JP3157007B2 - テトラヒドロベンズインドール誘導体の結晶性塩 - Google Patents

テトラヒドロベンズインドール誘導体の結晶性塩

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明はテトラヒドロベンズインドール誘
導体の結晶性塩、更に詳しくは4−(ジ−n−プロピル)
アミノ−6−アミノカルボニル−1,3,4,5−テトラ
ヒドロベンズ[cd]インドールの結晶性塩に関する。本発
明は薬化学の分野に関連し、上記置換テトラヒドロベン
ズ[cd]インドールの結晶性塩およびその用途を包含す
る。
【0002】フラウフ(Flaugh)は、米国特許第4,57
6,959号において6−置換−4−ジアルキルアミノ
テトラヒドロベンズ[cd]インドール類およびこれらの薬
学的に許容される塩類が中枢性セロトニン作動薬であっ
て、うつ病、肥満、アルコール中毒症、喫煙または老年
痴呆を処置するために有用であることを開示した。更に
リーンダー(Leander)は、米国特許第4,745,126
号である種の4−ジアルキルアミノ−6−アミノカルボ
ニル−1,3,4,5−テトラヒドロベンズ[cd]インドー
ル類およびこれらの薬学的に許容される酸付加塩類が不
安を処置するのに有用であることを開示している。
【0003】薬学的固体物質が無定形であるよりは結晶
性であることが特に有利であることはこの分野で認めら
れることである。典型的に結晶性固体は、無定形固体よ
り容易に精製され、容易に特性表示され、また薬学的に
より高貴である。本発明はフラウフおよびリーンダーの
特に好ましい化合物の結晶性酸付加塩を提供する。
【0004】本発明は4−(ジ−n−プロピル)アミノ−
6−アミノカルボニル−1,3,4,5−テトラヒドロベ
ンズ[cd]インドール馬尿酸塩を提供する。更に一つの態
様において本発明は実質的に(4S)−または(4R)−4
−(ジ−n−プロピル)アミノ−6−アミノカルボニル−
1,3,4,5−テトラヒドロベンズ[cd]インドール馬尿
酸塩を包含する。他の態様において本発明は、上記化合
物の少なくとも1種を、そのための薬学的賦形剤、希釈
剤または担体と共に含有する薬学的製剤を包含する。本
発明の他の態様は、セロトニン作用に影響を及ぼすのに
充分量の上記化合物を投与することにより、その生体内
のセロトニン作用を修飾する必要のある哺乳類の症状の
処置方法に関連する。本発明の他の態様は、抑うつ状態
のヒトに活性化合物の抗抑うつ投与量を投与することか
ら成るヒトのうつ状態の処置方法に関連する。本発明の
更に他の態様は、不安を感じやすいかまたは不安に苦し
む人に活性化合物の抗不安量を投与することから成るヒ
トの不安の処置方法に関連する。他の態様において本発
明は、前記テトラヒドロベンズインドール化合物と馬尿
酸を溶媒に溶解し、その馬尿酸塩を結晶化することによ
り、結晶性馬尿酸塩を製造する方法を包含する。更にな
お他の態様において、前記テトラヒドロベンズインドー
ル化合物と馬尿酸塩をイソプロピルアルコールと水の混
合物中で接触させる方法を包含する。
【0005】次に本発明を更に詳細に説明する。本明細
書中、温度はすべて℃を示す。ここに“実質的"とは、
当該物質が少なくとも95重量%で存在するという意味
で使用する。塩基化合物は、(±)−4−(ジ−n−プロピ
ル)アミノ−6−アミノカルボニル−1,3,4,5−テト
ラヒドロベンズ[cd]インドールであって次式で示され
る:
【化1】
【0006】本発明の酸付加塩は、塩基化合物[I]と、
式:
【化2】 で示される構造を有する馬尿酸(またN−ベンゾイルグ
リシン、またはベンズアミド酢酸として知られている)
とを接触することにより形成される。
【0007】それ故この酸付加塩は、4−(ジ−n−プロ
ピル)アミノ−6−アミノカルボニル−1,3,4,5−テ
トラヒドロベンズ[cd]インドール馬尿酸塩である。この
塩はインドール体の馬尿酸に対するモル比が1:1に対
応する。
【0008】化合物[I]の馬尿酸塩は、これまで生成し
た他の多くの化合物[I]の酸付加塩と異なり、結晶性に
関して特に有利な性質を有する。結晶性物質として、こ
の馬尿酸塩は、塩基化合物(インドール体)を不活性溶媒
または不活性溶媒混合物に溶解して馬尿酸を加え、生成
した塩を結晶化することにより、高純度で容易に製造す
ることができる。溶媒の選択は、馬尿酸とインドール体
を溶解することができる溶媒とすべきであるが、試剤の
いずれとも化学的に反応する溶媒とすべきでない。溶媒
は生成した馬尿酸塩のために低溶解性を有すべきであ
る。また溶媒は低毒性濃度に有するのが好ましい。溶媒
は、イソプロピルアルコール、アセトン、エタノール、
イソプロピルアルコールと水の混合物、メチルエチルケ
トン、ブタノール、テトラヒドロフラン、ジメチルホル
ムアミド、アセトニトリル、およびイソプロピルアルコ
ールと酢酸エチルの混合物を包含する。好ましい溶媒は
イソプロピルアルコール、イソプロピルアルコールと水
の混合物、およびエタノールを包含する。もし好ましい
のであれば、生成物を上記のような溶媒から1回ないし
それ以上再結晶することにより、更に精製することがで
きる。または第1回の結晶化においてイソプロピルアル
コールのような第1の溶媒を用い、次の少なくとも1回
の結晶化段階でエタノールのような第2の溶媒を用いる
ことができる。もし好ましければ第2回の結晶化段階か
ら得られた母液を循環使用し、馬尿酸塩を溶解する溶媒
のように使用することができる。
【0009】馬尿酸塩は明らかにその結晶格子中に溶媒
を保持することができることが見いだされた。また他の
ある種の溶媒に比し水を選択的に保持するらしいことが
見いだされた。それ故塩中の他の溶媒保持を最少にする
ため、矛盾がないときは溶媒中に水を加えるのが好まし
い。たとえばイソプロピルアルコールを第1の溶媒とし
て使用するとき、少なくとも約5容量%、より好ましく
は10容量%、最も好ましくは少なくとも約15容量%
の水を使用するのが好ましい。典型的に塩の溶解を最大
にするため、溶媒を加熱することが必要であるかもしれ
ない。このように結晶化により99%を越える純度で塩
を得ることができる。結晶性でない他の塩型は精製がそ
のように容易でなく、その精製のためにはしばしば出費
が多く退屈なクロマトグラフィーの適用を必要とする。
【0010】化合物[I]の馬尿酸塩は1個のキラル中心
を含むことは、有機化学および薬化学の技術者が認めう
ることである。本発明化合物は、実質的にR−鏡像異性
体として、また実質的にS−鏡像異性体または双方の鏡
像異性体の混合物として存在するいずれであっても有用
である。好ましい態様は実質的に純粋な鏡像異性体、特
にR−鏡像異性体である化合物[I]の馬尿酸塩である。
【0011】もし4−(ジ−n−プロピル)アミノ−6−
アミノカルボニル−1,3,4,5−テトラヒドロベンズ
[cd]インドール馬尿酸塩のラセミ混合物を製造するのが
好ましいのであれば、初めに前記フラウフが開示した方
法によりその塩基化合物を製造することができる。しか
し塩基化合物の単一鏡像異性体を製し、次いでこれを用
いて馬尿酸塩の単一鏡像異性体を製造するため、次の方
法を用いることができる。
【0012】リーンナ(Leanna)らの方法[テトラヘドロ
ン・レターズ(Tet.Lett.)第30巻30号3935〜
3938頁(1989年)]により、式:
【化3】 で示される1−ベンゾイル−4,5−エポキシ−1,2,
2a,3,4,5−ヘキサヒドロベンズ[cd]インドールの一
対の鏡像異性体を選択的に製造することができる。
【0013】次いで化合物[IIIa]と[IIIb]のラセミ混合
物をS−1−フェニルエチルアミンのようなキラル中心
を含む第一アミンと反応させ、式:
【化4】 で示される一対のジアステレオマーを製する。これらの
ジアステレオマーをクロマトグラフィーおよび選択結晶
化のようなこの技術分野でしばしば使用する多くの方法
により分割することができる。
【0014】1段階で化合物[IVa]の実質的に純粋な
ジアステレオマーを製造する特に有利な方法は次の通り
である。n−ブタノール中、該溶媒9ml当りエポキシド
体約1gの濃度とし、約90℃で約16時間反応を進行
させる。ほぼ室温に冷えた後、溶液中にジアステレオマ
ー[IVb]が残存し、一方ジアステレオマー[IVa]は結
晶化するので濾集することができる。
【0015】説明を簡単にするため、後記中間体および
生成物は、化合物[IVa]から順次得られたものであ
る。もちろん前記反応においてS−1−フェニルエチル
アミンの代わりにR−1−フェニルエチルアミンを使用
し、鏡像体である化合物[IVa]を選択的に結晶化し、
この合成法における鏡像体を用いて順次、後記鏡像異性
体である中間体および生成物を得ることができる。また
1−フェニルエチルアミンに加うるに他の光学活性第一
アミン類を使用することができる。
【0016】本発明化合物を得るための好ましい出発物
質を製造する次の段階は、式:
【化5】 で示されるアジリジン化合物を生成する反応工程であ
る。β−アミノアルコール体[IVa]からアジリジン化
合物[V]を製造する数種の方法がこの技術分野で知られ
ている。好ましい方法は化合物[IVa]とトリエチルア
ミンおよびエタンスルホニルクロリドをジクロロメタン
中で反応させる方法である。この反応溶液から式:
【化6】 で示される化合物を単離することができる。
【0017】前記アジリジン[V]をパラジウムのような
貴金属触媒上、水素化分解する。アジリジン化合物を開
環して第二アミン体を得る反応は実質的に位置選択的、
すなわちこのアジリジンが開環して実質的に5−アミノ
化合物よりむしろ4−アミノ化合物が生成することは重
要である。このような方法の一つはスギ(Y.Sugi)およ
びミツイ(S.Mitsui)が開示した接触水素化分解[ブリ
テイン・オブ・ザ・ケミカル・ソサエティ・オブ・ジャ
パン(Bull.Chem.Soc.Jap.)第43巻1489〜14
96頁(1970年)]の方法である。好ましい溶媒は酢
酸とメタノールの混合物であって、反応は水素ガスほぼ
1気圧下、貴金属触媒好ましくはパラジウムを用いて行
なわれる。薄層クロマトグラフィーまたは液体クロマト
グラフィーで分析しながらアジリジン化合物が消費され
るまで反応混合物を−5℃で撹拌する。この水素化分解
生成物は第二アミン:1−ベンゾイル−4−(S−1−フ
ェニルエチル)アミノ−1,2,2a,3,4,5−ヘキサヒ
ドロベンズ[cd]インドールであって、これを単離する必
要はない。薄層クロマトグラフィーまたは液体クロマト
グラフィーにより分析しながら第二アミンが消費される
まで水素ガス約1気圧下、55℃で水素化分解を続け
る。たとえば結晶化により単離し、式:
【化7】 で示される実質的に鏡像異性体として純粋な化合物を得
る。
【0018】化合物[VI]をアセトニトリルのような溶
媒中、炭酸カリウムのような塩基の存在下、ヨウ化プロ
ピルでアルキル化し、次いで酢酸水溶液のような溶媒
中、硫酸またはトリフルオロ酢酸のような酸の存在下、
ヨウ素とオルト過ヨウ素酸によりヨウ素化することによ
り、化合物[VI]から下記式で示される化合物[VII]
を製造することができる。別法として、アルキル化の前
にヨウ素化することができる。
【化8】
【0019】上記化合物[VII]から式:
【化9】 で示される鏡像異性体を製造することができる。すなわ
ち化合物[VII]と一酸化炭酸およびアンモニアのほぼ
等モル混合物を、触媒好ましくはビス(トリフェニルホ
スフィン)パラジウムクロリドまたはビス(トリフェニル
ホスフィン)パラジウムブロミドのようなパラジウム触
媒の存在下に反応させて化合物[VII]から化合物[I
a]を製造することができる。触媒は好ましくは反応基質
モル当り約0.05モルの比で存在させる。好ましい溶
媒はトルエンであって、反応試剤の濃度は溶媒100ml
当り約0.5〜約2.0gである。反応容器を封じて混合
物を約100℃で約6時間撹拌する。アリールハライド
と一酸化炭素の反応のための上記のような触媒の使用
は、シエンベルク(Schoenberg)およびヘック(Heck)
[ザ・ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー
(Journal of Organic Chemistry)第39巻3325
頁(1974年)]、ならびにシエンベルク(Schoenber
g)、バルトレッテイ(Bartoletti)およびヘック(Heck)
[Journal of Organic Chemistry 第39巻3318
頁(1974年)]により開示されている。次いでベンゾ
イル基を、この技術分野で知られた多くの方法により脱
離することができるが、好ましくは新しく蒸留したテト
ラヒドロフラン中、n−ブチルリチウム約4当量と反応
させる。この脱保護基反応は約−78℃で行なわれる。
水とテトラヒドロフラン(1:1)(容量:容量)を加えて反
応を停止させ、テトラヒドロフランを蒸発させ、水層を
塩化メチレンのような溶媒で抽出し、溶媒を蒸発させる
ことにより、生成した4−(ジ−n−プロピル)アミノ−
6−アミノカルボニル−1,2,2a,3,4,5−ヘキサヒ
ドロベンズ[cd]インドールを単離する。このヘキサヒド
ロベンズ[cd]インドール体を酢酸中、フラウフにより開
示された方法[米国特許第4,576,959号参照]で二
酸化マンガンと反応させるか、またはメタノール中パラ
ジウム/炭素と反応させることにより酸化し、所望の4
−(ジ−n−プロピル)アミノ−6−アミノカルボニル−
1,3,4,5−テトラヒドロベンズ[cd]インドールを得
る。
【0020】塩基化合物[I]を前記のように不活性溶媒
に溶解し、これを馬尿酸約1当量ないしそれ以上と接触
させることにより、4−(ジ−n−プロピル)アミノ−6
−アミノカルボニル−1,3,4,5−テトラヒドロベン
ズ[cd]インドール馬尿酸塩の製造を完結する。約0〜約
100℃、好ましくは約0〜約25℃の温度で接触させ
ることができる。適当な溶媒は前記のような溶媒を包含
する。
【0021】以下の実施例により本発明を詳述する。実
施例はこれにより発明の範囲が限定されるものと理解さ
れるべきではない。
【0022】実施例1 馬尿酸(0.60g、3.3ミリモル)をアセトン(30m
l)と合して45℃に加温し、馬尿酸を溶解する。(R)−
4−(ジ−n−プロピル)アミノ−6−アミノカルボニル
−1,3,4,5−テトラヒドロベンズ[cd]インドール
(1.0g、3.3ミリモル)をアセトン(10ml)に溶解
し、これを上記馬尿酸45℃溶液に滴加する。混合物を
窒素雰囲気下、冷やしながら撹拌する。25℃で30分
後、1mg以下の種結晶を加える。1分以内に溶液が濁
り、結晶生成が始まり、フラスコ底部に沈降する。混合
物を30分間撹拌後、1時間放置する。混合物を濾過
し、固体を試薬級アセトンで洗う。固体を風乾し、次い
で減圧下に乾燥し、白色固体1.32gを得る。固体の分
析結果を次に示す。 融点:192〜194℃ UV(エタノール): 240nm(ε=42,000)、28
1nm(ε=5650) IR(KBr): 3141、3135、1653、160
3、1578、1544、1384、1367、135
7、1279、1254cm-1 [α]D=−38.7°(メ
タノール) MS: m/e=300、180 元素分析、C273444として、 X線結晶学的に得られた単位胞の大きさ(単位Å): a
=10.2974(5); b=12.0619(3); c=2
0.1382(6)。α=90°; β=90°; γ=90
°。容量2501.29±1.45Å3
【0023】実施例2 馬尿酸2.70g(15ミリモル)をイソプロピルアルコ
ール40mlに加える。混合物を70℃に加温して馬尿酸
を溶解する。この温溶液に(S)−4−(ジ−n−プロピ
ル)アミノ−6−アミノカルボニル−1,3,4,5−テト
ラヒドロベンズ[cd]インドール約4.5g(14.9ミリモ
ル)のイソプロピルアルコール25ml溶液を加える。溶
液を室温に冷やし、30分後に白色結晶が生成する。混
合物を2時間撹拌後、一夜放置する。混合物を濾過し、
沈澱をイソプロピルアルコールで洗う。沈澱を40℃で
5時間乾燥して固体5.5gを得る。NMRによりこの固
体はイソプロピルアルコール約3重量%を含有する。濾
液を濃縮して生成した泡状物を水性塩基/塩化メチレン
混合物で抽出し、減圧下に50℃で24時間乾燥する。
固体5.4gをイソプロピルアルコールと水(90:10
(容量:容量))の混合物65ml(85℃)に溶解する。溶液
を撹拌しながら25℃に冷やす。フラスコ内壁をこす
り、あらかじめ溶解した固体の種結晶を加える。溶液を
5℃で冷蔵庫中に置き、1時間後、結晶が生成する。フ
ラスコ内壁をこすり、更に結晶を形成させる。混合物を
5℃で一夜保蔵し、濾過する。固体をイソプロピルアル
コールで洗い、減圧下に50℃で24時間乾燥し、白色
固体3.78gを得る。この白色固体を分析した結果、次
のデータを得た。 融点: 190.5〜192℃ IR(KBr): 3458、3134、2975、165
5、1604、1545、1384、1278cm-1
[α]D=+39.4°(c=0.1、メタノール) UV(エタノール): 278nm(ε=4880)、240nm
(ε=44000)元素分析、C273444として、
【0024】実施例3 インドール化合物の馬尿酸塩の実質的に純粋な鏡像異
性体等量を合することにより、(RS)−4−(ジ−n−プ
ロピル)アミノ−6−アミノカルボニル−1,3,4,5−
テトラヒドロベンズ[cd]インドール馬尿酸塩のラセミ混
合物を製造する。この製造法を以下に詳述する。(R)−
4−(ジ−n−プロピル)アミノ−6−アミノカルボニル
−1,3,4,5−テトラヒドロベンズ[cd]インドール馬
尿酸塩150mgと対応する(S)−インドール馬尿酸塩1
50mgを合する。混合物を0.2N塩酸10mlの懸濁液
にする。酢酸エチル10ml、次いで5N水酸化ナトリウ
ム10mlを加える。水層と有機層を分離し、水層を酢酸
エチル10mlで抽出する。酢酸エチル層を合して2N水
酸化ナトリウム10mlで洗う。液体を硫酸ナトリウムで
乾燥し、減圧下に酢酸エチルを除き、遊離塩基のラセミ
化合物である白色固体168mgを得る。固体生成物にイ
ソプロピルアルコール3mlを加えると結晶が生成する。
蒸気浴上で加熱することにより結晶を溶解する。この溶
液を、イソプロピルアルコール1ml中馬尿酸100mg
(1当量)含有溶液(70℃)に加える。溶液を撹拌しなが
ら冷やす。30分後沈澱が生成する。4時間撹拌後、混
合物を濾過し、固体をイソプロピルアルコールで洗う。
減圧乾燥し、次の性質を有する白色固体239mgを得
る。 融点: 175〜177℃ [α]D=0.06°(メタノール)
【0025】本発明の塩は5HT1A受容体作動薬によ
り恩恵を得ることができる疾患を処置するのに有用であ
る。かかる疾患は、不安、うつ病、老年性痴呆および肥
満、アルコール中毒症または喫煙のような消耗性疾患を
包含する。
【0026】本発明化合物は、通常薬学的組成物形で投
与する。この組成物は薬学的技術でよく知られた方法で
製せられる。それ故また本発明は、4−(ジ−n−プロピ
ル)アミノ−6−アミノカルボニル−1,3,4,5−テト
ラヒドロベンズ[cd]インドール馬尿酸塩を、薬学的に許
容される賦形剤少なくとも1種と組合わせて含有する薬
学的組成物を包含する。
【0027】本発明の薬学的組成物の製造において、通
常、馬尿酸塩を賦形剤と混合するか、賦形剤で希釈する
かまたはカプセル、包み紙、紙もしくは他の容器の形の
中に入れることができるような担体の中に封入する。賦
形剤を希釈剤として役立てるとき、これは活性成分のた
めの媒体、担体または媒質として機能する固体、半固体
もしくは液体物質であることができる。このような薬学
的組成物は、錠剤、丸薬、粉末、薬用ドロップ、包み袋
入、オブラート入、エリキシル剤、懸濁液、乳化液、溶
液、シロップ、エーロゾル(固体としてもしくは液体媒
体中)、たとえば10重量%を越えない活性化合物を含
む軟こう、軟質または硬質ゼラチンカプセル、座薬、滅
菌注射溶液および滅菌パック入散薬の薬剤形であること
ができる。
【0028】適当な賦形剤は、ラクトース、デキストロ
ース、シュクロース、ソルビトール、マンニトール、デ
ンプン類、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン
酸塩類、トラガカント、ゼラチン、珪酸カルシウム、微
結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、
水、シロップおよびメチルセルロースを包含する。製剤
は、更にタルク、ステアリン酸マグネシウム、シリコー
ン油または鉱油のような滑沢剤、湿潤剤、乳化剤および
懸濁剤、ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルの
ような保存剤、甘味剤または香味剤を包含することがで
きる。患者に投与した後、活性成分が急速に、持続し
て、または遅延して放出されるように本発明組成物をこ
の技術分野でよく知られた方法により製造することがで
きる。
【0029】薬剤組成物は、好ましくは投与剤1個当り
遊離塩基すなわち遊離4−(ジ−n−プロピル)アミノ−
6−アミノカルボニル−1,3,4,5−テトラヒドロベ
ンズ[cd]インドールを基準としてその約0.01〜約5
0mg、より一般的には約0.1〜約25mgを含有する単
位投与剤形として製造することができる。“単位投与剤
形"という語は、ヒトおよび他の哺乳類のための単位投
与量として適当であって、各単位が所望の治療効果を得
るように計算されてあらかじめ決定された量の活性物質
を適当な薬学的賦形と組合わせて含有する物質的に分離
した単位を意味する。化合物の実際の投与量および投与
回数は、処置すべき状態、選択する投与方法、患者個人
の年令、体重、各患者の反応および患者の症状の重篤度
を含む関連する環境に照らし医師により決定されること
は理解されることであって、それ故、上記投与量範囲
は、いずれにしても本発明の範囲の限定を意味するもの
ではない。
【0030】次に説明する製剤例において、“馬尿酸
塩"とは、本発明の化合物を指定して用いる用語であ
る。これらの例は説明的なことのみであって、いずれに
しても本発明の範囲の限定を意図するものではない。
【0031】製剤例1 次の成分を使用して硬質ゼラチンカプセル剤を製造す
る。 含量(mg/カフ゜セル) 馬尿酸塩 40 粉末デンプン 220.0 流動性粉末デンプン(あらかじめゲル化したデンプン) 74.2 流体シリコーン(350センチストークス(cSt)) 0.8 上記成分を混和し、各硬質ゼラチンカプセルに335mg
量で充填する。
【0032】製剤例2 下記のように別方法により硬質ゼラチンカプセル剤を
製造する。 含量(mg/カフ゜セル) 馬尿酸塩 0.16 デンプン 178.3 流動性粉末デンプン(あらかじめゲル化したデンプン) 51.0 流体シリコーン(350cSt) 0.54 デンプンを馬尿酸塩水溶液で顆粒化する。顆粒を一夜乾
燥する。この顆粒を20メッシュ篩に通し、あらかじめ
混和して10メッシュ篩に通した流動性粉末デンプンと
シリコーンと完全に混和する。これを各硬質ゼラチンカ
プセルに230mgの量で充填する。
【0033】製剤例3 次の成分を用いて錠剤を製造する。 含量(mg/錠) 馬尿酸塩 40.0 微結晶セルロース 251.7 コロイド状二酸化ケイ素 4.5 ステアリン酸 2.3 ステアリン酸マグネシウム 1.5 各成分を混和し、圧縮成形して各錠剤重量300mgの錠
剤を製造する。
【0034】製剤例4 次の成分を用いて錠剤を製造する。 含量(mg/錠) 馬尿酸塩 0.16 デンプン 104.84 微結晶性セルロース 35.0 ポリビニルピロリドン (10%水溶液として) 4.0 カルボキシメチルナトリウム・デンプン 4.5 ステアリン酸マグネシウム 0.5 タルク 1.0 デンプンとセルロースを20メッシュ篩に通し、完全に
混和する。ポリビニルピロリドン溶液を上記粉末と混合
し、4メッシュ篩に通す。この顆粒を50〜60℃で乾
燥し、16メッシュ篩に通す。この顆粒物質に、あらか
じめ30メッシュ篩に通したナトリウムカルボキシメチ
ルデンプン、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを
加える。混合物を錠剤機で圧縮成形して各150mgの錠
剤を得る。別の製造法により馬尿酸塩、デンプンおよび
セルロースを20メッシュ篩に通し、完全に混和する。
得られた粉末とポリビニルピロリドン溶液を混合し、4
メッシュの篩に通す。この顆粒を50〜60℃で乾燥
し、16メッシュの篩に通す。あらかじめ30メッシュ
篩に通したナトリウムカルボキシメチルデンプン、ステ
アリン酸マグネシウムおよびタルクを上記顆粒物質に加
え、混和する。混合物を錠剤機で圧縮成形し、各150
mgの錠剤を得る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 デイビット・リー・バリー アメリカ合衆国46220インディアナ州イ ンディアナポリス、クリッテンデン・ア ベニュー5647番 (56)参考文献 特開 昭60−208959(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 209/90 A61K 31/403 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4−(ジ−n−プロピル)アミノ−6−ア
    ミノカルボニル−1,3,4,5−テトラヒドロベンズ[c
    d]インドール馬尿酸塩。
  2. 【請求項2】 (4R)−4−(ジ−n−プロピル)アミノ
    −6−アミノカルボニル−1,3,4,5−テトラヒドロ
    ベンズ[cd]インドール馬尿酸塩である請求項1記載の化
    合物。
  3. 【請求項3】 活性成分として請求項1または2記載の
    化合物を、そのための薬学的に許容される賦形剤、希釈
    剤もしくは担体1種ないしそれ以上と組合わせて含有す
    る薬学的製剤。
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