JP2018052081A - 成形材料及び成形材料の製造方法、並びに光学積層体及び光学積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂組成物をフィルムに加工した場合、フィルムにフィッシュアイ(FE)と呼ばれる欠陥が発生する場合があった。フィルムの品質向上のためには、フィッシュアイの発生率をなるべく少なくすることが好ましい。
本発明者らは、フィッシュアイの発生率が、フィルムの成形材料に含まれる、ペレット以外の粒子量に関係することを見出した。したがって、フィッシュアイの発生率を低減するために、成形材料に含まれるペレット以外の粒子量を低減することが望まれている。
[1] 脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂組成物からなるペレットを複数含み、ペレットの切断面に長さ0.3mm以上である突起を有するペレットの割合が25%以下である、成形材料。
[2] 500kgに含まれる目開き1mmのふるい下の粒子が5ppm以下である、[1]に記載の成形材料。
[3] 前記樹脂組成物が、5重量%以上20重量%以下の紫外線吸収剤をさらに含む、[1]又は[2〕に記載の成形材料。
[4] 脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂組成物からなるペレットを複数含み、ペレットの切断面に長さ0.3mm以上である突起を有するペレットの割合が25%以下である成形材料の製造方法であって、下記工程を含む製造方法:
脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂組成物をストランド状に押し出して押出物を得る工程、
前記押出物を冷却して固化物を得る工程、及び
前記固化物を(Tg−60)℃以上(Tg+5)℃以下の温度で切断して成形材料を得る工程、ただし前記脂環式構造を含有する重合体のガラス転移温度をTg(℃)とする。
[5] 切断が回転式カッターを用いて行われる、[4]に記載の製造方法。
[6] 前記樹脂組成物が紫外線吸収剤をさらに含む、[4]又は[5]に記載の製造方法。
[7] 第一外側層と、中間層と、第二外側層とを、この順に備える光学積層体であって、
前記中間層は、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の成形材料の成形体であり、
前記光学積層体の厚みが、20μm以上50μm以下である、
光学積層体。
[8] 前記中間層における、紫外線吸収剤の含有割合が5重量%以上20重量%以下であり、
前記第一外側層及び前記第二外側層は、紫外線吸収剤を含まない、
[7]に記載の光学積層体。
[9] 目視にて検出される径100μm以上の異物の数が、5個/m2以下であり、且つ、
目視にて検出される径50μm以上100μm未満の異物の数が、20個/m2以下である、[7]又は[8]に記載の光学積層体。
[10] [7]〜[9]のいずれか一項に記載の光学積層体の製造方法であって、
第一外側層が、樹脂(B)からなる層であり、
第二外側層が、樹脂(B’)からなる層であり、
前記製造方法が、前記成形材料、前記樹脂(B)及び前記樹脂(B’)を共押出することを含む、[7]〜[9]のいずれか一項に記載の光学積層体の製造方法。
本発明の成形材料は、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂組成物からなるペレットを複数含み、長さ0.3mm以上である突起を有するペレットの割合が25%以下である。
脂環式構造を含有する重合体は、その重合体の構造単位が脂環式構造を含有する重合体である。脂環式構造を含有する重合体は、通常、耐湿熱性に優れる。そのため、脂環式構造を含有する重合体を用いることにより、光学積層体の耐湿熱性を良好にできる。
樹脂組成物は、脂環式構造を含有する重合体を含んでいればよく、脂環式構造を含有する重合体以外に任意の成分を含んでいてもよい。
任意の成分としては、例えば、脂環式構造を含有する重合体以外の熱可塑性樹脂、及び、紫外線吸収剤、可塑剤、酸化防止剤などの添加剤が挙げられる。
脂環式構造を含有する重合体以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリフェニレンサルファイド等のポリアリーレンサルファイド;ポリビニルアルコール;ポリカーボネート;ポリアリレート;セルロースエステル重合体;ポリエーテルスルホン;ポリスルホン;ポリアリルサルホン;ポリ塩化ビニル;棒状液晶ポリマーなどが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、アゾメチン系紫外線吸収剤、インドール系紫外線吸収剤、ナフタルイミド系紫外線吸収剤、フタロシアニン系紫外線吸収剤が挙げられる。
可塑剤としては、例えば、フタル酸系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、多価アルコールエーテル・エステル系可塑剤、ヒドロキシカルボン酸エステル系可塑剤、及びエポキシ系可塑剤が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、及びリン系酸化防止剤が挙げられる。
樹脂組成物は、好ましくは紫外線吸収剤を含む。樹脂組成物が紫外線吸収剤を含む場合、紫外性吸収剤の含有量は、樹脂組成物に対して、好ましくは5重量%以上であり、より好ましくは7重量%以上であり、さらに好ましくは9重量%以上であり、好ましくは20重量%以下であり、より好ましくは18重量%以下であり、さらに好ましくは16重量%以下である。
ペレットは、通常、ストランド状に押し出された樹脂組成物を切断することにより形成される。ペレットの形状は、通常、切断面を底面とする柱状であり、例えば、円柱状、楕円柱状、角柱状(例、四角柱状)であってよい。
成形材料に含まれるペレットの大きさには特に限定はないが、ペレットが柱状である場合、底面の径は、通常2.2mm以上、通常2.6mm以下であり、ペレットの長さは通常3.0mm以上、通常5.0mm以下である。
ここで、突起の長さとは、ペレット断面を顕微鏡により観察した場合の、突起に外接する直方形の長辺の長さである。
突起の形状には特に限定はないが、例えば、薄片状、リボン状、針状であってよい。
突起はペレットの切断面上に存在する。
成形材料に含まれるあるペレットが、切断面に長さ0.3mm以上である突起を有する場合、そのペレットは該突起を一つのみ有していてもよいし、二つ以上有していてもよい。
成形材料に含まれるペレット中の、切断面に長さ0.3mm以上である突起を有するペレットの割合(%)としては、成形材料から30個のペレットを無作為に選び、30個のペレット中の、切断面に長さ0.3mm以上である突起を有するペレットの割合(%)を用いてよい。
成形材料に含まれるペレットのうち、切断面に長さ0.3mm以上である突起を有するペレットの割合は、好ましくは20%以下であり、より好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下であり、さらにより好ましくは5%以下である。長さ0.3mm以上である突起を有するペレットの割合は、少ないほど好ましい。
本発明の成形材料は、成形材料500kgに含まれる目開き1mmのふるい下の粒子が、好ましくは成形材料500kgに対して5ppm以下であり、より好ましくは4ppm以下であり、さらに好ましくは3ppm以下であり、さらにより好ましくは2ppm以下である。成形材料500kgに含まれる目開き1mmのふるい下の粒子は、少ないほど好ましく、成形材料500kgに対して0ppmであってもよい。
成形材料の分級は、公知の装置を用いて行うことができ、例えば、ブロースルー式ふるい機(例、東洋ハイテック製「ハイボルター」)、振動式ふるい機などに、目開き1mmのふるいを装着して行うことができる。
目開き1mmのふるい下の粒子の形状については特に限定はなく、例えば、薄片状、リボン状、針状であってよい。また粒子の材質についても特に限定はない。粒子は通常、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂組成物からなる。
上述した成形材料を製造する方法に限定はないが、例えば、下記工程を含む製造方法により製造することができる。
工程(1):脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂組成物をストランド状に押し出して押出物を得る工程、
工程(2):前記押出物を冷却して固化物を得る工程、及び
工程(3):前記固化物を(Tg−60)℃以上(Tg+5)℃以下の温度で切断して成形材料を得る工程、ただし前記脂環式構造を含有する重合体のガラス転移温度をTg(℃)とする。
工程(1)における、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂組成物については、[1.成形材料]において既に説明した樹脂組成物と同様である。樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含んでいてもよく、好ましくは紫外線吸収剤を含み、さらに好ましくは5重量%以上20重量%以下の紫外線吸収剤を含む。
工程(1)では、樹脂組成物をストランド状に押し出して押出物を得る。ストランド状とは、押し出し方向の長さが、押し出し方向と直交する方向の長さ以上である形状をいう。押出物はストランド状であればよく、押出物の断面の形状には限定がない。押出物の断面の形状は、例えば、多角形(例、四角形)、円形、楕円形であってよい。
樹脂組成物をストランド状に押し出す装置としては、公知の押出機を用いることができ、押出機としては、例えば、一軸押出機及び二軸押出機が挙げられ、二軸押出機が好ましい。
工程(2)では、工程(1)で得られた押出物を冷却して固化物を得る。冷却の方法に限定はなく、空気による冷却であっても、水による冷却であってもよい。冷却温度に限定はなく、樹脂組成物のガラス転移温度などに応じて設定してよいが、例えば、50℃以上、55℃以上、60℃以上であってよく、70℃以下、75℃以下、80℃以下であってよい。
工程(3)では、工程(2)で得られた固化物を、(Tg−60)℃以上(Tg+5)℃以下の温度で切断して成形材料を得る。ここで、(Tg−60)℃以上(Tg+5)℃以下の温度であることは、固化物の温度を測定することにより確認できるが、固化物を切断する器具又は器具近傍の温度を測定することにより確認してもよい。好ましくは、固化物は、固化物の温度が(Tg−60)℃以上(Tg+5)℃以下である状態で切断して成形材料を得る。固化物の温度は、例えば、赤外線放射温度計により測定し得る。
固化物を切断する際の温度は、好ましくは(Tg−60)℃以上であり、より好ましくは(Tg−55)℃以上であり、さらに好ましくは(Tg−50)以上であり、好ましくは(Tg+5)℃以下であり、より好ましくは(Tg+0)℃以下であり、さらに好ましくは(Tg−5)℃以下である。上記固化物を切断する際の好ましい温度は、好ましくは固化物の温度である。
工程(3)は、公知の装置で行うことができ、例えば、ペレタイザー(例、技研工機社製「ストランドカッター」)で行うことができる。
成形材料の製造方法は、上記工程(1)〜(3)以外に、必要に応じて任意の工程を含んでいてもよい。
任意の工程としては、例えば、ストランド状に押し出された押出物を移送する工程、成形材料を移送する工程、成形材料を脱水する工程、成形材料を乾燥する工程、成形材料を選別する工程、成形材料を計量する工程が挙げられる。
本発明の成形材料は、任意の成形物を製造するために使用することができるが、特にフィルム、シートを製造するために使用することができる。本発明の成形材料をフィルムとした場合には、フィッシュアイの発生を抑制し得るので、本発明の成形材料は、光学部材(例えば、光学積層体)の製造のために有用である。
また本発明は、光学積層体を提供する。
本発明の光学積層体は、第一外側層と、中間層と、第二外側層とを、この順に備え、前記中間層は、成形材料の成形体であり、厚みが、20μm以上50μm以下である。
図1は、本発明の一実施形態に係る光学積層体100を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、光学積層体100は、第一外側層110と、第二外側層120と、前記の第一外側層110及び第二外側層120の間に設けられた中間層130とを備える。よって、光学積層体100は、第一外側層110、中間層130及び第二外側層120を、この順に備える。通常、第一外側層110と中間層130とは、間に他の層を介することなく直接に接しており、中間層130と第二外側層120とは、間に他の層を介することなく直接に接している。
第1外側層または第2外側層の材料には特に限定はないが、第1外側層または第2外側層は、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂組成物からなることが好ましく、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂組成物からなるペレットを複数含み、ペレットの切断面に長さ0.3mm以上である突起を有するペレットの割合が25%以下である、成形材料の成形体であることがさらに好ましい。
また、第1外側層または第2外側層は、紫外線吸収剤を含んでいてもよいが、紫外線吸収剤を含まないことが好ましい。
光学積層体をエポキシ樹脂で包埋して、試料片を用意する。この試料片を、ミクロトームを用いて厚み0.05μmにスライスする。その後、スライスにより現れた断面を、顕微鏡を用いて観察することで、光学積層体に含まれる各層の厚みを測定しうる。
光学積層体は、波長380nmにおける光線透過率が小さいことが好ましい。波長380nmにおける光線透過率が小さい光学積層体は、中間層が紫外線吸収剤を含むことにより実現できる。光学積層体の波長380nmにおける具体的な光線透過率は、好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下、特に好ましくは5%以下である。波長380nmにおいてこのように低い光線透過率を有する光学積層体は、紫外線を遮断する能力に優れる。そのため、この光学積層体を偏光子保護フィルムとして用いた場合に、偏光子の偏光度の低下を抑制したり、偏光子の着色を抑制したりできる。
光学積層体を、黒板上に設置し、蛍光灯で照らす。蛍光灯から発せられて、光学積層体で反射した反射光を目視で観察して、異物を検出しうる。この際、異物の径は、ルーペを用いて測定しうる。
光学積層体を50℃で24時間乾燥し、デシケータ中で放冷する。次いで、乾燥した光学積層体の質量(M1)を測定する。
この光学積層体を、温度23℃、相対湿度50%の室内で24時間水に浸漬し光学積層体を水で飽和させる。その後、水から光学積層体を取り出し、24時間浸漬後の光学積層体の質量(M2)を測定する。
これらの質量の測定値から、次式により、光学積層体の飽和吸水率を求めうる。
飽和吸水率(%)=[(M2−M1)/M1]×100(%)
光学積層体の製造方法に制限は無い。光学積層体は、例えば、樹脂(B)、上述の成形材料(ここで、上述の本発明の成形材料を成形材料(A)と称する)及び樹脂(B’)をフィルム状に成形する工程を含む製造方法により、製造しうる。
樹脂(B)または樹脂(B’)として、それぞれ、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂組成物からなるペレットを複数含み、ペレットの切断面に長さ0.3mm以上である突起を有するペレットの割合が25%以下である、成形材料を用いてもよい。
樹脂(B)、成形材料(A)及び樹脂(B’)の成形方法としては、例えば、共押出法及び共流延法などが挙げられる。これらの成形方法の中でも、共押出法は、製造効率に優れ、光学積層体中に揮発性成分を残留させ難いので、好ましい。
ここで、算術平均粗さRaは、表面粗さ計を用い、JIS B0601:1994に基づき測定しうる。
[切断時のストランド(固化物)温度]
ペレタイザーに投入される直前のストランド(固化物)の温度を、赤外線放射温度計(HORIBA製「IT−550S」)により測定した。
成形材料からペレット30個を無作為に選び、各ペレットの断面を顕微鏡(OLYMPUS製「BX51」)により倍率50倍として観察した。ペレットの切断面に突起が存在する場合は、突起に外接する直方形を設定し、該直方形の長辺の長さを測定し、突起の長さとした。
ペレットの切断面に突起が存在しないペレットの個数と、突起が存在するが長さが0.3mm未満であるペレットの個数との合計を求め、ペレット30個中の、ペレットの切断面に長さ0.3mm以上である突起を有するペレットの割合(%)を算出した。
成形材料500kgを、目開き1mm(16メッシュ)のフィルター(1枚)が装着されたブロースルー式高性能ふるい機(東洋ハイテック製「ハイボルター」)を用いて分級した。該フィルター1枚を通過した粒子を集めて重量を測定し、成形材料500kg中の、目開き1mmのふるい下粒子の含有率(ppm)を算出した。
光学積層体の波長550nmにおける面内レターデーションReは、ポラリメーター(Axiometric社製「Axoscan」)を用いて測定した。
光学積層体の波長380nmにおける光線透過率は、JIS K 0115(吸光光度分析通則)に準拠して、分光光度計(日本分光社製の紫外可視近赤外分光光度計「V−570」)を用いて測定した。
光学積層体を、黒板上に設置し、蛍光灯で照らした。蛍光灯から発せられて、光学積層体で反射した反射光を目視で観察し、異物を検出した。また、検出された異物の径をルーペを用いて測定し、径100μm以上の異物と、径50μm以上100μm未満の異物に分類した。
(開環重合)
窒素で置換した反応器に、DCP、TCD及びMTFの混合物(DCP/TCD/MTF=55/40/5重量比)7部、並びに、シクロヘキサン1600部を加えた。前記のDCP、TCD及びMTFの混合物の量は、重合に使用するモノマー全量に対して重量1%である。
ここに、濃度0.65%の六塩化タングステンのシクロヘキサン溶液24.1部を添加して、55℃で10分間攪拌した。
得られた開環重合反応液を耐圧性の水素化反応器に移送した。この反応器に、ケイソウ土担持ニッケル触媒(日揮化学社製「T8400RL」、ニッケル担持率57%)1.4部、及び、シクロヘキサン167部を加え、180℃、水素圧4.6MPaで6時間、水素添加反応させた。この水素添加反応により、開環重合体の水素添加物を含む反応溶液を得た。この反応溶液から、ラジオライト#500を濾過床として、圧力0.25MPaで加圧濾過(石川島播磨重工社製、製品名「フンダフィルター」)によって水素化触媒を除去し、無色透明な溶液を得た。
乾燥させた樹脂組成物(J1)(ガラス転移温度は126℃である。)のペレット100部と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(ADEKA社製「LA−31」)7.0部とを、二軸押出機により混練し、樹脂組成物(J2)を得た。樹脂組成物(J2)における紫外線吸収剤の含有量は7.0重量%である。樹脂組成物(J2)からは、後述するように成形材料(S2−1)〜(S2−5)を製造した。
(開環重合)
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500部、1−ヘキセン0.82部、ジブチルエーテル0.15部、及びトリイソブチルアルミニウム0.30部を室温で反応器に入れ混合した後、反応系を45℃に保ちながら、MTF60部、TCD40部及び六塩化タングステン0.7%トルエン溶液40部を2時間かけて反応系内に連続的に添加し重合した。重合溶液にブチルグリシジルエーテル1.06部及びイソプロピルアルコール0.52部を加えて重合触媒を不活性化し重合反応を停止させ、開環重合体を含有する反応溶液を得た。
次いで、得られた開環重合体を含有する反応溶液100部に対して、シクロヘキサン270部を加え、さらに水素化触媒としてニッケル−アルミナ触媒(日揮化学社製)5部を加え、水素により4.9MPaに加圧して撹拌しながら温度200℃まで加温した後、4時間反応させ、開環重合体の水素添加物を20%含有する反応溶液を得た。この反応溶液から、ラジオライト#500を濾過床として、圧力0.25MPaで加圧濾過(石川島播磨重工社製、製品名「フンダフィルター」)によって水素化触媒を除去し、開環重合体の水素添加物を含む、無色透明な溶液を得た。
ペレットに含まれる開環重合体の水素添加物の重量平均分子量(Mw)は32,000、ガラス転移温度Tgは160℃であった。得られた成形材料(S3)の、切断面に長さ0.3mm以上の突起を有するペレットの割合は13%、成形材料500kg中の、目開き1mmのふるい下粒子の含有率は1.8ppmであった。
二軸押出機で混練した樹脂組成物(J2)を、溶融状態でダイスからストランド状に押し出して押出物を得た。次いで、ストランド状に押し出した押出物を、ダイス下に設置した水槽を通過させて冷却し、樹脂組成物(J2)のストランド(固化物)を得た。冷却したストランド(固化物)を、回転式カッターを備えたペレタイザー(技研工機社製「ストランドカッター」)により、切断時のストランド(固化物)の温度を70℃としてペレット状に切断することによって、樹脂組成物(J2)のペレットを含む成形材料(S2−1)を得た。
切断時のストランド温度を90℃とした以外は、実施例1と同様にして、成形材料(S2−2)を得た。結果を表1に示す。
切断時のストランド温度を100℃とした以外は、実施例1と同様にして、成形材料(S2−3)を得た。結果を表1に示す。
切断時のストランド温度を115℃とした以外は、実施例1と同様にして、成形材料(S2−4)を得た。結果を表1に示す。
切断時のストランド温度を50℃とした以外は、実施例1と同様にして、成形材料(S2−5)を得た。結果を表1に示す。
[製造例4:延伸前積層体の製造]
目開き3μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを備える、ダブルフライト型単軸押出機(スクリューの直径D=50mm、スクリューの長さLとスクリューの直径Dとの比L/D=28)を用意した。この単軸押出機に前記成形材料(S2−1)を導入し、溶融させて、フィードブロックを介して単層ダイに供給した。単軸押出機への成形材料(S2−1)の導入は、単軸押出機に装填されたホッパーを介して行った。また、前記の単層ダイのダイスリップの表面粗さ(算術平均粗さRa)は、0.1μmであった。さらに、成形材料(S2−1)の溶融体の、押出機出口温度は、260℃であった。
その後、前記の延伸前積層体の両端をトリミングして、幅を1230mmとした。
前記の延伸前積層体(f1)を、その長手方向に搬送して、テンター延伸機に連続的に供給した。そして、前記のテンター延伸機によって延伸前積層体を連続的に延伸し、更に幅方向の両端をトリミングして、幅1290mm、総厚み32μmの長尺の延伸積層体を得た。前記の延伸は、延伸後に得られる延伸積層体の遅相軸が、当該延伸積層体の幅方向に対して45°の角度をなすように、斜め方向に行った。その後、製造された延伸積層体(f2)をロール状に巻き取って回収した。
前記[製造例4]にて成形材料(S2−1)を成形材料(S2−2)に変更した以外は、実施例5と同様にして、延伸前積層体(f3)と延伸積層体(f4)を得た。得られた延伸前積層体(f3)は、成形材料(S1)の成形体である、樹脂組成物(J1)からなる層、中間層としての、成形材料(S2−2)の成形体である、樹脂組成物(J2)からなる層、及び、成形材料(S1)の成形体である、樹脂組成物(J1)からなる層をこの順に備える、2種3層のフィルムであった。得られた延伸積層体(f4)を、光学積層体として、上述した方法によって評価した。その結果、延伸積層体の面内レターデーションReは99nm、延伸積層体の波長380nmにおける光線透過率は1.50%、延伸積層体において検出された径100μm以上の異物数は2個/m2、50μm以上100μm未満の異物数は5個/m2であった。
前記[製造例4]にて成形材料(S2−1)を成形材料(S2−2)に変更し、成形材料(S1)を成形材料(S3)に変更とした以外は、実施例5と同様にして、延伸積層体(f5)を得た。得られた延伸積層体(f5)は、成形材料(S3)の成形体である、樹脂組成物(J3)からなる層、中間層としての、成形材料(S2−2)の成形体である、樹脂組成物(J2)からなる層、及び、成形材料(S3)の成形体である、樹脂組成物(J3)からなる層をこの順に備える、2種3層のフィルムであった。得られた延伸積層体(f5)を、光学積層体として、上述した方法によって評価した。その結果、延伸積層体の面内レターデーションReは5nm、延伸積層体の波長380nmにおける光線透過率は0.10%、延伸積層体において検出された径100μm以上の異物数は1個/m2、50μm以上100μm未満の異物数は3個/m2であった。
前記[製造例4]にて成形材料(S2−1)を成形材料(S2−5)に変更とした以外は、実施例5と同様にして、延伸前積層体(f6)と延伸積層体(f7)を得た。得られた延伸前積層体(f6)は、成形材料(S1)の成形体である、樹脂組成物(J1)からなる層、中間層としての、成形材料(S2−5)の成形体である、樹脂組成物(J2)からなる層、及び、成形材料(S1)の成形体である、樹脂組成物(J1)からなる層をこの順に備える、2種3層のフィルムであった。得られた延伸積層体(f7)を、光学積層体として、上述した方法によって評価した。その結果、延伸積層体の面内レターデーションReは99nm、延伸積層体の波長380nmにおける光線透過率は1.50%、延伸積層体において検出された径100μm以上の異物数は10個/m2、50μm以上100μm未満の異物数は30個/m2であった。
110 第一外側層
120 第二外側層
130 中間層
Claims (10)
- 脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂組成物からなるペレットを複数含み、ペレットの切断面に長さ0.3mm以上である突起を有するペレットの割合が25%以下である、成形材料。
- 500kgに含まれる目開き1mmのふるい下の粒子が5ppm以下である、請求項1に記載の成形材料。
- 前記樹脂組成物が、5重量%以上20重量%以下の紫外線吸収剤をさらに含む、請求項1又は2に記載の成形材料。
- 脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂組成物からなるペレットを複数含み、ペレットの切断面に長さ0.3mm以上である突起を有するペレットの割合が25%以下である成形材料の製造方法であって、下記工程を含む製造方法:
脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂組成物をストランド状に押し出して押出物を得る工程、
前記押出物を冷却して固化物を得る工程、及び
前記固化物を(Tg−60)℃以上(Tg+5)℃以下の温度で切断して成形材料を得る工程、ただし前記脂環式構造を含有する重合体のガラス転移温度をTg(℃)とする。 - 切断が回転式カッターを用いて行われる、請求項4に記載の製造方法。
- 前記樹脂組成物が紫外線吸収剤をさらに含む、請求項4又は5に記載の製造方法。
- 第一外側層と、中間層と、第二外側層とを、この順に備える光学積層体であって、
前記中間層は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の成形材料の成形体であり、
前記光学積層体の厚みが、20μm以上50μm以下である、
光学積層体。 - 前記中間層における、紫外線吸収剤の含有割合が5重量%以上20重量%以下であり、
前記第一外側層及び前記第二外側層は、紫外線吸収剤を含まない、
請求項7に記載の光学積層体。 - 目視にて検出される径100μm以上の異物の数が、5個/m2以下であり、且つ、
目視にて検出される径50μm以上100μm未満の異物の数が、20個/m2以下である、請求項7又は8に記載の光学積層体。 - 請求項7〜9のいずれか一項に記載の光学積層体の製造方法であって、
第一外側層が、樹脂(B)からなる層であり、
第二外側層が、樹脂(B’)からなる層であり、
前記製造方法が、前記成形材料、前記樹脂(B)及び前記樹脂(B’)を共押出することを含む、請求項7〜9のいずれか一項に記載の光学積層体の製造方法。
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