JP3196714B2 - トリプルウェル構造の半導体集積回路の製造方法 - Google Patents

トリプルウェル構造の半導体集積回路の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トリプルウェル構
造の半導体集積回路の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、DRAMやSRAMなどの半
導体集積回路では低消費電力化が強く要求されており、
その有力な手段として低電源電圧化がある。しかし、こ
の低電源電圧化は、外部から供給される外部電源電圧V
extが規格として固定されていて自由に設定できないこ
とが多いので、外部電源電圧Vextをそのままにしてチ
ップ内部で用いる内部電源電圧Vintのみを低く設定す
ることがよく行なわれている。
【0003】CMOS構成の半導体集積回路で外部電源
電圧Vextと内部電源電圧Vintの2種類の電源電圧を用
いる場合にはNウェルが2種類必要になる。すなわち、
外部電源電圧Vextに設定されるNウェルと内部電源電
圧Vintに設定されるNウェルとが必要になる。これを
実現するウェル構成としては、例えば図16に示すよう
にP型シリコン基板101を用いてその表面にNウェル
103、105を形成するウェル構成がある。
【0004】DRAMやSRAMなどの半導体集積回路
でこのウェル構造を採用するには問題がある。この問題
をDRAMを例に挙げて説明する。図17はDRAMメ
モリセルの等価回路図である。この図において、メモリ
セルは一つのキャパシタ150と一つのNMOS151
とから構成されている。NMOS151のゲートにはワ
ード線152が接続されており、ソース、ドレインの一
方にはビット線153が、他方にはメモリセルキャパシ
タ150が接続されている。なお、メモリセルキャパシ
タ150に電荷を蓄積した状態が情報を保持した状態で
ある。
【0005】メモリセルにアクセスする際にはワード線
152の電位を上げ、NMOS151をオンさせる。こ
の状態でビット線153を通じてメモリセルキャパシタ
150に情報の書き込み/読み出しを行なう。以上がメ
モリセルの動作原理である。DRAMではこのようなメ
モリセルがアレイ状に並んでいる。これらメモリセルア
レイはPウェル内に形成される。なお、DRAMにはメ
モリセルアレイ部のほかに周辺回路部や入出力回路部が
設けられている。
【0006】このDRAMを図16に示すように形成し
た場合、メモリセルアレイが形成されるPウェル102
を含むすべてのPウェルが基板を通じて導通状態になる
ので、以下のような問題を引き起こす。すなわち、入出
力端子に負電位がかかった場合、入力端子に接続するN
+拡散層108からPウェル104内に電子が放出さ
れ、この電子が基板101を通ってメモリセル部113
のPウェル102に到着し、このウェル内のn十拡散層
110に入り込んで、そこに接続しているメモリセルキ
ャパシタ111の電荷を消去してしまうことがある。
【0007】また、周辺回路部のPウェルで発生した電
気的ノイズがメモリセル部113のPウェル102にま
で伝播してしまい、メモリセルの情報を正しく読み出せ
ないなどの悪影響を及ぼす可能性もある。また、Pウェ
ルの電位をすべて共通にしなくてはならないため、ソフ
トエラー対策や、素子分離耐圧向上のためにメモリセル
部113のPウェル102の電位を負に設定し、周辺回
路部のPウェルについてはラッチアップ防止のために接
地電位のままにするということができない。
【0008】以上の問題を解決する方法として、例えば
特開平9−55483号公報に示されるトリプルウェル
構造がある。このトリプルウェル構造の従来例について
図18を用いて説明する。この図では、N型シリコン基
板121上にNウェル125、126およびPウェル1
22、123に加えて埋め込みP型層124が形成され
ている。そして、Nウェル125はPウェル123と埋
め込みP型層124に囲まれており、N型シリコン基板
121と電気的に絶縁されている。そして、埋め込みP
型層124に囲まれているNウェル125には内部電源
電圧Vintが印加されており、埋め込みP型層124に
囲まれていないNウェル126には外部電源電圧Vext
が印加されている。Pウェル122、123について
は、基板がN型のため互いに電気的に絶縁されている。
【0009】このトリプルウェル構造では、内部電源電
圧Vintに設定されるNウェル125と外部電源電圧Ve
xtに設定されるNウェル126の2種類を用いることが
できるのに加えてPウェルも互いに電気的に絶縁され
る。したがって、入出力端子に負電位がかかり、その端
子に接続するn+拡散層からPウェルに電子が放出され
てもその電子はN型シリコン基板121に吸収されるた
め、メモリセル部113のPウェル122まで到達しな
い。そのため、入出力端子に負電位がかかることによる
メモリセルの情報が消去される恐れがない。
【0010】また、メモリセル部113のPウェル12
2がN型シリコン基板121により周辺回路部のPウェ
ルと電気的に絶縁されているので、周辺回路部で発生し
た電気的ノイズがメモリセル部113にまで伝播し、メ
モリセルの情報が失われるということもない。また、メ
モリセル部113のPウェル122はN型シリコン基板
121により周辺回路部や入出力回路部のPウェルと電
気的に絶縁されているので、ソフトエラー対策や素子分
離耐圧向上のためにメモリセル部113のPウェル電位
を負に設定し、周辺回路部や入出力回路部のPウェルに
ついては接地電位のままにすることができる。このよう
に、トリプルウェル構造には多くのメリットがあるため
DRAMやSRAMではトリプルウェル構造を用いるこ
とが多い。
【0011】一方、半導体集積回路には低消費電力化と
共に高速化も要求されている。高速化のためにはMOS
FETのオン電流を大きくすることが求められる。オン
電流を大きくする方法としてゲート酸化膜の薄膜化があ
る。しかし、電源電圧を一定にしたままゲート酸化膜だ
けを薄膜化すると、ゲート酸化膜にかかる電界が強くな
りゲート酸化膜の信頼性を確保できなくなる。したがっ
て、ゲート酸化膜を薄くするためには電源電圧も下げな
ければならない。
【0012】ところが上述のようにチップ内部で用いる
内部電源電圧Vintは下がってきても外部から供給され
る外部電源電圧Vextは規格として決まっていて任意に
下げられないことが多い。この場合、ゲート酸化膜厚は
電圧の高い外部電源電圧Vextに合わせて厚く設定しな
ければならないため、内部回路については内部電源電圧
Vintが低くても厚いゲート酸化膜を用いることとな
り、オン電流が小さく高速化が阻害されてきた。
【0013】この問題を解決する方法として特開平9−
186244号公報に示される方法がある。この方法
は、1チップ内で2種類のゲート酸化膜厚を用い、外部
電源電圧Vextの使われる入出力回路部のMOSFET
のゲート酸化膜厚を内部電源電圧Vintの使われる内部
回路のMOSFETのゲート酸化膜厚より厚く形成する
ことを特徴としている。これにより、入出力回路部のM
OSFETのゲート酸化膜の信頼性を維持したまま内部
回路のMOSFETのゲート酸化膜厚だけを薄く形成し
てオン電流を大きくすることができる。
【0014】この半導体集積回路の製造工程を図19を
参照して説明する。はじめに熱酸化により全面にシリコ
ン酸化膜141を形成する。続いて、図19(a)に示
すように、フォトリソグラフイーにより入出力回路部1
40のみをレジストマスク145で覆う。続いてレジス
トマスク145で覆われていない領域のシリコン酸化膜
141を選択的にエッチング除去する。その後、レジス
トマスク145を除去し、再び全面を熱酸化する。する
と図19(b)に示すように内部回路を形成する領域1
42では薄いゲート酸化膜144が形成され、入出力回
路部140では厚いゲート酸化膜143が形成される。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法では工程数が増加するという問題があった。すなわ
ち、ゲート酸化膜が単一の場合は、ゲート酸化膜の形成
のために熱酸化を1回行うだけで良いが、この方法では
ゲート酸化膜143の形成のために、熱酸化を行った後
にマスク工程を一回追加して酸化膜をエッチングし、再
び熱酸化をしなくてはならない。このように2種類のゲ
ート酸化膜厚構造ではマスク工程が多くなりコストが高
くなるという欠点がある。
【0016】なお、DRAMやSRAMなどの半導体集
積回路では、外部電源電圧Vextが下がって内部電源電
圧Vintと同じになったとしても、1種類のゲート酸化
膜厚を用いたのではゲート酸化膜を内部電源電圧Vint
に合わせて薄くできなかった。その理由はワード線昇圧
を行うためワード線につながるゲートに内部電源電圧V
intより高い電圧がかかるからである。ワード線昇圧に
ついて、DRAMを例に挙げて図17を用いて説明す
る。上述のようにDRAMでは、メモリセルキャパシタ
150に電荷を蓄積して情報を保持する。メモリセルキ
ャパシタ150に高電位を書き込む際には予めビット線
153を内部電源電圧Vintにしておき、ワード線15
2の電位を上げてNMOS151をオンさせる。すると
ビット線153からメモリセルキャパシタ150に電荷
が送り込まれて、メモリセルキャパシタ150の電位が
高電位になる。
【0017】ここでワード線152の電位を内部電源電
圧Vintまでしか上げない場合、メモリセルキャパシタ
150には内部電源電圧VintよりNMOS151のVt
分低い電位しか書き込まれない。そこで、ワード線15
2の電位を内部電源電圧VintよりNMOS151のVt
分高くして、メモリセルキャパシタ150に内部電源電
圧Vintの電位が書き込まれるようにする。これがワー
ド線昇圧である。ワード線昇圧を行うとワード線につな
がるゲートに内部電源電圧Vintより高い電圧がかかる
ので、ゲート酸化膜の信頼性を確保するためにワード線
昇圧電圧に合わせてゲート酸化膜を厚く形成しなくては
ならない。
【0018】そこで本発明は、工程数を増加させずに1
チップ内に2種類のゲート酸化膜厚のMOSFETを形
成することができるトリプルウェル構造の半導体集積回
路の製造方法を提供することを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明のト
リプルウェル構造の半導体集積回路の製造方法は、トリ
プルウェル構造の半導体集積回路の製造方法であって、
埋め込み不純物層のイオン注入マスクを同時にシリコン
酸化膜のエッチングマスクに用い、このエッチングを利
用して1チップで2種類の膜厚のゲート酸化膜を形成す
ることを特徴とする。
【0020】請求項2記載の発明は、トリプルウェル構
造の半導体集積回路の製造方法であって、N型半導体基
板にNウェル、Pウェル、素子分離領域を形成した後、
熱酸化により全面にシリコン酸化膜を形成し、続いてシ
リコン酸化膜の必用とする領域をレジストでマスクし、
続いてNウェル及びPウェルの底部に飛程が来る程度の
注入エネルギーでP型不純物をイオン注入し、このイオ
ン注入後、レジストマスクで覆われていない領域のシリ
コン酸化膜をエッチング除去し、続いてレジストを除去
して全面をもう一度熱酸化してレジストで覆っていた領
域には厚いゲート酸化膜を形成し、覆っていなかった領
域には薄いゲート酸化膜を形成し、その後、所定の工程
に従って、半導体集積回路を構成するゲート電極、ソー
ス及びドレイン拡散層を形成することを特徴とする。
【0021】上記レジストマスクされる領域は、外部電
源電圧(Vext)がゲートにかかる入出力回路部やDRA
Mにおいてはワード線昇圧が行われるメモリセルアレイ
部である。また、上記P型半導体のイオン注入により一
部のNウェルは、Pウェルおよび埋め込みP型層で覆わ
れ、N型半導体基板と電気的に絶縁される。
【0022】請求項5記載の発明は、トリプルウェル構
造の半導体集積回路の製造方法であって、P型半導体基
板にNウェル、Pウェル、素子分離領域を形成した後、
熱酸化により全面にシリコン酸化膜を形成し、続いてシ
リコン酸化膜の必用とする領域をレジストでマスクし、
続いてNウェル及びPウェルの底部に飛程が来る程度の
注入エネルギーでN型不純物をイオン注入し、このイオ
ン注入後、レジストマスクで覆われていない領域のシリ
コン酸化膜をエッチング除去し、続いてレジストを除去
して全面をもう一度熱酸化してレジストで覆っていた領
域には厚いゲート酸化膜を形成し、覆っていなかった領
域には薄いゲート酸化膜を形成し、その後、所定の工程
に従って、半導体集積回路を構成するゲート電極、ソー
ス及びドレイン拡散層を形成することを特徴とする。
【0023】上記レジストマスクされる領域は、DRA
Mにおいてはワード線昇圧が行われるメモリセルアレイ
部である。また、上記N型不純物のイオン注入により一
部のPウェルは、Nウェルおよび埋め込みN型層で覆わ
れ、P型半導体基板と電気的に絶縁される。
【0024】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図を参照して詳細に説明する。 (I)第1の実施の形態 図1〜図5は第1の実施の形態のトリプルウェル構造の
DRAMの製造工程を示す断面図、図6はそのウェルの
構成を示す平面図である。図6では解りやすいようにN
ウェル形成領域を斜線で示している。Nウェルが形成さ
れない領域にはPウェルが形成される。なお、図1〜図
5は図6のA−A’断面である。
【0025】図5に示すように、この実施の形態のDR
AMでは、N型シリコン基板1内にNウェル11、1
3、15、Pウェル10、12、14、16が形成され
ており、また周辺回路部31には埋め込みP型層17が
形成されている。また、周辺回路部31のNウェル13
は、Pウェル12、14及び埋め込みP型層17により
N型シリコン基板1と電気的に絶縁されている。また、
ゲート酸化膜厚が2種類あり、埋め込みP型層17の形
成される周辺回路部31のゲート酸化膜厚6、7は55
オングストロームの膜厚で、埋め込みP型層17の形成
されないメモリセル部30及び入出力回路部32のゲー
ト酸化膜厚5、8、9は70オングストロームの膜厚と
なっている。
【0026】次に、この実施の形態のDRAMの製造工
程について説明する。はじめに、図1に示すように、N
型シリコン基板1の表面にトレンチ分離法により素子分
離2を形成する。続いて、通常のレジストマスクとフォ
トリソグラフイーの技術を用いてNウェル形成領域1
1、13、15にリンイオンを注入エネルギー700k
eV、注入量2×1013cm−2でイオン注入してN
ウェルを形成し、さらにPウェル形成領域10、12、
14、16にボロンイオンを注入エネルギー300ke
V、注入量2×1013cm-2でイオン注入し、Pウェル
を形成する。
【0027】NウェルとPウェルの形成後、熱酸化を行
い、N型シリコン基板1の表面に40オングストローム
のシリコン酸化膜33を形成する。続いて、図2に示す
ように、フォトリソグラフイーの技術によりメモリセル
部30及び入出力回路部32をレジストマスク34で覆
う。なお、このレジストマスク34で覆われる領域は、
図6の点線34で示す領域である。メモリセル部30及
び入出力回路部32をレジストマスク34で覆った後、
ボロンイオンを注入エネルギー1MeV、注入量1×1
013cm-2でイオン注入する。このイオン注入により、
レジストマスク34で覆われていない領域の基板内部に
埋め込みP型層17が形成される。 埋め込みP型層1
7の形成後、図3に示すように、レジストマスク34で
覆われていない領域のシリコン酸化膜33をバッファー
ドフツ酸によりエッチング除去する。その後、レジスト
マスク34を除去する。
【0028】レジストマスク34を除去した後、再び熱
酸化を行い、図4に示すように、シリコン表面が露出し
ている領域に膜厚55オングストロームのゲート酸化膜
35を形成する。この時、予め表面にシリコン酸化膜3
3を形成した領域では、もともと40オングストローム
のシリコン酸化膜があり、その上にさらに酸化するの
で、合計膜厚70オングストロームのゲート酸化膜36
を形成することになる。ゲート酸化膜35、36の形成
後、全面にリンイオンを1×1020cm-2程度含んだポ
リシリコン37を堆積する。なお、ポリシリコンの代わ
りにポリシリコンと金属シリサイド、例えばタングステ
ンシリサイドの積層膜を用いてもよい。
【0029】ポリシリコン37の堆積後、図5に示すよ
うに、フォトリソグラフイーとドライエッチングにより
ポリシリコン37をパターニングしてゲート電極25、
26、27、28、29を形成し、通常のDRMの製造
方法に従いイオン注入によりN型シリコン基板1の表面
にソース、ドレイン及びウェルコンタクトとなるn+拡
散層及びp+拡散層を形成する。また、メモリセル部3
0ではメモリセルキャパシタ3を形成する。以上のよう
にして、この第1の実施の形態によるDRAMが製造さ
れる。
【0030】この第1の実施の形態によるDRAMはト
リプルウェル構造にしているので、従来と同じトリプル
ウェル構造による利点を持っている。すなわち、図5に
示すように、本実施の形態のDRAMでは、周辺回路部
31のNウェル13は、Pウェル12、14と埋込みP
型層17に覆われており、入出力回路部32のNウェル
15と電気的に絶縁されている。このため、周辺回路部
31のNウェル13のVintと入出力回路部32のNウ
ェル15の外部電源電圧Vextを別々にできる。本実施
の形態ではVint=2V、Vext=3.5Vとしている。
【0031】また、この第1の実施の形態によるDRA
MはN型シリコン基板1を用いているため、周辺回路部
31のPウェル14、入出力回路部32のPウェル16
とメモリセル部30のPウェル10はすべて電気的に絶
縁される。これにより、入出力回路部32のPウェル1
6内のn十拡散層に負電位がかかってPウェル16内に
電子が放出されてもN型シリコン基板1に吸収されてし
まい、メモリセル部30には影響を及ばさない。また、
周辺回路部31と入出力回路部32の電気ノイズがメモ
リセル部30のPウェル10に伝わることもない。さら
にメモリセル部30のPウェル10の電位Vbbを−1
V、周辺回路部31のPウェル14、入出力回路部32
のPウェル16の電位をGNDにすることができる。
【0032】また、この第1の実施の形態によるDRA
Mは2種類のゲート酸化膜厚構造となっている。内部電
源電圧Vintを2V、外部電源電圧Vextとワード線昇圧
電圧を3.5Vを想定している。ゲートに外部電源電圧
Vextまたはワード線昇圧電圧のかかるメモリセル部3
0や入出力回路部32のゲート酸化膜5、8、9の膜厚
は70オングストロームと周辺回路部31のゲート酸化
膜6、7の膜厚55オングストロームより厚くなってい
る。膜厚70オングストロームのゲート酸化膜に3.5
Vの電圧がかかるとゲート酸化膜電界は5MeV/cm
になるが、この電界強度では信頼性が確保される。一
方、周辺回路部31のゲート酸化膜6、7の膜厚は55
オングストロームと薄くなっているので、周辺回路部3
1のMOSFETのオン電流が増加する。
【0033】MOSFETのドレイン電流の理論式であ
るグラジュアルチャネル近似によると、オン電流はゲー
ト酸化膜厚の逆数に比例する。このためゲート酸化膜厚
を1種類しか用いず、周辺回路部31にもメモリセル部
30や入出力回路部32と同じ膜厚70オングストロー
ムのゲート酸化膜厚を用いた場合と比べて、55オング
ストロームのゲート酸化膜厚を用いた本実施の形態では
周辺回路のMOSFETのオン電流が27%増加するこ
とになる。この結果、周辺回路部31の動作速度が速く
なる。なお、周辺回路部31の内部電源電圧Vintは2
Vであるので、膜厚55オングストロームではゲート酸
化膜の信頼性を十分確保できる。
【0034】以上のように、第1の実施の形態によるト
リプルウェル構造のDRAMは、2種類のゲート酸化膜
厚を用いているが、それを従来のトリプルウェル構造の
DRAMからマスク工程の追加なしで実現している。そ
れはトリプルウェル形成のためのイオン注入マスクを2
種類のゲート酸化膜を形成するためのシリコン酸化膜3
3のエッチングに用いるレジストマスクと兼ねているか
らである。この結果、低消費電力化と高速化を低コスト
で達成することができる。
【0035】(II)第2の実施の形態 次に、第2の実施の形態について述べる。第2の実施の
形態はワード線昇圧を行う高抵抗負荷型SRAMに適用
したものである。はじめにワード線昇圧を行う高抵抗負
荷型SRAMについて説明する。図7は高抵抗負荷型S
RAMのメモリセルの回路図である。ドライバトランジ
スタTr1と高抵抗負荷R1からなるインバータと、ド
ライバトランジスタTr2と高抵抗負荷R2からなるイ
ンバータが互いの入力が相手の出力となるように組み合
わされており、2つのノードP、Qの一方が高電位、他
方が低電位となることによって情報が保持される。この
情報にアクセスするためにアクセストランジスタTr
3、Tr4がノードP、Qに接続されている。ワード線
の電位を高くすることによって、これらアクセストラン
ジスタがオンし、ノードP、Qの電位がビット線R、S
に読み出されたり、逆にヒット線R、Sの電位がノード
P、Qに書き込まれたりする。
【0036】ここで、ノードPに高電位を書き込む場合
は次のようになる。はじめにビット線Rを内部電源電圧
Vint、ビット線Sを接地電位にしておき、ワード線電
位Vwlを上げる。すると、アクセストランジスタTr
3、Tr4がオンし、ノードPに高電位、ノードQに低
電位が書き込まれる。ところが、ワード線Vwlを内部電
源電圧Vintまでしか上げない場合、ノードPには内部
電源電圧VintよりアクセストランジスタTr3の閾値
電圧Vt分低い電位しか書き込まれない。十分長い時間
の後には高抵抗R1を流れる電流によりノードPの電位
はさらに高くなる。しかしそれには長い時間がかかるの
で、書き込み直後はその効果は期待できない。
【0037】ノードに書き込まれる電位が低いとメモリ
セルの状態が不安定になりやすい。特に内部電源電圧V
intが低い場合には顕著である。これを防止する方法と
してワード線昇圧がある。すなわち、ワード線にかける
電圧Vwlを内部電源電圧Vintより高くして、ノードの
電位が内部電源電圧Vintまで上がるようにするのであ
る。この方法を用いればノードに内部電源電圧Vintが
書き込まれるので、メモリセルの状態が安定になる。こ
のように高抵抗負荷型SRAMを低電圧で安定に動作さ
せるにはワード線昇圧を用いる必要がある。
【0038】ここで、高抵抗負荷型SRAMのメモリセ
ル構造について説明する(Symp.On VLSI
Tech.Dig.,P.145の図1(a)参照)。
図8はメモリセルの平面図である。この図では、理解し
やすいようにゲート電極層を斜線で示した。上述のよう
にメモリセル内には4つのトランジスタが含まれてお
り、そのうち2つのアクセストランジスタTr3、Tr
4のゲートはワード線が兼ねている。ワード線昇圧を行
うSRAMではワード線に内部電源電圧Vintより高い
電圧がかかるので、2つのアクセストランジスタTr
3、Tr4のゲートに内部電源電圧Vintより高い電圧
がかかる。一方、2つのドライバトランジスタTr1、
Tr2のゲートには内部電源電圧Vintまでしかかから
ない。したがって、高抵抗負荷型SRAMメモリセルに
おいては、信頼性確保のためにゲート酸化膜を厚くしな
くてはいけないのはメモリセル内の4つのトランジスタ
のうち、2つのアクセストランジスタについてだけであ
る。
【0039】以下、第2の実施の形態による高抵抗負荷
型SRAMの製造工程を図9を参照して説明する。図9
(a)〜(c)は図8のB−B’断面での製造工程を示
す図である。なお、第2の実施の形態が上述した第1の
実施の形態と異なるのはメモリセル部だけであるので、
周辺回路部や入出力回路部については省略する。
【0040】はじめに、図9(a)に示すように、第1
の実施の形態と同様にN型半導体基板1上にトレンチ素
子分離2、Nウェル、Pウェル52を形成し、全面を熱
酸化して40オングストロームのシリコン酸化膜33を
形成する。続いてアクセストランジスタのゲート形成領
域(図8の点線45で囲まれた領域)をレジスト34で
マスクする。この時、第1の実施の形態と同様に入出力
回路部もレジスト34でマスクされる。そして、ボロン
イオンを注入エネルギー1MeV、注入量1×1013c
m-2でイオン注入して、基板内部に埋め込みP型層17
を形成する。なお、この埋め込みP型層17は周辺回路
部ではNウェルを覆うように形成されるが、セル部では
Pウェルの一部となるだけである。
【0041】続いて、レジストでマスクされていない領
域のシリコン酸化膜33をエッチング除去する。その
後、レジストを除去し、図9(b)に示すように全面を
55オングストローム再度熱酸化して第1の実施の形態
と同様に2種類の膜厚のゲート酸化膜35、36を形成
する。ゲート酸化膜35は55オングストロームであ
り、ゲート酸化膜36は70オングストロームである。
そして、全面にゲートポリシリコンを堆積する。その
後、ゲートをパターニングし、通常の工程を経て図9
(c)のようになる。本実施の形態ではトリプルウェル
構造の高抵抗負荷型SRAMにおいて、第1の実施の形
態と同様マスク工程の追加なしで2種類のゲート酸化膜
厚構造が形成される。
【0042】(III)第3の実施の形態 次に、第3の実施の形態について述べる。第3の実施の
形態はシリコン基板としてP型シリコン基板を用いたD
RAMに関するものである。図15は第3の実施の形態
によるウェル構造を表す平面図、図10〜図14は図1
5のC−C’断面を用いて示した本実施の形態による半
導体集積回路の製造工程を示す断面図である。以下、第
3の実施の形態によるDRAMの製造工程について述べ
る。
【0043】はじめに、図10に示すように、P型シリ
コン基板60の表面にトレンチ素子分離2、Nウェル1
3、63、15、Pウェル10、14、64、16を形
成する。続いて、熱酸化により40オングストロームの
シリコン酸化膜33を形成する。その後、図11に示す
ように、図15の埋め込みN型層マスク領域34にレジ
ストマスクを形成し、それをマスクにリンイオンを注入
エネルギー1.5MeV、注入量1×1013cm-2でイ
オン注入して埋め込みN型層61、62を形成する。
【0044】続いて、図12に示すように、レジスト3
4でマスクされていない領域のシリコン酸化膜33をエ
ッチング除去する。そしてレジストマスク34を除去す
る。その後、図13に示すように、新たに55オングス
トロームの熱酸化を行う。この熱酸化によりシリコン酸
化膜33の除去されていた領域では55オングストロー
ムのゲート酸化膜35が、除去されていなかった領域で
は70オングストロームのゲート酸化膜36が形成され
る。その後、ポリシリコン37を堆積する。
【0045】ポリシリコン37を堆積した後、図14に
示すように、第1の実施の形態と同様にゲート電極をパ
ターニングしてn+拡散層及びp+拡散層を形成し、メ
モリセルキャパシタ3を形成する。以上のようにして第
3の実施の形態によるDRAMが形成される。この第3
の実施の形態の効果について述べる。はじめに、図14
を用いてトリプルウェルであることによる効果について
述べる。本実施の形態においては、メモリセル部30の
Pウェル10と入出力回路部32や周辺回路部31のP
ウェル14、16はNウェル13、63、15及び埋め
込みN型層61、62により電気的に絶縁されている。
【0046】このため、入出力回路部32のPウエル1
6内のn+拡散層に負電位がかかってPウェル16内に
電子が放出されても取り囲むNウェル15及び埋め込み
N型層62に吸収されてしまい、メモリセル部30には
影響を及ぼさない。また、周辺回路部31と入出力回路
部32の電気ノイズがメモリセル部30のPウェル10
に伝わりメモリセルの情報が破壊されてしまう恐れがな
い。さらにメモリセル部30のPウェル10の電位Vb
bを−1V、周辺回路部31のPウェル14、入出力回
路部32のPウェル16の電位をGNDにすることがで
きる。
【0047】次に、2種類のゲート酸化膜厚を用いるこ
との効果について述べる。第3の実施の形態ではVint
=2V、ワード線昇圧電圧=3.5Vを想定している。
ここで、メモリセル部30のゲートにはワード線昇圧電
圧の3.5Vがかかるが、ゲート酸化膜厚は70オング
ストロームなのでゲート酸化膜電界は5MeV/cm2
となり、ゲート酸化膜の信頼性は確保される。一方、V
int=2Vがゲートにかかる周辺回路部31ではゲート
酸化膜の膜厚が55オングストロームとメモリセル部3
0より薄くなっており、その分オン電流が大きくなる。
ゲート酸化膜を1種類しか用いず、チップ内すべてのゲ
ート酸化膜厚を70オングストロームとした場合と比べ
ると、第1の実施の形態の場合と同様に周辺回路部31
のオン電流は27%増加し、その分動作速度が向上す
る。
【0048】以上のことに加え、第3の実施の形態では
P型シリコン基板60を用いている。一般にP型シリコ
ン基板はN型シリコン基板よりも単価が安い。したがっ
て、第3の実施の形態ではN型シリコン基板を用いた第
1の実施の形態よりもさらに低コスト化が図れる。この
ように第3の実施の形態では、低コストで低消費電力か
つ高速なトリプルウェル構造のDRAMを製造できる。
【0049】
【発明の効果】本発明の方法によれば、トリプルウェル
構造の半導体集積回路において、工程数を増加させずに
1チップ内に2種類のゲート酸化膜厚のMOSFETを
形成することができるので、低コストで低消費電力かつ
高速なトリプルウェル構造のDRAMの製造が可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態のDRAMの製造工程を示
す図である。
【図2】 第1の実施の形態のDRAMの製造工程を示
す図である。
【図3】 第1の実施の形態のDRAMの製造工程を示
す図である。
【図4】 第1の実施の形態のDRAMの製造工程を示
す図である。
【図5】 第1の実施の形態のDRAMの製造工程を示
す図である。
【図6】 第1の実施の形態のDRAMのウェル構造を
表す平面図である。
【図7】 第2の実施の形態の高抵抗負荷型SRAMの
メモリセルの回路図である。
【図8】 第2の実施の形態の高抵抗負荷型SRAMの
メモリセルの平面図である。
【図9】 第2の実施の形態の高抵抗負荷型SRAMの
製造工程を示す図である。
【図10】 第3の実施の形態のDRAMの製造工程を
示す図である。
【図11】 第3の実施の形態のDRAMの製造工程を
示す図である。
【図12】 第3の実施の形態のDRAMの製造工程を
示す図である。
【図13】 第3の実施の形態のDRAMの製造工程を
示す図である。
【図14】 第3の実施の形態のDRAMの製造工程を
示す図である。
【図15】 第3の実施の形態のDRAMのウェル構造
を表す平面図である。
【図16】 従来のDRAMの等価回路図である。
【図17】 従来のDRAMメモリセルを示す図であ
る。
【図18】 従来のトリプルウェル構造を示す図であ
る。
【図19】 従来の半導体集積回路の製造工程を示す図
である。
【符号の説明】
1 N型シリコン基板(N型半導体基板) 2 トレンチ分離 3 メモリキャパシタ 5、6、7、8、9 ゲート酸化膜 10、12、14、16 Pウェル 11、13、15 Nウェル 17 埋め込みP型層 25、26、27、28、29 ゲート電極 30 メモリセル部 31 周辺回路部 32 入出力回路部 33 シリコン酸化膜 34 レジストマスク 35、36 ゲート酸化膜 37 ポリシリコン 60 P型シリコン基板(P型半導体基板) 61、62 埋め込みN型層 63 Nウェル 64 Pウェル 65、66 ゲート酸化膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01L 27/11 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 27/088 H01L 21/8234 H01L 27/108 H01L 27/11 H01L 21/8242 H01L 21/8244

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トリプルウェル構造の半導体集積回路の
    製造方法であって、 埋め込み不純物層のイオン注入マスクを同時にシリコン
    酸化膜のエッチングマスクに用い、このエッチングを利
    用して1チップで2種類の膜厚のゲート酸化膜を形成す
    ることを特徴とするトリプルウェル構造の半導体集積回
    路の製造方法。
  2. 【請求項2】 トリプルウェル構造の半導体集積回路の
    製造方法であって、 N型半導体基板にNウェル、Pウェル、素子分離領域
    形成した後、熱酸化により全面にシリコン酸化膜を形成
    し、続いてシリコン酸化膜の必用とする領域をレジスト
    でマスクし、続いてNウェル及びPウェルの底部に飛程
    が来る程度の注入エネルギーでP型不純物をイオン注入
    し、このイオン注入後、レジストマスクで覆われていな
    い領域のシリコン酸化膜をエッチング除去し、続いてレ
    ジストを除去して全面をもう一度熱酸化してレジストで
    覆っていた領域には厚いゲート酸化膜を形成し、覆って
    いなかった領域には薄いゲート酸化膜を形成し、その
    後、所定の工程に従って、半導体集積回路を構成する
    ート電極、ソース及びドレイン拡散層を形成することを
    特徴とするトリプルウェル構造の半導体集積回路の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記レジストでマスクされる領域は外部
    電源電圧(Vext)がゲートにかかる入出力回路部やDR
    AMにおいてはワード線昇圧が行われるメモリセルアレ
    イ部であることを特徴とする請求項2記載のトリプルウ
    ェル構造の半導体集積回路の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記P型半導体のイオン注入により一部
    のNウェルはPウェルおよび埋め込みP型層で覆われ、
    N型半導体基板と電気的に絶縁されることを特徴とする
    請求項2又は3のいずれかに記載のトリプルウェル構造
    の半導体集積回路の製造方法。
  5. 【請求項5】 トリプルウェル構造の半導体集積回路の
    製造方法であって、P型半導体基板にNウェル、Pウェ
    ル、素子分離領域を形成した後、熱酸化により全面にシ
    リコン酸化膜を形成し、続いてシリコン酸化膜の必用と
    する領域をレジストでマスクし、続いてNウェル及びP
    ウェルの底部に飛程が来る程度の注入エネルギーでN型
    不純物をイオン注入し、このイオン注入後、レジストマ
    スクで覆われていない領域のシリコン酸化膜をエッチン
    グ除去し、続いてレジストを除去して全面をもう一度熱
    酸化してレジストで覆っていた領域には厚いゲート酸化
    膜を形成し、覆っていなかった領域には薄いゲート酸化
    膜を形成し、その後、所定の工程に従って、半導体集積
    回路を構成するゲート電極、ソース及びドレイン拡散層
    を形成することを特徴とするトリプルウェル構造の半導
    体集積回路の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記レジストマスクされる領域はDRA
    Mにおいてはワード線昇圧が行われるメモリセルアレイ
    部であることを特徴とする請求項5記載のトリプルウェ
    ル構造の半導体集積回路の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記N型不純物のイオン注入により一部
    のPウェルはNウェルおよび埋め込みN型層で覆われ、
    P型半導体基板と電気的に絶縁されることを特徴とする
    請求項5又は6のいずれかに記載のトリプルウェル構造
    の半導体集積回路の製造方法。
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