JP3362486B2 - 液晶性樹脂組成物、成形品およびその成形品の製造方法 - Google Patents
液晶性樹脂組成物、成形品およびその成形品の製造方法Info
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Description
動車部品、機械部品などとして有用な機械物性および耐
熱性に優れ、低線膨張率の液晶性ポリエステルと熱可塑
性樹脂からなる液晶性樹脂組成物、成形品およびこの成
形品の製造方法に関するものである。
求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマー
が数多く開発されているが、中でも分子鎖の平行な配列
を特徴とする光学異方性の液晶性樹脂が優れた流動性と
機械物性を有する点で注目されている。しかしながら、
分子鎖配向方向と垂直な方向では成形収縮率や機械物性
が異なり、さらに価格が高いなどの理由で用途が制限さ
れているのが現状である。一方、多くの熱可塑性樹脂は
液晶性樹脂と比較して、機械物性および耐熱性も必ずし
も十分でないことが知られている。
樹脂と熱可塑性樹脂のブレンドが注目されている(たと
えば、特開昭57−25354号公報など)。しかしな
がら、両者をブレンドしても満足する物性のものが得ら
れていないのが現状である。この原因として用いる液晶
性樹脂の物性が補強材として十分な物性を有していない
ことが考えられる。
らに向上させる方法として、分子構造が異なる2種の液
晶性樹脂をブレンドする方法が知られている(特開昭5
7−40550号公報、特開昭61−120851号公
報、特開昭62−220556号公報、特開昭63−1
32967号公報、特開平2−88667号公報、特開
平2−145643号公報など)。この方法によると単
独で用いた場合の弾性率よりもブレンド物の弾性率の方
が高くなる。しかしながら、2種の液晶性樹脂と熱可塑
性樹脂を単純にブレンドし射出成形しても十分な物性の
向上効果は見られなかった。本発明は上述の問題を解決
し、機械特性および耐熱性に優れ、低線膨張率の液晶性
樹脂組成物を得ることを課題とする。
解決すべく鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂(A)と、
特定構造を有する2種の液晶性ポリエステル(B)と、
特定のエポキシ化合物(C)とを溶融混練した組成物を
ある温度範囲で射出成形または押出成形することにより
液晶性樹脂の配向緩和が抑制され、機械物性が向上し、
低線膨張率化することがわかり、本発明に到達した。
形成することができる液晶性ポリエステルであり、液晶
性ポリエステルの少なくとも1種が下記構造単位(I) 、
(II)、(III) 、(IV)からなる半芳香族液晶性ポリエステ
ル(B−1)である液晶性ポリエステル5〜50重量%
からなる樹脂組成物100重量部に対し、 (C)芳香環を主鎖に含まないエポキシ化合物0.01
〜20重量部を添加した 液晶性樹脂組成物を提供するも
のである。
原子または塩素原子を示し、構造単位(II)および(III)
の合計と構造単位(IV)は実質的に等モルである。)以
下、具体的に本発明に用いる化合物について詳述する。
しい具体例は、ポリエステル、ポリアミド、ポリアリー
レンサルファイド、ポリオキシメチレン、ポリオレフィ
ン系重合体、ポリスチレンなどの結晶性樹脂、ポリカー
ボネート、ポリアリレート、ポリアリーレンオキシドな
どの非晶性樹脂などが挙げられる。これらの中でもポリ
エステル、ポリアリーレンサルファイド、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、ポリカーボネートが好ましく、ポリ
エステルが最も好ましい。また、この熱可塑性樹脂は2
種以上であってもよい。
であり、かつ芳香環を重合体の連鎖単位に有するポリエ
ステルで、芳香族ジカルボン酸(あるいはそのエステル
形成性誘導体)とジオール(あるいはそのエステル形成
性誘導体)を主成分とする縮合反応により得られる重合
体ないしは共重合体である。ここでいうジカルボン酸と
しては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,
6−ナフタレンジカルボン酸、2, 7−ナフタレンジカ
ルボン酸、1, 5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p
−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボ
ン酸、4, 4'−ビフェニルジカルボン酸、4, 4' −
ジフェニルエーテルジカルボン酸、1,2−ビス(p−
カルボキシフェノキシ)エタン、あるいはそのエステル
形成性誘導体などが挙げられる。なお、30モル%以下
であればアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデ
カンジオン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸、
1, 4−シクロヘキサンジカルボン酸、1, 3−シクロ
ヘキサンジカルボン酸などの脂環族カルボン酸で置換し
てもよい。また、ジオール成分としては炭素数2〜10
までの脂肪族ジオールすなわちエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ブチレングリコール、1, 5−ペ
ンチルグリコール、デカメチレングリコール、3−メチ
ル−1, 3−プロペンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオ
ールなどが挙げられるが、これらに限定されるわけでは
ない。好ましいポリエステルの具体例としては、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、
ポリエチレン−1, 2−ビス(フェノキシ)エタン−
4, 4' −ジカルボキシレート、ポリエチレン−2, 6
−ナフタレート、ポリ−1, 4−シクロヘキサンジメチ
レンテレフタレートなどおよびポリエチレンテレフタレ
ート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/
イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/セバケ
ート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキ
シレート、ポリ−1, 4−シクロヘキサンジメチレンテ
レフタレート/イソフタレートなどの共重合ポリエステ
ルが挙げられる。これらの中で好ましいポリエステルと
しては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテ
レフタレート、およびポリ−1, 4−シクロヘキサンジ
メチレンテレフタレートが挙げられる。さらに、ポリブ
チレンテレフタレートがより好ましい。ポリブチレンテ
レフタレートの対数粘度は0.9〜1.3dl/gであ
ることが好ましく、さらに好ましくは0.92〜1.2
5dl/gである。なお、ポリブチレンテレフタレート
の対数粘度は、25℃で0.5%オルトクロロフェノー
ル溶液を用いて求めた相対粘度の対数を濃度で割って求
めた。
ω-ラクタムから得られるポリアミド、またはジアミン
やm-キシレンジアミンとアジピン酸、セバシン酸、ドデ
カンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタ
ル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸から得られる単
独または共重合体、さらには混合重合体などである。好
ましいポリアミドとしてはナイロン6、ナイロン11、ナ
イロン12、ナイロン46、ナイロン66などのホモポリアミ
ド、およびアジピン酸/テレフタル酸/ヘキサメチレン
ジアミン、アジピン酸/1,4-シクロヘキサンジカルボン
酸/ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸/1,3-シクロ
ヘキサンジカルボン酸/ヘキサメチレンジアミン、テレ
フタル酸/イソフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/パ
ラアミノシクロヘキシルメタンなどの共重合ポリアミド
が挙げられる。
硫黄が結合したものである。好ましいポリアリーレンス
ルフィドとしてはポリパラフェニレンスルフィドが挙げ
られ、これは部分的に分岐していても良い。
メチレンホモポリマおよび主鎖の大部分がオキシメチレ
ン連鎖よりなるコポリマが挙げられる。
ン、プロピレン等のα−オレフィン類から生成する繰返
し単位を主成分とするホモポリマーまたはコポリマーが
挙げられ、例えばプロピレンのホモポリマー、エチレン
のホモポリマー、さらにはエチレンと他のα−オレフィ
ン(例えばプロピレン、ブテン−1など)を共重合させ
たブロックまたはランダムコポリマー、具体的にはエチ
レンと炭素数3以上のα−オレフィンの共重合体(例え
ばエチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン−
1共重合体など)、エチレン、炭素数3以上のα−オレ
フィンおよび非共役ジエンからなる共重合体(例えばエ
チレン/プロピレン/1,4−ヘキサジエン共重合体、
エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン共重合
体、エチレン/プロピレン/エチリデンノルボルネン共
重合体など)が挙げられ、これらは1種または2種以上
で用いることができる。好ましいポリオレフィン系重合
体としてはポリプロピレンホモポリマー、ポリエチレン
ホモポリマー、エチレン含有量50モル%以上のエチレ
ンと炭素数3以上のα−オレフィンの共重合体(例えば
エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン−1
共重合体など)、エチレン含有量30モル%以下のプロ
ピレン/エチレン共重合体、50重量%以下のエチレン
と炭素数3以上のα−オレフィンおよび非共役ジエンか
らなるエラストマ状共重合体とポリプロピレンホモポリ
マーからなる組成物、50重量%以下のエチレンと炭素
数3以上のα−オレフィンおよび非共役ジエンからなる
エラストマ状共重合体とポリエチレンホモポリマーから
なる組成物およびプロピレン含有量30モル%以下のプ
ロピレン/エチレン共重合体が挙げられる。
は、不飽和カルボン酸またはその誘導体により変性され
ていることが、より好ましい。変性する不飽和カルボン
酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、
マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、5−ノルボルネ
ン−2, 3−ジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、ダ
イマー酸などが挙げられる。その誘導体としては、上記
の酸の無水物、エステル、アミド、イミド、塩などが挙
げられる。
モポリマのほかにHIPS(高衝撃ポリスチレン)、A
S(アクリロニトリル/スチレン共重合体)、ABS
(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合
体)、MBS(メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチ
レン共重合体)などが挙げられる。
しては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)、ビス(3,
5−ジアルキル−4−ヒドロキシフェニル)またはビス
(3, 5−ジハロ−4−ヒドロキシフェニル)置換を有
する炭化水素誘導体をベースとするものが好ましく、
2, 2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビ
スフェノールA)をベースとするポリカーボネートまた
はポリアリレートが特に好ましい。また、これらは少量
の共重合成分を含んでいてもよい。
(2, 6−ジメチル−1, 4−フェニレン)エーテル、
2, 6−ジメチルフェノール/2, 4, 6−トリメチル
フェノール共重合体、2, 6−ジメチルフェノール/
2, 3, 6−トリエチルフェノール共重合体などが挙げ
られる。これらは不飽和カルボン酸またはその誘導体を
グラフト反応し、変性して用いることができる。変性す
る不飽和カルボン酸とは、アクリル酸、メタクリル酸、
クロトン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、5
−ノルボルネン−2, 3−ジカルボン酸、テトラヒドロ
フタル酸、ダイマー酸などが挙げられる。その誘導体と
しては、上記の酸の無水物、エステル、アミド、イミ
ド、塩などが挙げられる。また、ポリアリーレンオキシ
ドには、ポリスチレン、耐衝撃ポリスチレンなどのスチ
レン系樹脂を添加することができる。
ル(B−1)とは、下記構造単位(I) 、(II)、(III) 、
(IV)からなる液晶ポリエステルである。
原子または塩素原子を示し、構造単位(II)および(III)
の合計と構造単位(IV)は等モルである。)本発明で用い
る好ましい半芳香族液晶性ポリエステル(B−1)の上
記構造単位(I) は、p−ヒドロキシ安息香酸から生成し
たポリエステルの構造単位であり、構造単位(II)は4,
4' −ジヒドロキシビフェニル、3, 3',5, 5' −テ
トラメチル−4, 4' −ジヒドロキシビフェニル、ハイ
ドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイ
ドロキノン、2, 6−ジヒドロキシナフタレン、2, 7
−ジヒドロキシナフタレン、2, 2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパンおよび4, 4' −ジヒドロキシ
ジフェニルエーテルから選ばれた芳香族ジヒドロキシ化
合物から生成した構造単位を、構造単位(III) はエチレ
ングリコールから生成した構造単位を、構造単位(IV)は
テレフタル酸、イソフタル酸、4, 4' −ジフェニルカ
ルボン酸、2, 6−ナフタレンジカルボン酸、1, 2−
ビス(フェノキシ)エタン−4, 4' −ジカルボン酸、
1, 2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,
4' −ジカルボン酸およびジフェニルエーテルジカルボ
ン酸から選ばれた芳香族ジカルボン酸から生成した構造
単位を各々示す。これらのうち特に構造単位(III) を含
む場合は、R1 が
のが特に好ましい。
V)の共重合量は任意である。しかし、流動性の点から次
の共重合量であることが好ましい。すなわち、耐熱性お
よび機械特性の点から上記構造単位(I) および(II)の合
計は構造単位(I) 、(II)および(III) の合計に対して6
0〜95モル%が好ましく、70〜92モル%がより好
ましい。また、構造単位(III) は構造単位(I) 、(II)お
よび(III) の合計に対して40〜5モル%が好ましく、
30〜8モル%がより好ましい。また、構造単位(I) の
(II)に対するモル比[(I) /(II)]は流動性と機械物性
のバランスの点から好ましくは75/25〜95/5で
あり、より好ましくは78/22〜93/7である。ま
た、構造単位(IV)は構造単位(II)および(III) の合計と
等モルである。
縮重合する際には、上記構造単位(I) 〜(IV)を構成する
成分以外に3, 3' −ジフェニルジカルボン酸、2,
2' −ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
ジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレ
フタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロロハイドロキ
ノン、メチルハイドロキノン、4, 4' −ジヒドロキシ
ジフェニルスルホン、4, 4' −ジヒドロキシジフェニ
ルスルフィド、4, 4' −ジヒドロキシベンゾフェノン
等の芳香族ジオール、1, 4−ブタンジオール、1, 6
−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1, 4
−シクロヘキサンジオール、1, 4−シクロヘキサンジ
メタノール等の脂肪族、脂環式ジオールおよびm−ヒド
ロキシ安息香酸、2, 6−ヒドロキシナフトエ酸などの
芳香族ヒドロキシカルボン酸などを本発明の目的を損な
わない程度の量を共重合してもよい。
1)の製造方法は特に制限がなく、公知のポリエステル
の縮重合法に準じて製造できる。例えば、好ましく用い
ることができる液晶ポリエステルのうち、上記構造単位
(III) を含まない場合は(1)〜(4)、構造単位(II
I) を含む場合は(5)の製造法が好ましい。
4' −ジアセトキシビフェニルなどの芳香族ジヒドロキ
シ化合物のジアシル化物とテレフタル酸などの芳香族ジ
カルボン酸から脱酢酸縮重合反応によって製造する方
法。
4' −ジヒドロキシビフェニルなどの芳香族ジヒドロキ
シ化合物、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無
水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化し
た後、脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
エステルおよび4, 4' −ジヒドロキシビフェニルなど
の芳香族ジヒドロキシ化合物とテレフタル酸などの芳香
族ジカルボン酸のジフェニルエステルから脱フェノール
重縮合反応により製造する方法。
フタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニ
ルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエス
テルとした後、4, 4' −ジヒドロキシビフェニルなど
の芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮
合反応により製造する方法。
ポリエステルのポリマー、オリゴマーまたはビス(β−
ヒドロキシエチル)テレフタレートなど芳香族ジカルボ
ン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下
で(1)または(2)の方法により製造する方法。
第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウム、三酸
化アンチモン、酢酸ナトリウムなどの金属化合物および
マグネシウムなどが代表的であり、特に脱フェノール重
縮合の際に有効である。
−1)は、ペンタフルオロフェノール中で対数粘度を測
定することが可能なものであり、その際には0.1g/
dlの濃度で60℃で測定した値が0.5以上であるこ
とが好ましく、1.0〜3.0dl/gであることがよ
り好ましい。
ズが好ましく、特に20〜10,000ポイズがより好
ましい。なお、この溶融粘度は融点(Tm)+10℃の
条件で、せん断速度1,000/秒の条件下で直径1m
m、長さ(l)≧5mmの毛管を用いた高圧式毛管粘度計
により測定した値である。ここで、融点(Tm)とは示
差熱量測定において、重合を完了したポリマーを室温か
ら20℃/分の昇温条件で測定した際に観察される吸熱
ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度
で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで
一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した
際に観察される吸熱ピーク温度(Tm2)を指す。ま
た、液晶開始温度(TN )は、偏光顕微鏡の試料台に乗
せて昇温加熱し、せん断応力下で乳白光を発する時の温
度である。
ステルを用いる場合には、エチレングリコール成分の共
重合量を変化させて(B−1)で用いるものと融点が2
℃以上異なることが好ましく、融点差が40℃以下とな
るものを用いることが必要である。
リエステル(B)としては、以下に示す半芳香族液晶性
ポリエステルと全芳香族液晶性ポリエステルが挙げられ
る。
レングリコールからなるユニットを有する液晶性ポリエ
ステルであり、前記構造単位(I) 、(III) 、(IV)からな
る液晶性ポリエステルなどが知られている。
−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ
酸を共重合した液晶性ポリエステル(特開昭54−77
691号公報)、p−ヒドロキシ安息香酸、芳香族ジヒ
ドロキシ化合物と芳香族ジカルボン酸からなる液晶性ポ
リエステル(特開昭55−133422号公報など)、
p−ヒドロキシ安息香酸、芳香族ジヒドロキシ化合物、
ナフタレン骨格を有する芳香族ジヒドロキシ化合物、芳
香族ジカルボン酸からなる液晶ポリエステル(特開昭6
3−280730、280731号公報など)、ビフェ
ニルジカルボン酸骨格を有する液晶性ポリエステル(特
開昭59−41328号公報など)が挙げられる。中で
もp−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフ
トエ酸を共重合した液晶性ポリエステル、p−ヒドロキ
シ安息香酸、芳香族ジヒドロキシ化合物、ナフタレン骨
格を有する芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族ジカルボ
ン酸からなる液晶性ポリエステルが好ましい。
は40℃以下であることが必要であるが、30℃以下で
あることが好ましく、20℃以下がより好ましい。融点
差が大きくなると、一方の液晶性ポリエステルの配向緩
和が大きくなるので組成物の物性は低下する。また、こ
れら2種の液晶性ポリエステル(B)のブレンド組成は
20/80〜80/20が好ましく、30/70〜70
/30であることがより好ましい。
ポキシ化合物(C)とはエポキシ基を1つ以上有する化
合物であり必ずしも限定されるものではない。これらエ
ポキシ化合物(C)のエポキシ基の数は2つ以上である
ことがより好ましく、2つであることが最も好ましい。
このエポキシ化合物(C)の具体例として、以下のよう
な化合物が挙げられる。ヘキサヒドロフタル酸ジグリシ
ジル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジル、グリシジル
メタクリレート、ステアリン酸を二量化させ合成したダ
イマー酸をグリシジル化したダイマー酸ジグリシジル、
6−エチル−1,11−ドデカンジカルボン酸ジグリシ
ジルなどのグリシジルエステル類。エポキシ化ポリブタ
ジエンおよびメタクリル酸グリシジルなどのエポキシ基
を有する不飽和単量体とエチレンなどの他の不飽和単量
体からなるエポキシ基含有共重合体。γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシランなど、通常シランカップリ
ング剤として用いられるエポキシシラン類。これらのエ
ポキシ化合物は、一種だけでなく二種以上を併用しても
よい。
ー酸ジグリシジル、6−エチル−1,11−ドデカンジ
カルボン酸ジグリシジルなどである。また、用いるエポ
キシ化合物のエポキシ当量は100以上が好ましく、よ
り好ましくは200以上である。
ないエポキシ化合物(C)の量は、熱可塑性樹脂(A)
と2種の液晶性ポリエステル(B)からなる樹脂組成物
100重量部に対して、通常0.01〜20重量部であ
るが、好ましくは0.1〜10重量部の範囲である。
リエステル(B)を混合する方法としては、各種の方法
が適用可能である。溶融混合する装置としては混合ロー
ル、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機などが挙げ
られるが、なかでも押出機が好ましい。この押出機とし
ては単軸、または二軸以上のスクリューを有するものい
ずれも使用可能であるが、特に二軸押出機を使用するの
が好ましい。混練する温度は、熱可塑性樹脂(A)の融
点以上でかつ両液晶性ポリエステル(B)の液晶開始温
度より高い温度で行なうことが好ましく、両液晶性ポリ
エステル(B)の融点以上で行なうことがより好まし
い。また、本発明では熱可塑性樹脂(A)と2種の液晶
性ポリエステル(B)を一括して混練するが、2種の液
晶性ポリエステル(B)を予め混練した後、熱可塑性樹
脂(A)と混練しても良い。
る場合、射出成形、押出成形、ブロー成形などの通常の
方法が適用可能であるが、特に押出成形と射出成形が好
ましい。これらの方法により成形加工する時の温度は、
低融点の液晶性ポリエステルの融点−5℃と高融点の液
晶性ポリエステルの融点+5℃の温度範囲で射出成形ま
たは押出成形することが好ましい。本発明では2種の液
晶性ポリエステルの融点差は40℃以下であり、この差
は小さいほうが好ましいことを述べたが、この融点差が
小さくなるとともにこの最適な成形温度領域は狭くな
る。なお、ここでいう成形温度は射出前の樹脂温度を示
しており、機器の設定温度とは異なる。
に成形品の厚みが大きくなるにしたがって大きくなる。
上述したような成形温度で成形した場合の機械物性向上
効果は、試験片厚みが大きくなると効果がより大きくな
る。この効果の発現のためには、成形品厚みは通常1mm
以上であるが、2mm以上であることが好ましい。また、
成形品全体に対してこのような厚みの部分は試験片全体
に対して50%以上占めることが好ましい。
るにあたり、従来から公知のポリエステルの重合触媒、
耐熱剤、耐候剤、帯電防止剤、染料、着色剤、結晶核
剤、難燃剤などの添加剤や、タルク、クレー、雲母、メ
タケイ酸カルシウム、ケイ砂、ガラスビーズ、ガラスフ
レーク、グラファイト、チタン酸カリウイスカー、石コ
ウ繊維などの無機充填剤、ガラス繊維、アスベスト繊
維、炭素繊維などの補強剤などを相溶化剤として添加す
ることも可能である。
明するが、これらの例は本発明の適応範囲を限定するも
のではない。なお、実施例中の部は重量部を、PBTは
ポリブチレンテレフタレートをそれぞれ表す。
ドロキシビフェニル168重量部、無水酢酸914重量
部、テレフタル酸150重量部および固有粘度が約0.
6dl/gのポリエチレンテレフタレート346重量部
を攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、次の反応
条件で脱酢酸重縮合を行なった。
1.5時間反応させた後、290℃、2時間で0.5m
mHgに減圧し、さらに1.0時間反応させ、重縮合を
完結させたところ、ほぼ理論量の酢酸が留出し、下記の
理論構造式を有する半芳香族液晶ポリエステル(b−
1)を得た。
は267℃となった。
ドロキシビフェニル168重量部、無水酢酸914重量
部、テレフタル酸150重量部および固有粘度が約0.
6dl/gのポリエチレンテレフタレート295重量部
を攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、次の反応
条件で脱酢酸重縮合を行なった。
1.5時間反応させた後、290℃、2時間で0.5m
mHgに減圧し、さらに1.0時間反応させ、重縮合を
完結させたところ、ほぼ理論量の酢酸が留出し、下記の
理論構造式を有する半芳香族液晶ポリエステル(b−
2)を得た。
は286℃となった。
%)、6−アセトキシ-2-ナフトエ酸622重量部(3
0モル%)を脱酢酸重合させ、下記理論式を有するベー
ジュ色の全芳香族液晶性ポリエステル(b−3)を得
た。
60℃、融点は283℃となった。
4, 4' −ジヒドロキシビフェニル223重量部(1
3.3モル%)、2,6−ジアセトキシナフタレン14
7重量部(6.7モル%)、テレフタル酸299重量部
および無水酢酸1.077重量部を重縮合させ、全芳香
族液晶性ポリエステル(b−4)を得た。
90℃、融点は312℃となった。
と、(B)参考例で重合した液晶性ポリエステル20重
量部、 及びダイマー酸ジグリシジル(油化シェルエポキ
シ(株)社製、エピコートEP−871)(C)を2重
量部秤取し、ドライブレンドした。280℃に設定した
30mmφ2軸押出機で溶融押出した(B−4を用いた場
合には300℃に設定、樹脂温度は設定温度+15℃で
あった)。熱風乾燥後、金型温度を90℃に設定し、表
1に示す設定温度で、1/8”(3.2mm)厚×1/
2”幅×5”長のテストピースを射出成形した。曲げ弾
性率は、東洋ボールドウィン社製テンシロンUTM−2
00でひずみ速度1mm/分、スパン間距離50mmの
条件で測定を行なった。さらに、このテストピースを用
いて、23℃と80℃の縦方向の長さを測定し、線膨張
率を計算した。なお、ここでいう成形温度はノズル先端
部のポリマの樹脂温度を示している。表1にこれらの試
験結果を示す。
種の液晶性ポリエステル(B)にエポキシ化合物を添加
することにより、機械物性等が向上することがわかる。
れる成形品は、機械物性および耐熱性に優れ、低線膨張
率であることから、電気および電子機器部品、自動車部
品などの用途において幅広く使用することが可能であ
る。
Claims (3)
- 【請求項1】(A)熱可塑性樹脂95〜50重量%と (B)融点差が40℃以下である2種の異方性溶融相を
形成することができる液晶性ポリエステルであり、液晶
性ポリエステルの少なくとも1種が下記構造単位(I) 、
(II)、(III) 、(IV)からなる半芳香族液晶性ポリエステ
ル(B−1)である液晶性ポリエステル5〜50重量%
からなる樹脂組成物100重量部に対し、 (C)芳香環を主鎖に含まないエポキシ化合物0.01
〜20重量部を添加した 液晶性樹脂組成物。 【化1】 (ただし、式中R1 は 【化2】 から選ばれた一種以上の基を示し、R2 は 【化3】 から選ばれた一種以上の基を示す。また、式中Xは水素
原子または塩素原子を示し、構造単位(II)および(III)
の合計と構造単位(IV)は等モルである。) - 【請求項2】 請求項1記載の液晶性樹脂組成物を成形
してなる液晶性樹脂組成物成形品。 - 【請求項3】 請求項1記載の液晶性樹脂組成物を射出
成形または押出成形するに際して、両液晶性ポリエステ
ルの液晶開始温度以上で、かつ低融点の液晶性ポリエス
テルの融点−5℃以上、高融点の液晶性ポリエステルの
融点+5℃以下の温度範囲で射出成形まはた押出成形す
ることを特徴とする液晶性樹脂組成物成形品の製造方
法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP30881093A JP3362486B2 (ja) | 1993-12-09 | 1993-12-09 | 液晶性樹脂組成物、成形品およびその成形品の製造方法 |
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JPH07157667A JPH07157667A (ja) | 1995-06-20 |
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JP2023083807A (ja) * | 2021-12-06 | 2023-06-16 | ポリプラスチックス株式会社 | ポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物、ポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法、及び成形品 |
-
1993
- 1993-12-09 JP JP30881093A patent/JP3362486B2/ja not_active Expired - Fee Related
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