JP2003012898A - 液晶ポリエステル樹脂混合物 - Google Patents
液晶ポリエステル樹脂混合物Info
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Abstract
形を行うことができ、かつ機械特性および熱安定性が優
れた成形体を製造し得る液晶ポリエステル樹脂混合物を
提供する 【解決手段】液晶ポリエステル100重量部と充填剤0
〜150重量部を含有してなる液晶ポリエステル樹脂組
成物100重量部に対して、分子量10,000以上の
高分子量ポリエチレン0.001〜2重量部を、該液晶
ポリエステル樹脂組成物の流動温度未満で混合してなる
ことを特徴とする液晶ポリエステル樹脂混合物。
Description
樹脂混合物、該樹脂混合物を用いて得られる成形体およ
び該液晶ポリエステル樹脂成形体の製造方法に関する。
晶型(サーモトロピック液晶)ポリマーと呼ばれるもの
であり、溶融流動性が極めて優れており、また300℃
以上の耐熱性を有することから、その成形体は、電子部
品をはじめ、OA部品、AV部品、耐熱容器等の用途に
使用されている。該成形体を得る方法としては、射出成
形が一般的である。射出成形においては、射出ユニット
における計量工程にかかる時間(可塑化時間)が一定で
安定していること、その可塑化時間が金型ユニットにお
ける冷却工程にかかる時間(冷却時間)以内であること
が必要である。しかしながら、液晶ポリエステル樹脂で
は、可塑化時間が一定せず不安定になるため、冷却時間
内に可塑化が終了しない場合があり、一定サイクルで成
形を行うことが難しく、生産性が低下すると同時に成形
品の品質にも悪影響を与えるという問題があった。
えば、特開平8−12863号公報には、液晶ポリエス
テル樹脂と充填材からなる液晶ポリエステル樹脂組成物
にフッ素樹脂を混合することが開示されている。しかし
ながら、耐熱性の高い液晶ポリマーに対して、融点が低
く高温下で分解を伴い易い樹脂を併用しているために、
樹脂の分解によって発生するガスによる成形体の表面外
観の悪化や、可塑化時間が一定せず不安定になるという
問題があった。
した可塑化時間を有し、一定サイクルで成形を行うこと
ができ、かつ機械特性および熱安定性が優れた成形体を
製造し得る液晶ポリエステル樹脂混合物を提供すること
にある。
ような問題がない液晶ポリエステル樹脂混合物を見出す
べく鋭意検討を重ねた結果、液晶ポリエステル樹脂組成
物に、分子量10,000以上の高分子量ポリエチレン
を特定量配合してなる液晶ポリエステル樹脂混合物が、
安定した可塑化時間を有し、一定サイクルで成形を行う
ことができ、しかも機械特性および熱安定性が優れた成
形体を製造し得ることを見出し、本発明を完成させるに
至った。
00重量部と充填剤0〜150重量部を含有してなる液
晶ポリエステル樹脂組成物100重量部に対して、分子
量10,000以上の高分子量ポリエチレン0.001
〜2重量部を、該液晶ポリエステル樹脂組成物の流動温
度未満で混合してなることを特徴とする液晶ポリエステ
ル樹脂混合物を提供するものである。
テルは、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリ
エステルであり、例えば、(1)1種または2種以上の
芳香族ヒドロキシカルボン酸からなるもの、(2)芳香
族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせからな
るもの、(3)芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジ
カルボン酸および芳香族ジオールの組み合わせからなる
もの、(4)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエ
ステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させたも
の、などが挙げられ、400℃以下の温度で異方性溶融
体を形成するものである。なお、これらの芳香族ヒドロ
キシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール
の代わりに、それらのエステル形成性誘導体を使用した
ものでもよい。カルボン酸のエステル形成性誘導体とし
ては、例えば、カルボキシル基が、酸塩化物、酸無水物
などの反応活性が高く、ポリエステルを生成する反応を
促進するような誘導体となっているもの、カルボキシル
基が、アルコール類やエチレングリコールなどとエステ
ルを形成しており、エステル交換反応によりポリエステ
ルを生成するような誘導体となっているものなどが挙げ
られる。またフェノール性水酸基のエステル形成性誘導
体としては、例えば、フェノール性水酸基が、カルボン
酸類とエステルを形成しており、エステル交換反応によ
りポリエステルを生成するような誘導体となっているも
のが挙げられる。また、芳香族ヒドロキシカルボン酸、
芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールは、エステル
形成性を阻害しない程度であれば、メチル基、エチル基
などのアルキル基、ハロゲン原子、アリール基などで置
換されていてもよい。
しては下記のものを例示することができるが、これらに
限定されるものではない。
り返し構造単位: 上記の繰り返し構造単位は、ハロゲン原子またはアルキ
ル基で置換されていてもよい。
造単位: 上記の繰り返し構造単位は、ハロゲン原子、アルキル基
またはアリール基で置換されていてもよい。
位: 上記の繰り返し構造単位は、ハロゲン原子、アルキル基
またはアリール基で置換されていてもよい。
族ジカルボン酸および芳香族ジオールに由来する繰り返
し構造単位中、アルキル基としては、炭素数1〜6のア
ルキル基が好ましく、アリール基としては、炭素数6〜
20のアリール基が好ましい。
ら液晶ポリエステルは、前記(A1)で表される繰り返
し構造単位を少なくとも30モル%含むことが好まし
い。繰り返し構造単位の好ましい組み合わせとしては、
例えば、下記(a)〜(f)が挙げられる。 (a):(A1)、(B1)、(C1)、または、
(A1)、(B1)と(B2)の混合物、(C1)。 (b):(A1)、(A2)。 (c):(a)の構造単位の組み合わせのものにおい
て、(A1)の一部を(A2)で置きかえたもの。 (d):(a)の構造単位の組み合わせのものにおい
て、(B1)の一部を(B3)で置きかえたもの。 (e):(a)の構造単位の組み合わせのものにおい
て、(C1)の一部を(C3)で置きかえたもの。 (f):(b)の構造単位の組み合わせのものに、(B
1)と(C2)の構造単位を加えたもの。
知の方法により製造することができる。例えば、上記
(a)、(b)の液晶ポリエステルについては、特公昭
47−47870号公報、特公昭63−3888号公報
等に記載の方法により製造できる。
要に応じて充填材を添加してもよい。充填材を添加する
場合は、液晶ポリエステル100重量部に対して充填材
を150重量部以下、好ましくは10〜100重量部添
加する。充填材の配合割合が150重量部を超えると、
組成物の溶融粘度が高くなり、造粒性および成形性が低
下する。
ス繊維、炭素繊維、金属繊維、アルミナ繊維、ボロン繊
維、チタン酸繊維、アスベストなどの無機繊維、炭酸カ
ルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、カオリン、
タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ガラスビー
ズ、石英砂、けい砂、ワラストナイト、ドロマイト、各
種金属粉末、カーボンブラック、グラファイト、硫酸バ
リウム、チタン酸カリウム、焼石膏などの粉末、炭化け
い素、アルミナ、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウ
ム、ボロンナイトライトや窒化けい素等の球状あるいは
板状の粒子からなる粉末またはウイスカー、木粉、やし
殻粉、くるみ粉、パルプ粉等の木質粉などが用いられ
る。
段は特に限定されない。例えば、液晶ポリエステルと充
填材、必要に応じて離型改良剤、着色剤等を、ヘンシェ
ルミキサー、タンブラー等を用いて混合した後、押出機
を用いて溶融混錬する方法などが挙げられる。本発明に
用いられる液晶ポリエステル樹脂組成物は、高分子量ポ
リエチレンとの混合を容易にするため、ペレット状、チ
ップ状あるいは粉末状であることが好ましい。
は、分子量10,000以上のものである。分子量が1
0,000未満であると、可塑化時間が一定せず、一定
サイクルで成形することができない。
易にし、かつ成形時の分散を効果的にするため、該高分
子量ポリエチレンは、平均粒径1000μm以下の粉末
状であることが好ましく、平均粒径200μm以下の粉
末状であることがより好ましい。
リエステル樹脂組成物100重量部に対して、0.00
1〜2重量部であり、好ましくは0.001〜0.1重
量部である。高分子量ポリエチレンの配合量が2重合部
を超えると、成形加工時にポリエチレンンの分解に起因
するガスが発生し、成形品にふくれが生じ易くなるとと
もに該成形品からの発生ガスにより成形体の表面外観が
悪化する。また、高分子量ポリエチレンの配合量が0.
001重量部未満であると、目的とする可塑化時間の安
定化効果が不十分となる。
は、上記した高分子量ポリエチレンに加え、本発明の目
的を損なわない範囲で、高級脂肪酸金属塩、リン化合
物、フッ素樹脂などの外部滑剤効果を有するものを添加
してもよい。
物には、本発明の目的を損なわない範囲で、染料、顔料
等の着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯
電防止剤、界面活性剤などの通常の添加剤を添加しても
よい。さらに、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニ
レンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネー
ト、ポリフェニレンエーテル、ポリスルフォン、ポリエ
ーテルスルフォン、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹
脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂
等の熱硬化性樹脂を少量添加してもよい。
液晶ポリエステル樹脂組成物と高分子量ポリエチレンと
を該液晶ポリエステル樹脂組成物の流動温度以下で混合
することにより得ることができる。なお、該液晶ポリエ
ステル樹脂組成物の流動温度以下で混合する限りは、混
合方法は特に限定されない。例えば、液晶ポリエステル
樹脂組成物の粒子と高分子量ポリエチレン粉末とを固体
状態のまま室温あるいは加温雰囲気中、ヘンシェルミキ
サー、タンブラー等を用いて混合する方法などが挙げら
れる。ここで、流動温度とは、4℃/分の昇温速度で加
熱された樹脂を荷重100Kgf/cm2のもとで、内
径1mm、長さ10mmのノズルから押し出すときに、
溶融粘度が48000ポイズを示す温度を意味する。
しているため、射出成形、押出成形(フィルム成形、イ
ンフレーション成形含む)、射出圧縮成形などのシリン
ダー内で一定量の樹脂ペレットをスクリュウを用いて加
熱溶融して計量する構造の装置を用いる成形方法に好適
に使用することができる。例えば、射出成形において
は、射出ユニットにおける計量工程にかかる時間(可塑
化時間)が一定で安定しているので、溶融状態が安定化
し、ショートショットやバリなどの不良現象が発生しな
い成形条件を容易に見出すことができる。
ー、ソケット、リレー部品、コイルボビン、光ピックア
ップ、発振子、プリント配線板、 コンピュータ関連部
品等の電気・電子部品;ICトレー、ウエハーキャリヤ
ー等の半導体製造プロセス関連部品;VTR、テレビ、
アイロン、エアコン、ステレオ、掃除機、冷蔵庫、炊飯
器、照明器具等の家庭電気製品部品;ランプリフレクタ
ー、ランプホルダー等の照明器具部品;コンパクトディ
スク、レーザーディスク(登録商標)、スピーカー等の
音響製品部品;光ケーブル用フェルール、電話機部品、
ファクシミリ部品、モデム等の通信機器部品;分離爪、
ヒータホルダー等の複写機、印刷機関連部品;インペラ
ー、ファン歯車、ギヤ、軸受け、モーター部品及びケー
ス等の機械部品;自動車用機構部品、エンジン部品、エ
ンジンルーム内部品、電装部品、内装部品等の自動車部
品、マイクロ波調理用鍋、耐熱食器等の調理用器具;床
材、壁材などの断熱、防音用材料、梁、柱などの支持材
料、屋根材等の建築資材、または土木建築用材料;航空
機、宇宙機、宇宙機器用部品;原子炉等の放射線施設部
材、海洋施設部材、洗浄用治具、光学機器部品、バルブ
類、パイプ類、ノズル類、フィルター類、膜、医療用機
器部品及び医療用材料、センサー類部品、サニタリー備
品、スポーツ用品、レジャー用品などの原料として好適
に用いられる。
フィルム状、またシート状材料はまたそれらから加工さ
れた材料は工業的に有用な材料であり、表示装置用部
品、電気絶縁用フィルム、フレクシブル回路基板用フィ
ルム、包装用フィルム、記録媒体用フィルム等の用途に
用いられる。本発明の樹脂混合物は押出し成形性に優れ
るため、樹脂成形品、金属部品の被覆材として有用であ
り、配管被覆、電線被覆などさまざまな分野の被覆に用
いることができる。本発明の樹脂混合物から加工された
連続繊維、短繊維、パルプ等の繊維状材料、及びそれら
から加工された材料は工業的に有用な材料であり、衣
料、耐熱断熱材、FRP用補強材、ゴム補強材、ロー
プ、ケーブル、不織布等の用途に用いることができる。
本発明が実施例により限定されるものではないことは言
うまでない。
験は次の方法で行った。 (1)射出成形時の可塑化時間:ASTM4号試験片を
成形し、その連続50ショットの平均可塑化時間、およ
びその標準偏差を算出した。 (2)引張特性 ASTM4号引張ダンベルを成形し、ASTM D63
8に準拠して測定した。
対量:JIS1(1/2)号ダンベル(厚み0.8mm)
を成形し、得られた成形品を長さ5mm、幅5mm、厚み0.
8mmのチップに切削した。このチップ4gを精秤し、
蒸留水で洗浄後、真空乾燥した25ccのバイアル瓶に
入れ、ポリテトラフルオロエチレンからなるパッキング
でシール後、120℃に設定した熱風乾燥機の中で20
時間加熱し、成形品からガスを発生させた。このバイア
ル瓶を(株)島津製作所製ヘッドスペースガスクロマト
グラフ(GC−15A/HSS−3A)に装着し、12
0℃に保ちながら、充填剤としてHR−1701(信和
化学工業(株)製)を用いた50m×φ0.25mmの
カラムに注入し、注入と同時にカラム温度を40℃で5
分間保持し、10℃/分で280℃まで昇温し、その後
5分間保持させ、スタートから34分までのガスの総量
をディテクターで検出した。ディテクターとしてはFI
D型を用い、キャリヤーガスにはヘリウムを用いた。こ
のガスの相対量は各種ガスの総面積で表され、この値で
成形品から発生するガスの相対量を比較した。この値が
大きいほど成形品からの低沸点ガスの発生が多いことを
表す。また34分までに検出されるガスはガスクロマト
グラフィー質量分析から、発生ガスは、芳香族炭化水
素、脂肪族炭化水素、酢酸、フェノール類であることを
確認した。
A1:B1:B2:C1のモル比が60:15:5:20であ
り、上記で定義された流動温度が324℃である液晶ポ
リエステルとミルドガラスファイバー(セントラルガラ
ス(株)製EFH75-01)を重量比で60:40となるように
ヘンシェルミキサーで混合後、二軸押出機(池貝鉄工
(株)製PCM-30型)を用いてシリンダー温度340℃で造
粒し、液晶ポリエステル樹脂組成物を得た。得られた液
晶ポリエステル樹脂組成物はいずれのものも平均粒径2
mm、長さ2.5mmの円柱状であった。得られた液晶
ポリエステル樹脂組成物100重量部に対し、可塑化時
間の安定性の改良を目的として高分子量ポリエチレン
を、表1記載の重量部添加して、タンブラーを用いて室
温で混合し、液晶ポリエステル樹脂混合物を得た。これ
らの液晶ポリエステル樹脂混合物を150℃で3時間乾
燥後、射出成形機(日精樹脂工業(株)製 PS40E5
ASE)を用いて、シリンダー温度350℃、金型温度
130℃でJIS4号ダンベル(厚み2.5mm)で成形
し、連続50ショットの可塑化時間を測定し、その安定
性を評価した。また、得られた成形品から引張物性を評
価し、JIS1(1/2)ダンベルを成形し得られたダ
ンベル片から発生ガス量を測定した。同様にして、高分
子量ポリエチレンを無添加の液晶ポリエステル樹脂組成
物(比較例1)についても、可塑化時間の安定性、引張
物性、発生ガス量を測定した。
樹脂組成物と特定量混合したものは、その他の系に比
べ、可塑化時間が短縮され、かつ安定的に可塑化されて
いるとともに、優れた機械物性を有し、成形品からの発
生ガスも低いレベルであることがわかる。なお、表1に
おいて使用したポリエチレンは乳鉢ですりつぶし、20
0メッシュ以下として用いた。
用いることにより、可塑化時間が安定しているため、一
定サイクルで成形を行うことができ、かつ機械特性およ
び熱安定性が優れた成形体を製造することが可能とな
る。
Claims (4)
- 【請求項1】液晶ポリエステル100重量部と充填剤0
〜150重量部を含有してなる液晶ポリエステル樹脂組
成物100重量部に対して、分子量10,000以上の
高分子量ポリエチレン0.001〜2重量部を、該液晶
ポリエステル樹脂組成物の流動温度未満で混合してなる
ことを特徴とする液晶ポリエステル樹脂混合物。 - 【請求項2】液晶ポリエステルが、下記A1式で表され
る繰り返し構造単位を少なくとも30モル%含む樹脂で
ある請求項1記載の樹脂混合物。 - 【請求項3】請求項1または2記載の樹脂混合物を、加
熱溶融して計量する構造を有する装置を用いて成形して
得られることを特徴とする液晶ポリエステル樹脂成形
体。 - 【請求項4】請求項1または2記載の樹脂混合物を、加
熱溶融して計量する構造を有する装置を用いて成形する
ことを特徴とする液晶ポリエステル樹脂成形体の製造方
法。
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