、比較例1、2はシリンダー温度380℃、実
施例3、4、比較例3、4はシリンダー温度340℃で
造粒し、液晶性樹脂ペレットを得た。
240S、堀場製作所製:スポット径φ1.2mm、放
射率0.86)を用いて、ストランドカッターのカッタ
ー刃の直前の樹脂温度の測定を行った。
造単位(A1)、(B1)、(B2)、(C1)からなり、
(A1):(B1):(B2):(C1)のモル比が50:
23.75:1.25:25で、流動開始温度が380
℃の液晶ポリエステル[比重1.38]。
造単位(A1)、(B1)、(B2)、(C1)からなり、
(A1):(B1):(B2):(C1)のモル比が60:
15:5:20で、流動開始温度が325℃の液晶ポリ
エステル[比重1.38]。
[旭ファイバーグラス製、商品名:CS03JAPX−
1]。 ・ペレットの状態:目視で観察
mのノズルを有する毛細管型レオメータ(CFT500
島津製作所製)を用いて、9.81MPaの荷重下に
おいて、4℃/分の昇温速度で加熱溶融をノズルから押
出すことで測定される液晶ポリエステル樹脂の溶融粘度
が4,800Pa・Sを示す温度。 ・計量時間:得られたペレットを120℃で5時間乾燥
後、日精樹脂工業(株)製PS40E5ASE型射出成
形機を用いて、実施例1、2、比較例1,2はシリンダ
ー温度400℃、実施例3、4、比較例3、4はシリン
ダー温度350℃、金型温度130℃でASTM4号試
験片を成形し、連続20ショットの計量時間を測定し
た。
製PS40E5ASE型射出成形機を用いて、実施例
1、2、比較例1、2はシリンダー温度400℃、実施
例3、4、比較例3、4はシリンダー温度350℃、金
型温度130℃で射出成形を行い、下記試験片を得て、
下記測定を行った。結果を表1に示す。 ・曲げ強度:長さ127mm、幅12.7mm、厚さ
6.4mmの試験片を用いて、ASTM D790に準
拠して測定した。 ・荷重たわみ温度:長さ127mm、幅12.7mm、
厚み6.4mmの試験片を成形し、ASTM D648
に準拠し1.85MPaの荷重で測定した。
円柱状のきれいなペレットが得られ、計量時間も短く安
定し、機械的強度、耐熱性も良好であった。比較例1、
3では、切断時の温度の高いときに得られたペレットは
偏平であった。比較例2、4では、切断時の温度が低い
ときに得られたペレットは、切断面にヒゲや割れが発生
し、かさ比重も小さく、計量時間も長くなった。
は、製造時の安定性に優れ、かつ作業性、加工性が良好
であり、形状が良好なペレットを得ることができるの
で、工業的な価値が大きい。
Claims (4)
- 【請求項1】液晶性ポリマーを含有する液晶性樹脂を溶
融状態から紐状に押出し、冷却固化し、得られた紐状物
を切断して液晶性樹脂ペレットを製造する方法におい
て、該紐状物の切断時の温度が下記で定義される該液晶
性樹脂の流動開始温度より100℃乃至250℃低いこ
とを特徴とする液晶性樹脂ペレットの製造方法。流動開
始温度:内径1mm、長さ10mmのノズルを有する毛
細管型レオメータを用いて、9.81MPaの荷重下に
おいて、4℃/分の昇温速度で加熱溶融物をノズルから
押出すことで測定される液晶性樹脂の溶融粘度が4,8
00Pa・Sを示す温度。 - 【請求項2】液晶性樹脂が液晶性ポリマー100重量部
に対し一種類または二種類以上の無機充填材を1乃至1
50重量部含んでなることを特徴とする請求項1記載の
液晶性樹脂ペレットの製造方法。 - 【請求項3】無機充填材がガラス繊維および/またはタ
ルクであることを特徴とする請求項2記載の液晶性樹脂
ペレットの製造方法。 - 【請求項4】液晶性ポリマーが、下記の式(A1)で表
される繰り返し構造単位を少なくとも全体の30モル%
含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
液晶性樹脂ペレットの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000207956A JP2002018841A (ja) | 2000-07-10 | 2000-07-10 | 液晶性樹脂ペレットの製造方法 |
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